『DOMINION』はリターンマッチが行われることが多い大会だが、東京ドーム級の好カードが大阪でも見られるというプレミア感が人気を集めてブランド化していった。今年は年間ベストバウトの呼び声高い、1.4東京ドーム大会のオカダ・カズチカとケニー・オメガによるIWGPヘビー級選手権の再戦がメインイベントにラインナップされた。大阪のファンにとってこのインパクトは計り知れないものがあったのではないだろうか。
実際、大阪のプロレスファンに話を聞いてみると「僕は1.4ドームをCS(テレ朝チャンネル)で見たんですけど、放送時間の関係でオカダ対ケニーを最後まで見られなかったんですよね。なので、それを大阪でやってくれるというのはすごく嬉しいです」「僕は新日本プロレスワールドで最後まで見ました。1.4ドーム以降のオカダ選手やケニー選手の試合や、コメントを見たり聞いたりしていると、ドームよりスゴイ試合を大阪城でやってくれる気がするので、今からワクワクしてますよ」「G1(クライマックス)前にオカダ対ケニーを出し惜しみなく組んでくる新日本は勢いがありますね。大阪のファンとしては大阪も大事にされてるなって(感じた)。『DOMINION』は毎年カードに関係なくチケットを買ってますが、今年が一番お得な気分ですね(笑)」などなど、ファンの言葉からは興奮とワクワク感が十分に伝わってくる。
それはメインに出場するオカダとケニーからも感じる。前哨戦が行われた5.31大阪府立体育会館・第二競技場大会の試合後のことだ。
コメントブースでケニーが「楽しいね。俺の心と魂をすべて注ぎ込むような闘いだ。まだ彼との闘いは始まったばかりなのにね。オーサカジョーホールでは、俺の身も心もすべてくれてやるよ。トーキョードームがそうであったようにな。このまま突っ走っていくぞ。ケニー・オメガのファンのみんなよ、しっかりとついて来るんだぞ。なんたって年間最高試合候補の闘いだからな。それはこのケニー・オメガによるところが大きいけどね。レスリングはまだ2週間ほど続くけどな。オカダ、決戦の時を楽しみにしてるよ。メインイベントを心ゆくまで楽しもうぜ。バレットクラブとCHAOSの頂上対決をな。1対1で。最高のドリームマッチを!」と言うと、オカダも「ケニー!前哨戦なのに、だいぶ疲れさせてくれるよ。懐かしいよ。まるで(1.4)東京ドームのような感じだ。もう、前哨戦の時点で、東京ドームのような闘いできてるんだからね。大阪城、楽しみに待ってるよ」とコメント。奇しくも、2人のコメントからは「楽しい」という言葉が聞かれた。ファン同様、選手も興奮とワクワク感が抑えられないのが伝わってきた。
「世界中の人たちが、オカダ対ケニーをまた見たいと言ってるらしいぞ!」
オカダが5.3福岡国際センター大会のエンディングで、ケニーを次期挑戦者に逆指名した時に発したアピールは、SNSなどを通じて瞬く間に拡散され世界へ発信されたという。この試合は単なる再戦ではなく、7月に開催されるアメリカ・ロサンゼルス大会を観戦するファンも注目する一戦という意味合いもあるのだ。ロサンゼルス大会ではIWGPヘビー級選手権も予定されているだけに、どちらが王者として防衛戦を行うのかという点も興味深い。1.4ドーム大会のオカダ対ケニーが世界のプロレスファンの心を動かしたのは、各国のSNSのトレンドに上位でランクインしたことからも明らかで、新日本のグローバル戦略においても“黄金カード”なのは間違いない。
大阪城から世界へ。なにわのファンには、東京ドームよりもグレードアップされるであろう最高の闘いに酔いしれてもらいたい。
(どら増田)
【新日Times vol.70】