スポーツ
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スポーツ 2016年10月19日 16時30分
2016年ドラフト情報(番外編) 自由を貫いた代償 「8年ぶりのアノ男の名前」が騒がれていた!
大卒・社会人は2年、高卒選手は3年間、NPB球団とは契約できない。この重いペナルティがドラフト規約に明記されたのは、2008年だった。以後、この条文が利いたのか、以後、NPB球団を飛ばしてメジャーリーグに挑戦したドラフト候補はいない。厳密に言えば、強行指名したチームが説得し、引き止めたことはあったが…。 ボストンレッドソックスの田澤純一(30)の退団が濃厚と伝えられている。今季はシーズン終盤の8月以降、登板の機会も減り、プレーオフ地区シリーズの登録メンバーからも外された。「FA退団」となったが、日本とアメリカではFAの意味も異なる。米球界では“戦力外の意味”を含む場合もあり、田澤もその意味での退団となる。 「田澤がレ軍の来季構想から外れるとの情報は、8月下旬には日本の各球団もキャッチしていました。田澤は新天地を求めるようだが、厳しいとも聞いている」(プロ野球解説者) 田澤は08年ドラフト会議で1位候補として注目された。しかし、「メジャー挑戦」の意向を明らかに、NPB12球団に対して“指名拒否”の手紙も送っている。職業選択の自由は憲法でも保障されている。しかし、日米間にはお互いに有力なドラフト候補選手とは交渉しないとの紳士協定があり、田澤の行動を認めてしまえば、今後、高校、大学、社会人の上位指名候補が青田買いされてしまう危険性もあるとし、「大卒・社会人は2年、高卒選手は3年間、NPB球団には入団できない」とのルールを付け加えたのだ。 今秋のドラフト会議は即戦力系の投手が少ないとされたせいもあると思われる。日本のプロ野球チームを選択肢に加えられない田澤に対し、「何とかならないか?」の声も出ていたという。 NPBを経験せずにメジャー挑戦した投手はほかにもいる。『田澤問題』が起きる前の02年、マックこと鈴木誠はオリックスに指名され、3年間、日本で投げている。多田野数人は07年、北海道日本ハムに指名され、紆余曲折はあったが、14年シーズンまでNPBに在籍した。 先の「何とかならないか?」の言葉は、他の歴代日本人メジャーリーガーのように「田澤と交渉するくらいはできないのか?」の意味だ。いや、「大卒・社会人は2年、高卒選手は3年間、NPB球団には入団できない」と決めたルールがなかったら、今秋のドラフトで田澤指名を検討する球団もあったのではないだろうか。 広島・黒田博樹が活躍したように“日本人メジャーリーガーの帰還”は決して恥ではない。また、ボストンの地元紙などを見ると、リリーバーとしての田澤の実力を再評価する論調も多かった。本人もまだメジャーリーグで投げられると思っているはずだ。日本のプロ野球界は望まないステージだとしても、かつては一方的に肘鉄を食らわせたはずの側にその才能を惜しむ声があるのは事実だ。 「田澤にはマイナー契約しか提示されない可能性もある。韓国、台湾、メキシコに行くとは思えないが」(前出・関係者) 米国人ライターが日米のドラフトに関する現状をこう説明する。 「米球界側には日本のアマチュア選手もドラフトに掛けたいとする希望を持っています。今後、日米の野球関係で摩擦を起こすような強引な選手獲得はやらないと思うが、現在の紳士協定を『規約』にしたいのであれば、アメリカ側は日本のアマチュア選手をドラフト対象にしてほしいとし、それも議案に加えての検討になると思われます」 ドラフト上位候補まで奪われたら、日本のプロ野球界は先細りしてしまう。しかし、ペナルティまで課す現状は改定されるかもしれない。(一部敬称略)
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スポーツ 2016年10月19日 16時00分
ソフトバンク・松坂大輔に引退&西武帰還情報
「引退」の二文字もチラついてきた。36歳、“平成の怪物”と呼ばれた男もケガと年齢には勝てず、ケジメを付けることになりそうだ。そこへ古巣・埼玉西武が救いの手を差し伸べるという。 ソフトバンク松坂大輔が一軍マウンドに上ったのは、10月2日、ペナントレース最終戦の対東北楽天戦だった。4番手として8回裏からマウンドへ。しかし、先頭バッターから4者連続の四死球。最後は2連続三振を奪ったが、3648日ぶりの日本公式戦は「打者10人に被安打3、4四死球、5失点」と散々な内容に終わった。ようやく3アウトを取ってベンチに下がる際、二塁を守っていた本多雄一が松坂の背中を叩き、慰めるように声を掛けたが、松坂は下を向いたままだった。日曜朝のテレビ番組でも球界のご意見番・張本勲氏に「文句を言うんだったら、太りすぎ!」と『喝』を入れられる有り様だった。 「優勝を逃したソフトバンクはクライマックスシリーズ(CS)をファーストステージから戦わなければならず、日本シリーズに進むには最大で9試合もあるんです。主力投手の消耗を防ぐため、松坂が使えるかどうかをテストするための一軍昇格でした」(スポーツ紙記者) しかし、球界関係者はこう否定する。 「ソフトバンクは日本ハムとギリギリまで優勝を争っていたため、独走で優勝した去年のように『消化試合』を作れませんでした。テスト登板と言っても、CSで本当に戦力になりうる投手を使わなければ意味がない。二軍での松坂を見ていたら“別の理由”があったと思いますが…」 二軍での成績は9試合を投げ、1勝4敗、防御率4.94。契約は3年で来季まで残っているが、「来年復活して戦力になる」とは、これらの成績を見る限りとても思えない。 「松坂の年俸は4億円。チームでは攝津正、和田毅と並んで日本人最高年俸なんです。そんな『特別待遇』を心苦しく感じているようですね」(同) これまでも復活に悲観的な声は多かったが、本人の気持ちが勝っていた。だが今季、パ・リーグ5位の楽天打線にあしらわれ、心境に変化が見られるようだ。 「自ら『引退』を口に出すんじゃないかと…。投球フォームを西武時代に戻そうとしても、メスを入れた右肩、肘以外にも悪い箇所があって難しい。そこへ腰、股関節などの古傷をかばうクセも染みついて、もう右肩ウンヌンのレベルではなくなってきました」(同) これと前後して、松坂に影響を与えたのは、古巣・埼玉西武ライオンズの新監督人事だ。西武は松坂が大炎上した翌3日、新監督の就任会見を行った。元ヤクルトの宮本慎也氏など外部招聘も噂される中、来季を託されたのはOBで中日の作戦兼守備コーチだった辻発彦氏(57)。 今回の人事において、西武経営陣が痛感したのは「OBが少ない」こと。80年代の黄金期を支えた主力選手のほとんどが他球団に流出しているのだ。ソフトバンクの工藤公康、千葉ロッテの伊東勤両監督も西武OB。本来なら当時の主力選手が長期政権を築いているはずだった。 「前ソフトバンク監督の秋山幸二氏の帰還を第一に考えた時期もありました。秋山氏の監督時代の年俸は公表されていた額よりも多く、そのため話がまとまらなかったとも聞いています。さらに秋山氏はソフトバンクですごした歳月の方が長い。そこで『今後はOBを大切にしていかないと』ということになりました」(ベテラン記者) 現シニアディレクターの渡辺久信氏が監督を退いた際に有力候補だったのは、当時の二軍監督で田邊政権でもヘッドコーチを務めた潮崎哲也氏。しかし、「一軍監督はやりたくない」の一点張りだったという。 「その理由は、一軍監督は成績が悪ければクビ。解任された後の仕事を球団内で保障してほしいとして拒みました。失職する怖さがあるようです」(当時を知る関係者) 3年以上先の話をすれば、フロント入りした西口文也氏、中日で引退した和田一浩氏らも候補に挙がってくる。しかし、失礼ながら「華」がない。 「辻新監督に決めたのは、チーム再建という目先の話だけではない。80年代の西武黄金時代への原点回帰です。このOBを大切にする方針も重なって、失墜した松坂に手を差し伸べ、西武OBとして勉強してもらいたいと思っています」(同) 福岡で何一つ貢献できていない以上、今後「ソフトバンクOB」とは名乗れない。 しかし、松坂には甲子園、メジャーリーグという武器があり、解説者になるなら話題には困らない。また、解説者の働き口は東京圏に多く、それを西武が自軍試合などの解説に推すなどしてサポートし「いずれは現場復帰」させる流れを作っていくようだ。 「辻新監督は『おっかない人』です(笑)。コーチ時代から練習は厳しく、容赦しません。80年代の機動力野球を再構築するには適任ですが、契約は2年。他球団に流れた功労者を呼び戻す条件としてはちょっと寂しいし、その次を見据えての人事なのでしょう」(ベテラン記者) “平成の怪物”に、不良債権という言葉は似合わない。「将来の保障」を見据えた決断を迫られている。
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スポーツ 2016年10月19日 11時45分
2016年ドラフト情報「即戦力か、将来性?」 スカウトの眼力が試される難解の年(横浜DeNA編)
高田繁ゼネラルマネージャーの手腕が問われる。直近の3年間は大学生、社会人を多く指名してきた。2年目の山崎康晃、石田健大が活躍し、昨秋のドラフト1位・今永昇太もクライマックスシリーズ進出の大きな戦力となった。旧ベイターズ時代から将来の大砲と期待されていた筒香嘉智も日本を代表するスラッガーに成長した。投打ともに「あと一枚」加われば、優勝できる。その戦力アップの「あと一枚」をドラフトに求めるのか、それとも、FAか、外国人選手で補強するのか…。ドラフトに求めるのならば即戦力投手であり、FA、渉外に見通しが立っているのなら、「将来のエース候補」を狙う1位入札となる。 田中正義(22=創価大/右投右打)が欲しいはず。しかし、プロのスカウトにはこんな『視点』もある。「エースの立ち振る舞いは天性のもの。教えられて覚えるものではない」−−。このオーラをもっとも強く放っているのが、横浜高・藤平尚真(18=右投右打)だという。ハマの番長・三浦大輔が引退した直後なだけに、1位指名は投手でなければならない。入札覚悟で「10年に一人の逸材」とされる田中の入札に参加するのも間違ってはいないが、向こう10年のチームビジョンとして、藤平、履正社・寺島成輝(18=左投左打)、花咲徳栄・高橋昂也(18=左投左打)、作新学院高・今井達也(18=右投右打)にいくのではないだろうか。 10月16日時点だが、田中の入札に関するこんな情報も聞かれた。 「具体的には言えないが、田中入札は最大7球団だと思う。うち2球団は揺れているので、5球団になるかもしれない」(球界関係者) 田中回避は最大7球団、最小で5球団。5球団になっても、その5球団のうち、「寺島成輝で重複するところが出る」とのことだ。佐々木千隼(22=桜美林大/右投右打)、山岡泰輔(21=東京ガス/右投左打)、明大・柳裕也(22=右投右打)は単独指名の可能性があるという。この情報がドラフト当日まで変わらないことと、田中回避の球団内に「藤平単独指名を狙ったところがないこと」が大前提となるが、1回目の抽選終了時点で、1位指名選手が決まるのは5球団で、7球団が再入札となる。高橋、今井も『外れ1位』で残っている可能性が高いが、DeNAが藤平指名に切り換えれば、“一本釣り”となる可能性は高い。また、いったん田中の入札で冒険するという選択肢も出てきた。もちろん、藤平、高橋、今井は再抽選になる“危険性”が高い。高田萌生(18=創志学園高/右投右打)、島孝明(18=東海大市原望洋高/右投右打)、高山優希(18=大阪桐蔭高/左投左打)も将来性十分だが、再抽選で指名した投手にエースナンバー18を継承させるのは厳しい。三浦の後継者を獲るためのドラフトとして臨むのかどうか、まさに、最終決断を下す高田GM次第である。 近年、DeNAは下位指名してきた高校生も成長し、一軍戦力となりつつある。野手育成に自信を持っているだけに、走攻守全てで光るものを持つ内野手の松尾大河(18=秀岳館高/右投右打)、外野手で俊足かつ、バットスイングの速い田城飛翔(17=八戸学院光星高/右投左打)、大砲タイプとしての潜在能力も高い内野手・石垣雅海(18=酒田南高/右投右打)を指名し、数年先に備えるかもしれない。投手だが、高校生離れした重量感のあるストレートを投げ込む梅野雄吾(17=九州産業大付高/右投右打)にも熱視線を送っていた。大学生左腕の床田寛樹(21=中部学院大/左投左打)はストレートが速い。体はまだ細いからだろう。「もっと速くなる」という言い方をするスカウトも多く、投球フォームのしなやかさも評価されていた。 ピンポイントで社会人東芝の好右腕・谷岡竜平(20=右投右打)、大阪ガス・酒居知史(23=右投右打)を補強するとの情報も聞かれた。現有クローザーの山崎とはタイプの異なる池田駿(24=ヤマハ/左投左打)に対しても同様で、この池田を獲れば、ラミレス監督の継投策にも幅ができてくる。クライマックスシリーズ進出を果たし、チーム内外に優勝を意識する気運みたいものが高まっている。1位選択は『ポスト三浦』を決める重要なものとなるが、投打ともに即戦力にこだわる必要がなくなったため、未来に投資できる指名もできそうだ。
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スポーツ 2016年10月18日 17時00分
ドラフト会議直前 創価大・田中正義「12球団指名」はあるか
運命のドラフト会議が10月20日に迫った。「即戦力投手が少ない」という評価が一般的な今秋、その数少ない即戦力投手の中で群を抜いているのが、田中正義(創価大・右投右打)だ。ひょっとしたら、“史上初の12球団競合”が見られるかもしれない。 「田中があと1年早く生まれていたとしても、今永昇太(DeNA)、高山俊(阪神)、高橋純平(ソフトバンク)のいた去年のドラフトで一番多くの1位指名があったでしょう。10年に1人の逸材です」(在京球団スカウト) 秋季リーグ初戦、30人強のスカウトがネット裏を占拠した。日米スカウトの注目を集める田中だが、大学で開花した遅咲きの投手だ。 「ゆっくりと大きな投球フォームで、左足が着地してからさらにもう一歩前に来るような感じ。上半身をすぐに起こす欠点こそあれ、下半身に粘りがあって、『ボールをリリースするコンマ5秒前が好きだ』と話すスカウトもいました。俗に言う『球持ちのいい投手』で、フォークボールの落差も素晴らしい」(スポーツライター・美山和也氏) 今年の春は右肩痛で不本意な成績に終わっていた田中。30人のスカウトを前に復活マウンドとなったが、8回を被安打1、1失点と貫禄の内容だった。あえてケチをつけるとしたら、高校時代もケガに泣かされていること。さらに一級品の投手でありながら視力は左右とも0.1以下。「プロのナイトゲームでは苦労しそう」との懸念も聞かれた。 「田中は『野球あっての自分』という考えで、練習もマジメ。大学で伸びる投手は1人でも練習できること。その反面、夢中になり過ぎて独り相撲をとる場面もある」(アマチュア担当記者) 巨人、日本ハム、DeNA、ヤクルト、阪神、楽天、西武などは「競合覚悟」を表明。直前で覆すかもしれないが、現時点で田中の競合回避があるとしたら、中日とソフトバンクだろう。 「落合GMが熱心に視察してきたのは、明大の右腕・柳裕也。常に7割程度の力で投げ、多彩な変化球を駆使する大人の投手です。落合GMの影響力が中日に残っているとしたら、柳の単独一本釣りでしょう。ソフトバンクは戦力層が厚いので高校生投手の可能性が高い。高校屈指のサウスポー寺島成輝(履正社)、高橋昴也(花咲徳栄)か、甲子園の優勝投手・今井達也(作新学院)、あるいは藤平尚真(横浜)らが有力です」(前出・在京スカウト) 競合覚悟を決めた各球団は「外れ1位」の絞り込みにも追われている。東京ガスの右腕・山岡泰輔もいいが、意外な指名があるとしたら独立リーグ、兵庫ブルーサンダーズの山川和大。硬式野球部のない芦屋大学在籍で、学生のまま独立リーグに参加。2年時にオリックス二軍相手に好投した。 とはいえ、田中の投じる最速156キロのストレートは群を抜く。入札重複を嫌う球団も、捨てがたいと今も選択に迷っている。「ダメモトで当然」と覚悟を決めたら、全球団入札の歴史的瞬間が見られるかもしれない。
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スポーツ 2016年10月18日 12時00分
2016年ドラフト情報「即戦力か、将来性?」 スカウトの眼力が試される難解の年(東京ヤクルト編)
今年1月、スポーツ新聞に小川淳司シニアディレクターの単独インタビューが掲載された。チーム編成について多く語られており、そのなかで今後のドラフト戦略にも触れられていた。 「まず、投手層を厚くすることを考え…」 シーズン中、真中満監督も「先発投手が試合を作らないと始まらない」と嘆いていた。ここにもう一つ、リンクしておきたい話がある。今オフのFA市場に対してだ。シーズンが終了した時点で、投手では埼玉西武の岸孝之、DeNAの山口俊の去就が注目された。しかし、東京ヤクルトは「(投手での)FA補強は考えていない」という。小川SD、真中監督のコメントにこのFA情報を重ねて考えれば、今年の上位指名は「育成」よりも「即戦力」だ。大学生、社会人の投手を3人以上指名するのではないだろうか。 「小川SDは佐々木千隼(22=桜美林大/右投右打)を絶賛していました。与四球が少ないこと、ストレートも速いが力勝負ではなく、投球術で打ち取っている点を高く評価していました」(他球団関係者) 田中正義(22=創価大/右投右打)を回避する可能性もあるという。 いくつか理由はある。まず、野村時代に逆上ってもそうだったが、ヤクルトの主力投手は長期故障に陥ることが多かった。田中は高校時代に右肩を故障した経歴もある。両眼とも「視力0・1以下」であるため、「ナイトゲームで苦労するのでは?」と思ったのかもしれない。また、ヤクルトにはスピードボールで勝負できる投手が少ないため、現場から田中タイプを求める声もあるという。最終的な判断は小川SDが下すそうだが、意見を戦わせる場面もあるかもしれない。 “隠し球”ではないが、ドラフト会場を驚かす場面もあるとしたら、ヤクルトだろう。近畿地区の公立の雄、将来性で才木浩人(17=須磨翔風高/右投右打)の上位指名が見られるかもしれない。小川SDがスカウティングの基準とするものに「ボールの角度」がある。身長の高い投手が天性の資質を生かした投げ方ができているかどうか、また、身長の高くない投手なら緩急、コーナーワークができているかどうかだ。身長187センチの才木には「ボールの角度」と内外角のギリギリを突くコントロールの両方を兼ね備えているという。全国的には無名だが、他球団も才木の素質には気づいているだけに、小川SD好みとなれば、有名どころがまだ残っている上位での指名も十分に考えられる。 また、畠世周(22=近畿大/右投左打)も高く評価しているという。関係者によれば、近大福山高時代から指名候補リストにあった投手で、140キロ台後半の真っ直ぐにはキレがある。対戦バッターは球速以上のスピードを感じるとされ、同時に「フォークのキレがいい。往年の佐々岡真司(元広島で現コーチ)に似ている」と語るスカウトもいた。 明大・星知弥(22=右投右打)、富士大・小野泰己(22=右投右打)、立教大・田村伊知郎(22=右投左打)もリストアップされているという。この3人に共通しているのは、150キロ強のスピードボールを持っていること。実際、「田中よりも速いかもしれない」と話すスカウトもいた。田中の素質は二重丸であることに変わりはないが、星、田村はハイレベルな東京六大学リーグで投げてきた。この点をヤクルトスカウト陣は“加点材料”にしているそうだ。 高橋拓巳(22=桐蔭横浜大/左投左打)はさほど真っ直ぐは速くないが、総合力の高い投手とされている。走者を背負った場面でも落ち着いており、連打されることが少なく、コーナーギリギリに変化球を出し入れするテクニックがあり、こちらも「ボールの角度がないなりに、まとめる力」という点では小川SD好みだ。 ヤクルトは大学生野手を指名上位にしたこともあったが、主力選手には育たなかった。野手は「高校生で指名して二軍で育てる」の傾向も強まっている。今年はAランクの評価を受けた高校生野手が少ない。現レギュラー陣の年齢はさほど高くないので、外野手・鈴木将平(18=静岡高/左投左打)、遊撃手・三森大貴(17=青森山田/右投左打)らが下位まで残っていなければ、投手偏重のドラフトになるかもしれない。
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スポーツ 2016年10月17日 17時00分
2016年ドラフト情報「即戦力か、将来性?」 スカウトの眼力が試される難解の年(北海道日本ハム編)
「分からない」。北海道日本ハムファイターズの関係者にドラフト候補の話を振ると、必ず返ってくるのがこのセリフだ。どの球団もそうだが、数人に絞り込んだ1位候補のなかから「最後の一人」を選択する。トップシークレットである。また、あえて指名候補の名前を明かしてきたときは「マスコミを利用して、入札での重複を嫌う球団を牽制したいのかな?」と勘繰ってしまう。「分からない、知らない」と答えるのが、当然の世界なのだ。 しかし、日本ハム関係者の「分からない」の言葉は、ちょっと違う意味も含まれていた。各地区担当スカウトが集めてきた情報をもとに、数人のトップ役員が最終決断を下す。ここまでは他球団と同じだが、日本ハムはその最終選択を各スカウトにも知らせない年もあるという。だから、本当に1位指名が分からないスカウトもいる。とはいえ、これまでの日本ハムであれば、一貫して、その年のナンバー1を獲りに行った。その方針通りなら、今年は「ナンバー1=田中正義(22=創価大/右投右打)」だが、別のルートから“異常事態”も聞こえてきた。 「今年は想定外のこともあったので…」 想定外とは、左投手の戦力ダウンだ。とくに先発タイプの左投手が勝ち星を伸ばせず、緊急に補う必要があると判断された。よって、田中指名を見送る可能性も出てきたのだ。 日本ハムを代表する左投手といえば、吉川光夫。防御率4点台で7勝に終わった。新人の加藤貴之も7勝。救援陣には宮西、石井がいるが、この4人以外で10試合以上に登板した左投手はいない。ナンバー1の田中がほしい。しかし、将来性豊かな左投手を獲るとすれば、目が行くのは寺島成輝(18=履正社/左投左打)、高橋昂也(18=花咲徳栄/左投左打)であり、彼らは「田中競合」を避け、一本釣りもありうる他球団の1位候補だ。 将来のエース候補として、田中、寺島、高橋の三択だろうか。3人とも競合は覚悟しなければならない。『外れ1位候補』は新潟医療福祉大・笠原祥太郎(21=左投左打)、広島新庄高・堀瑞輝(18=左投左打)、地元北海道の古谷優人(17=左投左打)、社会人ならば、大阪ガス・土肥星也(21=左投左打)が考えられる。 土肥はオーバーハンドで、投球フォームも綺麗である。「速さ」ではなく、キレで勝負するタイプで、往年の川口和久氏(広島−巨人)を彷彿させる。但し、「急成長した投手」とのことで、実戦で好投したデータが少ないので判断が分かれる。開幕ローテーション入りはできないかもしれない。 ヤマハ・池田駿(24=左投左打)を評価するスカウトも多かった。スピード感のあるボールを投げており、スライダーを決め球にしていた。時折、緩いカーブ(チェンジアップ?)も織り交ぜてくるので、緩急でも勝負できる。しかし、某スカウトは「リリーフタイプじゃないか?」と話していた。ストレートの速い左のリリーバーなら、宮西がいる。左の救援投手は何人でもほしいところだが、日本ハムは戦力の重複を嫌う。他球団のスカウトの声になるが、「寺島は即戦力と見ていい」とのこと。寺島、高橋ともに将来性では甲乙付けがたい。即戦力。ナンバー1の田中を“放棄”してでも左の先発候補を指名するとしたら、寺島ではないだろうか。 今季143試合全てに出場した二塁手・田中賢介も35歳になる。二遊間の守れる次世代のスラッガーならば、白鴎大・大山悠輔(21=右投右打)が浮かぶ。身体能力の高い早稲田大・石井一成(22=右投左打)は「打てる遊撃手」だ。ショートには中島卓也がいるが、今季、主に三塁を守ったのはレアード。3年先を考えれば指名しておきたい逸材だ。また、陽岱鋼がFA権を行使するとしたら、強肩堅守の打てる外野手も獲っておかなければならない。専修大・森山恵佑(22=左投左打)は長打力が魅力と紹介されているが、元投手なので肩も強い。広い札幌ドームが本拠地なので、日本ハムの外野手は肩の強さが絶対条件となる。立教大・佐藤拓也(22=右投左打)は3拍子揃った逸材。173センチと小柄だが、長打力もある。高い放物線を描くのではなく、速い打球で外野手の間を抜いていた。ゴロヒットにしても、打球の速さは際立っていた。 初志貫徹で田中の入札に参加するか、それとも、左の先発投手を指名するか…。好投手は他球団もマークしている。投手補強では苦労させられそうだが、野手のほうは充実した補強ができそうである。
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スポーツ 2016年10月17日 16時00分
プロレス解体新書 ROUND22 〈“新旧”リーダーの激突〉 尻すぼみに終わった世代闘争
1987年8月19日、東京・両国国技館。新日本プロレスNOWリーダー軍とNEWリーダー軍の5vs5イリミネーションマッチで凱歌を上げたのは、2人勝ち残りの完勝を収めたNEWリーダー軍だった。 だが、これをもって世代交代という者は皆無に等しかった…。 昭和のプロレス黄金期をけん引した新日本プロレス。しかし、さまざまなヒット企画を生み出したその一方では、数多の失敗も重ねてきた。 失敗の多くは先を考えない無計画性によるもので、アイスホッケーのマスクをかぶった海賊男などは、その典型である。 「フロリダ遠征中の武藤敬司に何か仕掛けようというときに、アントニオ猪木が『フロリダといえばカリブ海、カリブといえば海賊だろう』と言い出したのが始まりで、要は単なる思いつき。なんら将来の展望があったわけではなかった」(新日関係者) それでも創業者の意見を無下にはできない。 「言う通りにやってみろ」「やり方は任せる」と強引かつ無責任な難題を押し付けられて、困ったのが現場だった。 海賊男を誰が扮するのかすら決まっておらず、そもそも言い出しっぺの猪木が、最初に海賊姿となって武藤を襲撃したというのだから、それ以後にまともなアングルなど組みようがない。 '87年3月、練習生だったブラック・キャットが海賊男に扮した際には、猪木を手錠でコーナーにつなぐべきところを、誤って相手のマサ斎藤に手錠を掛けてしまうという大失態を犯し、あまりの意味不明な展開に激怒した観衆が暴動を起こす騒ぎとなっている。 では、思いつきのアングルがすべて悪いのかというと、そうでもないのがプロレスの奥深いところ。時にそれがモハメド・アリ戦や北朝鮮興行のように、歴史的な偉業となることもあるし、逆にしっかり戦略を立てた仕掛けが、あっさりとポシャることもある。 さて、大阪での暴動騒ぎから3カ月後、IWGPリーグ決勝戦で猪木がマサ斎藤を下したリング上で、長州力の呼び掛けに藤波辰巳(現・辰爾)、木村健吾、前田日明が応じたことから、新日マットにおける世代闘争が始まった。 「実はこれ、テレビ朝日が中継の目玉として企画したものでした。猪木の正規軍と長州の維新軍、そして前田のUWF軍による三つ巴の抗争では、視聴者に相互関係が伝わりにくいとの理由から、旧世代のNOWリーダーvs新世代のNEWリーダーという新たな構図を作り出したわけです」(スポーツ紙記者) しかし、これはなんら結果を残すことなく尻すぼみに終わる。失敗の原因は大きく二つある。 一つはこの時期のテレビ中継が、バラエティー色を前面に打ち出した『ギブUPまで待てない!!』へとリニューアルされたこと。 「プロレスを軽んじた演出に愛想を尽かしたファンは多く、視聴率が激減。これまでの金曜から火曜に放映日が替わったことの影響もあり、アングルのよしあし以前に、視聴者自体がいなくなってしまった」(同) そうしてもう一つは、選手たちのやる気の問題だ。 「そもそも総帥である猪木が世代闘争に乗り気ではなく、露骨になんで若い連中を引き立ててやる必要があるのか?という態度でした。長州や前田も自分がトップに立ちたいタイプで、共闘への意識が薄かった」(同) そんな中にあって、世代闘争のクライマックスとなるはずだった新旧世代の5vs5イリミネーションマッチが、要領を得ないものになってしまったのは、むしろ必然であったのかもしれない。 NEWリーダー軍は藤波辰巳、長州力、前田日明、木村健吾、スーパー・ストロング・マシンと順当な顔ぶれがそろったものの、NOWリーダー軍に名を連ねたのはアントニオ猪木、坂口征二、星野勘太郎、藤原喜明、武藤敬司という面々だった。 若手も若手の武藤が旧世代軍入りしたのは、もともと参加予定だったマサ斎藤が、直前にアメリカで出国不能になったからとの理由であった。しかし、現場的には「なんでもいいから売り出しておけ」との意識も、少なからずあっただろう。 また、そのいかつい顔付きから旧世代に並んで違和感のない藤原も、実年齢では長州と2歳しか違わず、むしろ新世代にふさわしかった。 試合経過は以下。長州(体固め)坂口猪木(卍固め)マシン藤原(膝十字固め)木村猪木(両者リングアウト)前田藤波(逆さ押さえ込み)藤原長州(体固め)星野藤波(原爆固め)武藤 「肝心かなめの猪木が中盤でリングアウトとなったのは、今後にストーリーをつなぐためとはいえあまりに安易で、もっと他にやりようはなかったのかという気にもなる。さらに、最後が藤波と武藤で決着というのでは、いったいどこが世代闘争なのか」(プロレスライター) 結局、一連の抗争はこれ以降も盛り上がることはなく、テレ朝は次の一手として『TPG(たけしプロレス軍団)』を打ち出し、さらに不評をかこつことになった。
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スポーツ 2016年10月17日 12時31分
2016年ドラフト情報「即戦力か、将来性?」 スカウトの眼力が試される難解の年(福岡ソフトバンク編)
ペナントレースの優勝は逃したが、戦力の層は厚い。選手のレベルも高い。2014年1位の松本裕樹(盛岡大付高)は今季一軍マウンドを踏み、15年1位の高橋純平(県岐阜商)もファームで7試合に登板した(2勝1敗)。順調な若手の成長に加え、武田翔太、中田賢一、バンデンハーク、東浜巨、千賀滉大、和田毅と先発スタッフも揃っている。そう考えると、今年のドラフトも『次世代』を意識した指名になるだろう。しかし、あら探しをすれば、2つの弱点を補う必要もある。一つは左投手が不足していること。二つ目はレギュラーを張る野手陣が「ベテランの域」に達したことだ。 次世代、左投手不足。このキーワードから浮上してくる1位指名候補は、寺島成輝(18=履正社/左投左打)、高橋昂也(18=花咲徳栄/左投左打)、堀瑞輝(18=広島新庄高/左投左打)、古谷優人(17=江陵高/左投左打)といった高校生左腕だ。 おそらく、寺島か、高橋で1位入札するものと思われる。あくまでも10月上旬での情報だが、1位入札の可能性がある高校生左腕は寺島と高橋。仮に寺島で入札し、二度目の入札となった場合、高橋も消えているだろう。『外れ1位』には大学生、社会人を加えた左腕投手も加わると思われる。まず大学生だが、ソフトバンクのスカウトが熱心に見ていた大学生左腕というと、笠原祥太郎(21=新潟医療福祉大/左投左打)だ。山本省吾スカウトがとくに熱心で、「タフで三振が取れる」「左の先発候補として…」と、視察の度に報道陣にそうリップサービスしていた。但し、笠原は4年秋リーグ戦で調子を落としている。今さら評価は変わらないと思うが、大阪ガス・土肥星也(21=左投左打)、ヤマハ・池田駿(24=左投左打)に対する「最終評価書と見比べてから」になるのではないだろうか。土肥、池田は社会人大会で救援としての実績も持つ。ソフトバンクの主な左のリリーバーは森福充彦、飯田優也。先発と救援、工藤公康監督がどちらを優先するかで『外れ1位』が決まるだろう。 また、地元福岡、九州出身のキーワードが加わるのなら、右投手ではあるが、山本由伸(18=都城高/右投右打)、濱地真澄(18=福岡大大濠高/右投右打)の指名も考えられる。間接情報だが、王貞治会長は工藤監督の育成手腕を高く評価しているという。「工藤監督に将来性豊かな高校生投手の教育を託す」の図式になるとすれば、濱地は魅力的だ。“玄人好みする投手フォーム”とも評されている。「脱力投法」で、ボールをリリースする瞬間にだけ力を加える。球速は140キロ台だが、手元で浮き上がるような伸びがあり、身長182センチと体格的にも恵まれている。山本も工藤監督好みと言えそうだ。一般論として、右投手は左足を踏み込んだときに「勢い」を得る。だが、山本の投球には「腰の回転」と「右足の蹴り」の力も加わる。下半身の使える投球フォームがすでにできている。工藤監督にしても、濱地、山本は「育ててみたい」と思える逸材だ。 地元大学生投手だと、高良一輝(22=九州産業大/右投右打)がいる。3年秋から4年春までは故障に泣かされたが、縦軌道のスライダーは空振りが取れる。ストレートとほぼ同じ球速で軌道が変わる。即戦力というと、田中正義(22=創価大/右投右打)、佐々木千隼(22=桜美林大/右投右打)、山岡泰輔(21=東京ガス/右投左打)ばかりが伝えられているが、高良も彼らに勝るとも劣らない力は持っている。3年秋から4年春の大事な時期を故障で投げていなかったせいもあるが、4年秋の復活マウンドには11球団スカウトが大挙し、ソフトバンク以外にも複数体制で視察した球団があった。故障個所とは、右肩。あとは、各スカウトが高良の回復具合をどう判断したか、だ。 秀岳館高の捕手・九鬼隆平(18=右投右打)も他球団に流出させたくない逸材。ファームには次世代を担える正捕手候補もいるが、打撃優先で獲るかもしれない。内野手では石井一成(22=早大/右投左打)、大山悠輔(21=白鴎大/右投右打)、外野手は佐藤拓也(22=立教大/右投左打)、森山恵佑(22=専修大/左投左打)が候補となる。野手の指名リストは他球団と変わらないだけに、投手優先の指名となればお目当ての選手は下位でも指名できないだろう。
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スポーツ 2016年10月16日 16時00分
中年ファンを取り込めないド派手演出「Bリーグ」の不安
国内男子プロバスケットボールの『Bリーグ』が開幕した(9月22日)。野球、サッカーに続いて、プロスポーツ興行としてやっていけるのかどうかが注目されている。 「開幕戦、開幕第2戦ともにチケットは完売。2戦目の観客数は開幕戦を上回る9000人強でした。ド派手な演出に観客は喜んでいましたし、グッズの売り上げも関係者の予想を大きく超え、すでに1000万円強を記録。順調な滑り出しです」(スポーツ紙記者) 仕掛け人はJリーグ初代チェアマンだった川淵三郎氏(79)である。内部分裂状態にあった国内バスケットボール界を『Bリーグ』にまとめ上げた功績は皆が認めるところだが、こんな声も聞かれた。 「開幕戦のテレビ視聴率があまりにも悪すぎる。5.3%(関東地区)ですよ」(テレビ誌記者) テレビ番組のコンテンツとして認められなければ、厳しい状況となるだろう。しかし、日本バスケット協会会長となった川淵氏は、演出とそれに驚く観客に満足したのか、「将来は週3回、年間80試合くらいやって選手を強化し、NBAに5人ぐらい送り込みたい。若い人にはウケたようだけど」と発言。 「将来の展望や夢を語るのはいい。しかし、『若い人にはウケたが…』と語る川淵氏もオジサン、否、80歳目前のオジイちゃんでしょう。しかも、Bリーグの今後についての質疑で『試合会場の体育館が…』とこちらが言ったら、『いえ、アリーナです』と。どっちでもいいじゃないか(笑)。無理に若者感を出そうとする雰囲気が、中年ファンを取り逃がす可能性がある」(同) プロ野球、サッカーと違い、バスケは屋内でのスポーツ興行となり雨天中止がない。その利点に加え、学校教育で取り入れられているため、中年世代もルールは分かっている。 「地方に行けば派手な演出ができない体育館ばかり。そんな中で、中年層にとって親近感ゼロの演出にしてしまえば先はない」(同) 試合内容より演出しか記憶に残らない興行に、明るい未来はあるのか。
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スポーツ 2016年10月16日 12時00分
歴代とは違う! 新日本でデビューした「タイガーマスクW」は新しい形のメディアミックス!
10月からテレビ朝日系列で放送中のテレビアニメ「タイガーマスクW」とメディアミックスする形で、プロレスラー版タイガーマスクWが10日に行われた新日本プロレス「KING OF PRO-WRESTRING」両国国技館大会でデビューし、遂にベールを脱いだ。 対戦相手は8日のアニメ放送でも次回予告に出て来たGWMの最恐レスラー、レッドデスマスク。当日のテレビ実況席には、タイガーマスク(東ナオト)役の声優、八代拓がゲスト出演し、タイガーマスクWのデビューに花を添えた。10・10両国大会は16時開始だったが、この試合は第0試合という位置づけで、15時30分に試合の紹介PVが場内に流されたのだが、既に8割方の席は埋まっており、タイガーマスクWに対する注目度の高さが伺える。これは当時謎のマスクマンだった初代タイガーマスクのデビュー時よりも、タイガーマスクWやレッドデスマスクに関する情報が伝わらなかったことで、プロレスファンの幻想を抱かせた部分が大きい。情報化社会になった現在では珍しい現象である。 紹介PVに続いて先に入場したレッドデスマスクは、歴代“プロレスラー”タイガーマスクのデビュー戦の対戦相手に比べると大柄。全身が真っ赤なコスチュームは、異彩を放っていた。そして、湘南乃風が歌う「行けタイガーマスク」に乗って、注目のタイガーマスクWが入場。マントを羽織り、コーナーポストに立って人差し指を立てるシーンは歴代タイガーマスクと同じ。しかし、マスクはアニメ版のタイガーマスクWのタイガーマスクに近い仕様になっていた。背格好は歴代のタイガーマスクより大きいが、ヘビー級という身体つきではない。 試合は、序盤からレッドデスマスクのパワーにタイガーマスクWが押され苦戦していたが、歴代のタイガーマスクに劣らないトリッキーな動きで形勢を逆転すると、プロレスラー版タイガーマスクの代名詞である空中殺法や、ジャーマンスープレックス、そして最後は“力強い”変形のタイガードライバーで、レッドデスマスクを葬った。試合後、インタビュールームには両選手とも現れずノーコメント。恐らく今後もコメントを出さないのではないだろうか。 この試合が第0試合で組まれた意味合いというのは、あくまでも新日本プロレス本体とは別枠という見方をすることができる。タイガーマスクWはあくまでもタイガーマスクWで、レッドデスマスクはあくまでもGWMのレッドデスマスクなのであって、他の誰でもないと考えたほうが分かりやすい。 アニメでタイガーマスクWというのは、タイガーマスクとタイガー・ザ・ダークという二人のレスラーのことを指しており、今回登場したのがタイガーマスクであるならば、タイガー・ザ・ダークの登場はどのタイミングになるのか? など、ファンはアニメ版の動向もチェックしていくことで、現実とアニメの双方で「タイガーマスクW」を見る楽しみが増えることになる。 このまま新日本プロレス本体の選手と絡まないとするならば、これは歴代タイガーマスクとは一線を画した新しいプロジェクトになり、テレビと新日本マットの相乗効果を生み、メディアミックスとして成功を収めることになるだろう。 11日にテレビ朝日で行われた記者会見では、タイガーマスクWが来年の1・4東京ドーム大会に参戦することが発表された。対戦相手はテレビアニメ「タイガーマスクW」を見ることで、分かってくる可能性が高い。ファンや関係者からは、デビュー戦の評価が上々だっただけに、今後の展開も期待ができそうだ。(どら増田)<新日Times VOL.39>
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