社会
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社会 2017年06月27日 10時00分
小池百合子都知事が都議選圧勝で成敗する“策士”菅官房長官
「総理のご意向」、「官邸の最高レベル」、「忖度」。この3語により大騒動となった加計学園の獣医学部新設を巡る疑惑だが、結局は国会閉幕の時間切れで真相は藪の中。自民党からは「そう痛手を負うことなく国会を終えることができた」(二階俊博自民党幹事長)、「これで直近の都議選も失速なく戦える」(自民幹部)との声が聞こえてくるものの、強引な幕引きは自民党、安倍政権の“終わりの始まり”となりそうだ。 「一連の疑惑を告発した文科省前事務次官の前川喜平氏の証人喚問を、なぜ頑なに拒否するのか。国民は自民党や官邸のヤリ口に相当うさん臭さを感じている。これが7月2日投開票の都議選に影響することは必至で、一時失速しかけていた小池百合子都知事には突風並みの追い風となる。やがて批判の矛先は、加計学園に関する文書を『怪文書』と言い切り、幕引きを裏で操っていたとされる菅義偉官房長官に向かうだろう。その菅氏が都議選へ向け陣頭指揮を執って小池批判していることも、都民ファーストの会にとっては好都合だ」(小池氏周辺関係者) 前川氏の告発により火がついた「総理のご意向」文書の存在の有無は、当初、否定していた文科省も国民批判に耐えられず再調査することとなり、一転、存在を認めることになった。 「ただし、この再調査については、国民の批判が強まることで支持率にも影響を与えそうなことから、それをかわすための官邸主導のガス抜きだった。もちろん意向は安倍首相でしょうが、緻密なシナリオは菅氏がしっかり組んでいたのです」(全国紙政治部記者) 加えて、自民党関係者もこう語る。 「6月13日夜、安倍首相は赤坂の中華料理店で世耕弘成経産相らと食事の際、支持率が低下気味の中で加計学園問題の説明逃れの印象を少しでも減らすため、国会最終日に一度だけ集中審議で説明すると洩らしていたという。同時に文科省の再調査と内閣府の調査も指示し、そのもとで菅氏が中心となり対策を練ったとされています」 その筋書きはこうだ。文科省は再調査で文書の存在を認め、国民はさらに事実関係の詳細を求める。そこで文科省に文書やメールを出したという内閣府でも調査を行い、結果“安倍首相からの指示はなかった”とする――。 「官邸の萩生田光一官房副長官の“加計ありき”の内閣府文書書き換え疑惑については、国家戦略特区を担当する山本幸三地方創生担当相が、メモを作った内閣府官僚を『文科省からの出向人物。事実関係を確認しないまま古巣にご注進の文書を作って送信した』として官僚叩きに転換をする。ここら辺りで国民は納得し、野党の追及も行き詰まる…というものだった」(同) しかし、これにより国民の疑惑の眼は一層深まってしまった。なぜこれで国会を閉めるのかという声もいっそう強まった。安倍首相と菅氏の計算に狂いが生じてきているのだ。 「百歩譲って、萩生田氏の文書書き換え疑惑については山本氏が指示したとする。であれば、山本氏が官邸の意向、つまり安倍首相側近の萩生氏の指示を、藤原豊内閣府審議官に指示したことも考えられる。そのため、自民がこの疑惑を完全払拭して都議選に有利にするには、国会閉会中、都議選前に集中審議、もしくは証人喚問をするしかない」(官邸記者) 一方、自民党のこの中途半端な姿勢に諸手を挙げて喜んでいるのが小池氏だ。 小池氏周辺関係者は、こう語る。 「小池氏は一時、東京五輪の仮設費用予算500億円の負担先を巡って、菅氏の姦計により『“決められない知事”のため最後は官邸主導で都に負担させる』という形にはめられた。さらに菅氏は、事あるたびに『豊洲で風評被害をバラ撒いている』、『政治家の出処進退も自分で決められない』と小池氏を責め立ててきた。もはや菅氏と小池氏はハブとマングース並みの敵対関係ですよ。互いにいま潰しておかなければ、近い将来、自分が潰されることになる」 そのため小池氏は、都議選前に最大の弱点だった豊洲移転問題に、「築地ブランドも守る」という“両利用”という方向性を見せ汚名返上を図った。 ともあれ、菅氏がこれだけ前面に立ち、激しく小池氏を攻撃する理由について「菅氏に野心があるからだ」とは自民党関係者。 「菅氏は、小池氏が都議選で圧勝し都議会を乗っ取り、さらに、政権中枢に切り込んでくることを恐れている。集団就職で秋田から上京し、叩き上げで這い上がってきた菅氏にとって、このままいけば積み上げてきたものが一気に壊されることを予感し、珍しく本来の激しい性格を表に出したのでしょう。小池氏に国政を乗っ取られるぐらいなら、自分が“ポスト安倍”として天下取りを狙ったほうがいい。若手議員を集めた自身の勉強会『韋駄天の会』の勧誘を活発化させているという話があるのも、そのためです。しかし、加計学園で上手く立ち回ったと思いきや国民をなめ過ぎた」 都議選で自民党が破れれば、前面に立った菅氏は安倍首相ともども求心力を失うことになる。共謀罪の乱暴過ぎる成立でも政権批判は強まるばかり。 小池氏の“菅成敗”の日は近いのかもしれない。
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社会 2017年06月26日 14時00分
天下の猛妻 -秘録・総理夫人伝- 鳩山一郎・薫子夫人(上)
「頭のいい男は、決して美人とは結婚しないものだ」 と言ったのは、20世紀前半、イギリスで活躍した作家・サマセット・モームだった。美人というのはともすれば気位が高く、チヤホヤされて亭主を大事にしないこともあるから、頭のいい男は近寄らないものだとした。頭のワルイ男は美人を手に入れ得意になるが、あとで後悔するものだと“警告”を発しているのである。 しかし、大作家もときに“予測”がはずれることがある。それが、吉田茂退陣後、首相の座に就いた鳩山一郎の妻・薫子であった。若くして目鼻立ちの揃った美人の誉れ高く、そのうえ飛び切りの才女、すなわち才色兼備を絵に描いたような女性であった。なおかつ、夫に尽くすこと一時たりとも忘れずの、とりわけ政治家にとってはこれ以上ないピカ一の「天下の猛妻」として名をとどめている。やがては、名門・鳩山一族の“核”的存在にもなったのである。 一方、吉田から鳩山に政権が移る前、吉田内閣の第1次から第2次の間、つまり昭和22年5月から翌23年10月までの間には、短期ながら2人の首相がいた。 1人は片山哲。決断力不足から、「グズ哲」のアダ名があった。昭和22年4月の戦後第2回の総選挙で社会党が第1党になったことにより、社会党初代委員長として中道保守の2党の協力を得て連立内閣を組織、首相の座に就いた。しかし、クリスチャンとして人道主義者であった片山は、片手に「聖書」、一方に「六法全書」で新憲法の理想を実現しようとしたが、社会党内の右派と左派の対立の中で内閣維持のエネルギーを奪われ、当時、わが国唯一の地下資源であった石炭の国家管理、「炭鉱国家管理法」を成立させただけで退陣を余儀なくされた。 その妻は、菊枝。やはりクリスチャンで片山が学生時代から愛読していたトルストイの墓(注・当時のソ連)を、夫妻で訪れたこともある。やがて結婚生活50年の金婚式を祝うなど、「佳き夫婦」をまっとうしたものだった。 もう1人が芦田均。こちらは、「イエスマン芦田」と言われた。片山内閣総辞職後、民主党総裁として3党連立の首相となったが、片山同様、議会人として非力を暴露、加えて「昭電事件」など度重なる疑獄に見舞われたことで7カ月余でその座を追われ、吉田にまた政権を戻す役割を演じた。妻は、寿美。美人妻として聞こえ、外交官時代の芦田とは、当時、珍しいパリへ新婚旅行をしたというハイカラ女性でもあったのだった。 さて、鳩山薫子である。薫子は「鹿鳴館」華やかなりし頃の明治21年、藩祖・黒田長政率いる福岡藩の譜代藩士の血を引く家に生まれている。「黒田武士」の血を引く女性ということである。その父は貴族院議員、書記官長(注・いまの内閣官房長官)をやった寺田栄。薫子は13歳で母と死別。ために長女だったことにより、家事一切、着物の洗い張りから仕立て、なんでもこなす少女時代を過ごしている。のちに、薫子は「あの頃の体験が、後年、政治家の妻として様々な困難に打ち克つ精神力をつくったと思っています」と語っている。単なる“お嬢さま”ではなかったのである。 そうした薫子を買ったのが、薫子の父・寺田とは親戚筋で鳩山一郎の父・和夫の妻の春子であった。春子は薫子を養女として迎え、改めて薫子に英語、数学、漢文などの学問、さらに作法を叩き込んだうえで、長男・一郎の妻としたのだった。鳩山家を知る古い政界関係者が、筆者にこんな話をしてくれたことがある。 「新婚時代の薫子夫人は、一度だけ一郎に手を上げられたことがある。一郎は毎日、風呂に入るのが日課だったが、ままお手伝いさんが水を入れず空焚きにしてしまい入れなかった。薫子夫人が『今日は入れませんから』と言うと、すかさず一郎の手が飛んできたのだ。夫人の偉いのは、自分が事前に電話一本かけて伝えておけばこんなことにはならなかったと自分を責め、以後、終生、一度として一郎を怒らせることがなかったということだった。この人をして、本当の意味での『女傑』ということになる」 「女傑」ぶりは、やがて鳩山が首相になったあとの“女の整理”での手腕にもみられた。鳩山には、首相になる前に赤坂の芸妓「おゆき」という愛人がいた。当時のことゆえ政治家に愛人がいても責められなかったが、首相となれば別である。案の定、首相となったばかりの鳩山は、国会で「愛人がいるというのはいかがなものか」と追及を受けた。 性格は開けっ広げで世事にうとく、そのうえいささかウエットな“お坊ちゃん”の鳩山はオロオロするばかりだったが、それを尻目に薫子はおゆきと“直談判”、これをきれいに別れさせてみせたのだった。 結果、政権はかろうじて持ち直した。薫子の鳩山家を守る“手綱さばき”の見事さは、こんなものだけではなかったのである。=敬称略=〈この項つづく〉小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材48年余のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『決定版 田中角栄名語録』(セブン&アイ出版)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。
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社会 2017年06月23日 14時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第226回 プライマリーバランス目標と経路依存性
経路依存性とは、もともとはW・ブライアン・アーサーらによって展開された収穫逓増経済の理論における“自己強化メカニズム”の一部になる。収穫逓増とは、経済学が前提にする収穫逓減とは真逆で、投じられた資本や技術からの単位当たり収穫(利益)が増加していくメカニズムになる。 アーサーは収穫逓増という、一種の自己強化メカニズムの特質の一つとして、経路依存性について、 「小さな出来事や偶然により決まった初期のマーケットシェアが、その後も支配的になること」 と、説明している。 もっとも、経路依存性は企業のマーケットシェアの継続性のみならず、政治プロセスにおいても多々見られる現象である。 何らかの理由で、一旦、政治的な路線が決まる。その後、その路線が固定化されてしまい、さらに「人々がそのルートに沿って行動する」ようになり、特定の路線がひたすら強化されていく。 もちろん、決定された政治的なルートが「経世済民」に即しているならば、放置しておいても構わない。とはいえ、少なくとも昨今、話題になっている「プライマリーバランス(基礎的財政収支、以下PB)黒字化目標」は、日本国にとって間違った路線だ。それにもかかわらず、多くの政治家や官僚、財界人、学者が「PB黒字化」路線に固執する。 彼らにとって、重要なのは「事前に決められている」PB黒字化という経路を進むことなのだ。なぜ、彼らが執拗にPB黒字化を主張するのか。過去に、PB黒字化の経路を歩いてきたためだ。さらに彼らがその経路を進むことで、経路依存性がより一層、深刻化していくわけである。 PB黒字化論者にとって、 「財政健全化の定義は、政府の負債対GDP比率の低下であり、PBは負債対GDP比率を決定する一要因にすぎない」 「PB黒字化路線に固執すると、日本経済がデフレ化し、かえってPB赤字を拡大する可能性がある」 「そもそも、政府の負債が100%日本円建てで、日本政府の子会社の日本銀行が大量に国債を買っている以上、財政健全化はすでに達成されている」 といった“事実”は、非常に都合が悪い。 というわけで、PB黒字化論者はこれらの事実からは目を背け、「PB黒字化が正しいのだ」という理論を懸命に見つけ出そうとする。いわゆる、認知的不協和に陥ってしまうわけである。 もっとも、最近はPB黒字化目標のナンセンスさが知れ渡りつつあるため、 「とにもかくにも、PB黒字化するしかない」 といった理論なしの「経路最優先」の発言が、財務省派の要人から聞こえ始めている。自民党の緊縮財政派筆頭である野田毅衆議院議員は、財務省肝いりの「財政・金融・社会保障制度に関する勉強会」(5月16日)において、 「財政破綻の足音が聞こえてきている」 と発言。 政府の負債が100%日本円建てであり、長期金利が0.047%の日本国において、「財政破綻の足音」が聞こえているわけだ。幻聴を聞いている、以外に表現のしようがない。 一体、いかなる数値データに基づき「財政破綻の足音が聞こえてきている」のか、野田議員から一切の説明はない。ただ、自分の幻聴のみを根拠に、PB黒字化に固執する。 別の言い方をすれば、「手段の目的化」である。 特定の手段にこだわるあまり、それ自体が目的化してしまい、正しい解を導き出すことが不可能になる。一般の企業でも、よくある話ではあるが、政治の世界でこの手の誤謬がまん延すると、国民としてはたまったものではない。 6月2日に発表された骨太の方針2017素案では、財政目標について、 「基礎的財政収支(PB)を2020年度(平成32年度)までに黒字化し、同時に債務残高対GDP比の安定的な引き下げを目指す」 と書かれている。 繰り返すが、財政健全化の定義は、本来は「債務残高対GDP比」の引き下げだ。というわけで、ようやく骨太の方針に「本来の財政健全化」が目標として記載されることになったのだが、相変わらず「PB黒字化」も残ってしまった。 2013年のG20サンクトペテルブルク首脳宣言において、財政目標として「政府の債務対GDP比の推移を持続可能なものにすべき」が謳われた。国際的に合意された財政健全化目標は、あくまで「政府の債務対GDP比の引き下げ」であり、PB黒字化ではない。 しかも、デフレから脱却していない日本国がPBを黒字化しようとすると、 「(国債関連費以外の)歳出を拡大する際には、別の予算を削るか増税する」 という話になってしまい、「追加的な財政出動」による需要創出が不可能になる。結果的に、わが国はいつまでたってもデフレから脱却できず、2014年の消費税増税以降、予想通り再デフレ化が始まった。 骨太の方針にPB黒字化目標を残したまま、政府の負債対GDP比率引き下げを併記することは、論理的に矛盾が生じる。政府の負債対GDP比率は、PBが均衡していると仮定すると、国債金利と名目GDPの成長率で決まる。現在の日本は国債金利が超低迷しているため、「名目GDPの拡大」を実現すれば、政府の負債対GDP比率は確実に改善する。 名目GDPの成長率引き上げのためには、デフレ脱却が必須だ。というわけで、デフレ脱却を目指して政府が需要創出をしようとすると、PB黒字化目標と衝突してしまう。需要創出のために財政支出を拡大するならば、その分、他の予算を削るか増税が必要になってしまうのだ。 それにしても、ここまで執拗にPB黒字化目標が骨太の方針に残るとなると、わが国の政治家の経路依存性は重症としか表現しようがない。政府がPB黒字化という「経路」から脱しない限り、わが国のデフレ脱却はないという事実を、まずは国民がしっかりと認識する必要がある。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2017年06月23日 10時00分
古文書から紐解く巨大地震発生Xデー 第1弾「南海トラフ」
1498年、戦国時代の初期に発生した明応地震は、東海・東南海・南海地域が連動した南海トラフ巨大地震の一つに数えられている。静岡県沼津市に残る古文書には、地元の歴史を伝える一節に、「大切な書物を明応7年の津波で失った」などと記されているという。 「沼津市内に今も残る寺院の航浦院は海抜10メートルの場所に位置しますが、地震後にこの西浦江梨地区を襲った津波は最高で11・6メートルと推測され、完全に飲み込まれたと見られます。明応地震の際に起きた津波は、“1000年に一度の震災(千年震災)”によって起きたとも言われているのです」(サイエンスライター) 同市の戸田には、「平目平」と呼ばれる場所があるが、当時の津波でヒラメが打ち上げられたことから付けられたとの言い伝えもある。古い地名のため現在の地図に記載がないが、平目平は海岸から約2キロの山間にあり、標高は36.4メートル。“1000年に一度”というのも頷ける。 地震学が専門の武蔵野学院大特任教授・島村英紀氏もこう言う。 「明応地震の巨大津波では、かつて日本三大港の一つだった三重県の安濃津(現・津市)で、数千軒の民家を含め町全体が跡形もなくさらわれ、地形まで変わってしまったのです。そのため、港町の復興は約200年後の宝永地震(1707年)以降まで手付かずだったと考えられています」 ちなみに安濃津の港は、室町時代に成立した日本最古の海洋法規集の『廻船式目』で、日本の十大港湾として記されている三津・七湊の港湾都市に挙げられている。明応地震の発生から28年後にこの地を通った連歌師の宗長は、『宗長手記』の中でこうも記している。 《繁栄していた安濃津の港街は、明応地震の大津波によって壊滅し、10余年を超える年月を経た今も荒野のままであり、4〜5千軒もあった人家の影はなく、ただ寺の堂塔だけがぽつんとあるだけだ》 「県庁所在地が消えてなくなるほどの巨大津波は他に例がなく、明応地震が南海、東南海、東海地域の三連動型地震だったすれば、それだけ被害が大きかった可能性はある。しかし、何しろ500年以上も昔の話なので分からない部分が多いのです。直近の南海トラフ地震は1944年(昭和東南海地震)と'46年(昭和南海地震)ですが、この時はやや小ぶりでした。そのため解放されていないエネルギーを考えると、今度来るのは同じように巨大だと考えられています」(同) 明応地震は、他にも様々な爪痕を残している。静岡県の浜名湖は、もともと砂洲が堤防の役割を果たし遠州灘から海水が流れ込むことがない淡水湖だったが、地震によって砂洲が決壊、現在の海水と淡水が混ざった汽水湖となった。また、巨大津波は地震発生から約1時間後、相模湾にまで達し、神奈川県鎌倉市にある高徳院の大仏殿をも倒壊させたという説もある。 「西日本も巨大津波による被害が出ているが、最も甚大とされている地域の一つが、和歌山県の紀の川の河口付近。この地域では地侍集団の雑賀衆が幅を利かせていましたが、塩害により稲作が難しくなったため、代わりに山中の森林資源を活用し、造船業と海運業に乗り出して栄えたのです。そんな中、彼らが出会ったのが鉄砲で、地元へ持ち帰り強力な鉄砲集団を作り上げた。雑賀衆の鉄砲隊と言えば織田信長と繰り広げた石山合戦が有名ですが、明応地震がなければ、信長もあれほど苦戦することはなかったと考えられています」(前出・サイエンスライター) 明応地震と同様、三連動タイプとされる宝永地震も、千年震災に例えられる。宝永地震に関しては様々な古文書が残っているが、特筆すべきは、当時、雲海という僧侶が愛媛県の名湯・道後温泉の入浴案内で触れた記述だ。 《湯は一瞬にして枯れ、湯に入っていた者は転倒したり、自分や他人の衣服も分からないほど騒いだりするなど、入浴者の混乱ぶりは尋常ではなかった。すぐに湯守や村役人が城下に報告したが、道後では温泉だけではなく、池、井戸、谷水まで涸渇してしまい、しかも、それは初めての体験ではなく、以前にも不出を経験していたものの、目の当たりにして驚いた》 「宝永地震は震度6以上の揺れが静岡県から九州まで及びました。津波は最大で高さ26メートルにまで達し、伊豆、八丈島から九州までの太平洋海岸だけではなく、瀬戸内海や大阪湾にまで入り込んだとされています。日本だけではなく、韓国の済州島や中国・上海までにも津波被害をもたらしたのです」(前出・島村氏) この宝永地震から遡ること約100年前、つまり冒頭の明応地震と宝永地震のちょうど中間にあたる慶長地震(1605年)も、南海トラフ巨大地震と言われていたが、最近では否定的な見方も出始めている。地震動そのものによる被害状況の記録がわずかしか残されていないためだ。 「慶長地震からわずか100年しか経たずに宝永地震が起きていたとすると、超巨大地震のエネルギーがそこまで早くにたまってしまう可能性を示しています。ただし、慶長地震の震源については、地震学会でも論争になっている。南海トラフで起きたのではなく、八丈島のはるか南、伊豆小笠原海溝の鳥島近辺で起きたのではないかと指摘され始めているからです」(同) 慶長地震では千葉県の犬吠埼から九州までの広範囲にわたって津波が押し寄せ、八丈島では57名、阿波(徳島県)で1500名の死者をもたらしたとの記録が残っている。 「その八丈島での津波の被害を示した『八丈実記』の記録は重要です。その記述をもとにすると、八丈島へは最大10〜20メートルの津波が押し寄せた可能性がある。ところが、これまで慶長地震の震源域とされてきた南海トラフの駿河湾寄りの地震をシミュレーションすると、八丈島の西側海岸での津波高は2メートル程度にしかならないのです」(前出・サイエンスライター) ちなみに八丈島では、慶長地震発生の年と、その翌年に火山噴火を起こしている。やはり、約400年前に南海トラフで起きたとされていた巨大地震は、伊豆小笠原海溝を震源とするものだったのか。 その謎について、これまで多くの大地震や火山噴火を予測、的中させてきた琉球大学理学部名誉教授の木村政昭氏はこう語る。 「慶長地震の地震動の記録が少ないのは、伊豆・小笠原諸島沖、つまり今、リスクが増している巨大地震と同じ震源だったからです。私はこれから起きる巨大地震も本州での地震動はそれほどでもないと考えています。その代わり、巨大津波が太平洋側の港町を容赦なく襲うでしょう。津波はこれまで被害が比較的少なかった東京湾にも入ってくる。3年後のオリンピックが心配です」 これまで、東京湾への津波の高さは1メートル〜1.5メートルというのが記録。関東大震災の際も発生はしているが、陸地への影響はほとんどなかった。 例えば1707年、相模トラフの千葉県野島崎が震源とされる元禄地震(M8.2)では、小田原城は完全に倒壊し、江戸城も被災。その後、城内には耐震構造を備えた“地震之間”なるものが設けられている。 「この時は津波も三浦半島で6〜8メートルに達し、沿岸の家屋や寺社などが流失したが、東京湾(=当時江戸湾)の内湾と外湾を隔てる神奈川県の観音崎でエネルギーが減衰している。品川で浜側へ逃げてしまった人が波に巻き取られたなどの記録が残っているだけで、被害の記録はほとんどありません。津波被害が少なかったのは、内湾と外湾の境が狭まっていることに加え、エネルギーを減衰させる内湾の河川の多さも影響しています」(前出・サイエンスライター) 江戸時代後期の1854年、南海トラフの東側を震源とした安政東海地震(M8.2)でも、房総半島から四国にかけて津波が襲来し、伊豆に停泊中だったロシア軍艦のディアナ号が沈没した。しかし江戸では、隅田川河口だった浜町河岸(現・中央区)で水位が1〜1.2メートル上がって路上に溢れ、船が破損した程度だったという。 「しかし、東京湾から真南の伊豆・小笠原諸島付近で地震と津波が発生した場合、観音崎でエネルギーが奪われることはなく、ストレートに内湾に入ってくる。そのため、これまでに経験したことのない津波被害が東京を襲う可能性もあるのです」(同) 昨今、その伊豆・小笠原諸島沖に沿った火山活動が活発になっている。今年3月、気象庁は伊豆諸島の青ヶ島から南南東に約65キロの位置にある海底火山・ベヨネース列岩に噴火警報を発表。2013年に噴火し陸地となった西之島の活動も活発で、海上保安庁は「溶岩流が海上に張り出し、面積は東京ドームの約59倍に拡大」としている。 前出の島村氏は「火山活動の静穏期が続いているが、その終わりも近い」とし、こう続ける。 「伊豆・小笠原海溝を含む伊豆沖からマリアナ海溝にかけては、過去に大地震が起きた例はあまりありません。慶長地震の震源が伊豆・小笠原諸島近辺だったのか、南海トラフだったのか、現時点では分からないのが正直なところです。南海トラフが震源だったとした場合、地震動について西日本に記録がないのは、ただ単に散逸してしまった可能性も考えられますからね」 想像を絶する巨大津波が襲う可能性が高い南海トラフ、そして伊豆・小笠原諸島付近を震源とした巨大地震。後者に関して木村氏は、規模をM8.5、時期を2012年±5年とし、いつ起きてもおかしくないと予測している。 「専門家の間では、南海トラフ地震の周期は100年〜200年という見方があり、最後に起きたのが昭和南海地震で、今年はそれから71年。その点から言えば、発生にはまだ時間があるように思えますが、内陸部での地震、そして火山噴火と、何が引き金になるか分からない状況とも言われているのです」(前出・サイエンスライター) いずれにしても“Xデー”は待ったなしの状況だ。
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社会 2017年06月22日 14時00分
東京五輪に向け熾烈 “電気加熱式”にかける たばこ業界
東京五輪に向けての受動喫煙防止法案を巡り、自民党と厚労省の間で激しい綱引きが行われ、結局は今国会での成立には至らなかった。 「たばこ業界、中小飲食店関係者からの突き上げで、自民党は一定面積までの飲食店は分煙表示すれば喫煙可とする案。一方の厚労省は、小規模バーやスナック以外は原則禁煙とする案で、双方の溝が埋まらなかった」(全国紙政治部記者) そんなバトルを横目で見ながら、たばこ業界では、従来の紙巻たばこから電気加熱式たばこや電子たばこでの商戦が一段と激しさを増しているという。 「厚労省案では規制の方向だが、施行までに“健康への影響が明らかと証明されるまで規制対象から除外”という。しかし、実際に電気加熱式たばこ、電子たばこと病気の因果関係は、最低20年、30年はかかるとされ、この案自体が破綻している。紙巻たばこでもこれだけ揉めているのに、電気加熱式たばこなどの規制は到底無理だろうというのが、業界全体にある。そのために商品開発に力が入るのです」(業界関係者) ここで電気加熱式たばこと電子たばこの仕組みを簡単に説明する。 前者は主に、たばこ葉の入ったスティックを電気で加熱することで、ニコチンの入った蒸気を吸うというもの。煙、灰が出ず、火を使わないためにタールなどの有害物質が出ない。加えて、たばこの味は維持するという触れ込みだ。 一方の電子たばこは、液体入りカートリッジを電気加熱し、出てくる水蒸気を吸う仕組みとなっている。 「日本国内ではニコチンを液体にすると薬事法扱いとなるため、販売できない。要は、メンソールや様々な香り入りのリキッドを楽しむというものですが、煙に似た大量の水蒸気が出るので、たばこを吸っているような雰囲気は味わえる。こちらは一般的には禁煙したい人や香りを楽しみたい人用で、愛煙家が流れているのは電気加熱式たばこの方です」(たばこ販売店員) そこで、電気加熱式たばこでの争いがメーカー間で激しくなるわけだが、今年はその競争がさらに激化しているのだ。 先陣を切ったのは'14年、世界一のたばこ企業、フィリップ・モリスの日本法人(PMJ)。 「PMJの『iQOS(アイコス)』は300万台の大ヒット商品となり、これに日本たばこ産業(JT)が追随。昨年3月に『プルーム・テック』を発売し、こちらも絶好調です。そこへ、世界2位のたばこ企業、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)が昨年暮れ、宮城県仙台市限定で『glo(グロー)』を発売したのです」(同) 『iQOS』は'16年春に全国発売となったものの、東京中心の直営店でしか手に入らず、予約待ちの品薄状態が続く。対して、殴り込みをかけたBATは『glo』を仙台限定から7月には東京、大阪、宮城県全県での販売に踏み切るという。JTも販売開始から品薄が続き、事実上の販売停止状態だったが、いよいよ6月から東京販売を開始、'18年から全国展開する。 この背景には、次のような流れがあると経営アナリストが言う。 「たばこの健康被害が世界中で声高く言われるようになった。日本も例外ではなく、その影響で喫煙者は激減。日本たばこ協会の統計では、'16年度の販売数量は1680億本で、この20年間で半減しているが、東京五輪に向け観光客が集まるなか、日本の受動喫煙対策は世界最低レベル。そのための厚労省の対策強化案なのですが、そうした環境下で愛煙家が煙や有害物質の大半を抑えた電気加熱式に飛びつき、爆発的ヒットにつながったのです」 『iQOS』は今や世界20カ国で販売されているが、日本での売上がダントツで、世界全体の9割を占めるという。 「PMJ社本体では、この日本でのヒットに気をよくし、世界中の紙巻たばこをすべて電気加熱式に切り替えていく方針と息巻いている。当然、この流れはBATもJTも同様です」(同) となると今後、日本の厚労省は、この電気加熱式たばこを紙巻たばこ同様に規制するには「その有害性」を世界企業相手に立証しなければならない。もう一つ、過剰な規制をかければアンダーグラウンドの動きが加速される恐れも出てくる。 「普通の濃度を10倍以上にしたニコチン入り電子たばこのリキッドが、闇ルートで日本に流入しつつあるという。電気加熱式たばこを完全規制すれば、ニコチンに飢えた人たちの間で裏電子たばこが拡散し、かえって健康被害が増大しかねない」(厚労省関係者) そんな流れを突いての電気加熱式たばこの三つ巴合戦だが、“加熱式”の健康被害の度合いはまだ判明していないことを忘れてはならない。
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社会 2017年06月22日 10時00分
韓国は“嘘つき国家” 北・金正恩にかしずく文在寅大統領の内憂外患
6月上旬、韓国の山林で見つかった北朝鮮が飛ばしたとみられる無人飛行機が、米軍の最新鋭迎撃システム『高高度防衛ミサイル(THAAD)』配備地の南部、星州(ソンジュ)でTHAADの発射台やレーダーを撮影していたことが明らかになった。無人機は星州で撮影後、再び北上し、約270キロ離れた麟蹄地域も撮影していた。搭載されていたカメラ(ソニー製)には、韓国の軍事戦略上、非常に重要な場所が撮影されていたという。 「国連安保理は5月22日の段階で、北朝鮮の弾道ミサイル発射に対し『強く非難する』との声明を発表していました。日米英仏など西側各国は非難に加え『さらなる対北制裁を実行すべき』と表明。6月2日には複数の企業・団体と個人を指定し、資産凍結や渡航禁止の制裁対象に追加する決議案を全会一致で採択しました。ところが、韓国はこの間に“だんまり”を決め込み、西側諸国との足並みを乱したのです。最終的に決議案を支持する立場を明確にしたものの、韓国メディアの論調は憂慮一色でした」(在韓日本人ライター) 韓国が“西側”から抜ける動きを見せるや、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長はすぐさま、文在寅政権をたぐり寄せ始めた。 およそ1カ月前に韓国に誕生した“北朝鮮忖度”政権の考え方は、人事を見れば明らかだ。 「対北朝鮮の実質責任者である国家情報院長には、これまで2回の南北首脳会談を取り仕切った徐薫氏を、大統領官邸の秘書室長には左翼学生運動の元議長で国会議員の任鍾晳氏を任命しています。さらに、国家安保室第一次長は軍出身で南北軍事会談の専門家を、第二次長には側近で対話を重視する大学教授を、という具合です。1998年に発足した金大中政権から2008年の盧武鉉政権終了までの10年間の太陽政策は完全な失敗でしたが、その愚を繰り返そうとしているのです」(北朝鮮ウオッチャー) 文政権は北朝鮮との関係改善を公約に掲げて誕生している。北はこれに乗じ「言うことを聞かないと対話しないぞ」と脅せるようになった。 それが証拠に、中距離ミサイルの発射実験をこれ見よがしに続けている。 「韓国は中国に対して、THAAD配備の見直しに関する協議まで申し出ている。もはや米国は北朝鮮だけでなく、韓国も潜在的な仮想敵国と見なしていますよ」(国際ジャーナリスト) 早晩、従軍慰安婦問題の日韓合意破棄を言い出すだろう。その場合、日本はどうすればいいのか。 「韓国が破棄すれば、国際社会から“嘘つき国家”の烙印を押されることは確実です。その後はすべて無視するだけでいい。日本は何も困りません」(同) 文在寅大統領が“北の暴君”金正恩にかしずいて、国際社会に背を向ける日が来ないことを願いたい。
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社会 2017年06月21日 14時00分
トヨタが米テスラ社と「提携解消」で始まる電気自動車分野の混沌
トヨタ自動車が、米国の電気自動車メーカーであるテスラモーターズとの提携を解消していたことが明らかになった。 2010年5月、トヨタは当時ベンチャー企業であったテスラと包括提携。しかし、'14年にはトヨタが保有するテスラ株の一部を売却するなど次第に両者の距離は広がり始め、このたびついに提携解消となった。そこに至るには、大躍進によるテスラ自身の方針変更、また、トヨタも電気自動車を自ら開発することで、利益効率のいいビジネスモデル構築を目指すとされている。 「今年に入り、自動車メーカー各社が電気自動車の普及に向けたメッセージを発し始めています。独ダイムラーもメルセデス・ベンツの電気自動車ブランド『EQ』を発表するなど、本腰を入れ始めました。つい数年前までハイブリッドが主流だったものが、今や電気自動車開発の進捗が今後のメーカーの雌雄を決することになってきたのです」(モータージャーナリスト) その背景にあるのが、先に述べたテスラの大躍進だ。 「テスラは電気自動車を高級車にも劣らない乗り心地、楽しさを持つ車に仕上げたことで、消費者の電気自動車に対するハードルを下げました。自信を持ったテスラは自動車メーカーとして独り立ちを望んでいます。その証しとして、年初にパナソニックと電池工場への投資を推し進めるなど、積極的な動きを見せています。一方で、テスラがこれだけの品質をもった自動車を提供できたのも、トヨタからの技術やノウハウの提供があったから。消費者側もトヨタと提携しているからこそ、テスラに対する安心感もあった。テスラの勝負はこれからですよ」(同) 当然、各自動車メーカーが電気自動車に本腰を入れてくれば、テスラとてあぐらをかいてはいられない。 水商売とも揶揄される自動車業界。今は注目の的の電気自動車も、数年後は見向きもされなくなるかもしれないのだ。
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社会 2017年06月21日 10時00分
朝日本社「小出恵介インタビュー紙面を配るな」の威圧行為に現場は「何様だ!」の怒り
被害者は17歳の女子高生。5月9日の夜、知り合いに呼び出されたバーにいたのが俳優の小出恵介(33)だった。隣に座ると突然覆いかぶさられ、キスをされたという。2軒目のバーを出た後、小出の宿泊先のホテルに連れて行かれ、部屋に入ると避妊をせずに何度も肉体関係を結んできたという。 この淫行で、芸能活動自粛に追い込まれた俳優の小出だが、その主演ドラマを紹介する朝日新聞の記事が一部読者に配られてしまった。 6月10日の朝刊と一緒に配達された『be』。1週間のテレビ番組を紹介する欄では、小出が主演するはずった10日スタートのドラマ『神様からひと言〜なにわ お客様相談室物語〜』(NHK)を取り上げ、彼のインタビューを掲載していたのだ。 しかし、発行を前に予期せぬ事態が起きる。2日前の8日、『フライデー』(9日発売)のスクープで小出の淫行が表面化、その後、芸能活動の自粛を発表。NKHも同番組の放映中止を決定したのだ。 2日もあれば、普通の記事なら掲載もされないのだが、『be』のように発行日が決まっている紙面は前もって印刷され、すでに販売所に運ばれている。件の『be』は7日に印刷が終わり、8日には全国の朝日新聞販売所であるASAに輸送されていたのだ。 「朝日新聞東京本社からは“テレビ欄は外して配って”という指示が3回にわたって出されたが、たまらないのは人手不足で悩む現場です。“今さら”“勝手なこと言うな”などの苦情が本社に寄せられ、そのたびに本社からは指示というより、命令に近い“要請”があった」(朝日新聞関係者) 結局、東京、大阪など人手のあるASAはテレビ欄を抜いて配ったが、これまでの情報では名古屋本社管内、北海道で4万部以上がそのまま配達されたという。そのほか、地方紙などと一緒に配っている「合売」と呼ばれる地域では、かなりの部数に上るとみられる。 「しかも、淫行がバレた小出のインタビュー記事についた見出しが『自分のアクを消して』。まるでブラックジョークですよ」(同) 朝日新聞は10日の朝刊に「小出問題」の経緯、テレビ欄不配の理由などを記した「おわび」を折り込んだが、ライバル紙からは「過剰反応。もらい事故なのに」という冷めた声も出ている。 本社の威圧的な態度に、現場は「いったい何様だ!」と怒り心頭。人手不足と、止まらない部数減。大朝日が沈んでいく。
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社会 2017年06月20日 14時00分
福岡母子3人殺害事件 警察官の夫の転勤癖と飛び交う地元の噂
福岡県小郡市の自宅で6月6日朝、中田由紀子さん(38)と長男で小学校4年の涼介君(9)、長女で同1年の実優ちゃん(6)の3人の遺体が発見された事件は、衝撃的な結末を迎えた。 当初、福岡県警は無理心中と見ていたが、7日未明になり、一転、殺人事件と断定し県警小郡署に捜査本部を設置した。8日夕方に由紀子さんの夫で福岡県警本部通信指令課の巡査部長・中田充容疑者(38)を、由紀子さんに対する殺人の疑いで逮捕したのだ。 「現場では、由紀子さんの首に絞められた際に生じる索状痕が確認できなかったが、司法解剖の結果、首の筋肉に複数の皮下出血が認められた。さらに首の骨にはヒビも見つかっており、相当な力で圧迫されたと考えられる。これらのことから、急きょ殺人に切り替えることになった」(捜査関係者) 事件発覚時、2階建て民家の玄関ドアは施錠されていなかったという。さらに警察発表によれば、死亡推定時間について由紀子さんは6日の0時〜6時、子供2人が同日午前0時〜5時と幅があり、中田容疑者が出勤のため自宅を出たという6時45分頃までの時間と重なっているものの、詳細はいまだ謎だらけだ。 そこでまず、事件当日の経過を振り返ってみる。 午前7時前に職場に出勤した中田容疑者の元へ、8時半頃、2人の子供が通学している小学校の担任から、「登校していない」との連絡が入ったという。中田容疑者はこれを受け、すぐに近所に住む妻の姉に電話。家の様子を見に行くように指示した。 「その後、中田容疑者は偽装のためか由紀子さんの携帯電話に4度電話を入れ、3度は誰も出ず、4度目に出た姉から『妹が無理心中したようだ』と伝えられている。中田容疑者がそれを上司に伝えそのまま処理に入ったことで、当初は無理心中の可能性が強いと見て捜査が始まったのです」(全国紙社会部記者) 家に捜査員が駆けつけた際には、1階台所に頭髪が半分ほど焼け焦げた状態の由紀子さんが仰向けで倒れていた。そばには燃えかけの練炭が置かれた上、周囲に油が撒かれ、室内には燻った煙が充満していたという。一方、2人の子供は2階の寝室のベッドでうつ伏せになり息絶えていた。 母子3人の死因はいずれも窒息死。中田容疑者は「家を出たときは3人とも(2階の寝室で)寝ていた」と容疑を否認している。 中田容疑者が県警本部に就いたのは、昨年の8月だった。福岡県内の私立大学卒業後、警察学校を経て'02年10月に任官後は、県警管内警察暑の地域部門勤務が長く、交番勤務や自動車警ら隊に就いていたという。最近では久留米市や筑後市などの警察署を転々とし、現在の県警本部通信指令課へ転勤した。同課は110番通報を受けつける部署で、「可もなく不可もない普通の勤務ぶりだった」(県警関係者)というが、この転勤には“異様さ”も漂う。 「本来であれば本庁への転勤は栄転です。しかし、周辺関係者によれば、中田容疑者は“転勤願い魔”として有名で、この10年ほどの間に5回も願い出て、転勤していたという。しかし、転勤先では毎回のように人間関係を巡っていざこざを起こし、また転勤願いを出すという繰り返しだった。そんなことから昨年8月の異動は、県警本部の監視下に置くという意味合いが強かったようなのです」(地元記者) 由紀子さんも前任地の筑後市で近所の人に、「お父さんの転勤には必ずついて行く家族なんです」と冗談交じりに語っていたという。 「しかし、さすがに“定住”への願望が強くなったようで、2年前に由紀子さん主導で姉、そして母親の家とも近い現在の家を、ローンを組み2100万円で購入したといいます」(同) 転勤癖のある中田容疑者にしてみれば、そのような状況に強い抵抗感を抱いていたのか。夫婦を知る人物によれば「特に最近はケンカが絶えなかったようだ」という。 加えて、そんな事態に油を注ぐような出来事が事件発生前日に起きていた。 「福岡県警では、早い人でだいたい30歳、遅くても40歳までには警部補に昇進する。巡査部長だった中田容疑者も、これまで何度も昇進試験を受けていたが不合格だった。子供の将来を心配する由紀子さんは早く昇進して欲しかったようで、不合格になるたびに中田容疑者に詰め寄り、それがまたケンカの原因になっていたようです。そんな中、5日にも警部補昇進の二次試験の結果発表があり、中田容疑者はまたも不合格。ひょっとするとそれが、事件の引き金になった可能性があるのではないか」(福岡県警関係者) DNA鑑定の結果、由紀子さんの遺体の爪に残された皮膚片が中田容疑者のものと一致。それを裏付けるかのように、中田容疑者の腕には引っかき傷も見つかっている。 「さらに由紀子さんの遺体の周囲に撒かれた油の上には複数の足跡が残されており、これが中田容疑者の当日履いていた靴底と一致しているという。そのため中田容疑者の関与はさらに強まってはいますが、そもそも、夫婦ゲンカがきっかけで、自分の子供2人まで殺めることができるのか。近隣住民の間では、共犯者の存在まで囁かれているのです」(前出・記者) 全容解明が待たれる。
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社会 2017年06月20日 10時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 追い詰められた小池知事
6月1日に、小池百合子東京都知事が自民党に離党届を提出した。「これまで『進退伺』を出していましたけれども、なかなか決めてくれないので、こちらから離党届を出させていただきました」と小池知事は語ったが、それは本音ではないだろう。離党せざるを得なくなったのだ。 きっかけは世論調査の結果だ。毎日新聞が5月27日と28日に行った電話世論調査で、都議会議員選挙の投票先を聞いたところ、自民党が17%で、都民ファーストの11%を大きく上回ったのだ。このままでは勝てないと踏んだ小池知事は、都民ファーストへのテコ入れのため、代表就任を選んだのだろう。さすがに、政党代表になったら自民党を離れざるを得なくなったのだ。 これから小池知事は、慎重に支持率の動向をみていくことになるだろう。問題は、代表就任を果たしても都民ファーストの支持があまり上がらなかった場合だ。そのとき、小池知事の選択肢は二つある。 一つは、築地市場の豊洲移転を決断せず、そのまま都議選に臨むことだ。この方法は一種の安全策と言えるが、連携する公明党と合わせても、都議会で過半数を取ることは難しいかもしれない。議会で過半数を取れなければ、小池知事の掲げる東京大改革は覚束なくなる。 もう一つの選択肢は、豊洲移転を断念し築地市場再整備を掲げることだ。そうなれば、豊洲早期移転を掲げる自民党との明確な対立軸を築ける。しかし、そうすると、豊洲移転賛成派の都民を敵に回すことになるし、良好な関係を築いた公明党とも、移転問題で対立することになる。だから、小池都知事にとっては、危険な賭けになるのだが、私は十分に可能性がある手段と考えている。 シナリオはこうだ。 まず、「都民の安全」を前面に打ち出して、豊洲市場は安心できないとアピールする。そのうえで、4月に市場問題プロジェクトチームの小島敏郎座長が示した築地市場を現在の場所で再整備する案を公約で打ち出すのだ。 小島私案は、場内で移転を繰り返しながら建て替えを進める「ローリング工法」だったが、6月5日に出された市場問題PTの報告書では、いったん豊洲移転した後、築地に戻る案も示されている。 いずれにしても、年間100億から150億円の赤字を垂れ流す豊洲よりも、築地残留は、低コストで済む。それを強く主張すればよいのだ。ただし、せっかく作った豊洲市場の建物を取り壊すのはもったいない、と誰もが思うだろう。 それについては、妙案がある。実は、東京オリンピックの期間、メディアセンターが置かれる東京ビッグサイトやレスリング等が行われる幕張メッセは使用できなくなる。ビッグサイトは、'19年4月から準備工事が始まるから、深刻な展示場不足が生じるのだ。 そこで、豊洲市場をイベント会場として活用し、その後の需要動向を見極めながら、不要であれば売却すればよいのだ。 この方式であれば、東京オリンピックに照準を合わせたイベントの企画も可能になる。ただ、豊洲市場のイベント向け改修には少々の時間が必要だから、小池知事は早く決断をすべきだろう。
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