社会
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社会 2017年04月28日 14時00分
古都にリゾートホテルを…の“商魂”に「金じゃ売らん」京都・奈良“住民の盾”
「奈良県にホテルが少ないというなら、既存の宿泊施設の支援をしていくべきだ」(地元住民) 観光名所の京都、奈良で、名勝・旧跡の地に大型リゾートホテルの建設計画が持ち上がり、「金でなんでも買えると思うな!」と地元住民らが猛反発しているという。 「京都で進むのは、米高級ホテルチェーン、ハイアットホテルズグループによる“京都東山計画”。場所は世界遺産の清水寺に近い二寧坂(二年坂)の北で、東山を代表する老舗料亭『山荘京大和』が改装を機に運営を委託し、敷地内に『パークハイアット京都』を建設するという。これに周辺環境の変化を危惧する商店主や住民が、京都市と建設する竹中工務店に対し、質問状を提出、説明を求めているのです」(地元記者) 2019年の開業を目指し現在は準備段階というが、二寧坂は土産物店や飲食店が並ぶ、東山の観光客銀座。 「建設工事が始まれば、工事車両が頻繁に行き来し、観光客の流れに当然支障が出る。竹中工務店側は工事期間を観光のオフシーズンに集中させると説明していますが、東山は1年じゅう観光シーズンですからね。大型開発による土砂災害も心配です」(地元住民) 一方の奈良では、宿泊施設の拡充を目指す県が、春日大社に連なる奈良公園の南端区域に、高級リゾートホテルの建設を計画し、これまた地域住民の大きな反発を呼んでいる。 「そもそも建設予定地は奈良公園外の市街化調整区域で、環境を守るためにホテルを建てたらいかん場所だったんです。それを県は、奈良公園の区域に編入するという裏ワザを使ってきた。そんなやり方でいいんでしょうか」(地元住民) 先に開かれた地元説明会で奈良県側は、予定地内に老朽化した土塀等が多いことに言及し、「整備計画を実行しなければ、当該地はそのまま放置されることになるが、それでもいいのか」といった強気な発言もあったという。 「このような動きに、さらに危機感を募らせる奈良市高畑町の住民は、『高畑町住民有志の会』を結成、『奈良公園の環境を守る会』とも連帯し、横断幕を掲げるなどホテル反対を強くアピールしているのです」(前出・地元記者) 住民たちは自ら盾となっても阻止する覚悟だという。 しかし、両ホテル騒動の背景には、いずれも観光客の増加にともなう宿泊施設不足がある。 ある旅行代理店関係者はこう言う。 「本当に観光客の増加に対応する気があるのなら、リゾートホテルよりも、安価な民泊やシティーホテルの充実の方がよっぽど効果的なのではないか」 奈良では建設計画に反対する署名は増えており、現時点で3万人超の署名が集まっている。文化と景観に対し、それを受けいれる宿泊場所と外国人観光客…果たして解決策はあるのだろうか。
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社会 2017年04月28日 10時00分
九州壊滅!? 沈黙する「警固断層帯」(南半分)が暴発する大地震Xデー
「このところの日本列島は静か過ぎる」のだという。 琉球大理学部名誉教授の木村政昭氏はこう語る。 「この静けさが非常に不気味なんです。過去に発生した大地震の多くは、国民が地震の恐怖を忘れてしまった頃にドカンと起きている。我々専門家から言わせれば、静かな今が危ないんです」 4月14日で熊本地震から1年が経過した。震源となった地域周辺の地震は、ひとまずピークを過ぎたとも言われ、現時点では小・中規模の地震の回数もめっきり減っているが、専門家の間では「今後、西日本での大震災は必ず起こる」と言われている。 「2005年3月20日に、玄界灘で福岡県西方沖地震が発生し、M7.0、最大震度6弱を記録していますが、その際に動いたのは警固断層帯と呼ばれる断層の北半分。南半分はいまだ動かず残っており、福岡平野を震源とした地震が起こる可能性があると言われているのです」(サイエンスライター) さらに、宮崎県東部沖合いの日向灘でも、30年間で発生確率が70〜80%、震度7〜7.5程度の大地震が発生する可能性もあるという。 「熊本周辺では、今もM6.5程度の地震が起きる可能性があります。加えて日向灘には“地震の目”(空白域の中)があり、'19年までにM7.5クラスの地震が発生すると見ています」 ただし、木村氏によれば、日向灘のほか、伊豆・小笠原諸島周辺、北海道の根室沖に地震の目があるとしている。さらに、これらの地域で地震が起きた際、さらなる脅威が襲うとも予測する。 「富士山の噴火です。すでに富士山は噴火に向け準備を整えており、富士五湖の水が渇水したり、周辺の道路がひび割れるなど、前兆と見られる異常が報告されている。しかも、その噴火は地震、火山の活動期の幕開けに過ぎません。864年の貞観大噴火の後、日本中の火山が噴火し、あちこちで巨大地震が発生している。我々はこれから、未曾有の体験をすることになると思います」 地球は10数枚のプレートで覆われているとされるが、日本列島はそのうちの4枚のプレートが衝突し合う上に乗っている状態だ。世界で発生したM5.0以上の地震のうち、約10%が日本周辺で起きている。 巨大地震が起きていない“空白域”で小地震が頻発している場所は数多くあり、地下を蠢く“大ナマズ(地震)”の恐怖、いつ来るか分からない“北からのミサイル”のXデーと、日本列島は天から地から常に危険にさらされているのが現状なのだ。
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社会 2017年04月27日 14時00分
ヤマト運輸 アマゾン“当日配送”撤退の余波
宅配最大手のヤマト運輸は、最大の得意先であるインターネット通販アマゾンの「当日配送サービス」の受託事業から撤退する方針を固めた。人手不足が深刻化する中、アマゾンとの取引拡大でドライバーの負担が過大となり、取引見直しに踏み切った。アマゾンは日本郵便などへの委託を増やす意向だが、事業の見直しを迫られる可能性もある。 ここ数年、「送料無料」「当日配送」と銘打ったサービス競争が過熱している。業界内でも一番目立っていたのがアマゾンだ。年会費で税込み3900円を支払えば「プライム会員」資格が得られ、追加料金なしで何度でも「当日配送」サービスの利用が可能。午前中に注文すれば、夕方から夜までに商品が届く。 無料で選択できることから、急いでいなくても「当日配送」を選ぶ利用者が多いという。当日配送は午前中に注文すると、数時間で商品を発送する。夕方から夜間に手元に届く仕組みだ。 「アマゾン経由の荷物は、とにかくすさまじい量です。商品がヤマトの配送拠点に届くのが夜18時〜19時。それからドライバーが荷物を受け取り各家庭に配送、仕事が終わるのは21時過ぎ。これが長時間労働の原因です」(ヤマト運輸社員) 配送ドライバーの人手不足で、大手運送会社は下請けに外注せざるを得ないのが現状だ。かつて、佐川急便がアマゾンから手を引き、ヤマトが引き受けることになった経緯も、このことに起因している。 「当時の佐川は住宅地宛てのアマゾンの荷物を1個数百円で下請けに委託していたので、利益が思うように出なかった。そこで、外注を使わないヤマトが引き受けることになったのですが、予想を超えて荷物が増え、ヤマトのドライバーの負担だけが重くなっていったのです」(業界紙記者) 物流業界は人手不足や運賃コスト上昇で頭打ち。ドライバーの1人は「正直、アマゾンの荷受は薄利多売でやりたくない」と語る。 年収が下がる一方で、長時間労働を強要される運送ドライバーたちの悲鳴は、果たしてどこに“届く”のだろうか。
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社会 2017年04月27日 10時00分
北朝鮮空爆はダミー 金正恩の寝首を掻く2人の側近クーデター(2)
対北朝鮮攻撃や斬首作戦の最終目標は南北の統一だが、ざっと見渡しても、各国それぞれ以下のような事情を抱えている。 ◇北朝鮮…自国体制の終焉 ◇韓国…債務超過会社の吸収合併に等しく、消化できる国力はない ◇中国…米韓連合軍と直接国境を接することは絶対回避したい ◇米国…中国同様、中国と勢力圏を接したくない そして日本は、 「半島有事により強引に統一朝鮮が出現すれば、日本への敵愾心を求心力とする政権が登場し国益になりません。何よりも最大の懸念は、大量発生するとみられている難民問題です。外務省見解で“日本人扱い”されている北送された約2000人の日本人妻および2世、3世をどう識別するか。あるいは有事の際、その後方部隊となる自衛隊を無力化させる“日本語のできる対日特殊部隊”の上陸作戦の存在など、今の今まで危機管理を議論してこなかったツケが一挙に回りかねないのです」(同) 実は昨年7月、韓国に亡命した元北朝鮮外交官・太永浩元駐英公使が気になることを述べている。《米韓に攻められ、わが国が敗北すれば、これほどの厳しい生活だけは止められる》というのが民心だと指摘した上で、民衆蜂起が萌芽しつつあるというのだ。 故・金日成主席生誕105年式典には、黄炳瑞軍総政治局長、崔竜海党副委員長、朴奉珠首相、金己男党副委員長、呉秀容党副委員長がそろって登場し、彼らが政権中枢を担っていることがハッキリと分かった。 「正恩の異母兄である金正男暗殺は、北国内では報じられていませんが、党・政府幹部たちは知っています。右腕の崔副委員長は党の大幹部で、金日成主席の抗日パルチザン同志である崔賢元人民武力部長の息子ですが、降格、復権を2度も繰り返すなど必ずしも評価されていません。左腕の黄局長は軍全体を掌握している実力者ですが、張成沢を裏切り、その処刑に重要な役割を果たしており、いつ自分がそうなってもおかしくないと考えているはずです。しかも、張をはじめ幹部を140人以上も処刑してしまったため、生き残った崔と黄の2人に権力が集中するというイビツな権力構造になっています。式典でも正恩が唯一心を許しているとされる妹の与正が仕切り役をこなしていましたが、それだけ正恩は政権中枢にいる大幹部を信用しておらず、幹部の多くは“面従腹背”ですから、いつ謀反が起きても不思議ではありません」(北朝鮮ウオッチャー) その一方で、正恩は軍部の傀儡となっている、という情報も流れている。 「ある大手メディアが“金正恩傀儡説”を記事にしています。その内容を要約すると、正恩は崔や黄両大幹部の操り人形のようになっていて、自分で判断できる能力は事実上なく、さらに、崔が周辺国の脅威となっている正恩を自らが中心となって排除すれば、自分がトップになっても国際社会が受け入れてくれるだろうと踏んでいると、具体的に記しています。少なくとも軍部内には不満をもつ将校たちが多数おり、民衆蜂起や軍・宮廷内クーデターの可能性は、もはや完全に排除できなくなってきているのです。中国人民軍の支援を受けた新たな指導者が飛び出すかもしれません」(同) 反正恩勢力と正恩の近衛師団との間で内戦を起こすことがあれば、これは米中にとっては願ってもないことだ。 「そうなれば米韓連合軍は『5027』とは違う『5029』作戦を発動し、一挙に平壌制圧へ殺到するでしょう。同作戦は北朝鮮国内におけるクーデター、革命、大規模亡命や大量脱北など“体制を動揺させる急激な変化”が発生した場合に備えることで、2008年頃、当時の指導者であった金正日総書記の健康悪化を受け、まだ概念計画だったものを『作戦計画』に格上げしたものです。金大中、盧武鉉政権時代には、北朝鮮を刺激するとしてその存在さえ認めなかったのですが、李明博政権時代に明るみに出たもので、現在はすっかりホコリが払われ、半島有事の際の作戦テーブルに載せられています」(同) どの道、トランプvs正恩の“チキンレース”に日本も巻き込まれていることだけは間違いない。
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社会 2017年04月26日 16時00分
千葉9歳女児遺棄事件 大マスコミが伏せる保護者会会長の猟奇的な犯行
「若い女の子が好きだ。とくに小学生くらいの子がよだれを垂らしているところを見るとぞくっとする、とよく話していたよ。休憩時間には、少女の裸が描かれた成人向けコミック誌を読み耽っていたのが印象的だった」 千葉県松戸市立六実第二小学校に通う3年生で、ベトナム国籍のレェ・ティ・ニャット・リンさん(9)の全裸遺体が、同県我孫子市の排水路脇の草むらで発見された事件。その結末は、リンさんの自宅近所に住み、同小学校の保護者会会長でもあった男が逮捕されるという、衝撃的なものだった。冒頭の発言は、4月14日に死体遺棄容疑で逮捕(15日に同容疑で送検)されたその男、澁谷恭正容疑者(46)が以前に勤めていた、料理店店主の話である。 「逮捕後、澁谷容疑者はダンマリを決め込んでいたが、3月24日の朝、澁谷容疑者の自宅から約150メートル離れた駐車場に停めてあったキャンピングカーにリンさんと乗り込む姿を、防犯カメラやドライブレコーダーが捉えている。同日夜には、遺棄現場付近と、さらに、そこから約30キロ離れた茨城県坂東市を流れる利根川の河川敷付近、つまりランドセルや衣服が捨てられていた場所の防犯カメラ映像にも、澁谷容疑者の軽自動車が映っていた。登校するために自宅を出た直後のリンさんを狙って軽自動車で連れ去り、キャンピングカーに連れ込んだ可能性が高い」(捜査関係者) このキャンピングカーについては、澁谷容疑者が約5年前から現在の駐車場を使用しており、「動かしているところは見たことがないが、時折(澁谷容疑者が)やって来ては車内で過ごしていた」(近隣住民)という話もある。リンさんの死因は首を絞められたことによる窒息死の可能性が高いというが、車内で何があったのかは、いまだ不明だ。 澁谷容疑者は松戸市内で生まれ育ち、リンさんと同様、六実第二小学校に通い、地元の中学校へ進学した。 「中学時代のあだ名は“シブ”。柔道部で体がデカくて、よく冗談も言うし、みんなに好かれていましたよ。卒業後は千葉の県立高校に進学して、調理師の資格を取ると言って専門学校へ入学したんです。でも、途中で退学してしまい、松戸の飲食店に見習いとして働いていた時期もありました。その後は札幌へ行って、やはり飲食店の厨房で働いていたと聞いています」(中学の同級生) 千葉県に戻ったのは10数年前。それまで飲食店を転々としていたのとは打って変わり、今度は松戸市内でコンビニ店員や宅配便の運転手を始めたという。 「ただ、運転手の仕事も、いつの間にか辞めていましたよ。あの家は澁谷容疑者のお爺さんの代が運送業などで財をなし、周辺の土地を手に入れて相当な資産家になったんです。しかし、6年ほど前までに、父母、姉を次々と亡くして、その資産を1人残った彼が相続することになった。いま住んでいるマンションと、ほか3棟のマンションのオーナーで、それらの運用でずいぶん楽な暮らしをしていたようです」(澁谷容疑者を知る人物) その間、澁谷容疑者には結婚歴もある。 「約10年前に結婚して子供を2人もうけている。奥さんは小柄で、可愛い感じの東南アジア系の外国人の女性と聞いています。それでも数年前に離婚して、子供は澁谷容疑者が引き取った。2年ほど前からは内縁関係の女性と、4人で生活していたんです」(同) そんな折、昨年4月から同小学校の保護者会「二小会」の会長を務め始めた澁谷容疑者は、6月以降、少年補導員にもなり、地域活動の中心人物でもあったという。 しかし、学校周辺からはこんな話も聞こえてくる。 「それまで『二小会』会長は女性が務めていたことから、自ら手を上げて就任した澁谷容疑者について、『空気が読めない人』、『単なる目立ちたがり屋』といった声も上がっていましたよ。子供たちに対しては、女子生徒には優しく接するけど、男子生徒には怒鳴りつける姿も度々目撃されていて、その変わりようも噂になっていたんです」 3月26日にリンさんが遺体で発見された後も、澁谷容疑者は子供たちの登下校を見守る活動を続けていた。だが、事件発生を受け、翌日に行われた臨時保護者会では一言も発せず、出席した保護者の間では「いつも積極的に発言するのに様子がおかしい」と話題になっていたという。 学校周辺関係者は、逮捕前の澁谷容疑者の様子について、こうも語る。 「3月31日に行われたリンちゃんのお別れ会には、子供のインフルエンザを理由に出席していません。4月に入ってからは、5日、『二小会』での保護者たちの提案により、リンちゃんの遺族の渡航費用を援助したいという文書を、澁谷会長名で出して寄付を呼びかけたのですが、肝心の澁谷容疑者があまり関心を示さなかった。学校内で澁谷容疑者がリンちゃんと親しげに話す様子を見掛けていたし、知らないはずはない。だから変だな、とは話していたんです」 子供たちを守る立場を装い、リンさんに接近したのか。 いずれにせよ、同年代の子を持つ父親の歪んだ性欲晴らしの犯行だったとすれば、あまりに悍ましい。
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社会 2017年04月26日 14時00分
民主党分断! 小池百合子都知事が都議・衆院W選挙ロックオン完了
東京都議選(6月23日告示、7月2日投開票)が刻々と近づく中、離党ドミノが止まらない蓮舫代表率いる民進党が分断、小池新党に飲み込まれようとしている。 「とにかく4月10日に民進党の都連幹事長だった長島昭久衆院議員が離党届を出したショックは大きい。それを皮切りに、都連選対委員長の石毛茂都議、民進党系の会派、東京改革議員団団長代理の酒井大史都議も相次いで離党を表明した。いずれも小池新党から立候補するか、小池新党と連携すると見られています」(全国紙政治部記者) 民進党は昨年12月までに、都議選で現職16人、元職9人、新人11人を公認しているが、そのうちすでに離党した8人は、小池百合子都知事が率いる地域政党、都民ファーストの会からの出馬や連携を表明。今後もこの動きが加速しそうなのだ。 もっとも、長島氏に関しては離党後の小池新党との連携は表向き否定しているのだが、小池氏周辺関係者はこう言う。 「もともと小池さんと長島さんは、対北朝鮮、対中国においてタカ派で、考えが近いお友達。表では連携を否定しているが、離党をこのタイミングでするということは、都議選や次期衆院選挙を睨んでのものですよ。水面下では緊密な連絡を取り、自民党が都議選に衆院選をぶつけてくるW選挙を読んでの離党宣言とも言える。離党したくてウズウズしている民進党関係者を飛び出しやすくすることも狙いで、これを小池新党が吸収していけば自民党に十分対抗できる足腰の強い勢力になる。そんな狙い通り、民進党では離党ドミノが起き、小池新党への鞍替えが相次いでいるのです」 さらに、小池新党にとって長島氏の離党以上に重要な民進党の動きが、もう一つ起きた。細野豪志代表代行の代行職電撃辞任だ。 「表向きの辞任の理由は、中央公論(5月号)で自ら憲法改正私案を発表したように“改憲に消極的な執行部にはいられない”というものですが、その裏は複雑。6月25日投開票の静岡県知事選に、現職の川勝平太知事(民主党〈当時〉が推薦)が出なければ出馬するという狙いもあると言います」(前出・記者) ただし、同知事選は現時点で川勝氏が出馬をうやむやにしている上、民進党の渡辺周衆院議員も出馬に意欲を見せているため、不確定要素が多過ぎる。そんな状況に置かれた細野氏の本音を、前出の小池氏周辺側近はこう読む。 「ポスト蓮舫の筆頭として名前が挙がっていた細野さが執行部を辞任したということは、民進党の将来に見切りをつけたということ。さらに、長島さんと同様、細野さんも将来的に日本の国防力を着実に上げるべきなど、小池さんと考えが共通する部分が多い。辞任は今後の小池さんの国政への影響を見据えた動きと言えます」 つまり、ゆくゆくは長島氏も細野氏も、小池氏に合流する可能性が大いにあるというのだ。 さらにもう一つ、民進党が分裂しそうな気配は、支持母体の連合にも起きている。 「4月に入り連合東京は、小池新党と政策合意している。民進党からの立候補者にとって最大の魅力は、連合東京の組織票111万票。しかし、小池新党から立候補しても連合の推薦や支援を受けられるのであれば、無党派層や女性票に強く、勢いのある小池さん側になだれを打って流れるのは当然の話」(都政記者) これになんとか歯止めをかけたい蓮舫氏は、4月上旬に開かれた連合東京のパーティーに出席して、こう釘をさした。 「国政でも都政でも、自民党や古い政治と戦っているのは私たち民進党だ。改革を目指すほかの人とも一緒にやっていくが、私たちが主体。これまで以上の力をいただきたい」 しかし、これに対し連合東京の岡田啓会長は、こう皮肉っている。 「民進党がきちんと勝ち抜いていく状況にあれば、これに越したことはなかった。だが、小池知事のパワーはすごく、いちばん埋没しているのが民進党ではないか。政策を実現することこそがわれわれの大きな目的だ。その手段としていくつかの友好政党と選挙をともに戦っていく」 連合東京がここまで言い切る背景には、蓮舫氏のこれまでの言動にも原因があるという。 「3月の民進党大会直前まで、連合にとっては避けたい“2030年の原発ゼロ”を声高に叫び続けていましたからね。さらに、昨秋の新潟県知事選では、連合新潟が原発再稼働に前向きだった前長岡市長の森民夫氏の支援に回り、民進党は自主投票となったが、蓮舫氏をはじめ民進党議員が原発反対の米山隆一氏の街頭演説に立ち、米山知事を誕生させている。そんな、都合のいい時に連合を頼って他は無視の態度ではヒビが入る。都議選は、民進党解体にはちょうどいい機会なんじゃないか」(連合関係者) 二大政党の一翼を担うには、あまりにもバラバラな民進党を、小池新党が飲み込み、割って入るのは時間の問題か。迫り来る脅威をいま、最も感じているのは安倍首相なのかもしれない。
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社会 2017年04月26日 10時00分
北朝鮮空爆はダミー 金正恩の寝首を掻く2人の側近クーデター(1)
「4月16日朝のミサイル発射後の爆発は、米軍がサイバー攻撃した可能性があります。4月5日の失敗もそうかもしれません。3月に数秒で大破した中距離弾道ミサイルについて、米ニューヨーク・タイムズ紙や英デイリー・テレグラフ紙は『米国がサイバー攻撃を実施か』と報じています。いずれにせよ、米軍は北攻撃に入る前に、有人または無人の“電子撹乱機”を飛ばして妨害電波を送るはずです。これは北朝鮮の有線や無線、パソコンなど、ほぼすべてのネットワークを麻痺させる能力がある。それらの始末は1〜2時間で終わるでしょう。結果的に、指揮命令系統を遮断し、命令が届かなくなるようにすれば、ミサイルシステムも制御不能になります。こうして反撃能力を遮断してから攻撃を開始するわけです」(軍事アナリスト) ちょうど訪韓中だった米ペンス副大統領は今回のミサイル発射について「予想していたことで驚かない」と説明。軍事的なものを含め、幅広い選択肢を準備していると話した。 すでに、トランプ大統領はセカンダリー・サンクション(二次的制裁)を実行し、対北朝鮮圧力を強めているという。 「米国は、中国遼寧省の丹東市と瀋陽市にある北朝鮮の銀行や、北にミサイル部品など国連制裁決議に違反して輸出していた中国系商社に制裁を加えています。しかも、在米中国系銀行の口座にある北朝鮮の資産を凍結したり、取引停止など強い処分を含めての制裁を準備中です。こうした動きに先立って、北のエージェントの疑いが濃厚なロシアやキューバ、ベトナムの商社などにも制裁を加えています。中国も北京-平壌間の定期便を17日から一時的に停止させた他、北の石炭タンカーを追い返し始めました。中国が本気で金正恩政権を崩壊させようとすれば2、3年もかかりません。北朝鮮とのあらゆる貿易を中止し、中朝国境を封鎖すればいい。ただ、今となっては、北朝鮮の核ミサイル開発は待ったなしの状況であり、それほど待てないのが現状でしょう」(国際ジャーナリスト) とはいえ、軍事的なオプションの選択は怪しくなっている。ロシアがバックに控えるシリアへの空爆で同国政府と全面対決となった場合、少なくとも今年いっぱいは、IS(イスラム国)も含めてシリア問題にかかりきりになるため、「北への空爆は遠のいたのではないか」という見方が浮上しているのだ。 トランプ大統領やティラーソン国務長官が声高に言う“中国が協力しなければ米国だけで行動する”を、どう解すべきか――。これは話し合いによる解決か、軍事行動による解決なのか。世界の目は軍事行動に向いているが、米国はいずれとも断言していない。 「米国の外交をつかさどるティラーソン国務長官では、究極の外交政策である“戦争”は無理だろうといわれています。つい昨年まで、エクソンモービル社の会長兼最高経営責任者だったわけですから外交のプロではないし、そもそも国際関係を学んだ経歴もありません。連邦議会の一員として、外交や安全保障の現場に関与していたわけでもないのです。すべての意味でド素人なのです」(同) 幅広い選択肢の中でも煽情的に報じられる『金正恩斬首作戦』については、8チームから成る特殊部隊シールズの「チーム5」が韓国に常駐しているし、「チーム6」も原子力潜水艦に潜み北に向かっている。 「斬首作戦といっても困難が伴います。米軍はまず正恩がどこに潜んでいるのかを特定しなければなりません。イラク戦争のとき、第一撃でフセイン大統領を殺害するはずだったが失敗し、拘束まで1年9カ月を要しましたし、アルカーイダの指導者ウサーマ・ビン・ラーディンの殺害にしても、9・11テロから約10年という長期間を浪費しており、米軍側も犠牲者を多く出しています」(軍事ジャーナリスト) 核施設およびミサイル基地爆撃破壊や、米韓連合軍による平壌陥落を目指した軍事作戦『5027』をトランプ政権が描いているとすれば、米空母カール・ビンソンとロナルド・レーガンの2打撃群では“不足”だろう。イラク攻撃では6打撃群も動員していることからすると“本気度”は低いのではないか。
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社会 2017年04月25日 14時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 シリア攻撃は誰のためか
トランプ大統領は、4月6日、米中首脳会談のさなかに、地中海に展開していた軍艦からシリアのシャイラト空軍基地に向けて、59発の巡航ミサイルを発射した。4日にシリア政府軍が、反政府軍が支配するシリア北西部で空爆を行った際に化学兵器を使ったとみられることが、トランプ大統領に攻撃を決断させた。 このニュースを聞いて、私が真っ先に思い浮かべたのは、2003年のイラク戦争だった。 当時のブッシュ大統領は、イラクが大量破壊兵器を保有しているという理由でイラク攻撃に踏み込み、地上軍を送り込んだ。国連では、ドイツやフランスが、「大量破壊兵器を本当に保有しているか、まず調べるべきだ」と主張したが、アメリカはそれを完全に無視して、戦争へと突き進んだのだ。 ところが、実際にフセイン政権を倒してみると、イラクに大量破壊兵器は存在しなかった。 今回は、シリア政府軍に空爆された地区の住民の映像が報道されているので、化学兵器が存在していたこと自体は間違いないだろう。しかし、反政府軍の化学兵器保管場所を政府軍が空爆したとか、国際社会に訴えるために、反政府軍が自作自演をした可能性も否定できない。 現に、シリアのアサド大統領は「シリア政府軍は化学兵器を一切保有していないし、使ったこともない」と主張している。シリアは、化学兵器の保有を禁止する国際条約にも署名している。だから、まず取り組むべきは、化学兵器使用の真相究明なのだ。 米国の攻撃を受けて、ロシアは緊急の安全保障会議を招集し、プーチン大統領は、「米国のシリア攻撃は、国際法に違反する侵略行為だ」とする声明を発表した。国連が武力行使を認めているのは、安保理の決議があった場合と、自衛権の行使の場合だけだ。やはり、米国の攻撃は国際法違反なのだ。 ところが、安倍総理は、7日に「米国政府の決意を日本政府は支持する」と表明した。イラク戦争の際、当時の小泉総理は、米国の攻撃そのものを支持した。それと比べれば、トーンダウンしているが、“米国支持”という点では、まったく同じだ。 問題は、今回のシリア攻撃が何をもたらすのかということだ。ロシアメディアは、空軍基地に着弾したミサイルは59発中23発にすぎないと報じた。誤爆に民間人が巻き込まれた、という現地報道もある。 さらに、シリア政府軍と反政府軍の内戦が、ロシアと米国の代理戦争になって泥沼化したら、イスラム国が漁夫の利を得ることによりシリアの治安はますます悪化する。そのイスラム国自体が、米国がフセイン政権を倒して、イラク国内の治安が悪化したことで生まれたことを忘れてはならないだろう。 さらに、今回のミサイル攻撃は、核開発を続ける北朝鮮への圧力となったという見方もあるが、それは真逆だ。むしろ「シリアは核を持っていないから米国にやられた」と判断して、核兵器開発を加速させることになるだろう。 つまり、今回のシリア攻撃は何もメリットがないのだが、1人だけ得をする人がいる。それは、支持率を回復できるトランプ大統領なのだ。
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社会 2017年04月25日 10時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第219回 緊迫の北朝鮮危機
この号が発売されるころには事態が大きく動いているかもしれないが、北朝鮮危機が緊迫している。本稿執筆時点で、アメリカは原子力空母カールビンソンを主力とする空母打撃群を朝鮮半島に向けて航行させている。 日本経済新聞は4月12日に《北朝鮮攻撃なら事前協議 米、日本政府と確認》というセンセーショナルな見出しの記事を報じた。アメリカが軍事行動に踏み切る場合、日本政府が事前協議をすることを要請し、米側も応じる意向を示したとのことである。 またロイター通信によると、海上自衛隊は朝鮮半島の近海に向けて航行中の米空母カールビンソンと共同訓練を検討しているとのことである。「戦闘」のリスクが高まっている海域で、海上自衛隊がアメリカ海軍と共同訓練を実施する。時代は、大きく変わりつつある。 北朝鮮の核・ミサイル危機は、もともと“デッドライン”がある話であった。アメリカは北朝鮮が「核の小型化」に成功するか、もしくは北米大陸まで届く大陸間弾道弾を開発することは、絶対に許さない。その「前」の時点で、アメリカは確実に北朝鮮に対する軍事行動を起こすはずだ。 アメリカが北朝鮮をミサイル攻撃、あるいは爆撃した場合、北朝鮮軍はソウルに砲弾の雨を降らせる可能性が高い。何しろ、ソウルと国境は40キロしか離れていないのだ。ソウルに長射程砲の弾丸が降り注ぐと、万単位の死者、数十万単位の負傷者が出るのは確実と考えられている。 それでも、アメリカは北朝鮮に対する軍事的圧力を強めている。将来的に、北朝鮮がアメリカにまで届く核ミサイルを保有するリスクと、今、ソウルを砲撃されるリスクを比較し、前者の方が「重い」と判断したのではないだろうか。 また、今回の北朝鮮危機の深刻化には、中国国内の事情も絡んでいる。多くの日本国民が勘違いをしているが、中国は決して「一枚岩」ではない。中国指導部は現在、「習近平派」と「江沢民派(上海派、吉林閥)」の二つに分裂した状況にある。 中国共産党序列3位の張徳江、5位の劉雲山、7位の張高麗の3人は、江沢民派に属している。彼らこそが、軍閥で言えば北部戦区(旧、瀋陽軍区)を「領有」し、北朝鮮や金正恩の後ろ盾になっているのだ。 北朝鮮の生命線と化し、石油や食料を輸出しているのは、中国というよりは北部戦区なのである。北京政府が北朝鮮への「禁輸」を実施しても、ほとんど効果が見られないのは、北部戦区が「隠密輸出」をしているためなのだ。 習近平は2016年の軍改革の際に、瀋陽軍区を北京軍区と合併させ、コントロール下に置こうとしたが失敗に終わった。むしろ、瀋陽軍区は内モンゴル地区や山東半島を取り込み、北部戦区として巨大化してしまい、北朝鮮との結び付きをますます強めた。 4月6日からフロリダで行われた米中首脳会談において、トランプ大統領が習近平に「北朝鮮を自制させよ」と圧力をかけたのは確実だ。とはいえ、習近平には北朝鮮を「抑え込む」力など端からないのである。 また、'14年に失脚した周永康(江沢民派)の罪状の中には、「北朝鮮に対する機密漏洩罪」があったという報道が流れている。 香港紙「東方日報」によると、'13年に処刑された張成沢(金正恩の叔父にあたる)が、'12年に胡錦濤に面会した際に、 「金正日の跡継ぎは、金正恩ではなく、中国寄りで改革開放を進めるであろう金正男にさせるべきだ」 と語っていたことを、北朝鮮に密告したとのことである。 周永康の機密漏洩が事実だったとすると、なぜ金正恩が'13年に叔父の張成沢を残酷に処刑したのか、さらには今年の2月に金正男をマレーシアで暗殺したのかが、ようやく理解できる。張成沢を排除しても、金正男が中国(北京政府)に保護されている限り、金正恩は中国主導の「クーデター」という恐怖に怯え続けなければならない。 金正恩は、中国指導部の「北部戦区と無関係な勢力」つまりは習近平らに対し、極度の不信感を持っていると思われる。よくよく考えてみれば、金正恩が北朝鮮のトップに就いて以降、いや習近平が国家主席になって以降、中朝首脳会談は行われていない。最後の中朝首脳会談は、胡錦濤と金正日の2人によるものであった。 しかも、4月10日に韓国を訪問した武大偉・朝鮮半島問題特別代表は、 「中国はいかなる場合でも北朝鮮の核保有国としての地位を認定せず、黙認しない」 と、発言。中国というより「北京政府」は、完全に北朝鮮「切り捨て」の方向に動いていると見て間違いないだろう。 その上、金正恩にはあまり時間が残されていない。何しろ、今年の秋の中国共産党第19回党代表大会で、習近平国家主席と李克強首相を除く、「江沢民派」を含む5人が、年齢的な理由(67歳が上限)で引退すると考えられているのだ。すなわち、中国共産党の党執行部から、張徳江ら北部戦区の支配者らが消え失せてしまう可能性が濃厚なのである。 北部戦区が習近平の手中に落ちると、金正恩は今度こそ「何の後ろ盾もない」状況でアメリカという世界最強の軍事力と直面することになる。 トランプ大統領は、4月11日に、 『North Korea is looking for trouble. If China decides to help, that would be great. If not, we will solve the problem without them! U.S.A.』 と、ツイート。とりあえず、中国の「対処」に期待し、もし中国が対処しない場合、アメリカは中国なしで問題を「解決」すると、アメリカ大統領が自ら宣言したわけだ。 そして、少なくとも中国の北京政府には、北朝鮮問題を解決に導く手段が(今のところ)存在しない。 大東亜戦争敗北から72年。日本国民が「お花畑的な平和」から目覚めなければならない日が訪れたようだ。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2017年04月24日 14時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第218回 グローバリズムのトリニティ(後編)
グローバリズムのトリニティ(三位一体)。 グローバリズムは「自由貿易」「規制緩和」「緊縮財政」の三つがパッケージとなって推進される。緊縮財政、あるいは「財政破綻論」という基盤があるからこそ、自由貿易や規制緩和が説得力を帯びる。 かつて、わが国の公共事業の入札は「指名競争入札+談合」によって受注されるケースが多かった。現在の日本では、指名競争入札や談合が、あたかも「悪」であるかのごとき認識が広がっている。とはいえ、そもそも指名競争入札と談合の組み合わせは、自然災害大国である日本において、土木・建設事業者間の健全な競争を維持しつつ、公共インフラの品質を改善し、かつ「各地域に土木・建設業者を存続させる」ために編み出された“先人の知恵”なのだ。 偏見なしで「良識」に沿って考えてみれば、誰でも理解できる。世界屈指の自然災害大国であり、大震災までもが発生するわが国において、土木・建設業界を「完全市場競争」に委ねていいはずがない。市場競争に敗北した企業が片っ端から倒産していくと、「土木・建設業が存在しない地域」が増えていかざるを得ない(すでに、増えている)。 大震災とまではいかなくても、わが国は雨季(梅雨)があり、台風も繰り返し襲来する国なのである。水害、土砂災害は毎年、いずれかの地域で必ず発生している。 水害や土砂災害が起きたとき、真っ先に現場に駆け付け、被災者の救援やその後の復旧、復興事業に尽力してくれるのは誰だろうか。地元の土木・建設事業者である。 何しろ、土木・建設事業者には人材があり機材もある。そして、これは何よりも重要なのだが、地元の情報を知っている。自衛隊といえども、情報なしでは何もできない。 大規模自然災害は、いつ、どこで発生するか誰にも分からない。わが国では各地に確固たる供給能力を保有する土木・建設業界が存続しなければ、国民が生きられない。だからといって、業界に競争が存在せず、品質の劣化を招き、価格がひたすら上昇するのも問題だ。だからこそ、指名競争入札と談合の組み合わせなのである。 指名競争入札の場合、公共事業を受注した企業が結果を残せないのであれば指名から排除される。指名に残るために、各社は公共インフラの品質を高めるべく、別に行政側が目を光らせていなくても懸命に努力する。また、指名された業者間の競争も、当然存在する。 もっとも、指名業者間で「苛烈な競争」などとやってしまった日には、やはり敗者が生まれるのは避けがたい。業者が競争に敗北し、倒産もしくは廃業してしまうと、その地域から土木・建設業が消滅するという事態を招く。 というわけで、指名競争入札で競争や品質向上を確保しつつ、談合(話し合い)により仕事を分け合うというシステムが進化したのだ。指名競争入札と談合が組み合わさってこそ、わが国では各地に土木・建設業を「競争」「品質向上」を伴う形で残すことができるのである。 この日本型システムが「邪魔」な存在があった。もちろん、アメリカのベクテルに代表される外国の土木・建設業者だ。何しろ、指名競争入札や談合のシステムがある限り、外資系企業が日本の公共事業のプロジェクトを受注するのは不可能に近い。 「指名競争入札や談合のシステムは、自由貿易や市場競争に反している。指名競争入札は一般競争入札とし、談合は禁止するべきだ!」 という圧力が、1988年の日米建設協議以降、アメリカから継続的にかけられるようになった。結果、わが国の政府は「外国企業の参入等による国際化の進展、建設市場における公正な競争の確保の要請」に応じた制度改革を進めていった。すなわち、規制緩和だ。 合わせて国内の公共事業について、外国企業が落札しやすいように仕様書の英語化も進んだ。つまりは、自由貿易である(もちろん、アメリカ国内の公共事業について、日本企業が落札しやすいように、仕様書を日本語化してくれるはずはないのだが)。並行して、わが国では特に「談合」が、まるで悪の権化であるかのごとくたたかれるようになっていった。 談合が批判された主な理由は、 「談合により、公共事業の落札価格が不当に釣り上げられている」 というものだった。すでにして、日本国内には財政破綻論がまん延し、公共事業を「可能な限り安く実施する」という緊縮財政のコンセプトに沿った形で、談合が批判されていったのである。 無論、土木・建設企業が、不当に高い価格で公共事業を受注していたならば、それは問題だ。とはいえ、特に'97年の橋本緊縮財政以降は、とにかく「削減ありき」で公共事業予算が目の敵にされ、合わせて談合が「違法化」されていったのである。 揚げ句の果てに、2011年の東日本大震災の道路復旧、農地復旧の際の「受注調整」までもが、談合であると批判されている。非常事態において、復旧スピードを高めるため各社が話し合い、仕事を分担し合うことは「当たり前」だと思うのだが、わが国ではそうではないらしい。 緊縮財政による公共投資、公共事業の削減に加え、公共入札の一般競争入札化、談合の禁止と、立て続けの攻撃を受け、わが国の建設業許可業者数は、ピーク('99年度)の約60万社から、'15年度には47万社を割り込むまでに激減してしまった。 現在の日本は、すでに土木・建設業の業者不足、人手不足が深刻化する局面を迎えている。 ならば「外国企業」や「外国人労働者」に依存するしかない、という話になり、カネ(投資)やヒト(外国人労働者)の移動の自由化という自由貿易が進む。 実に、見事なスキームだとは思わないだろうか?みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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