社会
-
社会 2018年10月30日 06時00分
厚生労働部会長・小泉進次郎が潰される「社会保障制度改革」①
世論調査(朝日新聞10月13、14日)で「ポスト安倍」としてトップ(28%)に立った小泉進次郎衆院議員。その進次郎氏は第4次安倍改造内閣で入閣せず、自民党厚生労働部会長に就任した。 自民党守旧派内では「格好と口ばかりの3世議員に、厚労行政をかき回されては困る。これ以上、のさばらせるな」という声が日々高まり、逆風が強くなっているという。一方で、進次郎氏は安倍政権が目玉として掲げる社会保障制度改革で年金支給開始年齢引き上げ(繰り下げ)70歳腹案の「人身御供」になるという懸念の声も出ている。 まず、進次郎氏が「ひと回り大きな政治家」になるために望んで就任した厚労部会長とは、どんなポストか。「自民党部会は政府が国会に出す法案を事前に党内審査する部署。議員の意見調整をして政策決定に影響力を発揮する。部会長はその意見の取りまとめと仕切り役だ。だから厚労部会とは厚労関連法案の全般を検討し、党内の意見を調整する。そこには医療や薬業界の代弁者となる族議員や、常に選挙を見据え、票に直結する年金や医療費に触るのは“まっぴらごめん”とする自民党議員がいる。特に、厚労行政は予算も一般会計だけで30兆円を超えるほど大きいだけに、党内でも利害がぶつかり合う頻度が多い」(自民党関係者) それらを調整して党としての落としどころを探るのが、厚労部会長だ。力技もいるうえ、火の粉や汚れ役を被ることもある。「安倍政権は年金受給年齢開始を70歳へ引き上げようと画策しているフシがアリアリ。しかし、議員は選挙で不利になるだけに党内でも血の雨が降る。それこそ、部会長は命がけです」(野党関係者) 年金受給年齢70歳引き上げ(繰り下げ)案。それを窺わせる具体的な動きがある。第4次安倍改造内閣発足日の安倍首相会見だ。茂木敏充経済再生相を「全世代型社会保障改革担当」として兼務させ、年金受給開始年齢を70歳超からも選択できる年金制度改革を表明したのだ。 別の動きもある。首相をトップに関連閣僚、中西宏明経団連会長、竹中平蔵パソナグループ会長らが主要メンバーの未来投資会議だ。野党議員が指摘する。 「会議では70歳まで働けるよう、企業に義務化する法改正議論が間もなく始まる。以前、年金受給開始年齢を65歳に引き上げた時も、先に65歳まで働けるよう法改正した。今回も70歳まで働かす法ができたあと、支給開始年齢70歳がくるのは間違いない。さらに、安倍政権は後期高齢者の医療費引き上げも狙う」
-
社会 2018年10月29日 22時00分
男装して杖で裁判官を襲撃 アラフォーオバサンの犯行動機
10月10日、霞が関の東京地裁などが入る合同庁舎13階の廊下に、女性事務員の悲鳴が響き渡った。「男子トイレで手を洗っていた裁判官が、近寄ってきた“高齢の男性”に、突然、背後から杖で後頭部を殴られたんです。悲鳴は、開いていたドアから襲撃を目撃した女性事務員が上げたものでした」(法曹担当記者) 殴った高齢男性は非常階段を使って逃げ、幸いにも殴られた裁判官は軽傷。後頭部をハンカチで押さえ、駆けつけた職員たちに「大丈夫だ。かすり傷だ」と言って救急車を呼ぶのを断った。 逃げた犯人は、駆けつけた警察官に11階の女子トイレの個室で発見された。捜査関係者が言う。「犯人は女だった。すでにワンピースに着替えていて、肩まで髪を垂らし、巨乳だったそうだ。手に持っていたバッグには、犯行時につけていた男性老人用の短髪のカツラ、付けヒゲ、スーツ上下が入っていた。襲撃に使った木製の杖(長さ65センチ)は、ワンピースの中に隠していた。女はこの日朝、近くの日比谷公園のトイレで男装し、13階の部屋の近くに隠れ、裁判官を襲う機会を待っていたそうだ」 男装して襲った女は千葉県柏市の無職・鎌田千絵容疑者(39)。襲われたのは、東京地裁民事第11部の井出正弘判事補(38)だった。「以前、福岡地裁にいた井出裁判官は、平成28年から東京地裁で裁判官を務めていました。担当はもっぱら労働事件で、判決例としては今年1月、学生寮の警備員2人に残業代が支払われなかったという訴訟で、警備会社に支払い命令を出しています。鎌田容疑者は、勤めていた会社を巡る民事訴訟で、『私には我慢がならない調書の改ざんがあって、不満でならなかった』と、担当した井出裁判官襲撃の動機を語っています」(前出・記者) 鎌田容疑者は、ぽっちゃりした小太り体形で、どこにでもいる普通のオバサン。用意周到に準備して、わざわざ男装してまで裁判官を襲うようなタイプには見えない。 事件を知った近隣住民も、驚いた様子だった。「今は職についていないようですが、いつも穏やかで物静かな人ですよ。独身のようですが、ずっと勤めに通っていました。そんなことをする人には、とてもみえなかったです。勤め先で、よほど悔しいことがあったのでしょうね」 会社で、いったいどんな仕打ちを受けたのか。
-
社会 2018年10月29日 20時00分
ついに起きてしまった渋谷ハロウィーンの“度を越えた大暴動”
ハロウィーン直前の週末となった10月27日夜から28日未明にかけて、東京・渋谷の繁華街には、仮装した大勢の人々が集まった。 毎年トラブルが絶えない“渋谷ハロウィーン”だが、盗撮や痴漢の疑いで逮捕者が出るなど、今年も例に漏れなかったようだ。中でも、軽トラックが若者たちに取り囲まれて横転させられるという“事件”は、その様子を撮影した動画がツイッターに投稿されて物議を醸している。 動画では、横倒しになった軽トラックの上に2人の男性が立ち、周囲をあおっている様子がはっきりと映っている。撮影者によると、窓は割れ、屋根もへこみ、運転していた人は横転する前に逃げたという。その後、軽トラックの運転手からは被害届が出され、警視庁は器物損壊の疑いで捜査を始めている。 ネット上には、《誰かに迷惑をかけてまで騒ぎたいとかバカじゃないの》《もはやこれは暴動だな》《野蛮過ぎてもうハロウィーンじゃない》 といった批難の声の他、《渋谷区民だが、来年は本当に規制してほしい》《来年は禁止になっても仕方ないよね》 といった、規制を強く求める声が多く見られた。 事が起こる前の23日には渋谷区長が記者会見を開き、「モラルとマナーを持ってほしい」と要請したばかり。渋谷駅周辺のコンビニエンスストアなどに瓶入りアルコール飲料の販売自粛を求めたほか、同区観光大使・ナイトアンバサダーであり若者に人気のあるZeebra氏もラップでマナーを呼び掛けたが、残念ながら効果は一部にとどまったようだ。 路上には割れた酒瓶やゴミなどが多く散乱。また、異常な騒乱を避けて客足が遠のき、飲食店の売り上げが落ちるとして、区には多くの苦情が寄せられているという。 年末のカウントダウンやワールドカップなどの際は交通整理に努める程度にとどめ、路上での騒ぎに消極的ながらも寛容だった渋谷区。しかし、ここまでの被害が出ては、さすがに今後の対応を再検討しないわけにはいかないだろう。
-
-
社会 2018年10月29日 19時30分
英国の女子学生3人に1人が制服フェチ被害
世界最古の制服は、英エドワード6世が1552年に創設した「クライスト・ホスピタル」までさかのぼる。そのイギリスで、学校の制服を着た女子の3人に1人が「性的嫌がらせを受けたことがある」と、民間団体の調査に回答。世界的な話題となっている。 14歳から21歳の女性1000人を対象にしたアンケートで、学校の制服を着ている時に体を触られたり、ジロジロ見られたり、冷やかされたり、口笛を吹かれたりしたと回答。約25%の女子は、他人に無断で動画や写真を撮られたと答えた。 現地の金融マンが言う。「親の意識改革も必要だと思いますよ。僕の同僚は、18歳の娘に、『英国は紳士も多いが、“野郎文化”というものがあり、男とはそういうものだと知っておかなければならない』と口酸っぱく注意していると話していました」 実は、学生の制服は英国や日本だけのものではない。 モンゴルでは、今なお旧ソ連(ロシアになってから廃止)で採用されていたメイド服を制服としている。 ネパールは、チベット仏教の五色の旗「タルチョ」のうちの一色である黄色を採用し、目にも鮮やかな黄色のジャンパースカート姿の女子高生が闊歩している。 インドネシアでは小学生は赤、中学生は紺、高校生はグレーと制服の色が決められているという。 今回の調査で、女子学生の制服フェチが日本特有の性癖ではないことが証明されたが、彼女たちを性的な被害から守る決定的な対策は、世界中どの国にもない。「海外では、“制服を着た女子学生”が、性的な興味の対象であることがほとんどです。日本は、盗みを繰り返して人生を棒に振った某お笑い芸人のような“制服そのもの”に興奮する変態もいる。対策も、他国より難しいかもしれませんね」(風俗ライター) 性的な趣味が世界で最も細分化された我が国では、いかなる対策も無意味に思えてくる
-
社会 2018年10月29日 12時20分
リアル『中学生聖日記』? 43歳女、男子中学生を誘拐か コインランドリーで声をかける
有村架純主演、男子中学生と女教師の禁断の愛を描いたドラマ『中学聖日記』(TBS系)が話題だが、まるでドラマのような事件が起きた。家出中の男子中学生を誘拐したとして、未成年者誘拐容疑で、東京都品川区在住の43歳の女を20日に警視庁大崎署が逮捕。一部のネットユーザーからは「まさに中学聖日記」「うらやましい」といった声が上がっている。 事件の概要は、15日朝、品川区内のコインランドリーにいた家出中の男子中学生に女が声をかけて自宅に連れ込み、約5日間にわたって誘拐した疑い。調べに対し、女は「誘拐するつもりはなかった」と容疑を否認しているとのこと。 この事件に対し、ネットユーザーからは「男女逆だったらもっと問題になっていたのでは」という意見や、反対に「女性が男子中学生を誘拐したからこそ、話題になっているのでは」という声も上がっていた。また、多くみられたのが「家出中の少年を心配したからこその、善意での行動の可能性があるのでは?」といった意見だ。「その中学生の家庭に問題があったら、同じことの繰り返しになるのではないか」「中学生自身の教育を早急にすべき」といった、鋭い指摘がなされている。 2014年3月、埼玉県朝霞市に住む、当時13歳で中学一年生の少女を、車で大学生の男が拉致、そこから二年間もの監禁生活が続いたという事件があった。2018年3月、さいたま地裁で被告人には懲役9年(求刑懲役15年)が言い渡されている。検察側は量刑不当として東京高裁に控訴した。少女は重度の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負ったと診断されており、被告人に対しては、無期懲役を望んでいるとのことだ。『幸色のワンルーム』という漫画がドラマ化された際に、この事件をモチーフにしているという可能性が指摘されたなどの理由から、テレビ朝日が放送を取りやめたことは記憶に新しい。 今回の事件では、女がどのような目的があって中学生の少年を自宅に連れ込んだのかは不明だが、漫画やドラマのように、現実は純愛という認識にはならないことは確かなようだ。文/大久保 舞
-
-
社会 2018年10月29日 12時10分
小池都知事、メーテルのコスプレを披露し賛否両論 「そんな暇があったら公約を守れ」と厳しい声も
28日、東京・東池袋中央公園で開催された「池袋ハロウィンコスプレフェス2018」に、小池百合子東京都知事がコスプレでゲスト出演。その出来栄えにネットユーザーが騒然とする一幕があった。 小池知事が身にまとったのは、『銀河鉄道999』に登場するメーテル。黒いコスチュームにブーツ、そして金髪のエクステをつけ登壇すると、あまりの「似合いっぷり」にフェスに訪れた観客がMCから紹介されるまで、小池知事とは気が付かなかったという。 紹介を受けた同知事は、「メーテルの小池でございます」とノリノリ。コスプレをするのは三回目で、昨年も「メーテル」での登場を予告していたが、総選挙の影響もあり「公務のため」ということで欠席していた。なお、これまでは『魔法使いサリー』『リボンの騎士』に扮したことがある。 美しさをウリとするキャラだけに、小池知事の「コスプレ」は大不評。「こんなのメーテルじゃない」「メーテルの30年後?」「誰得?」など厳しい声が。また、『笑う犬の冒険』(フジテレビ系)のコントで内村光良がメーテル役を演じていたことを知っている人からは、「ウッチャンのほうが美人」と女性としてはかなりショックな声も出た。 さらには、「そんな暇があったら公約を守れ」「都知事としての仕事を優先するべきでは」「サブカル世代に媚びているだけ」という苦言や、「メーテルってよりめえってる(参っている)」「酩酊している」など皮肉る声も。 しかし、一部には「よく断らずに出た」「サブカルに理解を示してくれるのは嬉しい」という好意的な声もあった。 批判もあるが、都知事がサブカルに理解を示しているということだけを見れば、決して悪いことではないだろう。「メーテルにしては年齢重ねすぎ」の感は、否めないが…。
-
社会 2018年10月29日 06時00分
「家事分担表」がむしろ不満の原因に? 現代の“共働き夫婦”の実態と改善策は
2018年7月13日に総務省が「平成29年就業構造基本調査」を公表。「夫婦のみ」「夫婦と親」「夫婦と子供」「夫婦と子供、親」の条件に当てはまる全国2763万5000世帯のうち、夫婦共働き世帯は1348万8000世帯と全体の48.8%に上っていることが分かった。 共働きの増加には、社会の仕組みの変化と金銭的な問題という2つの側面がある。男女平等がうたわれ、女性の社会進出が一般化。終身雇用制度が崩れ始め、男性の雇用が不安定になる一方で、非正規雇用によって女性が働きやすくなったことがひとつの背景と考えられる。 消費税や社会保障の負担が増える一方で、年金は昔よりも支給年齢が引き上げられ、支給額も減っている。男性の収入だけで家庭を支えるのが難しい場合も多く、年金のことを考えると老後も安心はできない。このような金銭的な問題も共働き増加の一因である。 では、共働き夫婦の家事分担はどうなっているのだろうか。2018年7月2日に博報堂生活総合研究所がサラリーマン世帯の夫婦を対象に行った「家族30年変化」では、「夫婦の家事・育児参加意識」「夫婦の家事参加実態」「夫婦の役割分担」「仕事と家庭の両立意識」の4つについて調査した。 「夫婦の家事・育児意識」において、自身の家事参加に肯定的な夫は81.7%。夫の家事参加を希望する妻は85.1%となった。1988年の1回目の調査では肯定的な夫は38.0%にとどまっていた。夫の家事意識は30年かけて妻に追いついたようだ。 「夫婦の家事参加実態」において、夫が家事参加していると答えたのは13.7%だったのに対して、妻が家事参加している家庭は97.1%に上った。夫の意識や参加実態は過去最高の割合を記録しているものの、まだまだ妻が家事を負担しているという現状である。 「夫婦の役割分担」という項目では、「夫婦ともにできる方がやるべき」と平等な役割分担を希望している人の割合は過半数を占めた。一方、現状では7割が妻が家事をし、夫が仕事をするという昔ながらの形であることも分かった。現状への満足度は夫が80.2%、妻が68.3%と、夫側の割合が高い。 「仕事と家庭の両立意識」では、夫の4人に1人、妻の5人に1人が、それぞれが持っている仕事の量を減らし、家事に参加したいと希望している。夫の5人に1人、妻の3人に1人は仕事と家庭を両立させるために我慢している部分もあるということも分かった。 ネット上で実際の共働き夫婦の意見を見てみると、「男女共働きが当たり前の時代になっても家事育児は妻のものとされる男性の多いこと。我が家もそうです」「私は夫より年収が多いですが、夫は責任もって家事をやらない。あくまで作業」など、互いの年収や労働時間にかかわらず、妻の負担が大きくなっているという意見が目立つ。では、互いに不満を解消するためにどういう工夫をしているのだろうか。「分担表を作って細かく家事を分担している」という声も多いが、「分担表を作っても“私のやり方でやってほしい”という気持ちが強くなって、それ通りじゃないと“相手がさぼっている”と感じてしまう」など、逆に不満を抱えている家庭もあるようだ。 これは、家事に完璧を求めるがゆえにお互いに不満が増していることを示唆しているようだ。「家事そのものの量と面倒くささを軽くする」「お互いやりたくないことはやらない。気が付いたほうがやる」など、そもそも家事にかかる負担の総量を軽減させる工夫をしている夫婦も多い様子。「家事の分担について今の若い人って何でも決めたがるけど、結婚って妥協と歩み寄りなんだよ、結局」という意見もあり、きっちり分担することが正しいとも限らないようだ。 家事分担に対する意識は昔に比べ改善傾向にあるが、夫婦間で意識のズレがあり妻の負担が大きいという現状は変わらない。ここ数年で「家事支援サービス」の認知度や利用も増えている。夫婦だけで解決しようとせず、サービスの力を借りるのも家事分担の改善策となるだろう。
-
社会 2018年10月29日 06時00分
田中角栄「名勝負物語」 第二番 福田赳夫(6)
昭和47年(1972年)7月5日の東京・日比谷公会堂での自民党第21回臨時党大会。いよいよの「角福」両雄が、総裁選で雌雄を決する投票の場である。 田中角栄はその直前の地元・新潟での自らの後援会「越山会」の講演会で、“その日”を迎える心境をこう明かしている。「総裁になるということは、田舎から出てきた女が、料亭の下働きから始めて女中になり、やがてそこの家の女将になるようなもんだ。大変なことなんだ」と。 第1回投票には、すでに田中との間で決選投票になった場合は田中支持に回るとの“密約”を結んでいた大平正芳、三木武夫も出馬した。結果は、田中156票、福田150票、大平101票、三木69票であった。田中と福田の差はわずか6票。田中は1位を確保したものの「ちょっと少ないな」と渋い顔を見せ、福田もまたバックにいた佐藤栄作首相による「二人は君子の争い、決選投票になった場合は1位になった者に2位が協力すべき」の言葉から、1位をのがした無念さがにじんでいた。 誰もが過半数を獲れなかったことにより、決選投票となった。福田は6票差だったことも手伝い、まだ勝利の余地はあるとして、佐藤の言葉に従わず決選投票を辞退することはなかった。決選投票は、田中が第1回投票の大平、三木両派の票を上積みする形で280票、福田は190票と大差となったのだった。 福田は佐藤の“意向”と党内影響力に期待したが、時に世界情勢は「米中接近」が進むなど大きく変化しており、一方で、党内には「日中国交回復」の必要性も声高く、「福田は佐藤の亜流で日中国交回復はムリ」との見方も少なくなかったことも響いた。また、佐藤内閣のこの期の支持率は、史上最低となる16%まで落ちていたこともあり、党内影響力は極めて限定的になっていたことも福田には痛手だったのだった。 さて、自民党総裁に決まり、首班指名で首相の座に座ることになった田中の人気は爆発だった。それまで官僚出身の首相が続いた反発も手伝ってか、学歴も尋常高等小学校卒業の叩き上げだったことから、「今太閤」「庶民宰相」の声の中で、新内閣の支持率は史上最高の68%に達した。しかし、田中自身は浮かれることなく、こう身を引き締めた。「一兵卒として前線に赴く気持ちだ。銃口の前に立つ覚悟だ」 国家経営、国民の生命と財産に全責任を負うという緊張感が知れた。 一方の福田は、負けてなお恬淡、“敗戦の弁”をこう語ったものであった。「(第1回投票で)170人は大丈夫だと思っていたが、150になったのはビックリした。人の心は分からんものだ。敗因は、ワシが佐藤体制を代表しておるということでどうも新味が出て来ない、そんな印象はあったかと思う」(『文藝春秋』昭和47年9月号=要約=) 佐藤栄作という親分にさからっての命懸けの下克上に及んだ田中と、ある種の“禅譲”意識に甘えた福田との間には、戦闘開始の時点ですでに勝敗は見えていたということでもあった。★2閣僚兼務の異例の船出 そのうえで、田中は新内閣の閣僚、党幹部人事はもとより田中派で多くを固める中、主要閣僚に三木武夫副総理、大平正芳外相、中曽根康弘通産相を登用し、強力布陣を敷いた。まさに、キャッチフレーズの「決断と実行」に挑む意気込みを示したのである。 組閣にあたっては、こんなエピソードを残している。福田個人に対して、田中は「怨念はない」総裁選であったことはこれまでに記した。だが、食うか食われるかの死闘を演じた結果ではあるものの、田中は福田派から二人の閣僚を起用した。有田喜一経済企画庁長官、三池信郵政相である。 ところが、この二人に、二階堂進官房長官が内定の知らせをすることなく一方的に記者団に発表してしまったことから、ドタバタのスタートとなったのだった。いきなりの発表で心証を害した二人は入閣拒否、結局、田中首相が経済企画庁長官と郵政相ポストを兼務するという異例のそれとなった。当時の福田派担当記者の弁がある。「福田は有田、三池に『入閣したらどうか』と言ったが、二人は『打診も何もなく、田中は調子づいている』と聞かなかった。田中は福田との関係をつないでおきたかったということだが、意が通じなかったようだった」 かくて、田中時代の幕開けである。列島の過疎・過密、格差是正を目指してまず「工業再配置促進法」を制定、「日本列島改造論」の実施へ向けてスタートを切ると同時に、「日中国交回復」に向けて一気に歩を進めた。まさに、「コンピューター付きブルドーザー」を自認した田中ならではの“猛進”であった。 しかし、舞台の暗転は意外と早かった。(文中敬称略/この項つづく)***********************************************小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材49年のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『愛蔵版 角栄一代』(セブン&アイ出版)、『高度経済成長に挑んだ男たち』(ビジネス社)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。
-
社会 2018年10月28日 12時00分
企業・経済深層レポート コンビニも参入 過熱するコインランドリーの市場争奪戦
コインランドリー市場が急拡大している。厚労省の調査では、1996年に施設数9206店、それが2014年には1万6693店と増加。さらに業界関係者によると、現在は「ほぼ2万施設」に達したと推測する。20年間で倍増だ。一体、コインランドリーが増えているのには、どういう背景があるのか。 「コインランドリーは、かつては学生や単身の男性が利用客のメインでしたが、今の利用者は女性、特に主婦が増えています。市場が拡大しているのは家庭の主婦のパート就労率が高くなっていることが大きいですね」(業界関係者) 総務省が7月に発表した「2017年・就業構造基本調査」によると25歳から39歳の働き盛りの女性就業率は75・7%と過去最高。2012年の調査から5.9%もアップしている。さらに15歳から64歳女性の有職率も68・5%と前回調査よりも5.4ポイントも伸びた。これを受け、前出の業界関係者が指摘する。「これだけ女性が外で働くとなると、なかなか毎日、洗濯にまで手が回らない。土日にまとめて洗濯しようとしても、家庭用洗濯機では時間がかかるし、干場も限定される。また天気が悪いとさらに滞る。コインランドリーでは、機械の向上などで洗濯から乾燥まで1時間足らず。しかも1回ですべて洗えるので、働く女性にとっては効率的で便利このうえない。それが施設数増、市場拡大につながっているのでしょう」 「機械の大型化」によって、布団や毛布など、家庭では洗濯が難しいものの丸洗いができることも、利用客増加につながっているという。 「クリーニング店に布団や毛布の丸洗いを依頼すれば結構な価格。それよりもリーズナブルな価格で丸洗いができるコインランドリーを利用する人が増えていますね。そのため、経営側も20〜30㎏のものが洗える大型機械を増加させています。つまり今のコインランドリーは、スニーカーから布団まで、家庭の洗濯機で手に余るものは、ほとんど洗うことができます」(同) 利便性が高くなっているコインランドリーだが、それでも抵抗がある人は多い。主な理由は「衛生面が心配」「待ち時間を持て余す」「夜の防犯面が不安」などがある。そういった抵抗感がある人の緩和策と誘客に企業側も力を入れている。 九州を中心にFC展開し、店舗数が537店舗のコインランドリー業界最大手のWASHハウスは、全店舗をIT化し、WEBカメラによってセキュリティー面を高め、安心安全のコインランドリーを目指している。 「コインランドリー機器の遠隔管理システムによって、トラブルにも即対応できます。また、店舗運営や売り上げを一括管理することで出資者負担を大きく軽減、オーナーは最初に資金だけを出せば、ほぼ店舗運営に関与しないで済むのも人気を高めています」(同) WASHハウスに追いつき追い越せが「マンマチャオ」。2018年夏に500店舗達成、2020年までには1000店舗を目指す。同社は洗剤にヤシの実石鹸、水はマイナスイオンを帯びたお湯(ぬるま湯)にこだわり、清潔で環境に優しいエコランドリーを主張し、女性客の人気を集めている。 ソーシャルアパートメントを展開するグローバルエージェンツが運営する都内江東区白河の「ソーシャルランドリー」も注目されている。 「リノベーションされた10階建てアパート1階におしゃれなコインランドリーとカフェを併設。待ち時間を有意義にすごせるだけでなく、他の客と交流ができたり、『シミ落とし講座』といったイベントも開き、コインランドリーをソーシャルな場所として提供しています」(同) 伸びる業界と睨みコンビニ業界も動く。ファミリーマートは3月、千葉県内でコンビニ敷地内にコインランドリーを併設。続く5月、都内コンビニ内にコインランドリーを入れた一体型施設をオープン。名付けて「ファミマ ランドリー」だ。'19年度末に300店展開予定だという。 「コンビニと一体のため、女性客でも安心して利用できるセキュリティー面、さらに空き時間を事前にスマホで確認できるなど、利便性も高い。コンビニ利用が落ちる雨の日は逆にコインランドリー利用客が増え、コンビニで買い物もしてくれる。相乗効果も抜群なので、今後は増えていくと思います」(経営アナリスト) さらに、コインランドリー業界は外資系企業の参入も相次ぐ。ドイツ発祥で都内目黒にオープンした「フレディレック・ウォッシュサロン」は、コインランドリーの場でカフェ、物品販売、クリーニング、ミニライブまで展開する。 外資や他業種が続々参入している国内のコインランドリー業界。市場争奪戦が激しくなりそうだ。
-
-
社会 2018年10月27日 20時00分
王室批判記者を生きたまま切断 サウジアラビア“悪魔の忖度”
トルコ・イスタンブールのサウジアラビア総領事館で消息を絶っていたサウジ人のジャマル・カショギ記者が、総領事館内で死亡したことをサウジ政府がようやく認めた。「サウジアラビアの検察当局は、カショギ記者を自国に連れ帰ろうとした数人の人物が、館内でカショギ記者と口論になり、ケンカが行きすぎた結果、死亡したと説明しています」(国際ジャーナリスト) しかし、この説明を信じる人は、世界中のどこにもいない。トルコ当局は、殺害の様子を記録したとされる音声データを持っているとされ、その内容が詳しく報じられていたからだ。「あまりに残虐な内容でした。カショギ記者は、10月2日の昼すぎに、トルコ人女性との結婚の手続きのため総領事館に入った後、総領事の執務室から引きずり出され、隣室のテーブルの上で生きたまま体を切断されたのです」(同) 館内には同記者の叫び声が響いたが、薬物を注射され、静かになったという。「殺害には、15人の暗殺チームが関わっているとされ、実際にカショギ記者を切り裂いたとみられるサウジ人の法医学者は、イヤホンで音楽を聴きながら楽しそうに解体したとされています。その際、周りのメンバーに、『こういう仕事をする時、私は音楽を聴く。君たちもそうすべきだ』と話す様子も記録されていた」(同) 殺害に要した時間は、わずか7分間だった。 カショギ記者は、同国で圧倒的な権力を持つムハンマド皇太子の政策について批判を重ね、最近は米国を拠点に活動していた。 当初、サウジ政府は関与を全面否定していたが、世界的に批判の声が高まったため、「館内で死亡した」事だけは認め、サウジ人18人を拘束。同国情報機関の副長官や王室顧問ら5人を解任したと発表している。「殺害を命じた疑いをかけられているムハンマド皇太子については一切の発表がありませんでした。あくまで一部の関係者が忖度し、カショギ記者を誤って死亡させた“過失”で済ませようとしている」(海外通信社記者) こういう場合、民主主義を盾に徹底的に追及し、介入したがるアメリカも、大量に武器をお買い上げしてくれるお得意様のサウジには弱腰。トランプ大統領のマスコミ嫌いも手伝って歯切れが悪い。どうやら「忖度」は世界共通のキーワードになりつつあるようだ。
-
社会
都知事選 ラストサンデーで石原氏を袋叩き
2007年04月02日 15時00分
-
社会
都知事選特集 占い師対決
2007年04月02日 15時00分
-
社会
谷隼人が都知事選候補者を応援
2007年04月02日 15時00分
-
社会
都知事候補 黒川氏がメイドさんと“合体”
2007年03月31日 15時00分
-
社会
都知事選 ドクター中松、夜の渋谷交差点で新発明「回転舞台」披露
2007年03月30日 15時00分
-
社会
都知事選 石原氏「厳戒歌舞伎町演説」で語った手柄話
2007年03月29日 15時00分
-
社会
石原陣営に焦りアリアリ!? 今朝の政見放送でまさかの慎太“老”ぶし炸裂!!
2007年03月28日 15時00分
-
社会
都知事選政見放送で仰天マニフェスト
2007年03月27日 15時00分
-
社会
都知事選「浅草雷門で時間差対決、石原VSドクター中松」
2007年03月26日 15時00分
-
社会
都知事選 浅野スニーカー街頭演説でセクシーポーズ
2007年03月24日 15時00分
-
社会
都知事選 石原氏満員電車でGO!
2007年03月23日 15時00分
-
社会
都知事選きょう告示、石原氏ら第一声
2007年03月22日 15時00分
-
社会
桜金造都知事選正式表明
2007年03月20日 15時00分
-
社会
都知事選 黒川氏が石原知事をホリエモン呼ばわり
2007年03月19日 15時00分
-
社会
ホリエモン実刑
2007年03月16日 15時00分
-
社会
丸山弁護士東京都知事選出馬へ
2007年03月09日 15時00分
-
社会
石原カジノ構想消滅!?浅野氏に“追い風”吹く
2007年03月07日 15時00分
-
社会
上層部スタッフが告発 NOVA 怪文書
2007年02月21日 15時00分