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「家事分担表」がむしろ不満の原因に? 現代の“共働き夫婦”の実態と改善策は

 2018年7月13日に総務省が「平成29年就業構造基本調査」を公表。「夫婦のみ」「夫婦と親」「夫婦と子供」「夫婦と子供、親」の条件に当てはまる全国2763万5000世帯のうち、夫婦共働き世帯は1348万8000世帯と全体の48.8%に上っていることが分かった。

 共働きの増加には、社会の仕組みの変化と金銭的な問題という2つの側面がある。男女平等がうたわれ、女性の社会進出が一般化。終身雇用制度が崩れ始め、男性の雇用が不安定になる一方で、非正規雇用によって女性が働きやすくなったことがひとつの背景と考えられる。

 消費税や社会保障の負担が増える一方で、年金は昔よりも支給年齢が引き上げられ、支給額も減っている。男性の収入だけで家庭を支えるのが難しい場合も多く、年金のことを考えると老後も安心はできない。このような金銭的な問題も共働き増加の一因である。

 では、共働き夫婦の家事分担はどうなっているのだろうか。2018年7月2日に博報堂生活総合研究所がサラリーマン世帯の夫婦を対象に行った「家族30年変化」では、「夫婦の家事・育児参加意識」「夫婦の家事参加実態」「夫婦の役割分担」「仕事と家庭の両立意識」の4つについて調査した。

 「夫婦の家事・育児意識」において、自身の家事参加に肯定的な夫は81.7%。夫の家事参加を希望する妻は85.1%となった。1988年の1回目の調査では肯定的な夫は38.0%にとどまっていた。夫の家事意識は30年かけて妻に追いついたようだ。

 「夫婦の家事参加実態」において、夫が家事参加していると答えたのは13.7%だったのに対して、妻が家事参加している家庭は97.1%に上った。夫の意識や参加実態は過去最高の割合を記録しているものの、まだまだ妻が家事を負担しているという現状である。

 「夫婦の役割分担」という項目では、「夫婦ともにできる方がやるべき」と平等な役割分担を希望している人の割合は過半数を占めた。一方、現状では7割が妻が家事をし、夫が仕事をするという昔ながらの形であることも分かった。現状への満足度は夫が80.2%、妻が68.3%と、夫側の割合が高い。

 「仕事と家庭の両立意識」では、夫の4人に1人、妻の5人に1人が、それぞれが持っている仕事の量を減らし、家事に参加したいと希望している。夫の5人に1人、妻の3人に1人は仕事と家庭を両立させるために我慢している部分もあるということも分かった。

 ネット上で実際の共働き夫婦の意見を見てみると、「男女共働きが当たり前の時代になっても家事育児は妻のものとされる男性の多いこと。我が家もそうです」「私は夫より年収が多いですが、夫は責任もって家事をやらない。あくまで作業」など、互いの年収や労働時間にかかわらず、妻の負担が大きくなっているという意見が目立つ。

では、互いに不満を解消するためにどういう工夫をしているのだろうか。「分担表を作って細かく家事を分担している」という声も多いが、「分担表を作っても“私のやり方でやってほしい”という気持ちが強くなって、それ通りじゃないと“相手がさぼっている”と感じてしまう」など、逆に不満を抱えている家庭もあるようだ。

 これは、家事に完璧を求めるがゆえにお互いに不満が増していることを示唆しているようだ。「家事そのものの量と面倒くささを軽くする」「お互いやりたくないことはやらない。気が付いたほうがやる」など、そもそも家事にかかる負担の総量を軽減させる工夫をしている夫婦も多い様子。「家事の分担について今の若い人って何でも決めたがるけど、結婚って妥協と歩み寄りなんだよ、結局」という意見もあり、きっちり分担することが正しいとも限らないようだ。

 家事分担に対する意識は昔に比べ改善傾向にあるが、夫婦間で意識のズレがあり妻の負担が大きいという現状は変わらない。ここ数年で「家事支援サービス」の認知度や利用も増えている。夫婦だけで解決しようとせず、サービスの力を借りるのも家事分担の改善策となるだろう。

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