あのドラマとは、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系、2016年)のことだ。新垣結衣が家事代行として働く主人公・森山みくりを演じたことで、家事代行という職業を知った視聴者も少なくないだろう。細かな心情や社会問題なども取り入れた同ドラマは、さまざまな世代の共感を呼び大ヒット。SNSや動画サイトで一大ブームを巻き起こした“恋ダンス”も記憶に新しい。しかし、その影響力はそれだけではなかった。
同ドラマが最終回を迎える頃に、家事代行サービススタッフへの応募者が急増していたのだ。「18〜24歳の応募者は1.5倍。都内に限っては2.6倍になった」と、同ドラマを監修した家事代行サービス会社のベアーズが発表している。同ドラマの要所に出てくる、みくりの家事スキルの高さに「私もこんな風になりたい」と憧れを抱いた女性が多かったようだ。
しかし、家事代行サービスの利用については賛否両論あり、特に男女で意見は大きく分かれている。女性は「家事のストレスが減れば家族にも優しくできそう」「お金を払ってでもバランスのとれた食事を家族に食べさせたい」「共働きで頼れる人が近くにいないから助かる」「仕事と子育ての両立で限界だから旦那に相談してみようかな」と賛成派が多数。
一方、男性からは「家事は家庭内でするもの。他人に任せるな」「女性はイライラしすぎ、不平不満が多い」「家事は愛情表現のひとつじゃないの?」「他人を家にあげるくらいなら汚いままでいい」「子供に手伝わせればいい」など否定的な意見も多く見られた。
もちろんこれが意見の全てではないが、男女の意見が対立する形となった。家事代行サービスの市場規模は、将来的に6000億円まで拡大すると言われている(平成26年、経済産業省調べ)。市場拡大とともに家庭では家事代行が主流となっていくのか、それとも反対派が市場拡大を阻止するのか。まだまだ議論は続きそうだ。