社会
-
社会 2019年11月13日 12時00分
東京五輪マラソン札幌開催 小池都知事に吹く「再選当確」の追い風
東京五輪マラソン、競歩競技の札幌移転へ激しく抵抗していた小池百合子都知事は11月1日、「合意なき決定」「札幌変更で都の追加費用はゼロ」などの条件で決定権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)の軍門に下った。 小池氏はさぞかし失意のどん底にあるかと思いきや、然に非ず。「今回のIOCの決定に内心、高笑いが止まらないようです」と明かすのは都議会関係者だ。 というのも、IOCに対し徹底抗戦の姿勢を猛アピールしたことにより、都民の小池評価が高まったからである。来年に行われる都知事選挙で再選確実の追い風も吹き始めたというから強運の持ち主だ。 「“ドーハの悲劇”を再現するな」を合言葉に、突如、北海道・札幌への会場変更が急浮上した東京五輪マラソン。その背景を都庁関係者が明かす。 「直接のきっかけは、9月27日から10月6日までカタール・ドーハで行われた陸上の世界選手権です。暑さ対策で深夜に競技を行った女子マラソンですが、スタート時の気温は32度、湿度73・3%で最悪のコンディション。出場した68選手中、28人が棄権した。7位に入賞した谷本観月が所属する天満屋の武冨豊監督は『2度とこんなレースは走らせたくない』とコメントしたほどです」 女子マラソンと同じような気象条件で行われた男子50キロ競歩にしても、47選手中、完走できたのは失格者を含め28人だった。「東京五輪マラソンは8月上旬に行われ、ドーハ同様の高温多湿で酷暑。棄権者どころか死人が出るとまで囁かれていた。それを回避するため、札幌案が急浮上したといわれます」(同) IOCから相談を受けた大会組織委員会の森喜朗会長は小池都知事と犬猿の仲。これまで五輪会場、経費負担問題等で両者は再三激突している。森氏にすれば、天敵の小池都知事を外して事を進める方向で動き始めた形跡の他にも大きな思惑があったという。「IOCから最初に話を持ち込まれた森氏は、IOCの決定には逆らえないことを熟知していた。同時に、IOCの絶大な権限を利用したと、もっぱらです。つまり、積極的ではないにしろ五輪の華であるマラソンを東京以外の都市に変更することで、小池都知事を混乱させる…。指導力、政治力のなさを都民にみせつけ、来年の都知事選を有利に運びたい腹もあったはず。でなければ、組織委員会が打診を受けてから都知事に報告するまで空白の約1週間の説明がつかない。外堀を完全に埋めたうえで、IOCの決定事項を最後に小池都知事に通知したのでしょう」(都議会関係者)★策士策に溺れた菅官房長官 まず外堀は安倍首相、菅官房長官、橋本聖子五輪担当相、北海道と札幌市…。次々と了承を取り付けたうえで、IOCの札幌開催発表(10月16日)前日に小池都知事へ知らせたという。「ことさら、外堀りを埋めるのに大きな役割を果たしたとされる人物が、菅官房長官です」(自民党関係者) 小池氏と菅官房長官の関係が“水と油”なのは有名だ。小池氏は衆院議員時代の自民党総裁選(2012年)で、安倍氏を推す菅氏に同調しながら、最後の最後、石破茂元防衛相に寝返った。前回の都知事選でも菅官房長官肝入りの増田寛也元総務相と激突し勝利した。「札幌への会場変更話がIOCから持ち込まれると、菅氏は森氏同様、小池潰しの最大チャンスと捉えた節がある。IOC案に賛成し、自分が担ぎ出し当選させた鈴木直道・北海道知事に全面支援OKの返事を水面下で取り付けたのです」(同) しかし、小池氏は2人の想像を上回る反撃に出た。「機を見るに敏な小池氏は、森氏と官邸の梯子外しを再選への千載一遇のチャンスと捉えた。IOC、大会組織委員会、官邸は抵抗勢力。巨大権力に徹底抗戦を仕掛ければ、悲劇のヒロインのイメージを高められ再選確実と即座に読んだのです。案の定、小池氏の孤軍奮闘する姿に、都に寄せられた都民の声の9割は札幌移転反対。毎日新聞の全国調査でも、移転を『支持しない』が47%、支持が35%。逆に小池氏をないがしろにした森叩きも一挙に盛り上がる始末です」(小池シンパ) 小池氏は世論をバックに強気の姿勢を崩さない。10月30日のIOC協議では約10分間にわたり「1400万都民の代表として納得のいく説明を」「ワンチーム」を前面に出し、まるで世界に「IOCいじめ」を発信するかのように英語と日本語を駆使し発言した。 これには、IOCのコーツ調整委員会委員長と森氏も真っ青だった。「自民党は都連を中心に都知事選に独自対抗馬を擁立するはずだった。しかし、今回の東京五輪マラソン移転騒動で小池氏と戦っても、勝つのは至難の業です。都知事任期は来年7月30日まで。何もなければ、都知事選は東京五輪・パラリンピックの最中に行われるわけですからね。小池氏は都知事初当選時に旋風を巻き起こした後、舌禍で大失速した。以降、再選には黄色信号が点滅していた。しかし、都民から『知事はよく頑張った』の評価が一気に高まり、支持率も上昇したはず。誰が出馬しても怖くない」(同) 仮に、酷暑の東京でマラソン、競歩を開催したら各方面から何かしらの批判は噴出していただろう。「暗雲が立ち込めていた再選も視界良好となった。札幌変更は、まさに逆転満塁ホームランですよ」(同) 百合子は両手に花。
-
社会 2019年11月13日 06時00分
〈企業・経済深層レポート〉 婚活、農業、不動産…多業種で脚光を浴びるマッチングサービス
企業では必要な人材、個人では結婚相手など、ネットを活用したマッチングサービス市場が急成長している。民間調査企業の調べでは、潜在市場規模は2兆5000億円超えという数値もはじき出されるほどだ。 マッチングサービスの中でも急激に市場拡大しているのが、婚活マッチングサービスだ。国内の代表的IT企業「サイバーエージェント」関連企業の調べでは、2019年の市場規模は前年比約4割増の530億円に達し、’24年には約2倍の1037億円に拡大が予測されるという。 婚活マッチングサービスが急成長している背景を、経営コンサルタントはこう分析する。 「ネットでの異性とのマッチングサービスは、一昔前は『出会い系サイト』と呼ばれていて、出会い系サイトで知り合った男女がトラブルになる事件がニュースでもたびたび取り上げられたこともあって、イメージが悪かった。しかし、’15年に民間結婚相談所などの婚活事業者が、一般社団法人『結婚・婚活応援プロジェクト』を結成し、業界のルール作りや啓蒙活動を行い、婚活マッチングサービスの透明化をはかりました。これによって、ネットの婚活マッチングサービスは『出会い系サイト』とは違い、健全なサービスであるという利用者の信頼を獲得し、異性との出会いツールとして定着し始めたのです」 婚活マッチングサービス拡大の理由はこれだけではない。「1960年代では30歳代後半の未婚男性は4%、女性は6%。それが2015年になると男性は35%、女性は24%に急増。この背景には個人の価値観を重んじる傾向に加え、街の仲人さんと職場結婚の激減が大きい。リクルートブライダル総研の調査では20〜40代の未婚者は男性80%、女性65%が出会いの場がない状況に陥ったのです」(同) そこで脚光を浴びたのが結婚相談所といった婚活サービスだった。「しかし、民間結婚相談所は諸費用がけして安くはない。登録料から成婚コストまで含めると数十万円を超えるケースも多い。この経費を極力抑えた形で登場したのがネット婚活マッチングサービスだったのです」(同) 月会費が3000〜4000円台、高くても1万円前後。総じて相談所よりコストが安い。このため若者中心に急速に利用者が拡大していく。 ちなみにリクルートのブライダル総研の’18年婚活実態調査によれば婚活マッチングサービスも含まれる「婚活サービス」で結婚した人の割合は、’00年1.4%だったのが、’18年には過去最高の12・7%にも達した。 ネットを活用したマッチングサービスは婚活業界以外にも増えている。 例えば不動産業界では、「空き家専門マッチングサービス」がある。「今、日本は空前の空き家問題に直面しています。総務省統計では、’18年の全国の空き家数は846万戸、’30年には2000万戸の予測。不動産会社が売れる見込みがないと判断した家でも、『空き家専門マッチングサービス』では、買い手が見つかると注目を集めています」(不動産関係者) 「空き家専門マッチングサービス」では、物件を見た人が売り手と直接交渉。交渉がまとまり、契約段階でサイト運営側の専門家が法的トラブルのないよう取引をまとめ、一定の手数料を得る。売買双方に不動産業者が絡まないため格安手数料で済むという。 「不動産業界では、店舗や住宅機能を高めるリノベーションでもマッチングサービスが動き出していて、デザイン賞の受賞経験がある日本のトップクラスのデザイナーと客を直接マッチングするネットサービスも誕生しています」(建築デザイナー) スポーツ業界でもマッチングサービスの利用が拡大している。例えば株式会社東京ドームは、スポーツ経験者と習いたい人をマッチングするサービスを始めた。「スポーツ経験者で講師になりたい人が事務局との面接を経て、スポーツ講座をWEB上に登録。受講者は受講料を払い講座に参加。ドーム側は手数料として受講料の25%を得るシステムです」(男性インストラクター) 講座は一般的な「陸上の走り方講座」に始まり、「アクロバット忍者教室」など、多種多様で受講者の満足度も高いという。 農業業界でも、多忙農家の人材確保、農機具の貸し借り、農作物の売買などができるマッチングサービスが出てきている。「ネットマッチングサービスは、効率的で利便性が高く低コストにつながるため、あらゆる業種での活用が広がっています」(前出・経営コンサルタント) マッチングサービスは今後も増える気配だ。
-
社会 2019年11月13日 06時00分
「ノートをレンジでチン」動画、子供が真似し危うく大事故に その後親にも批判殺到【暴走ユーチューバー炎上事件】
昨今、YouTuberが子供に人気となり、憧れの職業となっている。かつてテレビを見て育っていた子供も、大人同様ネット動画に流れている様子。 しかし、動画の配信者は、必ずしも子供の目を意識しているとは言い難い。中にはコンプライアンスを逸脱した動画もあり、子供が真似をして問題になったこともある。中でも物議を醸したのが、2016年10月に発生した事案。人気YouTuberが公開した動画を子供が真似したため、クレームが殺到し炎上したのだ。 問題となった動画の内容は、フリクションボールペンで文字を書いたノートを電子レンジに入れ温めると文字がすべて消えるという動画。YouTuberが実践してみると、確かに文字が消えていた。 動画から数日後、あるブロガーが「子供が(フリクションペンとは知らずに)鉛筆で文字を書いたノートを電子レンジで温めたところ、爆発した」という趣旨の記事を公開。その中で実際に真っ黒に焦げたノートの画像を貼り付けた上で、「実際にやってみるとノートが焦げて黒焦げになり煙が上がった」と告白する。 当時執筆者とその妻は外出していたそうで、祖母が対応したが、かなりの煙が上がっていたそうで、「子供1人だったら生命の危険もあった」とし、「電子レンジで加熱することに注意喚起がなかった」「子供に対し両親といっしょにやってくださいというような配慮がない」「みんなもやってみてくださいと呼びかけるのは無責任」とし、「配慮が足りない」と糾弾した。 これに対し、YouTuber側は動画をアップし、「注意が足りなかった」と非を認め謝罪し動画を削除する。「小中学生が見てくれていることを意識して、言葉を選んで、みなさんに不快なことが起きないような動画を作りたい」などと話し、一応の手打ちとなった。 ところが、この話はこれだけでは終わらない。YouTubeの利用規約では13歳未満の子供による利用を意図しておらず、「あなたが13歳未満の場合、YouTubeウェブサイトを利用しないで下さい。あなたに、より適しているサイトが他にも沢山あります。あなたにそのサイトが適しているか、ご両親に相談してください」と記載されていたのだ。 この指摘が入ると、批判の矛先は親へと向けられる。「YouTuberも悪いけど、13歳未満の子供に動画を見せた責任はどうなるのか」「子供に自由に動画を見せている親にも責任がある」と批判が集まり、親は利用規約を知らなかったそうで謝罪することになった。 YouTuberと批判した親の双方が炎上することになった2016年の事案。実際のところ、「13歳未満はYouTubeを閲覧する権利がない」という利用規約を知っている親は少なく、子供が将来憧れの職業にYouTuberを挙げている事実から見ても、閲覧を許している親は現在も多い。 年々コンプライアンスを重視し、動画配信者の収益化対象審査を厳しくしていると言われるYouTubeだが、教育に適さない動画が散見される。親側は利用規約をしっかりと認識し、配信者側は子供の目も意識する。そしてYouTube側もしっかりとチェックをする。そのような3者の配慮が必要だ。
-
-
社会 2019年11月12日 22時00分
北朝鮮 金正恩委員長が震え上がる米軍「イスラム国指導者殺害」
10月27日、トランプ米大統領はイスラム過激派組織「イスラム国」(IS)の指導者アブ・バクル・アル・バグダーディーがシリア北西部で、米軍特殊部隊の軍事作戦で殺害されたと発表した。その後、一部だが映像も公開されている。「米軍によるイスラム過激派組織壊滅作戦で、2011年にアルカイダのウサマ・ビン・ラディン指導者を殺害したのは海軍特殊部隊『ネイビーシールズ』でしたが、今回の作戦遂行は陸軍特殊部隊の『デルタフォース』です。支援は第75レンジャー連隊など陸軍が主力となり、JSOC(統合特殊作戦コマンド)指揮の元に実行されています」(軍事ライター) 世界の独裁者は特殊部隊のスゴ腕を前に身震いしただろうが、中でも金正恩党委員長は戦々恐々としているに違いない。 米ソ冷戦時代の1989年12月、ルーマニアの独裁者、ニコラエ・チャウシェスク大統領夫妻が、民主化を勝ち取った新政権の手により惨殺された映像が世界中に配信されたことがある。「その映像を見た当時の金日成主席と金正日総書記は顔面蒼白となり、椅子から転げ落ちたという話があります。当然、トランプ大統領もこの話を情報として得ているはずで、ニュース配信には北朝鮮に対して『グズグズ御託を並べていると俺の忍耐にも限界があるぞ』というメッセージを込めているとみていいでしょう」(北朝鮮ウオッチャー) というのも、最近の北朝鮮の金正恩党委員長は、トランプ大統領がウクライナ疑惑で追い詰められていることをいいことに、やりたい放題なのである。 10月31日に北朝鮮は日本海へ向けて、短距離弾道ミサイル2発を発射。日本のEEZ(排他的経済水域)の外に落下したとはいえ、今年5月以降、すでに12回目、計20発以上もミサイル発射実験をしている。 加えて、11月1日付の北朝鮮労働党機関紙である労働新聞が「超大型ロケット砲の発射実験に成功した」と報じている。このロケット砲は北朝鮮が新たに研究開発してきた兵器の一つとされ、日本政府は国連安全保障理事会の決議違反となる弾道ミサイルと断定している。移動式発射台を使って奇襲的に発射でき、韓国中部までをも射程に収め、韓国軍や在韓米軍の脅威となる新兵器だ。「さらに北朝鮮の最新の移動式ミサイル発射台は、中国製ではないかという疑いが出てきています。中国が経済・軍事両面で北朝鮮を支援していることからも対米交渉に余裕が出てきたのでしょう。正恩氏がポスト・トランプを考えながら非核化交渉の長期化を狙い、非核化交渉の優先度を下げ始めているのは明白です」(国際ジャーナリスト) 北朝鮮がミサイル発射を続け、非核化に応じる気配もなく、さらに中国に急接近している兆候を見て、トランプ大統領も見逃せなかったようだ。「今回は親書ではなく『IS指導者が犬のように泣き叫びながら死んだ』というニュースを配信し、これを正恩氏へのメッセージとしたのです。米国はすでに正恩氏を殺害する準備は万端で、対米交渉で強気に出ている正恩氏の首にナイフを突き付けたも同然です」(同) 北朝鮮に不審な動きがあれば、米国はすぐ動くという。なぜなら、米国は朝鮮半島の有事を想定した米韓両軍の平壌を制圧する「5015作戦計画」にのっとり、北朝鮮の大量殺傷破壊兵器破壊と正恩氏ら首脳部を除去する斬首訓練を秘密裏に、そして、綿密に行ってきた。「作戦に投入されるのはビン・ラディンを殺害した特殊部隊の『ネイビーシールズ』です。このチームを搭載した米海軍のオハイオ級原子力潜水艦『ミシガン』が韓国に寄港したという噂が流れただけで、正恩氏は姿を現さなくなると言われています」(前出・軍事ライター) トランプ大統領を軽視して追い詰められた正恩氏。ただ、北朝鮮にはトランプ大統領の怒りを買ったとしても、ミサイル発射をしなければいけなかった深刻な事情もあったという。「正恩氏は昨年4月に『並進政策(核建設と経済建設)』を破棄し、経済建設一本でいくという大きな方針転換を行いました」(前出・北朝鮮ウオッチャー) ところが、これに強く反発しているのが、北朝鮮の最大最強勢力である120万の朝鮮人民軍だという。「リゾート開発の工事に多くの軍人が駆り出されています。国防を疎かにし、屈辱的ともいえるリゾート建設の労働力としてコキ使われていることに、軍人たちの不満は爆発寸前なのです。正恩氏としては、ミサイル発射でガス抜きをしなければクーデターさえ起きかねない状況でした」(同) 加えて、2017年に国連安保理が決議した一連の対北朝鮮経済制裁措置によって、北朝鮮は兵糧攻めのような状態に陥っている。 実際、10月23日に国連のキンタナ特別報告者が「北朝鮮は国民の半数近くにあたる1100万人が栄養不足に陥っていて、警告すべきレベルに達している」と述べている。「重油も不足していて、冬が目前だというのに暖を取る方法がありません。このまま行くと、大量の凍死者や餓死者が出る恐れがあります」(同) 危機的な状況の北朝鮮は、国内からいつ反体制派が反旗を翻してもおかしくない。「事実、今年10月16日付の北朝鮮メディアは、正恩氏が白頭山に登頂したことを報じたが、この1号行事(トップシークレット)が事前に漏れていたことが発覚し、関係当局が大騒ぎになっている。一部には西側に内通する反体制派の仕業ではないかという見方も浮上しています」(同) 軍の溜飲を下げるためにミサイル発射は続けたい正恩氏だが、「イスラム国指導者殺害」によって米国から最終警告を受けている。 正恩氏、万事休すか。
-
社会 2019年11月12日 11時45分
園児暴行の保育園副園長、保育士にも下唇が切れるほどの暴行が判明し逮捕 開き直った発言にも呆れ声
11日、福岡県宗像市の保育園に勤務し、園児への暴力で逮捕されていた41歳の女性副園長が、新たに保育士にも暴力を振るったとして傷害の疑いで逮捕されたことがわかった。 この副園長は10月、園児の顔を殴ったとして逮捕されていたが、その後宗像市の調べで、2011年に副園長に就任後、60人の職員を退職させていることも判明。さらに、「園児に対しトイレ前で食事させる」「味噌汁を頭からかける」「階段から園児を蹴り落とす」などの行為に及んでいたという報告も寄せられていた。 11日になり、この副園長が2018年6月、勤務する女性保育士に対し顔面を殴るなどの行為に及んでいたことが判明。警察によると、副園長は被害保育士と「ブリッジ体操」を園児に指導しており、その後別室に移動、防犯カメラの死角に移動した上、平手で複数回頬を殴り、下唇を切る全治約5日の怪我を負わせた。 女性は2018年6月に退職。その後の話し合いで園長からは謝罪があったものの、加害者である副園長は謝るどころか、「手で顔を押さえていたので払い除けただけだ」と開き直ったのだという。 副園長は警察の取り調べに対しても容疑を否認しており、「叩いておりません」などと話している。今後捜査が進められていくものと思われるが、被害を受けた女性とは別の保育士からも「人格を否定されるような言葉を投げかけられた」「被害を受けた保育士がトイレ掃除を一日中やらされていた」という情報もあり、同僚にもパワハラを行っていた可能性は高く、暴行した可能性は高いと言わざるを得ない。 新たに発覚した「同僚への暴力」に、ネットユーザーからも「酷すぎる」「教育者とは思えない」「立場の弱い者をいじめている。最低だ」と怒りの声が上がる。また、保育園側についても「なぜこの副園長をやりたい放題にさせていたのか」「園長は何をしていたのか」と保育園側の責任を問う声もあった。 幼い園児と立場の弱い女性保育士に対し暴力行為に及び、体だけではなく、心にも傷をつけた副園長。教育者として不適格と言われても、致し方ない。
-
-
社会 2019年11月12日 06時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第344回 医療の「余裕」を削減してはならない
誰かの赤字は、誰かの黒字。誰かの黒字は、誰かの赤字。これは、誰も否定できない法則である。 大相撲を例にすると分かりやすい。1つの場所において、すべての力士が勝ち越すことは可能だろうか。もちろん、不可能だ。白星の力士の反対側には、必ず黒星の力士がいる。全力士の勝ち越し、あるいは負け越しの数字を合計すると、必ずゼロになる。 経済における黒字、赤字も同じだ。国民経済を織りなす4つの経済主体、すなわち「家計」「企業」「政府」そして「海外」の収支(黒字、赤字)の合計は、常にゼロである。 例えば、4つの経済主体の内、家計、企業、政府の3者が黒字になったとき、海外は絶対に赤字。そして、赤字額は家計、企業、政府の黒字額の総計と等しい。 安倍政権は、いまだにプライマリーバランス(基礎的財政収支、以下PB)の黒字化目標(2025年)を掲げている。政府が赤字を縮小すると、その分、民間(家計、企業、海外)の黒字が縮小するか、もしくは赤字が拡大する。 安倍政権のPB黒字化目標とは、民間赤字化目標なのである。安倍政権は図の「成長実現ケース」に沿った形で、2025年にPB黒字を達成しようとしている。つまりは、民間の黒字を減らすか、もしくは赤字を拡大させるわけだが、さすがに、「政府の黒字を達成するため、日本国民や日本企業の黒字を減らし、皆さんを貧困化させます」とは説明できない。 というわけで、安倍政権のPB黒字化目標は、海外の赤字をリーマンショック前の水準まで膨らませることが前提となっている。つまりは、日本の貿易黒字を、アメリカ不動産バブル絶頂期(’06年)規模に拡大するという話だが、そんな妄想を信じる人は1人もいないだろう。何しろ、米中貿易戦争、ブレグジット、ユーロ圏の失速と、日本の外需の環境は悪化する一方である。 というわけで、安倍政権はPB黒字化目標を達成するために、結局は「民間の家計・企業の黒字を削る」路線を採らざるを得ない。企業優先の傾向が強い安倍政権の場合は、特に「民間の家計の黒字を削る」ことに主眼が置かれることになるだろう。 10月1日に消費税率が10%に引き上げられ、我々「家計」は可処分所得を減らされた。消費税増税による需要縮小対策として、キャッシュレス決済のポイント還元が行われているが、これも’20年6月末で終了だ。オリンピックの直前、日本の家計は消費税「再増税(事実上)」の憂き目に遭うことになる。 とはいえ、増税で我々の所得を奪い取るだけでは、PB黒字化は達成できない。世界屈指の自然災害大国において、防災投資を削り、教育や科学技術といった将来のための予算も削減。そして、最大のターゲットが社会保障費、具体的には年金や医療費なのだ。 10月28日、安倍総理大臣は、経済財政諮問会議において、都道府県ごとに策定された構想に基づき病院を再編し、過剰なベッド数の削減などを進めるよう関係閣僚に指示した。財務省の「飼い犬」たる経済財政諮問会議は、厚生労働省が公立・公的病院の再編、統合をめぐり、診療実績が特に少ないなどの全国400余りの病院名を公表したことを受け、「病院や過剰なベッドの再編は、公立公的病院を手始めに、官民ともに着実に進めるべきだ」と、提言した。 特に、ターゲットになっているのは「地方の医療」である。今後、我が国の地方では、病気になったとしても、「病院が存在しない」「ベッドに空きがないため入院できない」状況が加速していくことになる。 そもそも、診療実績が少ない病院とは、まことに結構な話ではないか。何しろ、住民が健康で、医療サービスを受ける必要がないことを意味しているのだ。 むしろ政府は、国民の健康状態が改善し、病院に通う人が減ったとして、「それでも、いざというときに備え、各地の病院の供給能力を維持するためにはどうすればいいのか?」に、知恵を絞らなければならないはずだ。 かつての日本人が、地域の土木・建設業を健全な競争の下で存続させるために、指名競争入札と談合という「知恵」を働かせたのと同じである。 落ち着いて考えてみて欲しいのだが、例えば、「犯罪が激減し、刑務所の刑務官が暇をしている」社会は、悪い社会なのだろうか。犯罪が減っている以上、「よい社会」なのではないか。犯罪減少で刑務所の受刑者が減ったとして、「犯罪が(今は)減っているのだから、刑務所は維持不要。刑務官も解雇しろ」と主張する人がいるのだろうか? あるいは、警察は? 消防は? 自衛隊は? 「今」は犯罪が減っている、火事が減っている、あるいは敵国の軍隊が侵略してこない。ならば、警察官を、消防官を、自衛官を減らそう。 安倍政権はこの種の愚かしい議論をしているのだ。もちろん、根底に「緊縮財政至上主義」「PB黒字化目標」という、狂った思想があるためである。「今、患者数が少ないならば、病院やベッドは不要」と、実に幼稚な議論をやっているのが、現在の安倍政権なのである。 ならば、警察も、消防も、自衛隊も規模を縮小してしまえばいい。犯罪に会うのも、火事を消すのも、敵国の軍隊から身を守るのも、すべて「自己責任」で切り捨てればいいのだ。とはいえ、さすがにこの手の話をすると国民が怯えるため、とりあえず「削りやすい」医療サービスの供給能力をターゲットにしているわけである。 終わらない緊縮財政。日本国民は「平時の過剰な病院やベッドは、非常時に国民を救う余裕である」という、当たり前のことを理解し、PB黒字化目標を政権に破棄させる必要がある。非常時に我々の生命を救う、医療の「余裕」を削減してはならない。********************************************みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
-
社会 2019年11月11日 12時20分
池袋暴走事件の飯塚氏「安全な車を開発するように」「高齢者が安心して運転できる社会に」と発言、批判集まる
今年、東京・池袋で自動車を暴走させ、妻と子2人を轢き殺すなど10人を負傷させた飯塚幸三氏が、事件について「車の性能が悪い」とも取れる趣旨の発言をしたことが判明し、怒りの声が広がっている。 これはJNNが単独取材の様子を公開したもので、帽子を被った飯塚氏は「おごりがあったのかと思い反省しております」「自分の体力にはその当時自信があった」などと語る。 そして、飯塚氏は取材陣に対し、「安全な車を開発するようにメーカーの方に心がけていただき、高齢者が安心して運転できるような、外出できるような世の中になってほしいと思っております」と話す。 これは「運転していた自動車には問題があり、高齢者には安心して運転できない車だった」と取れる発言である。なお、警察の調べでは、飯塚氏の運転していた車に性能的な問題はなく、同氏がアクセルとブレーキを間違えたことが事故原因であると断定されている。 このインタビュー内容が拡散されると、「高齢者の運転のせいで若者や子供の命が脅かされている」「車のせいにするなんてとんでもない」「全く反省していると思えない」「この期に及んで自己保身するな」と怒りの声が広がる。 政治評論家の加藤清隆氏はTwitterで、「これじゃ丸っ切り被害者面。書類送検されて、実刑どころか不起訴か。悔しい!」と怒りの声を上げ、それを見た元小説家の百田尚樹氏も、 「要するにこのクソジジイは、『アクセルとブレーキを踏み間違えても人を轢き殺さないような車を作れ!』と言ってるわけか。『でないと、ワシは安心して車を運転できないじゃないか!』と。人として終わってる」 と、飯塚氏を激しく糾弾した。 今後、書類送検される予定という飯塚氏。2人を殺めたにもかかわらず、収監されず他人事のように事件を語り、車の性能に言及する姿は、反省がないと言われても致し方ない態度だった。このままでは、命を奪われた2人と遺族が不憫でならない。記事の引用について百田尚樹Twitter https://twitter.com/hyakutanaoki加藤清隆Twitterhttps://twitter.com/jda1BekUDve1ccx
-
社会 2019年11月11日 06時30分
菅官房長官包囲網 子飼い議員狙い撃ち“ゴリ押し大臣”辞任ドミノ裏
10月31日、河井克行法相(56=衆院広島3区)が安倍晋三首相に辞表を提出し、受理された。 今年7月の参院選広島選挙区で初当選した妻の案里氏(46)の陣営が、ウグイス嬢に法定上限を超える3万円の日当を払っていたとする「運動員買収疑惑」を受けてのスピード辞任だった。 同日発売の『週刊文春』が報じた疑惑に対し、克行氏は「私も妻もあずかり知らない」としたが、「疑義が生じたこと自体、法の番人として国民の信頼に耐えうるものではない」と辞任の理由を説明した。 政治部記者が語る。「案里氏の選挙では、克行氏が選対本部に入り、金銭の出入りから選挙活動の一切を取り仕切りました。弁明を額面通りには受け取りがたい」 克行氏は慶応大学卒業後、松下政経塾から広島県議を経て1996年の衆院選で初当選。同期の菅官房長官とは密接な間柄で知られる。「菅さんを“ガースー”とあだ名で呼べるほどの仲で、勉強会を頻繁に共催していたほど。初入閣にあたっても、菅さんの強力な推挙がありました。今回の報道では、菅さんがかばうのではないかとみられていましたが…」(自民党関係者) 同じ慶応大学出身だった妻の案里氏とは、克行氏が落選中に知り合い、2001年に橋本龍太郎元首相を仲人として結婚した。 その後、案里氏も、宮崎県の出身ながら克行氏のバックアップを受けて’03年に広島県議に初当選。上昇志向が強く、’09年には36歳という若さで広島県知事選に出馬するもダブルスコアで敗北。その後、県議に出戻っていた。「漢字表記は違いますが、同名のAV女優がいたほどで、名前の響きと容姿がかわいいため、県議時代から目立つ存在でした。夏場はノースリーブが多く、男性の議員や県職員を悩殺していましたよ。ただし、性格は真逆で向こう気が強く、知事選で敗れた湯崎英彦知事には常に敵意をむき出しにして、議場で当たり散らしていた」(地元記者) 今回のような運動員の買収は、実際には慣例化されていると言っても過言ではないが、立件されたケースもある。 6年前の参院選では、小沢一郎氏が当時率いた生活の党から出馬して落選した広野允士元参院議員の陣営が、ウグイス嬢に3万円の日当を払っていたことが発覚。当時の公設第一秘書が逮捕されて有罪判決を受けたことで広野氏も連座制が適用され、5年間にわたって地元選挙区から出馬が禁じられたのである。 捜査当局の出方次第では、案里氏はもちろん、克行氏の責任までも問われ、議員失職や立件の可能性も浮上する。「そうした最悪の事態を見据えて、早めに辞表を書かせたのは間違いない。法相ということで、韓国の“タマネギ男”こと曺国氏に関連付けられてバッシングがヒートアップするのを回避したという側面もありますが、河井夫婦は何かと目立つ存在ですから、カネなどが絡んだ二の矢、三の矢のスキャンダル報道が出てくる前に辞任させたのです」(前出・自民党関係者) 目立つといえば、辞任ドミノの先陣を切った菅原一秀前経産相(57=衆院東京9区)も負けていない。「学生時代にTRFのSAMとダンスチームを組んでいたというのが自慢で、何かとダンスを披露したがる。とにかく目立ちたがり屋で、『早稲田実業で甲子園に4度出場』とPRしていましたが、実際は“アルプススタンドで3度応援していただけ”というイタい人物です」(地元関係者) 菅原氏のクビをとったのも『週刊文春』。秘書給与のピンハネや後援会関係者へのメロンやカニのばらまき疑惑の渦中に、公設秘書が有権者に香典を渡していたことまで明るみとなり、10月25日に辞任に至った。「’09年にも支援者へのメロンのばらまきが報じられ、’16年には元交際相手が告発。『子供を産んだら女じゃない』とか『25歳以上は女じゃない』といった女性蔑視発言や、国会をサボって同伴でハワイ旅行に行っていたことなどを洗いざらいぶちまけられたこともありますよ」(同) 以前から醜聞まみれだった菅原氏が入閣できたのも、菅官房長官のおかげ。菅原氏の父親と、菅官房長官が秋田県の高校で同窓ということもあり、特に目をかけられているのは永田町界隈では有名な話だ。「菅原氏は、菅さんを次期首相に担ぎ上げるための勉強会である『令和の会』の立ち上げを担い、菅グループを実質切り盛りしている最側近。菅さんのような大物には尻尾を振りますが、秘書への暴言やパワハラがひどく、いままで数十人近くが菅原事務所を辞めています。そんな人を菅さんは長年かわいがり、今回もかばおうとしていました」(前出・自民党関係者) 内閣改造当初、河井氏、菅原氏と並んで“菅派三大臣”と称された小泉進次郎環境相(38)も、発言が空疎で内容が伴わないとして「ポエム」と揶揄され、国連気候行動サミットでの「セクシー」発言で一気にバッシングの対象となった。「資産公開で妻の滝川クリステルが2億9000万円も貯め込んでいたことが公になると、公表システムが閣僚の不正蓄財防止のため必要不可欠な措置であるのに、『ルールではあるが、率直に申し訳ない』などと発言。政治家としてのモラルが決定的に欠けていることを露呈しました」(前出・政治部記者)★手段を選ばぬ“全面抗争” 菅官房長官のプッシュで入閣した3人が漏れなく問題児であることが明らかになり、党内での求心力の低下も著しいという。なぜ、“菅チルドレン”ばかりが狙われるのか。「ポスト安倍の筆頭格である菅官房長官の勢いを削ぎたいと考える勢力が、一連のスキャンダル報道を仕掛けたと囁かれています。4選を水面下で狙っている安倍晋三首相や、かねてから折り合いが悪い麻生太郎財務相なども名前が挙がっていますが、リーク元として最も有力なのは岸田文雄政調会長率いる岸田派による謀略説です」(同) 岸田派は、今夏の参院選で4人の現職議員が落選した。そのうちの1人が、広島選挙区で案里氏に敗れた溝手顕正氏(77)だ。 これまで広島選挙区は、2議席を溝手氏と野党候補が分け合うかたちだったが、今回は官邸の強い意向で案里氏を追加で擁立。自民の票が分散することとなり、溝手氏は5期死守した議席を失った。「溝手氏は安倍首相に批判的な主張が目立っていたことから、官邸が案里氏を擁立し、溝手氏を放り出したのです。このため、溝手氏サイドは今も腹に据えかねている。岸田さんも“選挙に弱いリーダー”という烙印が押され、特に菅官房長官への恨みは強い。河井夫婦の公選法違反疑惑で案里氏を議員辞職に追い込み、溝手氏が補選に出馬して議員に返り咲くという絵図を描いているのかもしれません。岸田さんも地元は広島なので、子飼いの県議・市議は多い。河井夫婦のネタは、まだまだいくらでも入る状況です」(同) このままでは「菅官房長官に近づくと狙い撃ちされる」という空気になり、菅グループの結束にも影響が出る。 そもそも、所属の派閥がありながら、次代の勝ち馬に乗ろうという議員の寄せ集めが菅グループの実態だけに、一気に瓦解する恐れもあるのだ。 こうした“菅包囲網”に対し、当の菅官房長官は「俺に仕掛けてくるなら、こっちも手段を選ばないぞ」と全面抗争も辞さない覚悟だという。「困っているのは安倍さんだ。菅さんは各省庁に子飼いの官僚がいるし、内調(内閣情報調査室)をしっかりと抱き込んでいるので、あらゆる情報が入りやすい。スキャンダル合戦になれば政権のレームダックにつながるし、これ以上、菅さんの存在感が強まると自身の4選も危うくなるからな」(永田町関係者) 足の引っ張り合いにリーク合戦と、疑心暗鬼渦巻く官邸。次は「誰が背中から撃たれる」のか――。
-
社会 2019年11月11日 06時00分
田中角栄「怒涛の戦後史」(12)元首相・佐藤栄作(中)
「田中が生涯で最も充実、生き生きしていたのは、佐藤内閣での幹事長時代だった。まさに水を得た魚で、脂が乗っていた。行動の一つ一つが、自信に満ち満ちていた」 田中角栄の愛人にして秘書、長く「二人三脚」で政治行動をともにしてきた佐藤昭子は、筆者のインタビューに対し、こう答えてくれたことがある。 池田勇人政権で自民党政調会長と大蔵大臣ポストを踏んだ田中にとって、天下取りへの残った必須ポストは、幹事長として党を掌握することであった。昭和40(1965)年6月、池田政権の後継となった佐藤栄作は、第1次内閣の改造とともに党人事にも手を付け、田中を幹事長ポストに就けたのだった。 田中、時に47歳。のちに田中の異名ともされた「コンピューター付きブルドーザー」は、この幹事長時代に定着したものであった。 ちなみに、幹事長への就任が決まった直後の朝日新聞(昭和40年6月2日付)は、田中の「横顔」を次のように評していた。 「佐藤首相が『私の片腕』と呼び、幹事長は総裁派閥からということであれば、当然の人事ではあろう。軽量執行部と呼ばれた政調会長から3年を経て、今日、重量とは言わないまでも、もはや軽量と評する者はいない。一方、決断の早さ、読みの深さ、政財界への顔の広さの三つに裏打ちされた、実行力への評価もある。 ただ、時に行動力がたたっての、勇み足の心配がないではない。若いときから鼻下にヒゲ、浪花節をうなり、将棋を指し、しかしゴルフはダメと新旧両面が同居で、奇妙な魅力を醸し出す。いつも陽の当たる場にいるので、佐藤派の中でも風当たりがやや強くなっているが、ちょっとやそっとではへこたれぬ芯の強さも持つ」 さて、佐藤首相が田中に託したのは、日本と韓国の国交正常化に向けて、日韓基本条約調印への国会における承認と、条約としての批准であった。佐藤は、それまで途絶していた韓国との国交正常化と沖縄の施政権返還の二つを、戦後未処理の懸案として最重視していたのである。 「沖縄返還」を実現させるためには、まずは韓国との国交を正常化し、政権の勢いに弾みをつけることが不可欠という考えであった。天下取りが視野に入ってきている田中としては、佐藤の信頼をより得るために、なんとしても突破しなければならない「日韓国会」であった。 しかし、この「日韓国会」は大荒れで、とりわけ野党の社会、共産両党が反対で徹底抗戦、結果的には二つの臨時国会を開いてようやく条約批准の可決、成立を果たした。成立へ向けては田中も必死で、単独採決の裏では反対野党の切り崩しにも暗躍するなど、かなり強引な手法も駆使していた。こうした混乱を極めた国会は、衆院の正・副議長が引責辞任という形で、なんとか収拾を見た。★「佐藤政権の泥はワシがかぶる」 一方で、懸案の「日韓国会」をかろうじて乗り切った佐藤首相は、改めて田中のらつ腕ぶりを買い、翌年8月の改造人事で田中の幹事長留任を決めた。しかし、この2期目の幹事長は、わずか4カ月の短命に終わることになった。閣僚および自民党議員らに相次いで不祥事が発覚するという「黒い霧事件」が勃発し、この責任を取らされることになったからである。 まず最初は、田中彰治という自民党衆院議員が、国際興業の社主・小佐野賢治から1億円を恐喝し、詐欺窃盗なども含めて逮捕され、議員辞職を余儀なくされた。 また、荒船清十郎運輸相が「一つぐれぇいいじゃないか」の“迷文句”で、国鉄ダイヤ改正で高崎線の急行列車を自分の選挙区内の埼玉県深谷駅に停車させるべく、ダイヤ原案を改めさせたことも発覚した。 さらに松野頼三農相が、新婚の娘夫妻らと一緒に外国を“官費旅行”していたこと、あるいは共和製糖グループの政治家絡みの不正融資事件なども明るみに出て、政府と自民党に対する国民の信頼感は、大きく失墜したのだった。 その後の臨時国会は、野党が硬化して審議拒否、佐藤政権としてはここを切り抜けるには衆院の解散という手もあったが、総選挙となれば敗北濃厚である。佐藤首相の選択肢は野党の矛先をかわす残された道としての、大幅な改造人事の断行しかなかった。 結果、“詰め腹”を切らされた格好だったのが、川島正次郎副総裁と田中幹事長であった。幹事長更迭が決まった直後、田中に近い議員からは「直接関係がないことなのに、なぜ幹事長が責任を取らされるのか」と憤りの声が出た。それに対して、田中はこう呟くように言ったという。 「いいんだ。佐藤政権の泥はワシが全部かぶる」 「沖縄返還」を成就し、佐藤政権をまっとうさせることが自らの天下取りにつながると、田中は佐藤を支え続けてきた。しかし、一方でジワリ、やはり「ポスト佐藤」を視野に入れた福田赳夫が、佐藤に接近していると取り沙汰されるようになってきた。 佐藤は田中が幹事長のときに福田を大蔵大臣に就け、田中が幹事長を更迭されると、その後釜に福田を持ってきている。佐藤は自らの後継に、いったい誰を描いているのか。チラッと、佐藤への不信感もかすめる田中であった。(本文中敬称略/この項つづく)***********************************************【著者】=早大卒。永田町取材49年のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『愛蔵版 角栄一代』(セブン&アイ出版)、『高度経済成長に挑んだ男たち』(ビジネス社)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。
-
-
社会 2019年11月11日 06時00分
列車で喫煙した68歳男、車掌に注意されるとキレて破壊行為【キレる高齢者の迷惑事件簿】
喫煙者の肩身が狭くなる昨今。タバコの値段は毎年ありえないほど上昇するとともに、喫煙が可能となるスペースも減っている。 例えば、かつては野球場などでもタバコを吸うことが可能だった。また、昭和の時代は列車にも灰皿がついており、迷惑行為と認識されてはいたものの、車内でタバコを吸うことができていた。 今では、公共施設内や公共交通機関での禁煙は広く国民に認知されているが、中には「昔吸えたんだから良いじゃないか」とばかりに吸う人間がいる。そして、それを注意されると、逆ギレしたうえ喚き、多くの人々に迷惑を掛けるのだ。 2015年1月午後3時頃、北海道のJR根室線を走っていた特急・スーパーおおぞら5号内でも、そのような迷惑客がいた。全面禁煙にも関わらず、乗客の68歳の男が喫煙していたのだ。乗客からの連絡を受けた車掌は、即座に現場に駆けつけ、男を注意する。これは当然の行動である。 本来なら非を認め謝罪する場面だが、68歳の男は車掌に食って掛かり、口論に。そして、不満の意思を明示したかったのか、備え付けのテーブルを壊す。当然、通報を受けた警察に器物損壊容疑で逮捕された。この影響で、列車は浦幌駅に93分間停車することになり、3本の列車に遅れが発生。約620人の足に影響が出た。なお、当時男は容疑を否認していると報じられた。 列車内での喫煙を注意され逆ギレという事案に、「頭に来る」「完全な迷惑行為」「列車内での喫煙が認められていた時代の人間?」と怒りの声が広がる。また、「この世代はこういう人が多い」「団塊の世代って本当に面倒だよね」「時代についていけていない哀れなやつ」など、厳しい言葉が並んだ。 また、犯人と同世代からも「世代の恥」「同じ人間だと思われたくない」など怒りの声が相次ぐことになった。タバコは副流煙の健康被害や臭いがつくなどの迷惑行為となることから、禁煙の輪が広がったという背景がある。列車内で吸えば多くの人が迷惑することは明白だ。 男が実に幼稚であることは、疑いようのない事実だろう。文 櫻井哲夫
-
社会
陸上自衛隊員がネットカフェで女子学生に体液ぶっかける
2013年10月22日 11時45分
-
社会
日テレが旧本社跡地再開発に本腰 ほぼ無借金経営のなせる業
2013年10月22日 11時00分
-
社会
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第48回 思想の対決
2013年10月21日 15時00分
-
社会
「ボクのオチン○ン見て!」 奈良県警の巡査がインターネット上に自身の下半身画像を投稿
2013年10月21日 11時45分
-
社会
背水の三菱自動車 日産へ身売り5つの根拠
2013年10月21日 11時00分
-
社会
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 やはり聖域は守れない
2013年10月20日 15時00分
-
社会
太ったAV女優をデブ専の売春クラブに紹介した制作会社の女を逮捕
2013年10月19日 17時59分
-
社会
訪朝も完全無視 官邸内で浮きまくる飯島内閣官房参与がブチ切れ3秒前
2013年10月19日 15時00分
-
社会
優勝セールに激怒 孫ソフトバンクが三木谷楽天潰し全面戦争(2)
2013年10月19日 13時00分
-
社会
金正恩元カノ銃殺事件の裏に保守派のポルノ映像流布説
2013年10月19日 11時00分
-
社会
優勝セールに激怒 孫ソフトバンクが三木谷楽天潰し全面戦争(1)
2013年10月18日 13時55分
-
社会
NHK職員が架空発注で見返り? に業者から物品を授受
2013年10月18日 11時45分
-
社会
大阪を撤退した『グリー』の事情
2013年10月18日 11時00分
-
社会
セクハラ編集長の懲戒解雇がダメを押した『週刊朝日』廃刊危機
2013年10月17日 20時00分
-
社会
公判中もムキムキの内柴被告
2013年10月17日 19時00分
-
社会
京都の焼き肉店が禁止されている生レバーを客に提供し摘発される
2013年10月17日 11時45分
-
社会
大阪・四条畷市議会の議長が女性職員へのセクハラ行為で辞職
2013年10月16日 11時45分
-
社会
学研HDが電子書籍出版社設立 『高齢者事業』もある一大グループへ
2013年10月16日 11時00分
-
社会
中国に異常にのめり込む UNIQLO柳井王国の野心と慢心
2013年10月16日 11時00分
特集
-
【独自】元ザブングル松尾陽介、沖縄で芸人のセカンドキャリアサポート 芸人引退に「心境の変化」
芸能ニュース
2025年04月28日 19時03分
-
【独自】YouTuberゆたぼん、短期間留学で“自分に勝つ” 昨年のホリエモン、DAIGOとのレスバの思い
芸能ニュース
2025年04月18日 20時55分
-
-
【独自】MEGA BIG2億円当選者・造船太郎、“楽して”儲けたい 興味はNHK党への出資が0円になるか3億円になるか
社会
2025年04月21日 18時25分
-
カラテカ入江慎也、闇営業で得た教訓は「人と人をつなぐ怖さ」 反社の見極め方は「金の使い方」
芸能ネタ
2025年06月01日 12時00分