社会
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社会 2015年08月26日 16時00分
安保法制、新国立競技場、原発再稼働、TPPをメッタ斬り 緊急インタビュー 衆院議院・亀井静香が安倍政権に「痛烈ダメ出し」60分 「国民よ、日本のナチス・ドイツ化を阻止せよ!」(3)
−−膨大な予算や奇抜なデザインで批判が殺到した新国立競技場問題は、どう見ますか。 「オリンピックを招致した以上、しっかりとやればいい。総理が福島の原発は完全に制御されているというウソまで言って招致した以上、成功させなくちゃいけない。しかし、新競技場にべらぼうなお金がかかり、完成後も維持費に莫大なコストがかかるという考え方は間違っている。きらびやかさはいらない。そもそも、オリンピックは世界が戦争をせず仲良くするためのスポーツの祭典であって、その原点に戻ることです。私が自民党の政調会長や大臣時代は、こうしたドタバタ劇は決して起こらなかった。今回の問題を見ていると、自民党の政治家も官僚も、整理して物事を推進していくパワーが極端に弱っている」 −−このままいけば、2009年に民主党政権が誕生したようなことが、来年の参院選で起こらないとも限らない。 「今日の自民党の暴走を許している元凶は、民主党にあります。この前の衆院選挙の自民党の大勝も、国民は自民党が良くて自民党に投票したのではない。民主党がダメだから自民党に投票せざるを得なかった。さきほども言ったように、国民は反原発、反消費税ですが、それでも選挙では自民党に投票してしまう。追い込まれているのは実は民主党で、これでは'09年のようなことは起きません。民主党はね、ブレーンストーミングのようなことで満足していてもダメなんです。安保法制法案では、民主党議員が決起できるかどうかが鍵。衆参国会議員が全員辞職する覚悟で臨まなければならない」 −−仮に民主党の衆院議員と参院議員が全員辞職すると何が起きるのか。 「安保法制法案は採決できない。議長が、そうした異常事態で採決することを許さないでしょう。そして民主党の職を賭した決起は国民に本気度として伝わり、この国の政治の在り方を変えることになりますよ」 −−今回の集団的自衛権のための安保法制法案の元になっているのは、中国の台頭、つまり対中問題が根底にあると思います。安倍政権の対中政策をどう見ますか。 「中国と日本の経済と文化の親密度は極めて大きく、高い。それを、尖閣という岩山一つの取り合いで互いに引くに引けずに戦争などとなれば、日中どちらも大変な損失を被ることになり、実に馬鹿げている。領土を拡げる拡げないなどという発想は帝国主義時代の発想で、軍事力行使などあってはならないし、あるはずがない。米中関係も密接で、日本は対中においてはアメリカの競争相手でもある。日本が対中で都合が悪くなれば、アメリカは得をするわけです。その関係の中で、起こさなくてもいい脅威をもって、戦争で国際紛争を解決しないという国是を変える法律を作るのは、まったくの狂気の沙汰。民主党もさることながら、このままいけば自民党の未来はない。安倍総理も哀れな末路となりかねませんよ。晋三よ、国滅ぼしたもうことなかれ、と強く進言したい」亀井静香=かめい・しずか1936年広島県出身。衆院議員(無所属)。東大卒業後、警察庁入庁。'79年、政界転出。'05年、国民新党結成。運輸、建設各大臣、自民党政調会長等を歴任。現在、死刑廃止を推進する議員連盟会長を務める
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社会 2015年08月26日 10時00分
VWとの裁判決着間近もハゲタカファンドに狙われたスズキの憂欝
自動車の世界総販売台数2014年暦年(1月〜12月)で初のナンバーワンとなった独フォルクスワーゲン(VW)と、軽自動車最大手のスズキとの資本提携解消裁判は、いよいよ仲裁判断が近づきつつある。そんな中、米投資ファンドのサード・ポイントが出資者に対し、スズキの株式を取得したと書簡で明かしたことに市場筋が色めき立っている。サード・ポイントはソニーやファナックなどの大株主として登場し、株主還元策などをめぐって会社側に揺さぶりをかけた“強面ファンド”として知られ、狙い撃ちされた企業には憂鬱な存在だ。 「37年間にわたって経営トップの座にあった創業一族の鈴木修会長兼社長が先ごろ会長専任となり、後任に長男の鈴木俊宏副社長が就任した。早々に若葉マークの御曹司社長に対するけん制ともみられるのが株取得の話。現在は5%以上を取得した場合に義務付けられている財務局への大量保有報告書が提出されておらず、1%前後の保有比率のようだが、今後、一気に株を買いあさる可能性もあり、スズキにとっては厄介この上ない」(大手証券マン) ローブCEOは書簡の中でインド子会社マルチ・スズキがスズキの稼ぎ頭であり、今後とも高い成長が期待されているにもかかわらず「その価値がスズキ本体の株価に反映されていない」と指摘。過去のケースでは事業売却、自社株買いなど要求が明確だったが、なぜか今回は言及を控えている。自動車業界に詳しい市場関係者が苦笑する。 「巧妙な仕掛けを施せば多少は上昇するでしょうが、そんな株価は長続きしない。百戦錬磨のツワモノが、そんなことを知らないわけがありません。むしろVW問題が決着すれば新たな提携先選びが本格化する。それをにらんでローブCEOがいち早くスズキにツバを付けたと見るべきでしょう」 VWとの“離婚成立”をジッと見守っている様が実に不気味である。
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社会 2015年08月25日 16時00分
安保法制、新国立競技場、原発再稼働、TPPをメッタ斬り 緊急インタビュー 衆院議院・亀井静香が安倍政権に「痛烈ダメ出し」60分 「国民よ、日本のナチス・ドイツ化を阻止せよ!」(2)
−−結局は日本だけがアメリカの立場で動いている。 「アメリカはお金の面でも、さらには軍事力でも、日本に『手伝って欲しい』と懇願したわけです。それが、集団的自衛権確立を目指す安保法制法案と沖縄の米軍基地辺野古移転問題。三沢基地や横田基地、沖縄の米軍基地もそうですが、日本の空はアメリカ軍のための空になっているでしょ。基地負担費用も、7割も負担している。加えてカネや土地ばかりでなく、今度はアメリカ軍のために兵士まで差し出すという話。過剰サービスもいいところですが、アメリカのために身を投げ出してしまっているのが現状です」 −−そうしなければ、日本は世界で生きていけないのでしょうか。 「国民がそう思い込んでしまっている。戦後すぐのチューインガムやチョコレートを貰った時代ではないんですよ。もちろん、アメリカは日本にとって大事な国だし、日米安保も大事です。しかし、同盟国として対等にやるべき。今の日本の姿は、まるでアメリカの従属国で、その従属度も強まりつつあります」 −−そうした姿勢になった二つめの背景とは。 「総理を取り巻くブレーンの存在。これが、安倍総理を戦争大好き人間にした二つめの理由です。もともと私が第二次安倍内閣発足前に会っていたときは、“総裁などしばらくは無理”という雰囲気だった。それが、衛藤晟一(首相補佐官)、古屋圭司(衆院議員)などの右の連中が担ぎ上げて当選してしまった。そして就任した途端、経済も安全保障も外交も待ったなし。総理は自分なりのシンクタンクもブレーンもいなかったので、それをフォローするため小泉純一郎政権時代の竹中平蔵慶応大学教授らが大量にブレーンとして入ったことも大きい。しかも、アメリカ一辺倒の外務省ブレーンも周りを固めている。私が『戦争大好き人間というレッテルを貼られますよ』と忠告したところ、総理は『そうはなりませんよ』と言っていたが、現実的には集団的自衛権を見直す安保法制案に突き進んでしまった」 −−そうした安倍政権にしたのも実は国民という話ですが、一方で安保法制案反対や疑問の声は急速に大きくなり、支持率も下がるという現実を突きつけられています。 「愚かな国民になっているかもしれないが、あまりの政権の強引さに国民も目を覚ましつつあるということです」
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社会 2015年08月25日 10時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 いまこそTPP離脱の好機
7月末にハワイで開催されたTPPの閣僚級会合は、土壇場でニュージーランドが反旗を翻したため、最終合意に至らなかった。甘利TPP担当大臣は、「特定の国が過大な要求をしてきた」と、名指しこそ避けたが、不快感を示した。 悪者扱いされたニュージーランドだが、彼らの主張は、もっと関税を下げて乳製品の輸入を拡大してほしいという至極まっとうな要求だった。TPPの大原則は、例外なき関税撤廃なのだから当然だ。しかも、ニュージーランドは、TPPの当初からのメンバーだ。途中から入ってきたアメリカが、自国の競争力が弱い乳製品の輸入拡大を拒否している。本来なら、アメリカが悪者扱いされてよいはずだ。 しかし、この件は、いまのTPPの本質をよく表している。それは、TPPはアメリカが一人勝ちする不平等条約だということだ。 これまでの交渉で、日本はアメリカに対して大幅な譲歩を積み重ねてきた。それは、政府・自民党が指一本触れさせないとしてきた聖域でも同じだ。例えば、米国から輸入する豚肉は、価格の安い部位については、キロ当たり482円の関税を10年程度で50円に引き下げる。米国から輸入する牛肉の関税は現行の38.5%から15年程度で9%に引き下げるという。コメについては、まだ決着していないが、米国からの輸入枠を少なくとも7万トンに拡大するとしている。小麦についても未決着だが、事実上の関税に相当する「輸入差益」を大幅に引き下げる方向だ。 一方で、日本からアメリカに輸出する自動車にかけられている2.5%の関税については、撤廃が20年程度、先送りされた。しかも、輸入障壁があるとみなせば、相手政府を訴えることができるISD条項の導入も合意されている。TPPで日本は、損することばかりなのだ。 それでも多くの有識者は、「TPPは経済の問題ではなく、安全保障の問題だ」と主張している。もしアメリカの要求を受け入れなければ、米軍に日本を守ってもらえないというのだ。しかしTPP参加は、別の意味で日本の安全を脅かす。食料安全保障だ。 '13年に公表された政府の統一試算では、関税が撤廃されるなどのTPPの目標が完全に実施されると、農業の国内生産額は3兆円減少し、カロリーベースの食料自給率は現状の39%から27%へと低下するとされている。戦争になったときに一番国民を苦しめるのは食料不足だ。だから先進国は、国内自給を目指している。現時点の食料自給率は、アメリカ124%、フランス111%、ドイツ80%、イギリス65%。ただでさえ低い日本の食料自給率をさらに下げたら、日本はあっという間に兵糧攻めにされてしまうのだ。 今回、TPP交渉の最終合意が遅れたことで、日本政府が進める欧州との経済連携協定や東アジアの経済連携協定が遅れるという見方もあるが、私はそうではないと思う。日本が、それらをどんどん進めれば、アメリカは焦ってTPPで日本に大きな譲歩をしてくるだろう。 アメリカを無視して、欧州や中国に近づくようなことをすれば、アメリカとの交渉が暗礁に乗り上げるという見方もあるが、そうなったら対応は簡単だ。TPPから離脱するのだ。そのことで日本が受ける損害は、何もないのだ。
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社会 2015年08月24日 16時00分
安保法制、新国立競技場、原発再稼働、TPPをメッタ斬り 緊急インタビュー 衆院議院・亀井静香が安倍政権に「痛烈ダメ出し」60分 「国民よ、日本のナチス・ドイツ化を阻止せよ!」(1)
−−「戦争法案」と言われる集団的自衛権を見直す安保法制法案の強行採決、東京五輪の新国立競技場建設問題でのドタバタ劇。昨今の安倍政権は、一時のアベノミクスの絶好調ぶりから一転し、支持率も急降下しています。長らく政権中枢で重責を担ってきた亀井先生からは、今の安倍政権はどう映りますか。 「第二次世界大戦、太平洋戦争で戦争に敗れてから、二度と戦争という手段で国際紛争を解決しないというのが日本の国是。その国是を、憲法改正するという手続きを踏むことなく、また、選挙で国民の意思を問うこともせずに一国会で強行採決してしまう。これは、1933年にナチス政権が誕生した際、ヒトラーがワイマール憲法を無視して独裁国家を作り上げた状況に酷似していますよ。いずれにしても、今の集団的自衛権を拡大する、憲法を無視した安保法制案の強行採決は、独立国家のやることではありません」 −−なぜ、強行採決などが許されてしまうのでしょうか。 「それを許している土壌があるからです。つまり、可能としているのは国民ということ。原発反対、消費税反対、TPP反対と言っているが、いざ選挙となると自民党に投票するでしょ。これは、私を含めて日本人全体が生体反応を起こしにくくなってしまった結果なんです。体に五寸釘を打ち込まれているのに、マスコミが『針治療を受けているだけ』と言えばすぐに納得してしまう。しかも、生活の利便さを求めるあまり、欲望を制御することさえできなくなっている。原発も、福島第一原発事故以降コントロールできていないのに、大企業を中心に安い電気を手に入れようと、懲りずに再稼働や原発輸出に奔走する。とにかくすべてがカネ、カネ、カネ、カネ儲けで、健全な心を失っていますよ。安倍政権は、国民全体がそうなって行く中から誕生したわけです」 −−先生と安倍総理の関係は、自民党で同じ派閥にいた時代から長くて深い。安倍総理は、以前からこのような超タカ派だったのでしょうか。 「総理とは兄弟同様の付き合いをしてきたので分かりますが、もともと、とてもじゃないが戦争大好き人間などではなかった。今、安倍政権がこうした道に突入している背景の理由は二つある。一つは“世界の警察”として強大な経済力と軍事力を持っていたアメリカが、急速に力を失いつつあること。ベトナム戦争以降、イラクやアフガニスタン、イラン、ウクライナなど、すべてが思うように上手くいかない。それに反し中国は、AIIB(アジアインフラ投資銀行)で、その存在感をアピールし、欧州各国もそこへ走ってしまう。アメリカが制止しても、もはや誰も貸す耳を持たない状況ですからね」
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社会 2015年08月24日 12時00分
盗作疑惑・佐野研二郎氏の“小保方状態”で世界の笑い物になる東京五輪
2020年東京五輪公式エンブレム「盗用疑惑」の渦中にあるデザイナー・佐野研二郎氏に、行方知れずの“コピペ女王”小保方晴子さんの香りが漂ってきた。 エンブレムについては完全否定したものの、サントリーの景品デザインのコピペ疑惑が浮上。8月13日、サントリー側が景品バッグのデザイン30種類のうち8種類を撤回し、佐野氏が代表を務める事務所『MR_DESIGN』(東京・渋谷区)もホームページ上で“盗作”を「部下が…」と認めた。テキトーに仕事されたサントリーは、「佐野氏に発注したわけではなく、代理店から上がってきた企画」と困惑を隠せない。 その代理店というのが佐野氏の出身でもある博報堂で、同社にとって佐野氏は重要な“ビジネスコンテンツ”だった。どうやら騒動の根っこには、五輪ビジネスも手掛ける大手広告代理店の「利権」が見え隠れしているというのだ。 「オリンピックエンブレムの審査で、博報堂時代の佐野氏の部下だったN氏が審査委員に入っていることからして疑惑ありです。N氏は、'14年に『毎日デザイン賞』を受賞していますが、このときの審査員の1人が佐野氏。“身内で賞を回し合う”という猿芝居が、この騒動の元凶ですよ」(意匠関係の事情通) エンブレムデザイン審査委員代表は、日本を代表するグラフィックデザイナーの永井一正氏。子息の永井一史氏は、多摩美から博報堂を経て同美大の教授に着任している。一方、'14年4月に同じく出身の多摩美教授に“ブーメラン就任”した佐野氏の出世街道は、永井ジュニアを踏襲しているといえそうだ。 「しかも、佐野氏の実兄は、経産省の商務情報政策局情報経済課長です。同局はクリエイティブな産業を管轄する部署ですから、佐野氏の仕事領域と無縁ではない。ちなみに佐野氏の親戚の1人はJSC(日本スポーツ振興センター)の幹部職員。さらに佐野氏は'02年に日本ラグビー協会のポスターのデザインを受注しており、五輪組織委員会会長の森喜朗元総理とも接点がある。まあ、公式エンブレムへの採用も“天の声”があったんじゃないですか」(同) 思えば国立競技場の解体工事も、官製談合という旧悪システムの「コピペ」だった。佐野氏のデザインを放置したまま五輪開催となれば、世界中から“コピペンピック”と嘲笑されてしまいそうだ。
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社会 2015年08月24日 10時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第138回 川内原発の再稼働
8月11日。九州電力は川内原子力発電所1号機を再稼働させた。同日の午後11時には、核燃料が一定の熱を出し続ける、いわゆる「臨界状態」に達した。九州電力は8月14日から発電と送電を開始し、8月25日に出力100%の運転に移行する予定となっている。 2013年9月に関西電力の大飯原発4号機が停止して以来、国内では1年11カ月ぶりに原子力発電所が発電を開始することになった。もっとも、日本のエネルギー環境の「正常化」という観点から見ると、100メートル走の第一歩にすぎない。 今後、四国電力の伊方原発が再稼働に向かうだろうが、関電の高浜原発は、原子力規制委員会の審査をクリアしているにもかかわらず、例の福井地裁による再稼働差し止めの仮処分により、再稼働できない。 さらに、川内原発、伊方原発、高浜原発と、全てPWR(加圧水型原子炉)になる。PWR型は、今後、規制委員会の審査をクリアしていくと思うが、需要が多い東京電力や中部電力はBWR(沸騰水型原子炉)である。BWRについては、今のところ一基も再稼働のめどすら付かない状況だ。 ちなみに、筆者は別にイデオロギー的な“原発推進派”とやらではない。いわゆる“脱原発”を果たしても、わが国のエネルギー安全保障が維持・強化されるならば、別に原発を動かさなくても構わない。 目的はあくまで「電力の安定供給」「エネルギー安全保障確立」であり、原発稼働そのものではないのだ。当たり前である。 とはいえ、現実に“脱原発”を実現したいならば、 「代替エネルギーや蓄電技術への投資」 「使用済み核燃料の再処理や地層処分への投資」 「廃炉技術確立のための投資」 等々、莫大な資金を“技術開発”に投じる必要がある。技術開発投資なしでは、脱原発など実現できるはずがない。 それでは、誰が脱原発のための技術開発におカネを投じるべきだろうか。もちろん、電力会社である。 ところが、電力会社は原発を停止しているため、資金的な余力がない。何しろ、原発一基稼働させるだけで、約900億円の収支改善効果があるのだ。 さらに、原発を再稼働しないため、わが国の国民が稼いだ「所得」が、LNGや原油購入代金として外国に流出している。つまりは、貿易赤字の拡大だ。貿易赤字が拡大すると、GDP上の純輸出が減る(もしくは純輸入が増える)というわけで、国民経済的には需要縮小効果になる。すなわち、デフレを深刻化の方向に導いてしまう。 また、電気料金の上昇は、家計の消費や企業の投資にマイナスの影響を与える。 しかも、電力会社は原発を再稼働しない状況で“利益”を出すことを求められ、東電などは送電線網のメンテナンスコストを削減し、無理やり黒字決算にしている。インフラのメンテナンス費用を削ると将来的に何が起きるのか、今さら書くまでもない。 というわけで、現時点では原子力発電所を再稼働し、電力会社に余力を生み出し、インフラの強化や各種の技術開発投資におカネを投じてもらい、同時に所得の外国への流出を食い止め、消費者(家計・企業)の負担を減らし、同じく「投資」におカネを投じることが可能な環境を作る必要があるのだ。 問題は、反原発派や脱原発派から、上記の「(脱原発のための)投資」の話が全く聞こえてこない点である。出てくるのは、「太陽光発電の普及・節電定着…猛暑でも電力にゆとり(朝日新聞、2015年8月8日)」など、太陽光発電が原子力発電を代替しているかのごとき“印象”を与える、プロパガンダ記事ばかりだ。 直近のデータ(2015年5月)を見ると、太陽光による発電実績は32億2194万キロワット時。それに対し、総発電実績は704億2313.7万キロワット時。太陽光発電の実績が全体に占める割合は4.5%。原子力発電は、東日本大震災前は日本の電力の約3割を担っていた。太陽光発電が普及したとはいえ、原発分をカバーできているわけではないというのが現実なのだ。 それでは、なぜ原発を動かしていないにもかかわらず、日本の電力サービスは需要を満たしているのだろうか。理由は、耐用年数を超えた老朽化火力発電所が動いているためだ。日本の電力マンたちが、取り壊し直前だった老体の火力発電を何とか稼働させ、ようやくわが国の電力供給は需要を満たしているのである。 しつこいが、筆者はイデオロギー的に上記の類のことを書いているわけではない。理性的、論理的に“代替策”を主張できるならば、ぜひとも議論するべきだ。 エネルギー安全保障に限らず、安全保障関連の問題を感情的に解決しようとすると、将来に禍根を残す。世論調査では、原発再稼働については「反対」が「賛成」を上回っている状況だ。もちろん、世論調査に従って政府にエネルギー安全保障関連の決断をされた日には、最終的には国民が悲惨なことになるケースも出てくる。 いずれにせよ、わが国のエネルギー政策が「正常化」したとは、とても言えない状況なのだ。将来にわたり、わが国のエネルギー安全保障を維持するために、感情的ではなく、理性的、論理的な議論が求められているのである。三橋貴明(経済評論家・作家)みつはし たかあき。1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2015年08月23日 16時00分
戦後70年特別企画 “撃墜王”元零戦パイロット(笠井智一氏)が打ち明ける激戦秘話 「散った若者の犠牲の上に今の日本があることを忘れてはならない」(2)
二六三航空隊から二○一航空隊へ移ったダバオでは、内地からの機材の空輸、そして特攻隊の直援任務にも就いている。 「特攻というのは敵艦の横っ腹から突っ込むというイメージがあるでしょ。そうではないんです。敵艦の真上から真っ逆さまに急降下していく。予科練で同期やった連中が『先に行くから後を頼む』と言って、突っ込んでいくのを見送るわけですが、その時は悲壮とか悲惨という感じは少なかった。それより『次は俺や!』いう気持ちの方が強かったです。私も特攻を志願したのですが、そうならずに済んだのは、当時の副長・玉井浅一中佐に『特攻はいつでも行ける。それよりお前、内地に帰り、俺の代わりに戦友の墓参りをしてくれ』と言われたからです。もし上官が玉井中佐でなければ、私もおそらく特攻に出ていたでしょう」 内地に帰任した笠井氏は、松山三四三航空隊に所属する。同部隊は、海軍戦闘機隊の頭脳・源田実中佐(当時)が本土防空のために編成した最強の航空隊。戦闘機は最新鋭の『紫電改』で、パイロットも選りすぐりのメンバーが集められた。笠井上飛曹は、ここで終戦まで、名隊長・菅野直大尉(当時)の指揮の下、激烈な空戦を戦い抜いた。 「菅野大尉も杉田さんと同じくらいの快男児でした。J2(『紫電改』のコードネーム)を初めて見たときの感想は、ほんまに凄い、格好良い戦闘機ができたなぁと。これならグラマンと互角に戦える、という自信がつきました。それまでとにかくやられっぱなしやったからね。オレンジ色に塗られたテスト機は、仲間の間で奪い合いでした」 大戦末期、敗色が日ごと濃厚になる中、最前線でアメリカ軍機と渡り合ったのは笠井氏のような予科練出身の十代の戦士たちだった。 「このままでいけば日本はどうなるか? 上の人はいざ知らず、私らはそんなこと思いもしませんでした。敵機を目の当たりにして、こいつらに負けてたまるかという敵愾心。そう思って戦うことが、国のためになると信じていました。それから、アメリカ軍と戦っていて負けると思ったことなんか一度もなかった。ただ、力の違いを感じることはありました。グラマンは墜としても墜としても次から次と出てきよる。それに比べて我が軍は、一度手ひどくやられると立ち直るのに時間がかかる。ほんまにアメリカいう国はいったいどんな国やねん…。それが当時の偽らざる気持ちでした」 明日をも知れぬ戦いの中、十代の若者に浮き世の未練はなかったのだろうか。 「私ら若いのは、目の前の敵とどう戦うかに精一杯で、そんな余計なこと考えてるヒマなんかなかったです。でも女子学生にもてはやされるのは、やっぱり気分が良かったですね」 こう語り、笠井氏は1枚の写真を見せてくれた。松山の女子学生からプレゼントされたマフラーを身に纏い、愛機の前で腕を組む紅顔の少年飛行兵−−。笠井氏お気に入りの1枚だ。 '45年8月15日。終戦の玉音放送を信じる気になれず、まだまだ戦うつもりでいたが、源田指令に諌められて矛を収める。戦後は一般企業のサラリーマンとして定年まで働き、伊丹市のシルバーボランティアを経て自適の日々を送る。そして今、終戦から70年の時が過ぎた。 「私が言うておきたいのは、今から70年前のこの日本に、私利私欲も何もなく、国のために戦い死んでいった多くの若者がいたということ。彼らの犠牲の上に今の日本があるということを忘れんといて欲しい。あの戦争で笑って散った人たちの遺訓と感謝の気持ち、慰霊の心を正しく伝え、愛国の心を涵養してもらいたい。ただそれだけです」笠井智一氏1926年(大正15年)3月8日、兵庫県多紀郡篠山町(現・篠山市)生まれ。1942年(昭和17年)4月、鳳鳴中学4年時、予科練甲飛第10期生に合格して海軍へ。終戦時は上飛曹。
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社会 2015年08月22日 17時00分
お墓の土地だけ購入し、墓石は後で建てるのは可能?
“終活”を考えた場合、生前に墓地、霊園を確保するのは重要なことでもあります。 ただ、墓に入る予定の当事者が、まだまだ健康で元気であれば、先に墓の土地(永代使用権)だけ購入し、「墓石を建てるのは後でいい」と考えても、ふしぎではありません。実際に、こういったことは可能なのだろうか? 実は、これは非現実的なのです。というのは、ほとんどの霊園では、墓石の建立について、契約から○か月以内、○年以内との規則があります。つまり、「先に土地だけ買っておいて、墓石建立は数年後に…」というのは、現実的にむずかしいようです。 ましてや、公営霊園の場合、申し込む条件として、「まだ埋葬をしていない遺骨をもっていること」が付帯されていることが多く、そもそも、そういった希望をもたれている方には対象外となってしまいます。 ただ、可能性はゼロではないようです。神奈川県下の某石材店によると、「数は少ないのですが、土地のみ購入可能な霊園もあります。たとえば、日本初の民間霊園である神奈川県下の某霊園には、墓石の建立期限のない区画があります。しかし、そもそも、そういった霊園の数が少ないため、選択肢が非常に狭くなります。また、寺院墓地にも建立期限のないものがありますが、区画を分かりやすくするため、外柵は先に建てる必要があるようです」と語る。 このように、先に土地だけ購入して、墓石は後で建てるのは、不可能ではありませんが、現実的にはむずかしいようです。購入する霊園の選択肢を広げる意味では、永代使用権の購入と墓石建立はセットと考えておいた方がいいようです。(山本 生道)
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社会 2015年08月22日 16時00分
戦後70年特別企画 “撃墜王”元零戦パイロット(笠井智一氏)が打ち明ける激戦秘話 「散った若者の犠牲の上に今の日本があることを忘れてはならない」(1)
戦後70年、あの戦争の最前線を肌で体験した人は、そのほとんどが今や90代後半である。その中にあって、笠井智一氏は1926年生まれ。最前線で戦った海軍戦闘機パイロットとしては最年少の一人になる。 「私が育った丹波の篠山(兵庫県)は陸軍の街でね。そこでたまに見かける海軍の白い制服がえらい格好良く見えたんですわ。女子学生にもモテそうやしね。決め手になったんは、母校に来た先輩・小谷雄二海軍大尉の講話です。演題は確か『制海権と制空権』。それを聞いて“これからは空の時代や!”と思い、予科練(海軍飛行予科練習生)を志願しました」 '42年4月、激烈な競争率をくぐり抜け、笠井氏は甲飛第10期生として土浦空に入隊を果たす。しかしそこには、“格好良い”どころの話ではない厳しさが待ち受けていた。 「お客さん扱いしてくれたんは初めだけ。あとはもう、軍人精神を注入される毎日でした。こらえらいところに入ったわと思いましたよ。でもよう考えたら、飛行機乗りいうのは一瞬の気の緩みが確実に死に繋がる。今になって考えれば、それで厳しく教育されたということですわ」 甲飛第10期からは350人が戦闘機に進んだが、その約8割が戦死している。まさに最前線を戦ったクラスだ。 「生き残ったんが不思議なくらいのクラスです。全体で1000人採用というのはそれだけ時局が逼迫していたということでしょう。特攻要員ではないにせよ、決戦要員ではあったんでしょうな」 笠井氏の次の第11期生も1000人クラスだが、このクラスは乗艦実習の際、戦艦陸奥の爆沈事故に多数の練習生が巻き込まれるという悲劇に見舞われている。 「予科練にいる間で飛行機に乗ったのは、入ってすぐの慣熟飛行同乗の1回だけ。あとはもう、ただ鍛えられるだけでした。飛行機の操縦訓練に入ったのは、予科練を卒業して飛行練習生に進んでから。飛練は平時なら1年が通常なんですが、なにしろ戦争中ですから、私らは5カ月でした。その後、戦闘機専修になり、実戦機を使っての延長教育が、これまた短縮のわずか20日間。20日間いうたら正直な話、離着陸が精一杯で、その他の空戦技術は、その後の実戦の中で覚えていくしかありませんでした。大変な毎日でしたよ。でも、命を粗末に扱われているという気持ちは不思議となかった。戦争なんだから死ぬのは当たり前。皆、それでなんとなく納得していましたよ」 延長教育もそこそこに笠井氏たちは'43年、直ちに前線へ投入された。笠井氏の最初の実戦部隊は、四国松山の第二六三海軍航空隊「豹部隊」である。そこからサイパン、ペリリュー、パラオ、グアム、フィリピンのダバオと、最前線を転戦する。だが、戦地に在りながら、笠井さんが空戦に参加することは少なかったという。 「マリアナ戦線初期では、練度不十分を理由に本格的な空戦には出撃させてはもらえませんでした。『お前らの腕で空戦させたら片っ端からグラマンの餌食や』というわけです。その時は悔しい思いをしたけれど、その判断がなければ私はきっと戦死していたでしょう。その意味で当時の上官には感謝しています」 二六三航空隊はベテラン中心の布陣で戦ったにもかかわらず、米軍の圧倒的な戦力の前に大きなダメージを受ける。マリアナ戦が終わる頃には、否応なしに笠井氏ら若年搭乗員が中心戦力になっていた。グアムでは、伝説の名パイロット・杉田庄一一飛曹(当時)の指揮下に入る。 「それまでの隊長の着任の挨拶いうたら、なんや精神論的なもんばっかりでしたが、杉田さんの挨拶は『俺が杉田や。皆、遠慮せずに付いてこい!』と、実に格好良いものでした。杉田さんは、山本五十六元帥が戦死した時の6機の護衛戦闘機隊の一員でしたけど、当時はそんなこと全然知りませんでしたし、御本人も話しもしませんでした。私なんか、戦後の戦記物で知ったぐらいです。私らがうるさく言われたんは、空戦技術よりも編隊飛行。『お前らが敵を墜とす? 何をおこがましいことを言っている。敵は俺が墜とすから、お前たちは俺が(機銃を)撃つ時に後ろから一緒に撃て』です。そうして墜とした敵機は共同撃墜にするわけです」 墜とした敵機は共同撃墜−−。いわゆる戦記物には、個人の戦績を強調した“撃墜王”がしばしば登場するが、実際には当時のパイロット、少なくとも笠井氏の周辺には、そのような人物はいなかったという。
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