「37年間にわたって経営トップの座にあった創業一族の鈴木修会長兼社長が先ごろ会長専任となり、後任に長男の鈴木俊宏副社長が就任した。早々に若葉マークの御曹司社長に対するけん制ともみられるのが株取得の話。現在は5%以上を取得した場合に義務付けられている財務局への大量保有報告書が提出されておらず、1%前後の保有比率のようだが、今後、一気に株を買いあさる可能性もあり、スズキにとっては厄介この上ない」(大手証券マン)
ローブCEOは書簡の中でインド子会社マルチ・スズキがスズキの稼ぎ頭であり、今後とも高い成長が期待されているにもかかわらず「その価値がスズキ本体の株価に反映されていない」と指摘。過去のケースでは事業売却、自社株買いなど要求が明確だったが、なぜか今回は言及を控えている。自動車業界に詳しい市場関係者が苦笑する。
「巧妙な仕掛けを施せば多少は上昇するでしょうが、そんな株価は長続きしない。百戦錬磨のツワモノが、そんなことを知らないわけがありません。むしろVW問題が決着すれば新たな提携先選びが本格化する。それをにらんでローブCEOがいち早くスズキにツバを付けたと見るべきでしょう」
VWとの“離婚成立”をジッと見守っている様が実に不気味である。