ただ、墓に入る予定の当事者が、まだまだ健康で元気であれば、先に墓の土地(永代使用権)だけ購入し、「墓石を建てるのは後でいい」と考えても、ふしぎではありません。実際に、こういったことは可能なのだろうか?
実は、これは非現実的なのです。というのは、ほとんどの霊園では、墓石の建立について、契約から○か月以内、○年以内との規則があります。つまり、「先に土地だけ買っておいて、墓石建立は数年後に…」というのは、現実的にむずかしいようです。
ましてや、公営霊園の場合、申し込む条件として、「まだ埋葬をしていない遺骨をもっていること」が付帯されていることが多く、そもそも、そういった希望をもたれている方には対象外となってしまいます。
ただ、可能性はゼロではないようです。神奈川県下の某石材店によると、「数は少ないのですが、土地のみ購入可能な霊園もあります。たとえば、日本初の民間霊園である神奈川県下の某霊園には、墓石の建立期限のない区画があります。しかし、そもそも、そういった霊園の数が少ないため、選択肢が非常に狭くなります。また、寺院墓地にも建立期限のないものがありますが、区画を分かりやすくするため、外柵は先に建てる必要があるようです」と語る。
このように、先に土地だけ購入して、墓石は後で建てるのは、不可能ではありませんが、現実的にはむずかしいようです。購入する霊園の選択肢を広げる意味では、永代使用権の購入と墓石建立はセットと考えておいた方がいいようです。
(山本 生道)