番組がまず向かったのは、東京都港区にある「アンチエイジングマシン」。-196℃の液体窒素で冷気を吹き出し、マシンの中に人が入る。利用料は3分2万円。心臓疾患や高血圧の人は利用できない。
常連の女性客は「中では凍った感覚があるが、出ると普通に戻り、むしろ温かくなる」と話す。店の担当者によると、体を冷やすと全部の血液が心臓に集まり、それが全身に一気に広がり血流が良くなるのだそうだ。細胞レベルでのアンチエイジングが期待できるという。
今、日本のアンチエイジング製品の市場規模は1兆円を超え、2033年には1.6兆円に伸びると予想されている。大学病院も抗加齢をうたう美容医療に乗り出しているところがあり、慶應義塾大学病院もその一つだ。昨年から自由診療の美容外科を開設、フェイスリフトや腹部のたるみを解消する手術を始め、費用は29万~110万円。美容外科トップの貴志和生教授によれば、大学病院の経営安定に寄与することが期待されているという。
アンチエイジングは女性だけのものではない。男性専門のコンサルタントも現れた。Akiさん(33歳)はジムでの筋トレや美肌レーザー治療、髪の生え際アートメークまで、若返りのために1000万円以上投じてきた。
コンサルティングの目標は「-10歳の若返り」だそうで、顧客にファッションのアドバイスもしている。料金は半年で66万円だ。見た目が若返ったことで自信を持って仕事に取り組むことができるようになったとの評価もあった。
大阪大学大学院の日比野佐和子特任准教授は「褐色脂肪細胞といって、新陳代謝を上げて基礎体温を上げる脂肪細胞がいっぱいある」とした上で、「筋トレはやりすぎると遺伝子年齢や体内年齢が老化する」と注意を促した。
近頃小学生に人気のファッション雑誌「KOGYARU」。専属モデルは9~13歳で、公式チャンネルにはキッズモデルの美容動画が多数アップされている。小学1年生のときからスキンケアしてきたという子どもインフルエンサーもいる。
番組コメンテーターの美容家IKKOは「おしゃれを楽しむことは良いこと。でも、10代は肌がパツパツだし、今ある状態を楽しんでいくという考えも一つ」と提案した。
米国では子どもが大人用のスキンケア製品を使い続けて肌トラブルを起こし、裁判に発展した。子どもの言い分は「大人になってからのシミやシワを防ぐ」ことだったが、本末転倒になってしまった。大きなビジネスチャンスの1つとなったアンチエイジングだが、バランスが大切ということだ。


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