「アメリカはお金の面でも、さらには軍事力でも、日本に『手伝って欲しい』と懇願したわけです。それが、集団的自衛権確立を目指す安保法制法案と沖縄の米軍基地辺野古移転問題。三沢基地や横田基地、沖縄の米軍基地もそうですが、日本の空はアメリカ軍のための空になっているでしょ。基地負担費用も、7割も負担している。加えてカネや土地ばかりでなく、今度はアメリカ軍のために兵士まで差し出すという話。過剰サービスもいいところですが、アメリカのために身を投げ出してしまっているのが現状です」
−−そうしなければ、日本は世界で生きていけないのでしょうか。
「国民がそう思い込んでしまっている。戦後すぐのチューインガムやチョコレートを貰った時代ではないんですよ。もちろん、アメリカは日本にとって大事な国だし、日米安保も大事です。しかし、同盟国として対等にやるべき。今の日本の姿は、まるでアメリカの従属国で、その従属度も強まりつつあります」
−−そうした姿勢になった二つめの背景とは。
「総理を取り巻くブレーンの存在。これが、安倍総理を戦争大好き人間にした二つめの理由です。もともと私が第二次安倍内閣発足前に会っていたときは、“総裁などしばらくは無理”という雰囲気だった。それが、衛藤晟一(首相補佐官)、古屋圭司(衆院議員)などの右の連中が担ぎ上げて当選してしまった。そして就任した途端、経済も安全保障も外交も待ったなし。総理は自分なりのシンクタンクもブレーンもいなかったので、それをフォローするため小泉純一郎政権時代の竹中平蔵慶応大学教授らが大量にブレーンとして入ったことも大きい。しかも、アメリカ一辺倒の外務省ブレーンも周りを固めている。私が『戦争大好き人間というレッテルを貼られますよ』と忠告したところ、総理は『そうはなりませんよ』と言っていたが、現実的には集団的自衛権を見直す安保法制案に突き進んでしまった」
−−そうした安倍政権にしたのも実は国民という話ですが、一方で安保法制案反対や疑問の声は急速に大きくなり、支持率も下がるという現実を突きつけられています。
「愚かな国民になっているかもしれないが、あまりの政権の強引さに国民も目を覚ましつつあるということです」