レジャー
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レジャー 2009年05月27日 15時00分
日本ダービー(JpnI、東京芝2400メートル、31日) アプレザンレーヴ 積極策で栄冠つかむ
無敗の3冠馬ディープインパクトを育てた池江郎調教師が「ダービーに向いている」と早くから期待していたのが、アプレザンレーヴだ。 皐月賞への出走はかなわなかったが、ダービーのチケットを手に入れる最終チャンスとなった青葉賞を見事にV。ダービーと同じ距離、コースで示した勝負強さは、ディープのような突出した馬が存在しない今年は大きな武器になる。 「直線で外からいったん交わされてね。あそこから差し返すなんて普通あまりないし、かなりの根性を持っている」と師も高く評価している。 ここまで無理使いされていない分、伸びしろは相当なもの。中間も元気いっぱいで、ケイコ駆けしなかった馬が1週前は栗東DWコースで6F80秒を切ってきた。 「仕上がりは申し分ない。使うたびに確実に良くなっている。以前から馬格は良かったけど、最近、よけいな脂肪が取れて引き締まってきた」 そして、師が何より評価するのはその精神面だ。「オンオフの切り替えができる。普段はおとなしいのに、競馬では頭からしっぽまで気合がみなぎってくる。馬がレースを知っているから、鞍上の内田博君もドンと構えてレースができるんだ」 ダービーのスタートは正面スタンド前。大観衆の異様な観声にわれを失う馬が多いなか、この度胸は頼もしい。早め先頭からどこまで粘れるか。アンライにもロジにも、簡単には抜かせない。 【最終追いVTR】DWで6F79秒5→64秒3→50秒2→37秒7→12秒7を一杯にマークした。リアルプリンス(3歳500万)を2馬身後方から追走。3角手前で馬体を併せていくと、直線は力強く2馬身先着。追い出してからの反応も文句なしだ。
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レジャー 2009年05月27日 15時00分
日本ダービー(JpnI、東京芝2400メートル、31日) トライアンフマーチ ウオッカとのスパー効果見せる!
一昨年にウオッカでダービー制覇を成し遂げた角居厩舎。頂点の戦い方を熟知している陣営が今回、皐月賞2着馬トライアンフマーチに対して、とっておきの戦略を用意した。それがダービー馬との併せ馬だ。 「皐月賞後はウオッカのパートナーとして負荷のかかるケイコを積んできた。それをクリアして体もしっかりしてきた。別格の相手と調教を行ってきたことが、レースでも必ずプラスに働くと思う」 清山助手はケイコとはいえ、現役ナンバーワンホースとの併せ馬の効果に期待を寄せる。 前走の皐月賞では出遅れて最後方からの追走となった。展開に恵まれたとはいえ、直線入り口から長くいい脚を発揮。上がり3Fは勝ったアンライバルドを0秒2上回るメンバー最速の34秒4をマークした。 「母の父がダンシングブレーヴで、クラシックディスタンスにも対応できる血統。何より、鞍上の武幸四郎君がダービーも大丈夫って自信を持ってくれていた。最近は走りにも余裕が出てきただけに、距離はこなせると思う」 母キョウエイマーチは1997年にクラシック制覇(桜花賞)を達成している。母から受け継いだ大舞台に強い血が大輪を咲かせるのか? 「ここまではダービーに向けて気を引き締めながら、細心の注意を払ってやってきた。状態は確実に前走以上だし、悔いのないようにしっかり仕上げられた」 成長過程にある素質馬にウオッカのダービーエキスを注入。果たしてその効果はいかに? 【最終追いVTR】CWで5F66秒0→50秒7→37秒5→12秒3(馬なり)。マヒオレ(古馬1000万)、メインストリーム(古馬1000万)を内外に置く3頭併せとなった。直線では併走馬2頭を抜き去ると、さらにその前にいた3頭併せの集団と馬体を併せる実戦さながらのケイコ。気合乗りも抜群で、前走以上のデキにある。
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レジャー 2009年05月26日 15時00分
「第76回日本ダービー」(JpnI、東京芝2400メートル、31日) 皐月賞惨敗 ロジ&リーチは復活するのか…
4戦無敗で挑んだ皐月賞は単勝1・7倍と断然の支持を受けたものの、結果はまさかの14着。日本競馬の最高峰「第76回日本ダービー」(JpnI、東京芝2400メートル、31日)でロジユニヴァースの逆襲はあるのか。そして、同じく13着に敗れた2番人気のリーチザクラウンは? 本紙特捜班は、ダービー特別版として東西のトレセン関係者100人から見た“元3強”2頭の「いる」「いらない」を匿名を条件にこっそり聞いてみた。果たしてその結論は!? アンライバルドの友道調教師は言う。「皐月賞は勝ったけど、あの2頭(ロジユニヴァース、リーチザクラウン)は自分の競馬をしていなかった。能力を出し切ったらすごいのは分かっている。勝負付けが済んだとは思っていない」。皐月賞ではともに見せ場すらなく終わったが、果たして、両馬の復活はあるのだろうか? まずは前走で連勝が4で止まったロジユニヴァース。その皐月賞の敗因について、「ペースが合わなかった」「位置取りに問題があった」という関係者もいたが、大勢を占めたのが体調不良説。確かに、皐月賞はTR・弥生賞からマイナス10キロでの出走だった。 栗東のある調教助手はこう証言する。「皐月賞の装鞍のときに見たら、これがあのロジユニヴァースかというぐらい覇気がなくて、ヤギみたいに見えた。どうみても走れないと思ったよ」 これを裏付けるように、頭脳派で知られる美浦の某助手は「使うたびに某牧場へ放牧に出しているのが原因。ウチの馬もそこで調整することがあるんだけど、いつも受けていた報告より体重が減って帰ってくるからね」と実情を明かす。「ただ、ロジに限らず、某牧場に放牧に出すのはオーナーや生産者サイドの意向もあるからね」と厩舎サイドをかばうひと幕もあった。 この問題については、栗東の有力調教師も「あそこはリフレッシュできるところじゃないし、(状態が)悪くても緩めずに乗り込むから良くならない」と同調する。「(ロジは)今度もまた放牧へ出しとるやろ。期間的にも厳しいし、復活はまずない」とバッサリ斬り捨てた。 一方、リーチザクラウンについては、多くの関係者が「あの馬は気性が難しすぎる」「ポテンシャルは高いけど、やっぱりマイルでこその馬」と口をそろえる。そして、「二千でも引っ掛かるのに、二四で最後までもつんかね?」と悲観的な意見ばかりが聞こえてきた。 2頭とも巻き返しは難しいというのが関係者の大筋の見解だが、いったいどういう結末になるのか。(写真左=リーチザクラウン、右=ロジユニヴァース)
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レジャー 2009年05月26日 15時00分
「第76回日本ダービー」(JpnI、東京芝2400メートル、31日) 2歳王者セイウンワンダーに復活の兆し
“元3強”の2頭に暗雲が立ち込めるなか、皐月賞戦線で一度は挫折(弥生賞8着)を味わったセイウンワンダーが、再び息を吹き返してきた。 「相手は強い。でも、皐月賞(3着)の内容がすごく良かった。チョットやけど、色気は持ってるで」。大一番を前にニンマリとした表情を見せるのは領家調教師だ。 その皐月賞ではダービーに向けて、「余裕の仕上げ」で挑んだ。八分程度の状態にもかかわらず、直線では勝ち馬アンライバルドにも劣らぬ差し脚を発揮した。 しかも元来、右回りよりも左回りを得意とするサウスポー。東京は初コースになるとはいえ、格好の舞台設定だ。 「この馬が最も強いレースをしたのが新潟2歳S(1着)。道悪だったけど、良馬場のような強烈な脚で差し切ってくれた。右回りと違って、左回りだと瞬時に手前をかえる。その分、長くいい脚が使えるんや」 体調も本番に向けて究極の施しを行ってきた。中間はこれまでにないハードな調整で、1週前追いでは栗東CWで6F78秒4の猛ゲイコを消化。まさに、仕上げはダービー仕様…自分自身を極限に追い込んだ120パーセントの態勢にある。 「ここまではイメージ通りの調整ができている。あとは直前で気合を乗せれば大丈夫。確実に体調は上向いている」 過去、領家厩舎はダービーに3度出走。2001年にはダンシングカラーで3着に善戦しているが、ワンダーは少なからず勝利を意識できる存在だ。しかし、鼻息の荒かった初春とは対照的に、トレーナーはリラックスムード。「強い馬がいるからウチのは人気的にも6、7番手。気楽な立場やろ。だから鞍上もプレッシャーなく、乗れるんとちゃうかな。あとは得意の左回りでどんな脚を見せてくれるかやね」 一種独特な雰囲気に包まれるダービー。人気の重圧という最大の敵がいなくなった今、プライドを捨てた2歳王者が復権を狙う。
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レジャー 2009年05月26日 15時00分
「第76回日本ダービー」(JpnI、東京芝2400メートル、31日) ブレイクランアウト 外国産馬初のダービー制覇へ意欲
2001年の「第68回日本ダービー」から外国産馬に門戸が開放されて9年目。ブレイクランアウトが、史上初の外国産ダービー馬を目指す。 断然人気を集めた前走のNHKマイルCは、よもやの9着と背信的な惨敗を喫したが、あれが実力ではない。「(差し、追い込みで決まった)皐月賞と逆の展開になっちゃいましたね。読みが外れたけど、これが競馬だから仕方ないです」と戸田調教師は苦笑い。ダービーに向けて、すでに気持ちはリセットしていた。 中1週の強行軍も想定内。「幸い(前走を使った後の)ダメージはなかったし、もともと心肺機能の高い馬で、いい状態をキープしてますよ」と余裕しゃくしゃくだ。 1週前追い切り(21日)は南ポリトラックで、5F73秒0→56秒6→41秒3→12秒2(馬なり)。軽めの内容ながら、外ドラゴンメイルに1/2馬身先着と軽快な動きを見せた。 「ガサ(442キロ)がないし、二四の長丁場を考えてオーバーワークにならないように格下の馬と併せ、遅いペースで我慢させることに主眼を置いてやりました」と説明する戸田師。 「直前(最終追い切り)は、藤田ジョッキーに乗ってもらう予定で、必然的に時計は速くなるでしょう。だから、今日はその点も考慮してやりました」と補足した。 課題は、一気の距離延長となる2400メートル。しかし、トレーナーはまったく意に介していない。「キャリアを重ねるごとに、競馬が上達して折り合いに進境がみられるし、コントロールしやすくなっている。血統的な背景からも心配ないですよ」と断言する。 乗りかわりも、ここ一番に強い藤田騎手なら不足はなく、起死回生の一発があって不思議はない。
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レジャー 2009年05月26日 15時00分
「第76回日本ダービー」(JpnI、東京芝2400メートル、31日) ナカヤマフェスタ 無敗の東京で一発狙う
馬名とは裏腹に、東京コースで2戦2勝の実績を残すナカヤマフェスタが、万全の状態で大一番を迎える。 皐月賞は1秒4差8着と完敗を喫したが、1月の京成杯(2着)から3カ月ぶりの一戦。「いろいろあって、順調さを欠いたからね。仕方ない」と蛯名騎手は振り返る。体調が整わず、弥生賞、スプリングSと予定していたTRをパスせざるを得なかったのは痛かった。 しかし、災い転じて福と成すとはこのこと。久々の皐月賞をひと叩きされ、中間は著しい良化を見せている。1週前の追い切りとなった20日は、南ポリトラックでブリッツェン(3歳500万)、サンクスノート(古馬1600万)と意欲的な3頭併せを敢行し、5F65秒6、上がり3F37秒1→11秒7(馬なり)をマーク。ラスト1Fの時点では、まだ前の2頭とは差があったが、そこから一気に伸びて併入に持ち込んだ。 「これが本当の動き。今まではこの反応がなかったからね。悪い時に使わなかったのが良かったんだろう」と、手綱から伝わった愛馬の復調ぶりに蛯名の顔は自然とほころぶ。「右回りでは手前をかえないが、左回りではきちんとかえるし、伸びっぷりが違う」 一方、見守った二ノ宮調教師も「まだ百点満点ではないが、動きは良かったね。右回りと左回りではやっぱり違う。気性面が成長して、従順になってきたのもいい」と合格点をつけた。 皐月賞馬アンライバルドをはじめ、強力メンバーがそろうが、父はステイヤーで鳴らしたステイゴールドで距離延長は大歓迎。舞台も新馬→重賞(東スポ杯2歳S)連勝の離れ業を演じた東京と反撃へ向け、おぜん立ては整っている。 「強気なことはいえないが、大一番に向けて上り調子で行けるのは何より。東京にはいいイメージがあるし、あとはボクがリズム良く乗れれば」。ダービー17度目の挑戦となる蛯名は初優勝に意欲を燃やしていた。
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レジャー 2009年05月26日 15時00分
新重賞今昔物語 1999年日本ダービー ダービー馬になることを宿命づけられたアドマイヤベガ
宿命に打ち勝つことはそんなに簡単じゃない。まして、それが一国の宰相になるより難しいといわれるダービーの勝利ならなおさらだ。 毎年1万頭前後の馬が生産され、彼らの夢が濃縮される舞台。18しかないゲートを目指して厳しいサバイバルが繰り広げられるなか、アドマイヤベガほどダービー馬になることを宿命づけられた馬はいないだろう。 父は当時、最盛期を迎えていた不世出の大種牡馬サンデーサイレンス。母は桜花賞、オークスの2冠馬ベガ。所属したのは、サイレンススズカで一世を風靡(ふうび)した橋田厩舎だ。そして鞍上には武豊がいる。オーナーの近藤利一氏はこの馬を手に入れた時、すでにダービーは夢ではなく、手の届く目標としてとらえていたのではないだろうか。 だが、その道のりは連戦連勝とはいかなかった。楽勝かと思われた新馬戦は1着入線→4着降着。続くエリカ賞、ラジオたんぱ杯3歳S(現NIKKEI杯2歳S)を連覇して一気にクラシックの最有力候補に浮上したが、年明け初戦の弥生賞は道悪で2着。皐月賞はマイナス12キロの馬体が影響して6着に惨敗した。 そんな状況で迎えた1999年日本ダービーは、皐月賞馬テイエムオペラオー、同3着ナリタトップロードとの3強対決と騒がれた。潜在能力では文句なしのナンバーワンと評価されたベガだが、強さとモロさが同居したレースぶり、また前走で減った馬体重に対する不安もあり、1番人気はトップロードに譲り、2番人気に甘んじた。 だが、アドマイヤベガのDNAには、宿命がはっきり刻み込まれていた。10キロ増と立て直された馬体には、活力がみなぎっていた。道中はライバル2頭を前に置き、じっくり後方を追走。直線で外に出すとすさまじい瞬発力を発揮し、6年前、母がオークスを圧勝した舞台で頂点を極めた。父にとってはタヤスツヨシ、スペシャルウィークに続く3頭目のダービー馬となった。 鞍上・武豊の好騎乗も光った。トップロードの渡辺、オペラオーの和田は当時、ともに経験の浅い若手でダービーのゴールを目前に勝ちを急いだ。その点、武豊はギリギリまで追い出しを我慢した。前年、スペシャルウィークで念願のダービー初制覇。あれで勝ち方をしっかりつかんだのだろう。アドマイヤベガの天才的な切れ味を、天才が見事に引き出した一戦だった。
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レジャー 2009年05月26日 15時00分
夜遊び最前線/合コンのノリで盛り上がるキャバクラ!
内巻き、外巻き髪にロングドレスの正統スタイルに加え、合コンみたいに盛り上がりを期待できるお店はないのか、専門誌やネットでチェック。で、本川越に見つけたのが、『CLUB GUILTY』(クラブ・ギルティー)。 店内はブラウンとゴールドを基調のインテリア。キャストは桜井美奈チャン(写真)のほかにもモテフワロール髪にドレス姿のレディ揃い。一見、リーマン接待系の敷居が高いお店と思わされますが、そんなことは絶対にありません。「タバコ? 私も吸うからゼンゼン平気、平気! 最近、喫煙者って肩身狭くてヤになるよね!」「ねぇねぇ、小腹すいてない? ウチの店って、揚げタコヤキがマジ美味しいんだけど!」なんて、綺麗なお顔に似合わず随分と親しみやすい美奈ちゃん。 軽い冗談言うと、僕の肩や腿を叩いて大爆笑。「割引きイベントとかは1年中多いから、1人で居酒屋とかで飲むよりウチ来た方が得だよ」なんて、客の懐具合も心配してくれる。まるで顔なじみの飲み会に招待してもらったような賑やかさだ。なんて心地良いんだろうか。 店長から「アットホームに感じる雰囲気が当店のポリシー。毎月曜は30分500円の『1コインDAY』、他サービスドリンク付の『私服DAY』、また謝恩企画などのイベントもたくさんありますので、いつでもご来店下さい」。【記事提供】キャフー http://www.kyahoo.jp/
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レジャー 2009年05月25日 15時00分
人物クローズアップ “第2の「千の風になって」”生み出した樋口了一からの『手紙』
昨年10月22日に発売されたCD「手紙」が、オリコン5月25日付シングル週間ランキングで9位に入った。半年以上にわたってジワジワと支持を広げ、今や第2の「千の風になって」との呼び声も高い。この曲を世に出し、そして歌い続けるシンガーソングライターの樋口了一(45)に話を聞いた。 この曲が生まれるきっかけは、友人でポルトガル語翻訳家の角智織(すみともお)さんの元に届いた1通のチェーンメール。そこにはポルトガル語で書かれた作者不詳の散文詩が記されていた。 「最初、角さんは訳した詩をパソコンのスライドショーにして、僕を含めた4〜5人にメールで送ってくれんです。モニターに映し出される言葉がリアルで、脳裏に映像を呼び起こされるような感じがしました。2〜3日たっても忘れられなくて、角さんに改めて訳詩を送ってもらい曲を付けてみたんです」 歌詞にしては直接的、率直な内容で、日本の楽曲にはなかったような言葉で構成されている。 「最初は驚きましたが、海外の人たちのコミュニケーション手段にユーモアを感じて、すごく柔らかい考え方で表現する視点を持てました。確かにJ-POPにはないものですが、だからこそ“曲にしたい”という思いが強まった感もあります。これを歌にするのもアリかと」 詩の内容は一見して、高齢の親が子供に自らの老いを訴える“衰えの歌”のようにも受け取れる。 「でも、僕は逆の力強さを感じたんです、老いていく人が立ち上がる…みたいな。こうした力強さや安心感を曲に滲(にじ)ませたせいか、リアルな言葉で内面に踏み込んでいく、聞く人に対して癒やしや救いを持った曲になりました。これまで僕が抱いていた“メッセージ性を持った音楽を作っていたい”という思いを、違った手法で実現できたんじゃないかな」 訳詩に触れたとき、自分の心の中にしまっていた映像がよみがえり、それが大きな安心感につながり、やがて詩の内容に対して肯定的な気持ちになっていったという。 「生まれて四十数年。幼いころの父親の思い出とか、いろんなことがフラッシュバックしてきて。僕の支持層は割と同世代がメイン。僕には80過ぎの両親に、5歳と2歳の子供がいます。ファンも似たような家族構成でしょう。昔からのファンは『手紙』に、違和感より同世代としてのシンパシーを感じ取ってくれたんじゃないかと思います」 だが、リリースから半年が過ぎた今、ここまで広まるとは具体的に想像していなかった。 「僕の曲がファン以外に広がっていくのって、初めての経験なんですよ。作曲中は多くの人に伝わって欲しいとは思ったけど、いかんせん経験がないですから。最初はインディーズで出そうと思ったんですが8分以上もあるし、CDにしたいけど無理かなって。これは生で伝えるしかないと(笑)。でも、テイチクさんからリリースが決まったとき“売れる売れないは関係ない。この曲は一人歩きするから別に心配してない”って言われたんです。その気持ち、よく分かったので僕も不安はありませんでした」 実際に親の面倒を見ていたり介護に携わっている人たちから、数多くの手紙が届いているという。それは封書はもちろん、メールも。 「曲を聞いて返事を書きたくなる方が多いみたいです。しかも皆さん、長い文章で思いをつづられて。これはJ-POPにはないリアルさです」 先ほど“生で伝えるしかない”とあったが、聞きたい人のもとを訪ねて生で歌う「ポストマンライブ」を、今年1月から実際に続けている。 「普通のコンサートと違ってリアルな反応を感じます。ご夫婦二人と相対して歌えば、向こうからも感情が伝わってくる。それがまた僕のエネルギーになるんです。この曲を聞いて涙を流す方が多い。でも、それは悲しいからではなく、忘れて洗い流してスッキリする、そうした涙なんです。僕も最初この詩に触れたときの衝動をできる限り忘れず、軸をブレさせず、テンションを保ったままでいたい。直接この歌を届けに行き、なるべく生で聞いてもらいたい。その意味で今年の目標は…健康でいること(笑)」 樋口を語る上で欠かせないのが、大泉洋らが出演していた北海道の人気ローカル番組「水曜どうでしょう」。エンディング曲「1/6の夢旅人」はファンの愛唱歌だ。 「『1/6の夢旅人』と『手紙』は内容が真逆のようですが、人を応援したいという点で目的は一緒なんです。先日も『どうでしょう』の藤村忠寿ディレクター(D)と一緒に“姫だるま”で有名な大分の温泉に行ったんですが。番組のファンの前で藤村Dがこの詩を朗読し始めたら、途中で爆笑し始めて読むのを止めちゃった。後で湯につかりながら“なんで爆笑したの?”って聞いたら“泣きそうになったから”だって。いかにも藤村Dらしい理由でしょ」 これまでTOKIOやV6らに楽曲を提供してきた“作家”でもある樋口。最近、常に曲作りを迫られる創作活動へのプレッシャーとは別の意識を感じていたという。 「ここ数年、単にいい曲というだけでは足りないのでは? 真に人から必要とされる曲が存在するんじゃないかと、自分に問いかけてきました。その答えのようなものが『手紙』で見えた気がします。結果的に『手紙』が人から必要とされる曲、イコールいい曲になればいいと思います。僕もまた詩の言葉に、手紙に鼓舞され励まされている一人。聞いて下さる皆さんと一緒です」 あす26日には「歌謡コンサート」(NHK総合・午後8時)にも出演する。まだ聞いたことのない方は、一度ぜひ耳を傾けてほしい。 ひぐち りょういち 1964年2月2日生まれ、熊本県出身。立教大学中退。93年「いまでも」(東芝EMI)でデビュー。主に作家としてさまざまなアーティストに楽曲を提供。97年「Anniversary song」リリース後、活動小休止。03年、6年ぶりの新曲「1/6の夢旅人2002」で本格的にアーティスト活動を再開。
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レジャー 2009年05月25日 15時00分
高橋四丁目の居酒屋万歩計(1)「さかばやし」(立ち飲み)
さして落胆しているふうでもなく「90万円磨(す)った」と、ケイタイで話しながら歩いている男とすれ違った。東京証券取引所のある茅場町からも遠くないこのあたりでは日常茶飯のことなのか、言外に、まだ自分に才覚があったから損失を90万円で済ませた、とほのめかしている。 行き交う男たちのほとんどがスーツ姿。仕立ては、必ずしも良くない。襟首に皺(しわ)が2、3本、大きく湾曲している。男のスーツ姿というものは、じつは都会でもっとも有効な身を隠す術(すべ)なのだが、そういう意味合いでもどうやらなさそうだ。 映画という、光と陰でできた虚の世界に長く浸っていると、実業の世界の人々こそが物語の中にしか存在しないのではないかという錯覚に陥りそうになる。やがて、その錯覚を否定できなくなる。否定しなくなる。肯定するようになる。 「さかばやし」の酒林(杉の葉を束ねて球状にした酒屋の看板)をくぐって中に入る。 左手に、真っすぐ前を向いたお姉さんがいらした。男というものは、しょうもなく遊びにくるもの。遊ばなければ人生を実感できない、そういう生き物なのだから、見逃すしかない。まあ、こちらも商売だから遊ばせないことはないのだけれど、こいつらは枷(かせ)をしておかないと、羽目を外す。ここは白い歯を見せずに、ひと睨(にら)みしておいたほうがいい。 男は図に乗るとどこまでも甘えてくる。それはもう自分の亭主だけで、たくさん。だいたい、あの亭主も…というふうにお考えになっているかどうかは知りません。知りませんが、ややきつく、やや冷たいお姉さまがきりりと紅を引いてお待ちになっているので、酒とつまみを申告して、お支払いして、停まる卓を選択しましょう。 これが、キャッシュ・オン・デリバリーのシステム。お釣りは小さな竹籠(かご)に入れておきましょう。どうせまもなく出て行きます。 チンしてもらったニラ玉も、ぷっくりしたソラマメもとても良いアテながら、まぐろのブツがうわさに違わぬ絶品でした。ブツという言い方が違います。大とろと中とろの、お雛さまサイズというべきでありましょう。 一切れつまんで、お燗(かん)に切り替えました。このとろける甘さと油分は、冷やでは洗い流せないものです。 大ぶりのテレビでは今年、生誕100年の松本清張物を再放送中。画面で米倉涼子(女優)が土下座しております。立ち飲みの酒場では、必ず誰かはぼーっと眺めているものですが、ここではみんな話に夢中か、思案の最中なのでした。予算2000円東京都中央区日本橋小伝馬町9-1
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