皐月賞は1秒4差8着と完敗を喫したが、1月の京成杯(2着)から3カ月ぶりの一戦。「いろいろあって、順調さを欠いたからね。仕方ない」と蛯名騎手は振り返る。体調が整わず、弥生賞、スプリングSと予定していたTRをパスせざるを得なかったのは痛かった。
しかし、災い転じて福と成すとはこのこと。久々の皐月賞をひと叩きされ、中間は著しい良化を見せている。1週前の追い切りとなった20日は、南ポリトラックでブリッツェン(3歳500万)、サンクスノート(古馬1600万)と意欲的な3頭併せを敢行し、5F65秒6、上がり3F37秒1→11秒7(馬なり)をマーク。ラスト1Fの時点では、まだ前の2頭とは差があったが、そこから一気に伸びて併入に持ち込んだ。
「これが本当の動き。今まではこの反応がなかったからね。悪い時に使わなかったのが良かったんだろう」と、手綱から伝わった愛馬の復調ぶりに蛯名の顔は自然とほころぶ。「右回りでは手前をかえないが、左回りではきちんとかえるし、伸びっぷりが違う」
一方、見守った二ノ宮調教師も「まだ百点満点ではないが、動きは良かったね。右回りと左回りではやっぱり違う。気性面が成長して、従順になってきたのもいい」と合格点をつけた。
皐月賞馬アンライバルドをはじめ、強力メンバーがそろうが、父はステイヤーで鳴らしたステイゴールドで距離延長は大歓迎。舞台も新馬→重賞(東スポ杯2歳S)連勝の離れ業を演じた東京と反撃へ向け、おぜん立ては整っている。
「強気なことはいえないが、大一番に向けて上り調子で行けるのは何より。東京にはいいイメージがあるし、あとはボクがリズム良く乗れれば」。ダービー17度目の挑戦となる蛯名は初優勝に意欲を燃やしていた。