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アスクル、サイバー攻撃で深刻な被害 防御は不可能、迅速に復旧できる体制構築が急務

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アスクルの公式ホームページより

通販大手のアスクルはサイバー攻撃を受け、システム障害の発生により受注や出荷業務を停止している。21日放送のテレビ朝日系「ワイドスクランブル」で解説した。

アスクルは法人向け通販「ASKUL」「ソロエルアリーナ」、個人向け通販「LOHACO」を運営しており、オフィス用品だけでなく、医療や介護現場に必要な商品も届けられない状況だ。中小医療機関の場合、メスや注射針といった使い捨ての備品は、費用やスペースの問題から大量在庫で抱えられないため、ASKULを利用しているケースが多い。

影響はアスクル以外のECサイトにも広がっている。19日から「無印良品」を運営する良品計画は、インターネットストアで受注、出荷業務を停止し、雑貨店のロフトもネット販売を停止、百貨店のそごう・西武もネット販売を一部停止した。いずれもアスクルの子会社に配送を委託しているため影響が出た。

警察庁サイバー警察局によると、今年上半期、報告されている被害だけで116件に及び、実際はその何倍もの被害が出ている可能性が高い。内訳は大企業が30%、中小企業が66%、団体等4%で、復旧までに2カ月かかったケースが6%あるという。

アスクルがサイバー攻撃で感染したのは「ランサムウェア」と呼ばれるもので、身代金要求型ウイルスだ。犯人はデータを暗号化で利用不可能な状態にした上で、そのデータを元に戻すことと引き換えに金銭(身代金)を要求する。さらに、盗み出した機密情報を公開しないことと引き換えに追加の身代金を要求する手口が一般的になっている。

ランサムウエアを巡っては9月、アサヒグループHDも被害に遭い、3週間たった今も全面復旧の見込みが立っていない。昨年6月は出版大手KADOKAWAが被害に遭い、ニコニコ動画の完全復旧まで約2カ月かかった。会社の規模にもよるが、復旧費用には数億円以上、被害額は数十億円以上といわれる。

サイバーセキュリティーに詳しい神戸大学の森井昌克名誉教授は「サイバー攻撃を100%防ぐのは不可能で、迅速に復旧できる体制を構築するべき」と企業の担当者に注意を促している。

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