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「第76回日本ダービー」(JpnI、東京芝2400メートル、31日) 2歳王者セイウンワンダーに復活の兆し

 “元3強”の2頭に暗雲が立ち込めるなか、皐月賞戦線で一度は挫折(弥生賞8着)を味わったセイウンワンダーが、再び息を吹き返してきた。

 「相手は強い。でも、皐月賞(3着)の内容がすごく良かった。チョットやけど、色気は持ってるで」。大一番を前にニンマリとした表情を見せるのは領家調教師だ。
 その皐月賞ではダービーに向けて、「余裕の仕上げ」で挑んだ。八分程度の状態にもかかわらず、直線では勝ち馬アンライバルドにも劣らぬ差し脚を発揮した。
 しかも元来、右回りよりも左回りを得意とするサウスポー。東京は初コースになるとはいえ、格好の舞台設定だ。
 「この馬が最も強いレースをしたのが新潟2歳S(1着)。道悪だったけど、良馬場のような強烈な脚で差し切ってくれた。右回りと違って、左回りだと瞬時に手前をかえる。その分、長くいい脚が使えるんや」

 体調も本番に向けて究極の施しを行ってきた。中間はこれまでにないハードな調整で、1週前追いでは栗東CWで6F78秒4の猛ゲイコを消化。まさに、仕上げはダービー仕様…自分自身を極限に追い込んだ120パーセントの態勢にある。
 「ここまではイメージ通りの調整ができている。あとは直前で気合を乗せれば大丈夫。確実に体調は上向いている」
 過去、領家厩舎はダービーに3度出走。2001年にはダンシングカラーで3着に善戦しているが、ワンダーは少なからず勝利を意識できる存在だ。しかし、鼻息の荒かった初春とは対照的に、トレーナーはリラックスムード。「強い馬がいるからウチのは人気的にも6、7番手。気楽な立場やろ。だから鞍上もプレッシャーなく、乗れるんとちゃうかな。あとは得意の左回りでどんな脚を見せてくれるかやね」
 一種独特な雰囲気に包まれるダービー。人気の重圧という最大の敵がいなくなった今、プライドを捨てた2歳王者が復権を狙う。

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