社会
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社会 2018年04月18日 14時00分
『メルカリ』上場に暗雲 フリマアプリ王国に“盗品売買”の壁
フリマアプリ『メルカリ』が大人気だ。古着屋や不用品買取店に品物を大量に持って行っても、待たされるだけ待たされて、「全部で100円ですね」などと平気で言われる。車の座席一杯に持っていった50点もの洋服がだ。その点、メルカリは自分の希望する値段で取り引きできる。不要な物をスマホで撮影してアップロードするだけ。そんな手軽さが人気を集めているフリマアプリは、ここ数年で利用者が急増し、今や市場規模は3000億円を優に超える。中でも『メルカリ』は独走状態だ。 アプリのダウンロード数は国内外を合わせて1億件を突破し、月間取引額は100億円を誇る。収益は、取引成立時に出品者から売買価格の10%を手数料として受け取る仕組みだ。取り扱う商品は多岐にわたり、ブランド品やアパレルの他、靴の外箱、牛乳パックやショップの紙袋まで、ありとあらゆる物が売られている。 「スマホで撮って簡単にアップロードするだけ。ヤフオクより簡単です。公園で拾ったどんぐり、海辺で拾った流木、サンプルで配られた嗜好品、それに使い古した鞄や靴、スーツも売れる。修理やクリーニングをすれば、さらに高値になる。これまで捨てていたのがもったいないと思うでしょう。マメに出品する人は、売り上げが月数万円になるときもあります」(経済誌記者) 一方で、店舗型買い取りショップのシェアが奪われている現状も見逃せない。 「立地のよい場所に出店し、宝飾品から日用品まで買い取りを手掛けていましたが、案件が目に見えて減っています。商品がなければ売り上げも下がる。完全にフリマアプリのあおりを食っていますね」(リユース業者) 『メルカリ』はもともと小さなベンチャー企業から始まった。 「社員も『ここまで会社が大きくなるとは思わなかった』と言っているくらいです。大型の新規上場銘柄として注目されていますが、盗品や現金の販売で警察に目を付けられたのはマイナス材料。預り金についても金融庁から指摘を受けており、上場はまだ先でしょう」(市場関係者) そんなフリマアプリの雄『メルカリ』だが、予想を上回るスピード成長の“副作用”とも言うべき事態にも直面している。万引きなどの盗品が換金目的で横流しされ、犯罪の温床になっているのだ。現在、株式上場に向けて個人情報の登録を義務付けるよう、法令順守の意向を強めている。
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社会 2018年04月18日 08時00分
金正恩「米朝首脳会談」で大どんでん返し非核化拒否!
5月末に行われる見通しの米朝首脳会談最大のテーマ“北朝鮮の非核化”に対し、金正恩党委員長が4月8日“朝鮮半島の非核化”の意思を直接、米政府に伝えた。あくまで北はリビア方式の非核化に応じる考えはなく、補償と支援との交換で実施する意向のようだ。 「正恩委員長は非核化をチラつかせてはいますが、実際には『行動対行動』『約束対約束』の原則にこだわりながら時間を稼ぎ、パキスタンのように事実上の核保有国として容認されることを目指していたはずです。金日成から正日、正恩と親子3代が半世紀にわたって核ミサイル開発に注力してきた国が、正恩委員長自ら語った“核の宝剣”をいとも簡単に手放すとは考えられないからです」(安全保障アナリスト) リビア方式とは、核兵器開発計画を推進していたリビアの独裁者カダフィ大佐(当時)が、米英から《非核化を先行させ、その後に制裁の解除などを行う》という一連のプロセスを突き付けられたことを指す。カダフィ大佐は、正恩委員長が主張する「行動対行動」「約束対約束」という方式を採らず、核開発計画を支援より先に放棄した。その結果、自国民の手によって“斬首”されてしまった。 正恩委員長は、この二の舞いを絶対に避けたい。言い換えれば、核兵器を手放した金王朝は、遅かれ早かれカダフィ政権と同じ運命をたどるという恐れを抱いている。 北朝鮮が目指す朝鮮半島の非核化はこうだ。 在韓米軍の戦術核兵器は、南北非核化共同宣言に基づき1992年に撤去されている。だから、朝鮮半島に存在する核は北製だけだ。つまり米軍による韓国の核の傘を外せと要求しているわけで、それは在韓米軍の撤退を示唆している。 「やっかいなのは、リビア方式を採るも何も、北朝鮮は当時のリビアとは比べ物にならないほどの“核レベル”に達していることです。実際、ボルトン新大統領補佐官も国連大使時代の2007年、リビア型非核化を北朝鮮に適応するのは難しいとの考えを示しています。それから10年以上経過した現在では、北の大量破壊兵器開発計画はストップできる段階を越えているわけで、トランプ政権も北側がリビア方式を受け入れないことを承知しているはず。米国は交渉に入る段階で、非核化の言質を取るという“入り口論”なのに対し、北朝鮮は“出口論”(交渉の最終段階で非核化を実現する)ですから、両国は全くの反対方向を向いている。これで会談に入れるとは思えません。ですからトランプ大統領は『会談を決裂させたのは北朝鮮だ!』として、中間選挙を控えた折でもあり“勧善懲悪”という米国民に分かりやすい展開を狙う可能性があります」(国際ジャーナリスト) トランプ政権があっさりと「米朝会談OK」とした腹の内は、軍事オプションをチラつかせながら北朝鮮を追い詰めれば、会談の入り口で非核化に向けた合意文書を作れると読んでいたフシがある。この方針を支えたのは、中国は少なくとも北朝鮮に味方しないという米中合意が半ば詰められていたことだ。 「ところが、米朝会談の前に中朝首脳会談が実現してしまい、中国は北朝鮮との同盟関係を維持する可能性が出てきました。もしそうなれば、北朝鮮に対する軍事的恫喝効果は薄れるし、同時に中国が北への経済制裁を緩めれば国連の制裁効果も一気に廃れます。実際、中朝国境の北朝鮮経営のホテルやレストランの営業は再開したようですしね。とはいえ、中国は最後には正恩を裏切るでしょう。中国としてはトランプ政権から“通商カード”で目一杯脅されているので、この拳を何としても降ろさせたい。そのために正恩を米国に売り渡すに違いありません。その後、正恩政権を排除し、北を完全属国(緩衝地帯)にしてから非核化が実現されるのではないでしょうか。あの習近平が、これまでに散々恥をかかされた正恩をあっさり許すはずはないのです」(同・ジャーナリスト) このところの正恩委員長は気持ち悪いほど融和ムードを演出している。韓国の文在寅政権発足から3カ月後の'17年8月には「ソウルを火の海にする」と脅迫し、秋には核実験とミサイル発射を続けざまに行い、いつ戦争が起きてもおかしくない状況を作っていた。 それがコロッと変わったのは二つの理由からだ。まず、国際社会の経済制裁が効果を上げてきており、ただただゼニが欲しいため。もう一つは「核武力完成」を宣言し、米国をビビらすだけの抑止力を確保したと自信を付けたことだ。 「3月5日に平壌で韓国特使団と夕食を共にした李雪主夫人は、正恩委員長を『チェ・ナムピョン(私の夫)』と呼んだそうです。こうした普通の呼び方は極めて異例で、これまでは『元帥様』でした。国際社会の視線を意識し“普通の国家”を演出したとみられますが、これらはアダになるかもしれません。というのも正恩委員長はトランプ政権に追い詰められ、北朝鮮問題では後手に回っていた旧宗主国の中国に助けを求めてしまった。これを『リーダー失格』と見なした国内の反勢力が、チャンス到来と動き出すかもしれないからです」(北朝鮮ウオッチャー) そうなれば、自国民から“リビア方式”で斬首の憂き目に遭うか、もしくはルーマニア革命で夫婦そろって銃殺されたチャウシェスク大統領と同じ轍か、そのどちらかだろう。
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社会 2018年04月17日 20時00分
ネット時代の“愛のない正論”…「火垂るの墓」にツッコミ多数
高畑勲監督の死去を受けて、1988年公開のアニメーション映画『火垂るの墓』が4月13日に『金曜ロードSHOW!』(日本テレビ系)で急きょオンエアされた。同作はほかのスタジオジブリ作品とともに、日本テレビで8月を中心に定期的に放送されてきた。戦争で両親を亡くした兄と妹が、自由を求めて防空壕で暮らしはじめるも、食べ物にありつけず、栄養失調で妹を亡くし、やがて兄も戦後の浮浪児となって命を落とす切ないストーリーである。 戦争の悲惨さを描いた名作として知られるが、ネット上では思わぬところからツッコミが入っている。 「空襲で母親を亡くした兄と妹は親戚のおばさんの家へ引き取られます。折り合いがあわずに家を出て防空壕で暮らし始めるのですが、そこに『そこは我慢しろよ』『なんで謝らないの』『母の形見の着物を米に換えられたことに文句を言うけど、家賃光熱費払ってるの』といったツッコミがネット上では見られます。作中では母親が7000円の貯金を残してくれるシーンもあり、これは現在の価値に直せば1000万円以上に相当します。物不足の時代とはいえ、これだけのお金がありながらなぜ、最後に妹を亡くしてしまうのか。悪いのは兄の清太ではないかといった声も見られますね」(ネットウォッチャー) これはネット時代の「愛のない正論」だともいえる。何より『火垂るの墓』の原作自体が複雑な要素がからみあうものだった。 「『火垂るの墓』は2015年に亡くなった野坂昭如さんの同名の小説が原作となっています。本作で直木賞を受賞していますね。野坂さんは実際に妹2人を栄養失調で亡くしていますが、作品にあるような妹思いの兄ではなかったようです。親戚の家をたらい回しにされた経験もあるものの、ご飯を食べさせてもらえないといったひどい扱いもなされておらず、どちらかといえば裕福な家庭で育ったようです。ただそうした立場にあっても、お金があっても食べ物がない、全体主義の抑圧が一般家庭にまで押し寄せている、といった戦中の空気を理解していないと矛盾のある物語と感じてしまうでしょうね」(前出・同) 高畑監督は生前に作品について、時代が変われば「未亡人(親戚の叔母さん)以上に清太を糾弾する意見が大勢を占める時代が来るかもしれず、僕はそれが恐ろしい」と言葉を残している。今回のネットの反応は、まさにそうした恐怖の時代の到来を現しているかもしれない。心からご冥福をお祈り申し上げる。
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社会 2018年04月17日 18時00分
鹿児島県日置市殺人事件 38歳容疑者と被害者の不可思議な相関関係
現代版“八つ墓村”か? なぜ殺さなくてはいけなかったのか、容疑者の動機と被害者の相関関係がややこしい。鹿児島県日置市の民家で4月6日、男女3人の遺体が発見され、8日に近くの雑木林から男女2人の遺体が発見された事件は、いまだ地元を震撼させている。 7日、殺害された5人のうちの1人である後藤広幸さん(47)に対する殺人の疑いで逮捕されたのは、民家近くのアパートに住む無職、岩倉知広容疑者(38)。この時点で、現場となった民家に住む岩倉容疑者の祖母・岩倉久子さん(89)と、父親で久子さんの次男のAさん(68)が行方不明に、さらに後藤さんとともに久子さんの長男の妻・岩倉孝子さん(69)と、孝子さんの姉の坂口訓子さん(72)の遺体も、民家で発見されていた。 「6日昼ごろ、Aさんの勤務先から長男の元に『Aさんが数日前から出勤せず連絡も取れない』と連絡が入り、長男は孝子さんと坂口さんに様子を見に行くように頼んだ。しかし、その後の連絡がないため、岩倉容疑者と同じアパートに住む知人だった後藤さんにも民家へ行くように依頼したのですが、後藤さんとも連絡がつかなくなった。そこで長男は日置署に通報、署員が駆けつけると、孝子さんと坂口さんは息絶え、後藤さんも心肺停止の状態だったのです」(全国紙社会部記者) 同日夜には、捜査員が日置市内で岩倉容疑者を発見し逮捕、8日に本人の「祖母と父も殺して遺体を車で運び、近所に捨てた」との供述通り、民家から約400メートルの雑木林の土中から2人遺体が発見されたのだった。 「久子さんは市内で開業医をしていた夫と死別し、その遺産で生活していました。そこへ10年ほど前、離婚した次男のAさんが帰って来て、一緒に住み始めた。次男はマメな性格で、食事や掃除、洗濯までこなし、仲のいい親子というイメージでしたよ」(近隣住民) その様子が一変したのは、Aさんと離婚した母親と暮らしていた岩倉容疑者が転がり込んできてから。 「5年ほど前から同居するようになった知広は、働く様子もなく完全に父親とお婆ちゃんに依存していた。高校時代から暴力沙汰の騒動を起こしていましたが、母親と離れてさらに狂暴化したようです。そこでお婆ちゃん所有のアパートで一人暮らしをさせるようになったのですが、それでもお婆ちゃんは知広を恐れ、土地の権利証などを常に持ち歩いていたといいます」(岩倉家を知る人物) 用意周到な計画ではあるまい。サスペンスドラマじゃあるまいし、いとも簡単に次から次へと様子確認に行った者が殺害に遭うものだろうか。前代未聞の殺人事件、その背景と容疑者の心理が明らかにされる日を待つしかない。
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社会 2018年04月17日 08時00分
ハメられた佐川前国税庁長官の退職金「忖度損」と籠池被告「獄中生活」
学校法人「森友学園」(大阪市)との国有地取引に関する財務省決裁文書改ざん問題は混迷を増すばかりだ。 3月27日に衆参両予算委員会で理財局長を経て国税庁長官に栄転した佐川宣寿氏の証人喚問が行われたが、「刑事訴追」を盾に証言拒否を連発したのは周知の通り。今後は大阪地検特捜部の事情聴取に注目が集まっている。証人喚問は安倍政権への“忖度”で逃げ切ったものの、佐川氏には退職金も天下り先もない可能性が出てきた。 「佐川氏は一連の森友学園騒動の責任を取らされて国税庁長官を辞任。麻生太郎財務相は最終責任者を佐川氏とし、文書改ざん問題の幕引きを図ろうとしているのがミエミエ。野党は安倍昭恵夫人、迫田英典元理財局長、武内良樹前近畿財務局長など複数人の国会招致を働きかけていますが、いかんせん真相解明するには捜査権を持つ大阪地検特捜部に委ねるしかない。もし、佐川氏への事情聴取で違法行為が立証されれば、退職金はゼロか減額となる。当然、天下り先も見つからない。佐川氏は“忖度損”に終わるかもしれませんよ」 と指摘するのは全国紙社会部記者だ。 昨年1月、天下り斡旋問題で文部科学省事務次官を引責辞任した前川喜平氏には7500万円〜8000万円の退職金が支払われたとみられる。国税庁長官まで務めた佐川氏の場合、退職金は約5000万円だという。 「通常、満期(慣例1年)を終えて退官した国税庁長官は、政府系機関や民間企業、それに各種団体の要職を1〜2年単位で渡り歩いて、最終的には収入10億円を超えるバラ色の“天下り人生”が約束されていたはずなのに…」(官僚OB) 佐川氏は何とか居座ろうと逃げ回っていたが、3月2日付の朝日新聞が今回の森友文書改ざん問題をスクープしたことで事態は急変。国会が紛糾し、その最中に渦中の森友学園側と直接交渉していた近畿財務局職員の自殺(7日)も重なり、佐川氏は9日に国税庁長官を依願退官した。 「財務省スキャンダルでいえば、20年前にあった大蔵省接待汚職の“ノーパンしゃぶしゃぶ事件”が思い出されます。この時は大蔵大臣、日本銀行総裁が引責辞任するなど、112人が処分された。佐川氏は麻生財務相から懲戒処分(減給20%3カ月)を受けた同日に依願退官しています。佐川氏の国税庁長官在任期間は約8カ月間。満期まで残すところ4カ月だった。麻生財務相は森友文書改ざんの責任をすべて佐川氏に押し付けていますからね。退職金にどう“忖度”されるのか見物ですよ」(経済ジャーナリスト) 麻生財務相は昨年2月以降に森友学園との国有地取引関連で14件の書き換えがあったことを認め、その最終責任者は前述したように佐川氏としている。 「佐川氏はすでに市民団体などから証拠隠滅罪で東京地検に告発されている。大阪地検は佐川氏を虚偽公文書作成、もしくは公文書偽造・変造の疑いで調べる方針です」(司法関係者) 一方、昨年7月31日に国から補助金を騙し取ったとして詐欺容疑で大阪地検特捜部に逮捕された籠池泰典被告と妻の諄子被告は、いまだに“獄中生活”を強いられている。 「籠池夫妻は勾留から8カ月以上経った現在も大阪拘置所に収容されたままです。酷い話です」 大阪拘置所の収容人数は約2500人。東京拘置所に次ぐ規模で、未決拘禁者、通称「未決」と呼ばれる刑事被告人の他、比較的軽い刑の受刑者、死刑囚などが収容されているという。 「籠池被告が収容されている独居房に入るのは暴力団組員か神経疾患患者、もしくは死刑囚です。まだ裁判も始まっていないのに、籠池被告はすでに極悪人扱い。拘置所にはエアコンは基本的にありませんから、夏は蒸し風呂状態、冬は極寒…65歳と高齢の籠池被告にとっては、とてもつらい“獄中生活”だと思いますよ」(在阪報道記者) 佐川氏の証人喚問が行われる4日前の3月23日には、野党議員らが籠池被告と接見している。「顔色もよく元気そうだった」というが、籠池夫婦は逮捕されてからというもの、接見禁止が続いており手紙のやり取りも弁護士を通じてでしかできない。保釈申請も却下されているという。 「却下の理由として証拠隠滅のおそれが挙げられますが、大阪地検は散々家宅捜索しています。有罪にもっていける証拠固めが整ったから起訴したわけです。証拠隠滅の対象になるものは残っていないはずですよ。あるとしたら逃亡ですが、これほど有名人になったのだから、それは非現実的です。保釈を認めないのは、行政=安倍政権に対する“忖度”はないんでしょうかね」(司法関係者) そもそも、森友学園への国有地取引問題は安倍首相の妻である昭惠夫人の名前が取り沙汰されたことから火がついた。そして、昨年2月17日の衆院予算委員会で安倍首相は「私や妻が関わっていたら、総理大臣も国会議員も辞める」と啖呵を切ったことで「文書改ざんへつながった」(全国紙政治部記者)背景がある。 「佐川氏が国会で森友学園との交渉記録を“破棄した”と答弁した約1週間後に今回の文書の改ざんが始まったわけです。官僚による安倍首相と昭惠夫人への忖度度が窺い知れますよ」(政界関係者) 佐川前国税庁長官の退職金と天下り“忖度損”、籠池被告“口封じ”で誰が一番得をした?
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社会 2018年04月16日 23時10分
就活生、「現実に引き戻される」…ボクシングダブル世界戦で何があった?
15日に神奈川・横浜アリーナで行われたボクシングのダブル世界戦。とある企業によってこの大会に打ち出されていた広告が、就職活動中の学生をグラつかせている。 世界ボクシング評議会(WBC)フライ級王座の比嘉大吾、そして世界ボクシング協会(WBA)の村田諒太が共に防衛戦を戦うという今回のダブル世界戦。村田にとっては初の防衛戦であることに加え、比嘉が試合前の計量でまさかの体重超過・王座剥奪となってしまったということもあり、色々な意味で注目されていた。 注目の試合結果だが、比嘉は体重超過のショックもあったのか9回TKO負け、その後に試合に臨んだ村田は挑戦者を8回TKOで破り初防衛に成功している。注目を集めた両者の戦いは、お互いの明暗が分かれるという結果になった。 フジテレビ系列によってテレビ放送もされていた今回のダブル世界戦には、当然ながら多くの企業が広告を打ち出している。中でも大手人材広告企業の「マイナビ」は、2013年12月から村田とスポンサー契約を結んでいることもあってか、リングマットやコーナーマット、さらには村田本人が出演しているCMなど大々的に広告を出していた。 ところが、試合を通じて目に入って来る「マイナビ」の文字に、ネット上では「リングマットにマイナビって書いててキツい」、「広告が試合に集中させてくれない」、「現実に引き戻される」などといった就職活動中の学生による嘆きの声が挙がっている。先の3月1日から就職活動をスタートさせている就活生の多くが、「マイナビ」をはじめとした企業が展開する就職情報サービスを利用していることがこのような声に繋がっているようだ。 一部では既に全体の2割に内定が出ているとの報道もある今年度の就活戦線。まだ内定を獲得していない就活生にとって、焦りやプレッシャーを感じる日々はもう少し続くだろう。しかし、彼らにはこうした状況に屈することなく、“KO勝ち”で就職活動にピリオドを打ってほしいものだ。
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社会 2018年04月16日 15時00分
郵便事業頭打ちで迷走する日本郵政の不動産会社設立の不安
ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、日本郵便3子会社からなる日本郵政が、4月2日に不動産子会社、「日本郵政不動産」を立ち上げた。同社は日本郵政の完全出資で、資本金は150億円、社員は50人程度というが、早くもこれを不安視する声が上がっている。 日本郵政の不動産事業は、これまで日本郵便が中心となって、東京駅前や名古屋に大型複合ビル『KITTE(キッテ)』を展開したり、遊休地を利用した駐車場『ポスパーク』などを展開していたが、今後は順次、新会社に運営を移行するという。郵便局が不動産という畑違いとも思われる事業に乗り出す狙いの背景を、経営コンサルタントが、こう解説する。 「日本郵政は昨年、海外投資の失敗などで'07年の民営化以来初となる289億円の赤字を出した。稼ぎ頭だったゆうちょ銀行は低金利で不振、加えて本業の郵便事業を引き受ける日本郵便は、インターネットの普及で年賀状利用者がガタ減りするなど、事業自体が縮小の一途をたどっている。日本郵便などは、正社員、非正規スタッフ併せて40万人。これを抱え、どのように強い経営体質に変えるかが、課題だったのですが、それも策が尽き始めているのです」 日本郵便では、全国200カ所弱に不在時でも荷物を受け取れる宅配ロッカー『はこぽす』の数を増やし、ポイント制度を設けて利用を促して再配達の労力をカットした。さらに、縮小する郵便事業の補強策として郵便はがきを52円から62円に、宅配便『ゆうパック』の個人向け料金についても3月に100円〜200円値上げした。加えて、ふるさと納税では自治体やふるさと納税事業者との連携で、返礼品を郵送する料金収入で売上を伸ばす郵便局も出てきてはいるが、これらはトータルしても微々たる効果。そこで、さらなる“収益の柱”の必要に迫られていた。 「そうした中、白羽の矢が立ったのが不動産業。一度の売買による収益幅が大きく、全国に約2万4000カ所ある郵便局の他、かんぽの宿など優良な土地を多く持つ。所有する土地の面積は東京ドーム5万5000個分にもなると言われ、その総資産は2兆7000億円〜3兆円とも言われています。それらの土地をフルに利用して、新たな収益を生み出そうとしているのです」(不動産業関係者) 具体的には、新会社は郵便局の合理化による合併で空いた土地や、老朽化した社宅の閉鎖、すでに閉鎖したかんぽの宿の遊休不動産を活用するという。 例えば、今年4月からは、東京都板橋区の日本郵便の社宅跡地に、ベネッセホールディングスに運営を任せて保育所を運営する。 しかし、不動産業で“がっぽり”と思惑どおりにいくのだろうか。 不動産アナリストは、こう指摘する。 「日本郵政の'17年3月期の赤字は、アジアの国際物流進出のため'15年に6200億円を投じた、オーストラリア物流会社トール・ホールディングスの実績が上がらず4003億円の損失を計上したことが響いた。つまり、もともと大した価値のない物流会社を打ち出の小づちと見誤った日本郵政の経営感覚に、周囲は首をかしげているのです。それは昨年、野村不動産ホールディングスの買収を検討し、結局は折り合いがつかず失敗に終わったことにもつながっている」 民営化時に69カ所あった、かんぽの宿の54施設が赤字、さらには14カ所あった逓信病院がすべて赤字であったことからも、ずさんな経営体質が垣間見え、依然、その甘さが抜け切れていないのでは、という見方が、不安視の理由だ。 「確かに野村不動産の場合、売上高は3期連続で5600億円台。中期的には成長傾向で、'17年は対前年比13.4%増の6460億円、純利益は440億円と絶好調。最近では『プラウド六本木』の2億円台分譲マンションが話題になった。強気の野村不動産にすれば、今は高値で売りたい。日本郵政はTOB(公開買い付け)を実施する方向で検討を進めていたが、買収が公になると野村の株価が暴騰、さらに双方の条件も折り合わなくなり破談となったのです」(経済誌記者) その日本郵政が、これらの失敗を教訓に、今度は「ならば自前の不動産業」となって、そう簡単に利益を上げられるかどうか。 「郵便事業は、過疎地や限界集落などへの配達など、強い公共性も求められる。そのユニバーサルサービスの維持と収益強化を一つのグループ企業内で同時に抱え、成長し続けるには、単に利潤だけを求める民間企業よりも舵取りが難しい。それだけに日本郵政は、単に不動産事業だけではなく、それを応用した、もうワンステップ上の新経営戦略が強く求められているのではないでしょうか」(前出・経営アナリスト) いずれにせよ、新事業の運転ぶりに注目だ。
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社会 2018年04月16日 08時00分
天下の猛妻 -秘録・総理夫人伝- 羽田孜・綏子夫人(下)
日本新党の細川護煕がカネにまつわるスキャンダルで首相退陣を余儀なくされたあと、なお「非自民」政権に睨みを利かす新生党代表幹事だった小沢一郎(現・自由党代表)は、さて、次に誰を首相の座にまつり上げるかで悩んだ。 折から、この「非自民」政権では、この小沢と公明党書記長の市川雄一のいわゆる「一・一コンビ」が呼吸を合わせていた。この「一・一コンビ」の手法の強引さにイヤ気がさした新党さきがけが「非自民」政権から離脱するなど、すでに結束にはヒビが入っていたのである。 そうした中、細川後継に白羽の矢が立ったのが羽田孜だった。政局を見る目に動物的直感力のある小沢は、時に羽田にこう言った。 「この“非自民”政権は長くない。それでもよかったら(首相を)やってみるか」 羽田は「受ける」と返事をした。父親の羽田武嗣郎は8期の長きを務めた“ビンボー代議士”で栄達の政治生活を送ったわけではなく、あとを継いだ自分が首相の座に就けるならとの思いが強かったと思われた。 しかし、羽田首班が決まった直後、こんどは社会党が「非自民」政権から離脱、この時点で羽田政権は少数与党を余儀なくされ、いよいよ身動きが取れなくなった。結局、小沢の“予言”どおり、一方で自民党などが内閣不信任案を持ち出したことで可決必至、羽田内閣は平成6年(1994年)度予算案成立直後に総辞職表明を余儀なくされてしまった。「羽田首相」の在任は65日。「3本指」で失脚した宇野宗佑首相の69日より短い、戦後2番目の「超短命内閣」で幕を下ろしてしまったということだった。 しかし、羽田孜・綏子夫妻は、性来の明るさからか共にメゲることなく、間もなくそれ以前と変わることのない生活を取り戻していたのだった。 羽田はと言うと、「新進党のマイク・ボーイ」の異名もあったように、「非自民」政権崩壊後に小沢と行動を共にした新進党のアピールに東奔西走、「普通の言葉」で演説に情熱をほとばらせたものであった。 一方の綏子も同様で、代議士夫人としてはいかにも異色、夫の選挙区が長野県であるにも拘らず、東京・九段の衆院議員宿舎3LDKに夫ともども親子4人暮らしを続けた。夫が東京での生活が中心になることから、妻は選挙区に居住し、選挙区を“守る”というのが通例だが、綏子は一貫して夫婦が一緒に住むことに固執した。夫婦同居のワケを、当時の新進党担当記者は次のように言った。 「綏子夫人は、常々、言っていた。『選挙、政治のために夫婦がバラバラで生活するのはやはり不自然です。私は東京生まれ、選挙区のことはよく知らないのに、知らぬ者が長野の選挙区に張り付いていたら、かえって夫の足を引っ張ることになりかねないから』と。もっとも他陣営からは『地元をないがしろにしている』と責め立てられたと言います。一説に、羽田がもし浮気でもしたらと心配で同居したのではとの声もあったが、まったく違いますね」 なるほど、羽田にはもう一つ「石部金吉」の異名があった。女性に関しては、何ともカタイのである。 「家での夫妻は、互いに『つとむさん』『ママさん』と呼び合っていたほどのなんとも仲のよい夫婦だった。その日あったことは何でも夫人に話していた愛妻家の羽田は、浮気などできる男ではなかったのです」(前出・新進党担当記者) 多忙な羽田と夫人が共有する時間は朝の食事時だけ。綏子は羽田の健康には気を配った。玄米のおかゆを常食に、霊芝茶と玄米の粉を豆乳で溶いた“特製ジュース”は欠かしたことがなかった。 そんな羽田を綏子はどう見てすごしてきたのか。次のような言葉が残っている。 「私はまず、主人を人間として尊敬しています。夫を尊敬できることは妻としてとても有難く、素晴らしいことだと思っています。もっとも、主人が私を尊敬していたかは分かりませんが。ただ、人づてに入ってくる話では、『とても頼りにしているんだ』ということでしたが」 羽田はその短い政権で、小選挙区制の定着を軸とした「政治改革」に思いをはせたが、志半ばで断念を余儀なくされた。 「サラリーマン出身として“普通の言葉”で国民に語りかける手法はよしとするものだったが、持ち前の人の好さが災いした。トップリーダーとしての重みが、もう少し欲しかった。小沢一郎に軽く見られたことも大きかった」(当時の新進党同僚議員) 夏物スーツの両袖を途中から切った「省エネ・ルック」で胸を張った羽田は、昨年8月、82歳で没した。竹下派時代、当時、小沢一郎とともに腕力を発揮していた金丸信(元副総裁)は言った。 「平時の羽田、乱世の小沢(一郎)、大乱世の梶山(静六)だな」 時の政治状況いかんでのトップリーダーとなる“資質”を指摘したものである。=敬称略=(次号は、村山富市・ヨシヱ夫人)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材48年余のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『決定版 田中角栄名語録』(セブン&アイ出版)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。
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社会 2018年04月15日 19時00分
“ショートスリーパー”は大物に多い?日本の平均睡眠時間は世界最短
心拍トレーニング製品メーカーのポラール・エレクトロ・ジャパンが、600万人の睡眠データの分析結果を発表した。それによれば日本人の平均睡眠時間は男性6時間30分、女性6時間40分であり、28か国中最短を記録した。日本人は世界でもまれにみる“眠らない”国家であるといえよう。芸能人においてもショートスリーパーは少なくない。 「よく知られているのは明石家さんまでしょう。ほとんど寝ないことで知られ、常にタバコとコーヒーを口にしながら、しゃべり倒しているそうです。新幹線の車中で寝ているのを雨上がり決死隊が目撃し、エピソードトークになったほどです。お笑い芸人では伊集院光も平均睡眠時間は3〜4時間ほど。現在は朝のラジオの帯番組のレギュラー『伊集院光とらじおと』(TBSラジオ)を務めていますが、それ以前は深夜放送終わりでそのまま地方へ出かけることもあったようです」(芸能ライター) 朝のワイドショーの顔ともいえるあの人たちもショートスリーパーが多い。 「『とくダネ!』(フジテレビ系)のレギュラーを長らく務めている小倉智昭は、睡眠は1日3時間半と決まっているそうです。番組は朝8時からはじまるため、毎日3時半起きを繰り返しています。12時に眠りについていることになりますね。ワイドショーのコメンテーターとして知られるデーブ・スペクターも平均睡眠時間は4時間から5時間といわれています。情報収集のために新聞や雑誌のほか、テレビ番組、ネットをチェックするので寝る時間がもったいないようです」(前出・同) ショートスリーパーは忙しい人間向きの生活スタイルといえる。くれぐれも健康には留意してもらいたいものだ。
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社会 2018年04月15日 14時00分
ソニー 15年ぶりベース給アップ! 年収で“5%賃上げ”の思惑
森友問題で苦境に立つ安倍晋三首相が、向かうところ敵なし状態だった年明けの経団連新年会で一番に切り出したのは、会員企業への賃上げのお願いだ。安倍首相は常に3%の賃上げを求め続けているが、ようやくそんな動きが見えてきた。 ソニーが3月27日、15年ぶりに基本給に当たる部分を平均2%引き上げる案を労働組合に示した。年間一時金6.9カ月分も含めると年収ベースで約5%の賃上げになることから、安倍首相が目標に掲げる3%を上回る数値だ。 「賃上げの理由として一番大きいのは、2018年3月期の連結営業利益が20年ぶりの過去最高益となり、日立製作所を抜いて電機業界で首位に返り咲くことが挙げられます。今年4月、6年間社長を務めてきた平井一夫氏に代わって吉田憲一郎氏が就くことも大きいでしょう。“世の中の一歩先を行く”ソニーというイメージを定着させたいという願望もあるのかもしれません」(業界紙編集者) ソニーは各電機メーカーの労働組合が属する電機連合に所属しておらず、組合側が単独で経営陣と交渉できることも大きいという。 「ソニーが5%の賃上げをしたことのインパクトは間違いなく大きいでしょう。今はどの企業も人材難で、期間労働者の時給をはじめ、あらゆる人件費は上昇基調にあります。どうせ給料を上げるなら、どこよりも早く、話題になるくらいの幅で賃上げしてしまうことにより、企業イメージを改善させようという今回のソニーの経営判断は、非常に合理的かつ、したたかさを感じます」(リサーチ会社担当記者) 失われた20年で、目先の金を確保する悪い癖が身に付いてしまった日本企業において、賃上げは非常に腰の重い作業である。しかし現在、米国はもちろん中国などの企業は、従来にないステージの給与を提示し、優秀な人材をジャンジャンかき集め、猛烈なスピードで成長を続けている。 ソニーの5%賃上げが日本の各企業の賃上げラッシュの狼煙(のろし)となり、我々の懐が少しでも豊かになることを願うばかりだ。