社会
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社会 2018年04月14日 14時00分
ロシア元スパイ暗殺事件でバラまかれた神経ガスの脅威
オスカー女優ジェニファー・ローレンス主演の映画『レッド・スパロー』(公開中)は、ロシアの情報機関で訓練を受け、スパイとなった主人公の“暗躍と反逆”を描いている。まさにタイムリーと言っていい。 米国や欧州連合(EU)加盟国が3月26日、相次いでロシア外交官の国外追放を発表した。同4日に英南西部ソールズベリーでロシアの元スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏(66)と娘のユリアさん(33)に神経剤『ノビチョク』が使われたとされる殺人未遂事件に関して、英国は駐英ロシア外交官23人を追放したことに追随したものだ。 これまでに20カ国以上が国外追放を表明し、対象者は130人超に上っている。 「2人はショッピングセンターのベンチで意識不明となっているところを発見されました。警察によると、神経剤の痕跡は町内にある他の複数の場所でも見つかっています。この『ノビチョク』は'70年代から'80年代にかけてソ連が秘密裏に作った神経剤グループを指しており、そのうちの一つ『A230』は、マレーシアで起きた金正男氏暗殺事件で使われたVXガスの5〜8倍の殺傷能力を持ち、数分で多人数を死に至らしめます。英国のメイ首相はロシアによる犯行の可能性が『非常に高い』との見方を示し、国内では『冷戦が再び始まった!』と大騒ぎになっています」(国際ジャーナリスト) スクリパリ氏はロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)の元大佐ながら、英国のスパイとして活動していたとして'06年にロシアで禁錮13年の判決を受け、'10年に米ロ間でスパイ交換が行われた後、英国に亡命していた。つまり同氏は二重スパイで、ロシアでは“裏切り者”として有名な人物だった。 それでもロシア人の大半は、「Mi6(英諜報機関)がやったことで、プーチンに罪をなすりつけた」と信じているようだ。 現実は映画よりはるかに恐ろしい。
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社会 2018年04月13日 23時10分
藤井六段のニセサイン販売で女を逮捕 どうしてバレた?
将棋の藤井聡太六段のサインのニセサインを、インターネットのフリーマーケットアプリで販売したとして、43歳の派遣社員の女が詐欺容疑で逮捕された。ニセサインは、藤井棋士が自筆で詰将棋の問題を記したかのように見せた凝ったもの。警察が本人に確認し、「持ち駒数や筆跡の違い」が指摘されていた。 芸能人のニセサイン出品は絶えることがない。これはなぜだろうか。 「サインは素早く大量に書くために考案されたものです。そのため、ある程度筆跡が真似しやすいのがあるでしょう。原価は色紙代のみで、一点もののアイテムのため、熱心なファン同士が競り合えば高値がつく場合もあります。違法であってもボロい商売ということで手を出してしまうのでしょう。なかには、漫画家のニセサインを絵付きで出品する強者もいます。熱心なファンからは『下手すぎる』とネタにされることもありますね」(芸能ライター) さらには、ニセサインばかりではなく、本物のサインが混ざっている場合もある。 「品川駅のほか、名古屋駅、新大阪駅など新幹線の主要駅で、芸能人に色紙とペンを用意してサインを求める集団が話題となっていますが、これは転売目的のもの。芸能人と見るや、サインがもらえるまでしつこく追いかけてくるので、書いてしまう芸能人も多いようです。ロンドンブーツ1号2号の田村淳や、T.M.Revolutionの西川貴教が、本当のファンにサービスができないと苦言を呈したことはよく知られています。一方で、髭男爵の山田ルイ53世は、サインの要求がそれほどしつこくなく、あっさりと引き下がられたので『知名度によって違うのか』ラジオ番組で話し、笑いを誘っていました」(芸能ライター) 今回摘発に至ったのは氷山の一角ともいえる。需要があるかぎり、芸能人のニセサインはこれからも消えそうにない。
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社会 2018年04月13日 22時00分
他に人材がいない?大改編のフジ・報道番組で続々とスキャンダル発覚
4月の大改編で報道番組のブランドを「プライムニュース」に統一したフジテレビだが、フジ・BSフジの両番組のメインキャスターの醜聞を、発売中の「週刊文春」(文芸春秋)が報じている。 同誌が報じたのは、フジ「プライムニュース イブニング」のメインキャスターの反町理氏のセクハラ・パワハラ疑惑、ならびにBSフジ「プライムニュース」のメインキャスターに就任した松山俊行氏の不倫疑惑。 反町氏は政治部が長く、官邸キャップ、政治部長などの要職を歴任。BSの「プライム」では、09年の放送開始から今年3月までメインキャスターを務めていた。 報道局の幹部は、「プライムニュース イブニング」に出演が決まっていた元NHK登坂淳一アナのセクハラ騒動に危機感を覚え、反町氏の周辺を調査。 すると、2人の後輩女性記者に対するパワハラ疑惑が発覚。そこで反町氏を含めた3人に対しヒアリングが行われたという。 2人の“被害者”はいずれも政治部の後輩。同誌は2人に直撃したところ、いずれもパワハラの事実を否定しなかったというのだ。 一方の松山氏はフジ政治部のエースで、これまで5つの内閣で官邸キャップを務め、ワシントン支局に長年赴任するなど、日米問題にも精通。 妻子持ちにもかかわらず、13年2月、当時20代後半の女性と出会い不倫関係に。14年3月に女性が不倫に気付いて破局したという。 同誌の報道を後追いしたメディアに対し、同局は「弊社が否定したことについて、そのまま掲載するなど、事実誤認に基づく内容が多い記事であり、法的措置を含めて対応を検討しております」とコメントしているが…。 「反町氏も松山氏も本来ならば報道番組のキャスターとして不適格な人材。とはいえ、ほかに局内に人材がいないのでフジは2人を守ることしかできない。ただし、来週以降、『文春』で続報が出たらアウトだろう」(テレビ局関係者) とりあえず、いまのところ2人が報道を釈明することはなさそうだ。
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社会 2018年04月13日 16時00分
民泊施設が覚せい剤の“秘密工場” 悪の温床と化す東京砂漠
民泊として使われていたマンションで覚せい剤を製造していたとして、警視庁は3月27日、米国籍のホアン・マシュー容疑者(25)を覚せい剤取締法違反(営利目的製造)の疑いで再逮捕したことを発表した。 「民泊施設として使われているマンションが犯罪グループのアジトとして利用される。これは最も恐れていた事態です。しかも、場所が東京。五輪が近くなり外国人が多く訪れるようになると、今回の覚せい剤製造にとどまらず、売春など様々な違法行為を助長する結果になるかもしれません」(犯罪ジャーナリスト) ホアン容疑者は昨年12月、複数人と共謀して本人名義で借りていた豊島区内の民泊マンションに覚せい剤12.7キロを密輸しようとしたとして、すでに同法違反などで今年1月下旬までに起訴されていたのだ。 「今回の再逮捕の容疑は、やはり昨年12月、大田区と港区の民泊部屋で鍋やフライパンなどを使ってフェニルメチルアミノプロパン塩酸塩を含む結晶を精製して純度を高め、覚せい剤を製造したというもの。つまりホアン容疑者は、東京都内の複数の民泊部屋を使い分けて、製造、密輸を繰り返していたと見られる」(捜査関係者) 元厚生労働省関係者はこう説明する。 「以前にも私がかかわった件で、シャブ中の男がマンションの一室で覚せい剤を密造し、逮捕されるという例がありました。男は極度の中毒者で、部屋中に覚せい剤を撒き散らし、欲しくなると壁や畳をライターの火で炙っていました。彼らの製造手口は、“ユキ”と呼ばれるパウダー状の覚せい剤に、アンナカ(安息香酸ナトリウムカフェイン)や、ほかの覚せい剤の原料にもなる物質を入れて炊き直し、岩石状の覚せい剤に再生させる。それが、グラム数万円の覚せい剤として売れているのです」 ただし、こうした覚せい剤の製造過程では悪臭が発生する。そのため、密造所は郊外にあることが多かったのだ。 「当然、ホアン容疑者の部屋にも悪臭が立ち込めていたと思われますが、気密性の高いマンションの部屋、しかもいつでも移ることができる民泊施設となれば、使い勝手がいい。それにつけ込む犯罪者は、今後も都心で増え続けると思われます」(同) 隣は何をする人ぞ…“東京砂漠”で密かに悪事を企むワル外国人の増殖は現代の闇を物語っている。
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社会 2018年04月13日 11時00分
西宮市長選「殺すぞ」暴言元市長の“後継指名”に各立候補者が戦々恐々
「殺すぞ!」信じられない暴言が元市長の口から飛び出した。今年1月、記者への発言で話題となった元兵庫県西宮市長の今村岳司氏の後任選びとなる市長選挙が、4月8日に告示(投開票15日)されたが、何ともギクシャクした選挙戦になっているという。 今村氏は市議会議員4期を経て、2014年に世代交代の波と大阪維新の会のブームに乗り市長選挙で初当選。しかし、その後は独断的な市政運営や中学生向けのイベントでの過去の不良自慢などが反発を呼び、議会内で孤立。1月の仕事始めで突如、次期市長選に立候補しないことを表明し、直後の暴言問題が波紋を呼んで、2月に早期辞職へと追い込まれた。 「ある程度予想はされていたが、市長選では政策よりも“品位”を最優先に訴えなければならない。それだけ前市長が辞めるに至った経緯のインパクトが強すぎたということ」(市関係者) 今回は西宮市長選でも最多となる6人が立候補する。その顔ぶれは元副市長、前県議、元衆院議員、前市議と、実力、キャリアが伯仲し、大接戦が予想されている。そんな中、各陣営の頭を悩ませているのが、やはり今村氏の件だという。 「それは今村氏が辞任の際、自らのブログに書き込んだ“後継指名”に関してです。そこには《引退を決めたときから一年以上をかけて、私があたらしい西宮にふさわしいと見込んだ人物を口説き続け、三顧の礼を以て彼に立候補を決意してもらいました(文ママ)》とある。これがいったい誰なのか、いまだに尾を引いているんです」(同) 当然ながら、イメージダウンを嫌う各陣営は、いずれも今村氏との関係を否定している。 ある陣営の関係者はこう語る。 「全員が否定しているから、あの書き込みはウソかと言えば、そうとは限らない。しかし、時間的なことを考えれば我々以外の人物が一度は出馬要請を受けたものの、その後、誰にも言わずに出馬撤回した、ということだってあり得ますよ」 3日に行われた立候補予定者による公開討論会でも、今村氏との違いを出すのに懸命な様子が窺えた。 「そこでも『信頼回復』や『品格』についての発言が飛び交っていたようやけど、そもそも西宮市は関西の住みたいランキングで上位の街だけに、レベルの高い選挙戦にして欲しいわ」(西宮市住人) いずれにしても、各立候補者たちは“後継者指名”に自分の名が出るのではないかと戦々恐々だ。
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社会 2018年04月13日 08時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 全面服従はイジメを加速
3月23日、米国が鉄鋼やアルミに新たな関税を課す措置を発動させた。輸入品が米国の国内産業を脅かしている現状が、米国の安全保障の脅威になっているというのが理由だ。鉄鋼には25%、アルミ製品には10%の関税がかけられる。 ただし、ホワイトハウスは、北米自由貿易協定を結んでいるカナダとメキシコに加え、EU、豪州、ブラジル、アルゼンチン、韓国を当面、関税の対象外とした。ところが、日本だけは、関税の対象になったのだ。 米国の鉄鋼輸入に占める日本の割合は5%にすぎず、しかも、日本から米国に輸出されているのは、鉄道のレールや自動車用の特殊鋼など、米国の鉄鋼業が生産していない品目が大部分を占めるため、日本に大きな影響はないとみられる。しかし、問題は、日本が適用除外にならなかったという事実のほうだ。 もともと、日本政府は楽観していたようだ。日本は最も忠実な同盟国であり、日本から鉄鋼を調達することは、米国の安全保障に何ら脅威を与えるものではないからだ。 しかし、日本は米国にとって、EUや韓国以下の存在だった。それは、なぜか。私は、日本が米国にとって単なる都合のよい国になっているということだと思う。 例えばEUは、米国が関税をかければ断固たる対抗措置を採ると宣言した。ところが日本は、この期に及んでも、報復措置どころか、「遺憾である」とのコメントを出すにとどまっているのだ。私自身、中学校までイジメを受けてきたのでよく分かるのだが、イジメは、抵抗しなければエスカレートするばかりなのだ。 中国はそのことがよく分かっているので、今回の米国の新たな関税に対して、128品目の米国製品に15〜25%の報復関税を課すことを表明している。 一方の米国は、中国に進出した米国企業から中国が技術を盗んでいると主張して、6.3兆円分の中国製品に輸入関税を課す通商法301条の措置を新たに発表した。関税の引き上げ合戦による保護主義が一気に高まったのだ。 実は、同じようなことが1930年代に起きている。1929年のニューヨーク株式市場の暴落を端緒とした世界恐慌のあと、世界は一気に保護主義に突き進んだ。その結果、世界貿易は半減し、世界不況が長引くことになった。 しかも、生活が困窮するなかで、世界は強いリーダーを求めた。そして、ヒトラーやムッソリーニなどの独裁者の台頭を許し、その支配を終わらせるためには、第二次世界大戦という大変な殺戮と財産の破壊が必要となったのだ。 私は、いまの世界情勢が当時と重なってきていると思う。北朝鮮は言うに及ばず、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平主席、トルコのエルドアン大統領、フィリピンのドゥテルテ大統領など、独裁者が国民の圧倒的支持を得て、強権を発動するようになっている。 米国のトランプ大統領も、自分と意見の異なるスタッフを次々に解任するなど、独裁的な政治手法は似たり寄ったりだ。独裁者が強大な権力を掌握すると、他国とのトラブルがあったときに戦争が起きやすくなる。そうなったら、国民生活が破壊される。日本政府がいまやるべきことは、米国をいさめることだろう。
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社会 2018年04月12日 14時00分
金正恩が引き金をひく世界大戦 中ロ南北朝鮮vs米国欧州おまけ日本(2)
表向き快く正恩委員長を迎えた中国の習主席だが、チャイナ・ロビーだった張成沢氏を粛清し、中国が保護していた金正男氏までも暗殺し、しかも習主席の晴れ舞台だった北京APEC首脳会議と一帯一路国際フォーラムの朝に、これ見よがしの核実験やミサイル実験を行って顔に泥を塗ったことを許してはいない。 となれば、正恩委員長の次の一手は、地政学的な見地から周辺国を競わせること、つまり北朝鮮独自のポジションを維持するためにロシアを利用することだ。 ましてや大国の復活を最大の政治課題とするプーチン大統領は、英国の元スパイ殺人事件以降、メイ首相が口火を切ったロシア外交官の追放総数が200人を超えたことへの報復措置として、各国に対しそれぞれの国と同数の在ロシア外交官の追放を通告するなど、欧米vsロシアは“準戦時下”の様相を呈し始めている。 「プーチン大統領は状況対応に卓越した能力を発揮し、シリアに絶妙なタイミングで介入して主導権を得、次に米国が進めるイランの核武装阻止にも巧妙に介入し、中東政治を引っかき回しています。ロシアは旧ソ連時代に北朝鮮を創建した設立者ですから、経済で失政したポイントを北朝鮮で稼ごうと真剣に検討し始めていますよ」(前出・国際ジャーナリスト) 1990年にソ連から独立した後、2004年にNATOとEUに加盟したバルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)は、欧米諸国とロシアとの間で軍事的な緊張が世界で最も高まっている地域だ。現在、3カ国には第2次世界大戦後初めてNATOの戦闘部隊が常駐しており、両者のにらみ合いが続いている。 「バルト海沿岸にあるカリーニングラード州はロシアの“飛び地”ですが、今やNATOの領土にクサビのように食い込んだ橋頭保となっています。周辺地域には核弾頭を装備できる短距離ミサイルも配備。さらに同州に近いバルティスク港は、ロシア海軍のバルチック艦隊の母港です。ロシアが国際法を無視してクリミア半島を併合したように、バルト3国にはロシア再統合の危機が迫っているのです。極め付きは、ロシア大統領選の最中、極超音速で飛行でき、対空システムも突破できる無敵ミサイルを誇示しながら『ロシアやロシア同盟国に対する核兵器の使用は、どんな攻撃であれロシアに対する核攻撃と見なし、報復措置に出る』と強調したことです。このときプーチン大統領が披露したビデオでは、何発もの核弾頭がトランプ大統領の別荘地フロリダ州と思われる場所に向けて降下しています。欧米は『プーチンと金正恩は同じ』と認識したことでしょう。中国の習主席の許しを完全には得ることができなかった金委員長の方からも、ロシアの核の傘を模索するでしょうね」(同) 北朝鮮は、北東アジアの平和を脅かす存在としては弱小国家だが、この地域におけるカリーニングラード州になり得る存在だ。中国に泣き付き、ロシアを利用し、韓国を引きずり込んだ形の“護送船団”で臨む正恩委員長にとって、米朝会談は最後の大勝負となる。 「欧州とロシアの急速な関係悪化、エスカレートする米中の輸入関税報復合戦が、これからの1カ月、正恩委員長の“腹積もり”次第で一層、中ロ南北朝鮮vs米国欧州の様相に変わっていきそうです」(同) 軍事力という後ろ盾を米国に頼る日本は、この戦いに“おまけ”としてくっつけられることになるのだ。
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社会 2018年04月12日 08時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第266回 空気による緊縮財政と小国化
いわゆる森友問題には、ほとんど興味がなかった。森友学園が安倍総理もしくは総理夫人の口利きなり関与なりで、財務省から土地を安く購入した「証拠」があるならばともかく、いまだに証拠が出てこない。 とはいえ、森友問題に関連し、財務省が行政文書を「改ざん」してしまったとなると、これは話が別だ。行政文書の改ざんは虚偽公文書作成罪に該当する。しかも、罰則は「1年以上10年以下の懲役」と、重い刑罰が下される刑法犯罪だ。 なぜ、行政文書の改ざんがそれほどまでに深刻な問題なのか。理由は、国家権力とは実質的に「行政」そのものであるためである。行政と立法、司法の3つが互いにチェックし合うことで、国家権力は成り立つ。いわゆる「三権分立」を、読者のほとんどは信じていると思うが、現実は異なる。 実は、国家権力とは行政そのもので、立法や司法は「行政をコントロールする」役割を担うにすぎないのだ。改めて考えてみると、日本国の国家権力、予算規模100兆円にも及ぶ行政を、「法律制定(立法)」と「司法判断(司法)」のみで完全にコントロールできるはずがない。三権のうち、圧倒的に権力が強いのが「行政」なのである。そして、行政は「文書」で動く。強大な権力を持つ行政を動かす文書を、勝手に改ざんできるとなると、何でもありの世界になってしまう。だからこそ、虚偽公文書作成罪は極めて重い刑罰(ほぼ殺人未遂と同じ)が科せられる「犯罪」とされているのだ。 さて、3月27日、財務省による行政文書改ざん問題で、前理財局長である佐川宣寿氏の証人喚問が、衆参両院で行われた。佐川氏は、改ざんに際し、安倍総理、総理夫人、官房長官、官房副長官、総理秘書官、さらに麻生財務大臣、大臣秘書官からの指示はなかったと明言。 一方、肝心要の、 「なぜ、改ざんが行われたのか?」 「だれが、どのように指示し、改ざんが行われたのか?」 については、刑事訴追の恐れを理由に証言を拒否し、野党にとっては甚だしく納得がいかない喚問となった。とはいえ、筆者はある程度納得したのである。 要するに、現在の日本は、財務省、いや財務省以外の行政や立法、司法を含め、国家権力が明確なロジックや意思決定のプロセスではなく、「空気」により動かされてしまっているのではないか、と。 日本のデフレを継続させ、国民を貧困化している財務省の緊縮財政にしても、財務官僚は誰も「国の借金で破綻する」などと考えておらず、むしろ話は逆で、「緊縮財政をする」という結論がまず存在し、その結論に導くためのレトリック(国の借金、等)が次々に生み出されているのではないか。そして、なぜ財務省が「緊縮財政をする」という結論になるのかと言えば、「将来世代にツケを残す」「ギリシャみたいになる」ではなく、単なる「空気」に支配されているためなのではないか。 その何よりの証拠に、緊縮財政に至るレトリックが頻繁に変わる。「緊縮財政が必要」という結論だけは変わらず、その理由やプロセスがひたすら変化するのである。さらに、緊縮財政強行の空気は、過去に財務省が緊縮財政を推進したこと、緊縮財政を推進した財務官僚が、事務次官に出世していったという「歴史」に根差すもので、ロジックによる裏付けがないのではなかろうか。 2017年末時点で、国債所有に占める日本銀行の割合は43%。直近では、45%に迫っていると思われる。本連載でくどいほど繰り返しているが、日本銀行は日本政府の子会社である。日銀が国債を買い取った時点で、政府は「子会社からおカネを借りている」形になるため、実質的に返済負担がなくなる。親会社、子会社間のおカネの貸し借りは、連結決算で相殺だ。 日本政府の国債(借金)が100%日本円建てで、日銀の国債買い取りで返済負担が実質的に消滅するわが国には、「財政問題」など存在しないのである。それにも関わらず、財務省は「国の借金で破綻する。緊縮財政が必要だ」なるキャンペーンを止めようとしない。なぜなのか。財務省内の財政に関するスタイルあるいは「空気」が緊縮財政至上主義に支配されているためだ。 日本国を支配する財政破綻論、緊縮財政至上主義の根底にあるのは、単なる空気なのである。空気に支配された財務官僚がマスコミを動かし、政治家に「ご説明」に伺い、法律まで変えた。かつて大蔵省設置法において、大蔵省の任務は、財務や通貨、為替の管理、貨幣の印刷等の「業務」に限定されていた。それが、'99年の財務省誕生に際した財務省設置法により、 「財務省は、健全な財政の確保(中略)を図ることを任務とする」 と、任務にいきなり「健全な財政の確保」という価値観が入ってきた。 財務省の任務として「健全な財政」と書かれた法律改定にしても、「空気」に支配される大蔵官僚(当時)が、省庁再編時の行政改革会議において、 「現在、わが国財政は主要先進国中最悪といえる状況となっており、高齢化社会の下で現在の財政構造を放置し、財政赤字の拡大を招けば、国民経済自体の破綻を招く可能性が高い」 と、主張することで実現したものだ。 もちろん、わが国の財政は今も当時も「最悪」でも何でもない。財政赤字が拡大しようとも、日銀が国債を買い取っている以上、インフレ率が限度を超えて上昇しない限り全く問題ない。とはいえ、その手のロジックは関係ないのだ。「空気」はロジックを必要としない。 日本は「空気」により緊縮財政が強行され、小国化への道をひた走っている。それを、森友問題の文書改ざんが証明したように思え、筆者は恐怖しているのである。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2018年04月11日 18時00分
京都名門校教師2度目の逮捕“少女わいせつ”2人の被害者は「同一人物」の仰天情報
この男、もはや小学校教員という職業を選んだのは日常的に女子児童と接点を持てるからとしか思えない。 「いやらしい行為や撮影をしたことは間違いないが、性行為はしていない」 逮捕当時、その供述を聞いた捜査員は、ほとほと呆れ返ったという。 3月27日、少女に性的暴行を加えたなどとして強姦などの罪で起訴された京都市立小学校教諭、藤井寿正被告(46)を、市の教育委員会は同日付で懲戒免職処分にしたと発表した。 「藤井被告は'16年1月31日、当時小学校5年生(11)だった少女を大阪市内のホテルへ連れ込み性行為をし、さらにその様子をビデオカメラで撮影して保存していたのです。実はこの教師、今年1月6日にも女子中学2年生(13)を18歳未満と知りながら京都市内のホテルに連れ込んでわいせつな行為をしたとして、2月5日に府青少年健全育成条例違反容疑で逮捕、送検されたのですが、被害者との示談が成立したことなどから処分保留になっていた。しかし、家宅捜索の結果、押収されたパソコンやビデオカメラに先の11歳のわいせつ画像が発見され、2月26日に再逮捕となったのです。パソコンには他にも多数の女児の画像や動画が見つかっていることから、警察では被害者が特定されたものから順に立件していく方針です」(捜査関係者) これらの少女たちとは、主にゲームアプリで知り合ったという藤井被告。勤務する小学校は進学校としても知られていた。 「御所南小学校は、府内では教育熱心で知られる有名校。2007年からは内閣府の『京都市小中一貫教育特区』の認定を受け、6年生からは同市内の中学校の校舎で授業を受ける形を取っている。この小中一貫教育が効果を上げ、高校を挟み京都大学への入学者数も伸び続けているのです。他県からも多くの生徒がこの小学校に入学しています」(京都府庁詰め記者) 教育内容もユニークで、TT(ティーム・ティーチング)と呼ばれる、担任教師以外の教師も一つの授業に加わる方式を採用しており、藤井被告は担任は持たずに、TT専門の役割を担っていたという。 学校関係者はこう言う。 「常に実績が問われ、中堅どころのTT担当の藤井先生にかかるストレスは相当なものだった。指導ぶりもかなり熱心で父兄の評判もよかったと思います。しかし、よりによって小学生、中学生を相手にして捕まるとは信じられません」 ゲームアプリで知り合ったという当時小学5年の女子児童も、それ目的でゲームアプリを利用していたのだろう。さらに、もしかしたら一昨年の当時小学5年生だった女の子と、今年2月に逮捕された際の中学生という人物が一致しているのでは…という仰天情報も飛び交っている。というのは、今年2月に逮捕された際の経緯として、女子中学生の母親が娘の行動を不審に思い、府警に相談していたことが明らかになっていることと、月日が経った少女の年齢が一致するということだ。ひょっとしたら、思いもよらない事実が出てくるかも知れない。
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社会 2018年04月11日 14時00分
金正恩が引き金をひく世界大戦 中ロ南北朝鮮vs米国欧州おまけ日本(1)
韓国と北朝鮮との間には、今やすっかり融和ムードが漂っている。去る4月1日には、K-POPスターを含む韓国芸術団による単独公演が平壌で開かれ、金正恩党委員長が妻の李雪主氏、妹の金与正党第1副部長と共に鑑賞した。北朝鮮の最高指導者が韓国の芸術団の公演を直接鑑賞したのは初めてのことだ。 「文在寅大統領と金正恩委員長との、およそ10年ぶりとなる南北首脳会談が4月27日、軍事境界線にある板門店で行われます。3月25日に中国を電撃訪問した金委員長は、習近平国家主席との会談で、朝鮮半島の非核化をあらためて提案しました。金委員長はトランプ米大統領との会談も、5月までに行う予定としていますが、そのトランプ大統領は同月28日、ツイッターに『中国の習近平氏から、金正恩氏との会合は非常にうまくいき、金氏は僕と会うことを楽しみにしているとのメッセージを受け取った』としながらも、続けて『一方で、また残念ながら、最大限の制裁と圧力はいかなる代償を払ってでも維持する!』とつぶやきました。金委員長は、恐らく芸術団の公演の余韻に浸るどころではなかったでしょう」(北朝鮮ウオッチャー) トランプ大統領は、まさに暴れ馬だ。米朝首脳会談を受け入れた途端に国際協調を重視するティラーソン国務長官を解任し、後任にポンペオCIA(中央情報局)長官を充てたかと思えば、辞任したケリー国家経済会議委員長の後任に保護主義論者のクドロー氏の起用を決定。さらには、かねて解任の噂があったマクマスター補佐官を更迭し、対北朝鮮・イラン強硬派のボルトン元国務次官を後任に据えた。この布陣で米朝会談に向けたシフトは、完全に強硬路線へとかじを切った格好となった。正恩委員長が心穏やかでいられないのも無理はない。 「これまで北朝鮮は、核やミサイル開発などの強硬な姿勢を示し、その後に開発停止に合意することで制裁解除とエネルギーや食糧支援を受け、後に約束を反故にするという、言わば“食い逃げ外交”を25年にわたって弄してきました。文大統領は同じ轍を簡単に踏みましたが、トランプ大統領には通用しそうにありません。金委員長は当初、米国側から体制の保証を引き出し、ミサイル・核とも廃棄しないでおこうと画策したのでしょうが、米側が強硬派一色にシフトしたことで、中途半端な譲歩では済まなくなったことに焦り始めたのです。そこですり寄ったのが習主席です。主席の再選にわずか3行の祝電しか打たなかったのが、いきなり夫人同伴で訪中したのは、中国を“用心棒”にするためです」(国際ジャーナリスト) 北朝鮮の朝鮮中央通信は、今回の訪中には夫人の他、崔竜海党副委員長、朴光浩党副委員長、李洙墉党副委員長、金英哲党副委員長兼統一戦線部長ら側近4人衆が同行したと報じた。もちろん、あの電撃訪中はクーデターを恐れて最高レベルの国家機密にされ、ごく一部の最側近しか知らされなかったはずだ。 「これだけのメンツでの訪中ですから、留守役は与正氏が務めざるを得ませんでした。このことは重要な意味があります。というのも、国内に反体制的な動きが見えるからです。金委員長は、もう親族しか信用できなくなっていることと、それほど“おっとり刀”で訪中したことの証左です」(前出・北朝鮮ウオッチャー) 正恩委員長は米国に加え、獅子身中の虫=クーデターにも怯えているのだ。 「3月1日、平壌市内にある金日成主席ゆかりの聖地『4・25文化会館』の壁に正恩氏を批判する落書きが発見されています。今回の落書きはポンペオ氏が率いていたCIAが『米国は内部に潜らせたスパイを使ってこういうこともできる』と揺さぶりをかけたのでしょう。居場所を知っているとの脅しの意味もあります」(同)