社会
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社会 2018年03月30日 15時00分
天下の猛妻 -秘録・総理夫人伝- 細川護煕・佳代子夫人(下)
上智大学の同じスキー部当時、細川護煕は佳代子に結婚のプロポーズをしたが、佳代子はこれにノーであった。“原因”は、家柄の違いにあった。 細川の母方の祖父は、戦前の近衛文麿首相である。加えて、細川自身は肥後(熊本)54万石細川家の18代当主であり、言うならば「殿様」の末裔。一方の佳代子が一庶民とあれば、ビビッて当然である。しかし細川は、佳代子との結婚に執着し続けたのだった。 やがて細川は朝日新聞を退社。昭和44年(1969年)の総選挙に無所属で初出馬、落選、再チャレンジを目指す中でローマを旅した。当時、佳代子は貿易会社に就職、ロンドン勤務だったが、折からローマに出張中であった。どうやら細川が佳代子を追いかけたらしかったが、ここで再度のプロポーズをしたということだった。 「僕の気持ちは以前と少しも変わっていない。いまは浪人中だが、こんどは次の参院選に出る。是非、一緒にやって欲しい。手助けが欲しいんだ」 さすがに佳代子も折れ、再プロポーズから約1年半後、2人は熊本の細川の豪邸、その敷地内にある神社で挙式したのだった。時に、細川はその3カ月前に参院選で当選を果たしていた。ちなみに、佳代子はのちに細川の首相のイスが現実味を帯びだした頃、この「殿様宰相」の横顔を週刊誌のインタビューなどで、おおむね次のように語っている。 「(夫の)小さい頃は、細川家の中に躾役の“おばばさま”がいて、厳しく教育されたそうです。『そんなことで武家の棟梁が務まりますか』と、しょっちゅう叱られていたと言います。その一方で、周囲が『若様、若様』と大事に育ててくれたお陰でしょうか、今さら名誉、権力、出世といった野心は持っていませんね。そこが、人間としても政治家としても“稀少価値”ということかもしれません。政治家になった動機も出世したいのではなく、歴史の中での使命、天命と受け取っているようです。もっとも、こうと決めたら凄い集中力、執念がある一方、“三日坊主”的なこともあるのも事実です(笑)。家柄ゆえということでしょうか」(要約) 首相になってスキャンダルに見舞われ、粘ったもののある日ポンと政権を投げ出してしまったのも、佳代子の言うこの“三日坊主”的な性格、体質が顔を出したということかも知れない。 政権投げ出し理由は、当時の東京佐川急便からの「1億円借金」で、その使途の釈明に行き詰まり、さらに新たな金銭疑惑も浮上したことにある。 その細川の退陣後、評価が下がりっ放しだった夫に代わって、日本新党の集会、細川の熊本の選挙区後援会の会合などに、頻繁に顔を出していたのが佳代子であった。当時の熊本の地元記者の、佳代子の八面六臂の“猛妻”ぶりを伝える証言が残っている。 「夫人は“殿”の失地回復を狙って、じつによく熊本に帰ってきていた。盛んに『夫が総理を辞めたのは本人が悪いのではなく、足を引っ張ったマスコミが悪いからです』と、ブッて回っていましたね。そのくらいだから、後援会幹部あたりからは『夫人が衆参いずれかの選挙に出てみてはどうか』の声がかなり出ていた。夫人は、『とても私などには…』と口では言っていたが、顔はまんざらでもなかったと見る者が少なくなかったのです」 結局、細川は首相退陣とともに「政治」からキッパリ縁を切った。「殿」ゆえの恬淡さが、にじみ出ていた。佳代子もまた、夫に従った。その後の佳代子は、知的障害者のためのNPO法人の名誉会長などの肩書きは持ったものの、「政治」とは関わらぬ活動に余念がなかったのである。 一方の細川は、一時、たまにラジオ番組に出たり、寺社を巡る紀行文を週刊誌などに発表。かろうじてこれが公の場に出るということだったが、今は神奈川県湯河原の祖父・近衛文麿元首相の別荘で悠々自適、本人に言わせると「隠遁生活」を送っている。 「近所から借りた30坪ほどの畑で野菜をつくったり読書三昧、玄人肌の作陶にもなお励んでいるようです。たまに、近辺のゴルフ場に顔を出したりで、ほとんど湯河原にこもりっ切り。一時は、小泉純一郎元首相と『原発反対』の声を上げていたが、最近はそれもあまり聞こえて来なくなっている」(消息を伝え聞いている政治部記者) 「稀代の役者」とも言われた細川。「政治が変わる」と期待を持った人には失望感も少なくなかったが、小選挙区の導入を柱とした選挙制度改革が、実績として残っている。一方で、「夫ともどものパフォーマー」と言われた佳代子。いま、一つの時代は遠のいた。 「殿様宰相」の誕生とともに、以後の選挙は無党派層が多く定着、その投票行動が選挙結果を左右する形になっている。選挙の歴史を変えた政権でもあったのである。=敬称略=(次号は、羽田孜・綏子夫人)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材48年余のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『決定版 田中角栄名語録』(セブン&アイ出版)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。
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社会 2018年03月30日 08時00分
改正通訳士法の施行で増える中国人の“同胞食い”
“爆買い”は鳴りを潜めたとはいえ、訪日外国人のうち最も割合が大きいのは中国人。しかし、その中国人観光客をメシのタネにしているのが在日中国人という、“同胞食い”は増えるばかりだ。 「昨今問題となっている白タクの中国人運転手の多くは、日当8000円〜1万5000円程度のギャラで組織から雇われているが、『免税店』、『もぐりのガイド』、『闇民泊』に自ら営業をかけ、キックバック契約を結ぶのが当たり前になっている。もちろん、客には『中国人がやっている』とは言わない。連れ込まれたパブやデリヘルに『いらっしゃいませぇ』と中国人が現れ、怒る客もいます」(在日中国人社会に詳しいライター) 東京・新宿歌舞伎町や池袋、渋谷、新橋といった大きな繁華街に根を下ろしたのが、在日中国人系の「和風居酒屋」で、エグイ商売でボロ儲けをしている。 「特徴は、キャッチャーの歩合が高いことで、月に70〜80万円も出す店もある。店がそれをどこで埋め合わせするかといえば、材料費や人件費の削減と、客から取る“サービス料”という名目の不可解な追加料金やお通し代。それで500円程度を取り、さらにサービス料として15%取るのが普通。ツマミや料理は冷凍食品をチン、生ビールは発泡酒を出すのが基本ですが、中国人観光客は和風居酒屋を誤解して帰国してしまいます」(同) そんな中、今年1月4日から『改正通訳案内士法』が施行され、これまで必要だった国家資格がなくても、有料で訪日外国人旅行者向けの通訳ガイドができるようになった。これを受け、ますます増えるのが、中国人観光客相手の“在日中国人ガイド”だ。 「こうしたガイドは歴史などの知識がありませんから、太田道灌や楠木正成の像を徳川家康と解説し、旅行者に指摘されるような事態が相次いでいる」(旅行ライター) これが“観光大国”を目指す日本の現実なのだ。
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社会 2018年03月29日 08時00分
ランニング市場活況 国内スポーツメーカーが知恵を絞る海外勢対抗策
2月25日に行われた東京マラソンで、設楽悠太(ホンダ)が2時間6分11秒で16年ぶりに日本記録を更新。日本実業団連合から1億円をゲットしたと話題を呼んだが、マラソン人口が増え安定期に入ったとされる中、スポーツメーカー間のマラソンシューズ市場を巡る競争が激化している。 設楽が東京マラソンで使用したシューズは、米ナイキの『ズームヴェイパーフライ4%』。この厚底靴が勝利につながった一つの要因と言われた。 「『ズームヴェイパーフライ4%』は、ナイキが“2時間切り”を目標に昨年に開発したシューズ。これまでのマラソン上級者のシューズは薄底というのが半ば常識でしたが、かかと部分が薄底より約1センチ厚い33ミリ。いわば、設楽が結果を残したことは、メーカーにとってこれまでの常識を覆した出来事だったのです」(業界関係者) このシューズのソールにはカーボンファイバーのプレートが埋め込まれており、推進力を高める効果もある。そのため一部では「ドーピングシューズ」「ジャンピングシューズ」と揶揄する声もあったが、国際陸上競技連盟の規定には違反しない。 さらにこのシューズは、大迫傑選手(ナイキ・オレゴンプロジェクト)が昨年暮れの福岡国際マラソンで2時間7分19秒(日本歴代5位)で3位となった際にも、注目を集めている。 これで陸上長距離におけるシューズ戦争はナイキの独走かと思われたのだが、それほど甘くはない。例えば、同じ米ボストンを拠点とするメーカー、ニューバランス(NB)は、今年からシューズ職人の三村仁司氏とパートナーシップ契約を結び、反撃に出ている。 「三村氏は国内の大手スポーツメーカー・アシックスのカリスマシューフィッターで、高橋尚子や野口みずきらも絶大な信頼を置いていた人物。三村氏は定年退職して独立後、ドイツのアディダスと専属契約を結び、そのアディダスは箱根駅伝4連覇の青山学院大をサポートした。ところが、アディダスが出す『ブースト』ブランドを巡って意見の食い違いもあり、両者は袂を分かつことになったところへ、NBが三村氏を引き抜き、新シューズ作りに乗り出したのです」(スポーツ紙記者) 三村氏製作のシューズは、今年1月の大阪国際女子マラソンで優勝し、東京オリンピック女子マラソンの有力候補として躍り出た松田瑞生選手(ダイハツ)が使用しており、さっそくNBの戦略が当たった格好だ。 「今年の箱根駅伝では、東洋大の多くの選手がナイキを使用して往路優勝、さらに総合優勝の勢いもあったが、アディダスがサポートする青山学院が逆転優勝した。選手たちのデッドヒートの裏で、スポーツメーカの競い合いも熾烈なのです」(同) フルマラソンの大会や箱根駅伝は、メーカーにとって大きな宣伝の場となる。ましてや、使用した選手が好成績を収めれば、ネット上などでも“どこのメーカーの何のモデルを使っていたか”は大きな話題となり、一般ランナーはこぞってそれを買い求める。 「日本のランニング人口は'16年で約893万人。うち500万人弱が大会などに出場する意欲もあるランナーと言われている。ピーク時('12年)と比較すればジョギング人口自体は少々減ってはいるのですが、逆にシューズにこだわりを持ったコアな層は増えている。それは、'16年の市場が約700億円と、'13年より25%増であることからも分かります」(前出・業界関係者) 東京五輪へ向けて海外勢のシューズ攻勢がさらに強まる中、国内大手スポーツメーカーも当然、対抗策をとる。 「ミズノは、売上増のために、ショップなどで初心者や中級ランナーなどの裾野の拡大に努めている。例えば、足の形状、足圧を専用機器を使って測定し、専門スタッフが個人に合ったものを提案。さらには、皇居周りを使用した初心者イベントなども積極的に行っています」(スポーツ用品販売店関係者) 一方のアシックスは、前身のオニツカシューズが'64年の東京五輪で銅メダルだった円谷幸吉に貢献した実績をアピールする。 「ミズノやアシックスは、幅広、甲高の日本人の足を知り尽くしたランニングシューズづくりの自負を持つ。上級者向けだけではなく、中高年層も含めた日本人のランニング愛好家をターゲットに、裾野を広げたいという考えです。その点では、大きな大会で成果を上げ販促に活かしたい海外メーカーと入り口のすみ分けはできていますが、最終的には一般ランナーが手に取るかどうかの勝負でかち合うことになる。日本のメーカーがどこまで海外勢を食い止めることができるか、勝負はこれからです」(同) 果たして、どのメーカーがスパートをかけることができるか注目だ。
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社会 2018年03月28日 23時20分
新たなハラスメント「カスハラ」って知ってますか?
3月27日に『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京系)が放送された。客からの悪質なクレームで労働者の精神をむしばむ「カスタマーハラスメント(カスハラ)」を特集した。 番組では昨年、産業別労働組合の「UAゼンセン」が小売業で働く約5万人を対象に行ったアンケートを採ったことを放送。70%以上が「悪質クレームの被害に遭ったことがある」と回答。さらに「ある」と回答した人のうち、1%に当たる359人が精神疾患を発症したことが分かった。 こういった従業員の被害の声に応えるべく、3月27日に厚生労働省で行われたパワハラ防止検討会では、客からのハラスメントを「カスタマーハラスメント」または「クレーマーハラスメント」と定義。今後はセクハラやパワハラと同様、具体的な対策を講じていくべく議論することが決定した。 ただ、蔓延するカスハラに立ち向かっていくことは、今の現場ではなかなか難しそうだ。番組では、「柚柚」や「なごや香」などの居酒屋を展開しているアンドモア株式会社の鎌田由佳氏に、カスハラについてインタビューした。 鎌田氏は「(どこまでがカスハラか)線引きが非常に難しいが、接客業は、お客様の要望には(なるべく)お応えしたい。ですが、お客様の要望ばかりをのんでいると、従業員のモチベーションの低下につながる」と話す。接客業の従事者にとって、客のクレームをどこまで許容すべきか葛藤があるようだ。 ネットでは、「クレーマーなんて通報してしまえ」「迷惑な客は出禁にすればいいのに」「訴訟を起こして損害賠償請求しろ」との声が殺到。クレハラ防止のために、従業員側も強気な姿勢を見せる必要性を訴える声が多く寄せられた。 従業員と客は「平等な関係」であると提唱する声も多く、「お客様は神様」と不必要に客を持ち上げる必要はない。しかし、現代の日本はデフレ局面にある。どうしても客に媚びなければいけないのが現状なのだろう。 クレハラに対策を打っていくことは非常に大切だ。しかしそれだけでなく、デフレ脱却を早急に目指さなければ、クレハラはなくならないように思える。
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社会 2018年03月28日 08時00分
豊田章男社長が初の自工会会長に“再登板”した自動車業界の危機感
国内14の自動車メーカーで構成される日本自動車工業会(自工会)の次期会長に、トヨタ自動車の豊田章男社長が就任することが内定した。5月に開催予定の理事会で、現会長の西川廣人会長(日産自動車社長)の後任として正式に決定される。任期は2年で、豊田社長は2020年まで務めることになる。まずは来年の東京モーターショーを成功に導くことが課題だ。 「自工会の会長は'00年以降トヨタ、ホンダ、日産のトップが持ち回りで就任するというルールがありますが、豊田社長は'12年から'14年にも会長を務めていることから、自工会発足以来初の“再登板”となります」(自動車専門誌記者) 背景には、豊田社長が抱く日本の自動車業界に対するかつてない危機感があるという。トヨタ自動車が去る3月2日に発表した社外取締役と監査役の顔ぶれを見ても、それは一目瞭然だ。 「国と連携してEVや自動運転などの次世代車ルールを作ることを促進するために前経済産業事務次官を、障害や年齢にかかわらず使える移動手段の実現を推し進めるために前国際パラリンピック委員会会長を、さらに、異業種との連携を担う『未来創生ファンド』を担当している三井住友銀行の常務執行役員などを就任させました」(同) ここ最近、豊田社長は「自動車業界は100年に一度の大きな変革期」「前例なき海図のない戦いが始まっている」など、さまざまな場所で厳しいコメントを述べ、相当に強い危機感を表している。国、産業の枠を超え、次の100年のスタンダードを担う次世代車の“椅子取り合戦”が熾烈を極めてきていることを、如実にうかがわせる。 「豊田社長の自工会会長再登板は、オールジャパンを巻き込んで、次の100年に対する勝負をかける意気込みとも見受けられます。近頃、元気のないニュースばかりの日本の産業界にとっても、頼もしいニュースと言えるでしょう」(同) せっかくの産業界の動きが台なしにならないためにも、政局ばかりにうつつを抜かす日本の政治に少しは期待したいのだが。
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社会 2018年03月27日 14時00分
“ハコモサのヤス”がスリついでに嵌まった下着ドロ手口
3月15日、埼玉県警捜査3課に「ハコモサのヤス」と呼ばれ、警戒されていたスリの常習犯が窃盗容疑で再逮捕されたのだが、捜査過程でこの男の恥ずかしい“性癖”も明らかになった。 再逮捕されたのは、埼玉県川口市に住む建築作業員、安瀬安四郎容疑者(60)。 「安瀬容疑者は昨年12月、自宅近くで鍵のついていない自転車を乗り回しているところを、巡回中の警察官に職務質問されたのですが、その際、カゴにコンビニの弁当が入っていた。ピンときた警察官が、その弁当を買ったという店まで安瀬容疑者を連れて行き店員に事情を聞くと、盗んだ財布に入っていたポイントカードで購入していたことが分かったのです」 さらに連行して取り調べを行ったところ、安瀬容疑者が「ハコモサのヤス」であることが判明。警察はまず詐欺容疑で逮捕し、自宅を家宅捜索することになったという。 「『ハコモサ』の『ハコ』は電車、『モサ』はスリを意味する。その家宅捜索では、空になった財布、さらに女性の下着など100点あまり、他にも乗車する電車の時刻表や、『チャンスは逃さない』『大胆に強引にやる』『最後まで諦めない』などとスリの心得を書いたメモまで見つかったのです」(夕刊紙記者) 結果、窃盗での再逮捕となった安瀬容疑者。直接の容疑は、昨年12月5日午前9時40分から同10時頃、東京都内を走る京王井の頭線の明大前駅〜渋谷駅間で20代の女子専門学校生のコートからカードケースと鍵を盗んだというものだが、なぜ自宅から女性の下着が出てきたのか。 「カードケースに入っていた学生証から女子学生の自宅の場所を突き止め、手に入れた鍵を使って女性宅に侵入、下着を盗んだというのです」(同) 安瀬容疑者はその時のことを、「学生証の写真の女性が自分好みの沢尻エリカ似だったことから、どんな下着をつけているのか興味を持った」と供述しているというから呆れる。 「これまでの調べで安瀬容疑者は、一昨年12月から昨年12月までの1年間で41件のスリを認めているが、鍵や身分証を入手してもすべての家に盗みに入っているわけではない。やはり写真を確認して好みの女性宅にだけ侵入し、ついでに現金を頂戴していたようだ」(捜査関係者) スリで一石二鳥は虫がよすぎた。
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社会 2018年03月27日 08時00分
麻原彰晃「死刑執行Xデー」移送と元オウム残党の不気味な「奪還計画」
悪夢が終わろうとしている。いや、終わりはないのだが、一つの結末を迎えようとしている。地下鉄サリン事件から23年。オウム真理教が起こした一連の事件すべての裁判が終結し、3月14日には死刑囚13人のうち7人が東京拘置所から他の拘置所へと移送された。それは執行Xデーが確実に近づいてきていることを意味する。 そうした中、公安調査庁ほか警察関係者の間には、すでに2月から松本智津夫死刑囚(麻原彰晃=63)の信仰を引き継ぐとされる『アレフ』、そこから分離した『ひかりの輪』、さらに通称『山田らの集団』の3団体に対し、監視強化の通達が出されているという。 「実は、団体による死刑囚たちの“奪還”にも備えるようにとの指示も出ているという。松本死刑囚の奪還など、このご時世にまずない話ですが、公安の頭の中には、かつて日本赤軍が起こしたダッカ日航機ハイジャック事件がこびりついていると聞きます。特にアレフについては動きが完全に把握できていないことから、万が一に備えるようにということです」(法務省OB) そのアレフは移送の同日、公安調査庁によって札幌の施設を午前9時から約6時間にわたり立ち入り検査されており、警戒の度合いの高さが窺える。 「公安内部では、“死刑執行を含むオウム事件の決着は平成のうちに終わらせる”が合言葉になっているというが、この年度内に執行されるとの見方もある。というのも、移送後は死刑囚の精神状態を考慮し、あまり時間を置かずに執行するのが通例。また、時間を置きすぎれば、それだけ各団体を刺激し続けることになるからです」(検察出身弁護士) 加えて懸念されるのが、死刑執行後の各団体の動きだ。 「まず考えられるのは、アレフからの信者大量脱会と組織の再分裂、それにともなう新たな信者獲得の動きの活発化です。アレフを脱会した信者の“支援”を謳うひかりの輪は、“アレフとは別団体の非過激団体”であることを訴える絶好のチャンスと見て、支援の動きをさらに強めていくと思われる。また、松本家の三女の働きかけで分派したとされる30人規模の『山田らの集団』は、原理主義的な立場で信仰を先鋭化させることも予想されます」(オウムウオッチャー) さらに、死刑執行により最も警戒されるのが、「松本死刑囚の神格化と拘置所の聖地化」(前出・法務省OB)だという。Xデーが悪夢の終わりではなく、始まりにすぎない…のかも知れない。
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社会 2018年03月26日 22時30分
フジテレビ、休暇取得達成で手当を支給 若手流出対策かそれとも…
各企業で推奨されている「働き方改革」だが、4月からフジテレビで休暇取得の達成度により手当が支給されることを、発売中の「週刊現代」(講談社)が報じている。 同誌によると、4月から支給されることになるのは「健康管理手当」。 週2日の休暇取得を奨励する目的でスタート。例えば、1か月の所定休暇が8日間だとして、100%取得できたら6万円、75%で4万円、50%で2万円が支給されるというのだ。 支給対象となるのは、報道や番組制作などの裁量労働制の部署に勤務する、入社3年目から12年目くらいまでの若手社員。 テレビ界では前代未聞の手当のようだが、現状、同局の社員は数年前に比べて大幅に減。そのため、対象の部署の社員はなかなか休めず。 契約スタッフとの関係や、休日出勤したら1万円ほどの手当がもらえることなどもあって、なかなか休めない状況だという。 「フジといえば、早期退職者に対して、退職金に7000万円上乗せして支給することで話題になったが、またまた奇策を打ち出した。とはいえ、休暇を取得するような社員はなかなか出世できない。手当よりも、なかなか休めない労働環境を改善する方が先なのでは」(テレビ局関係者) フジといえば、4月に大改編を実施。改編の中心となるのが、報道とバラエティー番組。新しい手当の支給対象の社員たちが忙しくなるのは、上層部もしっかり把握しているはずだ。 「それでも、労働基準監督署に対して何らかのアピールをしなければいけなかったので、新制度を導入したのだろう。ただ、達成度が低ければ厳しい指摘を受け、改善を要求されることになりそうだが」(同前) 新制度がどのぐらいの成果を残すかが注目される。
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社会 2018年03月26日 19時30分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 財務省へのペナルティー
森友学園への国有地売却に関する決裁文書について、財務省がついに改ざんを認めた。野党や大手メディアは、削除された部分に安倍昭恵夫人の名前があったことで、再び「総理の関与」を追及する方針だが、それでは財務省の思うツボというものだ。 まず、忘れてならないのは、今回の文書改ざんが、森友学園の事件が発覚したあとで、本省理財局で行われたということだ。だから、最初にこの改ざん事件の始末について考えなければならない。 財務省が国会に提示した決裁文書の改ざんは、有印公文書偽造にあたる。懲役10年以下の重罪だ。だから、まず改ざんに関わったすべての財務省職員を懲戒免職にするとともに、改ざんを指揮した当時の佐川宣寿理財局長と、理財局の幹部を逮捕しなければならない。 それをしたうえで、なぜ財務省が森友学園に国有地を8億円もの値引きをしてたたき売ったのか、という点をしっかりと解明する必要があるのだ。 ある元経済産業官僚は、官邸で経産官僚が重用されるようになり、危機感を覚えた財務官僚が、安倍総理を喜ばそうとしてやったのではないかと言う。それもあるかもしれないが、私の見立ては違う。 安倍総理は、一昨年の秋頃から、消費税率の引き下げを画策していた。それは、財務省にとって許しがたい蛮行だ。そこで財務官僚が、安倍総理を失脚させるために、自らの危険をも顧みず、あえて決裁文書の改ざんをしたのではないだろうか。 昭恵夫人の名前を削除しておいて、後からそれが発覚すれば、世間は安倍総理の関与を疑い、自民党総裁選での敗北、あるいは総理辞任が期待できるからだ。だから、いまの安倍総理の責任追及の動きは、まさに財務省の思惑通りということだ。 財務省が起こした前回の大きなスキャンダルといえば、大蔵省時代の'98年に起きた「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」だった。大蔵官僚が過剰接待を受けていたのだが、その後始末として大蔵省は、金融庁を分離させられ、大蔵省という名前自体も捨てざるを得なくなった。 今回は、それ以上のスキャンダルなのだから、財務省にそれ以上の制裁を与えなくてはならない。 一つのアイデアは、国税庁を分離して歳入庁として独立させることだ。いままでは、財務省に逆らうと国税が査察に入ってくる恐れがあるので、誰も財務省に逆らえなかった。しかし、国税庁を分離してしまえば、財務省は普通の官庁のひとつになる。日本の政治をコントロールしようなどという妄想は抱かなくなるはずだ。 ただ私は、最も望ましい制裁は、消費税率の引き下げだと思う。財務省が一番嫌がることだからだ。 また、安倍政権の発足以来、国民の大部分が景気回復を実感していないのは、実質賃金が安倍政権発足後の5年間で4%も下がっている点だ。 そして、その実質賃金減をもたらした大部分の原因が、消費税率の引き上げなのだから、消費税を元に戻せば、デフレからの完全脱却が可能になる。安倍総理が、支持率回復のため、今回の事件を利用して消費税引き下げに踏み切る可能性は、十分あるだろう。
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社会 2018年03月26日 17時30分
石破茂・小泉進次郎が安倍倒閣へ多数派工作エンジン全開
学校法人森友学園の国有地売却を巡る財務省の決裁書改ざん問題で、3月7日に土地取引にかかわった近畿財務局の男性職員が自殺。さらに関連は定かではないが、今年1月下旬に理財局の男性職員が自殺、同省の女性職員も自殺未遂後に行方不明になっているとの情報まで流れ、その闇の深さはとどまることを知らない。 「ここまで来ると、今秋の総裁選での安倍首相の3選は難しい。それに対し、新たに有力候補として急浮上しているのが、2012年の総裁選で敗れた石破茂元幹事長。さらにここへ来て、小泉進次郎筆頭副幹事長が石破氏の支援に回るとの話も飛び出している。そんな流れの中、各派閥の安倍離れも露骨になり始めているのです」(自民党関係者) 安倍内閣の支持率は、時事通信社が3月9日〜12日に実施した世論調査によれば、前月比9.4ポイント減の39.3%と急落。調査直前に森友疑惑のキーマン、佐川宣寿国税庁長官が辞任し、証人喚問が濃厚になったことが大きく影響したと見られている。 「まだこの程度の支持率下落で済んでいるのは、佐川氏の辞任で踏みとどまっているからだ。世論的には、麻生太郎財務相辞任も当然との声が高まり、土地取引に絡んで頻繁に名前が取り沙汰されている安倍昭恵夫人にも、ますます厳しい視線が注がれる。夫人の証人喚問はハードルが高いが、このままいけば麻生氏の辞任は時間の問題だろう。そうなれば今度は、丸裸になった安倍首相の政治責任が問われ、内閣支持率はさらに急降下する」(自民党ベテラン議員) 安倍内閣の支持率は昨年7月、学校法人加計学園が獣医学部新設にあたり、安倍首相夫婦に近い同学園理事長が恩恵を受けた疑惑が浮上した際に30%を切ったが、今回はそれを下回るとの見方もある。 「あの時は、北朝鮮のミサイル危機と小池百合子東京都知事の失速ぶりに目が向けられ助かった。しかし、今回ばかりは佐川氏が辞任、自殺者も出た財務省にすべての責任を擦り付ける安倍政権に対し、世間は“真っ黒”という印象を持ってしまった。頼みの北朝鮮問題は完全に“蚊帳の外”状態で、挽回のきっかけは今のところ見当たらない」(同) 森友問題については、捜査を進める大阪地検特捜部の動きも気になる。 「朝日新聞による決裁文書の書き換えのスクープは、地検のリークとも言われている。原因は、1月の法務省の人事が官邸の横ヤリによって、事務次官候補だった林真琴刑事局長が名古屋高検検事長に弾き出されたことが発端になっているとの話もある。特捜は国会招致の動きを見ながら佐川氏の事情聴取、場合によっては逮捕を視野に入れているともっぱらで、そうなれば安倍政権はさらに窮地に立たされる」(全国紙政治部記者) 一方の石破氏は、時事通信社と同じタイミングの3月10、11日に産経新聞とFNNが合同で行った“次期首相にふさわしい自民党議員”の世論調査で28.6%と、トップの安倍首相の30.3%に迫る勢いを見せている。 「次期首相候補として名が挙がっていた岸田文雄政調会長などは10%以下で、今回の世論を無視することはできない。総裁選では、安倍首相と上がり目の石破氏の激突となることは間違いないだろう。その石破氏がいま、進次郎氏との結託を模索中で、さらに追い風を呼ぼうとしている話がある」(石破氏周辺関係者) 小泉進次郎氏といえば、自民党若手国会議員ら約30人を集め、「2020年以降の経済社会構想会議」と銘打つ勉強会を立ち上げたばかりで、これが先々“進次郎派閥”になるのは必至と目されている。 「『安倍さんでは自民党は変わらない』と公言してはばからない進次郎氏は、'12年の総裁選で石破氏に票を投じている。石破氏も進次郎氏の実力を認めており、『“ポスト安倍”ではないが、必ず首相になる人だと思っている』とも発言しています。つまり、“次は自分で、その次に進次郎氏”との青写真を描いているということ。そのため、総裁選で進次郎氏周辺の反安倍勢力を味方につける動きに出ているという」(前出・記者) 進次郎氏に今も多大な影響を及ぼしているのは、何と言っても父親である小泉純一郎元首相。3月13日に放送されたBSフジの番組で、森友問題について「(佐川氏の国税庁長官就任を)安倍首相も麻生さんも“適材適所”と何度も言い切った。これには呆れたね。判断力がおかしくなっているんじゃないか」「財務省は(昭恵夫人が)関係していると知っていたから、答弁に合わせるために改ざんを始めた。(財務省が)忖度したんだよ」と言い放っており、進次郎氏も6日、「今までの問題とは質が違う」と痛烈に政権を批判している。 前出の石破氏周辺関係者は、こう続ける。 「進次郎氏が加われば鬼に金棒だ。額賀派は分裂騒動で竹下亘総務会長を担ぎ4月にも竹下派に移行。バックにいる、今や石破氏の支援にまわった“参議院のドン”青木幹雄氏は、岸田派名誉会長の古賀誠氏と通じ、“石破首相”を念頭に安倍限界説を唱え出した。石破氏の地道な働きが、ついに実を結ぼうとしている」 “安倍一強”は今や昔の事態となった。