番組では昨年、産業別労働組合の「UAゼンセン」が小売業で働く約5万人を対象に行ったアンケートを採ったことを放送。70%以上が「悪質クレームの被害に遭ったことがある」と回答。さらに「ある」と回答した人のうち、1%に当たる359人が精神疾患を発症したことが分かった。
こういった従業員の被害の声に応えるべく、3月27日に厚生労働省で行われたパワハラ防止検討会では、客からのハラスメントを「カスタマーハラスメント」または「クレーマーハラスメント」と定義。今後はセクハラやパワハラと同様、具体的な対策を講じていくべく議論することが決定した。
ただ、蔓延するカスハラに立ち向かっていくことは、今の現場ではなかなか難しそうだ。番組では、「柚柚」や「なごや香」などの居酒屋を展開しているアンドモア株式会社の鎌田由佳氏に、カスハラについてインタビューした。
鎌田氏は「(どこまでがカスハラか)線引きが非常に難しいが、接客業は、お客様の要望には(なるべく)お応えしたい。ですが、お客様の要望ばかりをのんでいると、従業員のモチベーションの低下につながる」と話す。接客業の従事者にとって、客のクレームをどこまで許容すべきか葛藤があるようだ。
ネットでは、「クレーマーなんて通報してしまえ」「迷惑な客は出禁にすればいいのに」「訴訟を起こして損害賠償請求しろ」との声が殺到。クレハラ防止のために、従業員側も強気な姿勢を見せる必要性を訴える声が多く寄せられた。
従業員と客は「平等な関係」であると提唱する声も多く、「お客様は神様」と不必要に客を持ち上げる必要はない。しかし、現代の日本はデフレ局面にある。どうしても客に媚びなければいけないのが現状なのだろう。
クレハラに対策を打っていくことは非常に大切だ。しかしそれだけでなく、デフレ脱却を早急に目指さなければ、クレハラはなくならないように思える。