社会
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社会 2018年05月23日 08時00分
「はしか」と侮るなかれ! 重篤に陥る2次、3次空気感染
「そんなものは“はしか”にかかったようなものだ」と我々は昔から聞かされ、そのようなものだと思っていた。だが、実際にはしかにかかるということはそんな簡単なことではない。場合によっては重篤な合併症を引き起こす可能性もあるのだ。2次感染、3次感染と勢いを増しているのは、空気感染することが原因と言われている。 台湾への旅行者から始まったと見られる沖縄県でのはしかの流行が、あっという間に本州へと広がり、累計感染者数は11都府県で130人(5月12日時点)を超した。 世田谷井上病院理事長の井上毅一氏が、その脅威をこう説明する。 「はしかは、パラミクソウイルス科に属し、麻疹ウイルスの感染によって起こる急性熱性発疹の感染症です。麻疹ウイルスは人のみに感染して、発症した人から人へと感染していく。感染力はインフルエンザよりも強く、麻疹に対して免疫がない人が感染すると90%以上が発症します」 江戸時代まで日本では「命定め」の病として恐れられていたはしかだが、現代ではビタミンAが不足していると重症化しやすいとされ、発展途上国における死亡率は、10〜30%に達するという。 「かつては幼児の病とされていましたが、今は大人の病気で、日本でも死に至ることがあるのです」(同) 予防の唯一の方法はワクチン接種なのだが、一度の接種では十分な免疫がつかないことや、年数を経ると免疫が低下することもあり、2回接種で確実な免疫がつくとされる。 「その予防接種は1978年に定期接種になりましたが、その時は1回のみ。さらに'88年からは複合ワクチンの接種が始まったものの、副作用により'93年に中止している。その後、1歳と小学校入学前に受ける2回接種が始まったのが2006年からのため、現時点で20代後半から40代の世代あたりが、接種を受ける機会が1回、もしくはなかった人が最も入り混じる“空白地帯”となっているのです」(健康ライター) 一方、50代以上の世代の場合は、子どもの頃に自然感染によって発症し、すでに抗体ができている可能性が高いという。 「麻疹は、患者のくしゃみなどに含まれるウイルスを鼻や口から吸い込んで感染する飛沫感染、ウイルスが付着した患者の体や物に触れることでうつる接触感染にとどまらず、空気中に漂うウイルスの飛沫核を吸い込み感染する空気感染もあり、これが拡大させる最大の原因なのです」(前出・井上氏) 免疫が低下している場合は特に、発症すると肺炎や脳症などの合併症を起こしやすい。さらに、まれにだが、潜伏期間を経て数年後に中枢神経症状が起きるというから侮れない。 「子供の頃に予防接種しているから大丈夫」「一度免疫がつけば一生持続するから大丈夫」と思っている方、予防接種は2回必要ということを覚えておこう。
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社会 2018年05月22日 18時00分
ナンパ塾生・羽生容疑者らが巨乳グラドル連れ込みレイプ逮捕
「こうしたトラブルがいつか起きるのではないか、と危惧していた関係者も多いのではないでしょうか」 呆れた口調でこう語るのは、ベテラン風俗ライターだ。 5月9日、東京メトロの社員・根本賢容疑者(27)と、会社員の羽生卓矢容疑者(33)が、警視庁新宿署に逮捕された。容疑は20代のグラドルでモデルの女性に酒を飲ませた上で乱暴をした、準強制性行等の疑いだ。 「容疑者2人は昨年7月31日午後11時半頃、新宿区内のマンションに初対面の女性を連れ込み、ウオッカなどを一気飲みさせ、酩酊状態にさせて乱暴したという。その後、8月に入りモデル女性から被害届が提出され逮捕となったのです。警察によれば、2人は過去にナンパのノウハウを学ぶ“ナンパ塾”の講習を受けており、このマンションの部屋はその塾が管理していたといいます」(社会部記者) 根本容疑者は容疑を認め、一方の羽生容疑者は「同意の上だった」と否認しているというが、冒頭のように起こるべくして起こった感があるのが今回の事件。 先のライターがその事情を説明する。 「この手の“ナンパ塾”は、都内を中心にかなりの数が存在する。基本的には街を歩く女性に声をかける方法や、トーク術などを“ナンパ歴何十年”を謳う講師が教える。実際に街でナンパをする授業もあります」 容疑者らが受講していた塾も、約10年前から東京と大阪で生徒を集め頻繁に講習を行っていた。もちろん有料だ。 「この塾では、通常コースで1回4時間の授業を3回受けて5万4800円。講師がマンツーマンで指導するスペシャルコースは29万8000円。高額に思えますが、かなりの盛況ぶりではあったようです」(同) また前述の通り、同塾は現場となったマンションの一室のように、ナンパした女性を連れ込むための“ハウス”と呼ばれる部屋も用意していた。 「当初は容疑者2人と根本容疑者の知人女性、その友人のモデル女性の4人で歌舞伎町の居酒屋で飲んでいたそうです。その後、“ハウス”へと移動したが、知人女性の方は終電の時間が近いことを理由に帰宅したため、容疑者2人とモデル女性の3人になった。飲み会の続きをするうちにダーツなどの罰ゲームで、一気飲みという流れになったといいます」(前出・社会部記者) ちなみに、この“ハウス”を利用する際にも料金が発生するというが、容疑者2人のように受講を終えている者も使うことができたという。 「部屋の管理責任等には疑問が残りますが、塾生であったとしても、結局は事件を起こした本人たちの問題ということになりますからね。1人は“同意の上”、もう1人は容疑を認めているように食い違っていることから、経緯の整合性が徹底的に追及されるでしょう」(夕刊紙記者) いずれにせよ、今回の事件により“ナンパ塾”が注目を集めたわけだが、そもそも金を出してまでナンパ術を学ぶ男たちは、どのようなタイプなのか。 同じ様な某塾を取材したことがあるという記者は、こう言う。 「ナンパといえばイケイケの男子がやっているイメージですが、この手の塾には、“さらに技術を磨きたい”といったモテ男が集まるわけではない。普通にナンパができる男は高い金を払ってまで講義を受けませんからね(笑)。実際の受講生はまったく逆のタイプで、大半は女性とコミュニケーションが非常に苦手であったり、堅物で真面目な男が多い。年代は20代から50代と幅広く、彼女を作りたい、女性と触れ合いたいといった、藁をも掴む思いで受講する人もいます」 しかし、そのようなタイプであるだけに、危うい感覚に陥る受講生もいるという。 「塾では基本的に、“弱気な男はモテない”や“女性は誘われるのを待っている”といった教えをするんです。口説く際に強気に攻めることは間違いとは言えないのでしょうが、それを極端に捉えてしまい“強引にでもヤルべき!”となってしまう受講生もいるようです。彼らの中には、素人童貞や引きこもり、オタクなどもいて、女性に対する免疫が低いことから、そうした勘違いを起こしやすいのでしょう」(同) また、こうした塾の中には、妙な競い合いの雰囲気が生まれる場合もあるという。 「羽生容疑者も“ハウス”に“100人ほど連れ込んだ”と供述しているようですが、塾生たちにとって、何人とヤッたかがステータスになる。経験人数を自慢するのはセックスを覚えたての10代の時にやるようなことですが、彼らの場合は大人になってようやく、そこに至ったわけです。受講によって自分に自信をつける一方、それまでの反動が一気に爆発し、暴走してしまう危険もあるんです」(同) ただし、もちろんすべての塾、受講生に問題があるわけではない。 「塾に通ったことで女性と話せるようになったり、実際に彼女ができたりして、“人生が明るくなった”という男の話もよく聞きます。また、そうした受講生を出すために、真剣に授業をしている塾もある。今回の件が原因で、ナンパ系の塾すべてや、ナンパ行為そのものが非難されるのは少し違うと思います」(前出・風俗ライター) 容疑者2人については、身につけた自信が無駄な武器になったかも。
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社会 2018年05月22日 08時00分
安倍政権続投に有無も言わせぬ麻生財務相のえげつない「おねだり」
森友学園問題、加計学園問題、自衛隊の日報問題、そして財務次官のセクハラと安倍政権に対する国民やメディアからの信頼を裏切った形の安倍政権だが、そんな中、強気の発言が山崎拓元副総裁からでた。山崎氏は5月15日、都内で講演し、9月の党総裁選について「まだ内閣支持率は高い。3選は可能だ」との認識を示したのだ。 それに呼応するかのように、自民党関係者からは「加計学園の獣医学部新設を巡る疑惑についても、野党は追及しきれない。秋の自民党総裁選での安倍首相3選の気配は濃厚になってきた」との声が大きくなってきている。 そうした中、5月8日夜、安倍首相が麻生太郎財務相と都内で約2時間にわたり会食。その内容について永田町界隈では様々な憶測が流れているという。 「サシでの会食が行われたのは、2人がよく訪れるフランス料理店。しかし、くつろげる場とは裏腹に、かなりエグイものだったようだ」 とは、麻生派関係者だ。 安倍首相の3選へ向けては、自身の細田派、二階派、そして麻生派の主要3派が、表向き首相支持を打ち出しており、国会議員票では他候補が出たとしても勝てる状況だ。 「首相としては、これに竹下派と岸田派、さらに無派閥も可能な限り取り込み、圧勝まで持っていきたい。地方票対策では、すでに大阪都構想の反対表明、来日した中国の李克強首相の北海道訪問に同行してアピールするなど着々。会食の内容は、麻生氏による支持の念押しといったところだろう」(自民党関係者) 加えて、財務省に絡んでは、昨今しきりに話題に上る解体に関してや、3選後の最大のテーマとなる消費税増税にも話が及んだという。 「相次ぐ疑惑の主役となった財務省については、国民の納得を得るためにも看板を代え、歳入庁などの新名称にして印象を一新させることで一致したとの話もある。さらに消費税増税については、首相が10%へのアップの先延ばしを強く主張、これについても麻生氏は、渋々だが了承したという」(前出・麻生派関係者) しかし麻生氏が、それでなおかつタダで3選支持を約束するはずなどないという。 「自分が抜ければ安倍政権がグラつくことから、辞任する気はサラサラない麻生氏だが、すでに安倍3選後のポストを目論んでおり、会食でも暗に示したという。それは副総理兼外相とされ、さらに現外相で麻生派の河野太郎氏を官房長官、同じく麻生派で首相とはお友達の甘利明氏を財務省に代わるカネどころに就かせるというもの。これらは、重要ポストを麻生派で占めると同時に、先々の“河野首相”体制を見据えた麻生氏の院政が見え隠れしています」(全国紙政治部記者) 麻生氏のえげつない「おねだり」に安倍首相がどう対応するか動向に注目だ。
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社会 2018年05月21日 23時20分
「ながらスマホは学力を破壊する」林修、スマホ使用時間とテスト平均点の関係を紹介
5月20日に放送された『初耳学』(TBS系)で、林修が「ながらスマホ」の危険性を語った。 まず、林は「ながらスマホは学力を破壊する」と主張。林は仙台市の小中学生を対象にアンケート調査した、数学の平均点とスマホの1日の使用時間が示されたグラフを出し、「スマホの使用時間が伸びれば伸びるほど、数学の平均点が下がっていることが明確に読み取れる」と話す。 スマホの使用時間が1時間未満だと、数学の平均点は約70点。使用時間が4時間以上になると、平均点は約55点という結果になった。 続けて、2時間以上勉強だがスマホの使用時間が4時間以上の生徒と、勉強時間は30分未満だがスマホの使用時間が1時間未満の生徒なら、後者の生徒のほうが成績が良かったと説明。つまり、勉強時間が短くても、スマホの使用時間が短い生徒のほうが、成績が良いようだ。 これらの調査結果から、林は「学力低下の原因の1つが、勉強中にスマホを使う“ながらスマホ”ではないか」とスマホの使用時間と学力に相関があった原因を推測した。 今年3月、『NEWSな2人』(TBS系)に早稲田大学教授・枝川義邦氏が出演した際、「脳の中では変化が起きているんですね。スマホをいじって、ネットで動画を見て、テレビもつけている…これをデジタルマルチタスキングって言うんですけど、これを長い時間続けている人は、脳の神経細胞のダメージが大きいんです」と説明していた。 そこでは、「いろんな判断をしたりスケジュールを立てたり、人間らしい活動をする時に必要な前頭前野っていう場所があります。こういったところが(デジタルマルチタスキングをすると)ダメージを受けやすく、続けていると機能が落ちてしまう」と“ながらスマホ”のリスクを語っていた。 スマホは私達の生活を便利にしてくれたが、そのリスクもキチンと理解しておく必要がありそうだ。
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社会 2018年05月20日 22時00分
【放送都市伝説】今ならタブーな生放送内容で、犯人逮捕に協力した伝説の番組
1970年代から80年代にかけて日本テレビで放送された人気情報バラエティ番組『テレビ三面記事 ウィークエンダー』。 この番組が放送されていた1977年、同番組の取材をきっかけに指名手配犯の男が無事に逮捕されるという出来事があった。 1977年2月14日の読売新聞の夕刊は「ウィークエンダー犯人逮捕」という見出しで、この“大捕物”を報じている。 記事によると、2月12日放送の『ウィークエンダー』が、1976年12月に大阪市内で発生した婦女暴行事件を「変態強盗暴行魔」というタイトルで放送。番組によると大阪府北区に住むA子さんの自宅に暴行魔が侵入。A子さんが激しく抵抗したため男は暴行を諦め逃亡したのだが、男は逃げる際に、自分の顔写真が入った小物入れを落としていた。男は婦女暴行の容疑で全国指名手配されたが、事件から2ヶ月経過しても有力な情報が手に入らなかった。 この事件に目をつけたのが同番組のスタッフ陣。スタッフはすぐに現地調査を行い、人気レポーターであった桂朝丸(現:桂ざこば)も現場に急行。生放送中に暴行魔が落とした顔写真入りの小物入れをモザイクなしで放送した。 すると、放送してからすぐ、視聴者から「よく似た男が博多市のスナックで働いている」との情報が福岡県博多署へ寄せられ、博多署が男の行方を調査したところひとりの男が捕まった。捕まったのは福岡県在住の二十代の男。男は日常的に女性に暴行を働いており、この日も自身が住む福岡から離れた大阪へ女性を暴行する目的で旅行していたという。 同番組の担当者は読売新聞の取材に応え、「事件自体は大阪の夕刊に載っていて知った。写真を落としていたとはいえ、こんなに早く犯人が捕まるとは思ってもみなかった」と話している。 現在はコンプライアンスや報道規制の問題から、容疑者の顔写真が生放送中に登場することはほぼないが、規制なしに悪人をただひたすらに追い詰める『ウィークエンダー』および昭和のテレビ局の姿勢はなんともパワフルである。文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)
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社会 2018年05月20日 15時00分
天下の猛妻 -秘録・総理夫人伝- 橋本龍太郎・久美子夫人(中)
映画会社・東宝から第1期ニューフェースに誘われ、『若大将シリーズ』で人気のあった加山雄三と同期の俳優になっていたかもしれない橋本龍太郎は、代議士になる頃から「女性人気」が抜群だった。美男子のうえに髪をヘア・クリームでベットリ固めた姿は、貴公子然、周囲の女性が我を忘れるのは言うまでもなかった。 その橋本は選挙に抜群に強かった。理由は大きく二つあった。一つは、妻の久美子がほとんど東京住まいの橋本に代わって選挙区の岡山に住み、地元後援会をキッチリまとめあげる手腕があったこと。二つ目は、美男子の橋本に地元の女性が圧倒的にマイッてしまったことであった。久美子の手腕については、地元記者のこんな証言が残っている。 「ざっくばらん、気取ったところが一つとしてなく、かつ周囲への気配りが抜群に利いていた。スピーチをしても、そっくり返っているような橋本とは大違いで、断然、夫人のほうがウケた」 久美子のざっくばらんのスピーチには、じつはこんな“失敗”もあった。大分県で講演に招かれた折、週刊誌に「下ネタ大爆笑」とスッパ抜かれたのである。話の経緯は、こうであった。 橋本の選挙の際に、それこそ昼食抜きで朝から晩まで歩き続ける体験に触れたあと、「こうすると身体のシェイプ・アップになるし、お産で緩んだアソコも締まりがよくなります!」とやってしまったのだった。 もとより、代議士夫人によるこの手の話は大ウケだったが、サービスのつもりでしゃべったことがアダになったということだった。自民党の中からも「やりすぎ」の声が出た。しかし、当時、幹事長代理だった野中広務などは、「これはスゴイ。画期的なデキゴトだ」と妙な感心をもたれ、コトなきを得たのだった。 一方、選挙の際の橋本の「女性人気」は、なんとも凄まじかったらしい。いまの小泉進次郎を遥かに上回るそれだったことが彷彿させる。前出の地元記者の証言の続きである。 「街頭演説をやると、集まるのは大半が女性、それも若い女性が圧倒的だった。まさに“若武者”登場といったフンイキで、握手してもらって腰の抜けた女性もいたし、ホントに失神した女性もいた。女性の聴衆は、話なんて聞いていません。顔を見ているだけという感じがあった。“顔見世興行”だけで、橋本本人としては十分だったというワケです。もっとも、選対本部は冷静で、確かに若い女性はよく集まったが、子細に分析すると選挙権のない未成年の女のコが多く『大丈夫かいな』と、いつも危機感を引きずっていた」 かくのごとくモテモテの橋本だったが、後年の橋本には情報部員とも見られていた中国人女性、料理屋の女将、ホステスなどとの交際があまた伝えられるなどの“艶福家”ぶりも知られていた。これにはウラがあり、前述したように、橋本は東京暮らし、妻の久美子は選挙区の岡山暮らしという「別居生活」が、代議士2期目から政界引退となるまで約40年間も続いていたことが大きかった。 要するに、カミサンが居ぬ間のもっけの幸い、一人ノビノビの橋本の“女遊び”ということだったようだ。モテる男だっただけに、女性もまた放っておかなかったのである。そうした“夫と女性”について、久美子は内心はともかく、あっけらかんと次のように語っていたものだった。 「結婚するときは、この人はモテるだろうなとは思っていましたが、まあモテない人よりモテる人のほうがいいかなとも思ってもいました。主人はじつに女性には優しいし、まあ仕方がないかと。クリントン米大統領のヒラリー夫人に会ったとき、『お互いよく誤解されるわけね』と笑い合ったものです。私たちはお互いを信じ合っているというのか、私は割りに聞き流しちゃうタイプだから」(『週刊朝日』平成10年8月21日・28日合併号=要約=) ここでのクリントンについては、ホワイトハウス内で若き臨時職員女性と“性的関係”を持ったとのハナシを指している。 そんな久美子に対し、橋本が政界引退後、自民党のベテラン議員からは次のような評があったものだった。 「政治家夫人として不向きとされるのは、夫の仕事、同僚議員のこと、ホントかウソか分からないような女性の話に、あれこれ口バシを入れる女性だ。久美子夫人はあらゆる雑音を聞き流し、それがまったくなかった。うるさいマスコミとも上手に付き合い、選挙区もキッチリ守る理想的な政治家夫人の筆頭と言っていいだろう。“橋龍”が首相の座まで駆け上がれたのも、半分以上は久美子夫人あってのことだった」 橋本の異名は、「風切り龍太郎」であった。田中角栄がタイコ判を押したほどのキレ者、怖い者なしで突き進んでいったことから来ている。当然、風当たりも強かったが、これも文字通り柳に風、受け流す度量の持ち主の妻・久美子だったのである。=敬称略=(次号につづく)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材48年余のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『決定版 田中角栄名語録』(セブン&アイ出版)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。
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社会 2018年05月19日 15時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 恋愛と贅沢と資本主義
19世紀から20世紀初頭にかけて、ドイツで2人の偉大な経済学者が活躍した。マックス・ウェーバー(1864〜1920)と、ヴェルナー・ゾンバルト(1863〜1941)だ。ウェーバーは、勤勉と節約が経済成長の源泉だと主張し、ゾンバルトは、『恋愛と贅沢と資本主義』という著書で、恋愛と贅沢が資本主義を発展させたと論じている。 ゾンバルトは、ヒトラーに協力したのではないかという嫌疑をかけられたこともあって、戦後しばらくの間、歴史から名前を消された。 だから、戦後の我々は、ウェーバーの教えに従って勤勉に働き、貯蓄に励んだ。その貯蓄が、銀行を通じて企業に融資され、活発な設備投資と生産能力拡大をもたらしたことが、戦後の経済基盤となった。 その意味で、ウェーバーの経済学は、戦後復興期には実に大きな役割を果たしたと言える。しかし、いまはどうだろう。資金不足で設備投資がままならず、生産能力が足りないということは、まったくない。モノもカネも溢れかえっている。足りないのは、供給ではなく、需要の方だ。 ゾンバルトは、フランス革命前、アンシャン・レジーム時代の貴族の家計簿を徹底分析して、重大な発見をする。それは、ガラス製の鏡や絹織物やレースなど、それまでの欧州には存在しなかった商品は、貴族が高等娼婦を喜ばすために莫大な私財を投じて開発させたという事実だ。 そうした商品が、その後、大量生産されて、資本主義が発展したというのだ。ゾンバルトは、経済を需要側から見ており、現代の経済状況に適した経済学だと、私は考えてきた。 実は最近、『恋愛と贅沢と資本主義』の漫画版が発行された。私が原書を読んだのは10年以上前だが、漫画は原書の10分の1くらいを切り取って、ストーリーを描いている。ただし、その分、論点が浮かび上がって、大きな発見があった。それは、アンシャン・レジーム期のフランス社会が、いまの日本に酷似しているということだ。 第一は、当時のフランスでは、金持ちは税金をいっさい支払わず、すべて低所得の庶民が負担をしていたという事実だ。いまの日本は、そこまでひどくはないが、税・社会保険負担率は、年収100億円の富裕層のほうが、年収300万円のサラリーマンより低いというのが現実になっている。 第二は、都市の形成だ。貴族の贅沢を支えるため、アンシャン・レジーム時代に都市に住む庶民が増えて、都市化が進んだ。いまの日本を見ても、まったく同じ理由で東京一極集中が起きている。 第三は、貴族階級の恋愛三昧だ。いまの新富裕層も、考えていることは恋愛と贅沢ばかりだ。もちろん現代に娼婦は存在しないが、実質的に同じことをする女性が、富裕層に群がっているのだ。 第四は、貴族と庶民の格差がどんどん拡大していったことだ。ただ、18世紀のフランスでは、あまりに浮世離れした貴族の贅沢が庶民の怒りを爆発させ、その後のフランス革命によって、アンシャン・レジーム時代は、終わりを告げた。 いまの日本人が、当時のフランス市民と同じような怒りを共有できるのか、私はそこが一番心配なのだ。
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社会 2018年05月18日 22時40分
罪の意識なし?「ホストには使ってない」詐欺罪で捕まった元美人女医がテレビ出演
5月17日に放送された『直撃!シンソウ坂上』(フジテレビ系)に、不正に診療報酬を受け取ったとして詐欺罪に問われ、2016年に懲役3年執行猶予4年の有罪判決を受けた元女医の脇坂英理子氏が出演。犯罪に手を染めた経緯を語った。 脇坂氏は、知人に紹介された経営コンサルタントに不正請求することを暗にそそのかされ、犯罪に手を染めてしまったと告白。しかし、自身もその経営コンサルタントに「騙された」と、どこか被害者意識を持った発言を繰り返す脇坂氏に坂上は「あなた、騙されたと言ってるけど共犯じゃないですか?」「甘いよね」と指摘した。 また、不正受給で得たお金をホストに費やしていたと報道されたことに関して脇坂氏は否定。「一番言いたいんですけど、(ホストに費やしたことは)一切ないです」と語気を強めた。 だが、坂上は「ホストには使ってないって屁理屈を言ってるけど、金額の問題じゃないんだよ。あんたムチャクチャなんだよ」と断罪。罪を犯した意識の低さに坂上は終始呆れた様子だった。 ただ、番組終盤に母親からの手紙が読み上げられると脇坂氏は思わず涙を流し始めた。「親の愛情って凄いんだな。甘えていた」と話し、改心すると誓った。 だが、本当に改心したかはかなり怪しい。 脇坂氏は同番組をリアルタイムで視聴していたのか、自身のツイッターで「坂上忍さんめっちゃ怒っとるやん」と第三者的な視点で感想を投稿。すると、視聴者から「もう一回捕まれ」「やっぱり反省してない」など、否定的なリプライ(返信)が多く寄せられた。 しかし、脇坂氏は周囲の意見を意に介さなかったよう。「1回犯した罪で世間は信じてくれなくなるのです。ご自身で『わかってる、もうしない』といっても無理です。医者に信頼は絶対ですよ。もう二度と医者に戻らないでください。」という辛辣な投稿に対しても、「自分=世間って何様?!w医師にも診療拒否の権利あるってご存知かしら?あなたに信じていただかなくても結構でーす♡医師国家試験受けられるレベルに立ってから物申してきて。さいなら。」と挑発的に返信し、反響を呼んでいる。 番組中、反省の弁を述べていた脇坂氏だが、これらのツイートを見ていると「反省なし」と思われても仕方ない。
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社会 2018年05月18日 16時00分
トランプ大統領が金正恩委員長に突きつける完全武装解除
史上初の米朝首脳会談が6月12日、シンガポールで開かれる。北朝鮮が人質にしていた韓国系米国人3人は解放されたが、米朝の事前交渉で核廃棄を巡る双方の溝が埋まったのかは、はっきりしない。北の核問題が対話で解決するのか、あるいは軍事的な衝突につながるのか――。会談はその分かれ道となる。 「核廃棄は『リビア方式』より一歩前進した『南アフリカ方式』でやる」 5月4日、ホワイトハウス国家安保会議のポッティンジャー・アジア上級部長は、韓国の文正仁統一外交安保特別補佐官らにこう伝えたという。同部長は北朝鮮から“死に神”と恐れられるボルトン米大統領補佐官の直属の部下であることから、「南ア方式」はトランプ政権の意思と見ていい。 「実は南アは6個のウラン濃縮型核兵器を保有していましたが、米国の要求を飲み、核全廃を断行した唯一の国です。しかもディール(取引)なし。5月9日に北朝鮮を再訪問したポンペオ米国務長官は、核・ミサイルだけでなく、北朝鮮が行った6回にわたる核実験や、寧辺核関連施設に関するデータの廃棄、さらに核開発に携わった最大で数千人ともされる技術者を海外に移住させるよう求めています。もう使えない豊渓里の核実験場を廃棄したところで、データや人員を温存すればいつでも再開できますからね。さらに北側が公式には保有を否定している生物化学兵器などすべての大量破壊兵器の廃棄も求めているし、長距離弾道ミサイルと同等の能力を持つ人工衛星を搭載した宇宙ロケットの発射も認めないと主張するなど、完全な武装解除の要求を伝えたものと思われます。しかも国内の人権問題や拉致問題の解決まで、最大限の圧力を続ける姿勢を崩していません。これに対して北側は、データの廃棄には曖昧な態度を取る一方、技術者の移住には難色を示しているようです」(北朝鮮ウオッチャー) 南ア方式は「完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄」(CVID)を実施した後、制裁解除、経済支援を実施するというリビア方式とは異なり、CVID後のディールはなく、すべて自主的に廃棄を行わなければならない。この要求に対して正恩委員長は二度にわたり、中国の習近平国家主席と会談し、非核化について「段階的、同時進行」で実施し「行動対行動」の原則を確認し合った。この相違が米朝間に横たわる溝だ。 「北朝鮮が核保有に固執した場合、トランプ政権が軍事力行使に踏み切る可能性も残されています。現に米軍は最近、『ブラッディ・ノーズ(鼻血)』と呼ばれる対北軍事作戦に代わる新たな作戦を立案したとの情報もあります。沖縄では、今年に入って米軍航空機の騒音被害がほとんどない地域でも早朝から爆音が鳴り響いていますし、深夜までオスプレイの騒音が聞こえています。米軍は戦争に備えて訓練を反復しているのです」(軍事ジャーナリスト) 北朝鮮の核廃棄が厄介なのはリビアや南アとは違い、実戦配備がスタンバイ状態にあることだ。トランプ大統領が北に自発的な非核化を要求すれば、北側から抵抗が出るのは当然だろう。 「仮に非核化に応じたとしても、北には約束を破ってきた前科があります。韓国1回、米国2回、6カ国協議も2回の計5回も非核化の約束を破っています。それにもかかわらず韓国人の64%が『金正恩は信頼できる』(韓国の調査会社リアルメーター)と信じ切っている。一方、少数派は《一度騙されたらミス、二度騙されたらバカだが、三度騙されたら共犯である》と、文在寅大統領の“浮かれすぎ”にあきれ返っています。そもそも正恩委員長の発言をつぶさに検証すると、武装解除どころか非核化の意思などサラサラありません。現に4月20日に朝鮮労働党は、核武装を宣言した上、米国にそれを認めろと要求しているくらいですから」(国際ジャーナリスト) トランプ政権がイラン核合意からの脱退を発表したことからも、北朝鮮に譲歩することは考えにくい。ところが、ここへきて“金正恩いい人論”が台頭し、トランプ政権の強硬路線の推進に障害となりつつある。 「正恩委員長の頼みの綱は国際世論です。『平和を求める南北朝鮮』VS『平和を望む南北に強硬策で臨む米国』とのイメージが出来上がれば、米国が軍事攻撃を選択できないと考えているのです。今年11月に行われる米中間選挙まで時間稼ぎをしながら国際世論を盛り上げる。そうすれば、息子の方のブッシュ政権が当初、北に厳しい態度を取りながら、'06年11月の中間選挙で与党の共和党が惨敗すると、“実績作り”のために北朝鮮のテロ国家指定を解除してまで交渉のテーブルに着かせようとしたようなことが起こると計算しているフシさえある。12年前の成功体験を狙っているわけです」(同) 米朝会談が決裂すれば、韓国人の多くは「正恩は悪くない。問題児はトランプだ」と言い出すだろう。トランプ嫌いの多い欧州でも「米国が悪い」との声が起きるに違いない。 こうした国際世論を背景に、北朝鮮の本音は露骨になりつつある。同国外務省は5月12日、豊渓里の核実験場を廃棄する式典を5月23〜25日の間に行うと発表したが、日本のみ取材を拒否、さらには「拉致は解決済み」とまで言い出した。 中国を“弾よけ”にしながら悪あがきを図る北朝鮮は、油断も隙もあったものではないのだ。
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社会 2018年05月18日 15時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第270回 新幹線の夢
2011年3月11日、東日本大震災発生。その翌日の3月12日に、九州新幹線が全線開通した。鹿児島中央から博多までが新幹線で結ばれたのである。もっとも時期が時期だけに、九州新幹線の全線開通は「ひっそり」と執り行われ、用意されていたテレビCMも放映されることはなかった。 全国的に放映される予定だったテレビCMが、インターネットのYouTubeに3月9日時点でアップされた。放映こそされなかったものの、JR九州の「祝! 九州 九州新幹線全線開CM」はネット上で大ブームを引き起こす。 CMの内容は、マイア・ヒラサワの「Boom!」が流れる中、新幹線が走る。鹿児島中央から、川内、出水、新水俣、新八代、熊本、新玉名、新大牟田、筑後船小屋、久留米、新鳥栖を経由して、博多まで。その途上、田畑で、道路で、マンションのバルコニーで、屋上で、学校のグラウンドで、河原で、野原で、運河で、プールで、橋の上で、あるいは橋の下で、城で、土手で、そして駅のホームで一般の日本国民が手を振り、叫び、踊り、「祝」と書いたのぼりを立て、新幹線が通過するのを祝福するというシンプルな構成だ。 このCMが、日本国民の心をわしづかみにした。特に、東日本大震災により日本全体がショックを受けた時期であるため、「九州がつながる」という単純なメッセージを見事に描いた九州新幹線のCMが、国民の心を強く打ったのである。「祝! 九州 九州新幹線全線開CM」は今でもYouTubeで見ることができる。視聴回数は650万回を越えている。 なぜ、九州新幹線のCMが、あそこまでわれわれの心を揺り動かしたのか。日本国民は、孤立しているわけではない。バラバラに暮らしていたとしても、実際にはつながっている。そして、新幹線が分散して暮らす国民を物理的にもつなげる、あるいは「つなげた」という明瞭な事実を提示したためとしか思えない。 日本国は、震災大国だ。地震以外にも台風、豪雨、豪風、水害、土砂災害、火山噴火、豪雪など、さまざまな自然災害が襲い掛かってくる世界屈指の災害大国でもある。自然災害がいつ、どこで起きるか分からない以上、われわれ日本国民は可能な限り分散して暮らす必要がある。そして、いざ災害が発生した際には、互いに助け合うのだ。そのためには、国民が「つながる」ナショナリズム(国民意識)が欠かせない。 もっとも、こと経済成長のみを考えると、人口は密集していた方がよい。特定地域の人口が多ければ多いほど、サービス業が興隆する。 経済成長のためには、人口集中が望ましい。防災面からは、国民は分散して暮らさなければならない。人口の集中と分散。2つを両立させることはできるだろうか。できるのだ。新幹線ネットワークによって。 新幹線ネットワークを構築することにより、日本国民は集中と分散を同時達成できる。厳密には、新幹線で地域同士が短時間に結ばれることにより、離れて暮らしているにも関わらず、互いを「市場」と化し、経済成長ができるのだ。 '15年3月14日、北陸新幹線が金沢まで開通した。北陸新幹線が金沢など、沿線の地域に与えた影響はすさまじい限りだった。日本政策投資銀行の試算によると、北陸新幹線延伸が金沢に与える影響は、経済効果が125憶円、訪問客数32万人の増加と見込まれていた。ところが、現実には経済効果が678憶円、訪問客数は何と258万人も増えた。 なぜ、北陸新幹線が金沢にあそこまでのポジティブな影響を与えたのか。簡単である。新幹線で「東京駅」と乗り換えなしの最短2時間半で結ばれたためだ。東京駅を中心とする「東京圏」は、人口3700万人を誇る、地球上で最大のメガロポリスである。人口規模で世界最大の市場に、北陸新幹線延伸により、金沢のサービス業の「商圏」が届いたのである。 さて、「北海道新幹線」の札幌駅の位置が、ようやく決まったとの報道が流れた。北海道新幹線の札幌延伸は、'30年度開業予定で、ルートは新函館北斗から長万部、倶知安、小樽を経て札幌に至る北回りだ。室蘭、苫小牧経由の南回りルートも「基本計画」はあるが、整備計画化されていない。理由は、有珠山があるため、噴火の状況が懸念されているためだ。 とはいえ、札幌-千歳間、あるいは札幌-千歳-苫小牧間であれば、有珠山は関係ない。特に新千歳空港まで北海道新幹線が延伸されると、効果は大きい。現状、北海道の玄関口である新千歳空港駅から札幌駅まで、列車で50分強はかかってしまう。札幌と千歳間は距離が約40キロメートルであるため、新幹線が開通すれば15分(!)程度に短縮される。 しかも、航空便で新千歳空港に降り立ち、新幹線に乗れば、乗り換えなしで札幌、小樽、倶知安に行ける。倶知安まで、現在は車で2時間以上かかるが、新幹線なら「35分」となる。そして、倶知安まで行けば、ニセコは目の前だ。 「何を夢みたいなことを」 と、思われたかも知れないが、過去の日本の先人たちがこの種の「夢」を抱き、投資を蓄積してくれたからこそ、現在のわれわれの生活があるのだ。 4月18日、九州新幹線長崎ルート「新鳥栖-武雄温泉」の整備について、JR九州の青柳俊彦社長が与党検討委員会に出席。「全線フル規格での整備を」と要請した。フル規格で新幹線を建設した場合、長崎-博多間が約51分に短縮される。佐賀-博多間が約20分(!)。まさに、世界が変わる。 この種の「夢」を忘れ、多くの日本国民が将来のための投資を疎かにしていては、未来の日本の繁栄はない。「夢」を取り戻し「必要なインフラには投資する」という、当たり前の姿勢を取り戻す必要があると思うのだ。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。