社会
-
社会 2018年05月27日 22時20分
働き方改革に6割が不満 原因は経営者の考えの甘さ?
5月23日に放送された『クローズアップ現代+』(NHK系)では、多くの企業の取材をしてきた元新聞記者で小説家の真山仁氏が出演。働き方改革の現状を語った。 まず、真山氏は「働き方改革というより働かせ方改革。経営者が働いている人に『こういう風に働きなさい。そうすると、効率上がりますよ。良いことありますよ』というムードになっている」とトップダウン型で推し進められているケースが多いと指摘。 続けて、「主人公である働いている人達の気持ちを測りきれていないのが心配」と従業員は自主性が発揮できず、やらされてる感が強いため、一過性のブームで終わってしまうと口にする。 また、真山氏は「そもそも働き方改革で一番気にしなければいけないのが、将来の不安が高くなっていること。『いつまで正社員でいれるんだ』『定年まで自分はいれるのか』…今までは家族主義で全部OKだったんですけど、そこに不安がある」と残業時間の削減や業務の効率化ばかりが推し進められており、従業員の多くが抱えている将来への不安を、働き方改革が満たしていないと語った。 リクルートワークス研究所が2017年に行った、働き方改革への満足度による調査では「不満」と「やや不満」が合わせて56.3%という結果に。およそ6割の人が不満を感じているようだ。 不満の主な理由は「仕事が終わらず、家に仕事を持ち帰ることが増えた」「残業できなくなったため、残業代が減った」などが挙げられている。業務量を変えず、人手を増やさず、報酬制度の見直しを検討しないまま、真っ先に「残業NG」を掲げている企業が多いことが、不満を大きく引き起こしているのではないだろうか。 「働き方改革=残業時間の削減」という認識をしている経営者は多いがそうではない。真山氏も指摘したように、経営者主導型の企業が未だに多いが、「なにが従業員にとって大切か」を第一に考え、自社に適した働き方改革を検討してほしい。
-
社会 2018年05月27日 18時00分
セクハラ、パワハラを受けた時の対処法は知っていますか?
就職支援サービス「ハタラクティブ」を運営するレバレジーズ株式会社は、元正社員、派遣社員、契約社員で18歳〜30歳男女281名のサービス登録者を対象にセクハラ、パワハラに関するアンケートを実施。その結果、セクハラやパワハラを受けた時の対処法を知っている人が少ないことがわかった。 アンケート内の「パワハラやセクハラを受けた時の対処法」という設問で、「ボイスレコーダーで録音する」が最も多く24.6%。次いで、「いつ、どのような行為を受けているとメモを取る」が21.4%、「人事や本部に改善を求める」が19.4%、「仕事を辞める」が16.4%、「社外の機関に報告する」が14.0%という結果に。 最多の「ボイスレコーダーで録音する」でさえ、4人に1人しか回答者がいないことからもわかるように、まだまだパワハラやセクハラの対処法を知っている人は多くない。 今後は、企業だけでなく大学や高校、ハローワークなどで、ハラスメント被害を減らすため、対処法を積極的にレクチャーする必要がありそうだ。 ただ、今年3月に放送された「にけつッ!!」(日本テレビ系)で千原ジュニアが、吉本興業の新入社員が上司に「オマエ」と呼ばれたことを理由に退職したエピソードを披露。その新入社員は「“オマエ”なんて自分の親にも言われたことないです」「“オマエ”などと呼ぶような職場では僕は働くことができません」と話していたようだ。 もちろん、多くの若者がこの新入社員のようなタイプではない。だが、「髪切ったね」と言っただけでセクハラを受けたと感じる女性社員や、「上司からのSNSの友達申請はパワハラだ」と訴える人も出てきており、部下とのコミュニケーションに頭を抱えている上司は少なくないだろう。 部下側もハラスメント削減のため、積極的に上司とコミュニケーションを取り、何がハラスメントになるのかの、キチンとした話し合いが必要だろう。
-
社会 2018年05月26日 22時00分
【放送事故伝説】兵庫でテレビ5局の画面が突然消えた!その意外な犯人とは
これは昭和55年(1980年)に発生した世にも珍しい放送事故である。7月27日午前10時50分頃、兵庫県の神戸市および明石市、高砂市などで、民間テレビ放送局5局(毎日放送、朝日放送、サンテレビなど)の画像が突然消え、住民から各民放局へクレームが入るという事件が発生した。この日は停電などはなく、民放1局ならまだしも、NHK以外の5局すべてが放送停止になることは前代未聞であり、兵庫県内では「放送テロか?」と一時騒動になった。「これは関西民放局全体のピンチである!」と判断した各局は原因究明に奔走。すると、淡路市(当時、兵庫県津名郡北淡町)にある民放テレビ5局電波中継所にある送電線の故障であることが判明した。さらに、関西電力がこの送電線を確認したところ、とんでもない化け物が送電線の近くで死亡しているのが発見された。 その化け物とは、体長1mは越すと思われる大ヘビで、大ヘビが送電線に絡みつきショートを起こしており漏電。この影響で兵庫県内の民放テレビがすべて放送できなくなってしまったのだ。関西電力の局員はすぐにヘビを取り除き、放送停止から約2時間後の午後1時頃ようやく復旧できたという。 淡路市の山には、現在もヤマカガシやニホンマムシなどのヘビが多く生息しており、どうやらその中でも特に巨大な一体が偶然、送電線へ迷い込み電気によるショックで死亡したものらしい。 この事件を知らせる当時の新聞(読売新聞朝刊)は、「ヘビTV画像を飲む 感電死30万戸イライラ」という見出しで大きく報道している。 まさかの大規模な放送事故が、大ヘビによるものは……この事実に関係者は思わずヘビのように脱力してしまったという。 なお、余談だが、兵庫県は2007年11月頃にも大規模な放送事故が発生しており、兵庫県を中心に展開しているCATV局「J:COM 神戸・三木」の回線が突然切れ、J:COMと契約していた神戸市の利用者全員が約8時間、視聴が困難になるという事態が発生した。なお、こちらの犯人はヘビではなく、人間の仕業で同県西区にある基幹ケーブルが切断された為と判明している。文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)
-
-
社会 2018年05月25日 22時40分
10代女性の尻をわしづかみし、スマホで撮影 警察官による類似犯罪多発に怒りの声
また、エロ警察官か。そう叫びたくなるような事件が、大阪府で発生した。 事件を起こしたのは、平野署地域課に勤務する35歳の巡査長。11日正午ごろ、府内の道を歩いていた10代女性の尻をわしづかみしたうえ、スカートの中にスマートフォンを入れたのだ。 詳細は不明だが、驚く女性をよそに、自動車で逃げた模様。防犯カメラにその様子とナンバーが映り込んでいたことから関与が浮上し、逮捕となった。なお、当日巡査長は休みだったという。 警察の取り調べに対し、巡査長は「スマホは入れたがわしづかみにするような行為はしていない」と不可解な論理で一部容疑を否認。あくまでも、「盗撮のみ」を実行したと主張している。この件については、今後女性の証言や目撃者への聞き込みなどで、事実が明らかになっていくものと思われる。 それにしても多い警察官のエロ事件。大阪府警だけでも、昨年9月に26歳の巡査長が路上で女性の胸を触る事件が発生。さらに、今年2月にも、33歳の巡査長が大阪府の商業施設で女性の衣服内にスマホを入れたとして逮捕されている。 また、千葉県では、今年2月に機動隊所属の24歳の巡査が自転車に乗り女性を転倒させ、体を触るなどする事件も。これ以外にも、エロ警察官による事件が多発しているが、歯止めが掛けられていない。 警察官は市民を守る立場であり、そのような存在が女性を傷つけるのは、言語道断。ほとんどの警察官は真面目に勤務しているのだろうが、このような事件が多発している現状は、信頼の失墜を招いていると言わざるを得ない。再発防止策を早急に講じてほしい。
-
社会 2018年05月25日 08時00分
生活保護費30兆円超予測で見えてきた国家財政破綻
厚生労働省の2017年度資料によると、生活保護受給者は現在164万世帯、214万人で、総額3.8兆円が支出されているが、将来的には30兆円に達するという試算まで登場した。なぜ10倍にも膨張するのか。 「就職氷河期世代が高齢者に突入すると、その7割に匹敵する人々が生活保護に依存せざるを得ないと考えられるからです。30兆円の中には、生活保護費の約半分を占める医療扶助や住宅扶助などを除外しているため、これでも少ないくらいです。社会保障費は1990年度の決算数字では、わずか11兆5000億円しかなかったことを考えると、10年間で10兆円ずつ増えている勘定になりますが、2038年には、社会保障関係費だけで50兆円を超えると予想されている。人口減少などで税収は伸びませんが、社会保障関係費はどんどん膨らんでいくのです。これに就職氷河期世代の生活保護受給が加われば、間違いなく財政は破綻するでしょうね」(経済アナリスト) 今のままでは、あと10年ほどで労働力人口が500万人減少すると予想されている。当然、人口減少で直面するのが、税収減と社会保障費の負担増というわけだ。 '18年度の社会保障関係費は33兆円の予算だが、将来的にどこまで膨れ上がるのか想像もつかない。何か打つ手はあるのだろうか。 「出生率を飛躍的に増やすか、それができなければ、ロボットやAI(人工知能)による生産性向上で人口減少に勝つか、単純労働者も含めて海外からの“移民”を受け入れるかの3つしかないでしょう」(同) ワーキングプアの存在が明らかになったのは、'06年のこと。その後「格差社会」という言葉も生まれたが、現在は空前の雇用情勢の改善ぶりを背景に、あたかも日本からこの問題が消えてしまったかのように見える。 巨大なリスクは深く静かに潜航したまま、浮上の機会をうかがっているだけなのだが…。
-
-
社会 2018年05月24日 15時00分
日野自動車がVWと提携で混迷 商用EVを巡る群雄割拠
トヨタ自動車グループの商用車部門の日野自動車が、4月下旬、独フォルクスワーゲン(VW)との提携に向け本格的に動き始め、これが国内外の車メーカーに波紋を投げかけている。 「日野はトヨタの了解は得ているとしているが、実際のところトヨタは手放しで歓迎しているわけではないようだ。それでもライバルとの提携に一応目をつぶったのは、商用車メーカーが抱える複雑な事情と苦悩を、日野にしか打破できないと踏んだからでしょう」(業界関係者) その事情と苦悩は、日野のようなトラックやバスを市場に出すメーカー全体がいま、直面する問題だ。 「流通業界が近い将来、今以上に深刻な人手不足とドライバーの高齢化が進むと予測し、対策に躍起になっている。これはイコール、商用車業界にも直結します。つまり、ドライバー不足でも対応できる自動運転化やEV(電気自動車)化に早急に取り組まなければ、企業自体の存続が危ぶまれるということ。加えて、ヨーロッパ各国や中国では、国内を走る車のEV化に向け大きく舵を切る宣言をしており、無人トラックによる高速道路走行などの実験に力を入れている。その技術にノビシロがある日野は、VWのトラック&バス部門と提携することによって、生き残りをかけようとしているのです」(同) 日野は、EV分野における小型バスなどで市場進出を試みているが、電動化、自動化で他の国内商用車メーカーにかなり先行を許している。例えば、三菱ふそうトラック・バスは昨年、『eキャンター』でEVトラックの量産化に成功し、ヤマト運輸やセブン-イレブン・ジャパンが導入の動きに出ている。また、いすゞ自動車でも昨年、小型EVトラックの『エルフ』を発表。まずはモニターで市場投入をする。 日野も巻き返しを図りたい状況の中、格好の提携相手として浮上したのがVWだった。 「VWは、'15年にVWトラック&バスを独立させるなどして商用車に力を入れ始め、'17年の世界新車販売台数は前年比12%増、20万台を突破する勢いを見せている。それでも、世界第1位の独ダイムラーには大きく水を開けられ5位の状態。電動化や自動運転技術でもダイムラーに負けていることから、提携先を模索していた。そんな折、VWが子会社化したスウェーデンのスカニアと過去に縁があった日野が模索していることを知り、にわかに提携話が進み始めたのです」(業界紙記者) もっとも、国内商用車メーカーの外国企業との提携は、今回の日野が初めてではない。前出の三菱ふそうトラック・バスは、'03年に三菱自動車から分社化し、早い段階でダイムラー傘下に入っており、UDトラックス(旧日産ディーゼル工業)は'09年、ボルボトラック(スウェーデン)の傘下に入っている。しかし、これらの技術提携によって進むEV、自動運転化の今後の課題として残されているのは、何といってもバッテリーの強化だ。 「世界的に見ても、急速充電設備は十分に整っていない。これをバッテリーでカバーするとなると、現在の技術ではかなりの重量となり、積載量が減ってしまう。小型化に合わせ、1回の充電でガソリン車並みの走行距離が可能なバッテリー開発が求められているのです」(技術開発関係者) 例えばダイムラーは、イスラエルのストアドットというベンチャー企業への出資を決め、バッテリー開発に力を入れている。一方で日野も、トヨタやデンソー、マツダが共同出資で昨年設立したEV技術開発の新会社、EVシー・エー・スピリットに参加する。 こうした動きと並行して、世界のEV車の最先端を走る米テスラモーターズが同社初の商用車となる大型トラックを、'19年に実用化すると表明した。 「テスラのトラックは、予定では航続距離が500〜800㎞、しかも急速充電も可能という。ただ、このところテスラは生産問題や自動運転車の事故などでトラブル続きだけに、公表どおり開発が進むかは不透明。それでも他の商用車メーカーにとっては非常に脅威であり、本格参入に成功すれば商用車業界は激変を遂げるでしょう」(同) そのテスラやトヨタをも脅かす存在として世界の自動車メーカーから注目を集めているのが、中国のEVメーカー最大手、比亜迪(BYD)だ。 「BYDも、商用車の事業拡大を狙っている。まさに乗用車も商用車も、EVを軸に今後3年間で、これまでの自動車メーカーの勢力地図が大きく塗り替わる可能性が高い。そうしたことから、日野のように親会社も兄弟会社も度外視した、生き残るための連携、合従連衡が今後、さらに活発化すると見られています」 そこから抜け出し、商用EVを制するのはどこか。
-
社会 2018年05月24日 12時40分
議論が続く日大アメフト部“悪質タックル”問題 その影響は球界にも?
22日に加害選手による会見、また23日には監督・コーチの会見が行われるなど、その着地点は一向に見えてこない日本大学アメリカンフットボール部“悪質タックル”問題。日に日に事が大きくなっているこの問題だが、その影響はプロ野球の世界にも広がり始めているようだ。 加害選手による会見が行われた22日に、栃木・宇都宮を舞台に行われた巨人対広島の一戦。スコア8‐0で巨人が勝利を収めたこの試合では、完封勝利を飾った山口俊がヒーローインタビューに臨んでいたのだが、この場面に際しネット上からは、「あれ?日大の広告消えてない?」「騒動の影響なのか日大の広告が消滅してる」「日大の広告抹消されとるやん」といった声が挙がっていた。 実際にヒーローインタビューの映像を確認してみると、確かに背後のボードからは日大の広告が取り除かれていた。また、巨人の公式サイトを見ると、これまで日本電産と共にその名を連ねていた“オフィシャルスポンサー”の項目にも、日大の名前は無かった。 「本学が巨人軍のスポンサーとなることは、若い世代をはじめ、多くのみなさんに夢や希望を与える事業だと確信しております」という公式サイト上での発表の元、日大が巨人のオフィシャルスポンサーとなったのは2016年シーズンのこと。そこから日大は巨人主催試合において「日本大学デー」を共催するなど、学校名のアピールに繋がるイベントを打ち出してきた。 ただ、前述の問題により世間から厳しい目を向けられている現状では、こうした広告も自粛せざるをえなかったようだ。実際に、一夜明けた23日には“日大が巨人に対し広告の取り下げを申し入れた”ということが、複数メディアによって相次いで報道されている。 巨人だけでなく、横浜スタジアム(DeNA本拠地)などにも広告を打ち出している日大。騒動が今後も長引けば、これらの広告も“お蔵入り”となってしまうのかもしれない。文 / 柴田雅人
-
社会 2018年05月24日 08時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第271回 6月の骨太の方針閣議決定
安倍政権の経済政策は、国民を豊かにする「経世済民」の政策がほとんどない(あるいは“全く”ない)。基本的には、グローバリズム的な国民を貧困化させる政策ばかりを推進している。 もっとも、日銀の量的緩和政策“だけ”は評価できる。日本銀行は2013年3月以降、量的緩和政策でひたすら国債を購入。日本円(主に日銀当座預金)を発行していった。結果的に、政府が実質的に返済しなければならない負債は、劇的に減少した。左図(※本誌参照)の通り、日本政府に返済義務がある国債(日銀以外が保有する国債、財投債、国庫短期証券)は、'12年9月にピークアウト。その後は、日銀の量的緩和(国債買取)の影響で、返済義務がある負債は'17年末までに195兆円も減った。 逆に、日銀が保有する国債は'12年9月から'17年末にかけ、何と344兆円も激増。日本銀行は、日本政府の子会社である。日本銀行の株式の55%を、日本政府が保有している。親会社と子会社間のおカネの貸し借りは、連結決算で「相殺」となる。もちろん利払いも相殺となるため、不要だ。 安倍総理大臣は日本の歴史上、最も「政府の負債を実質的に減らした」総理大臣なのである。無論、資本主義の経済である以上、負債は「積み上がっていく」のが本道ではある。とはいえ、「国の借金で破綻する!」系の財政破綻論者が跋扈するわが国において、日銀が国債を買い取れば、政府の負債は実質的に消える。しかも、経済がデフレ化しているため、「ハイパーインフレーション(※インフレ率年率1万3000%)」とやらも発生しないことを証明したのは評価できる。 日銀が保有する膨大な国債の「処理」はどうするのか? と、疑問を覚えた読者がいるかもしれない。無論、永遠に(地球滅亡の日まで)借り換えを続けても構わないし、政府が「無期限無利子国債」を発行し、日銀が保有する国債と交換しても構わない。要するに、日銀が保有する国債など「どうにでもなる」ため、「返済や利払いが必要な借金」として認識する必要はないのである。 わが国に、財政問題など存在しない。それを証明したのが、経済政策面における“唯一”の安倍政権の成果である。政権自ら「日本に財政問題はない」ことを証明したにも関わらず、安倍政権は相変わらずプライマリーバランス(基礎的財政収支、以下PB)黒字化という、国民を貧困化させる緊縮財政路線を止めない。 '18年6月、安倍政権は今後5年間の財政運営の指標ともなる「骨太の方針2018」を閣議決定する。骨太の方針2018に、PB黒字化目標が残るか、あるいは何らかの財政政策の「枠」を設定された場合、わが国の「小国化」「衰退途上国化」は決定的になってしまう。 '18年5月8日、政府が骨太の方針2018に「財政赤字対GDP比率3%」と、枠を設定するという報道が流れた。財政赤字対GDP比率3%という「枠」は、別に目新しくはない。 '97年12月5日、日本の国会は「財政構造改革の推進に関する特別措置法(以下、財政構造改革法)」を可決。法律に基づく強制的な緊縮財政が始まり、日本経済はデフレ化した。 財政構造改革法の中に、 「財政赤字対GDP比を、毎年3%未満にする(第四条)」 という条項があったのだ。 なぜ3%なのか。財政目標を「財政赤字対GDP比を3%以内とする」とは、欧州のマーストリヒト条約と同じである。EU加盟国に財政赤字対GDP比3%以内という目標を強いるマーストリヒト条約が発効したのは、'93年。それに対し、日本の「緊縮財政法」たる財政構造改革法の成立は、1997年。要するに、日本の緊縮財政派は、政府に歳出削減を強要する財政構造改革法策定時に、マーストリヒト条約に「倣い」、財政赤字対GDP比3%以内という目標を財政構造改革法に書き込んだ。 財政構造改革法により、わが国は社会保障費を抑制し、公共投資、教育費、防衛費、食料安全保障費、科学技術振興費、エネルギー対策費、中小企業対策費、各種人件費、地方の補助金と、国家の基幹に関わる分野でことごとく「予算削減」が続く事態になってしまった。結果、日本経済のデフレ化と国家の小国化、衰退途上国化が始まったのである。 当たり前だが、財政赤字の対GDP比率は、「環境」によって適正値が変わる。経済状況によっては、財政赤字は対GDP3%よりも絞るべき時期もある。あるいは逆に、10%に拡大しなければならない時期もあるのだ。 PB黒字化だろうが、財政赤字対GDP比3%だろうが、国家の予算に枠をはめ、「国民の繁栄のために必須の支出」よりも「財政均衡」を優先する。過去20年の日本を苦しめてきた緊縮路線の継続であることに変わりはない。 これは推測だが、財務省はPB黒字化に対する批判が高まったことを受け、新たな「財政赤字対GDP比率3%」という縛りを提示し、批判をかわしつつ、緊縮財政を推進しようとしているのではないか。 そもそも、マーストリヒト条約の「対GDP比3%」に、何ら根拠があるわけではない。日本経済が絶好調で、景気対策が不要で、税金が増大している時期であれば、財政赤字は対GDP比3%でも「大きすぎる」ことになる。逆に、現在のようにデフレが継続し、国民が貧困化している状況では、3%だろうが何だろうが、一切の「財政的な枠」は正当化されない。 6月に閣議決定される骨太の方針において、PB黒字化や財政赤字対GDP比3%といった「財政の枠」を排除しない限り、わが国に未来はない。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
-
社会 2018年05月23日 19時00分
“ブラック部活”とは? 危険タックル騒動で見直したい、部活動の在り方
5月23日に放送された『ノンストップ!』(フジテレビ系)に、スポーツコメンテーターの秦英之氏が出演。日大アメリカンフットボール部の部員が危険タックルを見舞う事態になった原因を推測した。 バナナマン・設楽統は「何でこういうふうになっちゃったのかな…」と今回の経緯を秦氏に聞いた。 秦氏は「勝つために暴走することはあるんですね」と“勝たなければいけない”という強迫観念が原因で、冷静な判断を欠くことはあると口にした。「大学の現場において、これからの世代を扱う中で、そういった線引きをしっかり教育することは大事」と勝負を度外視した指導を怠ったことに問題があると指摘した。 また、秦氏は「監督絶対主義を掲げるチームは(よく)ある」としながらも、「本当の意味での指導者は、最終的に“個”を尊重する。今回みたいに具体的な指示をやれっていうのは実は少ない」と指摘。続けて「選手に考えさせることを名監督はします。そこは取り違えていたんじゃないかな」と元監督の内田正人氏の指導方針を批判した。 日本では現在、指導者が暴言を吐き、部員に休みを与えない“ブラック部活”が問題になっている。『クローズアップ現代+』(NHK系)で、名古屋大学大学院の内田良准教授は「厳しいものを乗り越えた人たちが、『私たちは厳しいのを乗り越えたんだ』と言う。確かに、それで成長できた人たちもたくさんいるんです」と厳しい指導方針を持つ部活が過去には多く存在したと示唆した。 しかし内田准教授は「今の時代、そういった暴力、暴言で乗り越えるんではなくて、ちゃんと言葉を交わし合って、そこで意見交換をして、そして伸びていく。そういった『暴力、暴言に頼らない成長』が大事」と強調。時代の変化に伴い、指導者が部員に一方的に指導し続けることは時代遅れだと主張した。 日大アメフト部はまさに、ブラック部活の典型と言っていいだろう。今回の危険タックル問題は、これまで見落とされていた部活動の在り方を見直すきっかけを与えてくれたのかもしれない。
-
-
社会 2018年05月23日 15時00分
ソニーを救うか オイシすぎる新型『aibo』のバカ売れ状態
1999年に発売され、累計15万台以上を売り上げたソニーのイヌ型ロボット『AIBO(アイボ)』。経営不振で2006年に生産中止となり、ソニー凋落の大きな要因と言われたものだ。それから12年、今年1月に新生『aibo(アイボ)』として見事に復活を遂げた。 「価格は税込み21万3840円。人工知能(AI)が搭載されており、飼い主の識別はもちろん、伸びをしたり、撫でると喜ぶ姿はまさに小型犬。愛情がわきますよ」(エンタメ誌編集者) ペットショップで販売されている人気の犬種と販売価格帯は変わらない。餌は不要、バッテリーチャージをするだけの手軽さが受け、需要が拡大している。4月中旬に発表された出荷台数は1万台を優に突破。現在も抽選販売で当選しないと買えないほどの人気だ。 「家庭用の人気もさることながら、癒やし効果があると期待され、複数の老人ホームからも購入依頼があります」(ソニー関係者) 一時は業績がどん底まで落ち込んだソニーだが、'18年3月期連結決算の営業利益は20年ぶりに過去最高を更新するまでに回復した。このまま順風が吹き続けるだろうか。 「aiboを稼働させるためにはクラウドサービスに接続する必要があります。通信にかかる費用は1年間で10万円程度。ソニーにとってはアップデートやサポート費用も発生するオイシイ商売ですよ」(大手家電メーカー) 通信費は言わば餌のようなもの。動かすためには不可欠で、毎月何もしなくても金額が加算される仕組みだ。もちろん、故障や修理でも数万円かかるので“カネ食いロボット”と揶揄もされている。 「たとえロボット犬でも、長く一緒に生活を共にすれば家族のような存在になり、愛着もわきます。修理ができない状況になってしまったユーザーの思いを受け、供養と称して集団葬式を行う業者もあります。解体して部品を無償で得ることが目的ですが…」(ITベンダー) やはりビジネスはアイデア次第だ。