バナナマン・設楽統は「何でこういうふうになっちゃったのかな…」と今回の経緯を秦氏に聞いた。
秦氏は「勝つために暴走することはあるんですね」と“勝たなければいけない”という強迫観念が原因で、冷静な判断を欠くことはあると口にした。「大学の現場において、これからの世代を扱う中で、そういった線引きをしっかり教育することは大事」と勝負を度外視した指導を怠ったことに問題があると指摘した。
また、秦氏は「監督絶対主義を掲げるチームは(よく)ある」としながらも、「本当の意味での指導者は、最終的に“個”を尊重する。今回みたいに具体的な指示をやれっていうのは実は少ない」と指摘。続けて「選手に考えさせることを名監督はします。そこは取り違えていたんじゃないかな」と元監督の内田正人氏の指導方針を批判した。
日本では現在、指導者が暴言を吐き、部員に休みを与えない“ブラック部活”が問題になっている。『クローズアップ現代+』(NHK系)で、名古屋大学大学院の内田良准教授は「厳しいものを乗り越えた人たちが、『私たちは厳しいのを乗り越えたんだ』と言う。確かに、それで成長できた人たちもたくさんいるんです」と厳しい指導方針を持つ部活が過去には多く存在したと示唆した。
しかし内田准教授は「今の時代、そういった暴力、暴言で乗り越えるんではなくて、ちゃんと言葉を交わし合って、そこで意見交換をして、そして伸びていく。そういった『暴力、暴言に頼らない成長』が大事」と強調。時代の変化に伴い、指導者が部員に一方的に指導し続けることは時代遅れだと主張した。
日大アメフト部はまさに、ブラック部活の典型と言っていいだろう。今回の危険タックル問題は、これまで見落とされていた部活動の在り方を見直すきっかけを与えてくれたのかもしれない。