社会
-
社会 2018年05月31日 16時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第272回 忌まわしき税金
2018年5月15日、日経新聞が'19年10月に予定されている消費税増税の悪影響に対する「対策」を、政府が検討していることを報じた。具体的には、住宅や自動車の購入者に減税を実施し、増税後の買い控えを防ぐという。また、商品価格の急激な上昇を防ぐ対策も、増税ショックを軽減するとのもくろみだ。 '14年の消費税増税の際には、筆者らわずかな例外を除き、ほとんどの学者、ジャーナリスト、経済界、エコノミストたちが、 「消費税を増税しても景気の影響は軽微」 と嘘八百を主張し、実際に増税された途端に消費が激減した。 '14年度の民間最終消費支出(個人消費)の実質値は、対前年比で8兆円(!)も減少。直近の実質消費('18年3月)を見ても、相変わらず対前年比マイナスで▲0.7%。 '14年度の増税時、「消費税増税の悪影響は軽微」といったでたらめを吹聴した吉川洋、伊藤隆敏、伊藤元重、土居丈朗ら財務省の御用学者たちは、今でも政府の要職にある。当時、消費税再増税をアピールし、日本国民を貧困化させてしまったことに対し、何ら責任を取っていない。 ここまで「朽ちた国」が、現在の日本国だ。 しかも、'14年の増税の影響がいまだに継続していることからも分かるが、消費増税の悪影響は「長期化」する。それにも関わらず「増税後の買い控え」を防ぐという名目で、 ○住宅ローン減税の拡充 ○自動車関連税制の見直し という、泥縄対策で政府は増税路線を突き進んでいる。 泥棒が入ってから縄を編み初めるくらいならば、泥棒に入られないように戸締りを厳重にするべきだろう。すなわち、消費税増税の凍結だ。また、個人的にはこちらのほうが問題だと思うが、政府は'19年度の増税時に、 ○「消費税還元セール」を禁じた転嫁対策特別措置法の見直し ○増税後の値引きセールを解禁 など、販売店に「値下げ」をさせることで、値上げの印象を薄れさせ、増税反動の需要減少を抑制しようとしているのだ。 例えば、税抜き100円の商品について、増税により110円で売らなければならない際に、「消費税増税分還元セール」として、108円で売らせれば、確かに「値上げ」は目立たない。とはいえ、その分、販売店が2円、損をしているのだ。デフレ脱却を主張しながら、消費税増税を強行し、値上げ分を販売店に「値下げ」を求める。やっていることが滅茶苦茶だ。 政府はいずれにせよ消費税増税により徴税を増やす。とはいえ、消費税増税は「強制値上げ」になるため、消費が激減する可能性が高い。というわけで、小売店に値上げ分は「飲んでくれ」と要求しているわけだ。まさに、無責任内閣である。 増税後の需要急減が怖いのであれば、普通に消費税を凍結すれば済む話だ。この手の当たり前の政治判断すらできないとなると、わが国の未来は暗いと断言せざるを得ない。 そもそも、消費税は「忌まわしき税金」だ。消費税は、 「課税によって人々の経済活動が影響を受けずに、民間の資源配分をかく乱しない」 という課税の中立性原則の観点から一番望ましい税制であるといわれている。確かに、人間は消費しなければ生きていけないため、消費税からは誰もが逃れられない。また、高所得者も低所得者も、消費をするたびに「同じ税率」の税金を徴収されるわけだ。まことに公正という話なのだが、本当にそうなのか。 当たり前だが、どれだけ所得が高い人であっても、お腹が一杯になればそれ以上は食べられない。金持ちが消費を増やすとはいっても、限界があるのだ。というわけで、高所得者層の消費性向(所得から消費に回す割合)は低い。 逆に、低所得者層は所得のほとんどを消費に使わざるを得ないため、消費性向は高まる。つまりは、支払った消費税が所得に占める割合を比較すると、低所得者層の方が高所得者層よりも高くなってしまうのだ。消費税は間違いなく「逆累進性」が強い、格差拡大型の税制なのだ。 ところで、財務省が消費税率引き上げを主張する際に使われるレトリックに、 「消費税は安定財源」 というものがある。確かに、景気によって上下の振れ幅が大きい所得税、法人税に比べ、消費税の安定感は抜群だ。消費税は増税時('97年、'14年)に対前年比で増加する(当たり前だが)のを除くと、ほぼ「対前年比ゼロパーセント」で推移している。増えもしなければ、減りもしない。すなわち、安定財源である。 財務省としては、景気変動の影響を受けない消費税は、実に「扱いやすい」税収になるのだろう。とはいえ、そもそも所得税や法人税が景気変動の影響を受けるのには、それなりの理由があるのだ。 税金には、好景気の時期には高所得者から多く徴収し、支出を減らすことで景気を鎮静化し、不景気の際には、負け組である失業者や赤字企業の税負担を減らすことで復活を助けるという役割がある。いわゆる、税金のビルトインスタビライザー(埋め込まれた安定化装置)機能である。“安定財源”である消費税には、スタビライザーの機能が一切ない。失業者だろうが、赤字企業だろうが、消費税は容赦なく徴収される。 すなわち、消費税は元々が国民の所得格差を拡大する傾向が強い上に、かつ不況期に「弱者に冷たい」税金なのである。こう言っては何だが、高所得者層は消費税が5%だろうが、8%だろうが、10%だろうが、ほとんど気にならない。とはいえ、日本国民の多数派にとっては、そうではないだろう。 特に10%への消費税増税はまずい。理由は「10%」の消費税率では、徴収される税金がいくらなのか、誰にでも即座に計算できてしまうためだ。消費税率10%への引き上げの悪影響は、8%へ税率が引き上げられた'14年時を上回るだろう。 忌まわしき税金である消費税は廃止するか、もしくはせめて増税凍結が必要なのである。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
-
社会 2018年05月31日 08時00分
米ゼロックスの買収拒否で激震 富士フイルムが嵌まった交渉混迷の行方
今年1月に富士フイルムホールディングス(HD)が社運をかけて打って出た、米ゼロックスの買収計画が暗礁に乗り上げている。 「これで業界の間では、カリスマ経営者と誉れ高い古森重隆CEOの経営手腕について疑問視する声も上がり始めている。一方、むしろ買収が失敗に終わった方が結果オーライとの見方をする経営アナリストらも多い」(経済誌記者) 富士フイルムHDのゼロックス買収計画のいきさつについて、事務機器業界関係者がこう説明する。 「富士フイルムHDが75%保有していたゼロックスとの合弁会社・富士ゼロックスの株式を、富士ゼロックスが借入金6700億円を元手に買い上げた上で、富士ゼロックスがゼロックスの100%子会社となる。ゼロックスは、この買収がらみで自社の株主への融和策として、日本円で約2700億円の特別配当を株主に支払い、後に第三者割当増資を実施。それを、富士フイルムHDが富士ゼロックス株式売却で得た6700億円を使いゼロックス株の50.1%を取得することで引き受け、経営権を得る。これで富士フイルムHD側は資金を使うことなくゼロックスを支配下に収める予定だったのです」 この計画は当初、今年中に完了すると言われていたのだが、そこへ突如、待ったがかかる。ゼロックス大株主で投資家のカール・アイカーン氏らが「ゼロックスの1株があまりに過小評価だ」と買収に猛反発し、2月にニューヨーク裁判所に差し止めを求める訴えを起こしたのだ。そこからは二転三転、日本時間で5月14日、ついにゼロックス側が白紙に戻すことを発表したのだった。 そもそも、古森氏ら経営陣がこの計画に躍起になっていたのには理由がある。 「富士フイルムHDは、デジカメやスマートフォンの普及により、フィルム事業の売上が加速度的にダウンして“倒産”の二文字がチラつきだしていた。それを救ったのが、2000年にトップに就いた古森氏。脱フィルムへの大胆な転換戦略で、医薬品や化粧品が含まれるライフサイエンス事業に比重を置いたのです」(関係者) '06年に化粧品市場、'08年には富山化学工業を買収し医薬品事業に参入。またフィルム事業では、断行した5000人規模のリストラが功を奏し、'07年度に業績がV字回復。“古森伝説”が生まれた。 「以降もリストラなどによってリーマンショックを乗り切り、'10年度には黒字転換。'13年度で初めて売上額が2兆4000億円に達したものの、以降は伸び悩んでいた。'17年度に至っては、大幅減益を予想しているほどです。ここを脱却できなければ、今後は再びジリ貧状態に陥る可能性が高い」(同) そのため古森氏は最後の大仕事として、ゼロックスと富士ゼロックスの合併による合理化で、1万人規模のリストラを断行。その余剰金で、さらにライフサイエンス事業に力を注ぐ方針を固め、今回の買収への動きに出たのだ。 古森氏は、あるメディアのインタビューで「今後、人類を脅かす感染症に対する薬剤や、がんやアルツハイマーなど、いまだに解決法がないアンメット・メディカル・ニーズの高い薬剤の開発に注力したい」と夢を語っていたが、一方で医薬品業界は、老舗の武田薬品でさえも新薬開発で苦難を強いられている。 「新薬にかかる開発費は約1000億円と言われ、開発期間も10年かかることはザラ。しかも、投資と時間をかけたからといって、それが成功するかどうかも分からない。そのため富士フイルムHDは、実績のあるゼロックスの医療画像診断機器、写真フィルム技術の液晶機器用フィルム事業、今もアジアで堅調な事務機器をベースに、確実に現金を稼がなければならない。加えて買収によって事務機器で世界トップとなり、事業再編と合理化で、さらなるリストラを進める必要に迫られていたのです」(前出・経済誌記者) しかしゼロックス側は、伝統を持つ企業買収に一銭も持ち出さない富士フイルムHDの姿勢に不満がくすぶり続け、大株主たちが高値での買い付けを突きつけたのだ。 「ゼロックスの現在の1株は28.46ドル(5月7日時点)。それをアイカーン氏らは、40ドル以上で買い取るなら検討するとしているが、富士フイルムHDとしては現段階(17日)では完全なノーだろう」(関係者) 証券アナリストは、こうも指摘する。 「ゼロックスの将来性はマイナス要因が多すぎて、富士フイルムHDの買収案には懐疑的な声も多かった。それだけに、白紙となって返ってよかったという見方もあるのです」 ただし、どちらに転んでも富士フイルムHDに苦難の道が待ち受けていることは確かだろう。
-
社会 2018年05月30日 23時20分
ネットの体験談は本当? 建築基準法違反のレオパレス、関係者がずさんな実態を暴露
レオパレス21は5月29日に会見を開き、同社が施工した一部の物件で界壁を設置しておらず、指定建築基準法違反に抵触している可能性があると発表した。このニュースを受け、29日の『ガイアの夜明け』(テレビ東京系)では、レオパレス21の実態をよく知る関係者へのインタビューが放送された。 そもそも界壁とは、天井裏に作られた防火壁のことで、火災の延焼防止や遮音目的のために設置するものだ。建築基準法で設置が義務化されているが、インタビューを受けた関係者は「それが作られていない物件がある」と暴露した。 レオパレス21が取り扱う「ゴールドネイル」と呼ばれる木造アパートには、界壁が設置されていない物件が少なくないようだ。実際、番組スタッフが岐阜にある「ゴールドネイル」の物件を調査したところ、天井裏に界壁はなく空洞であることが分かった。 関係者は「この件は施工当時の20年前から問題になっていた。こういう問題があることを(多くの人が)知っている」と今回の問題が長く隠蔽されていたと指摘した。 ただ、29日の会見中、「発売当時から界壁がないことを指摘されていたのでは?」という質問に対し、田尻和人専務は「そういう認識はありません」と否定、会社幹部と関係者の意見に食い違いが生じている。隠蔽が実際にあったかは定かではないが、レオパレス21の信頼度が下がるのは避けられないだろう。 ちなみにネット上では「チャイム鳴らされたと思って玄関を開けたら、四軒隣の部屋だった」「ティッシュを取る音が聞こえてくるのは当たり前、携帯のポチポチが聞こえることも」「壁に画鋲を刺したら隣の部屋から悲鳴が聞こえた」など、レオパレンスに住んだ経験のあるネットユーザーが、かつての経験を投稿。“レオパレス伝説”として大きな話題を呼んだ。 中にはネタっぽい報告もあるが、今回の報道を考えると「本当にそうなのでは?」と不信感を覚えてしまう。
-
-
社会 2018年05月30日 21時00分
自称日テレ記者に批判殺到 「関東アメフト連盟の理事長が辞任する必要ある?」
29日、関東学生アメリカンフットボール連盟が記者会見を開き、5月6日の関西学院大学対日本大学の定期戦で悪質なタックルが発生した件の調査結果を発表した。その中で投げかけられた記者の質問に、怒りの声が殺到している。 会見には同連盟の柿澤優二理事長、森本啓司専務理事、寺田昌弘監事が出席。冒頭、森本氏がマイクを持ち、悪質タックルに関する調査結果と日大への処分内容が発表された。 森本氏は、日大の宮川泰介選手が悪質タックルに至った原因は「内田(正人)前監督、井上(奨)前コーチに指示されたため」と認定。内田前監督は「ボールを見ていなかった」などと主張したが、同連盟は映像を確認し「嘘をついている」と切り捨てた。 また、井上前コーチが「潰せというのは思いっきり行けということ」と釈明した件についても同連盟は調査。事前に「相手QBと友達か」と聞いていることから「友達にはできないようなことをしてこい、というニュアンス」(森本氏)として、この主張を退け、2人を除名処分とした。 そのほかにも日大アメフト部の部員が内田前監督に逆らえない状況だったことや、試合当日のレフェリーの動きなど、当時の状況が説明された。 森本氏の説明が終わると、記者による質疑応答に。同じ質問が繰り返されている印象はあったものの、質問を受けた3人はていねいに答え続け、大きな混乱はなく終わるかと思われた。 そんな中、最後にマイクを持ったのが、自称日本テレビの記者。「試合が起きてしまった主催者である皆様(連盟)の責任のとり方を聞きたい」と、主催者の責任について問いただした。 柿澤理事長は「ルール遵守の啓発やフットボールが危険なスポーツであるという誤解を解いていきたい」としたが、同記者は会見を終了させようとする司会者を振り切った。続けざまに、「例えば理事長の方が辞任することはありえないのか」と食い下がった。 柿澤理事長は少々苦笑いを浮かべながらも、辞任する考えがないことを示した。仕事を全うしていくことで責任を取ると説明し、会見は終了した。 この質問をぶつけた同記者に対し「なぜ主催者が責任を取るのか」「誰かを吊し上げなければ気が済まないのか」「真摯に対応した連盟に失礼だ」「今度はお前が謝罪会見をしろ」など、怒りの声が噴出。 今回の日大アメフト部問題については、内田前監督、井上前コーチの記者会見でも、記者が同種の質問を連発し、しびれを切らした日本大学広報部の米倉久邦氏が「同じ質問はしないで」「もう終わり」と激怒する事態に発展している。 その際は米倉氏の対応が不適切だとする意見が多く、質問者へ怒りの声が向けられることは少なかったが、「質問者が同じ質問を繰り返し、時間が延びたのは事実」という声もあった。また、『サンデージャポン』(TBS系)では太田光が取材陣について、「内田監督が悪いという前提で吊し上げている」と批判していた。 今回の会見中もネットでは、記者の見識や能力を疑う声が噴出していた。そのとどめが前出の記者の「主催者責任論」というわけだ。 昨今、重要な記者会見はネットで生中継されることが多く、記者の質問もネットを介して一般人の耳に入る。筋違いな質問や糾弾があれば、今回のように批判されることになる。記者も発言に注意する必要がありそうだ。
-
社会 2018年05月30日 08時00分
損だらけ! 総務相が言い出しっぺの携帯電話“段階式”料金
携帯電話会社(キャリア)の総務省への忖度が批判にさらされている。 「NTTドコモは5月25日より、利用データ量に応じて4段階の定額制料金が適用となる『ベーシックシェアパック』『ベーシックパック』を提供しますが、これはKDDI(au)の『ピタットプラン』の後追いです。結局はキャリアがもうかるだけで、利用者のメリットにはなりません」(モバイルライター) ドコモの吉澤和弘社長は4段階の定額制料金とする理由を、「総務省の検討会でも利用頻度の少ない人向けのプランが求められており、データ量の少ない人向けの施策を作るのが狙い」と説明している。auもドコモも総務省の意向を反映して、従量制に近い段階式の準定額制プランを作ったわけだ。従来の固定された定額制であれば使いすぎることはあまりないが、段階式の準定額制だと、ドツボにハマって使いすぎるということが容易に考えられる。 だが、これが本当に「総務省が切望しているデータ量の少ない人のために優しいプランか」というと、キャリア側にある2つの意図が加味されていることに気付かされる。 「auもドコモも段階式の準定額制であるため、どうしてもデータ量を使いすぎるという人は多いに決まっています。ドコモでは、段階が上がる前後に利用状況を知らせる通知が初期設定で届くようにしたと説明していますが、そこで『スマホを一切使わない』という選択をする人はまずいません。ついつい段階を上がってしまうのが普通で、そこに狙いがあるのです。ドコモの場合、説明資料の利用イメージに《1人当たり1980円〜》と、ワイモバイルやUQモバイルを意識した値付けを強調しています。他社への流出を食い止めたいというのも、あからさまな本音なのです」(同) 利用者のデメリットになっていることに気付いていない総務省は、相当の世間知らずと言えるだろう。
-
-
社会 2018年05月29日 23時20分
90歳女性が自動車運転、信号無視で1人死亡 ありえない行動に怒りの声
神奈川県茅ヶ崎市で、90歳の女性が運転する自動車が歩道に乗り上げ、4人が跳ねられ、1人が死亡する事故が発生。度重なる高齢ドライバーの事故に、怒りの声が広がっている。 事故が発生したのは28日午前11時すぎ。茅ヶ崎市の国道1号線で、自動車が横断歩道や歩道にいた歩行者を次々と跳ね、歩道に乗り上げた。 被害者は直ちに病院に運ばれたが、57歳の女性が死亡。他3人については軽傷を負ったほか、事故を見て気分を悪くした人が2人搬送されたという。 NHKオンラインが報じたところによると、90歳の女性は取り調べに対し、「自分の信号は赤だとわかっていたが、歩行者が渡り始めていなかったので通過できると思った」などと供述しているという。 目撃者が「横断歩道の信号は青だった」と話していることから、90歳の女性が赤信号と認識しながら、それを無視して突っ込み、事故を起こした可能性が高い。なお、この女性は今年3月に適性検査を受けており、能力に問題がないと判断されたという。 詳細は不明だが、判断能力の落ちた90歳女性が「信号で止まりたくない」という身勝手な無謀運転を行い、尊い命が犠牲になってしまったものと思われる。この事実に、ネットユーザーからは「ひどすぎる」「運転させるな」と怒りの声が噴出。 また、これから高齢化社会が進むだけに、「この種の事件が増えるのでは」という懸念を示すネットユーザーも。 実際のところ、既にこのような高齢ドライバーによる事故は多発しており、2015年にはさいたま市で、80歳の容疑者がアクセルとブレーキを踏み間違え、15歳の女子高校生が死亡する痛ましい事故が発生しているほか、同年宮崎市でも、76歳の認知症とみられる男が運転する車が暴走し、2人を死亡させる事故を起こしている。 警察は高齢ドライバーに免許の自主返納を促しているが、交通網の整備されていない地区では移動手段が自動車しかないことも多く、なかなか進んでいないのが現状。75歳以上には認知機能検査と高齢者講習が義務付けられているが、それでも今回のように死亡事故を起こすケースが後を絶たず、社会問題化している状況だ。 一部には、一定の年齢に達した場合、強制的に免許を取り上げるべきだと言う声もあるが、高齢者だからといって強制的に運転免許を剥奪するのは「おかしい」「国家権力の濫用」との考えもある。 いずれにしても、現在のシステムが最適とはいえない状況下にあることは間違いない。歩道や横断歩道を歩いているにもかからず、自動車に突っ込まれてはひとたまりもない。自動車免許制度の改革や、厳罰に処すことのできる法律の制定などが求められる。
-
社会 2018年05月29日 22時40分
AI搭載の防犯カメラで万引き激減か プライバシーは守られる?
NTT東日本は5月28日、ITベンチャー企業のアースアイズ株式会社との業務提携を発表。両社は、6月下旬から万引き防止サービス「AIガードマン」を全国で提供する予定だ。このニュースを受け、28日の『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京系)では、AIガードマンを特集した。 AIガードマンとは、店内に設置されたAIを搭載した防犯カメラで、来店客の行動をチェックするシステムだ。周囲をキョロキョロ見回したり、オドオドしたりするなど不審者の特定の行動を検知すると、店員のスマートフォンに検知場所や客の写真が通知される。万引きされる前に店員が「いらっしゃいませ」「何かお探しですか?」と声掛けをすることで、事前に万引きを防ぐことができるようだ。 すでにドラッグストアでAIガードマンを用いた実証実験が行われており、年間350万円に上っていた万引き被害を200万円に抑えることに成功しているという。NTT東日本ビジネス開発本部の石川達氏は「半分くらいのロス率を目指していきたい」と抱負を述べた。 ネット上では「判断力がどのくらいなんだろう」「あたりを見回したら駄目なの?」「万引き犯と誤認された客と店員とのトラブルが多発しそう」とAIガードマンの精度を疑う声が多く寄せられた。 また、精度以外にもプライバシーの観点で問題が出てきそうだ。犯罪防止のためとはいえ、個人の顔データが記録され、店員のスマートフォンに画像が送信されるシステムは議論を呼ぶだろう。気軽に買い物を楽しみたい来店客にとっては、あまり気分の良いものではない。 ただ、2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催される日本ではセキュリティ強化が求められているのも事実だ。AIガードマンのような防犯サービスが駅や街中にも広がる日は近いだろう。 安全性を獲得するために、プライバシーを犠牲にしてもいいのか。議論を進める必要がありそうだ。
-
社会 2018年05月29日 08時00分
日産 次期ゴーン体制はフランス政府に飲み込まれる!?
日産自動車が先頃、発表した2018年3月期の連結決算は、期中に発生したいわゆる“無資格検査問題”によるリコールの費用などがかさみ、本業のもうけを示す営業利益は前期比22.6%減の5747億6000万円となった。一方で、円安や米トランプ政権の法人税減税がプラスに影響し、当期純利益は12.6%増の7468億9200万円で、総じて見れば堅調な決算内容だったと言えよう。 「今回の決算発表でもう一つ注目されていたのは、日産の西川廣人社長がルノーとの関係性についてどう言及するかということでした。現在、ルノーは日産に43.4%、日産はルノーに15%出資しており、日産は三菱自動車に34%出資し、ルノーを筆頭とした企業連合が形成されています。これら3社の会長を兼任しているカルロス・ゴーン氏も64歳。そろそろ彼の次の世代に向けた動きが始まっているのです。特に最近活発に動き始めているのが、ルノーの筆頭株主であるフランス政府。若きマクロン氏が大統領に就任してからは、自国産業の育成を目的に日産を完全にルノー傘下に収めたい意向を示しています。これは、マクロン大統領が経済大臣時代からの悲願でもありますからね」(経済誌記者) 西川社長は出資比率を見直す可能性に触れた一方で「合併を協議している事実はない」とも述べた。ただ、残念ながらルノーの連結子会社の日産には、合併を拒否する権利がないのが実情だ。 かつて合併話が持ち上がったとき、当時はゴーン氏が日産のCEOを務め、日産株主の利益に対する責任があった。ところが、最近はマクロン大統領の猛烈なプレッシャーに耐えかね、合併の方向にかじを切りつつあるといわれている。 「ゴーン氏の完全な子飼いとして名を馳せ、日産の社長まで登りつめた西川氏がゴーン会長の意向を翻すことはないともみられています」(同) 日産は国内において、今年中のフルモデルチェンジはゼロと噂されている。“フランス企業『NISSAN』”としての前振りなのかもしれない。
-
社会 2018年05月28日 22時20分
「お年玉でスマホゲーム課金を」林修、“あえて無駄使いさせる”独自の金融教育を紹介
5月27日に放送された『初耳学』(TBS系)に、予備校講師でタレントの林修が出演。お金に関する教育を導入する必要性を強調した。 林は「日本は義務教育でお金の授業をすべき」と切り出した。アメリカの有力格付け会社スタンダード・アンド・プアーズが各国の16歳以上を対象に実施した調査で、金融知識に関する4つの問題に3つ以上答えられた人の割合が日本は43%にとどまり、カナダ(68%)、ドイツ(67%)など、他の先進国と比べて低い結果だったと説明する。 続けて「欧米ではリーマンショック以降、多くの国でお金に関する教育が義務化されている。イギリスでは、小学校から高校までの全学年で金融教育がカリキュラム化されている」と他国の教育体制を紹介。日本でもお金に関する教育を早急に進めるべきだと説いた。 子供のために親が今からでもできるお金の教育について、林は「お年玉でスマホゲームに課金させるべき」と提案。「子供は課金が無駄遣いかどうか分からない。使ってしまってお金がないという喪失感や『あのお金を節約しておけば(ほしいものが)買えたよな…』、そういう思いを幼い頃に経験することに意味がある」と、あえて無駄遣いを経験させることでお金の大切さを学ばせることが重要だと語った。 ネット上では「林先生がいいこと言った」「金融教育をやらないと社会に出て困ることが多い」「他国で教えてることを教えてないのが日本」と称賛する声が多く寄せられている。 電子マネーや通販サイトの利便性が向上したことで、お金に関する「新たなリスク」ができた。横浜国立大学教育学部付属横浜中学校では、日銀や金融経済団体などで構成する金融広報中央委員会が作成した教材を家庭科の授業で使用。生活するのにかかる費用や、ネット通販を利用する際に起こりうるトラブルなど、「お金に関する知識」を幅広く生徒に伝えている。 今後、キャッシュレス化が進み、現金を使って買い物をする機会は減少していく。お金に対する実感は薄れていき、お金に関する新たなトラブルが増えていくだろう。 国はそろそろ危機感を持って、子供の金融教育に取り組む必要がある。
-
-
社会 2018年05月28日 08時00分
天下の猛妻 -秘録・総理夫人伝- 橋本龍太郎・久美子夫人(下)
竹下登首相(当時)は、美男子ぶりが際立っていた橋本龍太郎と、俳優・歌手で圧倒的な女性ファンを持っていた杉良太郎を“比較”して、「“流し目”は2人ともいい勝負だわナ」と言った。橋本の女性人気が高く、選挙でも女性支持者がコロリと参るのは、ナルホドだと感心したということであった。 その一方で、永田町での橋本の異名は、「風切り龍太郎」というものであった。田中角栄が「能力は同世代でピカ一。スパッと切れるカミソリの魅力がある」とタイコ判を押したほど頭脳明晰ではあったが、自信がいささか過剰で怖いものなし、肩で風を切って歩く姿、政治手法から付いたものである。 また、陰口には「カマイタチ」というものもあり、これは論争でも橋本に食いつかれたら、血が出ても放してくれないほど痛い目にあうことから来ていた。新聞記者なども、ヘタな質問をしようものなら「勉強不足だ。出直して来い」と、木で鼻をくくるような“バカ扱い”をされる者もいた。のちに、橋本は橋本派の領袖となったが、親分となっても真の子分、側近がほんの一握りしかできなかったのは、こうしたことが原因だったとされている。 のちに小泉純一郎が政権を取った際、政策に自信たっぷりの橋本が、小泉にアドバイスをしようとしたことがあった。小泉は橋本の話半分で、「総理はオレなんだッ」と、怒鳴り声を上げて一蹴したというエピソードもあったのである。 こうした「風切り龍太郎」に対し、現在、テレビキャスターを務めている異母弟の橋本大二郎は、橋本が首相になった頃、こうした「兄貴」に対し、苦笑を交えてこんな兄弟愛あふれる“助け舟”のメッセージを明らかにしたことがある。 「兄貴の“人望のなさ”がえらく話題になっているけど、これは昔ながらの筋を曲げない一本気のところから来ている。その意味では、“人望のなさ”はむしろ兄貴の勲章かも知れない。そういえば、子供の頃、スキーやスケートをやっても真っ直ぐ走り、ほとんど曲がる術を知らなかったからね」 そうした一方で、橋本は省庁再編などの行財政改革にチャレンジ、将来の環境行政の重みを看破し、環境庁の省格上げや、旧日本電電公社、日本専売公社の民営化、国鉄の分割・民営化で実績を積み上げている。また、「厚生族のドン」として、時に懸案だった日本医師会を回しての健康保険法改正、また、長い間の懸案だった「スモン訴訟」も解決に持っていった。ここでは、田中角栄いわくの「能力は同世代ピカ一」を実証した形だったのである。 しかし、好事魔多し。平成10年(1998年)の参院選で、それまで順風だった「橋本劇場」の舞台は暗転した。バブル崩壊後の不況のあおりも手伝って敗北、その責任を取らされる形で首相退陣をよぎなくされたのである。その後、いかにも負けず嫌いの橋本らしく、平成13年の自民党総裁選に「再登板」を狙って出馬、しかし、対抗馬の小泉純一郎の前に敗北を喫したのだった。その後、傷心の橋本に追い打ちをかけるように、橋本への『日歯連』(日本歯科医師連盟)からのヤミ献金疑惑が発覚するなど、晩節はかつての「風切り」ぶりは見られなかったのだった。 そうした舞台暗転の中で、橋本は病魔に襲われた。平成16年6月、折からの腹痛が胆管虚血の診断を受け、即、大腸の大部分を切除するなどの大手術を受けた。それから1カ月ほど危篤状態が続き、7月1日、多臓器不全と敗血症性ショックのため、妻の久美子、5人の子供、そして異母弟の橋本大二郎に見守られて死去した。享年68であった。最期の言葉は、手術直前に次男・岳の選挙出馬のための講演会について、「オレがやらなきゃなぁ…」というものだった。 遺体は、「最後に体をささげて医学に貢献したい」としていた橋本の生前の遺言どおり、病理解剖された。「厚労族のドン」として君臨した橋本の、最後まで見せた“誠実さ”“律義さ”ということのようであった。 長かった結婚生活を振り返り、橋本が首相の座を降りた直後、妻・久美子はこう話したことがある。 「もう政治家は辞めて、大学の先生にでもなってくれればいいですね。龍太郎さんは政治学より、むしろ歴史を語りたい人なんです。彼流のね。学校の先生っていいじゃない。夏休みもあるし。私の願いです」(『週刊朝日』平成10年8月21日・28日合併号=要約=) 東京住まいの夫、岡山に張り付いて選挙区を守り続けた妻との40年近くに及ぶ「別居生活」の中で、「理想的な政治家夫人の筆頭」と言われた久美子の“懇願”はついぞ果たされなかった。 次男・岳は、その後、橋本のあとを継いで代議士となり、久美子は変わらず岡山での息子の後援会活動の手助けに余念がなかった。「政治」の宿命の中で生き抜いた女性と言えた。=敬称略=(次号は小渕恵三・千鶴子夫人)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材48年余のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『決定版 田中角栄名語録』(セブン&アイ出版)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。