「NTTドコモは5月25日より、利用データ量に応じて4段階の定額制料金が適用となる『ベーシックシェアパック』『ベーシックパック』を提供しますが、これはKDDI(au)の『ピタットプラン』の後追いです。結局はキャリアがもうかるだけで、利用者のメリットにはなりません」(モバイルライター)
ドコモの吉澤和弘社長は4段階の定額制料金とする理由を、「総務省の検討会でも利用頻度の少ない人向けのプランが求められており、データ量の少ない人向けの施策を作るのが狙い」と説明している。auもドコモも総務省の意向を反映して、従量制に近い段階式の準定額制プランを作ったわけだ。従来の固定された定額制であれば使いすぎることはあまりないが、段階式の準定額制だと、ドツボにハマって使いすぎるということが容易に考えられる。
だが、これが本当に「総務省が切望しているデータ量の少ない人のために優しいプランか」というと、キャリア側にある2つの意図が加味されていることに気付かされる。
「auもドコモも段階式の準定額制であるため、どうしてもデータ量を使いすぎるという人は多いに決まっています。ドコモでは、段階が上がる前後に利用状況を知らせる通知が初期設定で届くようにしたと説明していますが、そこで『スマホを一切使わない』という選択をする人はまずいません。ついつい段階を上がってしまうのが普通で、そこに狙いがあるのです。ドコモの場合、説明資料の利用イメージに《1人当たり1980円〜》と、ワイモバイルやUQモバイルを意識した値付けを強調しています。他社への流出を食い止めたいというのも、あからさまな本音なのです」(同)
利用者のデメリットになっていることに気付いていない総務省は、相当の世間知らずと言えるだろう。