社会
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社会 2018年04月28日 17時00分
行楽シーズンG・Wには強毒性の「外来種アリ」にご注意を!
「蟻の一刺し」ヒアリに比べて毒は弱いとされるが、お尻の毒針で刺されると激痛と共に患部が腫れる。環境省などが4月19日、毒を持つ「アカカミアリ」1匹が、長野市青木島の住宅で発見されたと発表した。またも危険な外来生物が現れたわけだ。 「体調約7ミリの女王アリで、衰弱しているところを掃除中の住人が発見した。現時点(4月22日)では他に発見されていないが、女王アリだけに卵からかえった成虫が生息している可能性はあります。アカカミアリは主にアメリカ南部に生息しており、日本で発見情報があるのは沖縄本島や硫黄島、大阪など。長野県では、輸入品に紛れ込んでいたのではないかとしています」(サイエンスライター) このアカカミアリは、1996年には沖縄の在日米軍関係者が刺され、アナフィラキシーショックを起こした例もあるという。 また20日には、昨年夏に名古屋港で発見されたアリが、国内で初めて見つかった「ブラウジングアント」であることも判明している。 「主に南欧に生息し、体長は2.5〜4ミリ程度。こちらは毒針で刺すようなことはありませんが、行列を組んで活動し、昆虫や小動物を襲う攻撃性の強いアリで、繁殖力も高い。日本以外で確認された場所では在来種のアリがいなくなっていることから駆逐されたと見られ、生態系に大きな影響を与える。そのため県は、国に特定外来生物に指定するよう求め徹底駆除に動き出しています」(同) ブラウジングアントは巨大な巣を作り、そこに女王アリが複数匹住むことが特徴で、県と環境省などが名古屋港の飛島ふ頭を調査した際にも、すでに数百メートルにわたり巣が見つかっていたという。 今後も外来種のアリは後を絶ちそうにないが、世田谷井上病院の井上毅一理事長はこう言う。 「はっきり言うと、現時点では治療法が分からないというのが実情です。ヒアリなど毒を持っている場合、オキシドールで消毒して病院で診てもらうこと。ゴールデンウイークは行楽に出かける人も多いと思いますが、あまり草むらには入らない方がいいでしょう」 刺されてめまいや吐き気などの症状が出た場合は、何はともあれ病院に駆け込むことだ。これから、ゴールデンウイークに突入する。行楽地などではくれぐれも「外来種アリ」にご注意を!
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社会 2018年04月28日 15時00分
熊本地震復興中なのに…くまもと県民テレビ社長「セクハラ退任」痴態行状
その一報を聞いた瞬間、普段、温厚な性格で知られる大久保好男・日本テレビ社長は、席を蹴り上げ怒り狂ったという。 4年連続で“年度&年間視聴率No.1”をひた走る日テレが、前代未聞のスキャンダルに見舞われている。しかも、事は局内で収まり切れないというから深刻だ。ここに来てテレビ界では、大久保氏が内定していた日本民間放送連盟(民放連)の次期会長のポストを辞退するかもしれないとの憶測まで流れているほどだ。 「民放連会長を務めるTBSの井上弘名誉会長が6月で任期満了になるのに伴い、すでに会長推薦委員会が全会一致で大久保氏の内定を決めている。今になって辞退となれば、民放連に加盟する各テレビ局に大きな影響を及ぼすんです」(TBS関係者) そんな日テレのトップまで巻き込んだのは、系列局で九州地方の基盤局でもある、くまもと県民テレビ(KKT)の梅原幹社長のセクハラ問題だ。梅原氏はこれにより、4月16日に開かれた臨時株主総会で退任することとなった。 「梅原氏の退職願は、すでにその前週に受理されていました。後任は、ひとまず片岡朋章KKT会長が兼任する。KKT局員は皆、今度こそ社長の器である人間に来てほしいと祈っていますよ」(KKT東京支社関係者) それにしても、熊本地震からちょうど2年。各地で鎮魂の祈りが捧げられるさ中、現役の地元テレビ局社長がセクハラ案件で退任とは、いったい何をやらかしたのか。 「セクハラは、秘書部に務める派遣女性に対するもので、女性の訴えで露見してしまったという。今後、成り行き次第では警察や裁判沙汰にも発展しかねないようです。当初、この件を巡ってはお金で解決しようとしたが、ダメだったとも聞いている。この女性は、常日頃から卑猥な言葉を浴びせられ、手や髪に触れるなどのお触りも繰り返されていたとかで、その後の調査で被害に遭っている女性は複数に上ることも判明したという。確かに秘書部には20〜40代前後の綺麗どころが集められ、局内では『大奥梅原』と陰口をたたく者も大勢いたほどです」(大手広告代理店幹部) 被害に遭った女性は、KKTの秘書部のスタッフだけではないという。 「こちらも調査中ですが、“梅原会”と称し20〜30代の若い局員との食事会が頻繁に催されていた。プロデューサーやディレクター、営業などすべてのスタッフと飲みながらコミュニケーションを図るんです。そこでも、太ももを触られたとか口説かれたという話が囁かれている。梅原氏は、好みの女性を探すために飲み会を開いていたと思われても仕方がない」(事情通) しかも、セクハラのみならず、パワハラの発覚も梅原氏が辞める理由になったとの情報もある。 「梅原氏は部下について、顔とか話し方で好き嫌いを選別するから面倒なんです。しかも、仕事ができないと分かると何時間にもわたって大勢の見ている前で叱責する」(支社関係者) 梅原氏は1983年に日本テレビに入社。その後は主に、ドラマやバラエティー番組のプロデューサーとして活躍し、チーフプロデューサーとして数多くのヒット番組を生み出してきた。 「まさに昔ながらのテレビマンですよ。新人研修では『愛人を持て』と話していたとか、ドラマプロデューサーになった理由は『女優を口説くためだった』とか、冗談とも思えない話をする人。金遣いも派手で、一時は局内でも干されテレビマンとしては完全に終わったと思われていたんですが…」(ワイドショーデスク) そんな梅原氏に追い風が吹き始めたのが、2014年のこと。 「梅原氏を可愛がっていたA専務が、『ZIP!』や『スッキリ』を管轄する情報カルチャー局の局長に抜擢したんです。その後はトントン拍子に出世し、翌年に局長兼執行役員、一昨年にKKT専務・編成局長に就き、昨年に再び日本テレビ執行役員に就任。日テレを退職し、そのまま悲願のKKT代表取締役社長に就任したんです」(事情通) 一方、現在の系列局は、資本金などの理由からキー局から押しつけられた人間を社長に迎えざるを得ない状況にあるという。 「梅原氏もその一人で、KKT内部では身内の女性に手を出す社長に対し怒りを通り越し、嘆きの声の方が圧倒的だった。しかし、一部の有志職員が梅原氏の悪行を日テレの人事にも通じる宣伝部に訴えたが、取り合ってもらえなかったそうです。いずれにせよ、梅原氏をKKTに出向させたのは日テレの大久保社長ですが、そもそもは梅原氏を可愛がっていたA専務が諸悪の根源とも言える」(KKT幹部) KKTに梅原氏のセクハラ問題の事実関係を問い合わせると、 「実際のところ、まだ把握できていないのが現状です。4月16日の株主総会を経て、しかるべき時に発表させていただきます。それまでコメントは差し控えさせていただきます」 との回答が返ってきた。 「今回の騒動で日テレ本体の6月1日付人事が大幅に遅れている。それよりも万が一、大久保社長が任命責任から民放連会長職を辞退ともなれば、6月人事は7月付に変更されるでしょう」(編成関係者) 周辺関係者によれば、梅原氏の口癖は「俺はレジェンドになる」だったというから目標は達したか。
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社会 2018年04月27日 23時30分
「体罰は非常に有効」戸塚ヨットスクール校長の教育論、ネットで大バッシング
4月26日に放送された『直撃!シンソウ坂上』(フジテレビ系)に、戸塚ヨットスクール校長の戸塚宏氏が出演。坂上忍と教育観について壮絶な舌戦を繰り広げた。 暴力も辞さない徹底したスパルタ教育で「不良更生施設」として脚光を浴びた同校。だが、その教育方針が原因で訓練生を死に至らせ、傷害致死などの罪で逮捕され、刑務所に入った過去を持つ戸塚氏。出所した現在も、同校の校長として指導に当たっている。 番組中、戸塚氏は「(体罰は)できないでしょ」と世間の「体罰反対」の空気に影響され、現在は訓練生に体罰を与えていないと示唆。一方で戸塚氏は体罰の“効能”を説いた。「教育というのは、いかに不快感を発生させるかでしょ?不快感で行動するんだから。その不快感を発生させる方法として、叱責とか体罰が非常に有効」と「体罰は正しい」という考えは変わっていないと話した。 戸塚氏の発言に坂上は「子どもには理不尽を与えたほうがいいっていう考えはある」とある同調した一方で、「戸塚さんの善悪が全てじゃない」と意見した。 しかし、戸塚氏は「(自分の考えが)全て」と言い切り、「今の子どもを見てみ?褒めて育てると謙虚さがなくなるやろ?己が分からなくなる」と自身の教育観が絶対的な正義であると語った。 釈然としない坂上は「手を上げるってことだけじゃなくて、言葉だったり活字だったりで、理解するのは当たり前じゃないですか?」と暴力に頼らず、言葉で子供に理解させる教育の必要性を口にしたが、戸塚氏は「(それだと)理解しない」とキッパリ否定。「人間性が低いんだ、うちに来る子どもたちは」と言葉で理解することが難しく、体罰で分からせるほうが効率的だと主張。最後まで体罰の必要性を説き続けた。 ネット上では「すごく胸糞悪かった」「こんなやつに教育を語らせるな」「視野が狭すぎる」など、戸塚氏の主張に嫌悪感を示す声が多く寄せられた。 戸塚氏の考えに、ネガティブな印象を持つ人が多いのも理解できる。だが、以前出演した『勝手に出口調査』(AbemaTV)で戸塚氏は「(今の)教育がいいはずない!大学を卒業して3年後を調べてみると53%がニートになっている。教育が間違っているからだ。このままでは日本がつぶれる。きれいごとでイニシアチブを取ろうとするからいけない」と発言するなど、日本や子どもの未来を深く考えている様子がうかがえる。 ただ、自分が絶対的に正しいと考え、他者の意見に一切耳を傾けようとしないうちは、その“教育論”に耳を貸す者はいないだろう。
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社会 2018年04月27日 08時00分
税制に問題? 国内新車販売台数に見る日本自動車市場のいびつ
日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が4月2日に発表した2017年度の国内新車販売台数は、前年度比2.3%増の519万107台となり、2年連続で増加となった。 「内訳を見ると、軽自動車の販売増には目を見張るものがあり、ホンダ『N-BOX』やダイハツ『ムーヴ』など販売上位10車種中の7車種を占めています」(モータージャーナリスト) もう一つ注目すべきは、輸入車の増加だ。4月5日に日本自動車輸入組合が発表した'17年度の外国メーカーの国内新車販売台数は30万3920台と3年連続の増加で、これは軽自動車を除く新車販売全体に占める割合でいえば9.1%と過去最高となり、10%の“大台”まであとわずかの推移となっている。 「輸入車の増加には近時の好景気の背景があるとも見られますが、消費者の声を分析してみると、以前のようなただの成金主義一辺倒ではありません。小型輸入車のラインナップが増えて消費者の間口が広がったことが大きいのと、売れている外国車メーカーは日本市場を非常によく研究した商品を投入してきている。逆に言うと、国内メーカーは日本市場を諦めているというか『軽自動車を売っていればいい』とさえ思っているフシも垣間見えます。数の出る軽自動車の種類を増やしているのは、日本のいびつな自動車税制にも問題があるからです」(同) 地方では生活必需品となっている車だが、日本において車イコール贅沢品と捉えた税制は変わっていない。日々の生活に追われる国民が車を購入する場合、軽自動車を選択せざるを得ないのだ。 その一方で、国内メーカーの普通車を購入したい層に対して魅力的なラインナップが用意されているかというと、疑問符が付く。 以前、トヨタ自動車の豊田章男社長が「海図なき航海に突入した」と言い切った自動車業界。それほどまでに先行きは不透明だ。 数少なくなった日本の“お家芸産業”として、早急な官民挙げてのドラスティックなアクションが求められていると言えるだろう。
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社会 2018年04月26日 22時40分
日本の深すぎる闇 障がい者に不妊手術を強制する「旧優生保護法」とは?
先日、旧優生保護法(1948〜96年)のもとで不妊手術を強制された宮城県の60代女性が、人権を侵害されたとし、国に1100万円の慰謝料と謝罪を要求する裁判を起こした。このニュースを受け、4月25日に放送された『クローズアップ現代+』(NHK系)では、障がいのある人に不妊手術を強制する法律「旧優生保護法」が特集された。 旧優生保護法が作られたのは戦後間もない1948年。東京大学大学院の市野川容孝教授は「過剰人口問題に、由来する貧困をどう防ぐかというところに力点があったことは事実」と当時、日本は人口急増が問題視されており、人口増加を抑制する対策として旧優生保護法が作られたと説明する。 続けて、「『量を減らす』と同時に『人間の質を高める』目的が、この法律にセットで入っていた」と指摘。優秀な子孫を残そうとする考え“優生思想”がこの法律の背景にあった点と解説した。 また、「なぜ旧優生保護法が問題視されてこなかったのか?」という理由について、取材に当たったNHK社会部の福田和郎氏は「当事者が声を上げられなかった」と指摘。「取材をした人の中には、障がいの程度が重く、自ら声を上げられなかったり、手術のことを周りの人に言えなかった人もいました」と、取材をもとに当時の事情を説明した。 さらに、社会の関心が低かったことも法律ができてしまった理由だと説明した。福田氏は「国際的な批判を受けて、平成8年に法律をなくしました。しかし、その時、謝罪や救済が進まず、われわれ報道機関や社会がほとんど注目せず、事実が埋もれてしまった」とメディア人を含む国民が旧優生保護法に目を向ける機会を奪ったと語った。 ネット上では、「こんな法律があったなんて日本人として恥ずかしい」「差別という次元じゃない」「人権をどう思ってんだ」と旧優生保護法が生んだ弊害に怒る声が上がっていた。 宮城県の女性の動きが呼び水になったのか、4月26日には不妊手術を強制された70代の男女4人が、仙台、東京、札幌の各地裁で国家賠償請求訴訟を5月17日に起こす方針を決めた。 今後も、旧優生保護法で深い傷を追った人たちが声を上げていくだろう。
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社会 2018年04月26日 14時00分
危ういサービスも…大阪・日本橋メイド店とヤミ民泊が急接近!
「今年に入ってから、パッとしない状況が変わり始め、店の種類も若い女の子の店員も増えている。原因はインバウンド、特に中国人観光客の増加が新たな出店を促し、繁盛させているんです」(地元記者) 大阪・日本橋の電気街、『でんでんタウン』には飲食店から道案内、オモテの風俗店まで、メイド姿の女性がお相手をしてくれる店が軒を連ねている。東京の秋葉原にも引けを取らないメイド系の店の多さだ。 いま、これらが民泊施設の増加により空前の好景気にあるという。 メイド系の店は、一部のリフレ店などが未成年による売春の温床になっているとして、一昨年あたりから大阪府警が徹底的な取り締まりに乗り出し激減。多くがまっとうな飲食店やガールズバーとなり、従業員も10代は皆無で平均年齢は上がる一方だった。 それまでも『でんでんタウン』には外国人観光客が多く見られたが、それは近くの堺筋が観光バスの待ち合わせ場所になっているためで、単に通りすぎているだけだった。 「それが最近は、メイド店巡りが観光ルートして組み込まれ、通訳ソフトをインストールしたスマホを片手に、店を訪れる中国人が増えている。向こうの都市部の若者の間では日本のコスプレがブームで、彼らにしてみればアキバや日本橋は“聖地”になるわけです」(夕刊紙記者) 店に中国人が多く集まる理由はある。3月に日本橋に構えていたメイド喫茶を“案内所”に改装した経営者は、こう語る。 「中国人の間で一番人気があるのは、メイド、もしくはOL風の女性による道案内ですわ。はじめは本当に客が来るかどうかは疑問やったけど、ミナミの民泊施設が客を送ってくれようになってからは、うまく回転していますわ」 つまり、民泊施設と店が連携し送迎している場合があるというのだが、これが再び危うい店の増加につながるとの指摘もある。純粋にコスプレをした女の子と楽しむ観光客が多いうちはまだいいが、届け出のないヤミ民泊とつながっていれば、当然、店から散歩サービスで施設に入り売春というケースも出てくる。これから新規出店が増える中、そうした店が出てくることも考えられのだ。
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社会 2018年04月26日 08時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第268回 ヒトを「安く買い叩く」ために
主流派経済学は「失業」を認めたがらない。厳密には「非・自発的失業」を認めないのである。 失業者はすべて「自発的」な失業者。彼らは自発的に失業しているにすぎないのだから、財政出動で雇用対策などは打ってはならない。なぜならば、ムダだから。自発的に働かないという選択をしている以上、財政で仕事が増えたとしても、彼らは職には就かない。 雇用環境は、常に完全雇用である。もし、それでも多少の失業があるのだとしたら、それは構造的な失業である。もしくは失業者の能力と雇用者側の要求との間に「雇用のミスマッチ」があるためだ。というわけで、対策は財政政策ではなく、職業教育と就業者の解雇を容易にする雇用の流動性強化だ。ヒトを簡単に解雇できるようにすれば、むしろ失業率は上昇する。 と、まあ、上記が主流派経済学の雇用に対する考え方である。日本の内閣府や日本銀行の「完全雇用の失業率」も、完全に上記を踏襲してしまっている。 日本銀行が「日本の完全雇用の失業率は3.5%」と、世迷言としか言いようがない基準を採用しているのは、過去の失業率の平均をとる「構造的失業率」が3.5%になるためだ。ちなみに「過去」の長さは、組織によって変わる。 左図(※本誌参照)は「過去10年」で計算した平均失業率になる。日銀の基準でいえば、現在は「完全雇用を下回る失業率」という、意味不明な状況になってしまうわけだ。過去のデータを見る限り、わが国の完全雇用の失業率は「2%」であろう。つまりは、現在の失業率(2.5%)であっても、いまだ完全雇用には達していない。 お分かりだろうが、構造的失業率は現実の失業率に応じて変わっていく。この構造的失業率が、経済学のいう「完全雇用における失業率」なのだ。デフレーションにより雇用環境が悪化すれば、当たり前の話として構造的失業率は上昇する。すなわち、完全雇用における失業率も上がってしまうのだ。 上記の考え方がいかにおかしいのか、アスリートを例にすれば理解できる。例えば、100メートル走の選手が、 「あなたの最高タイムは何秒ですか?」 と、問われ、 「わたくしの平均タイムは10.8秒です」 と、返答するようなものだ。 実際には、この選手の最高タイムは100メートル10秒になる。とはいえ、いかなるアスリートであっても調子の波というものがある。過去に、絶不調のコンディション下において、11秒という凡庸なタイムを記録してしまったこともある。というわけで、過去の平均タイムを計算すると、10.8秒。最高タイムを問われ、過去最高の10秒ではなく、過去の平均の10.8秒で回答する。これがまさに、経済学のいう「完全雇用の失業率」の考え方なのだ。 デフレ深刻化で雇用環境が悪化すると、構造的失業率は否応なしに上昇してしまう。ということは、構造的失業率は「完全雇用の失業率」ではない。と、「平均」について学んだばかりの小学生でも気が付きそうなものだが、世界の経済学者や官僚たちは、過去の失業率の平均を計算し、 「わが国の完全雇用の失業率は○○%」 などとやっているのである。異様な世界、としか表現のしようがない。 なぜ、このような異常な考え方がまかり通るのかといえば、 「非自発的失業など存在しない」 「今は常に完全雇用」 「財政出動による失業対策などやってはならない。やるならば、雇用の流動性強化」 と、世の人が思い、雇用対策の財政政策が行われず、高い失業率が維持されると都合がいい勢力があるためだ。もちろん、資本家、大企業の経営者、投資家など、いわゆる「グローバリスト」である。 グローバリストが「高失業率」をなぜ好むのか。簡単だ。その方が、「ヒト」を安く買い叩ける。ヒトを安く買い叩くと、中長期的にその国の経済力は落ちていかざるを得ないが、そんなことはどうでもいい。グローバリストの目的は「短期の利益最大化」であり、中長期の経世済民ではない。彼らにとって、国家も国民経済も、行動を制約するものではないのだ(グローバリストとは、そういう人種だ)。 それでは、失業率が低いときはどうするか。低失業率の時代は、ヒトが「高くなり、大切にされる」ことになるが、それはグローバリストにとっては我慢がならないことだ。だからこその、「人手不足だから、移民受け入れ」なのである。 失業率が高いときは、「今は完全雇用」と失業対策を防止し、ヒトを安く買い叩く。失業率が低いときは、「人手不足だから移民を受け入れざるを得ない」と、これまたヒトを安く買い叩こうとする。日本の移民問題の本質は、「ここ」にあるという事実に、国民はいい加減に気が付かなければならない。日本の移民問題の本質は、「人口の維持」でもなければ、「活力の維持」とやらでもないのだ。 現在の日本は、少子高齢化に端を発する生産年齢人口比率の低下を受け、人手不足が深刻化し、失業率が下がっている。「ヒトが大事にされる社会」が近付いているわけだが、だからこその移民受け入れなのである。低賃金でも働く移民が大量に流入すれば、日本人の賃金水準も下がらざるを得ない。 単に「ヒトを安く買い叩きたい勢力が、移民受け入れを望んでいる」という現実を、いい加減に日本国民は理解する必要がある。問題は「ヒトを買い叩き、自分の利益を最大化したい」という、自己中心的な勢力が「政治力」あるいは「情報発信力」をもってしまっていることなのである。 この「現実」を無視し、移民問題の議論や政策が進む限り、わが国は「ヒトが安く買い叩かれる」移民国家まっしぐらだ。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2018年04月25日 23時20分
牛丼大手チェーンが、続々と“牛丼”を捨てている?メニュー多様化の裏事情
4月24日に放送された『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京系)では、様変わりする「松屋」や「吉野家」などの牛丼チェーン業界の動向を追った。 番組は26日から「炙(あぶ)り塩鯖定食」の販売を予定している吉野家を取り上げた。先日開かれた吉野家ホールディングスの決算会議で、河村泰貴社長は「原材料価格の高騰の影響は当然ある。輸入牛肉の相場に楽観的な見方はしていない」と牛肉価格の高騰を考慮し今後、牛肉以外の材料を使用したメニューも積極的に投入する姿勢を見せた。 次に、吉野家のライバル店・松屋を特集。松屋では、今月3日から人気が高かった期間限定のメニュー「ごろごろ煮込みチキンカレー」を、17日からは新メニュー「ごろごろチキンのてりたま丼」など、鶏肉を使ったメニューの販売を開始した。 松屋は、牛肉価格の高止まりは今後も続いていくと予想。牛肉以外のメニューを今後も取り入れ、価格変動のリスクを軽減するつもりだ。 ネット上では牛丼を看板に据えない牛丼チェーン店の姿勢に困惑。ネットには「もう牛丼店を名乗るな」「牛丼チェーンの先行きが怪しい」「もはや定食屋だな」とやゆする声が寄せられた。 牛肉価格の高騰の背景には、昨年6月に中国がアメリカ産牛肉の輸入を14年ぶりに解禁したことが大きく影響している。2016年10月には1キロ約600円だったアメリカ産の牛バラ肉の卸売価格が、今年4月には約800円に上昇。牛丼チェーン店としては、牛丼を軸に売り出すのは大変なのだろう。 また、飲食業界は深刻な人手不足に悩まされている。時給を上げないと人が集まらない状況も、安く安定した食材に頼らざるを得なくなった要因なのかもしれない。 今後、どのように牛丼チェーンが売り上げを残していくのか動向を見守りたい。
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社会 2018年04月25日 22時50分
国民民主党、「ギャグか」の声多数 あの人はまた節操がない?
希望の党と民進党が合流し、新たに国民民主党を立ち上げることがわかった。5月の連休明けの結党を目指す。当初は国民党の案もあり、お隣の台湾では「同じ名前の政党ができる」とちょっとした話題になった。 「もともと民進党結党時にも台湾で話題となりました。民進党(民主進歩党)と国民党(中国国民党)は台湾の二大政党です。現在の与党は民進党で主席の蔡英文は、台湾の国家元首である中華民国総統を務めています。一方の国民党は過去には李登輝が主席を務めたことでも知られますね」(政治記者)民進党の政策はリベラル的で、国民党は保守的な傾向が強い。理念は真っ向から対立している。台湾においては“水と油”の政党の名前が一緒になるのだ。ネット上では「台湾の現代史を勉強しろよ」「これはギャグか」「むしろ暗い未来を暗示してそう」といった声が相次いでいる。 「もとより希望の党は、民進党を離党した細野豪志衆議院議員らが中心となって作られた政党です。このまま元サヤの民進党へ戻るようでは元も子もありませんので、細野議員は新党へは参加しない意向を示しています。そのため自民党への移籍説もささやかれていますが、これではさらに節操の無さを露呈してしまうでしょう」(前出・同) 野党再編はつねづね選挙を見越した「野合」と批判されることが多い。さらに、両党の議員数を合わせても、立憲民主党より少なく、野党第一党には届かない見込みだ。国民民主党は、早くも結党前から「名前負け」しているのではないだろうか。
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社会 2018年04月25日 14時00分
創業の地から撤退を決断した大塚家具“お家騒動”から3年の崖っぷち
2015年、経営権を巡る父娘の争いが大きな話題となった大塚家具が、創業の地である埼玉県春日部市にある大型店『春日部ショールーム』を5月末で閉店することを発表した。 創業者で父の大塚勝久氏(当時会長)から経営権を奪取し、一躍脚光を浴びた大塚久美子社長だが、最近では経営不振により瀬戸際に追い込まれている。 「春日部の店舗は、1969年に勝久氏が大塚家具の前身である桐箪笥販売店の『大塚家具センター』を立ち上げた場所で、同社の聖地とも言える。そのため、店舗面積1万772平方メートルという広大な面積を確保し、有明の本社ショールームに次ぐ大型店としてシンボル的存在を誇ってきた。それを閉鎖するというのだから、かなり追い詰められた状況なのではともっぱらです」(業界関係者) 確かに同社の決算を見る限り、その厳しさが窺い知れる。'17年12月期決算は売上高410億円で、対前期比11.3%減、営業損失も51億円で、赤字幅は前年の45億円から拡大。2年連続の最終赤字となった。 「大塚家具は3年前、預金115億円が話題になるほど、無借金経営と豊富な現金を保有することで知られた超優良企業でした。しかし、久美子氏が経営権を握ってから、その現金を次々に使い、'17年末には18億円まで激減。有価証券も71億円から27億円にまで減った。その原因は、やはり売り上げの減。新宿や銀座など都内の繁華街店舗はそれなりに順調だが、郊外の大型店での販売が低迷し、足を引っ張っている。春日部は潰すが、創業地の撤退は客層心理に影を落とし、経営に決してプラスにはならないのではないか」(経営コンサルタント) 大塚家具はまだまだ広大な店舗を要しているため、その賃料も経営を圧迫している。そこで昨年からは、その賃借料の圧縮や資金繰りを積極的に進めてきた。 「その最大の対策の一つが、貸し会議室大手のTKP社との資本・業務提携。TKP社は、大塚家具の発行株129万株6.82%を10.5億円で取得、第3位の株主となった。大塚家具は店舗内の一部をTKPに貸し、会議室や宿泊施設として運営。さらに有明本社ショールームを含め、売り場面積を圧縮する計画もあるという。また、複数の金融機関との契約で50億円を上限とした融資枠を確保して、その代わりにすべての在庫商品など141億円を担保に差し入れたのです」(経済誌記者) こうした、なりふり構わずの努力もあって、大塚家具は5月公表の'18年12月期第一四半期(1〜3月)での黒字が見込まれるという。 「しかし、それも一時的な黒字という見方は消えない。というのも、'18年の1〜2月の既存店売上高は、前年同月比で10%前後のマイナスで、賃借料や人件費のコスト削減の効果を考慮しても、黒字化のハードルは依然として高い。そのため3月末、有明で開かれた株主総会には100人前後の株主が出席したが、キャッシュが18億円にまで減っているのに、1株40円もの高配当をどこから捻出するのだという疑問の声も出たのです」(株主関係者) 大塚家具は久美子氏に経営権が移った当初、“3年間1株80円”を約束し人気を博した。29年度は、さすがに80円は無理な状況となったが、それでも40円をキープする。経営難のいま、高配当に疑問が出る一方で、80円から一方的に大幅減配するのであれば、社長は退くべきとの声も上がる。 「久美子氏ら経営陣は、今後は東京五輪に向けホテルの建設ラッシュにより宿泊施設向けの家具予約が急増するため、未来は明るいと胸を張る。ただし、それは売り上げ全体の10%に満たない。こうした先行き不安の中、株主の間からは、“こうなれば勝久氏が'15年に立ち上げた『匠大塚』と再び合併し、父と二人三脚の道に戻ってはどうか”という声まで出ているのです」(同) しかし、その匠大塚も、厳しい経営環境だという。高級家具に特化する匠大塚は、'16年に春日部と東京・日本橋に開業した。 「春日部店は久美子氏の春日部ショールームに対抗するように、西武百貨店跡地を改装して東京ドームの2倍の売り場面積を確保、攻めの姿勢を見せ“春日部父娘戦争”と話題になった。しかし、業績は非公表だが、苦しい状況が続いているという」(業界関係者) それに追い打ちをかけるように、このほど勝久氏が大塚家具の社長時代から経営を支えてきた大番頭2人が別企業に移籍したという話もある。 「父は富裕層の客から見放され、娘は目標だった『ニトリ』の背中が遠くかすむ状況。大塚家具自体、このままいけば早晩経営に行き詰まり、国内外のファンド傘下に入る可能性さえある」(同) どこまで持ちこたえられるか。