このニュースを受け、4月25日に放送された『クローズアップ現代+』(NHK系)では、障がいのある人に不妊手術を強制する法律「旧優生保護法」が特集された。
旧優生保護法が作られたのは戦後間もない1948年。東京大学大学院の市野川容孝教授は「過剰人口問題に、由来する貧困をどう防ぐかというところに力点があったことは事実」と当時、日本は人口急増が問題視されており、人口増加を抑制する対策として旧優生保護法が作られたと説明する。
続けて、「『量を減らす』と同時に『人間の質を高める』目的が、この法律にセットで入っていた」と指摘。優秀な子孫を残そうとする考え“優生思想”がこの法律の背景にあった点と解説した。
また、「なぜ旧優生保護法が問題視されてこなかったのか?」という理由について、取材に当たったNHK社会部の福田和郎氏は「当事者が声を上げられなかった」と指摘。「取材をした人の中には、障がいの程度が重く、自ら声を上げられなかったり、手術のことを周りの人に言えなかった人もいました」と、取材をもとに当時の事情を説明した。
さらに、社会の関心が低かったことも法律ができてしまった理由だと説明した。福田氏は「国際的な批判を受けて、平成8年に法律をなくしました。しかし、その時、謝罪や救済が進まず、われわれ報道機関や社会がほとんど注目せず、事実が埋もれてしまった」とメディア人を含む国民が旧優生保護法に目を向ける機会を奪ったと語った。
ネット上では、「こんな法律があったなんて日本人として恥ずかしい」「差別という次元じゃない」「人権をどう思ってんだ」と旧優生保護法が生んだ弊害に怒る声が上がっていた。
宮城県の女性の動きが呼び水になったのか、4月26日には不妊手術を強制された70代の男女4人が、仙台、東京、札幌の各地裁で国家賠償請求訴訟を5月17日に起こす方針を決めた。
今後も、旧優生保護法で深い傷を追った人たちが声を上げていくだろう。