社会
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社会 2018年07月25日 15時00分
パナソニックも参入 異業種が火花を散らす民泊バトル
2020年の東京オリンピックを見据え、ホテル不足を解消するため一般住宅の空き家、空き部屋を貸し出せる住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法が6月15日にスタートした。その施行に合わせ、関連ビジネスに乗り出す様々な異業種企業の動きが活発化している。 その中でも最近、大きな注目を集めているのは、パナソニックだ。 「昨年秋に子会社化した、住宅事業部門のパナソニックホームズ(旧パナホーム)が中心となって民泊事業を進める。施設内の設備や家電はすべてパナソニックと、本体の電気部門にもプラスになるように計画されています」(ビジネス誌記者) パナソニックホームズは、これまでも投資家らの土地に介護施設などを建設して貸し出す転貸運営の実績が約100件あり、この事業モデルを民泊にも広げる計画だという。具体的にはまず、東京と大阪の中心地で施設を10棟程度建設して、土地所有者から借り上げる。運用は提携する民泊運営会社のスクイーズなどに任せ、1人当たり1泊5000円程度での貸し出しを見込んでいる。 またパナソニックでは昨年暮れから民泊元年を見越し、JR大阪駅北側の複合商業施設「グランフロント大阪」内のショールーム「パナソニックセンター大阪」に古民家再現住宅を展示するなど、PRと準備に力を入れてきた。 「和風仕様のシステムキッチンや畳の部屋など、やはり外国人観光客の受けを狙ったものを多く展示しており、多くの見学客で賑わっている」(建築雑誌編集者) パナソニックホームズは、こうした民泊事業で今年度に強気の売上高50億円を目指し、関心のある土地所有者などへの売り込みに躍起だ。 民泊に参入する異業種は、他にもある。阪急阪神HD傘下の阪急不動産は、昨年9月から阪急電鉄、阪神電気鉄道の沿線にある空き家を民泊に活用する支援を開始。パナソニックとも提携する民泊仲介サービス業社の「百戦錬磨」と連携し、リフォームや民泊の認定手続きに関する家主からの相談に乗る。 「阪急阪神HDは、一昨年あたりから空き家対策の事業を模索してきた。それが今、民泊事業として実りつつあるのです」(経営コンサルタント) 大手航空会社もインバウンド客を地方路線などで取り込んでいくことを狙い、民泊サイトとの提携を積極的に進めている。 「日本航空(JAL)は今年2月、民泊仲介サービスと資本・業務提携した。リゾート地は民泊モデル事業として有望ではあるが、施設自体が不足している。そこで鹿児島県奄美市などの自治体と連携し、エコツーリズムとして展開するという。さらに仲介サービス業者が開発、提供する民泊パック商品の開発などとも連携するといいます」(航空会社関係者) これに負けじと動き出したのは、全日本空輸(ANA)。これに子会社のLCC(格安航空会社)のピーチ・アビエーションも加わり、民泊で世界的に実績のあるアメリカのAirbnb(以下、エアビー)と業務提携した。 「エアビーとANAは、すでに共同で特設サイトを公開。そのサイトでは例えば、古民家や農家民泊、キャンプといったテーマを設けて、宿泊先を紹介している。そこを経由してエアビーで宿泊予約をすれば、マイレージクラブ会員には最大200マイル、さらに1人3000円分のエアビークーポンも配布されます」(同) また、コンビニ業界も民泊に一枚噛む。セブン-イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートは民泊施設の鍵の受け渡し業務を始めている。 「セブン-イレブンはJTB、ローソンはキーカフェ・ジャパン、ファミリーマートはエアビーと提携している。利用者が鍵を取りにくるのと返却の際を合わせれば、最低2回の来店が見込めることになりますからね。収益の確実性が高い参入方法です」(前出・経営コンサルタント) さらに保険業界でも、あいおいニッセイ同和損害保険は民泊事業者向けの新商品の販売を始めた。民泊施設の物損補償、差別的行為やプライバシー侵害、精神的苦痛を理由に事業者が宿泊者や近隣住民から訴えられ裁判で賠償を命じられた場合、支払いを補償するのが特徴だ。 「三井住友海上火災保険は、宿泊者同士のトラブルも保険対象。ほか、損保ジャパン日本興亜は、エアビーを利用した宿泊者から24時間相談を受け付けるサービスを提供し、鍵をなくしたなどのトラブルの相談にも乗ります」(保険会社関係者) 民泊新法は、違法民泊がサイトからの削除を観光庁から求められ予約が宙に浮くなど大混乱のスタートを見せている。そうした中、先を見越した異業種の参入は、功を奏するのか。
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社会 2018年07月25日 08時00分
トランプ大統領が企てる在韓米軍撤退と北朝鮮軍事攻撃
米国のポンペオ国務長官は7月6日から2日間の日程で、6月に開催された米朝首脳会談のフォローアップのために訪朝した。自身3度目となった訪朝は北朝鮮の非核化に向けた具体的な道筋を付けるためだったが、芳しい成果は得られなかったようだ。 案の定、米国は7月12日に「朝鮮戦争時の遺骨返還を巡る協議を開きたい」と申し入れたが、北朝鮮当局者は理由を明らかにしないまま欠席し、米国の用意した遺骨を収納する棺約200基は据え置かれたままとなった。これらは米朝会談の合意事項であり、トランプ大統領はいきなり顔に泥を塗られた格好だ。 「米国側が『制裁は継続する』との立場を鮮明にしたことに北朝鮮は不満だったのでしょうが、すでに米朝首脳会談の合意内容にCVID(完全で検証可能、不可逆的な非核化)を盛り込んでおらず、代わりに『FFVD』(最終的かつ完全に検証された非核化)を持ち出してハードルを下げています。『完全』でなくとも『不可逆的』でなくとも『検証できればいい』と言い出したわけですが、これにはポンペオの仕掛けた罠のニオイがしますね」(国際ジャーナリスト) 米韓合同軍事演習の一時中止に対し、北朝鮮は38度線に沿って配備している102万人に及ぶ陸上兵力の3分の2や240ミリ多連装ロケット、170ミリ自走砲を一部たりとも撤去していない。また、核実験施設の坑道を破壊しているものの、それは入り口だけであり、“穴掘り”が得意な北朝鮮であればすぐに回復できる。 しかも、過去数カ月の間に複数の秘密施設で高濃縮ウランを増産したという米国情報機関などの分析もある。北朝鮮には大量のウラン埋蔵があり、高濃縮ウランによる核兵器をより大量に生産できるという利点があるからだ。 さらに、別の衛星写真では弾道ミサイル製造拠点の大幅な拡張工事を完了させつつあるという。ここでは固体燃料ロケットエンジンなどが製造されており、これらは交渉の戦術というより、核ミサイル開発を諦めていない証拠と見るべきだ。 ポンペオ長官がこれらの情報を把握していながら北朝鮮に譲歩し続ける理由は何か。トランプ大統領の選挙対策もあるだろうが、北を増長させ、つけ上がらせるのが狙いではないか。 「ポンペオは米朝会談後『非核化交渉は2年半かかる』と発言していますが、実はこのメッセージが意味深なのです。実際には2年半という短期間に『完全な非核化』など達成できるはずがない。2020年夏から秋にかけてトランプは再選を狙う戦いに入りますが、勝つためには劇的な成果を必要とします。再選を果たすためには北朝鮮の完全屈服、それができなければ戦争が起こる可能性が高い。すぐにではありませんが、トランプは在韓米軍の撤退を表明しています。すでに韓国を見限っており、2年半後、在韓米国人が帰国となれば安心して北朝鮮攻撃に移れるのです」(同) 北朝鮮がポンペオ長官の姿勢に反発し、核ミサイルの開発を続けるならば、「北朝鮮が約束を反故にした」としてトランプ大統領がより厳しい姿勢を示してくる可能性もある。そのとき、米朝関係には再び緊迫する場面が訪れる。 実は、在韓米陸軍の現況は人員1万9000人余、戦車約90両、攻撃ヘリ約60機。一方、米空軍は約8000人、F16戦闘機約40機、A10対地攻撃機24機という至って小規模な部隊でしかない。 「そもそも米国にとって、戦略的な要衝ではない韓国との同盟は価値がありません。カネはかかるし、余計な紛争に巻き込まれるリスクもある。朝鮮有事の備えは、陸海空で北を圧倒する軍事力を持つ韓国軍に任せておけば大丈夫なのです」(軍事アナリスト) 陸海合わせ1990年に4万4000人だった在韓米軍が、現在では2万7000人に削減されている。事実上、韓国から撤退しつつあるのだ。問題は“飛び道具”だが…。 「北朝鮮が昨年12月に実施した大陸間弾道ミサイル(ICBM)実験は、米国本土の大半を射程に収めていると各国政府や専門家は指摘しています。ただ核弾頭が標的目掛けて地球の大気圏に再突入するために必要な技術を、北朝鮮はまだ完成させていないと多くの専門家が見ています。最低に見積もってICBMの完成にはあと2年半はかかる。もし完成させたら、それは北朝鮮の最期となるという意味で、ポンペオは『2年半』と言ったのです」(同) 北朝鮮にとって核・ミサイルは“伝家の宝刀”だ。軍事常識から言えば、可能な限りそれらを持ち続けようとするだろう。中でも、近隣に到達可能な中短距離ミサイルは移動式の発射台から発射されており、日本が受ける脅威は1ミリも減っていない。 明治以降の日本の国防戦略の中核には朝鮮半島問題が常にあった。日清・日露の両戦争が起きた根底もまたしかり。半島情勢から目が離せない状況は、半年前と何ら変わっていないのだ。
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社会 2018年07月24日 21時30分
又吉イエスさん死去 過激なフレーズで知られたが、私生活は真面目だった?
政治活動家の又吉イエスさんが7月20日に亡くなった。74歳だった。所属する世界経済共同体党のサイトでは、7月23日に「かねて病気療養中のところ、2018年7月20日左腎がんのため逝去いたしました」と報告されている。 又吉さんといえば、演説時の甲高い声や、対立候補を批判した「腹を切って死ぬべきである」といった過激なフレーズがよく知られる。選挙にやたら出てくる変人の政治活動家といったイメージがあるが、私生活はいたって真面目な人物として知られる。 「又吉さんの主張の骨子は、資本主義経済や物質文明に対する批判です。競争社会による格差の拡大をとりやめて、公平や平等の原則に基づいて新たな経済共同体と作り出そうというもの。さらに、民主主義も好き勝手ややりたい放題を助長していると批判的でした。又吉さんが目指していたものは、簡単に実現できるものではないでしょうが、ひとつの理想論であり、文明批判としても機能していたでしょう」(政治ジャーナリスト) 又吉さんが有名になったのは、2003年の衆議院議員選挙で東京1区より立候補してからであろう。それまでは出身地の沖縄で活動していた。 「2度沖縄県知事選挙に立候補したほか、名護市長選挙、宜野湾市長選挙など各地の選挙に出馬していました。私生活では自動車販売業を経て、学習塾を経営していました。小さい塾だったようですが、ていねいな指導で評判は良かったようですね。このほか、普天間基地内に土地があるため補償金による収入もありました。1997年に世界経済共同体党を設立、2003年には本部を東京へ移します。活動資金を一円単位でウェブ上で公開するなど、真面目なキャラクターとして知られましたね。ネットの書き込みだと、大学の講演会で女性参加者から握手を求められると『愛する妻がいるので』と断ったエピソードも披露されています」(前出・同) 筆者の思い出としては、東京都内でたびたび、演説の声を流した世界経済共同体党の車に遭遇した。よく見ると運転しているのは又吉さん本人であり、演説時とは異なる素朴なイメージに驚いた記憶がある。又吉さんのご冥福をお祈りしたい。
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社会 2018年07月24日 19時00分
国内最高気温記録を更新、都内初の40度超え! 日本はなぜこれほど暑くなった?
7月23日は全国各地で気温が上昇し、埼玉県熊谷市で41.4度を記録し5年ぶりに国内最高気温を塗り替えた。このほかにも東京都の青梅市で40.8度を記録し、東京都内では観測史上はじめて40度を突破した。 日本の夏は高温多湿であるため、カラッとした乾いた暑さとは異なる。そのため、日本を訪れる外国人観光客も「自分の国より暑い」と感じる人も多く、中には熱中症になってしまう例もあるという。 これまで日本の歴代最高気温は、1933年7月25日に山形県山形市で記録された40.8度が最高であった。涼しいイメージの東北地方で高い気温が観測されたのは、山の斜面から暖かい空気が移動するフェーン現象によるものだ。しかし、2007年8月16日に岐阜県多治見市と埼玉県熊谷市で40.9度が記録され最高記録を更新。2013年8月12日には高知四万十市の江川崎で41.0度が記録されていた。長らく破られていなかった最高気温記録が次々と更新されるのには、独特の事情もあるようだ。 温度計の設置場所は熱源と接していない地面上1.5メートルと定められている。ただし、現代の都市部の地面は大部分がアスファルトに埋め尽くされているため、周辺の環境の影響を受けやすい。アスファルトがそばにある場合は、植物を植えるなどの対策も取られているが、それでもまったく影響なしというわけにはいかないだろう。 さらに、気温は風が吹くことによって低くなる。都市部では高層ビルの影響で風が吹かず気温が上昇する背景もある。実際に汐留地区に高層ビルが建ったため、海風が入らなくなり内陸部の気温が上昇していると見る声もある。都市部はこれからもどんどん暑くなって行くのかもしれない。
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社会 2018年07月24日 14時00分
9月総裁選に大番狂わせ! 石破茂氏が目論む逆転への秘策
9月の総裁選は、どうやら安倍晋三首相(党総裁)と石破茂元自民党幹事長の一騎打ちになりそうな気配だ。 7月14日、石破氏が『政策至上主義』(新潮新書)を出版した。秋の総裁選に向けた“政策集”の意味合いが強く、事実上の出馬宣言とも言える内容だ。総裁選はこれまで、安倍首相優勢との見方が強かったが、ここへ来て永田町界隈では、石破氏の逆転の芽が出始めているとの声が高まりつつある。 安倍首相は自民党衆参議員405人のうち、自派の細田派94人を筆頭に、麻生(副総理兼財務相)派、二階(幹事長)派、菅官房長官がまとめる無所属議員も加わり、過半数超えの230票前後を固めたと言われる。これに対し他候補は、岸田文雄政調会長に不出馬の可能性が高まったと見られ、野田聖子総務相も推薦人20人を集められるかどうかも微妙。小泉進次郎筆頭副幹事長においては今回の出馬は見送る可能性大だ。 「こうなると、現時点で事実上は首相と石破氏の一騎打ちになるが、石破氏は自派の20人からなかなか伸びてない。しかも首相は地方票獲得にも力を入れ、目標の60票を超えたとされる」(政治部記者) 各マスコミによる「次期総裁に誰がいいか」の世論調査でも、石破氏は安倍首相に大差をつけられているのだが…。 「それでも、石破氏攻勢の声が強まっているのは事実。自民党支持層の中でも、森友・加計問題を巡って首相にノーを突きつける向きは健在で、首相支持が多いのは、経済面が持ちこたえ、他に致命的な欠点が見られなかったからです。ところが、200人以上の犠牲者が出た西日本豪雨の真っ最中、首相を筆頭に議員宿舎で行われた『赤坂自民亭』でのドンちゃん騒ぎが大炎上し、地方では批判が爆発。加えて、米中貿易摩擦が暗い影を落とし始めていることが、一気に状況を変えつつあるのです」(自民党議員) そうしたことが、もともと自民党内部にくすぶっていた来年の統一地方選や参院選への不安に火をつけ、「安倍では勝てない」という空気が蔓延しているのだという。 「そんな中、石破氏は逆転への秘策を着実に練り進めている。一つは、今回の出馬を見送るとの見方がある進次郎氏の支援。二つ目は、竹下派と岸田派の支援。石破氏は竹下派の影のオーナーである青木幹雄氏、岸田派名誉会長の古賀誠氏との接触を重ね、いよいよ石破支援に傾かせたとの情報も流れている」(同) 石破氏が想定する数字を得られるかどうかは、無派閥議員に影響力を持つ小泉進次郎氏から支持を得ることができるかどうかがカギをなっている。ちなみに小泉氏は、24年の総裁選では石破氏に投票している。 うだる暑さの中、両陣営の綱の引っ張り合いが始まった。
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社会 2018年07月24日 08時00分
大地震と集中豪雨ダブル急襲 経験したことのない最悪事態に備えよ!
全国14府県で死者が200人を超えるという、未曾有の自然災害となった西日本豪雨。しかし、今や日本を襲う天変地異は気候変動による大雨だけではない。南海トラフを始めとした巨大地震も秒読みと見られる中、双方が同時に発生する可能性もあるのだ。 気象庁が正式に命名した今回の「平成30年7月豪雨」は6月28日以降、西日本を中心に北海道、中部地方など広範囲にわたり被害をもたらした。 「まず太平洋高気圧の影響で北海道に停滞していた梅雨前線が大雨をもたらし、この梅雨前線が7月5日から南下。九州から中部地方に停滞したところに、東シナ海からの湿った南東風、太平洋高気圧回りの湿った南風が合流したことが、大雨をもたらしたのです」(気象庁関係者) 各自治体の集計によれば、住宅の全半壊などは16府県で776棟、床上・床下浸水は29道府県で2万3374棟。土砂崩れや橋が流されたことにより、鉄道や高速道路なども各地で寸断が続いている。豪雨時、愛媛県などの6府県のダムでは、水量が満杯に近づいたことから緊急的に放流する「異常洪水時防災操作」も行われていたことが分かっており、想定を越えた雨量だったことが窺える。 「これだけの広域被害が出たのは、東日本大震災以来のこと。降雨を原因としたものでは初めてのケースではないでしょうか」 とは、防災ジャーナリストの渡辺実氏。 死者100人超えは、平成での豪雨災害としては最悪。昭和まで遡っても、1982年の長崎大水害(死者・行方不明者299人)以来最悪となったが、気象状況の面では、昨年7月に起きた福岡県・大分県を中心に被害が出た九州北部豪雨とメカニズムは同じだという。 「湿った空気の通り道が今回の方が広かったことで、広域にわたり被害が出てしまったのです。はっきりしていることは、地球温暖化により、こうした大雨は確実に増え続けているということ。日本では過去に何度も水害が発生し、その度に治水対策を行ってきましたが、もはや追いつけない状況に来ているのが実態なのです」(前出・気象庁関係者) '14年8月にも広域にわたって豪雨が襲い、広島市安佐北区では土砂崩れが多数発生、隣の安佐南区を含め77人の犠牲者が出た。しかし、今回もその経験は生かされず、被害者が続出した。 「4年前の被害を経験に、広島県では土砂災害の危険区域を特別警戒区域に指定することを決めていたが、公表に至ったのが今年5月。8月から地元説明会を開き、その後、指定する予定でした。今回、土砂災害が発生した場所は警戒区域内にも入っており、一歩遅かったわけです。調査や地元住民の説得も含め、時間はかかるものの各自治体のスピーディーさが求められている」(地元記者) いずれにせよ、降雨量、その範囲ともに、気象庁が発表した「数十年に一度、これまでに経験したことのない」想定外の大雨は、今後も増え続けるだろう。 「できるなら、国民全体が生きていく心持ちとして、常に災害モードのスイッチをオンにしておくべきです。今回で言えば、例えば、岡山県倉敷市の真備町。ここは2本の川に挟まれ、背後に崖を背負っている非常に危険な地域です。避難準備情報で逃げている方は助かったが、“うちは大丈夫”と構えていた方が多く亡くなっているそうです。私は天地動乱の時代という言葉をよく使います。東日本大震災を例にとるまでもなく、いつこうした豪雨や地震、火山の噴火に見舞われても不思議ではない」(渡辺氏) その地震でも、6月18日には大阪北部地震が発生し、7月に入ってからも7日に千葉県北東部で震度5弱が発生、いつ起きてもおかしくないとされる巨大地震に向け、予断を許さない状況が続いている。 「大阪北部地震、千葉北東部での地震の震源地は、ともに中央構造線付近で起きている。この流れは一昨年の熊本地震から続いており、今年は5月25日にも長野県北部で震度5強、6月17日にも群馬県南部で震度5弱が発生している。こうした地震が、やがて巨大地震につながる可能性が指摘されているのです」(サイエンスライター) 中央構造線は、九州から関東まで、日本列島を縦断する大断層だ。この付近のどこかで大きな地震が起きると、離れた別の場所でも大きな地震が起きるとも言われている。 例えば、1596年に京都府付近で起きた慶長伏見地震(M7)の前日に起きた大分県を震源とする慶長豊後地震(M7.0〜7.8)、その3日前に愛媛県を震源として発生した慶長伊代地震(M7.0)などで、これらはすべて中央構造線を介した連動型の地震の可能性が指摘されている。 「中央構造線は、関東地方では群馬県の下仁田から埼玉県中部の比企丘陵で地上に露出し、茨城県の鹿島灘まで抜けていると見られていますが、その間の関東平野では地中にあり、埼玉県岩槻の南を走っていること以外は詳細が分かっていない。そのため周囲の活断層との関係から、首都直下型の巨大地震を引き起こす可能性も指摘されています。さらに、中央構造線付近など、内陸部で発生する大きな地震の後に南海トラフ巨大地震が起きるとされ、今はまさに危険な状態にあると言われているのです」(同) 最近の南海トラフ巨大地震では、1944年の昭和東南海地震(M7.9)の前年に鳥取地震(M7.2)や長野県北部地震(M5.9)などが起きている。さらに、そうした南海トラフ巨大地震の前に発生した内陸地震の一つとして、'95年の阪神・淡路大震災(M7.3)を挙げる地震学者もいるほどだ。 そうした中、地震学が専門で武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏は、こんな不気味な指摘をする。 「雨が降ると地震が起きやすくなると言われますが、これは世界的に見ても本当のことです。大西洋中央部のポルトガル領、アゾレス諸島という火山島では、雨が降ると地下のひずみになっている部分に水が浸み込んでいき、それが地中で水蒸気爆発を起こし地震がよく起こることが知られています。つまり、雨が地震を誘発するということ。日本では水害と地震が重なるという例は過去にありませんが、起きたとしても何ら不思議ではないのです」 島村氏が指摘するほか、専門家の間では地震と雨の関係について、2009年の台湾での地震(M6.4)と7カ月前に襲った台風、'10年にハイチで起きた巨大地震(M7.0)と18カ月前のハリケーン襲来、日本では'04の新潟中越地震と直前の台風による大雨などが当てはまると言われている。 その仕組みについては、水の浸み込みの他にも、台風の場合、気圧の変化が引き金となって地震のエネルギーが放出されるとの見方もある。 「集中豪雨が襲った山間部の地域で、もし大地震が発生したとすると、土石流が止まって住民が安心しているところへ、地震の揺れによる新たな土石流が発生し、犠牲者が出る。溜池などは、何とかもっている堤防が決壊して水が流れ出す。平地でも、豪雨によって建物の基礎の部分がよれよれの状態だとすると、そこへ大地震が加わり潰れてしまうでしょう」(渡辺氏) そうした光景が起こりうることを、肝に銘じておかなければならない。
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社会 2018年07月23日 19時05分
自民党女性議員 子供のいない安倍総理を蔑むような暴言を吐いて大騒動
自民党の国会議員がまたまた物議を醸しそうなことを主張している。発言の主は杉田水脈衆議院議員で、月刊誌『新潮45』誌上に「『LGBT支援』の度が過ぎる」というタイトルで寄稿。LGBTカップルに税金を使うことについて「賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」と持論を展開し、その内容に多くの批判が集まった。 立憲民主党の尾辻かな子議員からツイッターで、《杉田水脈自民党衆議院議員の雑誌『新潮45』への記事。LGBTのカップルは生産性がないので税金を投入することの是非があると。LGBTも納税者であることは指摘しておきたい。当たり前のことだが、すべての人は生きていること、そのこと自体に価値がある。》 と反論。それに反応した杉田議員は、《尾辻先生、税金を投入する=福祉を活用する人=社会的弱者です。LGBTの方々は社会的弱者ですか? LGBTの方々でも、障害者の方は障害者福祉を低所得者の方は低所得者福祉を高齢者の方は高齢者福祉を受けられます。年金も生活保護も受けられます。当たり前のことです》《その点に於いて日本の中で何ら差別されていないし、また差別すべきではないと思います。納税者として当然の権利は行使できます。その上で、何かLGBTの方々だけに特別に税金を注ぎ込むような施策は必要ですか?》 と反論に答えた。 この杉田議員反論に対しては「納税の話ではないですよね? もっと『生産性がないから(子供を作れないから)』という理由を強調した方がいいのでは。LGBTに対する政策を考える上で、まともな政治家でそこに踏み込んでいる人間はいないだろうから。」「そもそも子供を作るだけが生産性ですかね? 税金納めて、経済回して、子供が育つための環境を下支えすることも生産性だと思います。そして、生まれつき普通の生殖ができる人間がそれをできず苦しんだ人間を生産性がないと切り捨てるように言っちゃうのは政治家として未熟と思います。」 などと多くの批判が集まった。 匿名掲示板でも同様で、「心の中で思っていてください」「気持ちは分かるけど、政治家なら口に出したらだめだよね」「生産性って子供産むことだけなの? 労働して税金納めてるのも生産性でしょ。この人の言い分だと、独身や子供いない夫婦も生産性がないってことになるけど? こんな人が議員してるなんて…」 と、杉田議員に厳しい声が目立つ。 果たして杉田議員は、子供のいない安倍総理にも同じことを面と向かって言えるのだろうか。
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社会 2018年07月23日 19時00分
煽り運転の末、追突し「はい、終わり」と発言 40歳男に殺人罪適用へ
大阪府堺市南区で、前方を走るバイクを煽った上、衝突してバイクの運転手を死なせたとして逮捕された40歳の男が殺人罪で起訴されることが判明。犯人のあり得ない行動が明らかになり、怒りの声が広がっている。 報道によると、事件が発生したのは7月2日。堺市南区の府道を時速60キロ程度で走っていた大学生に対し、乗用車の40歳の男が煽り運転をし、最終的に衝突。大学生は転倒し、頭の骨を折って死亡した。 警察の取り調べに対し当初、男は「あえてぶつけたのではない」などと供述。あくまでも事故であるとして、「煽り運転」を明確に否定した。しかし警察は故意性があるとして、男の車に搭載されていたドライブレコーダーや付近を走っていた車のレコーダーを解析するなどして捜査していた。 23日になり、その詳細が判明。男が60キロで走行していたところをバイクが追い抜き、それに立腹し急加速。パッシングする、クラクションを鳴らすなどして約1キロにわたりバイクを追い続け、100キロのスピードで追突したことが、映像によって立証された。 さらにこの男は衝突したあと、「はい、終わり」と発言したことも確認。この言動は明確に殺意があり、衝突を済ませて「終わり」と発言したとも解釈できるだけに、警察は「殺意があった」と判断。殺人罪を適用する方針だ。今回のように煽り運転事件で殺人罪が適用されることは極めて異例の事態と言える。 煽り運転は全国各地で発生しており、社会問題化している。昨年は東名高速道路で煽り運転をした上、無理矢理停車させられた車にトラックが追突し夫婦が死亡する事件が発生。さらに今年に入っても、医師が乗ったポルシェがバイクを追い回し、車をぶつけ負傷させるなど、全国各地で卑劣な煽り運転が発生している状況だ。 このような行為は明らかに故意に相手を負傷させる目的で行っており、殺人罪の適用は当然のことのように思える。 煽り運転を撲滅する意味でも、卑劣な行為で大学生を死なせた男に、厳罰を下す必要があるのではないだろうか。
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社会 2018年07月23日 14時00分
WHOが「疾病」に認定したゲーム依存の危うさ
世界保健機関(WHO)は先頃、改訂版国際疾病分類に、極度のゲームへの依存状態を「ゲーム障害」として明記した。 「疾病としての正式決定は、来年5月のWHO総会となる。現行ではネット依存症に病名がないため、『その他の習慣及び衝動の障害』と診断せざるを得ません。病名がなければ予算も受けられないため、原因、予防、治療法などに関する研究は進みませんでした。今回の決定で、医療ネットワークの充実が期待されます」(医療ジャーナリスト) 厚労省の調査では、成人の約421万人、中高生の約52万人がゲームなどのネット依存症の恐れがあると推計され、その低年齢化も顕著だという。 「30、40歳代も増えており、全体的に年齢幅が拡大する傾向にあります。依存症の90%はゲーム、それも、ほぼすべてがオンラインゲームです。使っている機器としては、依然、パソコンや専用ゲーム機が多いんですが、スマホもここ数年で急速に増え、およそ40%に達していると言われます」(ゲームライター) 「ゲーム障害」では、不活動による体力の低下も見られ、足のかかとの骨密度が、性・年齢を調整した標準値に比べると平均で90%程度まで低下しているという実態報告もあるという。 「それだけではありません。ギャンブル障害と同様に、脳の理性をつかさどる機能の低下、依存対象を連想させるものに対する過剰な反応、快刺激に対する低反応などが報告され、これらはアルコールや薬物などの物質依存と共通している。こうした問題提起に対し、米エンターテインメントソフトウェア協会は、WHOの疾病認定に非難声明を発表している。日本でもIT産業やゲーム業界は、現在の日本経済を支える成長産業となっており、ゲームそのものを問題視する方向は避けたいところでしょう」(同) 我々ユーザーの意識が重要になってくる。
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社会 2018年07月23日 08時00分
天下の猛妻 -秘録・総理夫人伝- 福田康夫・貴代子元夫人(上)
憲政史上初の「親子総理」として誕生したのが、この福田康夫であった。父親は田中角栄元首相と熾烈な「角福総裁選」を争い、敗れはしたが、のちに首相の座に座った福田赳夫である。 元々、康夫は政治家になるつもりはさらさらなかった。麻布中・高から早稲田大学政経学部に入り、卒業後は丸善石油(現・コスモ石油)に入社、サラリーマンの道を歩むつもりであった。しかし、福田家の事情が変わった。父親の赳夫は自らの後継に次男・征夫を考えていたが、征夫が赳夫の秘書を務めるさなかに病気となり、後継者になるのが難しくなった。 ために、やむなく康夫が17年間勤めたサラリーマンを捨てて征夫のあと釜の秘書となり、赳夫の政界引退とともに群馬県での地盤を引き継ぎ、初出馬初当選を飾ったものだった。平成2年(1990年)である。 妻となるべき貴代子との出会いは、まだサラリーマン時代にさかのぼる。貴代子は元農相の孫娘、元衆院議長の姪にもあたり、義兄が毎日新聞の福田(赳夫)番記者だったことから、それが縁で福田家とは知らぬ間柄ではなかった。 貴代子は東京学芸大学付属高校から慶応大学文学部心理学科に入り、卒業の際は日航(JAL)のスチュワーデス(CA)志望だった。すでに内定通知は受けていたが、念には念と思ったか、実力者の福田赳夫のもとを訪ね、日航入りを相談したのだった。そのときの模様は、次のようなものだったらしい。 「赳夫もその三枝夫人も一目で彼女を気に入ってしまい、『スチュワーデスでなく、息子のところに就職してくれないか』と頼んだのです。康夫もまた一目惚れ。結局、彼女は日航の内定を蹴って康夫に“永久就職”を決めたというわけです。康夫は、彼女にこう言ったそうです。『僕は政治家にはならないから』と」(元福田派担当記者) 貴代子は高校時代はバレーボール部に所属した身長170センチのスラリとした女優の檀ふみ似で、和服を着せれば“和服美人”が際立っていたとされる。一方で腰が低く、如才のないエネルギッシュな社交家の一面もあったから、政治家夫人としてドンピシャということだった。 一方の康夫はと言えば、超のつく堅物サラリーマンだった。元福田派担当記者など関係者の“堅物エピソード”は、溢れるほどあり、次の如しである。 「サラリーマン時代の同僚の話では、入社後しばらくは寮生活を送っていたが、寮ではクラシック音楽を聴きながら歴史小説をよく読んでいたそうだ。かと言って、同僚との付き合いが悪いというわけではなく、飲みに誘えばよく付き合っていたとされる。ただし、2次会にカラオケを誘ってもノーで、同僚の飲み代も含めてさっさと勘定を済ませて帰ってしまったそうです。当時、流行っていたキャバレーにも誘ったが、もとよりすべて断っていた」 「“地味キャラ”は、政治家になってからも変わらなかった。スーツは紺とグレーを交互に着、ワイシャツも白だけ。ネクタイも10本ほどしか持っていない、いわゆる“ドブねずみファッション”で通していた。要するにマイペース。ために選挙区でも飄々としており、“康夫人気”が爆発することはなかった。“飄々選挙”で楽勝だったのは、偉大な父親の遺産と、貴代子夫人によるものが大きかったということだった」 選挙区での“貴代子人気”は、なるほど抜群のようであった。これには、地元関係者の証言が多々ある。 「康夫先生は泥臭い選挙活動は苦手のうえ、ほとんど東京にいてあまり地元に帰って来ない。まぁ、元々、政治家にはなりたくない人だっただけにやむを得ません。それを補ってあまりあるのが貴代子夫人だった。地元では、“綺麗な人”で知られていた。そのうえで、垢抜けしている。支持者への挨拶回りなど、愚痴も言わずにひたすら笑顔、これを1日200件くらいやったこともある。田植の時期などは、長靴をはいてわざわざ田んぼの中にも入って支援者と握手もする。支持者は大感激で、悪く言う人はまずいませんでした」 「スゴイと思うのは、東京から選挙区の高崎まで、定期券を購入して頻繁に地元に帰ってくることです。決まって髪はアップ、地味なスーツ姿が多いが、持ち前の華やかさですぐ周りが明るくなる。康夫先生の選挙はすべて貴代子夫人任せ。夫人の存在がなければ、その後の先生の出世もなかったと見ている。最たる“献身妻”と言っていい」 福田については、語り口はソフトだが、一方で「プライドが高い」「唯我独尊で政界での真の友人がほとんどいない」「皮肉屋で冷淡」との評もあった。しかし、この「政治家になりたくなかった男」に、突然、首相の座が巡ってきた。いささか慌てた福田だったが、「新ファーストレディー」たる貴代子はデンと構えたものであった。=敬称略=(この項つづく)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材48年余のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『決定版 田中角栄名語録』(セブン&アイ出版)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。