社会
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社会 2018年11月12日 18時30分
『ユニクロ』VS『ZOZO』アパレル業界の覇権を握るのはどっち?
製造から小売りまでを一貫して行う小売業を「SPA」と呼ぶ。アパレル分野を中心として、小売業が製造の分野まで踏み込み、自社のオリジナル商品の開発を行うという意味だ。 アパレルは好調と不調を繰り返し、販売予測の難しい業種だが、最大手の『ユニクロ』は、まさにSPAの代名詞的存在。そのユニクロに、新たなSPA型企業が対峙しようとしている。本業より社長のプライベートの方がやかましい『ZOZO』だ。 着用してスマホで撮影するだけで体型が測れる『ZOZOSUIT』(ゾゾスーツ)の無料配布により、本格的にSPAへの参入を試みている。一方、SPAの代表として先頭を走ってきたユニクロは、Eコマースを強化し「情報製造小売業」になることを宣言している。 舞台は「オンラインSPA型」に移った。そこを主戦場とする両社の衝突は避けられそうにない。 ZOZOの設立は1998年で、ZOZOTOWNが開設されたのは04年のこと。ZOZOTOWN は、有名ブランドを囲い込むことで急成長を遂げた。売上高は直近の10年で約10倍となっている。「これまでのZOZOのビジネスモデルは、外部の販売者がアパレルを販売するための『場』の提供でした。各ブランドがZOZOTOWNのページに商品を掲載し、売れたら販売者から手数料を得る。在庫リスクを負わない上、手数料率は約35%と推定され、旨味の大きいビジネスとして急成長したのです。このビジネスモデルでは、当然『Amazon』もライバルとなりますが、アパレル分野の開拓はまだ進んでいない。また競合他社に『SHOPLIST』や『MAGASEEK』などがありますが、ZOZOは商品取扱高でそれらに10倍以上の差をつけて圧倒しており、これだけ差が開いてしまっては2位以下が追いつくにことは容易ではありません」(流通ライター) ZOZO が挑戦するEコマースアパレルにおける最大の課題は、服のサイズ感の問題だ。リアル店舗とは異なり試着ができないため、届いてみてから「違うワ」ということになってしまいかねない。むろん返品もできるが手間がかかる。その懸念は的中した。 「ゾゾスーツは今年1月以降、ジーンズやシャツなど商品のバリエーションを拡充してきましたが、4〜9月末までの累計売上高は6.5億円で、計画した約16億円には遠く及びませんでした。ゾゾスーツは想定を上回る注文をこなし切れず、商品の発送が遅れているのです。遅延のお詫びとして500円分のクーポンが送られていますが、この信用棄損を取り戻すのは容易ではありません」(同・ライター) 一方、ユニクロは国内だけに飽き足らず、海外へも積極的に進出し、18年8月期の第3四半期では、海外ユニクロ事業の売上収益が国内ユニクロ事業を上回った。国内では安定しており、海外でもグレーターチャイナ(中国・台湾・香港)を中心に売り上げは右肩上がり。ジーユーなどのサブブランドの浸透も進んでおり、現在のところ死角はないように見える。 「唯一の弱点がEコマースです。同社のネット販売は使い勝手が悪く、店舗の補完にすぎません。E分野の売上高は17年8月期に487億円と、商品取扱高2705億円を誇るZOZOに大きく後れを取っています」(同) 本気を出してしまえば、知名度と信用度抜群のユニクロに有利か。
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社会 2018年11月12日 18時15分
韓国で日本企業就職面接会が盛況…「強制連行された」と言い出さないか心配!?
日本でもネット上の“パワハラ映像”が話題になった韓国のIT企業『未来技術』のヤン・ジンホ会長。 同社は悪名高い企業だったが、それでも若者の就職難が社会問題になっている韓国では、曲がりなりにもIT企業だけに、就職できるだけマシという見方も出ている。 そんな中、日本企業への就職を希望する学生などを対象にした就職面接会がソウルで開かれた。韓国の雇用労働省などの主催で、日本からITや観光、製造業など100社余りが参加した。 「韓国では10月末、太平洋戦争中の『徴用工』を巡り、韓国の最高裁判所が日本企業に賠償を命じる判決を出しています。これについて韓国の主催者側は『このイベントを準備する中で影響は特になかった。今後も引き続きイベントを行うなど日本との交流を続けたい』と述べたいました」(通信社記者) 果たして、本当にそうだろうか。 「難癖は朝鮮半島に棲む人々の性根です。韓国の大法院(最高裁)は、韓国人の元徴用工に対し、1人当たり1億ウォン(約980万円)を支払うよう新日鉄住金に命じていますが、この判決の奇妙さは『原告は未払い賃金や補償金を求めているのではなく、慰謝料請求権を求めている』とし、これを認めたことにあります。この判決が卑劣なのは、原告を『徴用工』ではなく、『強制動員の被害者』と述べている点で、『損害賠償』ではなく『慰謝料の支払い』を命じていることです。慰謝料とは、一般的に精神的苦痛に対する支払いです。つまり、原告は『慰謝料』なら労働の実態などの事実関係が争点になりにくいと考えたのでしょう。『未払い賃金』と『補償金』が訴因では、勝訴できないから『強制したことへの慰謝料』を請求したわけです」(法曹関係者) 徴用工とは「徴用令」に基づいて選別され望んで来日した朝鮮系日本人工員のこと。原告はそれ以前の「募集」や「官斡旋」に応じて新日鉄住金(当時の八幡製鉄)で働いた人たちだ。 ある八幡製鉄の元日本人工員はこう回想している。「1943年か4年でしたか、朝鮮人ブローカーから斡旋され、八幡製鉄で働いていた朝鮮系の同僚が何人かいました。彼らには、日本が敗戦した後、帰国命令が出された際には退職金が出ています。送別会で餞別も渡されています。もちろん使用者側も本人も強制労働という認識はありません。結局、知人の1人は帰国したものの、職がないために密航して再び日本に来ました。再会しています。その後は在日韓国人1世として生きています。むろん子どもたちにはやむなく、強制連行されたと話しているそうです」 今回の大法院の判決は“日本は朝鮮半島に関わると裏切られる”との歴史の教訓を再確認させた。日本企業はまた韓国人に騙されるつもりなのか。
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社会 2018年11月12日 18時00分
新橋資産家女性変死にも関与か? 積水ハウスを騙した地面師グループの闇
積水ハウスの地面師事件で逮捕された佐藤隆容疑者(67)と秋葉紘子容疑者(74)、フィリピンに逃亡した主犯格のカミンスカス操容疑者(58)の3人が“もう一つの事件”に関わっている疑いが強まってきた。前号でも触れた「新橋資産家女性失踪事件」のことだ。 2016年10月、当時60歳だった女性Tさんの遺体が一部白骨化した状態で見つかった。発見場所は、東京・港区新橋5丁目に建つTさんの自宅と隣家の間の狭い通路。遺体に外傷はなく、警察は当初、「事件性なし」と判断していた。 「しかし、Tさんは同年3月から、ほとんど自宅に戻っておらず、心配した近隣住民が捜索願を出し、警察は2度にわたってTさんの自宅を家宅捜索していたんです。そのときに発見されなかった遺体が、なぜか10月になってほぼ白骨化して見つかったわけです。近隣住民たちは、それまで異臭などはなかったと証言している」(取材した事件記者) Tさんは、虎ノ門と新橋をつなぐ通称「マッカーサー道路」の開通によって地価が上がっていた周辺の土地(推定総額15億円以上)を所有していた大地主。 「一帯の地上げを行っていたのは、新橋の雑居ビルに入る『K』という会社だが、資金繰りに詰まって元暴力団組長に金を借り、会社を乗っ取られた。カミンスカスはその組の関係者で、佐藤は『K』の元代表。秋葉はTさんに成りすましたとみられている」(同) 生前、Tさんは「私は土地なんか売ってない。印鑑もついてない」と言っていたにもかかわらず、彼女の土地は目まぐるしく所有権が移転され、最終的にK社からN社に売却された。しかも、住所も勝手に大田区に移されていた。「もともとTさんは変わり者で、人付き合いを嫌って都内の高級ホテルを転々としていた。本人は自覚していなかっただけで、途中からは、そうしたホテルで、取引が済むまで地面師たちの監視下に置かれていた可能性もある」(捜査関係者) 積水同様、この事件にも、服役中の大物地面師Uの影がちらついているという。 「新橋の案件が進行している頃、Uは保釈金を払ってシャバにいた。2課は、Tさん他殺の可能性も視野に入れている」(全国紙記者) その2課は、現職幹部から事前に情報が漏れてカミンスカスの国外逃亡を許した、との疑惑報道で激震中。こんな状態で、新橋の事件まで解明できるのか…。
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社会 2018年11月12日 12時00分
恐怖の“負の食物連鎖”微小プラスチックが人糞から検出
ヒトから魚介類へ、魚介類から人間へ…恐怖の“負の食物連鎖”が始まった。日本の周辺海域を漂う海洋プラスチックは、北太平洋の16倍、世界の海の27倍と多く、マイクロプラスチック(以下MP=微小なプラスチック片)のホットスポットだと言われている。MPはいったん海に流出すると、魚介類の体に取り込まれる。それらの魚や貝類を日常、人が口にしている。これが、ついに人間の便からも検出された。いま、MPが、重大な環境汚染として世界的に社会問題になっている。 「MPは大きさ5ミリ以下の微小片で、海に流れ出たプラスチックごみが紫外線や波の力で細かく砕けたものや、プラ製品の原料となる『レジンペレット』、歯磨き粉や洗顔料にスクラブ(研磨剤)として含まれる小さな粒の『マイクロビーズ』などがあります」(サイエンスライター) 流木や海藻なら、微生物などの働きでやがては分解され、二酸化炭素や水などに戻るが、プラスチックはいくら小さくなっても消滅することはない。 「オーストリア環境庁とウィーン医科大の研究で判明しました。日本やイタリアなど8カ国の33〜65歳の男女の便を調べたところ、全員の便に0・05〜0.5ミリメートルの大きさのMPが入っていた。平均で便10グラム当たり20個のMPが見つかったそうです」(同) 健康への影響については現時点では不明だが、MPにPCBやダイオキシンなどの有害物質が付着し、人間の体内に取り込まれると大問題。山梨大医学部名誉教授の田村康二氏が言う。 「異物が体内に入ると危険です。プラスチック片については立証されていないが、便から出たということは、それ以上のものを摂取しているかもしれない。身近な生活環境を見てみると、スーパーのレジ袋が問題になるが、レジ袋を使っているのは日本くらいのものです」 前述したように、ごみとして捨てられたレジ袋やペットボトル、ストローなどが海に流れ出て細かくなり、それを魚が餌と一緒に取り込んで、人間がその魚を食する──最悪の“負の食物連鎖”が、ミクロの世界で進行しているのである。 最新の研究では、世界の食卓塩の9割以上にMPが混入しており、アジアの汚染が最も深刻だという。沈黙を守っていた大自然が、目に見えぬMPを介して人類に牙を剥いてきた。
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社会 2018年11月12日 07時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜"物語」 ★消費税は上がらない?
先週の本稿で私は、「政府は10月15日に臨時閣議を開き、来年10月からの消費税率の引き上げを予定通り実施することを決めた」と書いた。しかし、それは間違いだった。閣議で決めたのは、消費増税後の景気が落ち込まないよう対策を採ることで、メディアが報じたような消費増税そのものではなかったのだ。冷静に考えれば、来年10月の増税は法律に定められており、わざわざ閣議で決定する必要などまったくない。 実際、閣議後に安倍総理は記者会見をせず、会見を行った菅官房長官も、「リーマンショック級の経済変動がなければ実施するというのは過去の答弁通り」、「最終的な決断は、状況を見ながら判断する」と、むしろ消費税増税が決定事項ではないことを強調した。 それでは、なぜ多くのメディアが「消費増税決定」と報じたのか。そこには、財務省得意のメディア・コントロールがあったとみられる。そしてそれは、実にうまく機能した。 閣議の直後から、私のところにも、週刊誌などから取材依頼が殺到した。その多くが、「消費増税前に、買いだめしておくとよいものは何ですか」というものだった。念のため触れておくと、買いだめしてよいのは、定期券とタバコくらいしかない。食料品は、税率が据え置きだし、自動車や住宅は、増税後に減税拡充が行われる予定だ。また、消費増税で日本経済がデフレに戻ってしまう可能性が高いので、余計なものを買うと、かえって損をする。ただ、こうした増税対策をメディアが騒げば騒ぐほど、消費税の増税が既成事実化してしまう。財務省の狙いは、まさにそこにあったのではないだろうか。 ただ、私はまだ、安倍総理が消費増税の延期に出る可能性のほうが高いと考えている。もちろん、その理由は、来年夏の参議院選挙だ。立憲民主、共産、社民、自由の4党に加え、国民民主、日本維新の会も、今回の消費増税に反対の態度を明らかにしている。「消費増税凍結」で野党一致の共闘態勢が取られれば、野党に風が吹き、安倍政権は追い詰められてしまう。それを打ち破ろうと思ったら、自民党も「増税延期」を言わざるを得なくなるのだ。 これは、私だけが言っているのではない。立憲民主党の枝野代表は、10月15日夕方の記者会見で、「参院選挙の直前にやっぱり上げないと言い出すのではないかという見方がある」として、安倍総理の三度目の消費税引き上げ延期の可能性を示唆した。さらに野田佳彦前総理も20日のよみうりテレビの番組で「二度あることは三度ある」と、再延期が行われる見通しを述べている。 しかし、それはひどい話だ。軽減税率の導入となれば、情報システムの更新をはじめ、様々な準備を大きなコストをかけて行わなければならない。それで、増税凍結ということになれば、それらの投資がすべて無駄になってしまうからだ。 もしかすると、今回の騒動は、「軽減税率つぶし」なのかもしれない。これから、準備が本格化するなかで、いかに軽減税率が煩雑で、負担の大きなものであるのかが、国民に浸透していくからだ。いずれにせよ、いま国民にとって一番望ましい対策は、参議院選挙までは、消費税対応の動きを一切しないことだろう。
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社会 2018年11月12日 06時00分
うまく“怒る”テクニックとは? ビジネスで使える、話題の"アンガーマネジメント"
最近、企業の研修で盛んに取り入れられ、学ばれている“アンガーマネジメント“。ぱっと思い浮かべるイメージは「怒らないようにする方法」では無かろうか。しかし、そうではない。実は「怒る必要性がある場合は怒っていい」、これが正しい内容だ。 怒りは人、いや動物も持っている感情。無くせるものではない。なので、上手に付き合っていくしかないのである。怒ることで損をしないように、また、後悔しないように出来るようになることを目的に、今学ぶ人が増えている。 アンガーマネジメントには核となる3つの要素があるという。まずは人間の脳の作りの面からアプローチ。人は怒りを感じてから長くても6秒間ガマンする事が出来ると、ピークを超えて冷静さを徐々に取り戻す事が出来る。これはアドレナリンが出る時間が約6秒と言われてるからだという。数を数えたり、目を閉じたり、自分なりの方法でなんとか6秒やり過ごす。突発的に物を投げたり、いきなり殴りかかってしまうタイプの人は、是非とも頭に入れておきたい。 次の要素としては、人は理想と現実のギャップに怒りを覚えること。つまり怒りっぽい人は、他人に対しての期待度が高い傾向にあるのだ。「こんなことも出来ないのか」と怒られても、“こんなこと”の定義は人それぞれ。まず、期待度を下げて接する癖をつけると良いとのことだ。 最後の要素は、自分の怒りの要素の中で、コントロール出来ない事があるかどうかをピックアップすること。生活圏で全く関係なく、更にコントロール出来ない案件に本気で怒っていたら身が持たない。いろいろな事に関心を持つのは大切だが、変えられない事をある程度受け流すテクニックが必要だろう。 以上のような内容が、ビジネスマンの「アンガーマネジメント」で教えられている。これらを駆使して行けば、後悔する怒り方を少なくすることはできるだろう。ある程度冷静さを保っての怒りであれば、その対象も納得ができることも多くなる。世代格差はどの企業でもあるが、ワールドワイド企業や、外国人労働者を受け入れている企業など、多様化する環境の中では、特にコミュニケーション能力が問われることとなる。“キレる大人”はどんな社会でも相手にされない。社内で人望もなく後ろ指を差される“ダメ社員”にならぬように、「上手に怒るテクニック」は自分の身を助ける有益なツールとなる。文 / 萩原 孝弘
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社会 2018年11月12日 06時00分
田中角栄「名勝負物語」 第二番 福田赳夫(8)
「アニ(新潟のお国言葉で跡取り息子をこう呼んだ)に注文なんて、ございませんよ。人さまに迷惑をかけちゃならねぇ。この気持ちだけだな。これだけありゃ、世の中、しくじりはござんせん。他人の迷惑は関係ねぇです。働いて、働いて、精一杯やって、それでダメなら帰ってくればええ、おらは待っとるだ。 総理大臣がなんぼ偉かろうが、そんなこと関係しません。人の恩も忘れちゃならねぇ。はい、苦あれば楽あり、楽あれば苦あり、政治家なんて、喜んでくれる人が七分なら、怒っている人も三分はある。それを我慢しなきゃ。人間、棺オケに入るまで、いい気になっちゃいけねえだ」(『文藝春秋』昭和47年9月号=要約) 平素から、「人間は“引き際”が肝心だ」と口にしていた田中角栄の母・フメは、田中が世論から大歓迎で迎えられた首相就任直後、インタビューにこう答えた。貧しい子供の頃から、田畑仕事で一家を支えた母のうしろ姿を見て育った人一倍、母親想いの田中ゆえ、「角栄よ、デカいことをいうでねぇ」と題したこの記事を読み、子を思う母を浮かべて人知れず号泣したことは容易に想像できる。 それからわずか2年ほどで金脈・女性問題をキッカケとしての首相退陣、さらに続くロッキード事件の表面化でズタズタになった田中は、とりわけ後者を「潔白」としてその汚辱を晴らしての「復権」に全精力を注いだ。そのためには、自民党内の支持基盤が大事と、派閥の増強になり振りかまわぬ体であった。自民党内から「闇将軍」との声が挙がったのも、この頃である。 一方、自民党内では「ポスト田中」を巡って熾烈な争いが演じられていた。有力候補は田中の「盟友」大平正芳と、「角福総裁選」に敗れて再起を期す福田赳夫の二人であった。大平は田中派の全面支持、三木派も反福田色が強く、総裁選での決着を主張した。 しかし、一方の福田は総裁選となれば不利が明らかだったことから、総裁選では派閥対立が激化することに加え、田中のスキャンダラスな退陣を引きずっていることで民意が党から離れることを理由に、話し合い決着を譲らなかった。福田、大平両派の後継争いはますます激しくなり、自民党はあわや分裂かという危機的状況を迎えたのだった。 そうした中で、分裂回避にはこの道しかないとして、ついに自民党は時の長老格で副総裁の椎名悦三郎に田中後継の調整をゆだねることとなった。椎名は考え抜いたすえ、それまで党近代化を唱え続けてきた三木武夫を「裁定」した。ところが、田中がロッキード事件で逮捕となると、自民党内は「もはや世論にロッキード隠しは通用しない。三木はキレイ事ばかり言っている」などとして、一気に三木退陣論が噴き出した。 もとより田中派は、「三木には惻隠の情がない」としてこれに同調。福田、大平ら各派もこれに組みし、「人心を一新して挙党体制を確立する」との名目を掲げて「挙党体制確立協議会」を立ち上げた。世に言われた「三木おろし」の策謀であった。 孤立状態となった三木は、総選挙を打って反撃の勝負に出たが敗北、責任を取る形で首相辞任に追い込まれた。その後継首相のイスには、福田赳夫がすわった。「角福総裁選」での敗北から4年半、忍従と悲願の末、手にした首相のイスであった。★福田の“豹変” しかし、恬淡とした人柄で鳴っていた福田が“豹変”した。当時を取材した政治部記者の弁がある。「福田は『ここは僕にやらせてくれ。その次は君だ』と大平に“約束”、自民党両院総会で流れをつくった。大平は『次は自分だ』と確信して福田に協力という姿勢を取ったが、福田に心境の変化が出た。苦節、ようやく手に入れた首相の座を手放すことが惜しくなった。“権力”というものの魔力です。大平という人物は、クリスチャンで人と争うことは嫌いなタイプだが、福田が『禅譲』に二の足を踏み出したことには不信感をつのらせた。その大平の背中を押したのが、田中角栄だった。田中は自らの影響力温存のためには、“親田中”政権をつくることが不可欠と考えた。迷う大平に、田中は言った。『戦うしかない。勝負だ』と」 かくして、福田と大平は総裁選で激突することになった。事実上の「角福戦争」“第2ラウンド”へ突入である。下馬評は「福田有利」だったが、勝負に出ると全力投球の田中の陣頭指揮のもと田中派が獅子奮迅の働きを見せ、結果は大平が逆転勝利することになる。 自民党総裁選はこのときから、今の地方票に似た「予備選挙」が導入された。一般党員による予備選で候補者上位2名に絞り、次の国会議員による投票で総裁を選出するというものだった。党内世論である予備選で1位になることは、国会議員の投票行動を左右する。田中は、大平の1位に向けて死力を尽くした。 全国に張り巡らした強大な人脈を駆使、地方の政界、経済界の有力者に自ら手紙を書き、電話をかけまくった。4年前の「角福総裁選」で強力な支援体制を取った田中派「秘書軍団」も、それこそ“火の玉”となって大平勝利に動くのだった。(文中敬称略/この項つづく)***********************************************小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材49年のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『愛蔵版 角栄一代』(セブン&アイ出版)、『高度経済成長に挑んだ男たち』(ビジネス社)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。
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社会 2018年11月11日 06時00分
「北方領土の占領」はソ連と米国が緊密に連携して行なわれていた!
ロシアのプーチン大統領が9月、今年末までに前提条件なしで平和条約を結ぶよう、安倍晋三首相に提案している。日本は領土問題を解決した上で、同条約を結ぶ立場を堅持する方針だが、領土問題が棚上げされる可能性も否定できない。 「本来、平和条約は、国境紛争や領土問題を棚上げにして締結するとロクなことはありません。尖閣列島を棚上げにして結んだ日中平和友好条約や、竹島問題を同じく棚上げしたまま結んだ日韓基本条約が、グシャグシャになったことを教訓にしなければなりません」(国際ジャーナリスト) 北方領土・択捉島に2014年にできたヤースヌイ空港には、新鋭機『スホイ35』が配備されている。「北方領土にはソ連末期、約1万人の地上軍が展開し、戦車や対空ミサイルも配備されていましたが、ソ連崩壊後は軍備の老朽化が進みました。現在の駐留部隊は、択捉島と国後島に計約3500人とみられますが、16年に新型地対艦ミサイルを配備していますし、軍事施設の建設も進んでいます。10月10日も北方領土周辺で射撃訓練を行ったとみられます」(軍事ジャーナリスト) 島では近年、愛国心を高める取り組みも活発だ。16年には第2次世界大戦の勝利を記念する広場が完成。今年9月22日には、ロシア国防省の有名オーケストラが国民的歌手とコンサートを開いた。 行われた演奏には「第2次世界大戦の終結と南サハリンやクリル諸島(千島列島と北方領土のロシア側呼称)の解放」を記念する意味もある。島民は「島はロシアのもの。守らないといけない」と訴える。 今年1月、北海道新聞は《北海道の根室振興局が、米露の専門家と協力して行なった歴史調査の中で、ソ連による北方領土占領の背後で、米軍が強力に援助していたことが判明した》と報じた。 同記事によると米国は、日ソの戦闘に備えて、1945年5〜9月に掃海艇55隻、上陸用舟艇30隻、護衛艦28隻など計145隻の艦船をソ連に無償貸与した。それに先立つ4〜8月には、ソ連兵約1万2000人を米アラスカ州コールドベイの基地に集めて、艦船やレーダーの習熟訓練を行った。コールドベイには、常時1500人の米軍スタッフが詰め、ソ連兵の指導に当たったという。ソ連と米国が緊密に連携して北方領土の占領が行なわれた実態が浮かび上がっているのである。 根室振興局の調査結果によると、樺太南部の返還と千島列島の引き渡しと引き換えに、ソ連の対日参戦が決まった45年2月のヤルタ会談の直後、ともに連合国だった米ソは「プロジェクト・フラ」と呼ばれる合同の極秘作戦をスタートさせたという。上記の艦艇などの貸与やソ連兵の訓練指導は「プロジェクト・フラ」にのっとって行われたわけだ。 こんな仕打ちをされても、日本はどこまでいっても米国という下駄に踏まれながら付いていく雪なのか。
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社会 2018年11月11日 06時00分
専業主婦、「罪悪感がある」が半数以上 水野美紀の“専業主婦のほうが大変”発言にも波紋
11月2日に、なかなか興味深い調査結果が発表された。主婦に特化した人材サービス・しゅふJOBの調査機関、しゅふJOB総研が「専業主婦への罪悪感」をテーマに働く主婦(専業主婦・主夫経験者のみ)にアンケートした。「専業主婦・主夫であることに、後ろめたさや罪悪感のようなものを覚えたことはありますか?」という質問に対し、「ある」と答えたのは25.4%、「少しはある」は31.2%という結果で、「罪悪感がある」という回答が半数以上を占めたというのだ。これが、子どもがいない世帯だと、「ある・少しはある」が69.6%と、およそ7割となった。 Googleで「専業主婦」と検索すると、関連キーワードに「なりたい」「勝ち組」といったポジティブなキーワードも出てくるが、「辛い」「大変」といったキーワードもある。中には「ニート」というキーワードまで出てくる。 『ふざけるな専業主婦』『くたばれ!専業主婦』『さよなら専業主婦』(いずれも石原里紗著)という、専業主婦を徹底的に批判した本がヒットした時代があった。「専業主婦は家畜以下」といった過激な主張が売りで、シリーズ第一弾の『ふざけるな専業主婦』は1998年3月発売だったが、今ネット上で繰り広げられている「専業主婦批判」は、このシリーズと同様、むしろそれ以上のものであると言える。 では、実際のところ、専業主婦は「勝ち組」なのか、それとも「辛い」のか。専業主婦3人に意見を聞いた。 「全然勝ち組だとは思わない。本当は共働きになりたいけれど、子どもが小さくて、認可保育園に入れられなかった。無認可は費用が高すぎて無理。家事と育児で一日が終わると、仕事をしていた頃が懐かしく思える」 「専業主婦だと言うと、『子どもがいないのに、なんで専業主婦?旦那さんの稼ぎがそんなにいいの?』と言われる。そういうわけではなくて、自分に持病があるから働けないだけなので、肩身が狭い。専業主婦であることに罪悪感を覚えるという意見は、よく分かる」 「不妊治療をしているせいで会社をたびたび休まなくてはいけなかったために、会社にいづらくなって、専業主婦になった。確かに不妊治療に専念できるぐらい夫には稼ぎがあるけれど、それよりも子どもがほしい」 3人ともに、専業主婦であることに人それぞれの辛さを抱えているようだ。決して、「専業主婦=勝ち組」「働かなくて楽をしている」といった簡単な問題ではないことが伝わってくる。 総務省の就業構造基本調査(2018年7月発表、2017年度分)によると、夫婦がいる世帯のうち共働き世帯の割合は48.8%とほぼ過半数を占めている。専業主婦が希少な存在になっていく中で、専業主婦であることに対する罪悪感を抱くこと、また反対に、ある種のマイノリティに対する批判が過熱していくのも、自然な流れなのかもしれない。 しかしながら、言うまでもなく、専業主婦は立派な仕事である。女優の水野美紀は、AERAdot.の連載「子育て奮闘記『余力ゼロで生きてます』」9月27日分で「『子供抱えながら仕事して大変だね』と、よく言っていただくが、私は断言したい。専業主婦の方が絶対に大変だ」と主張。この水野の意見に励まされた専業主婦も多かったようだ。 ユーキャンとアイシェアが共同で行った「専業主婦願望に関する意識調査」(調査期間・2010年7月16〜20日)によると、未婚の働く女性に「結婚し出産した後、専業主婦になりたいと思いますか?」と質問したところ、「収入や生活にゆとりがあるならなりたい」が49.8%を占めた。「収入や生活にゆとりがなくてもなりたい」の4%を合わせて「なりたい」と答えた人は53.8%で過半数となった。なりたい理由のトップは「家事や育児に集中したいから」の55.2%。次は「自分の趣味に打ち込みたいから」の25.5%だった。 ちなみに、未婚男性のうち「結婚し出産した後、働いてほしい」と考えている人は「できれば」という人を含め63%。「できれば」という人を含めても、「専業主婦になってほしい」という回答は37%。男女で意見の相違があることが分かる。2010年の段階でここまでの結果が出ている。このご時世、「自分の趣味に打ち込みたいから」という理由で専業主婦になる願望を実現させるのはますます難しくなりそうだ。文/大久保 舞
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社会 2018年11月10日 18時05分
『金足農旋風』に続け!秋田『ナマハゲ』無形文化遺産へ
北海道日本ハムファイターズの2軍本拠地がある千葉県鎌ケ谷市は、大型ルーキーの話題で沸き立ってきた土地柄だ。ダルビッシュ有、中田翔、そしてハンカチ王子こと斎藤佑樹、そして昨年は清宮幸太郎。今年はまだ入団前にもかかわらず、早くも大フィーバーの金足農業高校・吉田輝星が同地入りする。 東武鉄道野田線・鎌ケ谷駅前の生パスタ店では、ドラフト会議(10月25日)の翌日には「秋田のなまはげアラビアータ」なる応援メニューが登場した。 秋田のスター候補生を応援するのは商店主ばかりではない。関西大学の名誉教授は「吉田選手が1軍で10勝前後の成績を残した場合、その経済効果は30億円に上る」との試算を公表した。 そんな吉田の秋田県に、また朗報だ。文化庁は10月24日、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に「男鹿のナマハゲ」(秋田県)など「来訪神(らいほうしん)仮面・仮装の神々」について、事前審査をしていた評価機関が「登録」を勧告したと発表した。 評価機関の登録勧告が覆った例はなく、11月末からモーリシャスで開かれる政府間委員会で正式に決まる見通しだ。 「無形文化遺産は、すでに日本では能楽や歌舞伎、和食、和紙など21件が登録されています。文化庁は、そこに芸能や祭り、社会的慣習、伝統工芸技術などを対象に加えたい意向でした。『ナマハゲ』の他、石川県輪島市の『能登のアマメハギ』、沖縄県宮古島市の『宮古島のパーントゥ』など、東北から沖縄まで8県の10行事から構成されています。すでに無形文化遺産は世界で399件あり、同じ分野での単独登録は難しくなっているからです。ですから政府は2009年に登録されていた鹿児島県薩摩川内市の『甑島(こしきじま)のトシドン』に加える形で、仮面・仮装の異形の姿をした者が“来訪神”として家々を訪れ、怠け者を戒めたり、人々に幸福をもたらしたりする行事をひとまとめにして登録を目指していたのです。結果的にそれが実を結びましたね」(文化庁関係者) 16年3月に提案書を提出したが、登録件数の少ない国からの提案を優先するユネスコの規定に基づき、昨年は審査が見送られていた。 先ごろ報じられた今年の『新語・流行語大賞2018年』に「金足農旋風」もノミネートされた。来年も秋田が熱そうだ。
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