社会
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社会 2018年08月02日 12時30分
東京電力が「福島第一原発グッズ」の販売開始 「事故を起こした当事者が販売するのは…」と物議
1日、東京電力が福島第一原発の訪問者用に「記念品」の販売をスタートさせたことが判明。その方針が物議を醸している。 河北新報が報じたところによると、東京電力が発売するのはA4サイズのクリアファイル。福島第一原発の現在の姿や、自動運転のEVバスが描かれており、価格は3枚一組で300円だという。 東京電力は販売の経緯について、視察者や協力企業の社員から「記念品がほしい」と要望を受けており、それに応える形で作ったなどと説明しているという。なお、記念品については「福島復興への責任を果たさせてもらっている現状を踏まえ、原価相当額の販売形式とした」としている。収益どのように使うのかについては、現在のところわかっていない。 「東京電力が福島第一原発のグッズを販売」というニュースに、ネットユーザーの評価は賛否両論。「被災者への寄付が目的ならいいのではないか」「復興や廃炉費用に充てるのなら問題ないと思う」「作業員に還元してほしい」など、好意的な意見が。 一方で、「不謹慎」「福島の人がどう思うのか考えたことがあるのか?」「事故を起こした当事者が販売するのは違和感がある」「どういう神経をしているのか」「収益を何に使うか教えてほしい」という批判的な声も出た。 現状、賛否両論の「福島第一原発グッズ」。クリアファイルは第一弾との情報があり、今後新たなグッズが出る可能性もあるとのこと。「どう思うか」は人それぞれだが、「事故を後世に語り継ぐ」という観点から「是」とする意見もあれば、日本はおろか世界を震撼させた事故だけに、否定的な意見を持つ人が出てくることも、当然のことだろう。 ともかく、東京電力は「福島第一原発グッズ」を売っていく方針のようだ。
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社会 2018年08月02日 08時00分
テレビ不況が浮き彫りになった日本テレビの『eスポーツ』参入
日本テレビが、民放キー局の中で初となる『eスポーツ事業』参入を表明。対戦型テレビゲームをスポーツとするこの競技のメンバーを広く世間から公募し、プロチーム『AXIZ(アクシズ)』を結成するという。なんと、局内ではポスト巨人軍との位置付けで注目される事業だという。 「日テレは社内のゲーム好きを集め、新規事業を立ち上げました。3年間のプロジェクトで予算は計1億円。黒字に転換できなければチームは即、解散となるようです」(テレビ関係者) それにしても今一つ、理解できないのが、日テレが参入した理由。視聴率競争でトップをひた走る中、あえてリスクをおかす必要はないからだ。 「日テレは、このまま行けば'19年の年度&年間視聴率三冠王は達成できないのです。これまで高視聴率を下支えしてきた全日帯(6時〜24時)の番組が壊滅状態にあるからです」(同) 加えて、テレビ業界を取り巻く環境が、悪化の一途をたどっている。 「主な収入であるCMスポンサーが先細っている。'20年には地上波の広告収入がネットのCMに抜かれるとの予想も出ている。eスポーツの中継を請け負えば、新たな雇用も生まれる。うまくいけば、数千億円市場規模を形成できるんです」(日テレ幹部) そうした中、8月18日からジャカルタで行われる『アジア競技大会』で、eスポーツが初めて公開競技として採用された。 「日本代表選手も競技に参加する。'22年、中国で開催されるアジア競技大会では、メダル競技として採用される見通し。その延長線には、五輪種目としての“格上げ”も期待されているんです」(業界事情通) しかし、頑な態度を切り崩していないのが日本オリンピック委員会。『アジア競技大会』でも“正式な日本代表ではない”として、サポートは一切行わない方針だ。 「当然、開会式には、関係者の出席も不可となることを公表しました。日本においてeスポーツを巡る競技環境はまだ整っていないのです」(同) テレビ局が描く黄金の計算式が成立するのは、まだ先ということか。
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社会 2018年08月01日 23時00分
異常な動きの台風12号、再び暴風域になる可能性も 過去にもあった、“迷走台風”
日本列島を東から西へと進んだ台風12号が、鹿児島沖に停滞し、再び発達する可能性が出てきた。今後、九州から四国の太平洋側で大雨が予想され、さらに中国大陸へ向かって進む予想が出ている。 台風は高気圧の位置を見てある程度、進路が予測できる。秋の台風が沖縄から九州、本州へと日本列島を縦断するように進むのは、夏場にせり出した太平洋高気圧の勢力が弱まり、台風が偏西風に乗って北東へ進むためだ。 しかし、かつては複雑な動きをする台風が日本列島を襲った。1924年には日本の南を西へ進んで沖縄本島を通過した後、進路を東寄りに変えて再び沖縄を襲う台風が存在した。この台風は非公式に「沖縄台風」と呼ばれた。今回の台風12号も同様の台風に数えられることになった。かつては「迷走台風」とも呼ばれていたが、現在は用いられていない。 一度消滅した台風が復活する場合もある。台風はたいてい、本土に近づくにつれて勢力が弱まり、やがて熱帯低気圧、もしくは温帯低気圧となる。だが、再び発達して台風となった場合は、初めに与えられた番号がそのまま使われる。1973年の台風第6号(国際名:エレン)は、史上初めて2度の復活を果たし、3度台風になった。これらの台風は「復活台風」と呼ばれる。 台風は、北西太平洋にある熱帯低気圧が発達したものをさす。地理的な条件としては「東経100度線から180度経線までの北半球」に中心があるものを台風と呼ぶ。北インド用と南太平洋で発生したものはサイクロン、北大西洋と北東太平洋で発生したものはハリケーンと呼ばれる。サイクロンやハリケーンの地域で発生した熱帯低気圧が、台風と呼ばれる地域に入る場合や、その逆もある。これらの台風は「越境台風」と呼ばれている。台風にもさまざまな名称があるのだ。
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社会 2018年08月01日 14時00分
中国・習近平、北朝鮮・金正恩 2カ国の独裁体制に異変
北朝鮮には主体(チュチェ)思想があり、デカい北朝鮮と揶揄される中国も、今年1月の党全体会議で“習近平思想”を憲法に明記した。ともに徹底した個人崇拝を進めているが、自国の軍が脅威になっているという共通項も存在する。 三代続く金王朝の初代、金日成主席を「偉大なる首領様」、金正日総書記を「偉大なる将軍様」、そして金正恩党委員長は「敬愛する元帥様」と呼ぶ。とはいえ、正恩委員長には多くの肩書だけはあるものの実績がない。そこで北朝鮮の建国者であり、偉大なるカリスマである祖父の外観を真似ることで、「偉大なる首領様」の血を引いていることをアピールしようとした。 まずは特異な髪型。次に身長。シークレットブーツで“ゲタ履き”し、顔も複数回、整形している。 「こんなハリボテ政権がいつまでも続くわけはありません。国連の経済制裁の影響がどこに表れているかと言えば、党・軍幹部を懐柔するための資金、要するにプレゼントを買い付けるカネが不足しているのです。カネの切れ目が縁の切れ目。褒美がなくなった軍の不満は爆発寸前です」(北朝鮮ウオッチャー) 軍の不平不満はそれだけではない。非核化交渉を主導するポンペオ米国務長官は、7月上旬の3度目の訪朝時に正恩委員長との会談を模索したが、それはかなわずじまいだった。カウンターパートに該当する元朝鮮人民軍偵察局長の金英哲副委員長が、正恩委員長を遠ざけたからだ。 「正恩氏と軍部との間に軋轢がある証拠です。対米敵視政策で存在感を維持してきた軍部は、正恩氏の進める融和路線に対し不信感を抱き始めています。ポンペオ長官再訪朝を機に正恩氏は、軍部の不満を代弁し何かと反対する英哲氏の首を、6カ国協議首席代表を務めた李容浩外相にすげ替える予定でしたが、失敗したようですね」(朝鮮半島アナリスト) その北朝鮮が泣き付いた中国の習近平国家主席も、自国の人民解放軍が目の上のタンコブになりつつある。 「腐敗撲滅をうたった中国共産党18回全国代表大会(2012年)以来、“落馬”した軍幹部は90人以上に達しており、史上最大規模です。軍位の売買に伴う金銭のやり取りはもちろんのこと、これまでは許されていた営利活動や企業運営などが固く禁じられました。正常な接待さえできないため、軍内でまともなコミュニケーションが取れなくなっている不満が募っています」(日本在住の中国人ジャーナリスト) その軍部に、さらに打撃となるのが中国で最も美しいといわれる人気女優、范冰冰(ファン・ビンビン)の脱税疑惑だ。范は日中韓合作映画『墨攻』('06年)に出演したことで知られ、日本でもウーロン茶のCMで親しまれるようになった。 この事件は単なる美人女優のスキャンダルではなく、狙いは范が所属する『華誼兄弟』(フアイ・ブラザーズ・メディア=中国の映画配給会社)と北京芸能界から軍部の影響力を排除することにあり、習政権vs軍部の権力闘争の延長線上にあるといわれる。 ところが、北京の芸能界に関しては、軍部出身で元歌手の彭麗媛(ポン・リーユアン)も影響力を持っている。同氏は言わずと知れた習主席夫人だ。 「実は習主席と彭夫人には不和説が浮上しています。夫人が姉と慕って家族同然の付き合いのあった軍の歌姫、宋祖英(ソン・ツーイン)が一時、汚職容疑で取り調べを受けたことで表舞台から消え、夫である習主席に強い不満を抱いたからです」(同) 習政権が范を見せしめに逮捕すれば、『華誼兄弟』を守るべく軍と習政権との間に、決定的な対立が生じるのは必至だ。 そんな中、7月4日の早朝、上海の女性市民が「私は習近平の独裁専制的な暴政に反対する!」と叫び、『中国の夢』というスローガンが書かれた習主席の看板に墨をかける画像をSNSに投稿した。さらに「私を捕まえるのなら、ここで待っている」と女性は挑発し、実際、希望通り警察に拘束されている。 「そこに関税による米中貿易戦争の勃発です。おそらくこれは経済史上、未曾有の大戦になるでしょう。米国は単に貿易不均衡を是正するという商いレベルではなく、主導的地位を中国には渡さないという戦略的決意を表明したわけです。結果、中国のインフレは不可避です。アラブの春は、政権への不満より物価の高騰が引き金になって革命が起きています。今回の“上海事件”が蟻の一穴になる可能性もありますよ」(国際ジャーナリスト) 独裁色を強める習主席に対し「個人崇拝の強制だ」と反発する草の根の動きが各地で起きており、治安当局が厳しく取り締まっている。党の指導部もこうした動きの広がりを懸念しているが、対応に苦慮しているのが現実だ。 「中国を、少子高齢化社会の日本よりもっと凄まじい現実が襲うのも時間の問題です。中国はすでに5億人の老人社会となっていますが、介護保険はなく、年金基金はとうにパンクしており、老人一揆が目の前に迫っています」(前出・中国人ジャーナリスト) 習政権は米国との貿易戦争、腐敗撲滅の名のもとに追い詰めすぎた軍との軋轢、そして習独裁に反対する草の根運動と、まさに内憂外患こもごもを抱えている。北朝鮮に構っていられる国内情勢ではないのだ。
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社会 2018年08月01日 08時00分
東大卒・金庫番もソッポ! 『大塚家具』久美子社長に「残務処理だね」の声
大塚家具の大塚久美子社長(50)が「もう、潰れるか、買収されるしかないのよ…」と人目も憚らず、こう言って号泣したのはつい先月のことだ。 同社は2015年、実父で前会長の大塚勝久氏と久美子社長によるプロキシーファイト(委任状争奪戦)で、お家騒動が明るみとなり、敗れた勝久氏は大塚家具の創業地である埼玉県春日部市に『匠大塚』を設立。大塚家具は久美子社長の下、入店への敷居を下げる“オープン化戦略”に転換していたが、売り上げ減少に歯止めがかからない。 「久美子社長のカジュアル路線が裏目に出て、2期連続の赤字となった。高級路線からの脱却によって、富裕層の顧客が離れていったのです。経営悪化に伴い、'15年12月期時点で100億円を超えていた現預金は、'18年3月期には10億円まで激減している。無借金経営ですが、かなり厳しい状況と言えるでしょう」(経済アナリスト) また、昨年8月以降は店舗売上高も減少が続いている。 「経営改善に取り組む中、東大卒の財務担当取締役が4月末に退任している。金庫番のキーマンが辞めて、業界内では先行きを不安視する声が強まっています。健康上の問題を理由に辞任したが、いたって健康そうだったので驚きました。しかも同役員は、5月に居酒屋チェーン『塚田農場』『四十八漁場』運営のエーピー・カンパニーの顧問に就任している。財務部門のトップであれば会社の資金繰りや将来性が分かっているため、真っ先に逃げたともっぱらの噂です」(全国紙記者) 大塚家具は6月、旗艦店『有明本社ショールーム』の改装に伴い、売り場面積の縮小などコスト削減を図り、業績改善に向けて躍起になっている。当面の資金繰りについては複数の金融機関とコミットメントライン(融資枠)を締結し、50億円の借入枠を確保している。 「この状況で、もし複数の取引先から前金での取引や支払いサイトの短縮を求められた場合、資金繰りが急速に悪化して経営が行き詰まる可能性もある」(経済アナリスト) 金庫番に逃げられ、自主再建のタイムリミットが迫り、背水の陣に追い込まれた久美子社長。サスペンスドラマの崖っぷちどころではない「もう、残務処理の時期なんじゃないの」の声も聞こえてきた。
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社会 2018年07月31日 16時00分
取手市・妻死体遺棄「息子を守りたかった」鬼畜母子“死”の連携
猛暑真っ只中の7月18日、茨城県取手市にある母親夫婦の自宅庭の土中で白骨化した女性の遺体が発見された。同日中に死体遺棄の疑いで逮捕されたのは、弥谷鷹仁容疑者(36=千葉県柏市)と母親の弥谷恵美容疑者(63)。 「(妻と)娘の育児を巡って口論になって我慢できなくなり首を絞めて殺した。遺体の処理に困り実家の母に相談した」。こう息子が語れば母親は、「息子から頼まれ(遺体処理を)手伝った。息子を助け、守りたかった。夫にばれるとまずいと思い埋めた」と、青ざめた顔で供述したという。 「DNA鑑定の結果、遺体は鷹仁容疑者の妻、麻衣子さん(30)であることが判明した。白骨化が進み司法解剖で死因を特定することはできなかったが、喉の骨が折れていることから鷹仁容疑者が言うように首を絞められて殺害されたものと見られる」(捜査関係者) 麻衣子さんは今年3月4日を境に行方が分からなくなったとして、その2日後に捜索願が出されていた。 「以来、鷹仁容疑者は麻衣子さんの父親らとともにビラを作成したり、探偵事務所に依頼するなど、懸命に麻衣子さんの行方を捜すフリをしていた。しかし捜査員は、その行動に不自然さを感じ、鷹仁容疑者を重点的に調べていたそうです」(社会部記者) 銀行員の鷹仁容疑者は、2012年に麻衣子さんと結婚し、その後、娘を1人もうけた。 「柏駅に近いタワーマンションに住み、幸せそうな家庭生活を送っているように見えましたよ。麻衣子さんは大学卒業後、出産まで大学の研究所の事務補助として働いていました。旦那さんの父親は、ピザを焼くオーブンなどを販売する会社を経営し、奥さん(恵美容疑者)は役員で、そのオーブンを使った料理を出すカフェも開いていたんです」(弥谷家を知る人物) 恵美容疑者は店で出すハーブも自宅の庭で作っていたといい、その庭に息子の嫁の遺体を埋めたことになるが、そこまでに至るには恵美容疑者と鷹仁容疑者の歪んだ母子関係があったようだ。 「麻衣子さんと結婚するまで、鷹仁さんには結婚寸前までいった人がいましたが、探偵まで使って身辺調査する母親に反対され、破談になったようです。鷹仁さんもそんな母親に依存しすぎで、いわゆる超が付くマザコンでした」(近隣住民) 事件には直接関係はないが、容疑者が勤めていた銀行はシステム障害、預金横領、ついには死体遺棄と連続の不祥事に行員も足が浮足立っている。
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社会 2018年07月31日 14時00分
民泊新法から1カ月! 「これでは商売できない」不満噴出
外国人観光客の急増により、注目されるようになった「民泊」。6月15日に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されてから約1カ月経ったが、事業者側の不満が噴出している。 「新法は一見、規制緩和のように思えますが、(1)年間の営業日数が180日までと定められたこと、(2)オーナーが居住していない場合は第三者の管理会社による管理が必要なことなどが新たに加えられ、自治体によってはさらに厳しい条例を課している場合もある。例えば、東京都渋谷区では、ほぼ夏休み期間のみの営業であることや、新宿区や板橋区など多くの区では、週末から月曜日の午前中までの営業しか認めていません。(2)に関しては管理会社に拒否され、せっかくの投資がパーになるケースが続出しているのです」(旅行ライター) 外国人観光客でごった返す関西方面の日本人民泊オーナーもこう嘆く。 「新法施行後は、役所が、ドアが不適格だとか、庭がないなどという理由で申請を受け付けないケースも出ています。日本の“お上”は揃って民泊ビジネスをぶち壊そうとしているとしか思えない」 一方、ある国内ホテルチェーンでは、訪日外国人観光客の数は増えているが、民泊に食われて稼働率はほとんど変わっていない。 「圧力をかけているのはそちらの方面で、政府や自治体と一体となったホテルや旅館、外国人に部屋を貸したくないマンション管理会社が一丸となり、“規制”の名のもとに民泊を禁じたのと同じ。そもそも年間貸し出し日数が180日では、ビジネスとして成立しないし、無視をして違反すれば1年以下の懲役か100万円以下の罰金が待っている。これではビジネスを始めるモチベーションが下がるのは当然です」(経済ライター) シェアリングエコノミーは世界的な潮流となっているが、日本だけは完全に取り残された。
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社会 2018年07月31日 08時00分
外資参入の限界が見えてきた ウォルマートの西友売却騒動
小売世界最大手の米ウォルマートが、傘下のスーパー、西友の売却を模索との報道が流れ、流通業界に大きな波紋を呼んでいる。ウォルマートはこれを「決定ではない」と否定しているものの、検討に乗り出していることはほぼ間違いないと言われる。その一方で、国内小売店自体の“勝者”と“敗者”の二分化も進んでいるという。 まずは業界関係者が、これまでの西友の歴史について、こう解説する。 「情報を収集してみると、すでにウォルマートは複数の投資ファンドや流通大手に売却の打診を始めているようです。もともと西友は、西武グループの関連会社として1956年に設立。しかし、バブル崩壊やリーマンショックを経て業績は低迷し、生き残りをかけウォルマートと提携。2005年にはウォルマートが買収し、完全子会社化した。西友が徹底して導入したのは、ネットで仕入れ先、販売先をつなげ、いつ、どこで、どれぐらい売れたか情報を共有するリテールリンク方式などの複数の効率化。これが一時は大きな成果を収めたのです」 非上場のため詳細は不明だが、そうした努力も実り、総売り上げは約7000億円で収支はほぼトントンと見られている。最近では楽天と組んでネット通販に力を入れると同時に、この6月には制服をウォルマートと同じものにするなど前向きな姿勢を見せていた。そんな矢先、なぜ、このタイミングで売却情報が流れたのか。 「ネット通販大手の米アマゾンの世界的躍進の影響が大きく、近い将来を見据えウォルマートが戦略の見直しを図ったとも言われている。その一環の中、人口が確実に減り続ける日本で西友のようなハードの流通部門を持ち続けることに大きなメリットがないと判断し、少しでも価値があるうちに売却しておこうという判断になったのでは」(同) 現時点で売却先として候補に挙がっているのは、楽天やドン・キホーテHDなどだ。 「小売業界は今、このネット時代においてウォルマートのように戦略を転換せざるを得ないところまで追い詰められている。例えば、スウェーデンのファストファッションブランドであるH&Mは、2008年に鳴り物入りでオープンさせた東京・銀座の旗艦店を7月16日に閉めた。'09年4月に原宿に1号店をオープンさせ、ファストファッションの象徴でもあったフォーエバー21も、その原宿店を昨年秋に閉店させている」(経済アナリスト) 同様に、圧倒的な物量で席巻していた総合スーパー(GMS)も伸び悩んでいる。'17年度の決算を見れば一目瞭然で、本州四国にイオンを400店舗抱えるイオンリテールの売上高は2兆1978億円で、前年度比0.6%の微増。イトーヨーカ堂も売上高1兆2442億円で対前年比0.9%減。イズミヤも2328億円で同マイナス9.7%だ。 「H&Mの例を見るように、GMSの苦戦の原因は、衣料品が売れないということもあります。しかも、ネット通販に押されている。ただ、それ以上に日本の消費者が衣料品でも食料品でも、海外直輸入や店舗からの押しつけでは納得しない、安さと同時に品質にこだわるなど、レベルアップしている点があります」(同) バブル期前後、日本に大々的に進出した世界第2位の仏スーパーのカルフールは'05年、英スーパー最大手のテスコは'13年に日本市場から撤退。そして今回、ウォルマートも撤退の気配。これで“小売業世界ビッグ3”が日本市場から姿を消すことになる。いずれも欧米で成功したビジネスモデルに、日本の消費者がノーを突きつけ始めているのだ。 そうした不振の小売業界で、'18年度決算も対前年比8%増の3566億円を売り上げ、年率7〜8%ほどの高い売上伸張率で注目を集めている食品スーパーが、横浜に本社を置くオーケーだ。首都圏1都3県を中心に108店('18年3月31日現在)を展開し、ここ数年で20店舗を増やしてさらなる店舗展開を図っている。しかも、日本生産性本部調査の顧客満足度調査のスーパーマーケット部門で7年連続1位を獲得。その人気の秘密はどこにあるのか。 「例えば、野菜部門であれば、なぜ高騰しているかなど、その理由を明らかにする。発泡酒が値下げになる期日を記し、急ぎでなければ、それまで待つように知らせるなど、徹底した情報開示を行っている。美味い魚を提供するために超低温での配送に配慮し、常に品質本位、客本位で、ギリギリの値段で売る。それは惣菜からピザ1枚、コーヒー1杯まで徹底しているという。食品のみならず衣料品部門でも、これから日本で生き残るのは、そうした姿勢を見せ続ける店なのではないでしょうか」(業界関係者) 日本の消費と小売は、新たな段階を迎えているのかもしれない。
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社会 2018年07月30日 21時00分
またもトラック運転手が「ながらスマホ」で死亡事故発生 “少しだけ”が引き起こした最悪の事態
30日午前1時40分頃、大阪府堺市の路上で大型トラックが前を走る自転車に衝突し、自転車に乗っていた77歳の男性が転倒する事故が発生。男性は病院に救急搬送されたものの、身体を強く打っており、病院に向かう途中に死亡が確認された。間もなく、トラックを運転していた48歳の男が、過失運転傷害の疑いで現行犯逮捕された。 報道によると、事故原因はスマートフォンだった。男は状況について当初「倒れていた人をひいてしまった」と話していたが、矛盾を指摘されたのか、後に「音楽を再生するためにスマートフォンを見ていたため、前を見ていなかった」と白状した。ドライバーの不注意と慢心が、1人の人間の命を奪うという最悪の事態を招いたようだ。 スマホを見ながら運転する行為による事故は多発している。過去にはトラック運転手が高速道路上でスマホを操作し、乗用車に追突した事故や、渋滞に気が付かず停車していた自動車に追突する事故もあった。いずれも衝突された側は死に至っている。 また、左手にスマホ、右手に飲み物、耳にイヤフォンをつけた状態で自転車を走行していた女子大生が高齢女性に衝突し、死に至らしめた事故も、記憶に新しい。いずれも安全意識の低さが、他人の命を死に追いやった最低最悪の事故だ。 昨今、毎日のように「ながらスマホ」が原因の事故が発生しているにもかかわらず、トラックドライバーや自転車、そして自家用車の「ながらスマホ」による事故は絶えない状況。そのほとんどが「自分は大丈夫」「今まで事故を起こしたことがないから平気」「運転技術があるプロだから大丈夫」など、慢心や過信が原因だと思われる。これが通用しない社会となっていることは明白だろう。 社会問題化している、ながらスマホによる死亡事故。これを抑止するような法律や、運転中には動作しないようなシステム構築が求められているが、なかなか進んでいないのが現状だ。基本的なことだが、スマホを操作するときは、停車してからにしてほしい。そして、運転中の「ながらスマホ」が、他人はもちろん自分の人生も棒に振りかねない危険な行為であるということを認識するべきだ。
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社会 2018年07月30日 08時00分
天下の猛妻 -秘録・総理夫人伝- 福田康夫・貴代子夫人(下)
「政治家にはなりたくなかった男」福田康夫が首相に指名されたとき、実に71歳であった。前任首相の安倍晋三が「体調」を理由に政権を“放り投げ”、安倍が若すぎたことも自民党内の“反省”につながった形で人生経験を買われて高齢の福田への期待感ということのようであった。 しかし、官房長官時、担当していた政治部記者のこんな証言が残っている。 「安倍晋三が大キライで、安倍が小泉(純一郎)内閣の副官房長官のとき怒りが爆発、副官房長官室に乗り込んで『コノヤローッ』と机を蹴飛ばしたことがある。あとで、安倍は『あんなに蹴って足は大丈夫だったのかナ』と苦笑していた。よくキレていましたね」 「官房長官のときは、毎週1回、夜、番記者を集めての懇親会をやっていたが、『完オフ(完全なオフレコ)』だっただけに、“康夫節”は全開だった。首相だった小泉に対しても『純ちゃんは政治というものが、然々分かっていない。要は、政治オンチだ』、あるいは森喜朗内閣に野党が不信任案を提出したときには『間違っているのは、野党のガキどもだ』とも言った。『完オフ』でなければ、失言で官房長官のクビは飛んでいた。“暴言”が、だいぶ出ましたね」 「完オフ」が漏れなかったのは、貴代子夫人の“内助の功”によるものが大きかったそうだ。これには、こんな証言となっている。 「番記者との懇親会の日には、夫人は半日かけて記者のために食事をつくっていた。会が終わると、必ず小物のミヤゲを持たせて帰らせてもいた。また、番記者が入れ替わって新しい記者がくると、一緒に雑談に加わってさり気なく記者の“特徴”を取材、写真を撮っては顔と名前を覚えるために手帳にメモを欠かさなかった。こうした気遣いあって、福田は記者から足を掬われなかったのです」 さて、首相となった福田の政権運営はキリキリ舞いの連続だった。就任早々の防衛庁の不祥事に始まり、年金問題での官僚への国民の不満爆発、小沢一郎・民主党代表(当時)と自民党との「大連立」工作失敗、「高齢者いじめ」とされた後期高齢医療制度の開始などで政権は漂流し、支持率も低落一途だったのである。 そしての平成20年(2008年)9月、福田は突如首相退陣を表明した。ちょうど、政権発足から1年目であった。前任の安倍首相同様、やはり政権“放り投げ”感は否めなかった。この退陣に対しての記者会見の席上、「福田らしさ」が出たのだった。 記者が、唐突の退陣が「他人事に聞こえ明確な理由に乏しい」ことを質問すると、福田はこう声を荒げたのである。いわく、「私は自分自身を客観的に見ることができるんです。あなたとは違うんです!」。 分析すれば、首相の座にある者にしてはやはり“迷言”、一方で客観的に自分を見て「首相の器ではない」と判断したとも取れた。ちなみに、この「あなたとは違うんです!」はこの年の流行語になったものだった。 それにしても、とりたてて政権意欲もなく、「政治家になりたくなかった男」がここまで政界の階段を登り切れたのは、改めて貴代子夫人あってのものだった。その象徴的な出来事は、振り返って小泉内閣の官房長官時にあった。 平成14年(2002年)2月、時の米大統領ブッシュが初来日した。ローラ夫人と同伴である。しかし、当時、小泉首相はすでに離婚して独身、「ファーストレディー」不在はいささか儀礼に欠ける。その代役、ホステス役を務めたのが貴代子夫人だった。これにも、官邸詰め政治部記者のこんな証言が残っている。 「夫人は、“臨時ファーストレディー”を、見事にこなしたと言ってよかった。一連の歓迎行事への出席のほか、ブッシュ夫妻と小泉の歓談場所として異例の六本木の居酒屋を選んだのも夫人の知恵だった。それも自ら事前に下見、外務省ときめ細かく打ち合わせていた。その後のブッシュと小泉の関係が良好に推移したのも、貴代子“臨時ファーストレディー”の貢献が少なくなかったのです」 こうした貴代子の下支え、一連の“功績”が、小泉、その後の安倍内閣での福田の長き官房長官職につながったことは否めない。なぜなら、小泉、安倍首相に対し、福田自身は必ずしもその政権運営をよしとしていなかったにもかかわらずだったからである。 いま、その福田はとくにソリの合わなかった安倍に、しぶとく批判的な声を上げ続けている。とくに、森友・加計問題については痛烈批判である。“逃げ切り”を策す姿勢に、「後世に対して悪い影響を残すだけ」と。まさに、「私は自分を客観的に見ることができるんです。あなたとは違うんです!」ということなのか。 選挙から何まで夫人に“オンブにダッコ”の福田、人生の晩節でようやく“独り立ち”のフンイキが出てきたと言えるようである。=敬称略=(次号は、麻生太郎・千賀子夫人)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材48年余のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『決定版 田中角栄名語録』(セブン&アイ出版)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。