台風は高気圧の位置を見てある程度、進路が予測できる。秋の台風が沖縄から九州、本州へと日本列島を縦断するように進むのは、夏場にせり出した太平洋高気圧の勢力が弱まり、台風が偏西風に乗って北東へ進むためだ。
しかし、かつては複雑な動きをする台風が日本列島を襲った。1924年には日本の南を西へ進んで沖縄本島を通過した後、進路を東寄りに変えて再び沖縄を襲う台風が存在した。この台風は非公式に「沖縄台風」と呼ばれた。今回の台風12号も同様の台風に数えられることになった。かつては「迷走台風」とも呼ばれていたが、現在は用いられていない。
一度消滅した台風が復活する場合もある。台風はたいてい、本土に近づくにつれて勢力が弱まり、やがて熱帯低気圧、もしくは温帯低気圧となる。だが、再び発達して台風となった場合は、初めに与えられた番号がそのまま使われる。1973年の台風第6号(国際名:エレン)は、史上初めて2度の復活を果たし、3度台風になった。これらの台風は「復活台風」と呼ばれる。
台風は、北西太平洋にある熱帯低気圧が発達したものをさす。地理的な条件としては「東経100度線から180度経線までの北半球」に中心があるものを台風と呼ぶ。北インド用と南太平洋で発生したものはサイクロン、北大西洋と北東太平洋で発生したものはハリケーンと呼ばれる。サイクロンやハリケーンの地域で発生した熱帯低気圧が、台風と呼ばれる地域に入る場合や、その逆もある。これらの台風は「越境台風」と呼ばれている。台風にもさまざまな名称があるのだ。