社会
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社会 2018年08月31日 18時00分
加熱する米中貿易戦争の裏に蠢く「薬物被害」の実態
米トランプ大統領は8月16日の閣僚会議で、中国製の高依存性鎮痛剤の合成薬物の被害について「戦争の一種だ」と語った。「トランプ氏は、ジェフ・セッションズ検事総長に対して『中国とメキシコから出てくるフェンタニルを調べてほしい、いかなる法的処置を取ってしても流入を止めるべきだ』と迫っています」(在米日本人ジャーナリスト) 米国におけるフェンタニルの輸入元は大半が中国だ。ロサンゼルスの保健当局者は「街では中毒者が至る所に見られ、他のオピオイド(強い鎮痛作用を示す物質の総称)よりもフェンタニルでの死亡事故が多発している」と警告しているほどだ。 米国の疾病管理予防センターの公表資料によると、2017年に7万人以上が薬物の過剰摂取で死亡した。そのうち68%がオピオイドに関連する。米国では一般的にオピオイドはフェンタニルと呼ばれる成分から合成され、フェンタニルはヘロインの50倍、モルヒネの100倍の鎮静作用がある。 「米国が、中国産の薬物輸出を戦争の一形態とみなしたのは、今回が初めてではありません。14年の米軍国防白書には、中国から『薬物戦』や『文化戦』(孔子学院などによる日米離反工作)など従来の攻撃方法でない戦略があると警鐘を鳴らしています。米軍特殊作戦司令部も同じく14年に戦略白書『非慣習的戦争への対応』を発表していますが、そこには『薬物戦』も一種の戦闘形態であると記されています。フェンタニルは死に至る高い中毒性により、軍事目的の化学兵器とみなされているわけです。何しろかつて毛沢東は、軍を増強させ、必要な兵器や資金を調達するために、アヘンを育てて販売していたことが知られていますからね」(同・ジャーナリスト) 16年10月のBBCの報道によると、多くの中国企業がフェンタニルよりも100倍強力で、米国や日本で指定薬物扱いのカルフェンタニルを輸出していることが明らかになった。米国は早期に中国に規制を求めていたが、17年2月に規制されるまで、公然とインターネットなどで販売され、大量に流通していた。 薬物乱用の影響はもう1つある。過剰摂取による労働力の衰退だ。プリンストン大学の経済学者アラン・クルーガー教授によれば、米国では労働力人口が近年低下していると指摘し、その原因としてオピオイド中毒によって、主に25〜54歳の青年‐壮年期といった労働力の中核層の20%が労働人口から離脱したことに起因していると公表した。 米国が中国に「貿易戦争」を仕掛ける前に、中国は先制攻撃をしていたわけだ。
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社会 2018年08月31日 12時20分
市役所職員のありえない行動に怒りの声 故人のクレジットカードを200万円分使用か
埼玉県日高市の市役所に勤める47歳の職員が、引き取り手がないままに亡くなった人のクレジットカードを使って買い物し逮捕されたことが判明。市民の信頼を大きく裏切る行動に怒りの声が広がっている。 男は日高市役所で引き取り手のない人が亡くなった際に残した遺骨や遺品を管理する部署に所属。去年の8月、自らの立場を悪用し、遺品のクレジットカードを使い歯ブラシなどの生活品約3000円分の買い物をした疑い。 なお、このほかにも昨年の1月から8月にかけてカード2枚で200万円分の使用履歴があり、男が関与している可能性があるとして警察が捜査している。 このカードは平成28年12月に病死した男性のもので、遺体の引き取り人がないため、市役所が遺体と所持品を引き取り、保管。男は社会福祉課の主査として関わっていた模様だ。 故人のクレジットカードで買い物を楽しみ、私腹を肥やしていたというありえない行為にネットユーザーの怒りも爆発。「ふざけるな」「故人を冒涜するな」との非難や、「こんな男が役所で働いていることが怖い」「信用できる人間が誰も居なくなった」など、ショックを受ける人もいた。 今後の捜査で余罪が明らかになるものと思われるが、金額の問題ではなく、故人の遺品を預かった人間がそれを自らの欲望を満たすために使っていた事実は、人間としても市役所職員としても失格といわざるを得ない。 日高市役所がこの男にどのような処分を行うのかは不明だが、仮に今後も勤務するとなれば、市民から不満の声が出ることは、間違いないだろう。
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社会 2018年08月31日 12時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜"物語」 ★日本経済転落の理由
国連統計で世界のGDPに占める日本の比率を見ると、1995年に17・5%だったものが、2016年には6.5%となっている。20年余りで日本のGDPシェアは、3分の1に落ち込んだことになる。 日本経済の衰退は、人口減少が原因だという説があるが、それは違う。1995年から2016年にかけて、人口は1%も増えている。また、日本経済は、高齢化で労働力が減ったことで衰退したという説もあるが、就業者数も、わずか0.1%だが増えているのだ。 それでは、日本経済がなぜ空洞化したのか。そのきっかけは、1985年9月のプラザ合意だった。 先進5カ国の大蔵大臣、中央銀行総裁がニューヨークのプラザホテルに集まり、協調介入で円高にする合意をした。その結果、合意直前まで1ドル=240円だった為替レートは、1987年末には1ドル=120円の超円高となった。2年余りで2倍の円高だ。 この円高は、日本の輸出商品に一律100%の課税を行うのと同じような効果を発揮した。そこで、日本での生産活動が不可能になった製造業は、次々と海外移転を始めた。実際、1985年には3.0%にすぎなかった海外生産比率が、2016年には23・8%と、8倍になったのだ。 円高が長期に経済を低迷させることは、実は沖縄が証明している。太平洋戦争で米国に占領された沖縄では、1946年4月に、米軍が発行するB円という軍票が公式通貨とされた(米軍が韓国で使用した軍票がA円だった)。その後、'48年7月には日本円の使用が禁止され、沖縄で使える通貨はB円だけになった。終戦後、米軍は沖縄に米軍基地を建設するため、多くの沖縄の労働者を使用したが、労働者に支払われたお金は、米軍が作った紙切れだったのだ。 当初、B円と日本円は等価だった。つまり、1B円=1円だったのだ。ところが、米軍は'50年4月に、突然B円の為替レートを1B円=3円に切り上げた。この為替政策によって、米軍が日本本土から資材等を輸入する際のコストが3分の1に減った。おそらく、それが為替変更の目的だったのだろう。 しかし、このB円高によって、沖縄の製造業は、完全に国際的な価格競争力を失ってしまった。いまでも、沖縄県の製造業は、本土に比べると圧倒的に弱い。「県民経済生産」によると、産業全体のGDPに占める製造業の割合は、全国平均が20・8%であるのに対して、沖縄県は4.9%にすぎない。'58年にB円は廃止され、それ以降、沖縄では米ドルが使われることになったが、たった8年間の通貨高で沖縄の製造業は破壊されてしまったのだ。 プラザ合意後の日本では、資本自由化や不良債権処理によって、製造業以外の分野でも、経済が次々に外資に支配されていくことになったのだが、空洞化の原点は円高だった。 最近の経験でも、民主党政権末期に1ドル=79円の円高が襲ったため、日経平均株価は8600円となり、日本中に派遣切りの嵐が吹き荒れた。通貨高が経済を破壊することは明らかなのだ。にもかかわらず、当時の中曽根内閣は、なぜ日本経済崩壊に直結するプラザ合意を受け入れたのか。 戦後経済の最大の謎なのだ。
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社会 2018年08月31日 06時10分
駅のロッカーから乳幼児の遺体…増え続ける、無責任な親による虐待・殺害事件
29日午後3時20分頃、埼玉県坂戸市の東武東上線北坂戸駅のコインロッカー内から乳幼児の遺体が発見された。 事件が発覚した理由は、駅職員がロッカーの異臭に気がついたこと。職員が交番に通報すると警察官が駆けつけ、コインロッカーを確認。18個あるうちの1つから、カバンの中に入った生後間もないとみられる乳幼児の遺体が発見された。 遺体は女の子で、服を着ていなかった。死後数日が経過しているものと見られ、警察が死体遺棄事件として捜査を始める予定だ。 生まれたての何の罪もない赤ん坊を死なせたうえ、カバンに入れてロッカーに遺棄するという許しがたい事件に、ネットユーザーからも「許せない」「人間のすることとは思えない」「命の尊さを軽んじすぎている」など、犯人への怒りが爆発している。 それにしても多い子供の殺害や虐待事件。23日には大阪府に住む風俗店従業員の女性が2016年12月頃、居住していた仙台市青葉区の自宅で乳幼児をビニール袋に入れ放置し死なせたほか、その他2人についても殺し、マンションに放置していた事件が発生し、ネットユーザーの怒りを買った。 また、4月には群馬県前橋市でも、公園のトイレで死産した赤ん坊を紙袋に入れ老人保健施設前に放置した42歳の女が逮捕されている。この女はネットカフェで生活しており、子供が育てられなくなり、犯行に及んだものと見られている。 子供を捨てる行為は許されるものではないが、その背景には育てることができないにもかかわらず身ごもってしまうことがある。いずれも父親の所在が不明で、女性1人が子供を背負い、処遇に困り、凶行に及んでいる。 今後類似事件を起こさない意味でも、子供を育てられなくなった母親に対する支援措置などを早急に検討するべきだろう。
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社会 2018年08月30日 18時00分
M&Aで肥大化する『ライザップ』が一部上場にコミットできない理由
有名タレントを広告塔にした、テレビCMでお馴染みのRIZAP(ライザップ)グループの“太りすぎ”が不安視されている。「結果にコミットする」の謳い文句は様々な業種に手を広げつつある。 トレーニングジムのライザップに通う会員は、トレーナーの厳しい管理下に置かれるため効果抜群と言われるが、辞めた途端に反動でリバウンドする人も少なくないという話もある。しかし、ダイエットに成功した芸能人に感化され、入会者数は増加している。 「マンツーマントレーニングジムをコア事業に、ゴルフレッスン、英会話、飲食まで幅広い事業を手掛けている。これまでライザップが買収した企業は60社超で、その手法は経営難の企業の狙い撃ち。買収先企業の純資産よりも安い金額で買うと、その差額を営業利益に計上できるため、まさに利益を嵩上げする裏ワザです」(会計士) これにより、連結売上高は6年間で10倍まで膨れ上がっている。いわば、脂肪を削ぎ落とすライザップスタイルに反し、M&Aで太り続けているのだ。 今年6月には、カルビーの会長兼最高経営責任者(CEO)だった松本晃氏をグループの代表取締役最高執行責任者(COO)に招聘し話題となった。松本氏は米ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人社長も務めており、新たな経営戦略に乗り出す。 「しかし、美容・健康を中心としていたライザップが、アパレルや新聞社まで買収し驚きました。一部の金融機関はM&Aによる相乗効果が感じられないことを理由に融資に消極的になっており、今後の資金調達に影響が出るかもしれません。また現在、アンビシャス(札幌証券取引所)上場のライザップは東証一部への指定替えを狙っていると言われるが、その場合は新規上場審査となるので厳しく、グループの傘下企業まで調べるので時間がかかる」(市場関係者) '18年4月〜6月期の連結決算は最終損益が30億円の赤字。'21年には連結売上高3000億円を目標に掲げているが、そう簡単に結果にコミットできるのかは疑問だ。 肥大化し続ける『ライザップ』をしっかりコントロールする“担当トレーナー”は果たして誰なのか? 複数の船頭では方向を誤りかねない。
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社会 2018年08月30日 12時40分
SNS上で大激論に発展の“ママ閉店”問題 はあちゅう氏も「みんな代わりばんこに閉店すれば…」
ツイッター上で「ママ閉店」という言葉が話題になっている。 事の発端となったのは、あるツイッターユーザーが25日にツイッターに投稿したあるポスト。そこには育児中の妻が時折、「もうママ閉店です」と宣言し、その後はテレビを観たりスマホをいじったりして家事・育児に関することはしなくなるという。また、子どもにも「ママ」ではなくあだ名で呼ばせるとし、そのツイッターユーザーは世の母親も急遽ママ閉店すればいいと推奨していた。 しかし、このツイートに関し、ネット上では「ネグレクトでは?」「好きで開店したのに放棄するのは無責任過ぎる」「家事を放棄するだけならともかく、『ママ』と呼ばせないのは…」などの声が集まり、炎上する事態になっている。しかし、一方では「少し休んだって子どもへの愛情はなにも変わらないんじゃ…」「母親はコンビニ業じゃないし、休みは必要でしょ」「その分父親がしっかりしてれば何の問題もない」などの擁護の声も多々あり、ネット上で議論になっている状態。 これについて、ブロガーのはあちゅう氏も反応。ツイッターで「ママ閉店が炎上してるのを見てやるせなさでいっぱい...」とつづり、自身は母親ではないものの閉店することがあると告白。「気持ちが落ちた時や体調不良の時『今死んでるので、生き返ったらやります』って言ってる。コンピューターでさえバグるのに、ましてや人間だもの...みんな代わりばんこに閉店すればよいだけ」とつづっていた。 実際に育児をしているツイッターユーザーからは、「閉業ではあるまいし、宣言せずに休んでいる母親はざらにいる」「緊急事態には臨時営業すればいいだけ」「パパとママが交代で営業してるようにしてる。いっぱいいっぱいになって虐待するより全然マシ」と現実的なコメントも集まっている。 今後も波紋を広げそうな「ママ閉店」。実際に子育てしている芸能人らのコメントも待たれている。記事内の引用についてはあちゅう公式ツイッターより https://twitter.com/ha_chu
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社会 2018年08月30日 12時30分
「猫の餌にするため」69歳男、インコとハムスター万引きで逮捕 異常な言い訳にネット戦慄
28日、栃木県那須塩原市のホームセンターで、69歳の男がインコとハムスターを万引きした男が現行犯逮捕されたことが判明。その驚きの動機に怒りの声が上がっている。 男は那須塩原市豊浦のホームセンターで、インコ1羽とハムスター3匹、そして蚊取り線香約1万1700円分を万引き。異変を察知した従業員が呼び止めると、逃走を図る。しかし、従業員は親指を引っかかれるなどしたものの逃さず、身柄を確保。警察に引き渡し、強盗致傷容疑で現行犯逮捕となった。 警察の取り調べに対して男は、インコとハムスターを万引きした理由について「猫の餌にするためだった」と供述。本当か嘘かは不明だが、なんと猫に食べさせるために生き物を万引きしたというのだ。 男はインコとハムスター、そして蚊取り線香を持って逃げておきながら、「店に戻ってお金を払うつもりだった」とかなり苦しい言い訳をしており、「猫の餌」発言と合わせて、精神的な異常を指摘する声もある。 それにしても許せない、インコとハムスターを猫の餌にしようとした行為。猫が本当に食べるのかは不明だが、人間に飼ってもらうために販売されている動物を猫に餌として食べさせようとする行為は、「命」を軽視していると言わざるを得ない。 ネットユーザーからも「発想も行動もクズすぎる」「頭が逝かれている」「生き物を飼う資格がない」と怒りの声が殺到している。 男の真意は不明だが、飼うために販売されている動物を「食べる」ために買うことは遺憾。しかも、それを盗んでいるとなれば「クズ」といわれても、致し方ないだろう。
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社会 2018年08月30日 12時00分
“松茸を盗んだ”と長時間上司から詰問され自殺 ヤマト運輸の対応に疑問の声
ヤマト運輸に勤務していた夫が自殺したのは上司から詰問を受けたせいだとして、自殺した夫の妻が同社に約6700万円の損害賠償を求めて提訴したことが判明した。 事案が発生したのは、山形県米沢市のヤマト運輸営業所。訴状によると、昨年10月、配送中の同社内で松茸が2回紛失する事案が発生。詳細は不明だが、自殺した社員の男性(当時50)が上司から疑われ、同11月21、22日両日に市内の貸し会議室に呼び出され、同社東北支社幹部から長時間に亘り詰問を受けた。 これを受けた男性は、22日に貸し会議室に隣接する体育館の屋根から飛び降り、死亡。なお現在のところ、男性が実際に盗んでいたか否かは明らかになっていない。仮に濡れ衣だった場合、真面目に仕事をしてきた男性の受けた精神的苦痛は筆舌に尽くし難く、ヤマト運輸幹部の対応は殺人に近い、と言う人もいる。 ヤマト運輸を運営するヤマトホールディングスについては、昨今不祥事が相次いでいる。記憶に新しいところでは、引越し業などを手がけるヤマトホームコンビニエンスが、法人顧客向けの引越し料金を過大請求する事案が発生している。 この件では、2016年5月から2018年6月末までに引っ越しを担当した企業の約8割に過大請求しており、その金額は実に17億円といわれている。しかもこの原因は、事前見積もりより実際の作業が少なかった場合に、そのことを反映せず見積額をそのまま請求していた。この件について、「組織ぐるみでわざとやっていたのではないか」という指摘もある。ヤマト運輸でも残業代の未払いが横行。2017年には労働基準法違反容疑で書類送検されており、幹部の末端で運送を頑張る社員に対する「扱いの低さ」が露呈されていた。 今回の事案もそんな社員軽視の社内風土が、事件を引き起こしたのではないか。仮に濡れ衣であれば、大きな問題だろう。 今後、男性が本当に松茸を盗んでいたのか、そして会社の男性に対する対応が適切だったのか、が焦点になると思われる。まずは全ての事実を裁判で明らかにしてもらいたいものだ。
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社会 2018年08月30日 12時00分
〈企業・経済深層レポート〉 ついに値を上げた大塚家具 ニトリに歯がたたなかった久美子社長の誤算
家具販売大手の大塚家具が、8月に入り一部メディアによる“身売り”報道に対し、資本増強や他社との業務提携を多面的に検討していると明らかにしたことで、経営難ぶりが一気に表面化した。「大塚家具は2017年12月期決算で過去最大の72億5900万円の純損益を計上し、2年連続の赤字に陥った。無借金経営で一時は100億円あったキャッシュは10億円規模まで縮小し、すでに泥船状態。そのため、やむを得ずスポンサーの力を借りての再建方針に切り替えたのです」(業界誌記者) 大塚家具は周知の通り、2015年に父娘の経営権を巡る骨肉の争いで世間を騒がした。創業者で会長として君臨していた父・大塚勝久氏と、長女の久美子社長が株主総会で委任状争奪戦を繰り広げ、最終的に久美子氏が勝ち、経営を掌握したのだった。「一時の隆盛からジリ貧気味に陥っていた父の経営方針に久美子氏が異論を唱え、異例のお家騒動となった。当時、その久美子氏が目指したのはニトリやイケアのような店づくりと言われていたのです」(経済部記者) あれから3年。目指した改革の道のりは険しいものとなり、身売り説まで飛び出す事態となった。そもそも、なぜ大塚家具はニトリに追いつけなかったのか。 ニトリと大塚家具の経営史、さらに現在の家具に対する世間の意識の変遷を見ると、その理由がおぼろげながらも見えてくる。 大塚家具は1969年、勝久氏が埼玉県春日部市で家具やインテリアを販売する『大塚家具センター』を設立したことに始まる。「設立時、勝久氏は問屋経由を止めたことで価格破壊を起こし、瞬く間に人気店となったのです。その手法に当時は業界内で揶揄する声も出たが、法に触れているわけではない。慣習にとらわれ動けない人が多い中で、勝久氏は度胸とアイデアで大塚家具を飛躍させたのです」(業界関係者) その後も大塚家具は成長を続け、'80年に株式を公開した。「勝久氏が次に仕掛けたのが会員制度の導入。ショールームで丁寧に接客するスタイルを取り、今度は大塚家具=高級家具のイメージを定着させたのです」(同) 一方のニトリは、'67年に札幌市で『似鳥家具店』をスタートさせ、'72年に『似鳥家具卸センター』を設立。当時は傷モノや倒産品を仕入れ、安く売る手法を取っていた。「その後、少しずつ方針を転換して海外商品の直輸入品を扱い、さらに海外工場の設置、メーカーの子会社化などにより製造・販売を行うプライベートブランド(PB)の道を切り開いた。これがCMのキャッチコピーである『おねだん以上。ニトリ』の所以となったのです」(同) 大塚家具、ニトリともに始まりは“低価格”だったが、それぞれ高級志向とさらなる安値路線を突き詰め、差別化を図ってきた。そうした中、消費者の意識も変化が生じてきた。「バブルがはじけ、人口も減り、今は新築住宅も年間100万戸を切る時代。大塚家具の真骨頂だった家具一式購入への対応が求められる時代は終わり、その都度買い替えるパターンが増えてきている。ニトリの場合、安い上にコーディネートの提案にも力を入れ、着実に業績を伸ばしてきたのです」(同) いまやニトリはPBが9割を超え、一方で後発の大塚家具は5割前後だという。「PBはオリジナリティーを出せて他の商品と差別化もでき、低価格で競争力が強い。多くの日本人にとって一時、家具は何代も受け継がれてももつ、高価なものがいいという意識と傾向があった。それが今は、ファッション性が高く、安ければ一代限りの寿命で構わない、さらに言えば、使い捨てでもOKという感覚になっているのです」(前出・業界誌記者) そうなると、すでに人件費の安いインドネシア、ベトナムに大規模な自社工場を持ち、巨大物流センターで効率化を図るニトリに対抗して、高級家具、会員制に限界を抱いた久美子社長が大きく舵を切ってニトリに追いつこうとしても、そう簡単にはいかない。 その結果、ニトリは'18年2月期の連結決算で純利益が前期比7%増の642億円と過去最高。大塚家具は'18年12月期の業績見通しでも純損益が約34億円の赤字という差となって出てしまった。「今後、新たなスポンサーがついて新生大塚家具が動き出すにしても、どこを目指すかが重要になってくる。すでにニトリと同じことをやっていては自分の首を絞めることが明確となった。資金調達もさることながら、大塚家具ならではのオリジナリティー、ブランド力を改めて見直すことが必要になってくる」(業界関係者) 久美子社長の今後の選択に注目だ。
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社会 2018年08月30日 07時00分
沖縄県知事選に玉城デニー氏擁立の急転直下!安倍構想“カジノ誘致”と9月決戦
沖縄県知事選(9月30日投開票)に向け、玉城(たまき)デニー衆院議員(58)の擁立劇は、急転直下だった。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対を訴えてきた「オール沖縄」勢力が沖縄3区選出の自由党の玉城氏を擁立。自民・公明両党が推す前宜野湾市長の佐喜真(さきま)淳氏(54)との一騎打ちの構図となる。沖縄県の翁長雄志知事の急逝に伴う県知事選の構図が事実上、固まった。 県政奪還を狙う安倍自民党の水面下の動きが活発だ。翁長氏と対立してきた自民党は早々に佐喜真氏の擁立を決めている。「もともと保守系では、沖縄の風雲児で元沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)会長の安里繁信氏が出馬を表明していたが、菅義偉官房長官、二階俊博幹事長との会談後に辞退の意向を示した。これにより分裂は回避され、自民党の推す佐喜真氏で一本化することになったのです」(政治部記者) これに県政与党は、警戒の色を強めている。「安里氏と菅氏らの間でどんな話し合いがあったかは分からない。ただ、安里氏が会長だったOCVBは官民で沖縄の観光・リゾート開発を推進する組織で、地元建設業界などと密接にかかわっている。この組織が早い段階からカジノを含めるIR事業を模索していたことを考えると、それが安里氏の出馬断念の材料に使われた可能性がある」(与党関係者) 沖縄のカジノ誘致を巡っては翁長知事が反対していたが、その前の仲井眞弘多知事時代は推進に舵を切っていた。「そこには米軍普天間基地の辺野古移転を条件に、カジノ誘致という密約があったとも言われている。当時はその仲井眞氏、安倍首相、カジノ事業を積極的に進めるセガサミー、そして地元建設業界が組み、沖縄でのIR事業を描いていたとされます」(前出・記者) その後の翁長氏の反対によりカジノ熱は冷めたかに見えたが、IR実施法が成立した直後の今年7月、中国やイギリスのカジノ関連業者が沖縄を訪問。さらにその後の翁長氏の死去による急きょの知事選裏で、再び誘致が注目され始めた。「沖縄の経済は徐々に上向きになっているが、今年6月の有効求人倍率は全国最下位の1・13倍。この状況に県民はさらなる活性化を望んでいる。実際、求人が伸びているのは宿泊業、飲食サービスで、この分野の後押しが欲しい。そのため、地元へのカジノ誘致の持ち掛けが、自民候補者の票集めの材料にも使われると言われているのです」(地元住民) 沖縄県は日本列島の最西端に位置し、台湾や中国本土とも近接している。もしカジノが実現するとすれば、上海や台北の富裕層を2時間程度で沖縄へ集客することが可能だ。県民所得は47都道府県の中で最低水準となっている。沖縄経済は、米軍基地への食料品などの物資納入や地代収入に頼っているのが現状だ。 9月30日の県知事選で県民は「カジノ」を選ぶのか、翁長雄志知事の「遺志」を重んずるのか、こればっかりは票を開けてみなければ分からない。