事案が発生したのは、山形県米沢市のヤマト運輸営業所。訴状によると、昨年10月、配送中の同社内で松茸が2回紛失する事案が発生。詳細は不明だが、自殺した社員の男性(当時50)が上司から疑われ、同11月21、22日両日に市内の貸し会議室に呼び出され、同社東北支社幹部から長時間に亘り詰問を受けた。
これを受けた男性は、22日に貸し会議室に隣接する体育館の屋根から飛び降り、死亡。なお現在のところ、男性が実際に盗んでいたか否かは明らかになっていない。仮に濡れ衣だった場合、真面目に仕事をしてきた男性の受けた精神的苦痛は筆舌に尽くし難く、ヤマト運輸幹部の対応は殺人に近い、と言う人もいる。
ヤマト運輸を運営するヤマトホールディングスについては、昨今不祥事が相次いでいる。記憶に新しいところでは、引越し業などを手がけるヤマトホームコンビニエンスが、法人顧客向けの引越し料金を過大請求する事案が発生している。
この件では、2016年5月から2018年6月末までに引っ越しを担当した企業の約8割に過大請求しており、その金額は実に17億円といわれている。しかもこの原因は、事前見積もりより実際の作業が少なかった場合に、そのことを反映せず見積額をそのまま請求していた。この件について、「組織ぐるみでわざとやっていたのではないか」という指摘もある。ヤマト運輸でも残業代の未払いが横行。2017年には労働基準法違反容疑で書類送検されており、幹部の末端で運送を頑張る社員に対する「扱いの低さ」が露呈されていた。
今回の事案もそんな社員軽視の社内風土が、事件を引き起こしたのではないか。仮に濡れ衣であれば、大きな問題だろう。
今後、男性が本当に松茸を盗んでいたのか、そして会社の男性に対する対応が適切だったのか、が焦点になると思われる。まずは全ての事実を裁判で明らかにしてもらいたいものだ。