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ヤマト運輸がクロネコメール便を廃止 利用客が「郵便法違反」に問われるのを防ぐ目的

 ヤマト運輸株式会社(本社=東京都中央区銀座)が3月31日受付分をもって、クロネコメール便のサービスを廃止することを発表した。

 郵便法で「信書」はメール便で送ることはできず、送ることが可能なのは日本郵便のみ。総務省が示している「信書」とは「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、または事実を通知する文書」と定義されている。

 その「信書」にあたるものは書状、請求書の類、会議招集通知の類(結婚式の招待状等)、許可書の類(免許証等)、証明書の類(住民票の写し等)、DM。

 「信書に該当しない文書」は書籍、カタログ、小切手、プリペイドカード、乗車券、クレジットカード、会員カード、DM、その他と決められている。

 DMは内容物によって、信書かそうでないかに分かれるなど、基準が極めてあいまいで、一般の人には、「信書」の定義が分かりづらいのが実状。

 09年7月以降、同社のメール便を利用した客が、「信書」を送ってしまい、郵便法違反容疑で書類送検、もしくは警察から事情聴取されたケースが計8件あったという。

 同社では、総務省に対し、「信書」の定義の明確化、信書規制の改革を訴えてきたが、主張は受け入れられなかった。

 そのため、法違反の認識がない利用客が容疑者になるリスクを、これ以上放置することは、企業姿勢と社会的責任に反し、「安全で安心なサービスの利用環境」と「利便性」を同社の努力だけで持続的に両立するのは困難と判断し、メール便を廃止する決断に至った。

 代替サービスとして、4月1日から、従来の宅急便より小さな荷物をリーズナブルな運賃で送れるサービスを新設。さらに、カタログやパンフレットなどを送る法人向けに、「クロネコDM便」と名称を変更して継続。DVDやCDなどを送りたい個人向けには、郵便受けに投函する形のサービスを提供予定。

 同社によると、13年度のメール便取扱量は21億通、売上高は約1200億円で、山内雅喜社長は「メール便の9割を占める法人向けを新サービスに移行でき、新たな需要を掘り起こすことで業績面への影響は小さい」としている。

 同等のサービスとしては、日本郵便の「ゆうメール」があるが、クロネコメール便より割高で、コンビニエンスストアで24時間気軽に送れるヤマトの方が一般に浸透している。

 個人向けにおいても、同社にはこれまでと大差ないサービスの提供を期待したいものだ。
(蔵元英二)

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