社会
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社会 2018年09月17日 18時00分
高級店・コンビニも相まみえる 激闘の喫茶業界
日本生産性本部(公益財団法人)によるカフェ部門、2018年度第1回調査(年6回)で、首都圏中心に店舗展開するベローチェ(運営会社シャノワール=東京=172店)が「顧客満足度」でトップに輝いた。全国展開するスタバ(スターバックスジャパン=東京=1340店)やドトール(ドトールコーヒー=東京=1120店)などの大手カフェチェーンを押さえ、なぜベローチェはトップに輝けたのか。 同調査には「顧客期待」「知覚品質」「知覚価値」「推奨意向」「顧客満足」「ロイヤリルティ」という6つの指標があるのだが、'18年度の第1回調査では、「顧客満足」「知覚価値」「ロイヤルティ」の3指標をベローチェ、「顧客期待」「知覚品質」「推奨意向」の3指標はスタバが1位になった。 ベローチェとスタバで6指標を独占したが、そのなかでも注目度の高い「顧客満足度」に限ってはベローチェが抑えた形だ。その背景を経営アナリストがこう話す。 「ベローチェが躍進できた大きな要因は、なんといってもコスパでしょう。ドトールのブレンドコーヒー(Mサイズ)の価格は270円(税込み)、スタバのドリップコーヒー(Tollサイズ)は345円(税込み)、ベローチェのブレンドコーヒー(Mサイズ)の価格はなんと200円(税込み)。低価格路線のドトールと比べても割安で、コスパはかなり高いです。コーヒーのクオリティーを維持しながらもリーズナブルな値段に抑えているため、ドトールやスタバを圧倒できたのではないでしょうか」 高いコスパが認知され「顧客満足」では頭一つリードしたベローチェだが、安穏としてはいられない。その理由を業界通の経営コンサルタントはこう話す。 「最近は、コンビニの低価格コーヒーが品質にこだわり、ますます美味しくなっています。さらにイートインコーナーもキレイで設備が充実してきていることから、廉価がウリのベローチェは、今後コンビニとも競争しなければなりません。さらに最近は高級喫茶店にも人気が集まっているため、それらの店舗との競争も熾烈になってくると思います」 高級喫茶店の代表格として躍進しているのが、「喫茶室ルノアール」と「星乃珈琲店」の2店だ。 ルノアールの運営会社「銀座ルノアール」のカフェ事業は、右肩上がりで成長しており、'18年3月期の売上高は59億円で、5年前と比べて23%増。最近はコーヒー焙煎、販売、小売りも手掛け創業から約100年続く老舗の「キーコーヒー」を傘下に入れたことで、さらに勢いを増している。 一方、星乃珈琲店の運営はドトールの姉妹会社「ドトール・日レスホールディングス」。ドトールで低価格コーヒーを販売と同時に高級店ヒットをも察知した動きだ。4月発表の2018年2月期通期の連結決算は、売上高1311億8200万円(前期比3.4%増)、純利益66億7300万円(10.3%増)とこちらも売り上げを伸ばしている。こうした高級喫茶店が躍進する要因を前述の経営コンサルタントがこう分析する。 「品質と味を重視したコーヒーを提供している面もありますが、ベローチェを含むスタバやドトールなどのチェーン店がセルフカフェなのに対して、高級喫茶店ではスタッフが世話をやくフルサービス。そして高級感漂うソファと、広々とした座席でゆっくりくつろげる。コーヒー一杯で600円以上かかりますが、それ以上に居心地の良さが抜群です。特に読書家やノマドワーカー(オフィスや自宅ではなく、IT機器を駆使して場所にとらわれずどこでも仕事する人)たちからは人気を得ています」 現在の喫茶業界は、低価格と高級志向が加速し2極化が進んでいるようだ。しかも、価格にとらわれない新たな勢力も無視することはできない。 「日本の喫茶店の歴史は1970年代、ブルマンなど銘柄にこだわる純喫茶全盛のファーストウェーブから始まり、2000年に入るとスタバなどシアトル系カフチェーンが台頭したセカンドウェーブが到来しました。そして現在は、コーヒー豆の農園にまでこだわり、ハンドドリップで丁寧に淹れた高品質コーヒーを提供するカフェが注目されているサードウェーブ時代です。アメリカオークランドに本社があり2015年に日本に上陸したブルーボトルコーヒーは、行列のできるカフェとして話題をさらったのは記憶に新しいでしょう」(業界歴の長いバリスタ) 2012年の喫茶業界の市場規模は1兆200億円だったのに対して、2016年は1兆1170億円。不景気な外食産業のなかでも、順調に業績を伸ばしているが、コンビニコーヒーや高級喫茶店の急伸、さらにサードウェーブ時代に突入した喫茶業界は、熾烈さが増すばかりだ。
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社会 2018年09月17日 06時10分
土地込み1000万円以内のマイハウスも夢じゃない? 今注目の“タイニーハウス”とは
最低限のモノだけを持ち、シンプルな暮らしを送る「ミニマルライフ」が流行してしばらく経つが、アメリカで火が付き日本でも広まりつつあるのが「タイニーハウス」と呼ばれる家での生活。直訳すると「小さな家」という意味のタイニーハウスは、いったいどんなものなのだろうか。 タイニーハウスとは、その名の通り小さな家。大きく分類すると4種類ほどあり、それぞれ「マイクロハウス」、「トレーラーハウス」、「ドームハウス」、「コンテナハウス」と呼ばれている。日本で家を持とうとする場合、土地購入とは別に、建築費が2000万円〜5000万円ほどかかると言われているが、タイニーハウスの場合だと、たとえば35平米のトレーラーハウスであれば500万円前後で購入することが可能。建築費用300万円台のマイクロハウスが続々登場している上、ドームハウスに至っては「30平米ほどで85万円以下で建築できる」とうたうメーカーもあるほど、ローコストなのだ。 さらに土地も、都会以外ならば100万円以下で購入できるケースも決して少なくない。実は都内から電車で2時間以内の範囲でも100万円以下の土地は多くあり、タイニーハウスの建築費用と合わせて数百万円以内に収めることは難しくないプランなのだ。 また、タイニーハウスの中でも現在最も注目を集めているトレーラーハウスは、外観や内装は家そのものなのだが、「トレーラー」という名前の通りタイヤが付いている。そのため、その土地に飽きたら家ごと引っ越しすることも可能。さらに、あくまで車両扱いになるため、不動産取得税や固定資産税の税金もかからない。エンジンがなく自走はできず、車検はもちろん、自動車税もない。税金を大幅にカットすることができる。 もちろんタイニーハウスにもデメリットはある。収納スペースは少なく、部屋数も少ない。プライバシーがなくなる恐れもあり、トレーラーハウスは車両のため住宅ローンを使えずオートローンしか選択肢がなくなる。設置予定場所までの道の幅が4メートル以上ないと運ぶことができない、トレーラーハウスのけん引に50万円前後かかることもデメリットだ。 しかし、お風呂やトイレなど、最低限の生活をする機能はもちろん備えてあり、シンプルな生活を実現できるタイニーハウス。値段の高さからマイハウスを持つことを諦めている人は検討してみてはどうだろうか。
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社会 2018年09月17日 06時00分
田中角栄「名勝負物語」 第一番 田中真紀子
万事に几帳面であった田中角栄の唯一の“弱点”は、女性関係が賑やかすぎたことだった。それは、真紀子が物心ついて以後、田中がのちに脳梗塞に倒れて再起不能、やがて死を迎えるまでの長きに渡った愛憎劇となっている。 女性に優しかった田中は、遊び上手、気っぷもよかったうえ、自民党幹事長など権力の階段をのぼり始めた頃は、芸者をはじめモテにモテた。 その中で、とくに真紀子の胸を痛めさせたのが、花柳界・神楽坂の売れっ子芸者だった辻和子と、田中が陣笠代議士時代から秘書として仕え、のちに「越山会の女王」として田中事務所の金庫番を担い、田中と二人三脚で政治活動を共にした佐藤昭子の2人である。ともに、「愛人」として位置付けられていた。真紀子はこの2人とどう向き合い、そのはざまで父親としての田中はどう真紀子と向き合ったのか。 辻和子と田中は、辻が「円弥」という源氏名で座敷に出ていた19歳、田中が28歳で田中土建工業が戦後の土建ブームでウナギのぼりに業績を上げていた昭和22年(1947年)に出会い、恋に落ちた。神楽坂で戦後真っ先に復活、有数の待合だった『松ヶ枝』で会うことが多かった。 その後、田中は「円弥」を身請けし、神楽坂に一戸を構え、長女は乳児で死亡したが、その後、2男をもうけたのだった。 辻は田中を「おとうさん」と呼び、秘書だった早坂茂三(のちに政治評論家)が明かしたところでは、「正月元日は目白で年始客と会っていたが、2日は神楽坂に行っていた」そうだから、いかに“別宅”のほうも大事にしていたことが窺われる。 しかし、こうした父親の行状に不信感を持っていた真紀子ではあったが、決定的な不信感のピークに達したのは、もう1人の愛人、佐藤昭子の存在だった。昭和49年(1974年)、月刊『文藝春秋』に“田中角栄研究”が掲載され、金脈問題と同時に“淋しき越山会の女王”として田中と佐藤の愛人関係が暴露されたことがキッカケだった。それまで、単なる秘書と認識していたのが、真紀子にとっては屋上屋を重ねる愛人の存在は、とんでもない“ニュース”だったのだ。例えば、佐藤との間にもうけた娘・あつ子は、のちにこう語っている。 「私が4歳か5歳の頃、母と一緒に目白に伺ったら、真紀子さんがメロンを出してくれたり、その後もお花の入った香水を頂いたこともありました。その後も、真紀子さんからの母親の手紙はじつは別れた夫の苗字になっていたから、真紀子さん、家庭を持ちながら父親の仕事を非常によくやってくれている秘書と思っていらしたんでしょうね。だから、本当のことを知ったとき、さすがに、ああ裏切られたんだ、と思われたんだと思います」(『週刊文春』平成24年3月29日号=要約) しかし、佐藤とのこうした愛人関係の新たな露見は、ついに真紀子を爆発させた。時に、真紀子は結婚した田中直紀との間に、2人の幼児がいた。一方の田中は、金脈、女性問題の追及で、進退極まっていた。その田中の首相辞任の決断は、結局、愛娘の一言だったというのがもっぱらである。★真紀子の一言が決めた首相退陣 「田中は、真紀子の意見を求めたそうです。真紀子とすれば、子供たちが恥ずかしくて学校にも行けない。『どうするの。何とかしてよ。私も外を歩けやしない』と迫ったとされる。孫かわいさが人一倍の田中は、この一言で辞任を決断したと言われている。田中は、のちに言っていた。『金脈問題も、ちゃんと説明すれば切り抜けられた。しかし、娘の一言には勝てなかった』と」(元田中派担当記者) 真紀子にとっては、政治家として尊敬してやまなかった父親ではあったが、最後まで女の生理として愛人問題は許せなかったようだ。それは、田中が入院中に辻和子との間にもうけた2人の息子の面会を拒否、通夜でも会わせることをしなかったことにも表われている。長兄の京は、通夜の翌日の密葬で、かろうじて一般弔問客に混じっての焼香を許されただけだったのだ。 その後の真紀子は、田中の地盤を引き継ぐ形で政界入りし、父親譲りの頭の回転のよさと弁舌の巧みさで外務大臣に就任した。田中は常に、のちに3人の子持ちとなった真紀子にこう言っていた。 「子供を作るなら3人がいい。1人でも2人でも、親の膝を独占できる。しかし、3人になれば競争が始まる。人間社会が、競争社会であることを教えることが、子供のためになる」 真紀子は、父親のこんな“言いつけ”を守った形になっている。 言葉を失った闘病生活で、車椅子の父親を最後まで“自分のもの”として守り続けたのも、また真紀子であった。長い父娘の愛憎劇に終止符が打たれて、早25年の歳月が流れようとしている。亡き父親の年齢を大きく越えた真紀子に去来するものは何か。_=敬称略=_(次回は福田赳夫元首相)***********************************************小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材49年のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『愛蔵版 角栄一代』(セブン&アイ出版)、『高度経済成長に挑んだ男たち』(ビジネス社)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。
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社会 2018年09月16日 21時30分
【放送事故伝説】『モーニングショー』で自殺者発見、『ズームイン朝!』でも…
これは1971年(昭和46年)の6月17日の朝日新聞に掲載された記事である。記事によると、この日朝、熱海市某所の海沿いのガケの中腹でひとりの女性が足に怪我を負い動けなくなっているのを偶然通りかかった地元漁師が発見した。女性は全治1か月程度の重傷で、ガケで倒れていた理由は不倫者同士による心中であった。 彼女はこの日、不倫相手であるタクシー運転手のYさんと熱海に来ていたが、お互い家庭のある身であり、許されざる恋であった。そのため二人はお互いの心にけじめをつけるため心中を決意。ガケから海へ向かって飛び降りたが、女性だけうまく海に落ちずガケの中腹に取り残されてしまったのだ。 さて、女性と同時に海へ飛び込んだ男性だが、彼の死体は思ってもみない状態で発見された。この日の朝、テレビ朝日(NET)の人気番組『モーニングショー』(1964年〜1993年)のスタッフ達は「熱海で急増する自殺者たち」というテーマで熱海を訪れていた。 スタッフは自殺の再現のためゴム人形を崖から落とし、実験を行っていたのだが、ロケの最中に昨晩、ガケの中腹で発見された女性の心中相手である男性の水死体を発見した。 ハプニングに慣れている『モーニングショー』のスタッフたちも、さすがの本物の死体発見には驚いたが、そこは報道番組。ロケは自殺者の調査から海底から本物の水死体を引き上げるドキュメンタリー企画に変更し、死体こそ撮影しなかったが、緊迫した生の雰囲気を視聴者に伝えることに成功したという。 この『モーニングショー』とよく似ている話には、「ズームイン朝!水死体発見事件」という都市伝説がある。 日本テレビの朝の人気番組『ズームイン朝!』の名物コーナー「お天気リレー」の生中継の最中、ロケ先の池で突然水死体が流れつき、あろうことか、その模様が生放送される、という最悪な放送事故があったという。もっとも、これは有名な都市伝説のひとつで、実際に放送された事故かどうかは定かではない。文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)
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社会 2018年09月16日 20時00分
海を渡る「故人の遺品」〜高値で売買される日本製中古〜③
日本製以外は人気がない なぜ日本の遺品はフィリピンに行くのだろう。中国は廃プラや古紙など資源ごみの最大輸入国だが、環境汚染や健康被害の深刻化で中国政府は昨年末、輸入を禁じた。受け皿を失った資源ごみは東南アジアに向かったが、タイ政府も今年6月、資源ごみの輸入禁止措置を取った。タイの業者が資源ごみと偽ってパチンコ台を偽装輸入したことがきっかけだった。 中国、タイから資源ごみ扱いとしてはじかれ、日本の業者は大きな痛手となるかと想定されたが、「フィリピンへのコンテナ本数を現在の4本から6本に増やす態勢をとる」(佐々木代表)と言い、フィリピンに焦点を合わせた輸出拡大に期待をにじませている。 「フィリピンはキリスト教国だから仏壇はダメ。あと暑いのでストーブ、こたつ、羽毛布団などは必要ないですね。その代わり、黒焦げの付いた鍋、フライパン、傷ついた食器、壊れたおもちゃ、何でも売れるんです」(佐々木代表) 焦げた鍋や壊れたおもちゃなどは地方の低所得者向けだが、日本製、あるいは日本人が使っていたという安心感から売れるのだという。他国からもフィリピンに輸出されているが、日本製ほど「人気がない」(佐々木代表)という。 「日本製は安心・安全で信頼性が高く、どんな物でも売れます。米国、中国、韓国からもフィリピンに送られているが信用がない。特に中国製は見た目はいいけれど粗悪品が多いので、フィリピン人は手を出しません」(荒津氏)「日本製に人気が集まるのは高品質であるのはもちろん、偽物がない、中古品でも状態がよい、価格が安いことなどが理由ですね。日本でごみとして出せば廃棄物処理として費用がかかる物でも、輸出に回せば処理費用がかかからないだけでなく、利益さえ生み出すのです」(瀬川氏) 団塊の世代の“死亡適齢期”が目前に迫り、同時に高齢独居世帯も増加しており、孤独死はさらに増えていく。今後さらに、フィリピンがわが国のリユース資源の有力な輸出国になることは間違いない。
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社会 2018年09月16日 19時00分
関空水没大パニック 水泡と化す人工島 舞洲・夢洲の大阪万博、カジノ誘致
ここ数年でも最大級の『台風21号』は、勢力が衰えないまま9月4日に関西を直撃し、各地に冠水、停電、地滑り、住宅破壊と大きな被害をもたらした。 その中でも、特に深刻なダメージを被ったのが、大阪府泉佐野市、泉南郡田尻町、泉南市にまたがる関西の空の玄関『関西国際空港』だ。関空島近くにイカリを降ろしていた航空燃料輸送用のタンカーが、台風の強烈な暴風雨をまともに受け、強風に流され、関空連絡橋に衝突するというアクシデントまで発生した。 同連絡橋は破損し、一時、全面通行不能となり、利用客、空港職員合わせて約8000人が“空港難民”となり、空港島内で孤立した。翌5日、連絡橋は片側車線を使っての通行が再開されたが、鉄道はJR、南海ともにいまだに再開の目処がたっていない。関西空港本体も、台風の直撃で、第一ターミナルとA滑走路がいたるところで冠水し、使用不能の状態が続いている。「滑走路より誘導路の浸水がひどい。これらの復旧と点検が大変ですね」(ある国交省職員) いつもは多くの利用客が行き交い、華やかな雰囲気の第一ターミナルも全面休業。人影は少なく、エアコンもストップし、とても“関西の空の玄関”とは思えない、不気味な静けさが漂っていた。 一方、第二ターミナルとB滑走路はほとんど無傷だった。「高潮が東から入ってきたので、第一ターミナルが防波堤の役目を果たし、こちらは大丈夫でした」(同) 関西空港運営会社の関西エアポートでは、第二ターミナルとB滑走路を使って、国内線の一部の運行を再開したが、第一ターミナルを含めての全面復旧には、まだかなりの時間が掛かりそうだ。 関空開港以来の最大トラブル。奇しくも、台風21号が襲来した9月4日は開港日で、25年目を迎えた記念日だった。 それにしても、あれだけの被害を被りながら、翌日には部分的とはいえ運用を再開した。その背景を探っていくと、大阪府と首相官邸筋の政治的な思惑が浮かび上がてきた――。 全国紙政治部記者がこう語る。「早期再開の一番の要因は“第二ターミナルが無事な以上、すぐにも運用を再開せよ”とする安倍首相の鶴の一声です。それから松井大阪府知事の『伊丹、神戸に一部機能を移してでも、国際線の再開を急ぐべき』との“直談判”によるものでしょう。安倍首相も総裁選後の政局と来年の参院選を見渡せば、日本維新の会の協力は絶対に必要ですからね。代表である松井府知事の直訴は重い意味を持つわけです」 そもそも、関西空港は安倍政権が推し進めるインバウンドの“正面玄関”でもある。経済効果は1兆円を超え、関西経済に欠くことができないほど膨れ上がっている。関空の本格的な運用が遅れれば遅れるほど、関西経済に大きな支障をきたすことになる。松井府知事が安倍首相に対し直訴に及ぶのも無理からぬところだ。★大阪湾人工島崩れた安全性 松井府知事と日本維新の会の懸念は、インバウンド効果だけではない。すばり、大阪府と日本維新の会が力を入れている2025年、大阪万博とカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致への影響だ。 大阪万博とIRの予定地になっている『舞洲』、『夢洲』(ともに大阪市此花区)は関西空港と同じ大阪湾に浮かぶ、埋め立ての人工島だ。もし、今回と同じ規模の台風が直撃すれば、同じような冠水被害、陸の孤島化が起こらないとも限らない。加えて、舞洲、夢洲には、震災が起こった際の液状化の危険も指摘されている。 大阪万博は有力、IR本命とされる状況の中、誘致運動は最終段階に入っている。タイミングがいいのか悪いのか、そんな重要な時期に露呈した天災による人工島のマイナス材料。ここでつまずけば、今までの努力はそれこそ水の泡だ。 大阪万博とIR誘致に反対の市民団体や共産党をはじめ、府政野党の間からは「そんな危ないところで万博やカジノをやっていいのか」とさっそく批判の声が上がっている。 それに対し松井府知事は、自らのツイッターで「共産党は風評被害をご希望なんでしょうかね? 支援してくれとは言いませんが、邪魔は慎んでください」と牽制し、舞洲&夢洲の安全性を語っている。 今回の災害を見る限り、人工島への不安は拭えない。関空島の護岸は、南海トラフ巨大地震で想定される1.7㍍の津波にも耐えられるよう2.7㍍の高さに構築されていた。「50年に一度の津波や高潮が来ても大丈夫」(前出・国交省職員)のはずだった。 ところが、台風21号は「50年に一度の津波や高潮」をもたらした。惨状は見ての通りで、そのスケールたるや、予想をはるかに上回るものだった。台風の襲来と満潮のタイミングが重なったことで、高潮はあっさり護岸を乗り越えて空港を“水没”させたのだ。「台風21号が、もう少し北寄りのコースをとっていたら、舞洲、夢洲のあたりを直撃しています。そうなったらどんな被害が出るのか、想像に難くない」(ある大阪府職員) 台風被害を懸念する声を「風評被害」と断じる松井府知事。だが、同クラスかそれ以上の台風が二度と襲ってこない、という保証はどこにもない。 人工島への万博、カジノ誘致も“水没”した?
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社会 2018年09月16日 18時30分
ノートPC「Chromebook」、どういう人にオススメ? ユーザーの活用術と魅力
パソコンを購入するとき、ほとんどの人が最初に決めるのがOSの種類。多くの人がWindowsかMac OSのどちらかを選択しているが、最近になって注目され始めたのが、Googleが設計した「Google Chrome OS」。そのGoogle Chrome OSが搭載されているノートパソコンシリーズが「Chromebook」だ。 Chromebookは日本ではまだ比較的知名度が低く、家電量販店でもほとんどその姿を見ることはできないものの、実はサブ機として密かに人気が高まっている。「寝室で使う専用のパソコンが欲しい」「キーボードが使いたいのでタブレット代わりの小さいパソコンが欲しい」というガジェット好きの需要にChromebookは見事にマッチしている。また、難しい作業を必要とせず「パソコンの使い道はネットサーフィンのみ」というパソコン初心者や子どもにも向いている。その理由として挙げられるのが、「安価」「立ち上がりの早さ」「バッテリー持ちの長さ」というChromebookの魅力だ。 値段の安さはChromebookの最大の特徴だ。例えばChromebookの中でも安価で人気の機種「ASUS Chromebook C202SA」は9月現在、Amazonで3万円台で購入することができ、タブレットよりも性能のいいパソコンが安く手に入ることになる。ちなみに、米Amazonでは2万5千円程度で購入でき、セールの時を選ぶと、日本の販売価格の50%オフに近い値段で購入できる。 また、「立ち上がりの早さ」はChromebookが最も推す特徴のひとつで、ディスプレイを開いてから起動までにかかる時間は5〜10秒ほどでストレスフリー。また、1日中使用しても充電しなくて済むほどバッテリーの持ちもいい。 とはいえ、Chromebookでは使えるブラウザがChromeだけに制限されたり、ローカルフォルダを必要とせず、ほぼGoogleドライブで管理するため、インターネット接続がなければ使い道がないというデメリットも。また、WordやExcelをはじめ、Google Chrome OSでは対応していないアプリケーションも少なくない。Googleドキュメントやスプレッドシート、その他Googleアプリを代用する必要もある。 現在「Chromebookを愛用している」と公言しているネットユーザーの多くは、先述した通りサブ機としての使用をはじめ、外出用としての使用、タブレットの代用として使用しているケースがほとんどだ。だからこそ、スマートフォンの機能だけでは物足りず、タブレット購入を考えている人や「眠る前に快適な環境でネットサーフィンをしたい」という人にとってChromebookという選択肢は選ばれる機会が多くなっている。連休中の暇つぶし用に購入を検討してみるのもいいかもいれない。
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社会 2018年09月16日 06時10分
ブレーキのないランニングバイクに乗った4歳児が自動車衝突し死亡 不幸すぎる事故に唖然
13日午後7時頃、岡山県倉敷市の路上で4歳の保育園児が乗るランニングバイクと40歳男性の乗る自動車が衝突。園児が全身を強く打ち死亡する事故があった。 園児が乗っていたランニングバイクはブレーキとペダルが付いておらず、足で地面を蹴り進む自転車のような乗り物。現場はゆるい下り坂となっており、園児自身が制御できないスピードになった模様で、止まることができず、交差点から左折してきた自動車と衝突したという。 事故直後は泣くなど意識があった園児だが、病院に運ばれると容態が急変。約2時間後に帰らぬ人となった。一緒にいた祖父は犬の散歩中で、後ろを歩いていたという。前を歩いていれば、止めることもできたのだろうが…。また、園児はヘルメットをかぶるなどの安全対策を施していなかった。 ランニングバイクにはブレーキの付いたものも販売されているが、事故を起こしたタイプのようにブレーキが付いていないものもあり、その危険性は前々から指摘されていた。事故については車を運転していた男性の責任ももちろん大きいが、午後7時と周囲は暗く、ライトもないランニングバイクだけに、「気がつくのは難しい」「不幸すぎる」と男性に同情するネットユーザーも多かった。 また、ブレーキのないランニングバイクを規制するべきだという声も。現在このようなランニングバイクは子どもたちの間で流行しており、新たな事故が発生する可能性も否定できない。遊具とはいえ安全対策のなされていない自転車のようなものが交通の場に出ることは危険で、事故のリスクが高まっている現状は好ましいものではないことは明らか。何らかの規制が入る可能性は否定できない。 ちなみに、1970年代に流行した現在のキックボードのような乗り物「ローラースルーゴーゴー」も、子どもたちに大流行し、爆発的な人気を誇ったが、交通事故発生後、社会的な批判が高まり、生産終了に追い込まれている。 ランニングバイクを愛するネットユーザーからは「ローラースルーゴーゴーと同じようにしてほしくない」との声もある。今回の不幸な事故を無駄にしないためにも、ランニングバイクを持つユーザーには乗車時にヘルメットをかぶる、公道走行はしないなどの「ルール」を必ず守ってもらいたい。
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社会 2018年09月15日 20時00分
海を渡る「故人の遺品」〜高値で売買される日本製中古〜②
75%が遺品輸出業者の取り分 ZERO PLUS社は昨年8月、マニラ市郊外に『フジ・ジャパン・オークション』を設立し、輸出からオークションまでを自社で一貫する経営に乗り出した。気になるのは、日本製中古品をフィリピンに輸出すると、いったいいくらもうかるかだ。 「総売り上げの25%をオークション会場の運営者が取ります。したがって残りが輸出業者の取り分です。ここからコンテナの輸送料、関税、人件費などを差し引いた残りが純利益になります」(荒津氏) 現在、ZERO PLUS社は同業他社から、フィリピンに輸出したいとの依頼が殺到しているという。倉庫が手狭なこと、人手不足が依頼する主な理由だ。同社では現在の月14本のコンテナ数から一気に40本までさばける態勢に改め、大幅に輸出業務を展開していく方針だ。 遺品を含めここまで国内の中古品が大規模に海を渡るようになった背景には、国の政策も少なからず影響している。政府は資源の有効活用、環境負荷軽減などの観点から2000年に『循環型社会形成推進基本法』を制定し、7条1項で「循環資源の全部又は一部のうち、再使用をすることができるものについては、再使用がされなければならない」と定めた。同法の制定はリサイクルショップやフリーマーケット業界を活気付けた。さらにライフスタイルとして“断捨離”や“ミニマリズム”なども注目され、いまや片付けがビジネスとなり、関連業者も増加。収納関連業者団体は全国に30団体以上存在するほど注目される分野となった。新規参入する者も多く、業者は乱立傾向にある。“収育”の普及に努めている『日本収納検定協会』(東京都港区)は、整理整頓に収納を加え、片付け上手のプロを育てることを目標に掲げている。石塚あや事務局主任は、現状の遺品整理の問題点をこう指摘する。 「悪質な業者も少なくないですね。遺品整理の場合、私たちはまず依頼主の所有権放棄を確認してから片付けを始めます。国内向けか、輸出向けかを一つずつ仕分けして査定を行い、それに見合った金額を依頼主に支払います。悪質な業者はこんな面倒なことはせず、一気にビニール袋に放り込み、一山いくらで買い取るというやり方です」 中古品のフィリピン輸出を手掛ける『合同会社ストリートビート』(横浜市都築区)は、フィリピンのオークション運営会社の日本代理業者に、月4本のコンテナ輸出を依頼するいわば下請け会社だ。親会社は現在、フィリピンのアラバンやブランカなど4カ所でオークションを運営しているが、セブ島にも進出を計画しているという。同社の佐々木慶治代表はこう話す。 「最初はタイに輸出していました。仏教国なので遺品整理で回収した豪華な仏壇や黒縁の額はよく売れました。しかし、経済発展にともない中古販売が鈍くなり、3年前からフィリピンに切り替えました」
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社会 2018年09月15日 12時40分
種子島の高校生は「スーパーカブ」で通学 Hondaがクリープハイプとコラボの楽曲で感謝
鹿児島県・種子島。ここに暮らす高校生の通学風景をながめると、ある共通点が浮かび上がってくる。それが、その多くが「スーパーカブ」に乗っているということだ。 スーパーカブとは、自動車メーカーHondaがちょうど60年前に売り出した小型バイク。小回りも良く未舗装道路にも対応している。さらには乗り降りしやすいなど、当時のホンダの技術の粋を集めたその1台はまたたく間に世界を席巻。その売り上げ台数は累計1億台とも言われている。 新聞配達の配達員がよく乗っていたこともあり、ある世代にとっては懐かしいスーパーカブだが、種子島では現役バリバリ! 青春真っ盛りの高校生の足となっているのだ。そんなレトロでタフなヤツが、種子島で重宝されている理由とは……? まず、この地には電車もなく、バスの本数も少ない。さらには学校に通うためには急な坂道を延々と上っていく必要があるという。林道、山道、獣道……。あらゆる難所を軽々と乗り越えるスーパーカブの面目躍如である。 だが、思い浮かべてみてほしい。緑あふれる森を抜け、青い海を通り過ぎ、さらには白い砂浜を横目に見ながら走るスーパーカブを。そして、それに乗る、勉強に、恋愛に、部活にとまい進する高校生の姿を。鹿児島には屋久島という世界遺産があるが、その景色こそが貴重な風景遺産ではないだろうか。 さらにここには、素敵な話が。なんと高校生が乗らなくなったスーパーカブは、弟、妹、後輩に脈々と受け継がれているという。泣かせるではないか。 今回、本田技研工業株式会社は種子島のカブライダーたちに感謝を伝えるため、「カブに乗ってくれてありがとう。」というコピーを引っさげ、尾崎世界観がボーカルの人気バンド・クリープハイプとコラボ。書き下ろしの楽曲とミュージックビデオを公開している。世界に誇るリーディングカンパニー・ホンダ、そして創業者・本田宗一郎のDNAが詰まった夢のバイクが、今日も種子島を駆け抜けているのだろう。