社会
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社会 2013年06月28日 11時00分
登山料徴収で不安な地元住民
先ごろ、世界文化遺産登録を前に、山梨・静岡両県が富士山登山者から、試験的に入山料1000円を任意で徴収することを決めた。7月下旬から8月上旬までの10日間、5合目付近で集めるという。 「昨年の富士山の登山者(8合目以上)は約31万8000人。世界遺産に登録された場合、30%増の約41万4000人になると環境省では試算しています。環境保全のためにも、入山料を徴収することで登山者を抑えなければならない。そこで計算したところ、現状レベルに抑えるには1人7000円、さらに少なくするためには1万円徴収という数字が出た。その試験的な意味での“入山料1000円”というわけです」(地元記者) しかし、この入山料徴収に不安を抱く地元住民もいるという。 富士宮在住の旅行ライターが言う。 「富士山はコースタイムが6時間で比較的登りやすい山のため、健脚なら日帰りで十分登れる。地元には夏場は週に一度は登るという猛者もいるほどです。来年から7000円徴収されるとなると、毎週登るという人も減るでしょう。しかし心配なのは、この夏、タダのうちに登っておこうという“駆け込み登山者”が急激に増えることです」 入山料徴収が、駆け込み登山者によって一気に環境を悪化させる。これでは霊峰富士が泣くばかりだ。 「富士山の環境問題を何とかするなら、五合目から下のゴミの不法投棄対策と、ゴミ処理施設の充実です。せっかくの自然も、観光客が残すゴミの山と化すと思うと切なくなります」(同) 世界遺産登録で、どれほどの環境悪化を招くかは未知数。やはり登山者個人の自覚が一番だ。
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社会 2013年06月27日 11時45分
教師が部活の遠征先の宿舎で教え子の女子生徒にわいせつ行為
兵庫県警少年育成課は6月24日、部活動の遠征先で教え子にみだらな行為をしたとして、奈良県橿原市立八木中学校の常勤講師・山口和哉容疑者(26=同県奈良市青山)を児童福祉法違反(淫行)の疑いで逮捕した。 同課によると、警察の取り調べに対して、山口容疑者は「やっていない」と容疑を否認しているという。 逮捕容疑は、兵庫県内の私立高校教諭だった10年9月と11年1月、顧問を務めていた運動部の活動で遠征した際、滋賀県大津市、東京都新宿区の宿泊先のホテルで、部員だった当時高校1年の女子生徒(当時16)に、18歳未満と知りながら、みだらな行為をしたとしている。いずれも、山口容疑者が部屋に女子生徒を呼び出していた。 当初、女子生徒は他の部員に迷惑がかかることを危惧し、周囲に隠していた。しかし、耐えかねて、昨年9月に兵庫県内の警察署を訪れ、被害を届け出て発覚した。 女子生徒は「指導力があり、尊敬していた。部活の遠征先や合宿などで、他にも数回わいせつ行為を受けた」と話しているという。 橿原市教育委員会によると、山口容疑者は今年4月から八木中学校で、常勤講師として、社会科を担当していた。 教師が顧問という立場を利用して、遠征先の宿舎で、教え子にわいせつ行為をはたらくなど言語道断。しかも、1度や2度ではないというから、常習犯。事実なら山口容疑者は教育者失格で、厳罰が下ってもいたしかたないだろう。(蔵元英二)
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社会 2013年06月27日 11時00分
LCC悲喜交々 快調ピーチアビエーションの影で まさに“成田離婚”のエアアジアジャパン(2)
素朴な疑問が浮上する。昨年の日本は『LCC元年』といわれたように、3月にはANAと香港の投資会社が合弁で設立したピーチ・アビエーションが就航、7月には日本航空とオーストラリアのカンタス航空が合弁で設立したジェットスター・ジャパンが就航した。3番目が8月就航のエアアジア・ジャパンである。昨年、相次いで参入したLCC3社の中で最後発のエアアジア・ジャパンが、搭乗率で低空飛行を続けているのはなぜか。 確かに一つの理由はある。ピーチが24時間営業の関西国際空港を拠点にしているのに対し、エアアジア・ジャパンは成田空港が拠点である。成田は午後11時から翌朝6時まで航空機の離発着が原則認められておらず、これが営業上の大きな制約となっている。しかし、搭乗率でエアアジアを上回るジェットスターは、これまた成田空港が拠点だ。 「成田は夕方から夜にかけてアジア便などの離陸が集中する。これを巧みにクリアし、欠航しないよう限られた航空機を使い回すのは至難の技。そのノウハウでエアアジアはジェットスターに一歩譲る上、日本でのブランド力でも見劣る。LCCはネット予約が基本だからこれは致命的です」(旅行代理店) そんな事情を踏まえれば、前述したANAによる子会社化を経てピーチとの経営統合説が、にわかに説得力を持つ。実際、関空を地盤とするピーチは6月11日、今年の10月から成田−関空線を運航すると発表した。同社にとっては初の首都圏殴り込みである。 だがJALにせよANAにせよ、格安料金を前面に出したLCCと定額料金で運航する本体との二兎作戦は、下手すると「庇を貸して母屋を取られる」ことになりかねない。これだけでも由々しい事態だが、厄介なのは6月から運航が再開されたボーイング787を巡る聞き捨てならない話である。 「1月に運航停止となったものの、米政府は原因不明のまま運航を再開させた。ボーイングは米国を代表する軍需産業だから『このままでは破綻しかねない』との政治的判断でGOサインを出し、日本政府も唯々諾々と従った。これで火ダルマ事故が続けば乗客は浮かばれません」(情報筋) 何を隠そう、世界の航空会社でこの“欠陥機”を抱えている双璧がANAとJALである。両社ともLCCでは運航していないが、この情報筋は冷ややかだ。 「B787は、いわば事故原因をないがしろにする“空飛ぶ原発”。少燃料の魅力優先でLCCに乱用されたらと思うと、心穏やかではいられませんよ」 乱気流の行く末が案じられる。
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社会 2013年06月26日 16時00分
大多常務が編成制作局長を兼務 フジ亀山新社長の大人事で激震
フジテレビに激震が走っている。 亀山千広新社長体制のもと、初の大きな人事が断行されたからだ。 6月27日付で、指令塔ともいえる「編成制作局長」を大多亮常務が兼務することになり、局長級は総入れ替えとなるドタバタが続いている。 「これまでの編制局長で、若手有望株といわれてきた荒井昭博氏は『総務局長』へ異動する。'11年6月から約2年間、視聴率向上へ尽力してきたが、局の極端な韓流寄りが視聴者から敬遠され、視聴率は第3位に転落、詰め腹を切らされた。同情の声は少なくありません」(フジテレビ事情通) 大多氏にも責任はある。昨年6月にクリエイティブ事業局長から二段跳びで常務に昇格。1年ほど荒井氏とともに編成を担当したからだ。 だが、大多氏が手掛けた『料理の鉄人』のリメイク版『アイアンシェフ』や大多氏の盟友・江口洋介が主演した『スクール』『息もできない夏』『dineer』の3部作が撃沈。それが、低視聴率の元凶ともいわれている。 それなのに、なぜ編制局長を兼ねることになったのか。 「亀山新社長や遠藤龍之介新専務らが大多氏に改善策を尋ねたところ、大多氏自らがやるしかない、という結論に達したようです。とにかく、自分でやらないと納得しない性分のようです」(フジテレビ幹部) その大多常務編制局長が勝負するのは、秋の改編期となる。 まだ番組を手がける前から触れるのもおかしいが、視聴率が2位、首位へと浮上すれば、当然、面目を保つことができる。だが、頓挫すれば、局長ポストを誰かに譲渡し、自分は責任をとり、担当を外れることになろう。 トレンディー・ドラマで同局の“看板”ともなった人物だけに、このまま終わるのは、本人も悔しいだろうし、あまりにも惜しいところ。「頑張れ」と言いたいが、環境は厳しいと言わざるをえない。(編集長・黒川誠一)
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社会 2013年06月26日 11時45分
埼玉・北本市の職員が公務で訪れたスーパーであんぱんなどを万引き
埼玉県警鴻巣署は6月19日、公務で訪れたスーパーマーケットで万引きしたとして、同県北本市の職員で産業観光課主幹・藤田耕三容疑者(58=同県さいたま市西区指扇)を、窃盗容疑で現行犯逮捕した。 逮捕容疑は、同日午後4時頃、北本市二ツ家1丁目のスーパーマーケット「ベルク北本二ツ家店」で、あんぱん、ビールなど8点(計約1700円相当)を盗んだ疑い。当時の所持金は約1000円だった。 同署によると、藤田容疑者は容疑を認め、「カネを払うのが、もったいなくて盗んだ」と供述している。 同市によると、藤田容疑者は産業観光課主幹で商工労政担当。この日は、2年に1回実施する食品計量器検査の事前説明のため、今月12日にオープンした同店を1人で訪れていたという。 藤田容疑者は同店の売り場から、500ミリリットル入りビール3本、栄養補助食品4個、あんぱん1個を万引きした。 店内で警戒していた私服の女性警備員が犯行現場を目撃し、藤田容疑者が男性店長との打ち合わせを終えて、店外に出たところを取り押さえた。男性従業員が同署に通報し、駆け付けた署員が逮捕した。 同市の石津賢治市長は「市民の皆さまの信頼を裏切ってしまいましたことを、深くお詫び申し上げます。警察の今後の捜査を見守るとともに、事実関係を調査した上で厳正に対処してまいります」とコメントを出した。(蔵元英二)
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社会 2013年06月26日 11時00分
LCC悲喜交々 快調ピーチアビエーションの影で まさに“成田離婚”のエアアジアジャパン(1)
昨年8月に鳴り物入りで就航したばかりのLCC(格安航空会社)、エアアジア・ジャパンが、早くも合弁を解消する。同社は全日空を傘下に持つANAホールディングスが51%、LCCではアジア最大手のエアアジア(マレーシア)が49%出資して設立し、国内5路線、国際3路線で運航している。 スピード“離婚”に舵を切った理由として同社は「業績が低迷し、回復の方向が見出せないため」と対外的に説明する。LCCが採算性を維持するには「搭乗率75%確保が条件」とされる中、同社は就航当初こそ80%超の搭乗率だったものの月を追うごとに低下、直近の5月は53%まで落ち込んだ。同じANA傘下のピーチ・アビエーションが80%超、JAL系のジェットスター・ジャパンが75%だったのとは対照的である。 しかし、合弁解消の舞台裏は複雑だ。天下に“負け組”をアピールしたにもかかわらず、ANAは合弁解消後にエアアジア・ジャパンの全株式を取得し、完全子会社化を図る。航空業界には「好調なピーチとの統合シナリオもあり得る」との観測さえ浮上している。 一方、ANAと袂を分かつエアアジアは「日本のLCC市場には潜在力がある」として新たな提携先を模索、日本でのLCC事業を再スタートさせる構え。それにしてもケンカ別れした双方が「撤退の考えなどサラサラない」とアピールし、次なる秘策を練っているのだから第三者には理解しにくい。 「エアアジアは、日本ではなじみが薄いとはいえ、LCCのシェアが5割を超える東南アジアでは抜群の知名度を誇る。だからANAとの合弁事業で『主役』を自負していたのですが、出資比率でわずかに過半数を超えたANAが『主導権はこちらが握る』と譲らなかった。この思惑の激突こそが、破局を招いた最大の原因です」(航空関係者) 両社ドロドロの関係を彷彿とさせるのが昨年暮れの慌ただしいトップ交代である。就航から4カ月後の12月17日、岩片和行社長が同日付で取締役を外れて会長に退き、オペレーション部門統括責任者だった小田切義憲取締役が後任の社長に就任、10人いた取締役も7人に削減した。この刷新人事についてANA出身の岩片氏は「業績もある」と言葉少なだったが、前出の航空関係者はLCCの本家を自負するエアアジアとANAとの間に生じていた深い溝を指摘する。 「当時、合弁会社の搭乗率は50%台半ばに低迷しており、経営は危険水域にあった。そこでエアアジアは『コスト管理が不十分』と大幅な改善を迫ったのですが、大手航空会社を自負するANAは『余計なお世話』とばかりに聞き流し、ANA出身者による社長交代や役員削減でお茶を濁した。一足早く就航させたピーチが好調だったため、LCCでは新参者のANAにおごりがあったようです。その時点でエアアジアがANAに不信感を募らせたとしても不思議ではありません」
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社会 2013年06月25日 16時00分
1000億円近い予算が必要か? クールジャパンで天下り組織増殖
これは、官僚たちが進める天下り組織の増加を狙った陰謀ではないのか? 経済産業省や文化庁のコンテンツ輸出政策、いわゆるクールジャパンに批判の目が向けられている。 日本の音楽や映像などのコンテンツ市場は米国に次ぐ世界第2位。 ところが、輸出比率(金額ベース)は5%程度と米国の20〜30%を大きく下回る。直近の輸出額は63億円程度で、韓国の165億円に大きく差をつけられているのが現状だ。 そこで、安倍晋三総理は成長戦略第3弾として「『放送輸出コンテンツ』を5年後までに現在の3倍にする」とぶち上げた。 そのため、クールジャパンマネーに官僚やブラック紳士が群がり始めたのだ。 経産省のクールジャパン関連予算はなんと343億円。 また、総務省は民主党政権下では約3億5000万円程度だったが、'12年度補正予算では、その10倍近くの30億円規模。'13年度はさらにそれを上回る予算となりそうだ。 他に、'13年度では文化庁や外務省までも10億円から20億円の関連予算を請求、結果として'13年度のクールジャパン関連予算は1000億円近くにのぼるという。 そのため、ばらまかれる予算の奪い合いになっているのが実情である。 それにしても、クールジャパンにこれほど莫大な予算が必要なのか。担当者の飲食などに消えてしまうなど、スキャンダルの芽にならないよう祈るばかりである。 これにともない、わけのわからない団体や組織ができつつあるのも気になる。 すでに専従が60人ほどいる経産省は、500億円を投入し、民間団体と『クールジャパン推進機構』の設立準備を進めている。 また、総務省も8月をメドに放送、音楽、映像や商社、総務省関係者らが参画する『社団法人』組織を設立する。これらが天下り組織であるのはいうまでもない。 こうしてみると、しょせんクールジャパンは、官僚たちが吸う甘い汁に過ぎないということだ。
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社会 2013年06月25日 15時30分
アベノミクスで儲かった人、損した人 (サラリーマンの副業FX編)
昨年秋ごろから日経平均は上がり続け、為替も極端な円安進行。ここぞとばかりに株やFXを始めて、100万円単位の思わぬ利益を手にして、笑いが止まらない副業サラリーマンも多いと聞く。なにせトレンドが決まっているのだから簡単だ。誰でも稼げる状態である。 一方で“負け組”になってしまった人も数多い。原因をひとことで言うならば、乗り遅れ。為替も5月〜6月は反落傾向で、初心者が儲けるのは難しくなっている。生半可な知識を身につけて、余計損失を広げる人もいるようだ。 もちろん、今後も投資で稼ぐチャンスが続くのは、間違いない。アベノミクスで経済が活性化しており、あとは正確に対処する技術さえあれば…という状況である。そこでいま、投資初心者〜中級者の間で話題になっている、ある投資手法をご存知だろうか? FX取引における『自動売買ソフト』がそれだ。その名の通り、取引をすべてコンピューターに任せる方法であり、“誰でも簡単に稼げる”とさえ言われているのだ。 ソフトは過去のデータに基づいた“売買ロジック”に従って、自動的に売買を繰り返す。機械なので、タイミングを逃すことは一切ない。コツコツと小さな勝ちを積み重ねることで、確実に利益をもたらす運用スタイル。いきなり何億円も稼ぐことはできないが、毎月数10万円、数100万円の利益を安定的に得ることができる。まさにサラリーマンの副業にマッチした内容と言えそうだ。 従来のソフトは売買ロジックの陳腐化という弱点もあったが、最近はライズワンの「FONS」(https://www.rise-one.com/landing/materials/)のようにAI(人工知能)を搭載した画期的なソフトも生まれ、普及に拍車がかかっている。ソフトが学習して売買ロジックが自動で進化するため、あらゆる事態・トレンドに順応する。実際、過去5年間にわたる発売前のテスト運用においては、年利平均80%以上という高い実績を残している。まさにお金を稼ぐマシーンである。 「安定した副収入を得たい」というサラリーマン諸氏は、ソフトの導入を検討してはいかがだろうか。毎月の手取りが10万円増えるだけでも、生活は一変するはず。同じソフトを使う人が増えすぎると収益率が悪化するので、これも早い者勝ちの世界である。尚、FONSの詳しい資料は無料で取り寄せられるとのこと。興味のある方はWEBから資料請求してみると良いだろう。https://www.rise-one.com/landing/materials/
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社会 2013年06月25日 11時45分
22歳のホストが「LINE」で連絡取り合った小学校女児に強姦容疑
なんとも、むごいことが起きてしまった。 新潟県警十日町署は6月20日、インターネットのサイトで知り合った当時小学6年生だった女児(12)にみだらな行為をしたとして、強姦(ごうかん)の疑いで、ホスト・千葉駿介容疑者(22=福岡県福岡市博多区冷泉町)を逮捕した。 逮捕容疑は、今年1月12日、新潟県中越地方の女児の自宅で、女児に無理やり性行為に及んだ疑い。 千葉容疑者は、性行為をした事実は認めているものの、「小学生とは知らなかった」と一部容疑を否認している。 同署によると、千葉容疑者は当時、東京都内に居住していた。インターネットの交流サイトで、女児と知り合い、スマートフォン(多機能携帯電話)の無料通信アプリ「LINE」で連絡を取り合っていた。 1月下旬、女児の母親が「娘が見知らぬ男と一緒にいた」と警察に相談。女児の携帯端末の履歴などから千葉容疑者が浮上した。 女児は昨年秋頃から、携帯デジタルプレーヤーに「LINE」をダウンロードし、無線通信のできる環境で通話やメール機能を利用した。千葉容疑者には「小学6年で12歳」と伝えていた、と主張しているという。 少年少女による悪用が後を絶たない「LINE」。早急に何らかの対策をする必要に迫られているといえよう。(蔵元英二)
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社会 2013年06月25日 11時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 弱気に転じた黒田総裁
6月6日に日経平均株価が終値で1万2904円まで急落し、4月4日に日銀の黒田総裁が「異次元の金融緩和」を打ち出したときの株価を下回ってしまった。 「アベノミクスバブルは崩壊した」との評論も目立ったが、そんなことはない。アベノミクスが実質的に始動したのは、野田総理が解散総選挙を決めた昨年11月であり、そのときの日経平均は8600円台で、その時と比べれば、現在でも株価は5割も高くなっているからだ。 ただ、5月23日のピークと比べると、株価が3000円も下落したことは事実だ。その原因は何か。 注目すべきは、為替が円高に向かっているということだ。もしアベノミクスの金融緩和が暴挙で、世界が日本を見放したのであれば、為替は円安方向に暴落していくはずだ。ところが、再び為替が円高になってきているのは、金融緩和が足りないということなのだ。 黒田総裁は、就任早々にマネタリーベースを2年で倍増する計画を発表した。倍増という目標はそれでよいのだが、問題はどのくらいのペースで資金供給を拡大するのかということだ。実は日銀は石橋を叩くようなやり方で徐々に金融緩和を進めている。4月のマネタリーベースの前年比伸び率は23%、そして5月は32%だった。小泉内閣の初期、'02年4月の伸びは36%だったから、いまの資金供給の伸びは、小泉内閣初期の金融緩和にも追いついていないのだ。 経済学では、金利が変わらない場合には為替レートは資金供給量の比で決まることになっている。リーマンショック後、アメリカは資金供給を3倍に増やしたのに、日本がほとんど増やしてこなかった。だから為替は、リーマンショック直前の1ドル110円から、昨年11月の79円まで3割も円高になったのだ。だから、為替を元の110円に戻すためには日本も資金供給をリーマンショック前の3倍に増やす必要がある。 そう考えれば、現在の32%という資金供給の伸び率は明らかに低すぎる。それなのに為替が一時103円まで円安になった理由は、日銀の金融緩和を先取りして為替市場が動いたからだ。そして最近再び円が高くなっているのは、日銀の動きが鈍いことを知った市場参加者たちが、日銀の緩和姿勢を疑い始めたからなのだ。 だから、いま日銀がやらなければならないことは、たった一つだ。いますぐ資金供給の伸びを大きく高めることだ。アメリカはリーマンショック後、資金供給を2倍にするまで、たった4カ月しかかかっていない。日銀の動きは遅すぎる。ところが、日銀は6月11日の金融政策決定会合で、追加の資金供給を見送った。日本経済を再び順調な成長軌道に乗せるチャンスを日銀は放棄してしまったのだ。 あれだけ強気で機動的な金融緩和を主張していた黒田総裁が、なぜ変わってしまったのか。私の目には為替が1ドル=100円を超えた円安に動いたときから、黒田総裁が弱気になったようにみえる。 もしかすると安倍総理とオバマ大統領の間で、金融緩和にともなう円安は、1ドル=100円までという密約が交わされていたのかもしれない。黒田総裁が金融緩和の絶好のチャンスを見送ったことで、日本経済の急激な回復というシナリオは、崩れたとみていいだろう。