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LCC悲喜交々 快調ピーチアビエーションの影で まさに“成田離婚”のエアアジアジャパン(2)

 素朴な疑問が浮上する。昨年の日本は『LCC元年』といわれたように、3月にはANAと香港の投資会社が合弁で設立したピーチ・アビエーションが就航、7月には日本航空とオーストラリアのカンタス航空が合弁で設立したジェットスター・ジャパンが就航した。3番目が8月就航のエアアジア・ジャパンである。昨年、相次いで参入したLCC3社の中で最後発のエアアジア・ジャパンが、搭乗率で低空飛行を続けているのはなぜか。

 確かに一つの理由はある。ピーチが24時間営業の関西国際空港を拠点にしているのに対し、エアアジア・ジャパンは成田空港が拠点である。成田は午後11時から翌朝6時まで航空機の離発着が原則認められておらず、これが営業上の大きな制約となっている。しかし、搭乗率でエアアジアを上回るジェットスターは、これまた成田空港が拠点だ。
 「成田は夕方から夜にかけてアジア便などの離陸が集中する。これを巧みにクリアし、欠航しないよう限られた航空機を使い回すのは至難の技。そのノウハウでエアアジアはジェットスターに一歩譲る上、日本でのブランド力でも見劣る。LCCはネット予約が基本だからこれは致命的です」(旅行代理店)

 そんな事情を踏まえれば、前述したANAによる子会社化を経てピーチとの経営統合説が、にわかに説得力を持つ。実際、関空を地盤とするピーチは6月11日、今年の10月から成田−関空線を運航すると発表した。同社にとっては初の首都圏殴り込みである。
 だがJALにせよANAにせよ、格安料金を前面に出したLCCと定額料金で運航する本体との二兎作戦は、下手すると「庇を貸して母屋を取られる」ことになりかねない。これだけでも由々しい事態だが、厄介なのは6月から運航が再開されたボーイング787を巡る聞き捨てならない話である。
 「1月に運航停止となったものの、米政府は原因不明のまま運航を再開させた。ボーイングは米国を代表する軍需産業だから『このままでは破綻しかねない』との政治的判断でGOサインを出し、日本政府も唯々諾々と従った。これで火ダルマ事故が続けば乗客は浮かばれません」(情報筋)

 何を隠そう、世界の航空会社でこの“欠陥機”を抱えている双璧がANAとJALである。両社ともLCCでは運航していないが、この情報筋は冷ややかだ。
 「B787は、いわば事故原因をないがしろにする“空飛ぶ原発”。少燃料の魅力優先でLCCに乱用されたらと思うと、心穏やかではいられませんよ」

 乱気流の行く末が案じられる。

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