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LCC悲喜交々 快調ピーチアビエーションの影で まさに“成田離婚”のエアアジアジャパン(1)

 昨年8月に鳴り物入りで就航したばかりのLCC(格安航空会社)、エアアジア・ジャパンが、早くも合弁を解消する。同社は全日空を傘下に持つANAホールディングスが51%、LCCではアジア最大手のエアアジア(マレーシア)が49%出資して設立し、国内5路線、国際3路線で運航している。

 スピード“離婚”に舵を切った理由として同社は「業績が低迷し、回復の方向が見出せないため」と対外的に説明する。LCCが採算性を維持するには「搭乗率75%確保が条件」とされる中、同社は就航当初こそ80%超の搭乗率だったものの月を追うごとに低下、直近の5月は53%まで落ち込んだ。同じANA傘下のピーチ・アビエーションが80%超、JAL系のジェットスター・ジャパンが75%だったのとは対照的である。
 しかし、合弁解消の舞台裏は複雑だ。天下に“負け組”をアピールしたにもかかわらず、ANAは合弁解消後にエアアジア・ジャパンの全株式を取得し、完全子会社化を図る。航空業界には「好調なピーチとの統合シナリオもあり得る」との観測さえ浮上している。

 一方、ANAと袂を分かつエアアジアは「日本のLCC市場には潜在力がある」として新たな提携先を模索、日本でのLCC事業を再スタートさせる構え。それにしてもケンカ別れした双方が「撤退の考えなどサラサラない」とアピールし、次なる秘策を練っているのだから第三者には理解しにくい。
 「エアアジアは、日本ではなじみが薄いとはいえ、LCCのシェアが5割を超える東南アジアでは抜群の知名度を誇る。だからANAとの合弁事業で『主役』を自負していたのですが、出資比率でわずかに過半数を超えたANAが『主導権はこちらが握る』と譲らなかった。この思惑の激突こそが、破局を招いた最大の原因です」(航空関係者)

 両社ドロドロの関係を彷彿とさせるのが昨年暮れの慌ただしいトップ交代である。就航から4カ月後の12月17日、岩片和行社長が同日付で取締役を外れて会長に退き、オペレーション部門統括責任者だった小田切義憲取締役が後任の社長に就任、10人いた取締役も7人に削減した。この刷新人事についてANA出身の岩片氏は「業績もある」と言葉少なだったが、前出の航空関係者はLCCの本家を自負するエアアジアとANAとの間に生じていた深い溝を指摘する。
 「当時、合弁会社の搭乗率は50%台半ばに低迷しており、経営は危険水域にあった。そこでエアアジアは『コスト管理が不十分』と大幅な改善を迫ったのですが、大手航空会社を自負するANAは『余計なお世話』とばかりに聞き流し、ANA出身者による社長交代や役員削減でお茶を濁した。一足早く就航させたピーチが好調だったため、LCCでは新参者のANAにおごりがあったようです。その時点でエアアジアがANAに不信感を募らせたとしても不思議ではありません」

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