社会
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社会 2016年12月23日 14時00分
どう出るアサヒ・キリン・サントリー 酒税一本化 大手ビール業界の悲喜こもごも
発泡酒、第三のビールなど、税率がバラバラだったビール飲料類の税率が'20年から'26年にかけ段階的に変わり、一律55円になる方向だ。ほかにもチューハイ、ワイン、日本酒などの税率も変更されるという。この激変に、ほくそ笑むメーカー、厳しい状況に追い込まれそうなメーカー、さらには販売店まで巻き込み、悲喜こもごもの一大酒税論争が勃発している。 現在、ビール系飲料類はビール、発泡酒と、新ジャンルのいわゆる第三のビールに分類される。 この区分は材料の麦芽比率を基準に分けられる。基本的に麦芽とホップのみで作られ、麦芽比率が67%以上のものがビール。それ以下の麦芽比率とほかの原料を混ぜ製造したものは発泡酒。麦芽以外の、とうもろこしや大豆などを原料にビール風味を出すのが第三のビールだ。 「そもそも、発泡酒や第三のビールはビール税率があまりに高いため、節税商品として生まれた。消費者に安い商品を届けようという企業努力の末の商品だったのです」(ビール業界関係者) 確かに、ビールは割高感が強い。大手コンビニで一般ビール350ml缶は、221円〜224円前後(税込)。発泡酒は165円前後。第三のビールはビールより80円近くも安い145円前後。この価格差の最大の理由はビールの高い税率で、現在、350mlあたり77円の酒税が課せられる。対して、発泡酒は47円、第三のビールは28円だ。 しかし、このビール価格の高低さは、国にとって税収が増えるどころか不都合なことが生じてきた。 「酒税総額1兆3700億円のうち、7割はビール系飲料類です。しかし、若い人が酒を飲まなくなったことに加え、人口減も重なり、国内のビール類市場全体は'94年の約705万kl(課税出荷数量)から、'15年には537万klにまで減少した。それだけでも税収は大きく落ち込むのに、ビール消費量は全体の5割で、残りは税率が低い発泡酒と第三のビールに流れている。特に第三のビールの比率は大手5社(アサヒ・キリン・サントリー・サッポロ・オリオン)の全体出荷数の35%に上っています。国としては、この酒税税収の減少になんとしてでも歯止めをかけたいのです」(ビールメーカー関係者) そこで国は、ビール税率を緩和する代わりに、人気の高い発泡酒と第三のビールに高い税率を課そうとしているのだ。 「政府は、第三のビールを7年後には廃止して発泡酒に統合させる方向です。ビールメーカーは、20年にわたり高いビール税率と戦っては新しいビール風味のものを作ってきましたが、またまた国税の壁に阻まれてしまう。一方で、ビール税率が低くなったからといって発泡酒や第三のビール並みに売れるという保証はありません」(同) ビールメーカーもこの税制の激変対策に躍起だ。 「ビール税率が下がるため、ビール比率を高くし、さらに美味いビール、高級ビールで売上高をカバーしようとしています」(経営アナリスト) そんな中、比較的鷹揚に構えるのは、国内ビールシェア5割のアサヒビールだ。 「もともとアサヒは、主力商品がビールの『スーパードライ』で、全体の5割の売り上げを占めている。これからの税制改革でも、大きな影響はないと踏んでいるようです」(ビール業界関係者) 業界2位のキリンビールはどうか。 「ビールでは『一番搾り』も売り上げが順調だが、発泡酒はキリンNo.1。この発泡酒の税率は、今後の改正で8円近く上がる。それだけに、製品構成比率を徐々に変えないと、大きなダメージを受けると見直しに躍起です」(同) 業界3位のサントリーはどう対応するのか。 「実は、今回の税率改正で最も大きな影響を受けるのはサントリーとも囁かれている。ビールは『ザ・プレミアム・モルツ』を出し好調ですが、第三のビール『金麦』が主力商品。『モルツ』がいくら好調でも、『金麦』の売り上げをカバーするのには到底無理そうで、今後の展開を深刻に模索しているようです」(同) 加えて、今回の税制改革には不安があると指摘するのは、元財務省関係者。 「いままで日本の酒税税制は、その複雑さゆえに世界7番目のビール消費国でも外資が参入しにくかった。そのため日本へ、ベルギーの世界最大のビールメーカー、ABインべブなどを中心に、改革のプレッシャーをかけていた。今後、その税制が単純になることによって、外資系が一気に日本市場に参入する。となれば、大手メーカーが飲み込まれる可能性は十分にあるでしょう」(前出・経営アナリスト) いずれにせよ、我々消費者は安くて美味い一杯が飲めれば文句はないのだが…。
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社会 2016年12月23日 10時00分
暗殺の魔の手 韓国・朴槿恵大統領が日本に亡命計画
12月9日、韓国国会は朴槿恵大統領の弾劾訴追案を可決した。これは終わりの始まりだ。韓国への意趣返しに躍起の中国や、混乱に乗じて“従北政権”の樹立を狙う北朝鮮は着々と核開発を進め、核武装は目前。次期大統領にドナルド・トランプ氏が控える米国は、中国との対決姿勢を強める気配がある。事大主義の韓国は、米中どちら側に付くのか踏み絵を迫られるが、それを決める人はもういない。極東アジアの混乱はこれからが本番なのだ。 「政治だけでなく“第二の通貨危機”が囁かれる経済も絶望的な祖国に対して、若者たちが『ヘル朝鮮』と嘆くように、韓国の悲劇的状況は止まりそうにありません。弾劾訴追案の可決により朴大統領が職務停止処分となった同日午後7時過ぎ、黄教安首相は大統領権限代行として初めて閣議を主宰し『北朝鮮が核・ミサイル以外にも挑発してくる可能性があるので備えるように』と指示しています。朴大統領が、盧武鉉元大統領の側近だった金秉準の首相就任を撤回したのは、保守派にとって唯一の救いです」(在日の右派有識者) 今後180日以内に憲法裁判所は、この弾劾訴追案が合憲か違憲かを審理する。合憲判断が出て弾劾が成立すれば、直ちに朴大統領は退陣し、60日以内に選挙が実施され、任期5年の新たな大統領が選ばれる。 とはいえ、憲法裁判所が弾劾訴追を合憲と認めるかは不確実だ。それには裁判官9人のうち6人が合憲と判断する必要があるが、ハードルはかなり高いと見る専門家が多い。 違憲となった場合、朴大統領は大統領職に復帰するが、仮にそうなればデモの嵐はさらに吹き荒れる。韓国は行くも戻るも“無間地獄”なのだ。 「黄首相は検事出身の保守強硬派で、朴大統領が信頼を寄せる1人です。逆に従北政権の樹立をもくろむ北朝鮮には最も厄介な人物とされますから、左派(従北派)も警戒せざるを得ません。朴大統領擁護というウルトラCを放つ可能性もありますね」(朝鮮半島ウオッチャー) 停滞する韓国の、特に経済・金融分野は日本にも影響を与えている。政争が泥沼化する余波で、日韓が緊急時に外貨を融通し合う通貨スワップ協定の再締結へ向けた話し合いは全く進んでいない。12月2日、麻生太郎財務相は「(韓国の)誰が話を進めるのか全然分からないので、交渉のしようがない」と見放すかのような意見を述べている。 一方、安倍晋三首相の祖父、岸信介元首相と朴大統領の尊父、朴正熙元大統領は、日韓の将来を胸襟を開いて話し合った仲。今回の弾劾訴追案が国会で可決された際、与党セヌリ党からも128人中半数近い62人が賛成に回ったほど身内にまで見放されている朴大統領に、安倍首相は過去の“告げ口外交”を水に流し、救いの手を差し伸べるのか。 「第2野党『国民の党』の千正培前共同代表は、『朴大統領は亡命したいと考えているのではないか』と述べています。その際、中国に亡命するとは到底考えられず、トランプ氏の米国にもパイプはない。消去法で残るのは日本かドイツだけです。大韓民国が建国された際、海洋資源の独占、領土拡張を目的に独断で公海上に設定した排他的経済水域を勝手に引き、竹島をかすめ取った李承晩初代大統領は、朝鮮戦争で北朝鮮に攻め込まれると国民そっちのけで真っ先に逃げました。しかも、北朝鮮軍が追い付けないように橋を爆破しながら逃げたため、多くの避難民が犠牲になっています。セウォル号の沈没事件の際にも、船長は真っ先に逃げ、朴大統領もその後の7時間を無為にすごしたように、韓国では責任ある立場の人間が真っ先に逃げる先頭ならぬ“先逃”は伝統文化ですから、朴大統領の頭の中にあるのも李承晩のように亡命しかないでしょう」(朝鮮半島に詳しい大学教授) 朝鮮半島では「先逃」だけでなく「朋党の争い」(仲間内の暗殺や虐殺)も伝統文化だ。そもそも韓国の建国時には、日本の統治から逃れて上海に亡命していた臨時政府の金九や呂運亨といった主要メンバーは、帰国後の内紛からいずれも李承晩によって暗殺されている。北朝鮮における『金正日vs金聖愛(義母)&金平一(義弟)』『三男の金正恩vs長男の金正男』を見るまでもなく、朝鮮半島では殺される前に逃げるが勝ちだ。 「両親を暗殺され、暴漢に顔を切り付けられた経験のある朴大統領は、暗殺恐怖にとりつかれており、それが大統領職にしがみつき続ける原動力になっているのです。幸い弾劾案の合憲か違憲かが可決されるまでの最長180日の間、青瓦台(大統領官邸)で隠遁生活を続ければ暗殺の心配はない。同時に政府から独立した特別検察官の捜査などに備え、弁護士と打ち合わせを重ねて亡命を含めて起死回生策を練ることになるでしょう。青瓦台にはジョギング向きの中庭はあるし、父親の朴元大統領が造ったゴルフの打ちっ放しの設備も残されています。やることもなく暇を持て余しているはずですから、アンチエイジングに勤しんでいるんじゃないか、なんて言われています」(韓国メディア記者) 皮肉にも2004年に盧武鉉大統領も弾劾訴追されたが、このときに訴追の先頭に立ったのが当時、野党の指導者だった朴大統領だ。 因果応報、朴大統領に残された道は父の二の舞いか、それとも亡命か…。
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社会 2016年12月22日 14時00分
高齢者事故リスクに歯止めをかける“自動ブレーキ”の絶大効果
全国で高齢ドライバーによる交通死亡事故が毎日のようにニュースで流れる。警察庁によると、昨年発生した交通死亡事故のうち、75歳以上が過失の重い「第1当事者」となったのは458件。この10年で全体の事故件数が減少傾向にある中、75歳以上が占める割合は7.4%から12.8%に上昇している。高齢ドライバーが増えれば、認知症や老化を背景とした事故のリスクが高くなるのも避けられない。インターネットなどでは「高齢者の運転免許没収」といった極論まで出ているほどだ。 そんな中、歩行者との衝突回避のため一部の自動車が搭載している自動ブレーキの性能評価試験の結果を、国土交通省が12月1日に初めて発表した。対象はメーカーが試験を希望した市販車11車で、栄えある最高評価を獲得したのがマツダ『アクセラ』だ。 「最近のマツダは統一感のある躍動的でスタイリッシュなデザインや、『スカイアクティブ』と呼ばれる高燃費エンジンなどによってシェアを伸ばし、2015年通年において国内主要メーカー8社の中で唯一、販売台数を伸ばしました。今回の発表で一層盛り上がると思います。実はここ数年、燃費がいいのは当たり前。顧客の高齢化が進む中、車購入者が最も気にする機能は自動ブレーキなのです。『自動ブレーキ最高評価』の効果は、下手な燃費数値の向上よりも売り上げに直結するでしょう」(自動車ジャーナリスト) では実際、どれほどの事故回避効果があるのか。事故車を回収する業者に話を聞いた。 「警察庁が10月に改定した『交通の方法に関する教則』では、自動ブレーキへの過信は禁物という文言が加えられています。とはいえ現場の率直な感想を言うと、例えば、スバルが2010年に国内メーカーとしていち早く自動ブレーキシステムを搭載し始めてからというもの、スバルの事故車の扱いが圧倒的に少なくなったのは事実です。最初は気休め程度という認識でしたが、ここまではっきりと短期間に効果が現れるとは驚きです」 外国車についても傾向は同じ。“頑丈”のイメージがあるスウェーデンのボルボ車を取り扱う『ボルボ・カー・ジャパン』は、同社のオートブレーキシステム搭載車は非搭載車に比べて、事故発生件数が69%少ないことを公表している。 12月は1年で最も交通事故が多くなる月でもある。自動ブレーキ搭載車への買い替えを検討すべき時代に来ていることは明らかだ。
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社会 2016年12月22日 10時00分
全面戦争! 小池百合子都知事vsドン内田 刺客にエド・はるみ(2)
エドは'06年、『エンタの神様』(日本テレビ系)で地上波番組初登場、“グゥ〜ッ”のネタで大ブレイク。『24時間テレビ』('08年)のチャリティーマラソンに選ばれた際は完走し、同年の流行語大賞を受賞するなど引っ張りだこだった。 「ところが、その後は大物タレントに嫌われて干されたとか、新人マネージャーの不手際に足を引っ張られたなどの風評が飛び交い、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに所属しているものの、最近は表舞台から消えつつあった。一方で昨年、慶応大学大学院修士課程に合格したことから、政界進出が囁かれていたんです」(夕刊紙記者) さらに10月、突如として「希望の塾」に入塾したことから政治家転身を問われたが、“勉強のため”と否定していた。しかし、それを小池氏本人が説得に乗り出すとなれば、脈は大ありだ。 「内田氏は、次の都議選では78歳の高齢ということで、他に道を譲ると言われている。その後継には、娘婿の内田直之千代田区議を擁立するともっぱらです。もしそこにエドが出馬となれば、小池VSドン内田の代理戦争として注目を浴びることは間違いない」(夕刊紙記者) さて一方、東京都議会に一定の固まった議席が欲しいのは、大阪から全国制覇を目指す日本維新の会。 「維新は12月18日、東京で特別セミナー『維新塾』を開き、松井一郎代表(大阪府知事)らが講演を行う。その参加者の中から、都議選の候補者の擁立を検討するというのです」(府政担当記者) これは小池新党とは一線を画した動きなのか。しかし、松井氏は9日の記者会見で、7人の区議が自民党を除名されたことについて、小池氏が7人らとともに地域政党を作る方向に動き出したと捉えるとし、「地域政党を作るということは、既存勢力と戦うと決意したということ。そこへ踏み込めば一度ゆっくり小池氏と話をさせてもらいたい」、「既得権益の打破に向けて、大阪での改革を東京でも実現する勢力ができれば日本中に改革ののろしが上がる」と語り、小池新党との連携を滲ませている。 加えて橋下徹前大阪市長(日本維新の会法律政策顧問)も、直近のツイッターで《小池さん新党つくるなら年内がタイムリミットです》とけしかけ、五輪会場移転問題で小池批判が出ていることについては、《1億円の減額だってすごいのに100億円以上はすごい。大山鳴動鼠一匹だってあぶりだせればすごい》と擁護の姿勢を見せる。 対して、小池氏は9日の会見で、区議除名に絡み小池氏自身への質問が出ると「どうするかは私が決めること」とだけ語り、表向きは慎重姿勢のままだ。しかし、前出の小池氏周辺関係者はこう言うのだ。 「松井氏の動きを見れば、11月初旬に官邸を訪れ、'25年開催予定の大阪万博やカジノ法案などをめぐり、昵懇の菅義偉官房長官らと何やら密談を交わしている。小池氏は新党の腹は固まっているが、そのあたりも見極めながら都議会自民党とどう対決するか、熟考に熟考を重ねているのです」 都議会の前哨戦として、来年2月5日には千代田区長選が行われる。石川雅己現職区長は小池氏の全面支援を旗印に続投宣言。一方、現職を引きずり降ろしたいドン内田氏は、候補者擁立を急ぐ。 それぞれの思惑を孕み、小池劇場は新たな幕を開けようとしている。
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社会 2016年12月21日 14時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第202回 必然の人手不足
厚生労働省が12月6日に発表した毎月勤労統計調査(速報値)によると、10月の実質賃金の上昇率はプラスマイナス0%。実質賃金の伸びが止まってしまった。これだけ人手不足が深刻化しているにもかかわらず、実質賃金が伸びない。なぜなのだろうか。 決まって支給する給与の「名目賃金」は、10月は対前年比で0.5%のプラスであった。実質賃金は、名目賃金を物価指数で割ることで算出される。実質賃金計算時のインフレ率である「持家の帰属家賃(持家住宅についても借家と同様のサービスが生産され消費されるものと仮定して評価した計算上の家賃)を除く総合消費者物価指数」は、10月が0.5%上昇であった。名目賃金の0.5%の上昇が物価上昇で打ち消されてしまったわけである。 インフレ率を押し上げたのは「生鮮食品」で、何と対前年比で11.4%の上昇だった。天候不順で野菜の値段が急騰し、持ち家の帰属家賃を除く消費者物価指数を上昇させ、実質賃金の下方圧力と化したのだ。 同時に、名目賃金の伸びも鈍ってきている。今年7月の名目賃金が対前年比プラス1.3%、8月が1.0%、9月が0.8%、10月が0.5%と、3カ月連続で伸び幅が縮まってしまった。 人手が不足している状況だというのに、なぜ名目賃金が安定的に伸びていかないのか――。内閣官房参与である藤井聡教授(京都大学大学院)が、筆者が編集長を務める『「新」経世済民新聞』にコラムを寄稿し、答えを教えてくれた(12月6日『【藤井聡】市場の「脱ブラック化」が、「人手不足」を解消させる』)。 藤井教授によると、現在の人手不足自体が「デフレ期からインフレ期」に発生する必然とのことである。 過去20年近いデフレ期、競争が極端に激化した結果、企業は「最低限の人員」で過剰なサービスを提供することを続けてきた。理由は、そうしなければ競争から脱落し、生き残ることができないためである。過剰なサービスを最低限の人員で供給するわけだから、当然ながらしわ寄せは従業員に向かう。日本で「ブラック企業」が問題視されたのは、まさにデフレにより過当競争が続いたためだ。 「最低限の人員」で供給していた以上、少し需要が増えるだけで、途端に人手不足になってしまう。考えてみれば、当たり前だ。デフレ期の日本企業は、常に過小な供給能力で過剰な供給を強いられ続けた。 藤井教授のコラムから引用しよう。 『さて、デフレが産み出した「過剰サービスを供給するブラック・マーケット」は、需要が限られたデフレでは確かにその需要を満たすことができるのですが、デフレ以外の状況ではその需要を満たせない、という「構造的欠陥」を抱えています。 そもそもブラック・マーケットは、現有人員をフル稼働させて、ようやく成立している「限界ぎりぎり」のマーケット。ですから、「これ以上の需要に対応する」ことができません。 もちろん、そんなマーケットでも「労働者を増やす」ことができれば「需要増」に対応可能ですが、そもそもそれだけの労働者は(少子高齢化であろうがなかろうが)日本国内にはいません(無論それは、少子高齢化であればなおさら、です)。 従って、ブラック・マーケットでは、需要がわずかでも増えれば、瞬く間に「人手不足」となります。 これこそ、20年間もデフレを続けてきた日本が今、デフレ脱却を図ろうとして、あらゆる業界で「人手不足」が叫ばれ始めた背景です。(「新」経世済民新聞)』 デフレ期に、われわれは知らず知らずにデフレに適応し、過剰なサービスを安価に提供することが「当たり前」の状況に陥ってしまった。そうなると、これだけ人手不足であるにもかかわらず、名目賃金(実質ではない)の伸びが異様に低い理由が理解できる。 経営者は、人手不足であろうとも、「過去の経験」的に従業員に高い給与を支払おうとしないのだ。何しろ、1998年以降、20年近くもデフレが続いた。過去の経験が、経営者に「従業員は安い給料で、最大限の労働を供給するもの」という固定観念を植え付けてしまっているのである。 というわけで、日本企業は過剰サービスの提供を停止しなければならない。過剰サービスをやめ、従業員に余裕を持たせるのだ。すると、従業員一人当たりの生産量は増え、人手不足が解消され、名目賃金がインフレ率を上回るペースで上昇し、実質賃金が上がる。 例えば、運送サービス。運送サービスは、高いお金を支払う荷主と、支払わない荷主について、迅速性、確実性について差をつけるべきである。高いお金を支払う荷主の貨物は、迅速に、確実に届ける。そうではない荷主の貨物については、迅速性や確実性を落とす。そうすることでドライバーに「余裕」が生まれ、既存の需要に対し現在の人員のみで対応可能となり、人手不足が解消する。 あるいは、建設サービスでは、高いお金を支払う顧客の建設を優先し、納期を守る。十分な建設費を支払わない顧客について、そもそも仕事を引き受けないというのも選択肢に入れるべきだ。そうすることで、建設サービスの費用は全体的に適正化され(上昇する、という意味だが)、限られた労働者で仕事をこなすことが可能になる。 製造業ならば、話はよりシンプルだ。すなわち、利益にならない製品の生産をやめる、である。利益が大きい製品にラインアップを絞り込むことで、従業員の負担を減らし、生産性を向上させることができる。 問題は、日本の経営者が相変わらずデフレマインドに支配されており、 「過剰サービスをやめると、顧客に逃げられるのでは? 競合相手に負けてしまうのでは?」 と、今後も従業員に無理をさせる過剰サービスを継続する可能性が高いという点である。 だからこそ、日本政府は「過剰サービスを規制する」という意味の構造改革を推進する必要があるわけだ。 とはいえ、果たして日本政府は「競争を緩和する」形の規制強化に乗り出せるのだろうか。あるいは、国民は「競争はとにかく善」という、(時期により)間違った思考から抜け出せるのか。 わが国の人手不足を解消するためには、まずは「過剰な競争は悪である」と、国民や政治家が理解しなければならないのだ。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2016年12月21日 10時00分
全面戦争! 小池百合子都知事vsドン内田 刺客にエド・はるみ(1)
お笑い芸人のエド・はるみ(52)が来年、東京都“小池旋風”の台風の目になる可能性が濃厚になってきた。 「そのきっかけは、都議会自民党が、小池百合子都知事に対し本格的に牙を剥いたこと。さらに、都知事選で小池氏を支援した7人の区議を自民党が除名処分したことです」 とは、小池氏周辺関係者。 これらに対し小池氏は、主宰する政治塾「希望の塾」をベースに、かねてから温めていた“小池新党”を結成し、来年夏の都議選で自民党と徹底対決する腹を固めたと言われる。 「その都議選で小池氏は、都議会のドン、内田茂氏の選挙区である千代田区に、塾生であるエドを刺客として送り出そうと乗り気になっている。日本維新の会も小池新党との連携を睨み、候補者選定のための東京維新塾を開くという。自民党本部、安倍官邸の思惑も含め、来夏へ向けてにわかに慌ただしくなってきた」(同) そもそも、このタイミングで都議会自民党が小池叩きを鮮明に打ち出したのには理由がある。自民党関係者がこう言う。 「自民都議は、小池都知事誕生から3カ月、小池氏の顔を立てて穏便にやってきた。それなのに調子に乗って、我々と都民を結ぶパイプである200億円をカットするという。これで堪忍袋の緒が切れたんですよ」 200億円とは「政党復活予算」。商店街や地域団体から陳情があれば、地元議員を通じて予算化する仕組みだ。 「地元議員にとっては票につながる打ち出の小槌。それを小池氏はバッサリ切ると通告したのだから、都議会は大荒れ必至と囁かれていたのです」(野党都議会議員) 案の定、12月7日に開かれた本会議で、事前通告が慣例とされる代表質問で自民都議は、非通告の質問を小池氏に浴びせ、立ち往生する小池氏に罵声が飛び交った。 「豊洲新市場の盛り土問題も18人の減給処分で曖昧。華々しくぶち上げた東京五輪会場移転問題も、森喜朗五輪組織委員会会長やIOCのバッハ会長らの抵抗もあって元の木阿弥状態。そこへ来ての政党復活予算カットだったため、反小池側としては攻め時だったのです」(都政担当記者) しかし、小池氏サイドの関係者はこう言う。 「これまでの豊洲、五輪問題は前哨戦。12月から1月の予算編成時が本当の激突ということは予測していました。当然、政党復活予算の件で自民都議らが噛みついてくることも織り込み済み。ケンカはこちらから仕掛けたようなものですからね」 さらに水面下で激しい攻防があったのは、“7人の侍”問題。都知事選で自民党の意向に反し、小池氏支持に回った7人の区議らの取り扱いだ。 「自民党サイドは、この7人を分断して小池氏のパワーを裂こうとした。一緒にしておくと小池新党の核になりますからね。いろいろと手を回し一本釣りも画策したようですが、結果としては失敗に終わり、頭にきて全員除名にしたわけです」(前出・記者) 小池氏周辺に言わせれば、全員自民党に復党できるのであれば、対自民党の姿勢をある程度緩めることも考えたという。 「しかし、向こうがやってきた策は、ある人物は復党させない、こっちは復党させるという姑息な手段。であれば7人は一致団結して小池新党へまっしぐらとなった」(小池氏周辺関係者) いよいよ小池新党を立ち上げるとなれば、その数とメンバー、かねてから言われる日本維新の会との連携はどうなるのか。全国紙政治部記者はこう明かす。 「小池氏は来夏の都議選に向け、2900人の塾生から本人の意思や政治家適正テスト等を経て、最終的には最低でも50人擁立、30人前後の当選を目指したいという思惑で動き出している。内田氏が牛耳る自民党を退け、小池与党を過半数にするということです。そして、その目玉と見られているのが、知名度の高いエド・はるみ。彼女を内田氏の千代田区にぶつけるつもりで、小池氏が説得に乗り出すようなのです」
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社会 2016年12月20日 14時00分
壊れゆくニッポン「年金受給者を狙え!」カジノ利権に“笑い太る”官僚たち
パチンコ依存症の会社員が言う。「世間はギャンブルの怖さを知らなすぎる。人が狂うんです」と。“誰かが必ず金を巻きあげられる”という不公平な仕組みを国が公認する。 12月13日、参議院内閣委員会でIR推進法案、一部修正案が採決され、賛成多数で可決した。同14日、参議院本会議、一部修正案に対応した衆院本会議の可決を経て、IR推進法案が成立。『統合型リゾート(IR)推進法案』と化粧を施したところで、博打場を造ることに変わりはない。カジノ解禁法案は、ギャンブル依存症対策をおざなりにしたまま問題が山積している。 「“レジャー”であるはずのパチンコ・パチスロなどの依存症および疑いのある人は、厚生労働省研究班の調査で536万人(2014年)と成人全体の4.8%に達し、1%前後の欧米などと比べると極めて高率です。そのうち50代以上の男性が190万人、女性は72000人に上り、全体の約4割を50代以上が占める。しかも最近は、ギャンブルに免疫のない20〜30代の男性や女性にもはびこるようになっています。この状態でカジノができれば、日本は超ギャンブル依存症大国になってしまうでしょう」(ギャンブルライター) マカオやシンガポール、韓国などの海外のカジノでもギャンブル依存症患者が増大し、社会問題となっている。高齢者が年金や財産をギャンブルにつぎ込んで自己破産するケースが増えているのだ。 「外国人専用だったカジノを'00年、国内向けに解禁した韓国の『江原ランドカジノ』では、場内で50人以上も自殺したと報じられています。近くには質屋が乱立しているばかりか、カジノで財産を失い“素寒貧”になった何百もの人が、途方に暮れたまま周辺でホームレス化している。マカオでも4年前に入場資格を18歳から21歳に引き上げるなど、対策強化に追われました」(同) 旧東欧諸国のほとんどもカジノで失敗している。冷戦時代、かの地では賭博行為は労働意欲を喪失させ、労働者を搾取する手段でしかないと思われていた。ところが、1991年のソ連崩壊で一変。全く規制や制度がない状態で商業的賭博行為が横行したのだ。 「制限を加えて外国人ギャンブラーの行楽地として整えたものの、客層が悪く、カジノ付近一帯の治安が改善される兆しは今もありません」(同) 国が博打の「開場」を容認するのだから、ある種の制限は不可欠。となれば、厚労省、警察庁、経済産業省などが「対策」と称して利権に群がり、ベラボーな予算を要求したり、天下り組織を作ったりするのは火を見るよりも明らか。 若者や年金生活者から巻き上げるカネで彼ら官僚には老後の心配がなくなるのだから、ロクに審議もしないのは当然というわけだ。超ギャンブル依存症大国ニッポンに残されるのは負の遺産だけだ。破産者、自殺者、犯罪者…と崩壊の一途をたどる道しか見えてこない。
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社会 2016年12月20日 10時00分
大地震! 年末に日本列島を襲う直下型ソロモン諸島“連鎖”の恐怖
南太平洋のソロモン諸島は日本と同じ環太平洋火山帯に位置し、日常的に地震が発生しているが、住民は12月10日の地震について「これまで経験した中で最大級、最長級だった」と語った。12月3日から 9日までに、アジアからヨーロッパくらいまでの地域で起きたマグニチュード 4.5以上の地震の数は107回で、そのほとんどは環太平洋火山帯で起きている。 米地質調査所(USGS)によると、ソロモン諸島沖で12月10日午前4時10分頃(日本時間=以下同)、M6.9の地震が発生。前日にもM7.8の大きな地震が起きており、これが日本列島にも影響を及ぼすとの見方がある。 「同じく太平洋の西端で起きた巨大地震では、11月13日にニュージーランド(NZ)でM7.8とM6.2の大地震が立て続けに発生していますが、9日後の22日早朝には福島県沖でM7.4が起きている。東北地方では最大震度5弱の揺れを観測し、宮城県石巻市の小淵漁港で高さ2.1メートルの津波があったことも判明し、東日本大震災を思い起こさせました。この連続性に“NZの法則”を指摘する専門家もいるのです」(サイエンスライター) 11月13日のNZ地震後、日本での地震について警鐘を鳴らしていた琉球大名誉教授の木村政昭氏は、こう説明する。 「西北に動く太平洋プレートにおいて、ソロモンで大きな地震があれば、当然、日本列島付近にも影響がある。今回の場合は、その影響が福島沖で東日本大震災の際に割れ残った場所に出たが、今度は日本海溝からマリアナ海溝にかけての、しばらく地震発生をしていない空白域が危ないと思われます」 マリアナ海溝付近のソロモン諸島辺りでM7以上の大地震が発生すると、数カ月以内に日本付近でも高い確率で大きな地震が発生することは、過去のデータを見ても明らかだ。東日本大震災の17日前にも、やはりNZでM6.1のカンタベリー地震が発生している。 「1995年に起きた阪神・淡路大震災でも、その18日前にマリアナ諸島付近でM6.3の地震が起きていました。今回のソロモン諸島沖での連続地震により、日本列島付近での巨大地震発生の可能性が高まったと言っても過言ではありません」(前出・サイエンスライター) さらに前出の木村氏は、今年発生した熊本地震や鳥取中部地震が、フィリピン海プレート東縁にあたるマリアナ海溝付近の地震の空白域からのプレッシャーにより発生したと見ている。 「つまり今回の動きは、日本列島で内陸型の地震を誘発させる見方もできるということです」(同) 太平洋プレートの位置関係を考えると日本は他人ごとではない。いよいよ、関東直下型がやってくるのか? 人々が激しく移動する師走の時期、直下型ソロモン諸島の恐怖の“連鎖”が来ないことを祈りたい。
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社会 2016年12月19日 14時00分
人が動く! 人を動かす! 「田中角栄」侠(おとこ)の処世 第48回
得意絶頂、昇り坂にある人間には、黙っていても人を惹きつけるオーラみたいなものが漂う。 幹事長3期目の総選挙で自民党を300議席の大台に乗せて大勝させた田中角栄は、翌昭和45年1月の第3次佐藤(栄作)内閣発足に伴う党役員人事で幹事長4期目、その年の暮れには田中の多数派工作により10月に自民党総裁「4選」を果たした佐藤首相は田中を実に5期目の幹事長として留任させたのであった。異例の長さと言ってよかった。それだけ、佐藤首相の政権運営に対する田中への信頼感が知れたということでもあった。 そうしたエネルギーのほとばしる“大幹事長”のもとには、いやでも人が集まり、猟官運動、無理スジの相談事も多々寄せられた。人気は最高調。さすがの田中も、「なんで年がら年中、オレのところばかり人がこんなに来るんだ」とボヤいたこともあったのだった。 一部に「刎頸の友」とされ、『国際興業』創業者にして社長の小佐野賢治が砂防会館の田中事務所によく顔を見せるようになったのもこのころである。田中と小佐野との関係を知る政治部記者のこんな証言が残っている。 「両者の出会いは昭和22年、田中が衆院議員として初当選を飾って間もなくだった。当時、田中の『田中土建』と小佐野の会社の顧問弁護士を共にやり、広島高検検事長を最後に公職追放されていた“人権派弁護士”としても知られた正木亮が、初めて二人を引き合わせた。正木は、『あなたたちは、共に苦労してここまで成功した。田中さんは政治家として、小佐野さんは事業家として大を成してもらいたい』と握手させたのが始まりだった。 その後、たまに二人で一杯やったりしていたが、一気に関係が狭まったのは田中が“日の出の勢いの幹事長”になったころから。小佐野は田中に多少の政治献金はしていたが、世間で言われたように無尽蔵な献金などはなかったともっぱらだった。大体、事業家としてシビアな小佐野は、無駄ガネを使う男ではなかった。田中は後にこう言っていた。『小佐野クンはケチだよ。オレが総裁選に出たときだって、そんなにべらぼうに助けてはくれなかった』と」 ちなみに、小佐野の料亭での遊び方のエピソードに、こんなものがある。座敷での芸者へのチップは100万円ほど入っている財布を、まずはポンと渡す。勝手に取れ、というのである。芸者が何枚か抜いて、小佐野に返す。後で小佐野は何枚抜いたかを数えるのである。抜いた枚数に見合わぬサービスぶりだった芸者は、二度と座敷に呼ぶことはなかったのだった。なるほど、事業家としてシビアな一面を持っていた小佐野、さらには田中との“カネの関係”もしのばれるというものである。 一方、相談事では創価学会出版妨害事件があった。公明党が藤原弘達という政治評論家の『創価学会を斬る』という本の出版に当たり、出版中止の“圧力”をかけたというもので、大きな話題となったものだ。当時の創価学会・池田大作会長に対する、国会証人喚問の要求まで出たのである。 藤原と公明党両者の間はこじれにこじれ、公明党はついに田中幹事長に仲裁を頼んだのである。田中は度々、藤原に接触、汗をかいたが、藤原が「(公明党が依頼した)田中幹事長から圧力があった」と語ったことなどで、公明党はさらに窮地に陥った。「なんとかならないか」、なおも泣きつく公明党幹部に田中は言ったのだった。「しゃあないな。それならオレが勝手におせっかいを焼いたことにしておけばいい」と。 結局、この事件は「田中がおせっかいを焼いた」ということでウヤムヤになったが、助かったのは公明党と創価学会だった。後に、池田大作会長が公明党幹部にこう言ったとされている。「田中さんへの恩義を忘れてはいけない。いつか総理にしてやりたいな。面白い政治をやるかも知れない」 情けは人の為ならず――。人の失敗を背負ってやるという田中の男気、度量を示すエピソードでもある。 その後、長く田中と公明党の“蜜月”状態が続いた。田中がやがて首相になり、一気に日中国交正常化を果たしたとき、この“先兵”として中国に渡り根回しに動いたのが、当時の公明党委員長の竹入義勝だったのである。池田会長の「恩義を忘れてはいけない」を、全うしたということでもあった。 そうした中で田中は、佐藤首相の政権運営に汗をかく一方で、4期、5期の幹事長時、自らの悲願でもあった都市と地方の格差是正、国土の均衡化に腐心、全国新幹線鉄道整備法、高速道整備のための自動車重量税(俗に言う「頓税」)などを次々に成立、公布させていった。 こうした田中のあまりの政策推進への“ばく進”ぶりに、さしもの佐藤首相も眉をひそめることもあった。しかし、田中は一歩も引かず、ひるむことなく激論辞さずで佐藤首相と向かい合ったのだった。(以下、次号)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材46年余のベテラン政治評論家。24年間に及ぶ田中角栄研究の第一人者。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書、多数。
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社会 2016年12月18日 14時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 配偶者控除拡大は罠ではないのか
政府与党は、2017年の税制改正で、配偶者控除の適用上限を、配偶者の年収が103万円から150万円に引き上げる方針を固めた。 これによって、妻の年収が150万円までは、夫が配偶者控除を受けられることになる。ただし一方で、上限引き上げにともなう税収減の埋め合わせをするために、世帯主の年収が1120万円を超える世帯は、配偶者控除を圧縮することにしたのだ。 所得税の配偶者控除は、妻の年収が103万円以下(課税所得がゼロ)の場合、夫の所得から38万円を控除するルールになっている。しかし、妻の年収が103万円を超えると配偶者控除はなくなるが、代わりに配偶者特別控除が発生することになる。 配偶者特別控除は、配偶者控除と同額の38万円から始まって、妻の年収が上がるごとに減っていき、妻の年収が141万円を超えると消滅する。 今回の配偶者控除の上限引き上げは、この配偶者特別控除の拡充によって行われると見込まれる。変更点は、そこだけだ。つまり、夫の所得税に関しては変化があるが、妻の所得税に関しては、まったく変化がないのだ。 ここが重要な点なのだが、配偶者控除を受けようと思ったら、これまでは妻に所得税がかからない年収103万円以下に抑えることが必要だった。ところが、来年から配偶者控除の上限が150万円に引き上げられたとしても、妻の年収が103万円を超えると、いままで通り、妻には所得税がかかってくるのだ。 しかも、妻の年収が130万円を超えると、厚生年金や健康保険の保険料も支払わなくてはいけない。つまり、配偶者控除の適用上限が拡大したからといって、余分に働くと、税金や社会保険料が増えてしまい、ひどい目にあう可能性が高いということだ。 例えば、今回の制度改正に合わせて、妻が余分に働き、年収を103万円から150万円に引き上げたとする。収入は43万円増えるが、それと同時に税金が3万7000円、社会保険料の負担が22万5000円増えることになり、手取りは20万8000円しか増えない。余分に稼いだ金額の実に56%が、税金と社会保険料で持って行かれてしまう計算になるのだ。 パートで年収を47万円増やすというのは、結構、大変なことだ。時給900円だとしても、1日5時間の労働を週2日、毎週しなければならない。それだけ働いて、手取りが月1万7000円増えるだけだ。労働時間増加分の実質的な時給は、たった399円ということになってしまう。 私は、今回の配偶者控除拡大は、政府の仕掛けた罠なのではないかと思う。“年収150万円まで配偶者控除の適用が拡大されますよ”と政府が言えば、真に受けて働く時間を増やす女性が出てくるだろう。そうなれば、政府にがっぽりと税金と社会保険料が転がり込んでくる。仮に労働時間を増やす女性がいなくても、配偶者控除拡大の財源は、世帯主の年収が1120万円を超える専業主婦世帯の増税で確保している。 だから、政府にとって配偶者控除拡大は、女性が労働時間を延ばせば延ばすほど儲かる「負けのないゲーム」になっているのだ。そんなイカサマに騙されてはいけない。
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