社会
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社会 2016年12月07日 14時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第200回 TPPを批准してはならない
次期アメリカ大統領のドナルド・トランプは11月21日のビデオ声明で、来年1月20日に大統領に就任すると同時に、TPPから離脱する意思を通知する方針を示した。就任初日に離脱を他のTPP参加国に通告すると明言したのである。 そもそも、トランプはNAFTAという自由貿易協定で困窮に陥ったラストベルト地帯(さびついた工業地帯の意)の労働者などに対し、グローバル化批判を展開することで支持を得た結果、大統領選に勝利したのだ。NAFTAにより、アメリカ、カナダ、メキシコ間でモノ、ヒト、カネという経営の三要素の国境を越えた移動が自由化された。特に問題になったのは、アメリカとメキシコの関係だ。 モノの移動が自由化された結果、アメリカの穀物メジャーが扱う生産性が高い、つまりは「安価」な小麦がメキシコになだれ込んだ。メキシコの主食は小麦である。アメリカ産の安い小麦と競争させられることになったメキシコの小麦農家は、次々に廃業していく羽目になる。 すると、ヒトの移動の自由化ということで、廃業した元メキシコ農家が雇用を求めて北上を始めた。国境を越え、アメリカ国内で「安い外国人労働者」として働くことになったのである。アメリカの労働者は低賃金で雇用されたメキシコ人労働者と、賃金切り下げ競争を強いられることになった。 さらに、カネの移動の自由化である。五大湖周辺のミシガン州、ペンシルベニア州などから、工場が続々とメキシコに移転していった。理由はもちろん「メキシコの方が人件費が安いため」である。賃金水準が低いメキシコに工場が移され、現地で生産された安い製品がアメリカに逆輸入されていった。結果的にグローバル企業の投資家、経営者、さらには「アメリカの消費者」も利益を得たが、アメリカの製造業の労働者は割を食う形になったわけだ。 トランプは大統領選挙のさなか、アメリカ政府の通商政策がグローバル化を促進させ、米国の製造業の雇用を失わせたと主張。ペンシルベニア州で演説した際には、 「われわれの政治家は積極的にグローバル化の政策を追求し、われわれの雇用や富や工場をメキシコと海外に移転させている」 と、徹底的にグローバリズムを批判した。そのトランプが大統領に選出された以上、TPP離脱は当然の選択なのである。 TPPは、2年以内に6カ国以上、GDP85%以上の国々が批准しなければ発効しない。アメリカが離脱すると、その時点でTPPは「ジ・エンド」だ。 日本の安倍総理や財界は、 「トランプ氏に翻意を促す」 と報じられているが、内政干渉である。 トランプは公約として「TPP反対」を打ち出し、NAFTAについても再交渉し、アメリカの要求が通らない場合は離脱すると宣言した上で選挙戦を戦い、勝った。アメリカの民主主義がTPP離脱を容認したにもかかわらず、 「翻意を促す」 という発想に至るその感覚が理解できない。 一体全体、いつからアメリカは人治国家になったというのだろうか。むしろ、日本の政治家や財界の要求でTPPについて「翻意」した場合、トランプは自国の有権者を裏切ることになるのだが、日本の政治家や財界人には、その程度の理解力もないのか。 逆の立場で考えればいい。日本国民が民主主義で決めたことについて、外国から「翻意を求める」と迫られた場合、間違いなく内政干渉である。日本国には、 「外圧を利用して国内を改革する」 などと、主権国家の国民としてはあるまじきことを平気で主張する連中が少なくないため、内政干渉について鈍感になっているような気がする。政治家も、財界も、もちろん国民も。 普段、民主主義、民主主義と姦しい大手マスコミが、総理や財界の「アメリカに翻意を促す」という内政干渉を問題視しないのは、本当に不思議である。要するに、自分の頭では何も考えていないか、もしくはグローバリズムは「常に善」であると、思考停止に陥っているとしか思えないのである。 さらに問題なのは、安倍政権がこの期に及んでも、TPPについて「現行の条件」で批准しようとしている点だ。 TPPについて「アメリカ抜きで進める」と主張する人もいるが、それならばなおのことTPP批准を止めなければならない。TPPの条件には、先述の通り「2年以内、6カ国、GDP85%以上」という発効条件があるのだ。アメリカ抜きのTPPを実現するためには、改めて参加国で交渉し、発効条件を変更する必要がある。批准してしまうと再交渉が不可能になる。 また、トランプは、TPPは離脱し「二カ国間貿易取引」を交渉すると明言している。すなわち今後、アメリカとの間で日米FTA(もしくは日米EPA)の交渉が始まる可能性が高いのだ。 それにもかかわらず、現時点でTPPを日本の国会が批准してしまうと、二カ国間交渉の際に「TPPの日本の譲歩条件がスタートライン」になってしまう。何しろ、日本の最高意思決定機関である国会で批准した以上、 「まずは、日本側にTPPの条件を最低でも受け入れてもらうとして、そこからどこまで譲歩できるのか」 という交渉スタイルになってしまうのだ。国会で批准している以上、そうならざるを得ない。 すなわち、安倍政権は批准しても発効しないTPPを強引に進め、将来的な交渉を不利にしようとしていることになる。 筆者はTPP反対論者である。理由は、TPPがEU、NAFTAと同様に、特定のグローバル企業、グローバル投資家の利益最大化を実現する構造改革を強制し、国民の主権を行使しても変更できないようにする「グローバリズムの国際協定」だからだ。 とはいえ、TPPが終了したとしても、アメリカとの間で日本国民の国益を損なうFTA・EPAが成立してしまうのでは、結局は同じ話になってしまう。 日本国の国益を真剣に考えるならば、TPP批准プロセスは現時点で停止するべきなのだ。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2016年12月07日 10時00分
1150年前の古文書が発信 M8南海トラフ&首都直下のW連鎖緊急警報(2)
南海トラフ地震について、国は最悪の場合、近畿地方で27メートル(三重県鳥羽市)、四国34メートル(高知県黒潮町)、九州17メートル(宮崎県串間市)の津波が襲い、死者は32万3000人に上ると想定しているが、その最悪の場合をさらに上回る可能性もある。 「次の南海トラフ地震も前回のエネルギーが残っていることから、東海・南海・東南海で連動する可能性が高いでしょう。西の方は日向灘まで地殻が割れる可能性もある。とにかく、とてつもない巨大地震になるのではないでしょうか」(前出・島村氏) 日本時間で11月13日に起きたニュージーランドでの大地震からわずか9日後に起きた、福島県沖を震源とする地震規模はM7.4。これは東日本大震災以来、最も大きなものだった。 「東日本大震災は、前回のニュージーランドで発生した大地震(カンタベリー地震)から17日後に発生している。この連動性を唱える専門家もいます。西北に向かって動いている太平洋プレートは、これまで巨大地震を度々起こしていますが、押す力は北から南まで同じなのです。その圧力がかかった結果、プレートの弱い部分が割れて地震が発生する。南海トラフか関東直下か、どちらが先かは分かりませんが、福島県沖の地震は前兆にすぎない。いずれにせよ、本命とも言うべき南海トラフ巨大地震が近く発生するという見方が多くあります」(前出・サイエンスライター) 東日本大震災の際は、本震から4日が経過した3月15日、静岡県東部の富士山直下で震度6強の地震が発生している。これは東日本大震災に誘発されたものと見られ、貞観地震が起きた時と同じく、今後においては関東直下型→南海トラフという連鎖が十分に考えられる。 首都直下型については、最近の調査で東京23区内にも活断層が存在することが分かっている。日本活断層学会の幹部は本誌の取材にこう語っている。 「ボーリング調査の結果などをもとに調べたところ、JR田端駅近くから飯田橋駅付近を通り、外濠に沿って四ツ谷駅付近に至る延長約7キロの飯田橋推定断層が存在すると疑われます。その周辺には九段推定断層や市ヶ谷推定断層も平行して存在すると見られ、銀座や浅草、築地、月島などにも複数の推定断層があると思われる」 もし、これらの断層が日本海溝付近や南海トラフで発生した地震に誘発されて動いたとしたら、どうなるのか。 「首都直下地震が起きると、内閣府は多くて1万3000人が犠牲になると発表していますが、関東大震災(1923年)では約10万5000人が死亡もしくは行方不明になったとされている。高度に発展した現代であっても人口が密集した首都圏において、“おそらく犠牲者は100万人単位ではないか”とする専門家もいるほどです。加えて、南海トラフ地震では想定で32万人が死亡するとされている。連鎖が起きた際の経済損失は計り知れず、国がマヒ状態に陥る中、復興にも相当な時間がかかるでしょう」(前出・サイエンスライター) 貞観時代から約1150年。W連鎖はあるのか。
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社会 2016年12月06日 14時00分
小池百合子都知事が安倍首相にケンカを売る 東京五輪負担「第三劇場」
小池百合子東京都知事が、今度は安倍官邸を相手にケンカを吹っかける−−。そんな情報が、師走の永田町を駆け巡っている。その材料は、東京五輪予算。「小池劇場第三幕」は、これまでの豊洲新市場や五輪会場問題より、はるかに激しいバトルとなりそうだ。 8月に自民党候補などを破り颯爽と女性初の都知事に就任するや、メディアを独占し続けてきた小池氏。しかし昨今は、トランプ旋風や韓国・朴槿恵大統領のスキャンダルにかすみがち。豊洲問題では11月25日、会見で元市場長など18人の減給処分などを“けじめ”として発表したが、盛り土を止めさせたのは誰なのか、ピンポントまでの絞り込みについては曖昧なままだ。 都知事就任から100日の“ハネムーン期間”も終わり、このまま行けば新年を迎えると同時に小池ブームも消えそうな気配。そんな中、小池氏周辺は「これからが本番。最大の“ショー”が年末から年明けに起こる」と息巻いているという。 「ジワジワと増え続ける五輪予算で、官邸と激突を仕掛ける。招致時の'13年当時、森喜朗氏が会長を務める大会組織委員会は開催費総額を7340億円としていたが、都政改革本部調査チームの最新試算では3兆円にまで膨れ上がった。このうち仮設施設などの5000億円はスポンサーやチケットの売り上げで組織委がまかなうと見られ、残りの2兆5000億円は東京都と国で分担することになる。現段階で都の負担は3104億円ですが、今後を考えれば5000億円前後になる勢いで、これを押し返すか削らなければならない。小池氏はこれで、官邸とド派手にケンカをやり合う」(小池氏周辺関係者) 当初、1538億円だった都の五輪施設整備費は、一時4584億円に膨張。慌てた都が計画を見直し、'14年11月時点で2241億円に圧縮。その後、新国立競技場建設費の4分1に当たる448億円の負担が増え2689億円となった。しかし都は、選手村基盤整備費や有明アリーナの用地費などを五輪準備局以外の局に予算をもぐりこませており、結局、現在の総額3104億円になってしまった。 「その仕業が組織委なのか国なのかは不明だが、ほかにも様々な予算が巧妙に隠され、今後も次々に明るみに出ることは必至。そこで小池氏は徹底した洗い直しを行い、極限まで都の負担を削減した上で、“必要不可欠なコストは国が出すべき”と、安倍官邸に乗り込む腹を固めたようです」(都政記者) しかし安倍首相としては、1000兆円を超す大赤字財政の中、1円でも出費はしたくない。都が五輪費用に3兆円試算を弾いた直後、麻生太郎財務相などは閣議後の会見で「東京五輪は『日本五輪』ではない。私どもとしては、入国などでサポートするのが基本的立場。(上積み費用は)都と国際オリンピック委員会で協議してもらうのが一義的なことだ」とクギを刺したほどだ。 「実は、この発言が小池氏の闘争心に火をつけたという。そもそもリオ五輪の閉会式に自ら出向いてマリオに扮し、美味しいところを総取りしたのは安倍首相。そんな官邸の“カネは出さないが顔と口は出す”といった姿勢に激怒したのです」(都関係者) ただし、ケンカを売る本当の狙いは、小池旋風の復活にある。再び前出・小池氏周辺の話。 「小池氏は来夏の都議選まで今の高い支持率を保ち、シンパからの立候補者を多数擁立させ都議会勢力を一変させたい。新党立ち上げについてもしかりです。そのためにも、“都民ファースト”を掲げ、官邸とやり合う大ゲンカは、“小池劇場第三幕”として恰好の注目材料となる」 小池氏を駆り立てる根底には、橋下徹前大阪市長が事実上率いる日本維新の会の争奪戦もあるという。 「小池氏が維新と連携をすれば、敵対する都議会自民党のドン・内田茂氏率いる一派をけん制することもできる。しかし、安倍首相にしてみれば、憲法改正など政権運営の選択肢拡大において、維新は大事な政党。対小池氏となった場合、弱腰を見せるわけにはいかない」(前出・記者) この争奪戦の一端について、全国紙政治部記者はこう言う。 「橋下氏が小池氏の『希望の塾』の講師を直前で断ったことについては、ギャラの値引き云々で揉めたことになっている。しかしこれは、維新と小池氏の急接近を警戒する側の工作という説が根強い」 同記者によれば、もともとは橋下氏が同じ関西出身で政治手法も似る小池氏にシンパシーを抱き、連携を図ろうとしていたという。 「それに最も警戒を抱いたのは菅義偉官房長官。『希望の塾』の講師になれば、一気に小池氏・橋下氏の連携が濃くなり、周囲もそう見るようになる。これを阻止したい菅氏が、最も太いパイプの松井一郎大阪府知事を使ってストップさせたという話もある」(同) しかし、これで小池氏と橋下氏に亀裂が入ったかと言えばノーだという。 「2人は今も密に連絡を取っている。しかし一方で、安倍首相も橋下氏と連絡を取っていることは間違いない」(前出・小池氏周辺関係者) 今後の小池氏の行く末を決めそうな“第三幕”。果たして安倍官邸への噛み付きで、上昇気流に乗ることはできるか。
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社会 2016年12月06日 10時00分
1150年前の古文書が発信 M8南海トラフ&首都直下のW連鎖緊急警報(1)
《夜、地震す、この日、関東諸国の地、大いに震裂す。相模・武蔵は特にもっとも甚だしとなす。その後、五六日も、震動いまだ止まず、公私の屋舍、一つとして全きものなし。あるいは地の窪陷して、往還不通ぜず、百姓の圧死すること勝げて記すべからず》 これは平安時代、菅原道真ほか貴族や学者が858年〜887年の出来事を編纂した歴史書『日本三代実録』(三代=清和天皇、陽成天皇、光孝天皇)の一節だ。878年11月1日、関東地方南部を中心に大きな地震が襲った(相模・武蔵地震)。『三代実録』を見ても《この日》の揺れのすさまじさが伝わってくる。 「専門家の間で、この相模・武蔵地震の震源域は神奈川県中部を走る伊勢原断層で、関東直下型だったという見方が強い。地震の規模はM7.4、最大震度が7程度だったと推定され、記録にもあるように家屋倒壊、さらに火災も加わって多くの死者が出たという。京都からの視点で記されている可能性が高いことから、かなり広い範囲にわたり余震が続いていたという見方ができます」(サイエンスライター) 当時の日本列島は地震の活動期に当たるとされ、巨大地震が立て続けに起きていた。 869年には三陸沖で貞観地震(M8.3以上)が発生。地震と大津波で1000人以上が犠牲になったという。同時期には鳥取県でも大地震が起き、その前年には兵庫県でM7の播磨地震、貞観地震の9年後には冒頭の相模・武蔵地震、そして18年後の887年、ついには南海トラフで東海・東南海・南海の3連動タイプの仁和地震が発生している。 この時代の地震活動について、地震学者で武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏が説明する。 「貞観時代と、地震が活発に起きている現代が同じような地震活動期だと言われるが、それに関しては、さらに学問的な検証が必要です。しかし双方、巨大地震によって日本列島の地下の基盤岩が動き、地震が起こりやすい状態にあることは間違いありません。今、首都圏では直下型地震がいつ起こっても不思議ではない状況にあるし、海溝型の大地震の可能性もある。さらに、二つの地震が一気に起こる可能性さえあるのです。江戸時代の18世紀から19世紀にかけても地震が頻発していましたが、20世紀は少なく、それが当たり前の状態となっていた。しかし、東日本大震災によって、地震が頻発する時代に戻ったと思われます」 前述の通り、関東直下型と思われる相模・武蔵地震は三陸沖の貞観地震の9年後。今年は東日本大震災から6年がすぎた。西日本で熊本地震に鳥取中部地震、さらに福島県沖でも大きな地震が発生していることも不気味だ。 『日本三大実録』には、当時全国で発生した天変地異についても記録されている。 例えば、863年の中越地震については、《越中越後等の国、地大いに震ひき。陵谷ところをかへ、水泉湧き出で、民の蘆舎をこば(壊)ち、圧死する者多かりき。これより後、毎日常に震ひき》。激しい揺れで地割れが起きて至る場所から地下水が噴き出し、民家の倒壊により多くの人が圧死したという。 それらの記録の中で興味深いのは、やはり仁和地震の様子を克明に著した記述だ。現代語訳すると以下となる。 《午後4時頃に大地震が起き、数刻を経ても震動が続いた。天皇は仁壽殿(殿舎)から出て紫震殿の南庭に移動した。そして大藏省に命じて七丈の幄(仮小屋)を二つ建てさせ、御在所とした。役所の倉屋および東西京の民衆の家は相当部分が転倒・倒壊し、その下になって殺された者が多い。あるいは失神して頓死した者もある。10時頃にまた地震が三度。全国(五畿内・七道諸国)でも、この同日に大地が大いに震えた。官舍が多く損壊し、海潮が陸に漲ってきて、その津波によって溺死したものは、数えることができないほどである。そのような津波の被害の中でも、摂津国の被害はもっとも甚だしいものがあった》 「この時の地震の規模はM8〜8.6とされている。地震動による被害もさることながら、驚くのは津波被害の大きさです。南海トラフで起きた地震にも関わらず、摂津国、大阪・兵庫にまで巨大津波が押し寄せたという。『日本三代実録』は、仁和地震の1カ月後に終了しているのですが、それまでの間にも余震と見られる記述が多くある。相当な被害が出たと思われます」(前出・サイエンスライター)
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社会 2016年12月04日 14時00分
人が動く! 人を動かす! 「田中角栄」侠(おとこ)の処世 第46回
「この難局を乗り切ることができるのはオレしかいない」の自負のもと3期目の幹事長に就任した田中角栄は、その“ヤリ手”ぶりをいかんなく発揮した。 就任翌年の昭和44年1月からの通常国会は、何とも異常なものだった。野党の抵抗も強かった大学運営法(大学運営臨時措置法)、健康保険法改正、国鉄運賃法改正など重要法案が多く、自民党の衆院での単独・強行の採決は実に15回、参院でも5回というありさまだった。徹夜国会もまた衆院で4回、参院で2回といった具合。健康保険法改正では本会議採決を巡って衆院の正・副議長のクビも飛んだのだった。そうした中での田中の国会運営の最大の難関は大学運営法であった。 折から、前年1月に東大医学部での登録医師の反対、また青年医師連合を認めようとするストライキを発端として、各地に大学紛争としてのデモなどが広がった。これはやがて社会問題化し、田中にとってはこの問題の沈静化、解決は「待ったなし」を突き付けられた格好だった。社会、公明、共産の野党3党は「この法案は大学改革に名を借りた治安立法である」と強く反発。一方で、同じ野党の民社党が自民党に理解を示すなどで対峙する図式となった。 田中は終始、強気で、ここでも最終的に強行採決による法案成立の姿勢を崩さなかった。衆院ではモメ抜いた揚げ句ようやく通過、参院でいよいよ成立するという緊迫場面を、当時、田中幹事長秘書として間近に見ていた早坂茂三(後に政治評論家)が、その著『政治家田中角栄』(中央公論社)の中で「田中が国会運営でこれほど激高した場面を私は知らない」として、重宗雄三参院議長に本会議の開会ベルを押させるシーンを次のように生々しく述懐している。【8月3日(日)。午後5時過ぎ、幹事長室】 二階堂副幹事長 重宗の態度がおかしい。 田中幹事長 あのジジイは、ぶったたいてやる(廊下に飛び出して参院議長室に駆け込む)。 重宗議長 角さん、あんた、オヤジ(佐藤栄作首相)を無視してやることはないというハラだったのじゃないか。あんた、オヤジにちゃんと打ち合わせてやっているのか。 田中幹事長 ナニ言ってんだ、ジイさん。あんたたちはもう子供が全部でき上がっているから、そんな極楽トンボでいられるんだ。学生を子に持つ日本中の親たちは、一体どうするんだ。自分たちの食うものも削って、倅や娘に仕送りしているんだ。ところが、学校はゲバ棒で埋まっている。先生は教壇に立てない。勉強する気の学生は試験も受けられん。こんなことで卒業できるのか。就職できるのか。みんな、真っ青になっているんだ。気の弱い学生は大学にも行けず、下宿でヒザを抱えているんだ。だから、いいからジイさん、早くベルを鳴らせ。やらなきゃ、このオレが許さんぞ。 重宗議長 まあ、角さん、そうガミガミ言うな(重宗議長、保利茂官房長官に電話)。(電話で)保利さん、角さんが何と言ってもやれと言っているんだ…。 結局、重宗議長はこの田中とのヤリトリから約2時間後、本会議開会のベルを鳴らすことになり、午後8時8分、ようやくモメにモメたこの大学運営法は可決、成立となった。 この法律の施行によりやがて全国の大学紛争は下火になっていったが、田中は法案成立から1週間後の『毎日新聞』で、なぜ強行突破の国会運営を行ったのか、断固たる自らの政治姿勢を次のように“開陳”したのだった。 「議会制民主主義は、多数決原理の承認と、少数意見の尊重を二つの柱としているが、社会党はことイデオロギー問題をみる場合、多数決原理の承認を拒み、少数意見の貫徹に固執する。もし、自民党が社会党の抵抗に屈し多数決原理の適用にためらえば、政権を担当するわれわれが国民に公約した政策の実行は困難となり、政治は停滞、国会はただ制度として砂の上でだけ存在するにすぎなくなる。その結果、国権の最高機関たる立法府に対する国民の信頼感は、著しく低下することが避けられなくなる。 議会政治はもともと、国会制度だけでなく、国民の直接選挙による政党批判と一体のものとして成立しているものだ。衆院4年間の任期中に、与野党が多数決原理の承認と少数意見尊重を前提とし、多数党の責任で政治を行うのは当然である。その政治が国民多数にとって現実的な不利益を招いたとすれば、次の総選挙において国民は必ず公正な審判を下し、必要とあれば政権担当者の交代を求めるであろう。私は、議会制民主主義の生命線がここにあると信じている」(昭和44年8月10日付) ここでの田中の話の通り、この年12月、佐藤首相は衆院を解散、総選挙をもって国民に信を問うことになった。さて、国会は佐藤政権の一連の政権運営にどう判断を下すのか。選挙の指揮を執る田中の前には、またまた新たな二つの懸案が立ちふさがることになるのである。(以下、次号)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材46年余のベテラン政治評論家。24年間に及ぶ田中角栄研究の第一人者。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書、多数。
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社会 2016年12月03日 16時41分
トラブル続出! エステサロンで「脱毛治療」をおこなう危険性とは
いまや女性だけでなく、男性にとっても一般的になった脱毛。広告も多く出回り、街には店舗も溢れ、気軽に治療を受けられるようになりました。 しかし、なかには良からぬ噂も。エステサロンでおこなった脱毛で、トラブルが頻発しているという話を耳にします。治療を考えている方は、少し待ったほうがいいかもしれません。 今回は、元エステサロン店員のMさんに、勤務中に体験したトラブルなどをお聞きしたので参考にしてください。■医師が居ないのですぐに肌トラブルに対応できない 「エステサロンは医療機関と違って医師が常駐していません。ですから、技術が未熟だったり知識に乏しいスタッフが治療にあたることもあります。そうすると、必然的に肌トラブルを訴えるお客様も増えます。腫れや痛みなどは、どの店舗でもあるとは思いますが、残念なのは医師が居ないのですぐに対応できないことです。提携している医療機関に連絡してからの対応になるので、どうしてもタイムラグができます。そのあいだに、症状が悪化してしまうケースもありました」■気軽に始めると費用が膨らんでいく 「エステサロンでの仕事は華やかに見えるかもしれませんが、なかはけっこうドロドロ。ノルマが厳しくて、達成できないと上から指導が入ります。残業代なしで何時間も残されました。ノルマを達成するため、スタッフ同士も険悪な雰囲気になることも多いです。だからとにかく、お客様にはお金を使わせるようにいろいろ勧めました。ワキだけの脱毛だったのに全身脱毛にコース変更させたり、ケア用品なども売りつけたり。広告を見て安いからと気軽に始めると、最終的にとんでもない費用がかかる場合もあります」■予約が取れず途中解約する人も多い 「エステでは勧誘にも力を入れていて、お客様を受け入れすぎてしまうような状態になることもあります。まったく予約が取れなくなり、次回の施術まで2〜3か月空いてしまうのもざらでした。このペースで進むと、完了までに3〜5年もかかることになります。また、エステサロンは医療機関ではないので永久脱毛が禁止されています。そのため、エステ脱毛は厳密に言うと一時的な効果の脱毛『減毛』にあたり、間隔が空くとまた元通りに毛が生えてきてしまうのです。そうなると、いつ終わるのか先が見えなくなり、3割近いお客様が途中であきらめて解約されます」 気軽に始めてしまうと、痛い目を見るのがエステ脱毛のようです。性別にかかわらず、美しくなるためや自分磨きのために、脱毛は大きな意味を持つものです。安全な方法を選べば、トラブルを抱えることもありません。勢いに任せず、まずは冷静になって最良の機関を選んでから行動するようにしましょう。
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社会 2016年12月03日 14時00分
“王国”復活なるか 造船業界に吹き荒れる再編の嵐
かつて世界一の建造量を誇った日本の造船業界が苦境に陥り、大手造船企業が統合再編の動きを加速させている。その余波は、海運業にまで及んでいるが、背景には何があるのか。 造船関係者が明かす。 「ズバリ、世界的な大不況が造船業を直撃しているからです。造船は戦後、ずっと世界一の技術力と質を誇り、世界に君臨し続けた。それが中国など新興国が低コストで攻勢をかけ、さらには、それらの国々が急激に景気低迷に陥り、市場が悪化するというダブルパンチ。'16年1〜8月の日本の造船受注量も、前年同期の8割減にまで落ちてしまった」 一時は中国のバブル景気に引っ張られる形で、各国の海運会社や投資ファンドが穀物などを運ぶ貨物船、いわゆるばら積み船を大量発注した。ところが、景気に急ブレーキがかかり、船がダブつく始末。 海運業者がそんな状態であれば、造船業者も大波を食らうのは必定。象徴的な出来事が、今年10月に三菱重工業・宮永俊一社長が記者会見で発表した、大型客船造りからの事実上の撤退宣言だ。 「今、日本で10万トン超大型客船を造れるのは、三菱重工だけ。その撤退は日本の造船技術に黄信号が灯ったということです。つまり経営最優先でいくと、日本のモノづくりの基礎をじっくりやる余裕もなくなっているということ。事は深刻ですよ」(同) 三菱重工に何が起きたのか。2000年代に入ると、低コストを武器に貨物造船分野において破竹の勢いで台頭した中国・韓国勢に勝ち目がないため、あえてその分野から撤退した。その代わりに仕掛けたのが、大型客船受注。利幅の大きい船で差別化を図ろうとしたのだ。 その結果、受注したのは世界的大型客船観光で実績を上げる、米カーニバル社の系列会社でドイツのアイーダ社発注の豪華客船『アイーダ・プリマ』(12万5000トン・3300人乗り・1500室)。さらに類似のものをもう一艘、計2船の総額1000億円という大型受注で、三菱重工は小躍りした。 一番船は'15年3月、二番船は今年3月に引き渡し予定だった。 「しかし、発注側の要求は極めて高度なものだったようで、何度も設計変更を迫られた。結果、納期が1年以上も遅れ、一番船を引き渡したのは今年3月。その間、今年1月には造船中だった一番船が3度も火災を起こすなど、トラブルが続出して大混乱となったのです」(造船関係者) そのような状態となった理由を、全国紙社会部記者が言う。 「昔は三菱重工内で専門の技術者を育て、建造してきた。その蓄積が、世界一の造船国をもたらしたのです。ところが最近は、重工でも造船分野は全体のわずか5%の売り上げで、大きなうま味がない。火力発電用タービン事業や、将来の収益の柱と期待される航空機事業などに集中したことから、造船では人も育たず、現場は世界中から集まった臨時スタッフばかりになって劣化してしまった。コストカットのしわ寄せは下請けにも及び、不満が鬱積している。3度の火災も、現場に不満を持つ者の放火と疑われたほどです」 造船業界は国内外ともに厳しく、乗り切るための再編が急ピッチで進む。三菱重工業は大型客船の造船中止などと併せ、来春をメドに国内中堅造船業者3社との提携に向け、具体的な協議を始めた。相手は、建造量で国内トップの今治造船(愛媛)、同3位大島造船所(長崎)、同4位の名村造船所(大阪)。いずれも、ばら積み船建造が得意で、ゆくゆくは統合という見方も濃厚だ。 他の造船会社も動く。川崎重工だ。同社は'16年4〜9月期連結決算で、7年ぶりに3億円の赤字。円高と船舶海洋事業の不採算案件が響いたのだとか。そのため、不振続きの船舶海洋事業の存続か廃止かを含めた抜本的検討を始めたという。 そうした中、ひとり気を吐くのが、JMU(ジャパンマリンユナイテッド)だ。石川島播磨重工、日立造船、IHI、住友重機械工業の流れを汲み、'13年1月にいち早く合併した造船専業メーカー。広島県呉など全国7カ所に造船所を展開し、年間建造量は国内2位だ。 「JMUでは、造船所ごとに建造船種を絞り込み、得意船種を建造する体制作りに取り組んでいる。例えば呉事業所は大型コンテナ船、有明事業所は大型タンカーなどといった具合です。そのためか、日本郵船から大型コンテナ船を15隻受注するなど'18年末まで次々と受注建造を活発化させている。さらに防衛省・海上自衛隊向けの艦艇建造部門でも、三菱重工が独占してきたイージス艦を受注するなど、まさに破竹の勢いです」(造船関係者) どの日の丸造船会社が生き残るのか。
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社会 2016年12月02日 18時00分
銀聯カード不正引き出し事件 暴力団、半グレ、マフィア… 国際的犯罪組織を追う!(2)
思い起こされるのは、5月15日早朝に17都府県のATMから200人以上の“出し子”を使って、18億6000万円が一気に引き出された、いわゆる『18億円事件』。南アフリカのスタンダード銀行の偽造クレジットカードが使われ、わずか3時間ほどの間に実行された取引は計1万4000回に上り、あっという間に巨額マネーが引き出された。使われたのは全国のセブンイレブンに設置してあるセブン銀行のATMだ。 「日本では外国のクレジットカードを使って引き出しが可能な銀行は、同行とゆうちょ銀行しかない。ゆうちょ銀の24時間使用できるATMは全2万7000台あるうちの約540台にすぎないが、セブン銀のATMは全国に約2万2000台もある。この利便性を突かれたのです。このときの犯人は、武器も持たず、決して人前に姿を見せないことから『21世紀型の銀行強盗』と呼ばれています」(前出・ジャーナリスト) しかし磁気カードはいくら偽造が簡単とはいえ、安価な機械で作るとバグを発生させる“不良品”が1、2割は出るという。 「バグが出たカードは、ATMに入れるとそのまま飲み込まれてしまう。普通は大量の“不良カード”が検知されれば、ATMを管理する銀行に情報が伝わってロックがかかり、現金が引き出せなくなる。だから『18億円事件』の指示役は、銀行の監視がおろそかになっている日曜日の早朝を狙った。逮捕された“出し子”が口にしたのは、ある半グレ集団の名だったそうだ」(反社会組織の一員) この事件では山口組系の組幹部とその組員が逮捕された。犯行の全容解明はこれからだ。 「国内のカードのIC化率はキャッシュカードで3割弱、クレジットカードでも約7割にとどまり、そのため日本のATMは、ICと、偽造が容易な磁気テープの両方使える利便性が優先されている。とはいえ、2020年の東京五輪・パラリンピックまでにクレジットカード決済端末のIC化を100%にすることを目標に掲げています」(前出・ITコンサルタント) つまりは『21世紀型の銀行強盗』にとって、同種の犯罪を実行するのはまさに「今でしょ!」ということ。再び近いうちに、同様の事件が起きる可能性は大だ。 ところで、今回の『銀聯カード事件』の犯人摘発に当たっている特捜隊とはどんな組織なのか−−。 「'11年に都営アパートの一室を“特別捜査本部”に改造し結成されています。結成のきっかけは、'10年11月に起きた歌舞伎俳優、市川海老蔵の殴打事件でした。当時、東京・六本木を拠点にしていた『関東連合』や中国残留孤児の2世、3世らがつくった『怒羅権(ドラゴン)』など暴走族OBらで連携する半グレ組織を把握するのが狙いでした。だが、そもそも特捜隊は、偽造カード犯罪の捜査に専従していた捜査員で結成されています。『18億円事件』で、複数の拠点に集められた現金は、その日のうちに地下銀行から某大国へ送金されていることからマフィアや日本国内の暴力団とパイプを持つ半グレ組織が実行しているはずで、主犯格のメンバーは、犯行直後に高飛びしています。『銀聯カード事件』との関連もプンプンにおいますね」(前出・ジャーナリスト) “出し子”をいくら逮捕しても、本当の黒幕にはたどり着けない。それが悩ましいところだ。 「両事件の“出し子”は、統率が取れた部隊として編成されていた。こんな芸当ができるグループは限られています。“出し子”をコントロールしていたのは金ではなく恐怖ですから、彼らは捕まってホッとしていますよ」(同)。 『21世紀型の銀行強盗』は国境を越えた場所に潜んでおり、逮捕に至るまでには多くの壁がある。まずはIC化を急ぐしかない。
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社会 2016年12月02日 14時00分
南海電鉄 「空港急行」好調でも外国人観光客のマナーに大ヒンシュク
2015年9月中間連結決算で増益を確保した、関西の大手私鉄・南海電鉄。要因は好調な南海空港線によるものと見られているが、問題もあるようだ。 南海空港線は、関西空港と大阪ミナミの中心・なんばを約50分で結ぶ関西空港へのメーンアクセスの一つ。中でも「空港急行」は、並行して走るJR線や、同じ南海電車でも特急料金のかかる特急「ラピート」に比べると安く、時間も大して変わらない。そんな点が海外の旅行ガイドに紹介され、関空を利用する中国人を中心とした外国人旅行客に人気なのだが、ここへ来て難題も浮上している。 「なんばや関空の空港急行発着ホームは、連日、大きな荷物を抱えた外国人で賑わっている。しかし、実は彼ら観光客の車内マナーの悪さが、一般の利用客の顰蹙を買っているのです」(観光ライター) 実態を知るべく、なんばから関空行きの空港急行に乗ってみた。時間は平日の夕方。ドアが開くや、車内はアッという間に大きな荷物を持った観光客とおぼしき外国人に占領される。 キャリーバッグを目の前に置くので通路が狭い。買い物袋を開け大声で会話をしながら中身を点検している女性や、食事を始める老人もいた。一方で一般の乗客は、その光景をチラチラ見ながら眉をひそめている。確かに、これでは苦情が出るのも無理はないか。 南海電鉄はこの事態を受け、マナーの徹底を呼びかけるポスターの掲示や、特急料金の値下げによる利用客の誘導など、対策に乗り出している。 「しかし、効果はイマイチ。南海は先頃、混雑する車内で外国人差別と取られかねないアナウンスを行い、世間の批判を浴びたばかり。それもあって、あまり積極的には出られないのかもしれません。例えば、中国の鉄道の車内事情もあんなもの。彼らにしてみれば悪意はないのでしょう」(旅行記者) 客同士の大きなトラブルを生まなければいいが。
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社会 2016年12月02日 10時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 トランプショックは日本独立のチャンス
安倍総理が米国大統領選で勝利したトランプ氏と11月10日に電話会談を行った。 選挙前には、絶対に会おうとしなかった安倍総理は、「たぐいまれなリーダーシップにより、米国がより一層偉大な国になることを確信している」と手のひらを返し、トランプ氏も「日米関係は卓越したパートナーシップであり、この特別な関係をさらに強化していきたい」と、優等生のような返礼をした。 経済界も、経団連の榊原会長が「豊富なビジネスの経験を持っている。現実的な政策が出ることを期待する」とし、サントリーホールディングスの新浪社長は「切っても切れない日米経済の現実を直視してほしい」と、トランプ氏が現実路線に転換することを期待したコメントを発表している。 しかし私は、「人間の性格は、そう簡単には治らない」と考えている。特に70歳を迎えたトランプ氏に柔軟性を求めることは、無理がある。トランプ大統領は米国製造業の復権という信念を貫くだろう。 その意味で、日本経済にとって最も危険なのは、トランプ氏が中国と日本を為替管理国と非難してきたことだろう。 これまで、日本が金融緩和を行うためには、水面下で米国の許可を取らなければならなかった。日本が金融緩和をすれば、円安・ドル高に向かうから、トランプ大統領は、今後、日銀の追加の金融緩和を認めないだろう。そうなったら、じわじわと円高が進み、日本の製造業が大きな打撃を受ける。 安倍政権は、TPPへの参加や集団的自衛権行使、辺野古での新しい米軍基地建設など、さまざまな米国への貢物を積み重ねて、それと引き換えに米国に金融緩和を認めてもらった。それがアベノミクスの本質だ。それができなくなるということは、アベノミクスが一巻のおしまいになるということだ。 それを防ぐ方法は、基本的に二つだ。米国に更なる大きな貢物を出して、金融緩和を認めてもらうこと。もう一つは、米国の傘下を離れて、独立国として行動するということだ。 私は後者が望ましいと思っている。イギリスがEUから離脱したのと同じように、日本も米国の属国から離脱するのだ。そうすれば、日本は自由に金融政策を決めることができる。 そんなことをしたら、日本は米国の軍事力で守ってもらえなくなると、政府や財界は考えている。しかし、フィリピンのドゥテルテ大統領は、米国支配からの決別を宣言したが、2014年に結ばれた米軍のフィリピン軍基地への駐留を事実上可能にする「米比防衛協力強化協定」を、米国が破棄しようとする気配はみられない。日本に駐留する米軍は、日本を守るために存在するのではなく、アジアや中東地域に米軍が侵攻するための前線基地なのだから、米軍撤退の可能性は小さいだろう。 万が一米軍が撤退したら、日本は自主防衛をすればよい。 フィリピンは、アジア最弱の軍隊と言われながら、日本のわずか20分の1の防衛費で、自国の安全を守っているのだ。 外交交渉の手段の一つとして、とりあえず米軍の撤退を容認することが、外交交渉の第一歩になるのではないか。
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