「そのきっかけは、都議会自民党が、小池百合子都知事に対し本格的に牙を剥いたこと。さらに、都知事選で小池氏を支援した7人の区議を自民党が除名処分したことです」
とは、小池氏周辺関係者。
これらに対し小池氏は、主宰する政治塾「希望の塾」をベースに、かねてから温めていた“小池新党”を結成し、来年夏の都議選で自民党と徹底対決する腹を固めたと言われる。
「その都議選で小池氏は、都議会のドン、内田茂氏の選挙区である千代田区に、塾生であるエドを刺客として送り出そうと乗り気になっている。日本維新の会も小池新党との連携を睨み、候補者選定のための東京維新塾を開くという。自民党本部、安倍官邸の思惑も含め、来夏へ向けてにわかに慌ただしくなってきた」(同)
そもそも、このタイミングで都議会自民党が小池叩きを鮮明に打ち出したのには理由がある。自民党関係者がこう言う。
「自民都議は、小池都知事誕生から3カ月、小池氏の顔を立てて穏便にやってきた。それなのに調子に乗って、我々と都民を結ぶパイプである200億円をカットするという。これで堪忍袋の緒が切れたんですよ」
200億円とは「政党復活予算」。商店街や地域団体から陳情があれば、地元議員を通じて予算化する仕組みだ。
「地元議員にとっては票につながる打ち出の小槌。それを小池氏はバッサリ切ると通告したのだから、都議会は大荒れ必至と囁かれていたのです」(野党都議会議員)
案の定、12月7日に開かれた本会議で、事前通告が慣例とされる代表質問で自民都議は、非通告の質問を小池氏に浴びせ、立ち往生する小池氏に罵声が飛び交った。
「豊洲新市場の盛り土問題も18人の減給処分で曖昧。華々しくぶち上げた東京五輪会場移転問題も、森喜朗五輪組織委員会会長やIOCのバッハ会長らの抵抗もあって元の木阿弥状態。そこへ来ての政党復活予算カットだったため、反小池側としては攻め時だったのです」(都政担当記者)
しかし、小池氏サイドの関係者はこう言う。
「これまでの豊洲、五輪問題は前哨戦。12月から1月の予算編成時が本当の激突ということは予測していました。当然、政党復活予算の件で自民都議らが噛みついてくることも織り込み済み。ケンカはこちらから仕掛けたようなものですからね」
さらに水面下で激しい攻防があったのは、“7人の侍”問題。都知事選で自民党の意向に反し、小池氏支持に回った7人の区議らの取り扱いだ。
「自民党サイドは、この7人を分断して小池氏のパワーを裂こうとした。一緒にしておくと小池新党の核になりますからね。いろいろと手を回し一本釣りも画策したようですが、結果としては失敗に終わり、頭にきて全員除名にしたわけです」(前出・記者)
小池氏周辺に言わせれば、全員自民党に復党できるのであれば、対自民党の姿勢をある程度緩めることも考えたという。
「しかし、向こうがやってきた策は、ある人物は復党させない、こっちは復党させるという姑息な手段。であれば7人は一致団結して小池新党へまっしぐらとなった」(小池氏周辺関係者)
いよいよ小池新党を立ち上げるとなれば、その数とメンバー、かねてから言われる日本維新の会との連携はどうなるのか。全国紙政治部記者はこう明かす。
「小池氏は来夏の都議選に向け、2900人の塾生から本人の意思や政治家適正テスト等を経て、最終的には最低でも50人擁立、30人前後の当選を目指したいという思惑で動き出している。内田氏が牛耳る自民党を退け、小池与党を過半数にするということです。そして、その目玉と見られているのが、知名度の高いエド・はるみ。彼女を内田氏の千代田区にぶつけるつもりで、小池氏が説得に乗り出すようなのです」