社会
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社会 2009年03月10日 15時00分
女性刺客に苦戦必至の自民大物議員
西松建設の巨額献金事件で、民主党の小沢一郎代表の公設秘書が逮捕された。これで逆風続きだった自民党が反転攻勢。永田町では次期総選挙の時期を巡り、与野党がうごめきだした。支持率低迷で解散を先送りしてきた麻生内閣が、一転して早期解散に踏み切る可能性が出てきたからだ。となれば、刺客を放たれた大物議員の注目選挙区が気になるところ。さあ、どうなるセンセイ方!? 小沢氏の秘書逮捕で、自民党の一部からは「支持率低迷に悩む麻生内閣にとって、このタイミングを逃したらチャンスはない。早めに解散すべきだ」と衆議院の解散・総選挙を求める声が聞かれ始めた。 もっとも逆風が吹いているのは民主党ばかりではない。西松建設から献金、パーティー券購入をしてもらった自民党の大物議員もいるからだ。 石川2区の森喜朗元首相(71)もその1人だ。西松建設のОBを代表とした政治団体から2004年から6年の間に献金とパーティー券購入で計400万円が提供されていた。森氏側は西松側に返金を検討しているが、選挙となればマイナス材料になりかねない。 永田町のキングメーカーを気取る森氏に、民主党が放った刺客が田中美絵子氏(33)だ。 「河村たかし議員の元秘書で、すごい美人。派遣社員として苦労した経験もあって“庶民派”が売り。知名度はゼロだったが、徐々に顔が売れだした。世代交代を訴えて無党派層の票を取り込めば好勝負になるところまできている。小沢代表の後押しが強かっただけに献金事件がマイナスに働くと思われたが、森元首相も献金を受けていたことで、かえってプラスになりそう」(地元記者) 磐石と思われた元首相を、どうやら脅かす存在になってきたようだ。07年参院選で鞍替え当選した一川保夫参院議員の地盤を受け継いだ田中氏は、選挙区を精力的にローラー作戦。一川氏は直近2回の選挙で8万数千票を集めており、候補者擁立を見送った共産党や無党派層の票を取り込めば好勝負必至の戦いに持ち込んでいる。 さすがの元首相も危機感を感じたのか、これまで以上のお国入り。小集会にも足を運んでいるという。 民主党楽勝ムードが一変した巨額献金事件。それでも苦戦を強いられそうな大物議員は、献金事件に名前が挙がるセンセイばかりではない。 「自民も民主もダメとなれば、政治不信がさらに広がる。こうなるとベテラン議員より、清潔なイメージが強い女性候補に無党派層の票が流れる可能性がある」(政界ウオッチャー) 愛媛1区の塩崎恭久・元官房長官(58)も、民主党候補の永江孝子氏(48)に猛追されている。永江氏は元南海放送のアナウンサー。報道、情報番組のキャスターとして活躍し、知名度は抜群だ。2児の母で、親しみやすいキャラクターの持ち主でもある。 「永江氏は愛媛では知らない人がいないほど有名な女子アナだった。辻立ち1000回を目指して、街頭演説を繰り返しています。新鮮味も勢いもある。塩崎氏は麻生首相批判で人気を盛り返していますが、永江氏のリードはまだ変わらない。塩崎氏は巻き返しに必死です」(地元紙記者) 10期目の当選を狙う長崎2区の久間章生・元防衛相(68)も、かつてない逆風にあえいでいる。一昨年の「原爆しょうがない」発言がマイナスに働いているからだ。 こちらの刺客も“民主女子”の福田衣里子氏(28)。薬害C型肝炎訴訟の九州原告代表だ。 「薬害問題に取り組んできただけに、官僚批判や命の大切さを訴える演説に説得力がある。涙を流す中年女性もいるほどです。麻生首相の解散先送りのおかげで、低かった知名度がかなり上がってきた。久間氏も危機感があるのか、週末は必ずといっていいほど地元入りしている」(政界ウオッチャー) 巨額献金事件でにわかに吹き出した早期解散ムード。大物議員の危機情報も飛び交い始めた注目選挙区では、与野党ともに水面下で激しい選挙戦が、すでにスタートしている。
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社会 2009年03月10日 15時00分
FX 投資スタイルと通貨の賢い選び方
24時間、取引できることが魅力のFX。世界のどこかで市場が開いているからだ。投資スタイルは、超短期間から長期まであり、性格やライフスタイルに合わせて選択できる。さて、あなたは、どれを選ぶ? FXは、最初に投資スタイルを決めておくことをお勧めする。 FXに詳しい経済ジャーナリスト・菅野進氏は 「初心者にありがちなのが眠れなくなることです。FX市場は24時間開いているので、帰宅後にパソコンを開きFXを始め、のめりこむ人、不安に駆られる人など、多くの人が徹夜を経験しています」と警告する。 FXの投資スタイルには、大きく分けて4つある。(1)スキャルピング、(2)デイトレード、(3)スイングトレード、(4)スワップトレードだ。 (1)スキャルピングは、秒単位で売買を行うこと。大きな額の取引で、わずかな変動から利益を狙う。集中力と良質なパソコン環境が必要とされる。注文の入力時間とデータが届くまでの間にも、市場が50銭も変わってしまうこともあるからだ。 (2)デイトレードは、1日の間で取引を終えるやり方で、もっともポピュラーといえる。仕事を持つ人でも、帰宅後の夜10時にニューヨーク市場が開き、市場の動きが活発になる時間帯に取引できるからだ。 (3)スイングトレードは、数日から数週間の間に取引を完了するスタイル。2、3日に1回パソコンを開ければよいが、ストップロスを的確に入れておかないと大きな損益を生みかねない。 (4)スワップトレードは、数カ月から1年をかけた取引。世界の政治や経済の状況を把握して投資をするもので、スイングトレードと同様にストップロスは欠かせない。 これら4つのスタイルの中から自分にあったものを選ぶ方法もあるが、その時々の状況に合わせて意識的に投資スタイルを変えて取引をすることも重要だ。 次に取引する通貨のペアを選択する。通貨には、それぞれの国の経済事情を反映した特徴がある。たとえば、円は円安に動くときにゆっくりで、円高は一気に進みやすい。また、経済と密接な関係があることから、2国間の通貨が連動する米ドルとカナダドルとか、地下資源大国のオーストラリアドルや南アフリカ・ランドは金価格に影響されやすい。 また、2国間の通貨ペアの組み合わせによって、似た動きや反対の動きをする傾向のものがある。スイスフランと米ドルのペアと、米ドルと円のペアは非常に似た動きをするが、ユーロと米ドルのペアと米ドルと円のペアはまったく逆に動く傾向にある(表を参照)。 FXに詳しい経済ジャーナリスト菅野進氏は、「初心者には、やはり身近な米ドル・円のペアから始めることをお勧めします。なんといっても、日ごろから政治・経済ニュースの情報量が違います。反対に英国ポンドと絡んだペアは初心者に不向きです。ポンドは高レートな上に、値動きが激しく、あっという間にゲームオーバーになりかねません」と語る。 各国の経済状況や政策金利の動き、通貨の特性を理解したうえで、さらに通貨ペアの動きの特徴を把握したうえで取引通貨のペアを決めることが肝要だ。前述の菅野氏は「自分で取引のルールを決めて、それに従うのがコツ。ずるずると徹夜していては体が持ちません」と断言する。
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社会 2009年03月10日 15時00分
中国語系フリーペーパーに広告多数 風俗店売買の落とし穴
この不況下、正社員といえども安穏としてはいられない。いっそ脱サラして不況に強い商売でも始めてみようか…。そう独立起業を夢見る人も少なくないが、実はそこに深い落とし穴が待ち構えている。昔から不況に強い業種といわれてきた風俗店を売買する広告が、中国語系フリーペーパーに多数掲載されているという。果たして、甘い宣伝文句は本当なのか? 「派遣切り」「ネットカフェ難民」「住居喪失」…。年初から暗い話題が途絶えぬ中、東京都新宿区新大久保地区など中国人街で無償配布される在日中国人向け新聞には、楽して儲かりそうな一見“おいしい商売”の広告が散見される。なんと繁盛している風俗店を譲るというのだ。 広告の内容を要約すると概ね次のようになる。 「駅近くの風俗店を売りたし。シャワー有り。常連客多数。警察に事故記録なし。オーナーの事情により、やむなく譲る」といった感じ。 中国語で「轉譲(てんじょう)」と記したこのテの広告は営業権などの権利譲渡を意味する。店を手放す理由はさまざまだが、「オーナーが病気になったため」「オーナー帰国のため」あるいは「経営している店が増えすぎて、管理しきれなくなったため」といったものが多い。いずれも、店は儲かっているのだがやむを得ず経営から手を引く理由としては一応筋は通っている。 気になる売買価格は、安いもので150万円前後(約60万円の保証金を含む)。都内ターミナル駅そばにあるような店になると、400万〜500万円もの値を付けるものも。決して安い買い物ではない。もちろん、この値段は賃貸物件を譲渡する価格で、中で働く「女性」は含まれない。 そんな広告の一つに接触してみた。電話口に出たのは日本語を流暢に話す中国人女性。「フリーペーパーに出ていた広告を見たが…」と切り出すと、意外な答えが返ってきた。 女性の話を総合すると、経営者は日本人で、店で働く風俗嬢は中国人女性ばかり。日本人からの問い合わせは珍しいという。店は風俗営業の許可を取っており、警察のガサ入れを受けたこともなく、お得な投資だと強調する。 ところが、「まず店を見てから検討したい」と申し出た途端、急に口が重くなった。「詳しい話は社長としてほしい」と警戒され、住所はおろか店の名前すら決して明かそうとしない。 そういえば、フリーペーパーに出ていた広告も、連絡先はすべて携帯電話番号で、店名や住所を明記したものは皆無であった。不動産広告ではあり得ない話だが、最寄り駅名すら書かれていない広告さえ決して珍しくないのだ。 「こういう広告は、馬鹿正直に信じ込まない方がいいですよ」 ため息混じりにこう語るのは、不動産業界の裏事情に詳しい法律ライターだ。 「まず、現行の風営適正化法は名義貸し営業を禁止していますから、お店を買ってその日から即営業可能ということはあり得ません。中国エステ系の店はたいてい個人許可となっていますから営業するためには新規で風俗営業の許可(もしくは届出)の取り直しとなります」 さらにもっと恐ろしいトラブルが起こる可能性も大きいという。 「風俗店を仲介する場合、建物のオーナーは別にいます。造作物(店舗内設備や什器のこと)売買の形をとって、実質的にはそこで営業する権利を取引するのです。しかし、物件はオーナーと直接賃貸借契約を結ぶのではなく、借主からの転貸(又貸し)が結構多い。そのため、いきなりオーナーから『転貸は契約違反だから出ていってくれ』と言われたり、転貸人が家賃を持ち逃げして、家賃の二重払いを強いられることもあります」(前出の法律ライター) そもそも摘発を受けて、経営者の逮捕秒読みの段階になってから逃走資金稼ぎに売られることすらあるという風俗店。事情を知らない素人は手を出さない方が無難な世界のようだ。○風俗店専門不動産業者の実態 幹部社員・田中二朗氏(仮名34歳)真相激白 風俗店とはいえ賃貸店舗には違いありませんから、これを仲介するには宅建業の免許が必要になります。当社ですか? もちろん、都知事から宅建業免許をいただいていますよ。 ただ、不動産の業界団体では、数年前に千代田区内で違法中国エステが相当問題になったことがあり、「風俗店の仲介はしないように」というお達しが出ているんです。だから、当社も表の看板にはとても「風俗店物件多数あります!」とは書けません。営業担当社員個人の携帯電話番号でターミナル駅周辺の電柱にこっそり貼り紙広告を出してお客さんを集めていました。クレームや行政庁の指導ではないことを確認した上で、初めて店の場所を案内するというわけです。 ただ、風俗店の物件広告には独特の読み方があり、それを知らないと痛い目に遭います。例えば、「風俗何業可」とあるのは、そこではどんな業種でも営業許認可が取れますよということではなく、単に大家さんが何をやろうと文句を言わないという趣旨。なお、当社では風俗専門の行政書士の先生や必ず検査を通す風俗店専門内装業者も紹介でき、“総合風俗業コンサルタント”としてご利用いただいています(笑)。
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社会 2009年03月10日 15時00分
金融豆知識 ファンドの仕組み(3) 株式インデックスが最も効率的
もっとも効率的なポートフォリオは、すべての株式市場に存在する株式を、時価総額に応じて保有するというもの。つまり、株式インデックスへの投資が一番、効率がよいというもの。アメリカの有力な投資家ジョージ・ソロスなど、この理論で驚異的な収益実績を上げた多くのファンドマネージャーが存在する。 市場効率論の支持者は「10回続けてジャンケンに勝つことはある。しかし、確率はすべて平均に帰着するので、その次は負ける確率が高い」と主張する。実績論との論争はまだ決着がついていない。
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社会 2009年03月10日 15時00分
経済偉人伝 早川徳次(シャープ創業者)(7)
出野家の養子となった徳次が育った深川は、堀割の至るところに木材の浮かぶ木場(貯木場のこと)の町だった。 徳川家康による江戸築城の際、関東地方や東海道方面から木材が江戸に集められた。また江戸は大火が多く、その都度、木材を必要とした。そのため、江戸各所に材木置場ができたが、明暦の大火(1657年)で江戸中心部が焼き尽くされ、隅田川対岸の深川に材木置場がすべて移転してきた。 見事な丸太が水面を埋めて、ずっと続く。徳次ら子供たちは、丸太の上を遊び場にして木から木へ渡り歩いた。揺れる丸太から丸太へ跳び移るスリルは、少年には大きな魅力だった。まだ泳ぐこともできない子供が、丸太から足を滑らせて深い堀割に落ちたらどうなるか。そんな危険など子供たちは考えてもみない。 浮いている丸太は、跳び移る拍子にグラッと揺れて少し群れを離れる。すると群れを離れた丸太と残った群れの間に、堀割の水が見える。水は青く澄んでいた。 ある日、徳次は一人でこの丸太渡りに熱中していた。突然、「徳!」と熊八の鋭い声がした。声のほうに目をやると、熊八が緊張した目で徳次をじっと見ている。 徳次は、この遊びは危ないから止(よ)せと熊八から何度も言われていた。だからこの時、徳次は熊八が少し恐かったが「お父っあん」と言って岸に跳び上がった。すると、熊八はいきなり徳次を逞(たくま)しい腕の中につかまえた。 「徳、おめエ、あれだけ丸太の上で遊ぶなと言っているのがわからねえか…」と言うと、傍(そば)の車にあった荷綱をとって徳次の体をぐるぐると縛り上げた。そして、いったい自分に何が起こったのかわからずに、驚きと怖れで呆然としている徳次を、「行きな!」と否応なく川端まで連れて行った。 徳次は、あっと言う間もなく、堀割に突き落とされた。浅瀬だったが、縛られて自由がきかないので、水中で両足を動かすのがやっとだった。
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社会 2009年03月10日 15時00分
永田町血風録 民主党スキャンダルで社民党真っ青
準ゼネコンの西松建設から違法な献金を受けたとして、民主党の小沢一郎代表の第一秘書だった大久保隆規容疑者が3日、東京地検特捜部に逮捕された。それまでは衆院解散・総選挙を声高にシュプレヒコールしていた民主党の鳩山由紀夫幹事長、国山岡賢国対委員長次らは大久保容疑者の逮捕を「自民党が仕組んだ陰謀」と発言した。 この“事件”で、せっかく解散・総選挙ムードだったのが、すっかり頓挫。自民党には、「麻生不信」が国民に根強いとの懸念がある。これを利して、来たる総選挙を有利に運びたかった民主党だったが、小沢の秘書の逮捕で「民主党はホップ・ステップ、肉離れ」(民主党関係者)になってしまった。 小沢は自民党を飛び出してから、これまでにいくつ政党、政策集団を作ったことか。これらはすべてホップ・ステップ、肉離れだった。 「今度の西松建設の件でも、同じパターンになるんじゃないかな」と小沢をよく知る政界関係者は、小沢の“肉離れ”を危惧する。 あれほど「国会を解散して、国民に信を問え」と民主党と事実上、“会派”を組んでいた社民党や国民新党などがどう動くか、注目されている。 「社民党は小沢頼りですからね。小沢の民主党の勢いに便乗して議員増を考えていた。ところが、今回の予期しない“スキャンダル”に党首の福島瑞穂は真っ青になっているし、国民新党の亀井久興幹事長は『共倒れになるのはごめん』と一線を画し始めているほどだ」 小沢の不祥事から国会内外が急に騒々しくなったわけだ。 自民党も民主党も、総選挙の議席を勘定をし始めていたが、民主党内には「この騒ぎが静まるまで、首相(麻生太郎)は解散しないでほしい」と、少し前の強気の発言はどこえやら。すっかり萎えてしまっている。 それどころか、小沢と一線を画す民主党議員の間からは、代表を辞めてもらわないことには選挙に勝てないという声が公然と出始めている。選挙区に帰ってみると、民主党への体感温度が極端に変わってきているからだ。 「押せ押せの一点張りだった民主党は守りに入った。これでは選挙で圧勝どころか…」と、ある民主党関係者は言葉を濁すほど。 自民党の細田博之幹事長は「これまでは(民主党の)言うことを黙って聞くしかなかった。じっと我慢の子だったけど、小沢の一件で押せ押せムードに反転した。この機を逃すと選挙に勝てない」と“敵失”に乗じようとしている。 選挙に勝ったほうが天下を取る。細田が「敵失を利用してはいけない」と言っていたが、千載一遇のチャンスに前言を翻したことになる。 ねじれ国会で、予算や法案が何ひとつスムーズに通らないことに、細田は常にイライラし通しだった。 「小沢の問題で民主党が今までのような強硬な抵抗はできなくなる。国会が円滑に運営できるようになってから、堂々と選挙しよう」と細田はかなり強気な発言をし始めた。 ホップ・ステップ、肉離れの民主党が立ち直るまで、まだかなりの時間が必要だろう。麻生はいつ衆院解散・総選挙に動くのか。ここ2、3週間で決断を出す可能性は高い。(文中敬称略)
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社会 2009年03月09日 15時00分
オバマ大統領“麻生化”の兆し
バラク・オバマ米大統領(47)に“麻生化”の兆しが出てきた。先週のニューヨーク株式市場の大暴落から景気の先行き不透明感は一層強まり、その強いリーダーシップと政治手腕が期待されている。それなのにオバマ氏は株価を「支持率調査のようなもの」とバッサリ。目先の株価に一喜一憂しない“無視作戦”をとった。これでは、都合の悪い数字から目をそむけるどこかの国の首相と同じではないか。 オバマ氏はさきごろ「株価収益率は、長期的にみれば株が良い買い物となりうる水準に近づきつつある」と異例の“買い推奨”をブチ上げた。 さらに株価好転の気配がないことにイラ立ち、「株式市場は日々浮き沈みする支持率調査のようなもの。すべての時間を市況への不安に費やしていたら戦略を誤る」とやった。政権支持率の急落&続落を直視できない麻生首相にそっくりではないか。 麻生氏は内閣支持率の低下について、記者団にたずねられると決まって「世論調査は良かろうと悪かろうと真摯に受け止めるべきものだと思っています」のフレーズで逃げる。支持率が落ちたからといって政策をどうこうしない、という妙なプライドがあるのだろう。新聞は読まないとも公言しており、ネガティブな話題は徹底的に遠ざける。 これでは国民の声がその耳に届くはずもない。そんな麻生首相に日本国民が抱く心情と同様、株価に一喜一憂しないオバマ氏の姿勢にNY市場が絶望感を持ちつつある。 そこへきて米国雇用統計(6日発表)の悪化が重なり、もはや手詰まり感さえ漂い始めた。同統計によると、2月の失業率は8.1%と約25年ぶりの高水準。貧困層の生活がさらに苦しくなることも予想される。ところがオバマ氏は「失業の悪循環」を断ち切るため、大型景気対策を大胆に実行するよう訴えるばかり。ミシェル夫人がホームレスの人々に手作りの食事を給仕している非営利団体を訪問し、自ら調理場に立って昼食を給仕するパフォーマンスもあったが、どこまで共感を得られるかは疑問である。 そもそもNY株の暴落は、オバマ氏が打ち出した超大型景気政策に対して、市場が「NO」を突き付けたものだ。しかし、本人がその反応を気にしないと言ってしまえばそこまで。そんなリーダーシップに市場が安心できるはずもなく、いつまでたっても景気回復の出口は見えてこない。 米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の巨額赤字で再び燃え上がった金融不安の炎は、いまも消える気配がない。米政府はAIG救済のためすでに1630億?(約16兆円)をブチ込んでおり、追加支援も匂わせる。しかし、対処療法的なやり方には懐疑的な見方が広がっている。 米国では新政権誕生から100日間は「蜜月期間」と呼ばれ、普段手厳しいメディアも政権批判を控える暗黙の了解がある。まずはお手並み拝見ということらしいが、米ウォールストリート・ジャーナル紙は早くも「オバマの過激主義がダウを殺している」との見出しで批判的意見を掲載。蜜月期間は事実上、約3分の1で打ち切りとなった。 それでもオバマ氏はパフォーマンス先行だ。4月20日の英ロンドンサミット(G20)開幕前日には、バッキンガム宮殿でエリザベス女王と会談することが決まった。公式訪問でない米大統領と英女王が面会するのは異例のことだが、これもまた市場の信頼回復につながるはずもない。 そんな調子だから、東京をはじめ世界中の市場が大迷惑を被っている。東証株価指数(TOPIX)はバブル後最安値を記録。それでもオバマ氏は長期的視野で米国と世界経済の再生を目指す考えを繰り返している。 就任演説で200万人の聴衆を前に「試練は本物だ。しかし米国は克服する」と宣言したまでは威勢がよかったが、どうも雲行きが怪しくなってきた。
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社会 2009年03月09日 15時00分
競争激化!こう選べ!FX業者
小額の資金からスタートでき、株でいえば損切りの安全策もあるFX。株からこちらにシフトする投資家も多い。実際にFXを始めるためには、FX業者を決めなければならない。その選び方のいくつかのポイントを上げてみると。 まずFX会社を選ばなくてはならない。現在130社を超えるFX会社がさまざまなサービスを競っている。昨年以降、株価の下落や為替相場の乱高下などを背景に、株取引経験者を中心にFXの人気が上昇。インターネット専業証券会社がFX分野のサービスを拡充しているため、競争はさらに激しくなっている。 FX会社を選ぶポイントには、(1)FX会社の安全性、(2)資産の保全、(3)手数料の値段、(4)システムの利便性と安全性、(5)2WAYプライスを表示しているか、(6)24時間取引とサポート対応、などがあげられる。 (1)FX会社の安全性は、かっては一部の悪質な業者が顧客の資産を持ち逃げし、詐欺問題が起こったこともあった。2005年の法改正により先物取引業者の登録が義務づけられたため、悪質な業者はほぼ排除された。しかし、せっかくFXで資産を作っても、その会社が破綻(はたん)すると回収不能になる可能性もある。資本金や資本系列など、会社の概要をチェックすることは重要だ。 (2)資産の保全は、(1)を念頭に資産の信託保全システムを導入している業者も増えている。この仕組みは、顧客から預かった資産(証拠金など)を業者の資産と区別するため、安全性の高い銀行の預託口座で管理保全するもの。会社が破綻しても、預託資産は保全される。 (3)手数料の値段は、手数料とスプレッドは、業者によって異なる。手数料+スプレッド=トータルコストと考え、安い業者がベストだ。 (4)システムの利便性と安全性は、業者ごとにシステムに違いがあるので、使いやすさや速さに、チャートや指標、投資アドバイスの充実しているかなど、わかりやすいものを選ぶということだ。 (5)2WAYプライスを表示しているか。2WAYプライスとは、買値と売値のことで、同時に表示していない業者は利益を上乗せしている可能性があるので要注意だ。 (6)24時間取引とサポート体制。FXは、日本時間で朝4時に開くウエリントン(ニュージーランド)市場に始まり、翌朝7時に閉まるニューヨーク市場まで24時間、世界のどこかの市場が開いているため、24時間取引が可能だ。したがって、24時間電話サポートを受けられる業者がいい。 以上の情報は、金融庁のホームページやFX業者の比較サイトで確認できる。業者によってはデモ画面があるので、実際に売買注文をシミュレートしてみるのも重要だ。 ロスカットして、証拠金の範囲の中で自動的に反対注文をする仕組みの確認をすることも忘れてはならない。FXは“売ったら買い”“買ったら売る“の1対の注文を終了させて決済になる。 FXに詳しい経済ジャーナリスト菅野進氏は、「FXの入門者にとって重要なのはまず業者選び。自分の目で確かめたり、先輩たちの意見を参考にして、慎重に選んでいただきたい」と強調する。 FX業者のサービスには各社各様の違いがある。いまは、業者はFX参加者を奪い合う、過当競争の状態。だから、じっくり探せば良心的なところを選べるはずだ。24時間市場開設リスト(時間は日本時間)ウエリントン(ニュージーランド) 4時〜12時シドニー(オーストラリア) 7時〜16時東京 9時〜17時シンガポール 10時〜19時バーレーン 14時〜23時フランクフルト 15時〜1時ロンドン 17時〜3時ニューヨーク 22時〜7時
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社会 2009年03月09日 15時00分
金融豆知識 ファンドの仕組み(2) 株価の変動は誰にも平等
過去に作り出された投資戦略の方法は数多い。しかし、どれも絶対的ではない。新しい戦略が作り出されるのも、そうした理由による。 株式市場について、何度も繰り返される論争がある。市場の効率性の問題がそれ。株価の値動きはランダムで、予想できない。株価の変動は確率的にしか捕らえられなく市場参加者は、有利な立場を誰も手にすることができないというものだ。
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社会 2009年03月09日 15時00分
経済偉人伝 早川徳次(シャープ創業者)(6)
市左衛門は、恩のある大和屋で政吉たちと一緒に番頭を務めていたことがあったが、やがてアメリカに渡り、弟の豊と日本からの品物をアメリカで販売する事業を起こす。ミシンを初めて日本に営業用として輸入したのが市左衛門。アメリカからミシンを5台購入し、外人の技術者を伴って帰国すると、銀座4丁目に森村洋服裁縫店を開業した。 花子はミシン裁縫の技術を市左衛門から伝授された。器用な花子はすぐに技術を習得し、自分の家に市左衛門の輸入したミシンを備えて縫製業を始めてみた。同業者がまだ少なかったため、郵便の逓送用行嚢(こうのう=郵便物を入れて輸送する袋)など、注文が次々にあった。商売は大繁盛し、やがて、ちゃぶ台の製造よりもミシン縫製が主な家業になっていった。 花子は縫い子を十数人も雇い、下請けも十数軒使った。1カ月に数百円もの収入になる事業を、花子はほとんど一人で取り仕切ったという。 教員の初任給がおよそ5円、白米10キロが50銭くらいだった明治20年頃、個人業で数百円は莫大な金額だ。とうとう一閑張り(いっかんばり、ちゃぶ台の一種)は止めになったという。 徳次の生まれた翌年の明治27年、日清戦争が勃発した。陸軍省から出征兵士のための軍用シャツ縫製の注文が入る。昼夜を通して仕事をしても間に合わず、寝る時間もないような日々が続いた。しかし、当時は軍の注文を断るなど、考えられないことだった。 早川家が徳次を養子に出したのは元々、体の丈夫ではなかった花子が、過労が祟(たた)ってか胸を病み、幼い徳次の世話ができなくなったためだった。 徳次には7歳年長の姉・登鯉子、4歳年長の兄・政治がいる。政吉も花子も再婚だったので、さらに母親の異なる兄の彦太郎、姉の静子もいるが、再婚する前に彦太郎は早川を出て他家を継ぎ、静子はすでに嫁いでいた。(経済ジャーナリスト・清水石比古)