社会
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社会 2008年12月06日 15時00分
石原都知事 ホンダF1撤退報道に無関心
三宅島バイクイベントの“ホンダ妨害疑惑”をぶち上げていた石原慎太郎都知事(76)は5日の定例会見で、同社が業績不振などからF1撤退を決めたことに「知らないよ。F1なんて興味ないもん。フンッ」とそっけなかった。あくまでガチンコ対決か、それとも手打ちか。バトルの行方が注目される。 石原知事VSホンダの戦いは、災害復興を目的として10月17〜19日に2回目のバイクイベントを開催した三宅島で知事が宣戦布告。ホンダが広告出稿をだしにバイク関連雑誌に取材しないよう圧力をかけたなどとして「命張っても戦う」と誓った。同月24日の都庁定例会見でも「やっぱりホンダのおごり」などと述べ、同社の福井威夫社長に直接抗議するため本社に乗り込む姿勢をみせていた。 ところが知事はこの日、記者団の質問に対し、あれほど罵倒(ばとう)していたホンダへの恨みつらみに一切触れようとしなかった。 「白人社会、特にヨーロッパは東洋人が得意なものはルールを変えて(活躍を)抑制しようとする。F1も、ホンダかどっかのエンジンがすごく優秀でアレだっていうと、それを抑制するみたいなルールをくっつけたりしてね。決してフェアとは言えない妨害があるみたいですな。ホンダがやめた理由は分かりませんよ。しかし、そんなことにうんざりしてやめたんだったら、それはそれでホンダの判断でしょう」 東京都知事にあえてホンダF1撤退について聞くのは、背景に三宅島バイクイベントをめぐる遺恨対決があるからにほかならない。しかし、知事はまるで傍観者のように話すだけだった。 そこで、ホンダの福井社長に抗議に行く段取りについて進ちょく状況を確認すると「わけのわからない返事が来たね。言い訳とも何ともつかないみたいな。秘書から聞きましたが、忘れちゃったね」と知事。都側の抗議事実を認める内容といえるかどうかは判別できない返事という。 「公道レースに対する考え方に違いがあったようだとか、違いがあったら教えてくれたらいいんだよね。何も公道レースをやってるわけじゃないんだから。ホンダの意向に沿わないヤツ(メディア)には広告料を出さないなんてこと、まあ社長は言わないよ。それほどバカじゃないだろうから。下っ端の役員か部長かそこらが言ったんだろう。部長なんてヘンに権限を持ってるからね」 具体的に、福井社長との会談予定は立っていないことも分かった。知事は「申し込んでいるけど、向こうは忙しいっていうから。F1で忙しいんじゃないの?」と皮肉交じりに明かした。 三宅島バイクイベントをめぐっては第1回開催前、テスト走行したプロライダーが安全性の観点から「公道レースは無理」とダメ出し。それにもかかわらず、公道レース実現にこだわる知事の姿勢に国産4大バイクメーカーが反発し、イベントへの協力を一切拒んできた経緯がある。今年のイベントには第1回の昨年より参加メディアが少なく、知事は証拠がないとしながらも“ホンダの圧力”だとして、徹底抗戦する構えをみせていた。ホンダは取材妨害疑惑について否定している。
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社会 2008年12月05日 15時00分
「ドラッグウォーズ -薬物汚染の闇を追う-」(7) 中国で日本人の覚せい剤運び屋に死刑判決
北京オリンピック開催期間中、中国へ飛んでブツの荷卸しを急ぐよう働きかけた日本の暴力団関係者がいたことを当連載で紹介した。北朝鮮の覚せい剤が万景峰(マンギョンボン)号で来ない以上、そうでもしないと資金源の覚せい剤は国内で品不足になってしまう。 だが、暴力団も命がけである。というのは、中国国内では覚せい剤に限らず、違法薬物を50グラム以上所持していた者は死刑とする法律が存在するのだ。薬物関係の最高刑は日本では無期懲役だが、国が違えば量刑も違う。 「北京オリンピックを成功に導いた中国のエネルギーを見ても分かるように、国際社会における評価を重視する中国指導部の気持ちは非常に強い。実際、科学技術の発展には目覚ましいものがあり、もはや先進国の一つです。ところが、中国社会は旧態依然。しかも、違法薬物が蔓延しているうえ、その密造国でもある。国の近代化のため、中国指導部は薬物犯罪に断固とした態度を取っているんです」(麻薬取締部OB) 中国における覚せい剤、合成麻薬MDMAの押収量は記録的な数値に上っているという。そして、違法薬物所持で逮捕された者の中には日本人も多数存在するというのである。 その多くは1キロ以上の薬物を海外へ持ち出そうとした運び屋。中には7キロを所持していた20代の男性や4.8キロを所持していた40代の女性もいる。日本人の運び屋は増えるばかり。 「2001年には奄美大島沖で海上保安庁の巡視船と北朝鮮の不審船の激しい銃撃戦が勃発し、北朝鮮の覚せい剤が中国から海路で日本へ運び込まれていることが明らかになった。以来、中国当局の取り締まりが厳しくなった」(前出のOB) 厳しい取締りを物語るように、03年には1250グラムを所持していた60代の日本人男性に死刑の判決が下った。中国の裁判は二審制。判決は高裁で確定し、死刑が確定したケースもあるのだ。中国では死刑が確定すると、即刻、執行されるのが普通。 「外国人だからといって死刑が執行されないわけではない。見せしめの意味もある。家族にとっては地獄の苦しみです」(前出のOB) 運び屋の中には、無職で10万〜20万円の金ほしさのため、何を運ぶのかよく知らないまま中国へ渡り、警察当局に逮捕されて厳しい刑を言い渡された者もいるという。北京オリンピックが終わって、中国国内での密売組織の動きが慌しくなっている。今後も日本人の逮捕者は増えそうである。
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社会 2008年12月04日 15時00分
「ドラッグウォーズ -薬物汚染の闇を追う-」(6) クラブで“オール”する若者のスタミナ源
違法薬物のケタミンと2C-1が蔓延している。ケタミンはかつての脱法ドラッグで、所持していても逮捕を免れた薬物。一時期、六本木で大流行したことがある。それが今、若者を中心に乱用されているというのだ。 「ケタミンは動物の麻酔薬から作られる。服用すると、コカインに似た興奮、幻覚作用がある。水と一緒に口から摂取できるうえ、飲むと音楽の乗りがよくなるため、一晩中踊り明かす若者が手を出してしまう」 こう語るのは麻薬取締部のOBだ。数年前に芸能人を逮捕した際、コカインを吸引していたと思われたのはケタミンだったという。 「実は昨年、歌舞伎町の飲食店で中国人がケタミンを密売していた。億単位の売上だった。一方、2-C1は渋谷のセンター街で暗躍するイラン人が密売していた。ケタミン同様、2C-1も脱法ドラッグだったが、薬理作用が高いため、ケタミンは昨年初めに、2-C1は3年前にそれぞれ規制されたのです」(前出のOB) ケタミンは今、台湾や香港で大流行しているという。「現地の捜査当局が相当量を押収している。安くて薬理効果が高いため、目をつけた中国人マフィアが大掛かりに日本へ運んでいると見られます」(前出のOB) 一方、2C-1は合成麻薬MDMAに似た作用ある。 「MDMAの8割方は覚醒剤が混じっている。2-C1にMDMAと近い作用があるということは、覚せい剤の作用があるということ。覚せい剤ほどではないにせよ、万能感や多幸感を与える薬物に若者が依存することは、クスリによって目の前の問題から逃れようとする子が多いということです」(OB) ケタミンも2-C1もそれだけで死に至るほどの違法薬物ではない。だが、依存傾向があることは間違いない。 「これらの薬物を入り口に、強い薬物に手を出すのが怖い。若者が依存すると勤労意欲も失われる。早く手を打たないと蔓延が一段と酷くなる」 OBはこう警鐘を鳴らしている。(写真=浄化作戦の進む新宿・歌舞伎町。ドラッグの罠は消滅したか)
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社会 2008年12月03日 15時00分
小室被告 “記憶喪失”を主張し、雲隠れ
著作権譲渡をめぐる5億円詐欺容疑で大阪地検特捜部に起訴され保釈中の音楽プロデューサー小室哲哉被告(50)が、子供服販売をめぐる別の民事訴訟で“記憶喪失”を主張し、関係者をあ然とさせた。2日の東京地裁で、小室被告が約1000万円もの大金を支払った詳細を覚えていないと話していることと、代理人弁護士すらその所在をつかめないでいることが明らかになった。マスコミに騒がれたくないのだろうが、このまま雲隠れでは裁判所軽視も甚だしい。 小室被告が経営する芸能プロダクション「ティーケーシーオーエム」(TKCOM、東京都港区)が米俳優チャーリー・シーン氏(43)の子供服ブランドの日本国内販売代理店契約を結びながら、契約金の残金14万ドル(約1400万円)の未払いで貿易業の女性経営者(39)に提訴された民事事件の第2回口頭弁論が2日、東京地裁(大段亨裁判官)であり、TKCOM側はそのうち10万ドル(約1000万円)は支払ったとする銀行振り込み記録を提出。弁護士同士が新証拠をめぐってやりとりする中、TKCOM側弁護人から驚くべき話が飛び出した。 保釈されたにもかかわらず、肝心の小室被告に直接確認を取れないというのだ。そればかりか居場所もわからないという。唯一、大阪拘置所で刑事弁護人に対し「分からない。覚えていない」と話した事実が明かされた。 これでは裁判は進まない。原告側弁護人は苛(いら)立ちを抑えるように「ゆくゆくはこういう事実関係の争いになると、小室さん本人に出廷していただくことになる」と証人申請をちらつかせた。 本紙既報(11月7日付)の通り、この訴訟は、TKCOMが2006年9月、チャーリー・シーン氏の子供服ブランド「Sheen Kidz(シーンキッズ)」の日本における独占販売代理店契約を約20万ドルで締結し、14万ドルが未払いだとして今年9月に提訴されたもの。小室被告が逮捕された11月4日に第1回口頭弁論があり、TKCOM側は原告側の請求棄却を求める文書を提出。原告側弁護士によると、それまでの支払い遅延をめぐる誠実な対応とは一転して裁判で争う姿勢をみせたという。 そもそも、シーン氏サイドとのパイプ役となった原告の女性経営者は、小室被告の逮捕前からことを荒立てるつもりはなく、支払い交渉が約2年にもわたったため提訴に踏み切った。6月から小室被告とTKCOMのダブル代表に就任したN氏も9月、完済する意思を表明。しかし、対決姿勢が鮮明になってきたことで原告側が法廷戦術を切り替える可能性もあり、小室被告の民事裁判出廷が現実味を帯びてきた。 この日の法廷は民事とあって傍聴人もまばら。約15分間隔で順繰りに各事件の審理が続いた。TKCOMの審理に入っても「どこの小室?」といった感じ。ほとんどが順番待ちの別の民事事件の関係者だった。 そんな中、TKCOM側が提出した新証拠について、原告側弁護人は「小室さんに確認したうえで書面を出すべき。小室さんと連絡が取れたうえでのことなのか? そこにあったから出すというのはおかしい」と指摘。 TKCOM側弁護人は「確認しようにも連絡が取れない。依頼者は刑事被告人で、この事件を受任して3〜5日後に逮捕されてしまった。刑事弁護人は保釈中の住所を教えてくれない。(大阪拘置所での)接見時に本人に聞いたら『わからない。覚えていない』と話していたそうだ。ただし、拘置所で聞いているから精神的なものもあるだろう」と答えた。 閉廷後、TKCOM側弁護人は本紙の取材に、「刑事弁護人によると、小室さんは『シーンキッズ』の契約じたいは覚えている。しかし、10万ドルをどういった経緯で支払ったか覚えていない。原告側は、それは契約金とは別の“紹介料”だと主張するんだろうが、和解するにもこの10万ドルの差は大きい。小室さんは借金のヤマなどと報じられているが、一時期は年間20億円を稼いでいた。14万ドルくらいの金が払えなかったとは考えにくい」などと話した。 そうはいっても、原告側が提訴前にTKCOMの預金口座を差し押さえた際、残高が6259円しかなかったのは事実。小室被告にとって1000万円は、はした金だったのか? 次回期日は来年1月27日。刑事事件では実刑は免れないとみられているが、逮捕で目が覚めたというのが本当ならば、あらためて記憶を呼び覚まし、はっきり主張する必要があるだろう。
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社会 2008年12月02日 15時00分
「ドラッグウォーズ -薬物汚染の闇を追う-」(5)覚せい剤輸入大国ニッポンが狙われている
北九州市門司港に停泊中のアフリカ・シエラレオネ船籍の貨物船、ユニバーサル号(859トン)から約300キロもの覚せい剤が福岡県警を始め、麻薬取締部、税関、海上保安庁の合同捜査本部の手によって押収されたのは11月11日のことだ。覚せい剤はエンジンルームの段ボール箱10箱に隠されていた。末端価格にして300億円ものブツだ。 「北京五輪が終わった後、大きな覚せい剤取引があるとの情報が入っていた。さすがにオリンピックは国を挙げての行事。その間はマフィアも警察も鳴りを潜めていたが、五輪開催期間中、日本の暴力団関係者が中国へ渡り、早く荷を降ろすよう催促していたといいます」 こう話すのは麻薬取締部のOBだ。 2、3年前、国内の覚せい剤が払底した時期があった。理由は北朝鮮ルートのブツが枯渇したからである。日朝関係の悪化で万景峰(マンギョンボン)号が日本の港へ入港できなくなったため、一気にブツがなくなってしまったのだ。 「そのため、シャブの相場が物凄く上がった。ヤクザはブツを保管する倉庫を持ち、国内の需給状況を見て商品を市場へ出すが、ブツそのものが底をついてしまってはどうしようもなく、シャブを製造していた時期もあった。場所は那須の別荘。ところが、物凄い悪臭が出る。やりすぎると足がつく。今ではほとんど国内では密造していないはずだ」(事情通) その点、中国は国土が広大無辺。車で3時間も走れば、人影も見られない辺鄙(へんぴ)な場所にたどり着く。 「北朝鮮からの覚せい剤を横流しするほか、国内でブツを密造して日本へ輸出しているんです。中国はヨーロッパで製造された合成麻薬MDMAのダミーの密造も盛んでしてね。ホンモノそっくりのダミーを作っては市場に出す。そのため、MDMAの種類は膨大な数に上るんです」(前出のOB) 今回押収された覚せい剤が北朝鮮産なのか、中国国内で密造されたのか、はたまた第三国のものなのかは分からない。しかし、ユニバーサル号に覚せい剤が積み込まれたのは中国の防城だったという。 「中国マフィアが関与しており、乗組員も現地で調達され、通常の給料の10倍報酬を支払う約束で船に乗り込んだ」(捜査関係者)。密輸された覚せい剤は暴力団がいったん、倉庫に保管。受給状況を見て、市場に出す手はずになっていたと見られる。 このところ、芸能人など有名人の覚せい剤事件が相次いでいる。悪魔の囁きに心を売ってしまう者が後を絶たないのも、ブツが潤沢にあるからにほかならないのだ。
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社会 2008年12月01日 15時00分
「ドラッグウォーズ -薬物汚染の闇を追う-」(4)六本木の外国人密売人“流血抗争”と薬物逆ナンパ手口
六本木で違法薬物を密売しているのは主としてイラン人とナイジェリア人だが、彼らが売上のすべてを懐に入れるわけではない。実は密売人を取り仕切っている黒幕ともいうべき連中がいるのだ。 それがUSAの黒人だ。なぜ、USAなのか。麻薬取締部のOBが語る。 「それは彼らが合法的に入国し、堅気の商売をしているからです。イラン人やナイジェリア人は不法滞在者も多く、金を渡してもそのままトンズラしてしまう恐れもある」 数年前まで六本木を仕切っていたのはイラン人だった。ボスは軍隊上がりの武闘派。力で闇社会を支配していた。 しかし、あまりにも突出していたため、闇社会のバランスが崩れることを危惧した日本人ヤクザの手によって排除されたという。次にボスになったイラン人は穏健派だったが、密売の味をしめ本国の仲間に送金すべき金を着服して追われる身に。そして、行方をくらましてしまったという。 武闘派でなくとも、イラン人は荒っぽい。それだけ生活がかかっているからだ。 「ここはオレのシマだ。商売するな」 「いや、オレの方が先だ」 利権をめぐって対立し、一気に抗争に発展するケースもある。血を流す場合はたいてい互いに薬物をやっている。 「売人は当然、味をみる。そうでなければブツの良し悪しが分からないからです。しかし、不幸にしてクスリをやった後、出会い頭に敵対する勢力と遭遇すると血を流すことになる。薬物のせいで自分をコントロールできなくなるからです」(前出のOB) 違法薬物の利用者で多いのは外国人のダンサーだ。彼女たちは10万円もの日銭を稼ぐ。常に現金を持ち歩き、好きな時にブツが買える。エクスタシー(MDMA)で乗りやすくなり、踊りも一段とセクシーになるのだ。 売人は客の顔を見てブツを売る。 「純度の高いブツは日本人の素人には売りませんね。彼らには粗悪品を売りつけ、本当に味の分かる連中にだけ、いいブツを渡す」(OB)。一時期、新宿で水で薄めたシンナーやトルエンを売っていた光景とよく似ているという。 一方、こんな商売もある。路上でナンパに成功したと思った若い女性と飲みにいく。女はあらかじめ契約していた店に男を案内し、セックスやドラッグはどうかと盛んにモーションをかける。交渉が成立すると、料金は前払い。しかし、いつまでたっても女は知らん顔。男が痺れを切らして文句を言おうものなら、従業員が出てきて仲裁に入ったように見せる。それでもゴネたら携帯を取り上げられ、外につまみだされるのだ。(写真=イメージ)
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社会 2008年11月29日 15時00分
党首討論で麻生首相完敗 きょうは小沢のおひざ元岩手で“自爆テロ”的街頭演説
麻生太郎首相と民主党の小沢一郎代表による初の党首討論は28日、格闘技のビッグマッチのような注目を集める中で行われ、防戦一方となった麻生首相の完敗に終わった。問題発言や暴言、誤読を連発していた首相の舌ぽうはなりを潜めたままだった。それでもきょう29日には、小沢氏おひざ元の岩手県に乗り込んで街頭演説するというから、これはもう“自爆テロ”といっていい!? 首相は29日、岩手県に入って一関市で街頭演説する。9日の茨城県に続く首相の地方遊説第2弾で、本来であれば大将自ら敵陣に乗り込んで、敵将・小沢氏をばっさりやるはずだった。 ところが、28日の党首討論では、冒頭から小沢氏が「民主党代表になり3人の首相に3回も就任祝いを言うことになった。このままでは近いうちに4回目のお祝いを申し上げなければならなくなる」と痛烈な先制パンチ。泡を食った首相は「議会制民主主義のルールにのっとっている」と答えるのが精いっぱいで、カウンターパンチを出せなかった。 首相が守りに入った背景には、最近連発中の暴言、問題発言をしまいという姿勢がのぞけた。 「そもそもは麻生首相の漢字読み間違え多発が風向きを変えた。以前から暴言癖は知られていたが、“持ち味”とみなされて見逃されてきた。小バカにされた首相は空気を変えようと余計なことばかり言ってしまった。まさに負の連鎖だ。党首討論ではこれを断ち切ろうと口をつぐみ、小沢氏にメッタ打ちにされた。完敗といっていい」(全国紙の政治部記者) 対決前は、首相が「党首討論に応じていただいたことがない」などと討論ベタの小沢氏をさんざん挑発。ところがフタを開けてみれば、今年度第2次補正予算案の提出見送りに伴う「言行不一致」を突かれ、守勢に回りっぱなしだった。どうやら想定問答集があったようで、練習通りにソツなく終えた格好。9月の所信表明で異例の逆質問をした威勢のよさは微塵もみられなかった。 一方の小沢氏は、定額給付金の所得制限などをめぐる麻生政権の迷走を指摘。傷口に塩を擦り込むように、首相の失言などに触れて「話があまりにもころころ変わりすぎる。首相の言葉はもっと重たい」と容赦なく切り捨てた。 岩手入りする首相は、小沢氏の地元の奥州市に足を延ばし、衆院岩手4区で自民党から立候補予定の高橋嘉信元衆院議員を激励する。同氏は小沢氏秘書を約20年務めた側近であり、首相にとっては絶好の攻めどころだったはず。すべては党首討論完敗で計算が狂ってしまった。
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社会 2008年11月29日 15時00分
「ドラッグウォーズ -薬物汚染の闇を追う-」(3)地下大麻パーティーは地獄へのジェットコースター
つい最近まで週末ともなると、六本木のあちこちでトランスパーティーが開かれていた。店がひけた明け方の午前6〜7時になるとどこからともなく自由人を気取った男女が集まってくる。 と同時に密売人も現れ、ブツをさばく。大麻、覚せい剤、コカイン、ヘロイン、MDMA、スーパーボール…。薬物なら何でもござれの世界だ。店内ではアルコール類も出され、音楽がかかる。 気だるい雰囲気の中で参加者は思い思いに桃源郷の世界をさ迷う。そして昼過ぎの午後1〜2時には散会となるという。 2002年、麻薬取締部では地下室を造って大麻パーティーを開いていたスナック経営者を逮捕した。店の厨房にマンホールを設け、そこから梯子で地下室に入る構造だった。「地下室まで造っていたとは。あれでは外部の人間はまず分からない。よく考えたものだ」そう言って呆れるのは当時、捜査の指揮を執ったOBである。 六本木のパーティーは外国人が少なくないが、日本人だけのパーティーならネットで参加者を募集するケースもあるという。 「関東近辺の海辺の洞窟、郊外にある工場の廃屋。そうした場所に音響を入れ、薬物に酔いしれながら踊り狂う。参加者は100人から200人規模。残念だが、麻薬取締部の人員では対処できなかった」 OBは悔しがる。 このOBはかつてプロのサーファーを覚せい剤で逮捕したことがある。 「理由は恐怖感を克服することだった。サーファーはビッグウェーブを待っている。しかし、一歩間違えば呑み込まれて命を落とす。死と隣り合わせのスリルでしょ。その恐怖感を薬物で乗り越えていたというんです。薬物をやっていると、その時だけは無限の力を得たような錯覚にとらわれる。仕事の行き詰まりや上司との摩擦から、薬物をやっている時だけは逃れられる。本人は逃げだと分かっていても、一度はまるとなかなか抜け出せないんです」 有名大学の学生らが大麻で相次いで逮捕されている。大麻はタバコより害が少ないという意見もあるが、米国では15歳未満で大麻を乱用したことのある若者の多くが26歳以降、深刻な違法薬物乱用に陥っていることが報告されている。 「使用するうち、体内に薬物への耐性ができるんです。そうすると、体はより強い薬物を求める。大麻は覚せい剤などの違法薬物乱用の入り口になる恐れが高いということです」(OB) ジェットコースターの行き着く先はまさに地獄の入り口なのだ。
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社会 2008年11月29日 15時00分
石原知事が誤読・暴言癖の麻生首相を擁護
東京都の石原慎太郎知事(76)は28日の定例会見で、漢字の誤読や言い間違え、暴言癖で株急落中の麻生太郎首相(68)を「キャラが強くていい」などと擁護した。舌禍騒動では、ババア発言など枚挙にいとまがない“先輩格”だけに、採点は甘かった。 前日27日、麻生首相と面談。久しぶりに話をしたという。「彼は彼なりのキャラクターで話をしている。でも言葉が足りないところもあるような気がするし…。やっぱりあの人のキャラクター、とっても強くていいなと思った。前の総理大臣(福田前首相)のように気の抜けた炭酸みたいじゃ困る。それに比べたらはるかに存在感があっていいよ」とキャラを重視。多少のことには目をつぶる姿勢をみせた。 その上で「ただ、やっぱり言葉が粗雑なところがあるんだろうさ」と指摘。麻生首相は20日の全国知事会議で「自分が病院を経営しているから言うわけじゃないが、はっきり言って(医師は)社会的常識がかなり欠落している人が多い」と発言し、カンカンに怒った医師会の抗議を受けて後日発言を撤回している。 知事は「まあ一種の“専門バカ”ってことを言いたかったんだろうね。そりゃ社会常識の欠落とはちょっと違う。お医者さんも忙しすぎて世間話をするヒマもないだろうから。そういうことの斟酌(しんしゃく)がちょっと足りなかったのかもしれないけど、でも、いいじゃないですか、やっぱり、うん」とよく分からない理屈でかばった。 作家でもある知事は難解な言葉遣いはしても、「踏襲=ふしゅう」レベルのイージーな誤読はない。最後は「言いたいことを言ったらいい。彼の表現があるんだから」と総括しつつ、「まあ、漢字は正確に発音したほうがいいよな、そら」とチクリとやった。
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社会 2008年11月28日 15時00分
「ドラッグウォーズ -薬物汚染の闇を追う-」(2)六本木有名クラブ“激安薬物”密売現場
違法薬物密売の拠点が六本木から麻布、白金、世田谷に移りつつあることを昨日付紙面で紹介した。 その背景には地元麻布署の懸命の捜査があった。しかし、六本木の密売が皆無になったわけではない。六本木の有名クラブの中には薬物売買で知られる店が何軒もある。耳をつんざくような大音響。隣の客の声もよく聞こえない薄暗い店内で怪しげな男が跋扈(ばっこ)する。 「あるよ」「何?」 売人と客との交渉はあっという間に成立し、トイレへ。コカイン、ヘロインは1パッケージ5000円。最近流行りの合成麻薬MDMAは1錠3000円という安さだ。 薬が効いているのは約5時間。興奮作用のあるMDMAを水といっしょに口に放り込むだけで一晩、踊り明かせるというわけなのだ。無論、店は店内で取引が行われていることを承知している。外人専門バーの中には以前、Gカクテルという薬物入りのドリンクさえ置いている店もあった。 「コカインは興奮作用があり、ヘロインには抑制作用がある。両者を混合した薬物がスーパーボール。コカイン6、ヘロイン4の割合で調合されたブツを、我々の世界では“ラストショット”と呼んでいる。死に直結するという意味だ」 六本木の薬物事情に詳しい人物は言う。数年前、外国人ビジネスマンが薬物中毒で相次いで死亡したが、コカインとヘロインを取り違えて吸引したり、混ぜ物入りの薬物で事故に遭ったとみられる。外国人の売人を六本木では「プッシャー」という。六本木を牛耳っているのはイラン人だった。 ところが、最近になってナイジェリア人が増えた。今では南米、イスラエル人とプッシャーの国籍も幅広くなったという。 「ナイジェリア人は祖国を捨て、カナダ、アメリカへ移住している連中が多い。マフィア化している奴らもいる。特徴は現地で結婚して根を張ることです。ナイジェリア人は女にやさしい。そのため、六本木でも知り合ってすぐに同棲というケースも少なくない。だが、そうやって同化しながら、違法薬物を密売するのだから困る。かつてガサ入れをして屋根裏部屋を調べてみると、真っ暗中で懐中電灯に光る目があって驚いたことがある。目ん玉の主はナイジェリア人だったんです」(麻薬取締部OB) 2001年にはナイジェリア人による麻薬取締部が「大麻230キロ密輸事件」を摘発した。史上5番目の押収量だった。麻薬密売というと、イラン人ばかりが取り上げられるが、ナイジェリア人の勢力が逆転する日もそう遠くないかもしれないのだ。(写真=イメージ)