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「ドラッグウォーズ -薬物汚染の闇を追う-」(2)六本木有名クラブ“激安薬物”密売現場

 違法薬物密売の拠点が六本木から麻布、白金、世田谷に移りつつあることを昨日付紙面で紹介した。
 その背景には地元麻布署の懸命の捜査があった。しかし、六本木の密売が皆無になったわけではない。六本木の有名クラブの中には薬物売買で知られる店が何軒もある。耳をつんざくような大音響。隣の客の声もよく聞こえない薄暗い店内で怪しげな男が跋扈(ばっこ)する。

 「あるよ」「何?」

 売人と客との交渉はあっという間に成立し、トイレへ。コカイン、ヘロインは1パッケージ5000円。最近流行りの合成麻薬MDMAは1錠3000円という安さだ。

 薬が効いているのは約5時間。興奮作用のあるMDMAを水といっしょに口に放り込むだけで一晩、踊り明かせるというわけなのだ。無論、店は店内で取引が行われていることを承知している。外人専門バーの中には以前、Gカクテルという薬物入りのドリンクさえ置いている店もあった。
 「コカインは興奮作用があり、ヘロインには抑制作用がある。両者を混合した薬物がスーパーボール。コカイン6、ヘロイン4の割合で調合されたブツを、我々の世界では“ラストショット”と呼んでいる。死に直結するという意味だ」

 六本木の薬物事情に詳しい人物は言う。数年前、外国人ビジネスマンが薬物中毒で相次いで死亡したが、コカインとヘロインを取り違えて吸引したり、混ぜ物入りの薬物で事故に遭ったとみられる。外国人の売人を六本木では「プッシャー」という。六本木を牛耳っているのはイラン人だった。

 ところが、最近になってナイジェリア人が増えた。今では南米、イスラエル人とプッシャーの国籍も幅広くなったという。
 「ナイジェリア人は祖国を捨て、カナダ、アメリカへ移住している連中が多い。マフィア化している奴らもいる。特徴は現地で結婚して根を張ることです。ナイジェリア人は女にやさしい。そのため、六本木でも知り合ってすぐに同棲というケースも少なくない。だが、そうやって同化しながら、違法薬物を密売するのだから困る。かつてガサ入れをして屋根裏部屋を調べてみると、真っ暗中で懐中電灯に光る目があって驚いたことがある。目ん玉の主はナイジェリア人だったんです」(麻薬取締部OB)

 2001年にはナイジェリア人による麻薬取締部が「大麻230キロ密輸事件」を摘発した。史上5番目の押収量だった。麻薬密売というと、イラン人ばかりが取り上げられるが、ナイジェリア人の勢力が逆転する日もそう遠くないかもしれないのだ。

(写真=イメージ)

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