消防庁発表の昨年の火災件数を見ると、11月は2579件で、12月は3772件と約1200件跳ね上がっている。なぜ、12月は火事が多いのだろうか。防災危機管理アドバイザーの永山政広氏は「空気が乾燥して燃え広がりやすくなる。年末は仕事や大掃除などに追われて火に対する注意力が低下する」と理由を挙げる。
コメンテーターで気象予報士の石原良純は「世界規模で気象変動が大きくなり、雨が多い地域と少ない地域に分かれているので、町ぐるみで大火に気をつけるべき」と注意を促した。
また、レギュラーコメンテーターの玉川徹氏は「先斗町は木造住宅の密集地帯」と指摘し、「消防車が入れなくても、あれが京都の風情なので防火設備を増やすしかない」と語った。
出火原因として、寝たばこやたばこの火の不始末などは昔から指摘されるところだが、意外な原因も身近に潜んでいる。例えば、揚げ物で掃除に使用した布巾やティッシュペーパーをゴミ箱に捨てたところ、それが数時間後に発火したケースだ。
また、アロマオイルを拭き取ったタオル30枚をコインランドリーで洗濯・乾燥し、重ねておいたところ4時間後に自然発火したマッサージ店もあった。アロマオイルが酸化して、重ねた中で熱がこもったのが原因だった。
古い灯油を使ったため、石油ストーブの消火ボタンが効かなかったケースもあった。変質した灯油が芯にまとわりついて消火できなかったことが原因だという。
初期消火に大きな役割を果たすのが地域の消防団だ。火災時だけでなく、地震や風水害などの大規模災害時にも、消火、救助、避難誘導、災害防御活動などを行う。地域の消防団は、活動の時だけ非常勤の地方公務員扱いになり、報酬は年額3万6500円、出動は1日8000円の手当が出る。
だが、なり手不足が深刻化している。過疎化・高齢化の影響で、2015年に約86万人いた全国の消防団員数は昨年73万人に減少。平均年齢も年々上昇している。地域コミュニティーが希薄化し、ライフスタイルが変化した今、団員集めの新しいアイデアが必要だ。

