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「ドラッグウォーズ -薬物汚染の闇を追う-」(7) 中国で日本人の覚せい剤運び屋に死刑判決

 北京オリンピック開催期間中、中国へ飛んでブツの荷卸しを急ぐよう働きかけた日本の暴力団関係者がいたことを当連載で紹介した。北朝鮮の覚せい剤が万景峰(マンギョンボン)号で来ない以上、そうでもしないと資金源の覚せい剤は国内で品不足になってしまう。

 だが、暴力団も命がけである。というのは、中国国内では覚せい剤に限らず、違法薬物を50グラム以上所持していた者は死刑とする法律が存在するのだ。薬物関係の最高刑は日本では無期懲役だが、国が違えば量刑も違う。
 「北京オリンピックを成功に導いた中国のエネルギーを見ても分かるように、国際社会における評価を重視する中国指導部の気持ちは非常に強い。実際、科学技術の発展には目覚ましいものがあり、もはや先進国の一つです。ところが、中国社会は旧態依然。しかも、違法薬物が蔓延しているうえ、その密造国でもある。国の近代化のため、中国指導部は薬物犯罪に断固とした態度を取っているんです」(麻薬取締部OB)

 中国における覚せい剤、合成麻薬MDMAの押収量は記録的な数値に上っているという。そして、違法薬物所持で逮捕された者の中には日本人も多数存在するというのである。
 その多くは1キロ以上の薬物を海外へ持ち出そうとした運び屋。中には7キロを所持していた20代の男性や4.8キロを所持していた40代の女性もいる。日本人の運び屋は増えるばかり。

 「2001年には奄美大島沖で海上保安庁の巡視船と北朝鮮の不審船の激しい銃撃戦が勃発し、北朝鮮の覚せい剤が中国から海路で日本へ運び込まれていることが明らかになった。以来、中国当局の取り締まりが厳しくなった」(前出のOB)
 厳しい取締りを物語るように、03年には1250グラムを所持していた60代の日本人男性に死刑の判決が下った。中国の裁判は二審制。判決は高裁で確定し、死刑が確定したケースもあるのだ。中国では死刑が確定すると、即刻、執行されるのが普通。
 「外国人だからといって死刑が執行されないわけではない。見せしめの意味もある。家族にとっては地獄の苦しみです」(前出のOB)

 運び屋の中には、無職で10万〜20万円の金ほしさのため、何を運ぶのかよく知らないまま中国へ渡り、警察当局に逮捕されて厳しい刑を言い渡された者もいるという。北京オリンピックが終わって、中国国内での密売組織の動きが慌しくなっている。今後も日本人の逮捕者は増えそうである。

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