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中国語系フリーペーパーに広告多数 風俗店売買の落とし穴

 この不況下、正社員といえども安穏としてはいられない。いっそ脱サラして不況に強い商売でも始めてみようか…。そう独立起業を夢見る人も少なくないが、実はそこに深い落とし穴が待ち構えている。昔から不況に強い業種といわれてきた風俗店を売買する広告が、中国語系フリーペーパーに多数掲載されているという。果たして、甘い宣伝文句は本当なのか?

 「派遣切り」「ネットカフェ難民」「住居喪失」…。年初から暗い話題が途絶えぬ中、東京都新宿区新大久保地区など中国人街で無償配布される在日中国人向け新聞には、楽して儲かりそうな一見“おいしい商売”の広告が散見される。なんと繁盛している風俗店を譲るというのだ。
 広告の内容を要約すると概ね次のようになる。
 「駅近くの風俗店を売りたし。シャワー有り。常連客多数。警察に事故記録なし。オーナーの事情により、やむなく譲る」といった感じ。
 中国語で「轉譲(てんじょう)」と記したこのテの広告は営業権などの権利譲渡を意味する。店を手放す理由はさまざまだが、「オーナーが病気になったため」「オーナー帰国のため」あるいは「経営している店が増えすぎて、管理しきれなくなったため」といったものが多い。いずれも、店は儲かっているのだがやむを得ず経営から手を引く理由としては一応筋は通っている。
 気になる売買価格は、安いもので150万円前後(約60万円の保証金を含む)。都内ターミナル駅そばにあるような店になると、400万〜500万円もの値を付けるものも。決して安い買い物ではない。もちろん、この値段は賃貸物件を譲渡する価格で、中で働く「女性」は含まれない。

 そんな広告の一つに接触してみた。電話口に出たのは日本語を流暢に話す中国人女性。「フリーペーパーに出ていた広告を見たが…」と切り出すと、意外な答えが返ってきた。
 女性の話を総合すると、経営者は日本人で、店で働く風俗嬢は中国人女性ばかり。日本人からの問い合わせは珍しいという。店は風俗営業の許可を取っており、警察のガサ入れを受けたこともなく、お得な投資だと強調する。
 ところが、「まず店を見てから検討したい」と申し出た途端、急に口が重くなった。「詳しい話は社長としてほしい」と警戒され、住所はおろか店の名前すら決して明かそうとしない。
 そういえば、フリーペーパーに出ていた広告も、連絡先はすべて携帯電話番号で、店名や住所を明記したものは皆無であった。不動産広告ではあり得ない話だが、最寄り駅名すら書かれていない広告さえ決して珍しくないのだ。

 「こういう広告は、馬鹿正直に信じ込まない方がいいですよ」
 ため息混じりにこう語るのは、不動産業界の裏事情に詳しい法律ライターだ。
 「まず、現行の風営適正化法は名義貸し営業を禁止していますから、お店を買ってその日から即営業可能ということはあり得ません。中国エステ系の店はたいてい個人許可となっていますから営業するためには新規で風俗営業の許可(もしくは届出)の取り直しとなります」
 さらにもっと恐ろしいトラブルが起こる可能性も大きいという。
 「風俗店を仲介する場合、建物のオーナーは別にいます。造作物(店舗内設備や什器のこと)売買の形をとって、実質的にはそこで営業する権利を取引するのです。しかし、物件はオーナーと直接賃貸借契約を結ぶのではなく、借主からの転貸(又貸し)が結構多い。そのため、いきなりオーナーから『転貸は契約違反だから出ていってくれ』と言われたり、転貸人が家賃を持ち逃げして、家賃の二重払いを強いられることもあります」(前出の法律ライター)
 そもそも摘発を受けて、経営者の逮捕秒読みの段階になってから逃走資金稼ぎに売られることすらあるという風俗店。事情を知らない素人は手を出さない方が無難な世界のようだ。

○風俗店専門不動産業者の実態 幹部社員・田中二朗氏(仮名34歳)真相激白
 風俗店とはいえ賃貸店舗には違いありませんから、これを仲介するには宅建業の免許が必要になります。当社ですか? もちろん、都知事から宅建業免許をいただいていますよ。
 ただ、不動産の業界団体では、数年前に千代田区内で違法中国エステが相当問題になったことがあり、「風俗店の仲介はしないように」というお達しが出ているんです。だから、当社も表の看板にはとても「風俗店物件多数あります!」とは書けません。営業担当社員個人の携帯電話番号でターミナル駅周辺の電柱にこっそり貼り紙広告を出してお客さんを集めていました。クレームや行政庁の指導ではないことを確認した上で、初めて店の場所を案内するというわけです。
 ただ、風俗店の物件広告には独特の読み方があり、それを知らないと痛い目に遭います。例えば、「風俗何業可」とあるのは、そこではどんな業種でも営業許認可が取れますよということではなく、単に大家さんが何をやろうと文句を言わないという趣旨。なお、当社では風俗専門の行政書士の先生や必ず検査を通す風俗店専門内装業者も紹介でき、“総合風俗業コンサルタント”としてご利用いただいています(笑)。

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