FXは、最初に投資スタイルを決めておくことをお勧めする。
FXに詳しい経済ジャーナリスト・菅野進氏は
「初心者にありがちなのが眠れなくなることです。FX市場は24時間開いているので、帰宅後にパソコンを開きFXを始め、のめりこむ人、不安に駆られる人など、多くの人が徹夜を経験しています」と警告する。
FXの投資スタイルには、大きく分けて4つある。(1)スキャルピング、(2)デイトレード、(3)スイングトレード、(4)スワップトレードだ。
(1)スキャルピングは、秒単位で売買を行うこと。大きな額の取引で、わずかな変動から利益を狙う。集中力と良質なパソコン環境が必要とされる。注文の入力時間とデータが届くまでの間にも、市場が50銭も変わってしまうこともあるからだ。
(2)デイトレードは、1日の間で取引を終えるやり方で、もっともポピュラーといえる。仕事を持つ人でも、帰宅後の夜10時にニューヨーク市場が開き、市場の動きが活発になる時間帯に取引できるからだ。
(3)スイングトレードは、数日から数週間の間に取引を完了するスタイル。2、3日に1回パソコンを開ければよいが、ストップロスを的確に入れておかないと大きな損益を生みかねない。
(4)スワップトレードは、数カ月から1年をかけた取引。世界の政治や経済の状況を把握して投資をするもので、スイングトレードと同様にストップロスは欠かせない。
これら4つのスタイルの中から自分にあったものを選ぶ方法もあるが、その時々の状況に合わせて意識的に投資スタイルを変えて取引をすることも重要だ。
次に取引する通貨のペアを選択する。通貨には、それぞれの国の経済事情を反映した特徴がある。たとえば、円は円安に動くときにゆっくりで、円高は一気に進みやすい。また、経済と密接な関係があることから、2国間の通貨が連動する米ドルとカナダドルとか、地下資源大国のオーストラリアドルや南アフリカ・ランドは金価格に影響されやすい。
また、2国間の通貨ペアの組み合わせによって、似た動きや反対の動きをする傾向のものがある。スイスフランと米ドルのペアと、米ドルと円のペアは非常に似た動きをするが、ユーロと米ドルのペアと米ドルと円のペアはまったく逆に動く傾向にある(表を参照)。
FXに詳しい経済ジャーナリスト菅野進氏は、「初心者には、やはり身近な米ドル・円のペアから始めることをお勧めします。なんといっても、日ごろから政治・経済ニュースの情報量が違います。反対に英国ポンドと絡んだペアは初心者に不向きです。ポンドは高レートな上に、値動きが激しく、あっという間にゲームオーバーになりかねません」と語る。
各国の経済状況や政策金利の動き、通貨の特性を理解したうえで、さらに通貨ペアの動きの特徴を把握したうえで取引通貨のペアを決めることが肝要だ。前述の菅野氏は「自分で取引のルールを決めて、それに従うのがコツ。ずるずると徹夜していては体が持ちません」と断言する。