先日は、出演者側である歌手の西川貴教が1月30日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、新型コロナウイルスに関するニュースに自分が意見することに対して「専門家でもない芸人さんとかタレントさんとか我々みたいな者が、出てきた症状やいろんなものに関して、ああでもない、こうでもないと、求められるから言わなければならない」「いろんな不安をあおっている」と言及し話題になっていた。
>>政治に無関心な日本人に海外から呆れ声「文句を言うのに具体的に説明できない」 家族で議論する国も<<
日本ではニュース番組に芸人やタレントが出演することが多くなっているが、他国ではどうなのだろうか。
ドイツでは、3つの公共局があり(うち1つは2つの公共局が合同で運営している)、それ以外にも15ほどの民放局、それに加えていくつかのローカル局が存在し、チャンネルは数えられないほどある。とはいえ、番組は日本ほど多様性に富んでおらず「ニュース」「ドラマ」「子ども向け番組」「スポーツ」「オーティションなどのリアリティショー」におおよそ分けられる。
そんな中、ニュース番組は需要があるのか多くの局で時間を問わず放送されており、公共、民放ともに日本とは比べものにならないほどお堅いものが多い。タレントが出てコメントする場合はほぼないに等しく、出演者はキャスターに加え、必要であれば専門家が出演して意見を交わすという形式がほとんどだ。番組を見ていても、分かりやすく説明するというより難しい専門用語が出てきたり、ある程度そのニュースの背景を理解していなければついていけなくなるようなこともある。
とある在独日本人は「日本でいうワイドショーのような番組はあまりなく、あったとしても専門家でない人が意見するような番組は、ドイツでは需要はないと思います」と話す。子ども用のニュース番組もあるが、同様に内容が難しい傾向にあり、「小さい頃からニュースはある程度自分で理解してからプラスの情報を見るために必要なものという位置付けなのかもしれません」と推測していた。
なお、こういった傾向はドイツだけに限らず、ヨーロッパ各国でも同じようだ。例えばスペインではドイツと同じようにニュース番組にタレントが出演することはない。ワイドショーのような番組はあるものの、当事者のタレントが出演することはあっても日本のように意見を言うために関係のないタレントが毎回出演することはほぼない。
イタリアでは、意見が対立する政治家がテレビに出演し、討論する番組もあり人気を集めているようだ。またワイドショーに関しては、現地の日本人によると「ゴシップ系のワイドショー番組自体は多く放送されていますが、ワイドショー番組にニュースに関係のないタレントが出演することはあまりありません」と言う。
フランスも同様で、考え方が異なる専門家を数人スタジオなどに呼んで、ニュースに対して議論を繰り広げることが多い。現地在住の日本人は「専門家の意見は難しいこともありますが、“分からないなら見るな”というスタンスだと思います。ですが世界的に有名な専門家が出演することもあり、そういった専門家に一から説明してもらうより、ある程度のレベルから説明してもらった方が視聴者にとっても有意義だと思います」「なお、ワイドショーのような番組は番組自体があまりありません」と語っていた。
ヨーロッパのニュース番組の特徴は日本とは対極にあるようだ。どちらが正解、というものではないが、専門家が淡々と意見を述べるヨーロッパのような番組も視聴者の知識レベルを上げるという意味では必要なのかもしれない。